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1月30日 

http://medg.jp/mt/?p=7290
Vol.021 東金市「東千葉メディカルセンターを心配する会」主催講演会:市民は市の財政破たんを心配している(1)
元亀田総合病院副院長  小松秀樹
医療ガバナンス学会 (2017年1月30日 06:00)
2017年1月30日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

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東千葉メディカルセンターは、2014年4月に開院したが、従来の千葉県の極端な医療人材不足により、医師・看護師が予定通り集められなかったことに加えて、計画が、実体を伴わない「山武・長生・夷隅医療圏」に基づいていたため、三次救急病院としての過大な装備、患者数の見込み違いにより、当初の予定をはるかに超える赤字が継続している。東金市民は、このまま放置すると東金市が財政破綻に陥るのではないかと心配し始めた。
2017年1月15日東金市民会館において、「東千葉メディカルセンターを心配する会」主催の講演会が開かれた。小松秀樹は同会の要請を受けて、問題の背景となる医療の状況について講演した。同日、公認会計士の吉田実貴人は東千葉メディカルセンターの経営分析結果を発表した。
以下、小松の講演要旨と吉田の経営分析結果を示す。

I 東千葉メディカルセンター問題の背景と千葉県の責任

●千葉県の医療人材不足は一県一医大制度とその後の人口の変化の結果もたらされた

千葉県では、医師・看護師が極端に不足している。人口10万対医療施設従事医師数、人口10万対就業看護師・准看護師数は、それぞれ全都道府県の下から3番目、2番目である。医師は京都、東京、徳島の60%程度、看護師は九州各県の半数しかいない。
日本の都道府県別人口10万対医師数の地域差は、1970年以後の1県1医大政策とその後の人口の変化によって大勢が決められた。病床規制制度が現状追認的だったため、地域差が固定された。
2015年、人口100万対医学部数を都道府県別にみると、鳥取、島根、高知など人口の少ない県で多く、埼玉、千葉など1970年以後の人口増加が大きく、かつ、人口規模が大きい県で少なかった。
理解のために、四国と千葉、埼玉を比較すると、1970年、四国の人口391万に対し医学部数1、千葉は337万に対し1、埼玉は387万に対し0だった。2015年、四国は人口387万に対し医学部数4、千葉は622万に対し1、埼玉は727万に対し1だった(防衛医大を除く)。
2015年、埼玉、千葉の人口100万対医学部数は、それぞれ0.14、0.16と全国平均0.61に比べて群を抜いて少なかった(防衛医大を除く)。医師の多い地域から少ない地域への移動があるため、埼玉、千葉の医師数は少ないが、それでも、人口100万対医学部数ほど大きい差ではない。

●病床規制(医療計画制度)は千葉県の医療サービス不足を固定化させた

病床規制制度は1985年開始された。二次医療圏ごとに基準病床数を性・年齢階級別人口をもとに一般病床と療養病床に分けて算定し、その範囲内で許可病床を配分する。
既存病床数が基準病床数を超える場合、都道府県は病院開設、増床の中止、申請病床数の削減を勧告できる。勧告に従わないときは、保険医療機関の指定を行わないことができる。許可病床は開床していなくても、既得権として保持できる。
性・年齢階級別退院率(1日当たり入院している確率)、平均在院日数を係数として用いるが、現状追認のために地方ブロックごとに別の係数を用い、病床数の多い地域の基準病床数を多く算定されるようにした。四国、九州、中国で病床数が多くなり、関東、東海で少なくなった。九州、四国各県の一般病床数は、関東基準で計算すると、埼玉、千葉の2倍にもなる。
病床規制制度の目的は、病床数を抑制することと、均てん化することだったが、逆に、現状追認的だったため、医療提供の地域差を固定化した。許可病床が既得権益化して新規参入が阻害されたため、医療の本来あるべき質向上を阻害した。医療計画制度を通じて、県庁に出向した医系技官が強大な権限をもつことになった。2014年の医療・介護総合確保推進法による地域医療構想と地域医療介護総合確保基金創設で、医系技官の属人的権限が強化された。

●医療格差と国民の不平等

医療人材の地域差が、医療提供量の地域差を生んだ。一人当たりの医療費は、西日本と北海道で高く、東日本と東海で低い。2010年度、全国の一人当たりの医療費を1とすると、千葉県は0.872で最低だった。最高は福岡の1.211だった(年齢補正後)。福岡県は千葉県の1.39倍の医療費を使っていた。医療費には公費と被用者保険からの拠出金が投入されている。福岡は千葉より多く投入されている。2010年度、市町村国保が受け取った国費+各保険者拠出金は合計で5兆4千億円であり、市町村国保の医療費の50%に相当した。後期高齢者医療制度が受け取った国費+各保険者拠出金は合計で8兆9千億円であり、後期高齢者医療制度の医療費の70%に相当した。国費+各医療保険者の拠出金の千葉県への投入額は、市町村国保と後期高齢者医療制度を合わせて、1年間で、全国レベルの医療費だと720億円、福岡県レベルだと1890億円、多く投入されたはずである。千葉県民は国から平等に扱われていない。医療サービスと経済の両面で損失を被っている。http://medg.jp/mt/?p=2112

●医師不足による千葉県の医療崩壊

2000年代に入って、千葉県の太平洋側で医師の立ち去りによって、病院が危機的状況になる事態が頻発した。
2004年以後、県立東金病院の内科医が10人から減少し、2006年に3人になった。このため、国保成東病院の負担が増大した。成東病院では、11人いた内科医が2006年にゼロになった。
公立長生病院では、2007年千葉大学からの医師派遣が中止された。内科常勤医が4人から1人に減少した。院長が千葉大から自治医大出身者に交代した。
2008年、安房医師会病院は24時間365日の救急対応で医師が疲弊し、医師不足で破綻寸前に追い込まれた。社会福祉法人太陽会に経営移譲した。
2008年9月30日、銚子市立総合病院は393床を有していたが、医師の給与引き下げを契機に、日本大学が医師を引き上げた。最終的に、病院が閉鎖された。

●山武医療センター(東千葉メディカルセンター)計画の沿革

2003年: 山武地域医療センター構想:9市町村による広域運営体制の構築
2004年~5年: 山武地域医療センター基本計画策定委員会
2008年2月15日: センター長に、支援病院への病床数割り振り権限を与えるかどうかをめぐって、山武郡市首長会議が合意解消。計画断念。支援病院と位置付けられた国保成東病院、国保大網病院が切り捨てられることを、それぞれの病院を持つ自治体が恐れたため。
2008年2月26日: 1市2町による知事への支援要請
2008年 山武郡市を印旛・山武医療圏から切り離し、夷隅・長生医療圏に統合して、山武・長生・夷隅医療圏にした。この医療圏が、東千葉メディカルセンターに県から支援金を支出するための根拠になった。
2008年6月: 九十九里町、東金市予算可決。大網白里町予算否決
2008年10月14日: 1市1町により県に可能性検討申し出
2008年10月: 千葉県より 85億円の支援を含む試案提示
2010年1月29日  千葉県知事より病院開設許可書交付
名称と経緯から分かるように、長生、夷隅は当初より東千葉メディカルセンター設立チームに参加していない。山武郡市の足並みが乱れ、最終的に山武の1市1町だけになった。
医師・看護師不足のために既存の許可病床すら活用できていなかった地域に、多くの医師・看護師を必要とする三次救急病院を設立しようとした。

●医師供給源を千葉大学だけに求めることの愚

一般的に、医師集めを成功させるには、医師のモチベーションを高めるような工夫をしつつ、全国規模で募集しなければならない。この方法は、震災直後、医師がいなくなった南相馬に医師を集めるのに成功した。しかし、東千葉メディカルセンターでは、当初より、医師の供給を千葉大学だけに頼った。千葉県は人口620万人だが医学部は千葉大学のみであり、千葉大学の医局は常に医師不足状態にある。にもかかわらず、多くの大学と同様、他大学出身者との協働に熱心ではない。
日本の大学医局は、自然発生の排他的運命共同体であり、派遣病院を領地として大学の支配下に置き、他大学と領地をめぐって争ってきた。別の大学から院長や医師を採用するだけで、医師を一斉に引き揚げることがある。大学は、しばしば、医師の参入障壁になってきた。東千葉メディカルセンターには千葉大学医学部附属病院東金九十九里地域臨床教育センターの看板が掲げられている。この看板は他大学出身者を遠ざける効果がある。
千葉大学と関連病院は常に医師不足状態にある。東千葉メディカルセンターが予定された56人の医師を確保するためには、千葉大学、あるいは、千葉大学関連病院から56人の医師をひきはがさなければならない。こうした乱暴な方法だと、医師不足による労働条件の悪化や医局内の軋轢が生じ、病院からの医師の立ち去りを増やしてしまう。

●千葉県における看護師獲得競争

看護師不足は、千葉県における医療供給の最大の阻害要因である。看護師は県域を越えて移動したがらない。各病院は、千葉県内の少ない看護師を奪い合うことになる。保険診療においては、病床数当たりの必要看護職員数が決められているので、看護師が不足するとその分、病床を開けない。千葉県には稼働していない許可病床が大量に存在している。看護師不足のために、病床を稼働できていなかった。それにもかかわらず、2012年、千葉県は、高齢者人口の増加に合わせて、医療計画に基づく許可病床を3809床新たに募集した。許可病床は既得権益になる。多くの病院がこぞってこれに応募した。3809床増やすとすれば、4000人近い看護師が必要になる。このため、2012年、千葉県で熾烈な看護師引き抜き合戦が誘発された。http://medg.jp/mt/?p=1769 これに東千葉メディカルセンターの看護師募集が重なった。
千葉県の松戸、柏、市川、船橋などは、日本でも最も高齢者が急増している地域である。今後、これらの地域の看護師需要が増加する。2013年度の千葉県医師・看護職員長期需要調査によれば、2025年には中位推計で看護職員数が14000人不足する。成田市では、国際医療福祉大学医学部附属病院の設立が予定されており、多数の看護師が必要となる。東千葉メディカルセンターの看護師確保は今後もいばらの道である。

●二次医療圏組み換えと千葉県の責任

二次医療圏とは、「地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、一体の区域として病院における入院に係る医療を提供する体制の確保を図ることが相当であると認められる」圏域である。千葉県は、二次医療圏を恣意的に変更して、山武・長生・夷隅医療圏を作った。長径80キロの不自然に細長い医療圏であり、一体の区域ではない。医療圏の南西側の夷隅郡市から東千葉メディカルセンターまで遠すぎるので、夷隅の救急患者は安房医療圏にある亀田総合病院(三次救急病院)に運ばれている。救急でなくても患者の流れは夷隅から安房となっている。北東側は、旭中央病院(三次救急病院)が近い。
実は、東千葉メディカルセンターの設置場所は千葉市に近い。すぐ近くに高速道路の入り口があり、千葉市まで20分しかかからない。実体を伴わない二次医療圏を作ったことが、東千葉メディカルセンターの計画規模を拡大させ、計画を誤らせた。千葉県にはミスリードした責任がある。
山武・長生・夷隅医療圏の人口10万対勤務医師数は全国350の二次医療圏の下から7番目である。長生、夷隅は医療過疎だったがゆえに、山武に統合された。狙いは医療過疎の二次医療圏の人口を増やして、県からの補助金を増やすことになる。統合により、山武・長生・夷隅医療圏の人口は45万人になった。ボリュームのある医療過疎地であることを、三次救急病院を作るための論拠にした。従来、三次救急病院の整備目安は、100万人に1か所だった。東千葉メディカルセンターの実際の診療圏は山武の西側地域であり、三次救急病院を支えるには人口が少なすぎる。しかも、現時点では、山武郡市の他の病院と競合している。
東千葉メディカルセンターの実際の診療圏の人口が少ないため、三次救急患者の発生数は少ない。しかも、当初の計画では、診療科が22科、医師数56人であり、三次救急病院としては医師数が少なすぎる。
本来、夷隅郡市に使われるべき補助金が、東千葉メディカルセンターに投入された。当然、夷隅郡市の首長は安房・夷隅医療圏を望んでいる。夷隅郡市2市2町の首長が連名で、2015年8月終わり、千葉県知事に、夷隅を安房と同じ二次医療圏にして欲しいと申し入れた。この直前、山武・長生・夷隅医療圏(8月19日)と安房医療圏(8月25日)のそれぞれの連携会議でも、夷隅、安房から強い変更希望が出された。千葉県は、介護保険計画との整合性から2年間は医療圏を変えない方向であると説明し、会議は紛糾した。
千葉県は、医療圏を決めるのは、千葉県医療審議会の部会である保健医療部会であると主張した。保健医療部会は少人数で、東金市長と山武の前医師会長だった田畑千葉県医師会長が主導権を持つ。ここでは医療圏は変えないという結論は見えていた。地域の意見を聞いて医療計画を立てるという原則を千葉県が反故にした。さらに、形勢不利と見た千葉県は、山武、長生、夷隅、安房医師会にアンケートを取り、山武や長生医師会が医療圏変更に反対しているので、変更はできないと言い始めた。医療は住民のもの、患者のものであり、医師会のものではない。住民の代表である首長の主張より医師会のアンケートが重んじられた。千葉県知事は、役人の行動を監視し、住民を守らなければならないが、これを怠った。

●三次救急病院は金食い虫

国家財政が逼迫しており、診療報酬が削減されるのは間違いない。一方、高価な装備を必要とする三次救急病院は、想像を絶する金食い虫である。とんでもなくリスキーな施設だということが、意外と世間に知られていない。三次救急病院は24時間365日、あらゆる救急患者に対し、高度な医療を提供するため、さまざまな専門家が活動し、あるいは、待機している。多くの医療人材を抱えている必要があり、病院の規模が大きくないと機能しない。通常、巨大基幹病院が三次救急を担うことになる。その予算規模は小規模の市よりはるかに大きい。
フル装備の三次救急病院が相応の患者を集められないと、巨額の損失が生じる。時間に比例して、膨大な赤字が積み上がる。自治体の財政も余裕がなくなっており、赤字を補填し続けることはできない。



http://medg.jp/mt/?p=7293
Vol.022 東金市「東千葉メディカルセンターを心配する会」主催講演会:市民は市の財政破たんを心配している(2)
公認会計士  吉田実貴人
医療ガバナンス学会 (2017年1月30日 15:00)
2017年1月30日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

II 東千葉メディカルセンターのついての経営分析


●財務的な特徴

東千葉メディカルセンターの経営分析にあたって、公表されている財務諸表等の経営データから、まず年間20億円を越える医業損失額の大きさに目を疑った。また当初の9市町村による計画が2市町に縮小されていたにもかかわらず、3次救急の機能を持つ新病院が建設されたことにも驚いた。さらには平成29年度以降の事業計画を見ると、売上及び収支が劇的に改善することになっており、その算定根拠が明確でないことも大きく懸念された。

●開業以来の赤字経営3年目

開院以来、医業損益(医業収益-医業費用)の巨額赤字の病院経営が続いている。開業2年目の医業収益と医業費用の割合は1:2であり、1の売上を稼ぐのに2の費用をかけていて、民間病院ならばいつ倒産していてもおかしくはない。直近の財務データが開示されている開業後3年目の第一四半期においても、その傾向は変わっていない。県、市、町からの補助金を入れた最終損益も、平成26年度15億円、平成27年度17億円の赤字と開業当初の計画を著しく下回っており、現在の運用病床数209に対して巨額な赤字となっている。

●運営資金不足

病院の運営にあたっては、資金すなわちキャッシュフローが重要であるが、その大きなファクターである借入金残高は平成28年3月末時点で、119億円。その元本と利息の返済として平成35年度まで毎年平均8億円の返済が必要で、平成28年度は12億円近くが必要とされている。しかし病院経営自体が巨額の最終赤字なので、返済原資が涸渇していくことは間違いない。

●経営悪化の要因分析

病院経営悪化の原因はどこか。医療収益対材料比率が高い(32%)。医業収益対人件費率が高い(69%)、自己資本比率が低い(-7%)、流動比率が低い(46%)などが挙げられるが、本質的な原因は売上が立っていないこと、医師一人当たりの医業収益が低いことにある。

●限定されたマーケット

売上は、単価×数量で構成される。端的に言えば医業収益を増やすためには、診療報酬単価を上げるか顧客を増やすことである。基本的に全国的に一律の診療報酬単価アップを目指すためは、DPC病院になる、プレミアムな人間ドックを手がける等、非常に選択肢が限られ、また劇的な単価改善は望むべくもない。一方の数量、すなわち患者数はどうか。千葉大学医学部の資料によると、東千葉メディカルセンターの年間患者数の7割近くが山武長生夷隅地区、すなわち近隣周辺地区であり、千葉・東京・横浜等からの患者は1%未満である。それは東千葉メディカルセンターの救急車搬送の患者住所地ベースの調査からも明らかであり、東千葉メディカルセンターが立地する場所は、西は千葉大学病院・北東は国保旭中央病院・南は亀田総合病院という、それぞれ200名を越える常勤医師を持ち、高度医療・3次救急医療の役割を持つ大病院に囲まれており、東千葉メディカルセンターが狙えるマーケットは必然的に限定されている。

●処方箋

では、東千葉メディカルセンターが、いまの経営体制を維持したまま、持続可能な病院となるための処方箋はあるのか考えてみたい。
第一に、病院経営の単年度黒字化を図ることである。まずは補助金込みの最終損益の黒字化を目指すことである。いうは易いが実行には相当の困難が伴う。上記のとおりマーケットが限定されている条件下で、売上を上げていくには、地域内のシェアを上げていくこと、すなわち地域住民に愛されていくことである。それには住民が真に欲する病院機能の見直しが必須であろう。大きな論点として、多くの診療科・常勤医・専門医・看護師等の維持コストを必要とし、そのために運営自治体等が多額の運営補助金を支出しなければ成り立たない3次救急機能が本当に必要か検討しなければならないだろう。また計画上の300床のベッド数も、過去2年間の運営実績から判断して、真に適正なのか再検討しなければならないだろう。既に開業3年目であり、早めに大ナタを振るわないと、医療職の勤労意欲が失われ、医師が立ち去っていくおそれさえある。
第二に、病院が抱える借入金の棒引きが必要であろう。現状の病院の財務状況は極めて危険水準である。既に平成27年度には運営資金不足を要因とする6.7億円の借入があった。単年度で大赤字の病院に、借入金の元利償還負担は重いことは既に述べた。仮に医療職に支払う給与支給が滞れば、病院経営は即座に頓死する。
上記2つの処方箋の実行には、相当高いハードルが予想されるが、早めに行動しなければ将来の世代に大きなツケを残す。そもそも限定された地域・市場を想定した3次救急機能・高度医療を主眼にした新病院の建設計画自体に無理があったのであろう。処方箋の実行にあたっては、当時の計画策定に大きな関与しまた指導を行ってきた千葉県、そして病院の設立団体としての東金市及び九十九里町には大きな責任がある。



http://medg.jp/mt/?p=7288
Vol.020 改憲私案「診療の自由は、これを保障する。」
井上法律事務所 弁護士  井上清成
医療ガバナンス学会 (2017年1月27日 06:00)
2017年1月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

この原稿は「月刊集中2月号」に掲載予定です。

1. 憲法施行70周年

本年5月3日、日本国憲法は施行70周年を迎える。現行憲法が優れたものであって、この基本原理を堅持すべきものであることについては、すべての国民の間においてほぼ異論がない。
しかし、70年も経つので、我が国の社会や憲法を取り巻く環境も変化してきている。大なり小なり、時代に合わせた憲法改正も議論すべき時期であろう。
たとえば、今現在、国民の関心事の第1位は、医療・介護である。ところが、憲法改正の議論の中には、「医療」に関する改正の提案が全くない。そこで、筆者の私見ではあるが、「医療」に関する改憲私案として、3つの条文を提示したいと思う。

2. 診療の自由

1つ目の改憲私案は、「診療の自由」である。具体的な条文としては、憲法第23条の2を新設し、「診療の自由は、これを保障する。」と定めるべきだと思う。
「診療の自由」は、患者の診療を受ける権利(受療権)と医師の診療を実施する権利(診療権)とが表裏一体となったものである。普通に言えば「診療の権利」であるが、国家権力(特に警察・検察や厚生労働省)や社会的権力(特にマスコミ)に不当に侵害されないという受け身的な観点から言えば、「診療の自由」という用語のニュアンスとなろう。
特に重要なのが、診療の「機会の確保」と診療の「内容の決定」である。これらは、患者と医師の双方向性によって作り出されるものであって、警察・検察や厚労省さらにはマスコミは、診療の機会や内容に得手勝手に介入してはならない。
なお、憲法第23条の2という位置付けは、憲法第23条のすぐ次、という意味である。ちなみに、憲法第23条は「学問の自由」を定めており、学問の自由とは「真理の探求を目的とする研究とその実践」であり、「科学の自由」も含む。そこで、診療の自由は、学問の自由(科学の自由)の一環として、第23条の次に位置付けるのが適切だと思う。

3. 保険診療受給権・国民皆保険制

憲法第25条は「生存権(字義通りだと、生活権)」を定めた。「健康で」という文言も明記されているので、生存権の健康的側面という意味で「健康的生存権」も含まれると解釈しうるかも知れない。しかしいずれにしても、憲法第25条の法規範性ははなはだ弱いものだと一般に解釈されてきた。そこで、その解釈を一新する意味でも、憲法第25条のすぐ次に条文を新設し、そこに「その疾病に応じて、ひとしく医療を受ける権利」を明示した方がよい。具体的な条文としては、憲法第25条の2を新設し、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その疾病に応じて、ひとしく医療提供を受ける権利を有する。」と定めるべきだと思う。
実際上、この権利は保険診療を対象とする。保険診療受給権(または、公的医療受給権)と呼んでもよいと思う。もちろん、国民すべてが保険診療を適切に受給するためには、国民皆保険制が必要不可欠である。この意味で、保険診療受給権という国民の人権と、国民皆保険制という国家の制度とは表裏一体であると言ってよい。なお、保険医の人権(保険診療提供権)も、国民の人権としての保険診療受給権と国家の制度としての国民皆保険制と一体である。
今後も続くであろう医療費抑制政策で、国民の保険診療受給権は傷つけられざるを得ない。また、国際経済の荒波の中で、国民皆保険制も浸食されてしまうであろう。しかしながら、このような状況の今こそ、保険診療受給権や国民皆保険制を憲法上に明瞭に位置付けて、著しく不当な傷害や浸食から守ることが有効適切な方策と考えられる。

4. 医師への適正手続の保障

現行憲法の第31条では、「適正手続の保障」と解釈されうる条項が定められた。「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」という条文である。文字通りでは、この条文の対象は「刑事」手続だけであり、「行政」手続には及ばない。もちろん、その後の裁判所の判例の積み重ねにより、厚生労働省などの行政権による「行政」手続にも及びうる可能性は広がった。しかしながら、その法規範性はやはり、はなはだ弱い。
特に、国民の生命・健康に直結する医療行為を行う医師に対しては、ちょっとした世論の動向のブレによって、余りにも強引な行政処分その他の行政手続が安易に発動されがちでもある。そこで、社会福祉国家化が進んだ現代においては逆に、刑事手続よりもむしろ行政手続からの人権侵害に対するチェックこそが必要と言えよう。そこで、刑事手続だけに重点を置きすぎた憲法第31条を改正して、行政手続をも対象とすることを明示するのがよい。
具体的な条文としては、憲法第31条を全文改正して、「何人も、法の適正な手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われず、その他の刑罰も科せられず、又は命令、処分、調査、指導、届出その他、公権力の行使により義務を課せられ、若しくは権利を制限されない。」と定め直すべきだと思う。

5. 政局と離れた議論を

以上、「医療」に着眼した3つの改憲私案を提案した。
憲法改正議論は往々にして、政局に巻き込まれがちである。しかし、国家の基本法中の基本法を議論するものであるから、時の政局からは離れて、静かに丁寧に議論したいところではあろう。この改憲私案も、そのような議論の素材の一つとして提示するものである。

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3つの憲法改正私案
1.診療の自由(憲法第23条の2を新設)
「診療の自由は、これを保障する。」
2.保険診療受給権・国民皆保険制(憲法第25条の2を新設)
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その疾病に応じて、ひとしく医療提供を受ける権利を有する。」
3.医師への適正手続の保障(憲法第31条を全文改正)
「何人も、法の適正な手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われず、その他の刑罰も科せられず、又は命令、処分、調査、指導、届出その他、公権力の行使により義務を課せられ、若しくは権利を制限されない。」
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http://www.zaikei.co.jp/article/20170130/349831.html
民間中小病院の経営上の問題、「職員不足」が全体の80.0%で最多
2017年1月30日 08:45 エコノミックニュース 財経新聞

 矢野経済研究所では、国内の民間中小病院を対象にアンケート調査を実施した

 全国の民間中小病院(45件)に経営上の問題や課題を質問したところ、「職員の不足」が全体の80.0%を占めて最も多く、次いで「建物の老朽化」が51.1%、「入院患者の減少」が33.3%、「病床稼働率が低い」が 26.7%、「外来患者の減少」が24.4%の順と、ハード面とソフト面の両面ともに選択された。民間中小病院においては、特に医師や看護師など医療従事者の確保不足が経営に多大な影響を及ぼしていることがわかるとしている。

 在宅医療への対応状況を質問したところ、「在宅医療に対して積極的である」が全体の42.2%を占め最も高く、次いで「どちらともいえない」が同 33.3%、「在宅医療に対して消極的である」が同24.4%の順となった。現在、国は地域包括ケアシステムの構築を推進しているものの、積極的に在宅医療に取り組むとする民間中小病院は約4割に止まっている。また、在宅医療に対する今後の対応について質問したところ、「在宅医療に対して従来よりも積極的に取り組む」が全体の51.1%を占め最も高く、次いで「現状維持」が同40.0%、「わからない」が同6.7%の順となった。

 自院の病床の機能区分の変更について質問したところ、全体の62.2%の施設が「病床の機能区分の見直しは必要ない」と回答した。これに対し「病床の機能区分の見直しが必要」 との回答は同 28.9%(13施設)に止まっており、民間中小病院においては地域医療構想による病床機能区分の影響はあまり受けないと捉えているようであるとしている。

 さらに「病床の機能区分の見直しが必要」と回答した12施設(1施設は回答無し)に対し、現在の自の病床の機能区分別の病床数と、2025年時点における自院の病床の機能区分別の病床予定数について質問した。12施設の機能区分別の病床数の比率を現在と2025年時点予定で比較すると、「回復期機能」が14.4%→35.3%へ増加したのに対し、「慢性期機能」が 37.5%→31.9%に減少、「急性期機能」については48.1%→32.8%と大きく下回る結果となった。

 わが国の医療提供体制の大きな特徴として挙げられるのは、民間中小病院の存在である。これまで、民間中小病院は国民皆保険制度を維持し、保険あって医療なしという状況に陥らないように大きく貢献してきた。一方で、現在、地域において将来(2025 年)のあるべき医療提供体制を構築するために、各都道府県では地域医療構想を策定している。地域医療構想の中では、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の機能ごとに、各都道府県における必要な病床数についても推計され始めている。わが国では、今後の少子高齢化を乗り切るために、これまでの医療提供体制や制度を抜本的に見直すことが求められており、国が民間中小病院に対して病床の機能区分変更を促す強制力を有していないことが問題視され始めている。

 今回のアンケート結果において、民間中小病院では医師や看護師など医療従事者の確保不足や建物の老朽化が経営上の問題・課題であるとともに、病床の機能区分を調整するのが困難であることが浮き彫りになったと考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)



http://www.news-kushiro.jp/news/20170130/201701305.html
高校生が体験学習/市立釧路総合病院
2017年01月30日 釧路新聞

  市立釧路総合病院(高平真院長)は29日、市内の高校生を対象に、病院の施設や医療スタッフ、機能を紹介する「オープンホスピタル」を同病院で開き、参加者が最先端の医療について知識を深めた。将来の就職先に選んでもらうことを願っての初めての試み。この日は座学と体験学習の2部構成で、湖陵高校と北陽高校から医療の道を志す生徒10人が参加。座学では、現役の医師や看護師らが自身の業務内容や、同院の内視鏡手術支援用ロボット「ダ・ヴィンチ」について説明した。



http://www.medwatch.jp/?p=12155
病院による在宅医療提供、設立母体で可否を定めることは問題―日病協・神野議長
2017年1月30日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 公立病院による在宅医療提供の是非が厚生労働省の審議会などで議論されつつあるが、「地域医療構想調整会議」で地域の実情を踏まえて決めるべきであり、公的病院・民間病院といった設立母体で可否を決めることには多少問題があるのではないか―。

 全日本病院協会や全国公私病院連名、日本病院会など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会の神野正博議長(全日病副会長)は、27日に開いた代表者会議後の記者会見で、このような見解を示しました。

 ただし「特定機能病院や地域医療支援病院、3次救急医療機関などの医療機関で在宅医療を提供することが適切か」という機能による切り口は検討に値するとの考えも述べています。

ここがポイント!
1 地域医療構想調整会議での本格議論控え「公立病院による在宅医療」が注目浴びる
2 2018年度改定に向けて、「病棟群の恒久化」を論理的に主張する

地域医療構想調整会議での本格議論控え「公立病院による在宅医療」が注目浴びる

 各都道府県では地域医療構想(構想)の策定が進められており、次の注目ポイントは「構想の実現に向けて、地域医療構想調整会議(調整会議)でどのような議論が進められるか」という点に移りつつあります。

 厚労省の「医療計画の見直し等に関する検討会」が昨年(2016年)末にまとめた意見にも、「調整会での議論の進め方」の一例が盛り込まれており、そこでは2016年度中に改革プラン策定が義務付けられている公立病院などの機能をまず明確にすることとされています(関連記事はこちらとこちら)。ところで、改革プランのベースとなる新公立病院改革ガイドラインでは、「特に、中小規模の公立病院にあっては、介護保険事業との整合性を確保しつつ、例えば、在宅医療に関する当該公立病院の役割を示す(中略)など、地域包括ケアシステムの構築に向けて果たすべき役割を明らかにすべき」とされています(関連記事はこちら)。

 この記述をめぐり、1月18日の社会保障審議会・医療部会で中川俊男委員(日本医師会副会長)から、「民間医療機関が在宅医療を担うことができないなどの地域を除き、公的病院による在宅医療提供や地域包括ケア病棟設置の動きを積極的に行うことは避けるべき旨を明確にしてはどうか」との指摘が出されるなど、公立病院・公的病院の機能に関する議論が俄に熱を帯びてきています。

 この点について神野議長と原澤茂副議長(全国公私病院連盟常務理事)は、地域によって医療提供体制の状況は異なる(公立病院しかない地域では在宅医療も提供すべきであるし、逆に大都会では公立病院は在宅医療を担う必要性は少ない)ため、「本来は調整会議で議論すべき」という点を強調。さらに神野議長は、「公立病院・公的病院か、民間病院かなど、設立母体で(在宅医療提供の可否を)決めるのは多少問題があるのではないか」と述べた上で、「特定機能病院や地域医療支援病院、3次救急を担っている医療機関が在宅医療提供を担うことが適切か、という切り口はあるのではないか」との見解も示しています。また、仮に在宅医療提供のガイドラインなどが検討される場合には、「社保審の医療部会で議論することが適切ではないか」との考えも付言しました。

 なお神野議長は、「在宅医療提供には費用がかかることが分かっている。その点も覚悟した上で、費用の配分(例えば2018年度改定における財源配分)を議論してほしい」ともコメントしています。

2018年度改定に向けて、「病棟群の恒久化」を論理的に主張する

 また2018年度の診療報酬・介護報酬改定に向けた議論が前倒しで進められることを踏まえ(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)、原澤副議長は ▼4-5月に大枠、総論的な第1弾の改定要望 ▼10-11月に各論に関する第2弾の改定要望―を示す考えを明らかにしました。

 その際、2016年度の前回改定に向けた要望に盛り込まれた「病棟群単位の入院基本料」の扱いが気になります。日病協では「恒久的な病棟群」を認めよと求めたのに対し、厚労省は「7対1から10対1に移行する際のワンクッション」として、時限的な病棟群を認めるに止めています。

 この点について神野議長は、▼地域包括ケア病棟との役割分担 ▼傾斜配置(1つの入院基本料の中で看護配置に傾斜を付ける)と比べた病棟群のメリット ▼病棟間の患者移動 ▼患者像―などについて日病協の中で議論を踏まえ、「論理的に」病棟群を推し進めていく考えを強調しています。

 また原澤副議長は、「内科系の病院では、重症患者割合25%以上をクリアすることは難しい。私見であるが、『病棟群』の群はカッコ書きにしてもよいのではないかと考えている」と述べ、院内での機能分化を正面から進めるべきとの見解も披露しています。

 なお、27日の総合部会では、来年度、つまり2017年4月1日から、新議長に原澤茂・現副議長が、実務者委員長に池端幸彦氏(日本慢性期医療協会副会長)が就任することも了承されています。



http://www.medwatch.jp/?p=12162
有床診療所、前月に比べて施設数は30、ベッド数は367減少―医療施設動態調査(2016年11月)
2017年1月30日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 昨年(2016年)10月末から11月末にかけて、病院の一般病床数は127床増加した一方、療養病床は105床減少。有床診療所数は30施設減少し、7575施設となった―。

 このような状況が、厚生労働省が30日に公表した医療施設動態調査(2016年11月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 有床診、昨年(2016年)は月間24施設程度のペースで減少
2 有床診のベッド数、1年間で4000-6000床程度のペースで減少

有床診、昨年(2016年)は月間24施設程度のペースで減少

 厚生労働省は毎月、全国の病院・診療所の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。昨年(2016年)11月末の医療施設総数は、全国で17万9023施設となり、前月に比べて32施設増加しました。施設数増加の要因は、これまでと同じく「無床の一般診療所」の増加で、10月末時点に比べて54施設増えています。また歯科診療所も前月(23施設増)に続き6施設増と、増加を続けています。

 病院の施設数は、前月に比べて2施設減少し8443施設となりました。種類別に見ると、一般病院が7382施設(前月に比べて3施設増加)、精神科病院は1061施設(同1施設減少)という状況です。

 一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3821施設で、前月から2施設減少、地域医療支援病院は539施設で、前月から変更ありません。

 診療所のうち有床診は7575施設で、前月から30施設減少しました。2年前の2014年11月末には8395施設、1年前の2015年11月末には7905施設であったことから、2014年10月末から2015年10月末までの1年間で490施設減、さらに2016年10月末までの1年間で330施設減少した計算です。

 さらに2016年に入ってからの有床診施設数の推移は次のとおりです。

▼2016年1月末:7834施設
 ↓(23施設減)
▼2016年2月末:7811施設
 ↓(45施設減)
▼2016年3月末:7766施設
 ↓(26施設減)
▼2016年4月末:7740施設
 ↓(24施設減)
▼2016年5月末:7716施設
 ↓(18施設減)
▼2016年6月末:7698施設
 ↓(27施設減)
▼2016年7月末:7671施設
 ↓(15施設減)
▼2016年8月末:7656施設
 ↓(27施設減)
▼2016年9月末:7629施設
 ↓(24施設減)
▼2016年10月末:7605施設
 ↓(30施設減)
▼2016年11月末:7575施設

 暦月の減少数にはやや幅がありますが、昨年は「1か月当たり24施設弱のペースで減少」しています。2018年度からスタートする第7次医療計画では、病床過剰地域においても有床診が一般病床を届け出られる特例を拡大することになっています。また2016年度の前回診療報酬改定では有床診の経営をサポートする見直し(在宅復帰機能強化加算の新設など)も行われています。改定から間もなく1年を迎えることになり、その効果・影響のほどを持つのか、これからの数字に要注目です。
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病院の一般病床は3桁の増加となったが、療養病床は3か月連続で3桁減少となった

有床診のベッド数、1年間で4000-6000床程度のペースで減少

 病床数に目を移すと、2016年11月末の全病床数は166万2934床で、前月から708床減少しました。このうち病院の病床数は156万128床で、前月に比べて341床の減少です。種類別に見ると、一般病床は前月から127床増加して89万1229床に、療養病床は105床減少して32万7833床となりました。精神病床も前月に比べて363床減少しています。

 有床診療所の病床数は前月から367床減少し、10万2737床となりました。2014年11月末には11万2658床、2015年11月末には10万6890床となり、2014年11月末から2015年11月末までの1年間で5768床減、続く2016年10月末までの1年間で4153床減少したことになります。前月分で見た「2014年10月→15年10月→16年10月」よりも、「2014年11月→15年11月→16年11月」のほうが、病床数減少ペースが速まっています。
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病院の病床数は、再び減少モードに入った
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療養病床数もゆるやかな減少傾向に入った



http://www.sankeibiz.jp/business/news/170130/bsc1701300500007-n1.htm
来月から「オプジーボ」薬価半額に 製薬業界は反発「新薬開発の意欲がそがれる」
2017.1.30 06:05  SankeiBiz

 夢の新薬といわれ、高額ながん治療薬「オプジーボ」の薬価が2月1日、50%引き下げられる。本来なら2018年4月に改定されるところだが、保険医療財政を圧迫するとの理由から、「緊急的な対応」として特例での引き下げが決められた。ただ、発売元の小野薬品工業では見込んでいた収益が得られないことになり、製薬業界も「新薬開発の意欲がそがれる」として反発している。

 オプジーボは14年9月に悪性黒色腫(メラノーマ)の薬として発売され、患者数が470人程度と極めて少ないことから高額の薬価が認められた。その後、肺がんへの適用が決まり、対象患者が1万5000人へ大幅に増えたが、薬価は100ミリグラム約73万円を維持。標準的な患者1人が1年使うと3500万円かかるといわれる。

 健康保険の財政が悪化するなか、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は、昨年11月の総会で引き下げを了承。当初25%の引き下げ率が提案されていたが、経済財政諮問会議の主導で50%に拡大された。米国は100ミリグラム約30万円、英国は約15万円と、内外価格差があることも理由となった。

 特例の薬価引き下げに対し、製薬業界からは反発の声が渦巻く。薬価は原則として2年に1度改定される。オプジーボの場合、16年4月に改定があったばかりで、18年4月に見直される予定だった。緊急引き下げで小野薬品は17年3月期の業績予想の下方修正を余儀なくされた。

 新薬開発には、9~16年かかるとされ、開発費が数百億円にのぼることも珍しくない。開発に成功し、新薬として世に出る確率は3万分の1しかないともいわれる。発売後、短期間で薬価が引き下げられるオプジーボのような例が相次げば、投資回収がますます困難になりかねない。日本製薬工業協会(製薬協)は「現行ルールを大きく逸脱したもので、今後二度とあってはならない」と主張する。

 昨年12月には、中医協が薬価と市場実勢価格の乖離(かいり)の大きな品目について、従来改定のなかった年の薬価見直しを示し、薬価を毎年改定するための議論も始まった。製薬協の畑中好彦会長(アステラス製薬社長)は「(毎年改定は)事業の予見性を損なう。対象品を可能な限り絞り込む方向で提言したい」と、制度変更の影響を最小限にとどめることを強く求めている。



https://www.m3.com/news/general/498340?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170130&dcf_doctor=true&mc.l=203614893&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
春日井市民病院に賠償命令 検査でミス、540万円
2017年1月30日 (月) 共同通信社

 愛知県春日井市が運営する春日井市民病院で2012年7月、同市の女性(79)が大腸のエックス線検査を受けた際、看護師の間違った処置によって後遺症が出たとして、市と担当医師に約1355万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁は27日、約547万円の支払いを命じた。

 朝日貴浩(あさひ・たかひろ)裁判長は「あり得ない注意義務違反で精神的苦痛は大きい」と指摘、腹痛といった後遺障害の慰謝料を一部認めた。一方、女性が主張した付き添いにかかった費用などは認めなかった。

 判決によると、女性は血便を訴えて入院。検査の際に看護師が肛門に入れるチューブを間違って膣(ちつ)に挿入し、検査に使うバリウムが漏れ出て体内に残った。病院側は医療過誤を認めており、後遺症の範囲や賠償額が争点になっていた。

 春日井市民病院の渡辺有三(わたなべ・ゆうぞう)院長は「患者に対し、大変申し訳なかった。再発防止に努める」とのコメントを出した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/496036
シリーズ: m3.com意識調査
「大学主導に回帰」「偏在対策は別」「混沌」
意識調査「新専門医制度、募集定員の上限は必要?不要?」Vol.4

2017年1月30日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

◆意識調査の結果 ⇒ 「専攻医の上限設定、「反対」は勤務医の47.8%」

◆意識調査の回答ページ ⇒ 「新専門医制度、募集定員の上限は必要?不要?」

◆専門医と偏在対策、切り離すべき?

・専門医制度と医師の地域配分は、別に議論すべき問題である。それらを絡めてしまったことが混乱の理由である。【勤務医、40代】
・基本的に反対。地域偏在を解消したいなら、専門医の件とは別に厚労省が人・金をつぎ込んで行うべき。【勤務医、40代】
・専門医育成の過程に目標を定めたところは評価できる。それと医師の地域偏在の問題とは別と考える。【勤務医、60代】
・専門医のための機構であるならば、医師の偏在を防ぐことではなく、プロフェッショナルとしての質の担保、教育の充実に重きを置くべきである。現状の新専門医制度では単なる偏在防止策としか見えない。これでは賛成する部分が少ない。【開業医、50代】
・医療機関が、働き手の確保のために専門医制度を利用するのは明らかに間違っています。【開業医、50代】

・医師の資格の認定ではなく、適正配置のための国のtoolと化す可能性が高いとは思うが、今後の流れを考えると、致し方ないものと思われる。しかしながら、人口減に向かう日本において、無理なsystemをただ構築しようとすることは、資源の無駄遣いであり愚の骨頂と感じられる。【勤務医、50代】

◆行政、政治の介入、排除すべき

・学会、医師会を基盤としたプロフェッショナル団体のprofession団体とし、質の担保を第三者機関または公の場に求める方向が本道だと感じる。行政が関与すると、この国の場合はおかしなことになるのは、他の歴史事象から証明済みである。【勤務医、40代】
・最悪の一言。 厚労省が口を出す領域ではない!【勤務医、40代】
・専門医の数と質をコントロールすることは賛成だが、それはProfessional autonomy として学会が行うべきことであって、素人の集団である国が主導してするべきことではない。ただ、学会が社会からの信頼を勝ち得ていないのも現実なので、まずは弁護士並みの自浄作用をみせる必要がある。まずは保険請求における不正の処分について医師サイドから提言するようにしてはどうだろうか。【勤務医、50代】
・資格であり、一定のレベルの認定であり、政治的判断を入れるべきではない。【開業医、50代】

◆インセンティブが必要

・診察料金が上がらない限り、専門医を取っても、何もメリットがない。【勤務医、20代】
・インセンティブのつかない専門医制度に、現在の学会認定の専門医制度に優る点は何もない。新専門医制度に求める内容は、インセンティブ以外には何のメリットもない。何のメリットもない制度に、これまで各学会が営々として構築してきた専門医資格認定権を売り渡すのは愚の骨頂である。【勤務医、40代】
・誰のための専門医なのかという、一番の基本が欠落している。専門医の要件を厳しくするなら、報酬等のインセンティブを与えるべき。今の診療報酬体系では教授が診ても、専門医が診ても、研修医が診ても同じ料金。【勤務医、50代】
・専門医制度で医師の勤務先を縛ろうとする考えが無謀だと思います。専門医にインセンティブでもなければ、ある意味、学位と同じで要らないものです。【開業医、40代】

◆従来の制度で可 or 廃止が妥当?

・混沌としていて、その必要性も分からなくなってきた。【勤務医、30代】
・結局、より良いシステムにならない気がする。現行システムでよかったのではないか。全員が専門医になれるように調整する必要はないと思う。【勤務医、50代】
・持っていることのメリットがますます希薄化した。ルール改訂に毎回振り回されず、持たないメリットの方が多くなっている気もする。【勤務医、50代】
・勤務する施設によっては専門医の維持ができなくなるため、現時点では、制度自体に反対。【勤務医、50代】
・内科専門医に関して述べるなら、新専門医制度に反対。今からでも辞めれば良いと思う。【勤務医、50代】
・患者さんと多くの臨床医たちの口から、「新専門医制度」が必要と聞いたことがない。誰のために必要な制度なのか今一度説明してほしい。【勤務医、50代】
・究極はやめて元に戻すなり、専門医制度以外の希望する医師のスペシャルティを高める制度にしてもらいたい。【勤務医、50代】
・新専門医制度そのものに反対です。初期研修医制度ができて、大学偏在ではなくなったのに、また大学主導に戻ります。現状のままでよいと思っていますが。【勤務医、50代】
・種々雑多の問題が次から次へと出てくるのであれば、全て廃止して出直せばいいのでは?現場の医師が望んで始まったことではないのに。【勤務医、60代】
・これまで専門医を育成してきた病院が、ほぼ同様の基幹病院としてプログラムに参加すべき。国立大学病院は給与に関して基幹病院として責任を持てるのか。専門修練医の将来の年金などについて、プログラムによって大きな差が付くことにいかに対処するのか。【勤務医、60代】

・従来通りがベストだと思います。【開業医、50代】
・廃止が妥当。【開業医、50代】

◆早期開始を要望

・医師の知識、技量が継続的に保たれ、患者さんに貢献できるように必要と思います。【勤務医、40代】
・新専門医は早く運用されるとよいと思います。【勤務医、40代】

◆その他

・厳しすぎる。さらに、外科志望者が減ると思われる。【勤務医、30代】
・7、8年の養成期間は長い。医師の晩婚化に拍車がかかる。教育施設での待遇が低すぎる。教育施設抜きでの養成方法が必要。症例レポートは集めることは、大学でも厳しい場合がある。レポートは減らすべきだと思う。【勤務医、30代】
・いいのか悪いのか、やってみなければ分からない。ただ、各学会の思惑だけでなく、国民・患者のことを考えない制度はだめ。【勤務医、40代】
・あくまで医師個人の資質向上のためのものであり、オフィシャルに意義付けをしない方がよい。【勤務医、50代】
・とにかく、日本全国津々浦々医者が行き渡り、科ごとに適正な医者の数になってほしい。プライマリケア医がもっと増えてほしい。【勤務医、50代】
・今まで持っている専門医の資格はどうなるのか不安である。【勤務医、50代】
・若手医師にとっては、6カ月のローテーション時の、身分保障、待遇をどうなるかが大問題ですが、全く解決の方向性が見えません。【勤務医、50代】
・関連ある疾患領域以外では、そんなに何でもかんでも「専門医」を持っているのは、本当の「専門」が何だか分からなくなるので、複数の「専門医」を持つことを制限すべき。【勤務医、50代】
・おかしな学会がたくさんできて、役に立たない専門医がたくさんできたのは、大学病院の医者の待遇を悪くしてきたからの結果。人口も減りつつあるので、医学部の定員を減らして、やがては医学部の無い県を作ってでも、良い教員にはそれなりの待遇を与えないと先は無いでしょう。もちろん基幹病院では、何らかのサイドビジネスもできる優秀な先生は、教育の余裕ができると思います。それぐらい少子化で簡単に医学部に入った甘やかされた若い医学生、研修医を教育するのはストレスフルなのです。【勤務医、60代】
・単科の病院では、専門医取得(更新)で 大半の医師が一斉に休む中、非専門医が支えているという現状。おかしいと思いますけど。【開業医、40代】



https://www.m3.com/news/general/498341
金沢医大医師に罰金30万円 女子高生付きまとった罪
2017年1月30日 (月) 共同通信社

 金沢区検は27日、ツイッターに行動を監視しているような書き込みを繰り返し女子高校生に付きまとったとして、ストーカー規制法違反の罪で、金沢医科大学病院の●●●医師(34)を略式起訴した。金沢簡裁は同日、罰金30万円の略式命令を出し、即日納付した。

 金沢西署によると、●●●医師は昨年10~12月、スマートフォンやパソコンで県内の女子生徒のツイッターアカウントに「バス停で見ているよ」などと計16回書き込み、付きまとったとして逮捕された。

G3註:原文は実名報道。



https://www.m3.com/news/iryoishin/493137
シリーズ: 2016年の医療界:1000人アンケート
「医療費の費用対効果を」「医学部の定員削減」医療界への提言◆Vol.9
制度改革を望む声が多数

医師調査 2017年1月30日 (月)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q  医療分野についてのご意見・ご提言、先生ご自身の2017年の目標などをご自由にお書きください。


【意見、提言】

・超高額な医療を保険診療から外す。

・医師患者関係を良く保つために、医学教育の一層の充実を期待します。

・医療費対効果は考えないといけないと思う。

・このままだと産科は絶滅する。なんとかしてほしいが、自分自身はもう逃げ切りで、関係無い。

・早急に医師偏在の解消と医学部定員の削減を行う方針を検討してほしい。

医療には金がかかるのは当然。生命も、水や平和と同じく、ただではない。
・地域格差がより激しくなる。入院患者が追い出される難民化が起きる。

・お金がないのに診療報酬を上げることは世間的にも矛盾しており、理解されるはずがないでしょう。田舎の医者を増やすような対策を考えてほしい。

・リピーター医師の問題解決。また患者とのコミュニケーションを取ることが下手な医師が多い。自身の技量の問題なら、もっと勉強すべし。

生活保護受給者が後発品を拒否できないようにしてほしい、腹が立つ。
・若い医師の夢を奪うような制度設計をしている暇があったら、「いったん立ち止まって」有害なのはまさに自分たちなのだ、ということを、現役を離れた医師たちは自覚してほしい。私自身に目標はありません。幸い専門領域があるので、周囲から必要とされる仕事を、体が動く限り淡々とこなします。

・経済の在り方(所得格差の拡大など)を再考し、真に使うべき税金の使途の策定や、人間社会での拝金主義の是正が図られるよう少しでも、その芽吹きが感じられたら……と願う。

・寝たきり高齢者への延命医療に異を唱え、尊厳のある老後を取り戻したい。

・かかりつけ医として開業する準備を始めており、医療制度としてもかかりつけ医の役割をもっと強化する方向で進めてもらいたい。

・尊厳死についてもっと議論がなされても良いと思う。

・医療費削減ありきの政策では、何も良くなることはない。国民に医療費抑制を行うためには享受される医療の質の低下を伴うこと、その受け入れを行うように広くマスコミなどを使って啓蒙していく必要性を感じる。

・再生医療のより進歩を期待したい。

・医療保険制度の空洞化につながる自由診療の蔓延に反対する。医療を金儲け中心の業務にしてはならない。

・アメリカには外科、内科、母子、精神の救急があるのに、日本では、時間内に来られない患者に対して「医者の時間は患者の時間より大切だ」という医者の意識がまかり通っている。来年こそシステムから考え直すことを始める年になってほしいと、心の底から願う。

・消費税問題を根本的に改善してくれないと大病院は立ちいかなくなる。また、勤務医の時間外などをきちんと把握してその分の報酬をきちんと支払うべきであるが、そうすると病院経営は成り立たなくなる恐れがある。

・医療分野に限らないが,行政はポピュリズムに走らず長期的視野で方向性を示してほしいと思う。

・教育への財源を確保すべき。特に地域には専門科も充実していないところが多くある。そのようなところで医師を確保するのは困難である。

・医師数は現状でもよいが、医師の仕事を補助するコメディカルの数を増やすのが良いと思う。

・後期高齢者になったが、際限なき医療保険、介護保険の高騰。医療負担の高騰で医療を受ける立場の人たち、特に高齢者のことが心配である。

・希望として、現状では日本のおける現行国民保険制度の維持は困難となるでしょうから、政治家・官僚現場ともに、きれいごと、利権をいったん棚あげにして、現実的かつ大胆な保険医療全般にわたる改革に着手していただきたい。

【目標】

・できるだけ処方を減らしたい。

・論文を書く!

・特にありません。毎年一生懸命患者さんを診るだけです。

・必要とされているところで自分のできることを精一杯やる。

・現在勤務している看護学科での講義をがんばる。

・学会参加・論文投稿が全て。

・職場の感染対策の充実化と抗菌薬適正使用のための採用抗菌薬の再選定。院内のNSTの立ち上げと栄養関連のボトムアップ。

・薬物、アルコール、ギャンブルなどの依存症の勉強をしていきたいです。

・引退する先生が残して行く大量の外来患者をスムーズに捌く。

・健康第一。家族第二。仕事第三。

・研究者なので、とにかく論文を出すことが最優先です。

・まだよき時代に医師になれた。今の若い人はあまりにも可哀想。よき教養人であり、よき医師であり、よき市民であることは難しくなっている。

【調査の概要】
・調査期間:2016年12月16日-2016年12月17日
・対象:m3.com医師会員
・回答者数:1015人(開業医338人、勤務医667人)



https://www.m3.com/news/general/498404
【岩手】産科医確保へ診療所開設費用補助 17年度予算、県が方針
2017年1月30日 (月) 岩手日報

 県は2017年度、分娩(ぶんべん)を取り扱う産科医の確保策として診療所の開設費用を補助する方針を固めた。施設整備費の2分の1(上限2500万円)を支援する。県内では産科医の高齢化などで分娩対応を休止する診療所が相次ぎ、県北・沿岸部では診療所ゼロの地域もある。開設費用の軽減を県内参入の呼び水とし、安心して出産できる環境整備を図る。

 県は17年度一般会計当初予算案に関連経費として約3千万円を盛り込み、県議会2月定例会に提案する見通しだ。

 対象は新たに分娩を取り扱う施設整備で、別の診療科施設に分娩機能を追加する場合も想定される。医療機器など設備導入に対する経費補助も含めて検討しており、財源には国の事業を活用する予定。

 県内では妊娠のリスクに応じて岩手医大や県立病院など12病院と診療所が分娩に対応。診療所数は10年の28施設から16年に20施設に減少した。



https://www.carenet.com/news/journal/carenet/43354
治験責任医師と企業の金銭的関係が試験結果に関連/BMJ
ケアネット:2017/01/31

 治験責任医師と試験薬製造会社の経済的な関係は、臨床試験のpositiveな結果と独立の関連があることが、米国・オレゴン健康科学大学のRosa Ahn氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年1月17日号に掲載された。無作為化臨床試験の治験責任医師は、一般的に企業と経済的な関連がある。研究の資金源と試験結果の関連を検証する研究は多数行われているが、企業助成の影響を考慮したうえで、治験責任医師の経済的関係と研究結果の関連を検証した研究は少ないという。

2013年の195試験を横断的に解析
 研究グループは、研究資金源を明らかにしたうえで、治験責任医師の試験薬製造会社との個人的な経済的関係と、試験結果の関連を検証するために、無作為化対照比較試験を対象とした横断的研究を行った(本研究は、直接的な助成は受けていない)。

 Medlineを検索し、2013年1月1日~12月31日に主要な臨床専門誌に掲載された、主に薬剤の効果を検討した無作為化臨床試験の論文を同定した。

 positiveの定義は、試験薬の効果が、優越性試験では対照薬よりも統計学的に有意に優れる場合、非劣性試験では対照薬よりも有意に劣らない場合、多剤の優越性試験では1つ以上の有効性の主要評価項目が有意に優れる場合、多剤の非劣性試験では1つ以上の有効性の主要評価項目に有意な差がない場合とした。

 薬剤の有効性を主要評価項目とし、経済的関係が調査可能で、仮説が明確に記述され、研究助成の情報が含まれた190編(195試験)の論文が解析の対象となった。

 第III相試験が52%、企業助成試験が69%を占め、筆頭著者は米国人が38%(74/195試験)で最も多かった。専門分野は、循環器が16%、腫瘍が11%、感染症が11%、泌尿器が7%、消化器が6%の順であった。また、優越性試験が89%、二重盲検試験が75%、プラセボ対照試験は75%だった。

企業と経済的関係を持つ試験の76%がpositive
 治験責任医師と製薬企業との経済的関係は、132件の研究(67.7%)で認められた。治験責任医師397人のうち、231人(58%)が経済的関係を持ち、166人(42%)は持たなかった。

 156人(39%)の治験責任医師が、顧問料/コンサルタント料の受領を報告しており、81人(20%)が講演料の受領、81人(20%)が不特定の経済的関係、52人(13%)が謝礼金の受領、52人(13%)が被雇用関係、52人(13%)が旅行費用の受領、41人(10%)が株式の所有、20人(5%)が試験薬関連の特許の所有を報告していた。

 試験結果がpositiveであった136試験のうち103試験(76%)で、治験責任医師と試験薬の製造企業に経済的関係が認められ、negativeであった59試験で経済的関係がみられたのは29試験(49%)であった。

 米国の著者は、他国の著者に比べ経済的関係を有する試験が多かった(70% vs.49%、p<0.001)。経済的関係と専門分野には関連はなかったが、登録試験は非登録試験よりも(70% vs.25%、p=0.001)、製薬企業の助成による試験は製薬企業以外の助成の試験よりも(84% vs.31%、p<0.001)、経済的関係がある場合が多かった。一方、優越性試験は非劣性試験よりも、経済的関係がある場合が少なかった(64% vs.95%、p=0.004)。実薬対照試験とプラセボ対照試験、臨床エンドポイントを用いた試験と代替エンドポイントの試験には、経済的関係に有意な差はなかった。

 治験責任医師の経済的関係とpositiveな結果の非補正オッズ比(OR)は3.23(95%信頼区間[CI]:1.7~6.1)、資金源で補正したORは3.57(95%CI:1.7~7.7、p=0.001)であり、有意な関連が認められた。

 無作為化臨床試験の特性[第III相 vs.その他、症例数(4分位)、筆頭著者の出生国(米国 vs.その他)、専門分野(循環器 vs.腫瘍 vs.その他)、試験登録の有無、試験デザイン(実薬対照 vs.プラセボ対照/対照なし)、優越性試験 vs.非劣性試験、臨床エンドポイント vs.代替エンドポイント]を含めた解析を行ったところ、これらの要素は経済的関係とpositiveな結果に明確な影響を及ぼさなかった(OR:3.37:1.4~7.9、p=0.006)。

 著者は、「これらの知見は、エビデンスの基盤へのバイアスの混入の可能性を示唆する」とし、「新たな治療の開発の進展における企業と学界の協働の重要性を考慮すると、エビデンスの基盤の信頼性の確保における研究者、施策立案者、専門誌編集者の役割について、さらに考察する必要がある」と指摘している。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら

Ahn R, et al. BMJ. 2017;356:i6770.
http://pmc.carenet.com/?pmid=28096109&keiro=journal



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG30H8X_Q7A130C1CC1000/
患者の個人情報記録USB紛失 1900人分、北里大東病院
2017/1/30 23:31 日本経済新聞

 北里大東病院(相模原市)は30日、神経内科の入院患者約1900人分の氏名や病名などが記録されたUSBメモリーを医師が紛失したと発表した。第三者への情報流出や不正利用は確認されていないとしている。

 病院によると、患者のデータ管理を担当する30代の男性医師が19日、神経内科のパソコンにデータを登録するため、院内の一室でUSBを使用。23日に再び使用しようとした際、本来の保管場所にないことに気付いた。院内を捜したが見つからず、27日、遺失物として県警に届けた。

 USBには2003年3月~今年1月の患者の氏名や性別、生年月日、病名などが記録されていた。病院は今後、患者らに文書で説明し、謝罪するとしている。〔共同〕



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/55107/Default.aspx
薬事に関する厚労省と製薬産業の官民対話 「条件付き早期承認」の運用 夏頃までに結論で合意
2017/01/31 03:51  ミクスオンライン

厚労省医薬局と製薬産業界の代表が一堂に集う「薬事に関するハイレベル(局長級)官民政策対話」は1月30日、初会合を開き、「条件付き早期承認」の具体的運用について夏頃までに結論を得ることで合意した。早期承認の条件として、全例調査など製造販売後データの提出が義務付けられるが、医療情報データベース(MID-NET)や、疾患レジストリーなど医療ICTを通じて得られたリアルワールド・データの活用を可能にする考えだ。法改正は行わず、省令レベルの改善で対応する方針。高齢化に伴う医療費の伸び抑制が求められる中で、イノベーションの推進と国民皆保険の両立は医薬品業界にとっても重くのしかかる。さらにパイプラインの主軸がアンメット・メディカルニーズに移り、開発コストが高騰も企業経営に直撃する。こうした中で、研究開発や製造販売後臨床試験の効率化を進める仕組みを整備することで、製薬企業の負担を軽減し、新薬開発を後押しする狙いがある。

条件付き早期承認制度は、希少疾患や再生医療などで、全例調査などを条件として承認しており、すでに数百件の実績がある。欧州では過去10年間に30件の条件付き早期承認を行っており、通常の承認よりも約4年間承認が迅速だったとの報告もなされている。

新たな制度では、条件付き早期承認制度での承認条件として、MID-NETやクリニカル・イノベーション・ネットワークのレジストリーなどを活用し、有効性・安全性を確認。承認内容の確認や条件解除、適応拡大などを可能にする考え。条件付き承認の間は、最適使用推進ガイドラインなどを活用して、医療機関や患者像を絞り込むことで、適正使用を推進、安全性を担保したい考えだ。新たな制度を活用することで、製薬企業にとっては、これまでランダム化比較試験(RCT)の実施などで莫大なコストがかかっていた製造販売後臨床試験のコスト削減が期待できる。この日の官民対話でも、米国製薬工業協会(PhRMA)などが、制度化を求める声をあげた。

一方で、有効性・安全性のエビデンスが十分に構築される前に、臨床で活用されることとなる。特に安全性への十分な配慮も求められることになる。会議の冒頭で製薬業界を代表して発言した日本製薬団体連合会(日薬連)の多田正世会長は、「病気で苦しむ患者に一刻も早く革新的新薬を届けるために条件付き早期承認制度がある。行政と我々相互がリスクを取るというような意味合いから形で進めていく」必要性を強調した。


◎高額薬剤問題、PMDAの手数料引き上げで製薬産業取り巻く環境厳しく

この日の官民対話には、厚労省からは武田俊彦医薬・生活衛生局長、森和彦大臣官房審議官らが、産業側からは日本製薬団体連合会の多田正世会長、日本製薬工業協会の畑中好彦会長、日本ジェネリック製薬協会の吉田逸郎会長らが出席した。

初会合に至った背景には、高額薬剤問題に端を発して薬価制度の抜本改革に向けた議論が進むなど、製薬業界を取り巻く環境が厳しさを増したことがある。さらに、PMDAが新医薬品審査・再調査や治験相談などの手数料を2017年度から引き上げを決定。こうした中で、製薬業界にとっても合理的な制度の再構築が求められていた。

会議の冒頭で、日薬連の多田会長は、「先駆け審査制度の恒久化や対象の拡充、審査時間のさらなる短縮、MID-NETの活用した安全対策、研究開発・市販後の企業活動の効率化にご協力いただきたい」と要望。さらに、「PMDAの公共的性格を鑑みると、運営資金の大部分を民間が負担していることは不健全な状況だ。経費の効率化に加え、国からの予算の充実により一層の努力を賜りたい」と述べた。


◎先駆け審査制度の恒久化・対象の拡充を求める

世界に先駆け、日本で承認される革新的医薬品に対し、薬事・保険上のインセンティブを与える“先駆け審査制度”の拡充を求める声も各団体から声があがった。製薬協の畑中会長は、革新的な医薬品へのアクセス向上の必要性を強調。日本国内だけでなく、世界に革新的医薬品を届けるために最適な制度運用を求めた。

先駆け審査制度と同様の制度として、米国でのBreakthrough Therapy、欧州ではPRIMEなどの制度がある。日本より先に欧米で承認された医薬品では先駆け審査制度が該当しないことになる。米国製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の欧米団体は、新たなドラッグ・ラグが生まれるとの懸念を示し、制度の拡充を訴えた。そのほか、GE薬協は、原薬等登録原簿(マスターファイル)の開示や、安全性の観点から添付文書の医療上重要な事項などの記載を先発品と同等にすることなどを求めた。



http://www.asahi.com/articles/ASK1Z7G8CK1ZUBQU01S.html
国民健康保険の交付金 11億円過大に受領 西宮市
2017年1月30日22時24分 朝日新聞

 兵庫県西宮市は30日、国からの国民健康保険の普通調整交付金を2011年度から5年間にわたり、計約10億9千万円過大に受け取っていたと発表した。交付金を算定するプログラムに誤りがあったためで、市は全額返還する。

 市によると、交付金を算定する際、国保の加入者ではない、後期高齢者医療制度に移行した75歳以上を含めて計算していたことなどから、過大に申請していた。

 誤りは、後期高齢者医療制度が実施された08年度以降続いていたとみられるが、時効になった10年度分までを除く過去5年間分を返還するという。


  1. 2017/01/31(火) 05:56:47|
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