Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月20日 

https://www.m3.com/news/general/495462?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170120&dcf_doctor=true&mc.l=202121740&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
東京の内科クリニックが破産、負債総額約3億円
2017年1月20日 (金) 東京商工リサーチ

 (医)社団医検会(調布市菊野台1、設立1991年8月12日、資産総額2億3059万4300円、金剛寺正也理事長)は1月10日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人は奥田洋一弁護士(森・濱田松本法律事務所)。負債総額は約3億500万円。

 トータルヘルスケア「総合健康管理」を標榜する菊野台クリニック経営し、内科診療、健康診断等を手掛け、2009年8月期には事業収益4億6998万円を計上していた。しかし、法人顧客数の減少から健康診断業務の縮小を余儀なくされ、業績は悪化、2016年8月期の事業収益は3億1782万円まで低迷、当期純損失4336万円を計上していた。その後も回復の兆しは見られず、今後の事業継続の目処が立たず、遂に今回の措置となった。なお、債権届出期間は2月7日まで。財産状況報告集会は4月14日午後2時30分より。



https://www.m3.com/news/iryoishin/493135
シリーズ: 2016年の医療界:1000人アンケート
2017年の医療界、「悪化」に歯止め?◆Vol.7
厚労省への期待は例年と変わらず

2017年1月20日 (金) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 来年(2017年)の医療業界を取り巻く環境は、今年(2016年)と比較してどうなると思いますか。
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 2016年と比較した2017年の医療界を取り巻く環境の予想を尋ねたところ、「悪くなる」「とても悪くなる」と悪化を予想したのは全体で計46.2%となり、2015年の調査(2016年と2015年を比較)の56.3%から10ポイント減少した(2015年調査は『2016年の医療界、56%が「悪化」と予想◆Vol.9』を参照)。

 「変わらない」が2015年調査の35.7%から、今回調査では45.8%に上昇した一方で、「良くなる」「とても良くなる」はほぼ横ばいだった。依然として過半数近いとはいえ、悲観的な予想が減少したことは医療界の「悪化」のペースに歯止めがかかっているのだろうか。

 開業医と勤務医の別で見ると、開業医の方が「悪くなる」と予想する割合が多かった。

Q 今後の厚労行政への期待度をお聞かせください。
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 厚生労働省への期待では、「あまり期待していない」「期待していない」は全体では計66.8%で2015年調査とほぼ同じだった。

■回答者の診療科
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【調査の概要】
・調査期間:2016年12月16日-2016年12月17日
・対象:m3.com医師会員
・回答者数:1015人(開業医338人、勤務医667人)



https://www.m3.com/news/general/495563
人工関節手術で誤装着 滋賀県立成人病センター、医師を口頭注意
2017年1月20日 (金) 京都新聞

 滋賀県立成人病センター(守山市)が昨年夏、患者の膝に人工関節を装着する手術で左膝に誤って右膝用の部品を取りつける医療ミスがあったとして、執刀した男性医師を口頭注意処分にしていたことが19日、分かった。

 同センターによると、医師は2013年12月、男性患者の左膝に人工関節を装着する手術をする際、その後に右膝で同様の手術を予定していた別の患者のエックス線写真を見て右膝用の人工関節を用意したという。装着した部品が違うことに手術中に気付いたが、取り外すと手術部位を傷める恐れがあり、そのまま縫合したという。

 センターは手術後、医療ミスがあったとして患者に謝罪した。「臨床上は歩行などに問題ない」としつつも精神的な苦痛を与えたとして、医師賠償責任保険から再手術費などを支払い、昨年6月に示談が成立した。患者は現在も誤った人工関節のまま生活しているという。

 同センターは、執刀直前の患者の氏名や手術内容の確認などが適切に行われなかったことが原因とみており、「マニュアルを順守していれば防げた初歩的なミスだった。執刀医だけでなく、スタッフ全員が命を預かる立場であることを自覚し、改めて気を引き締めたい」としている。



https://www.m3.com/news/general/495577
熊本地震:熊本市民病院、入院病床きょう再開 小児5床、一般5床 /熊本
2017年1月20日 (金) 毎日新聞社

 熊本地震で被災し、休止していた熊本市民病院(東区湖東1)の一般病棟の入院病床10床が20日、運用が再開される。小児用5床と一般用5床で外来患者の急変や転院先として対応する。

 熊本地震で同院は診療室や入院病床、手術室などが入る北棟と南棟が被災し、建物の耐震性に問題もあり使用することができない。現在は医師らの控え室などが入っていた管理棟の1階で外来診察を受け付けており、昨年12月には新生児集中治療室(NICU)9床と継続保育治療室(GCU)5床の計14床を再開した。

 入院病床が入る管理棟5階は医局の研究室が入っていたが、約620万円かけて改装した。3床と2床が2部屋ずつ整備され、皮膚科や眼科の簡易な手術にも一部対応できるという。同病院の担当者は「熊本市内では小児用の入院施設が少ないので数は多くないが、市民病院でも対応することができればいい」と話している。【野呂賢治】



https://www.m3.com/news/general/495582
信州上田医療センター:点滴袋に穴 昨年11月 /長野
2017年1月20日 (金) 毎日新聞社

 信州上田医療センター(上田市緑が丘1)で昨年、穴の開いた点滴袋が見つかっていたことが19日、病院への取材で分かった。上田署は何者かが故意に穴を開けた可能性もあるとみて原因を調べている。

 病院によると、昨年11月下旬、施設内の病棟で、小さな穴が開いて中の液体が漏れている点滴袋1点を看護師が発見した。点滴袋は普段、病棟から離れた調剤室で保管され、必要がある度に病棟へ運ばれる。他の点滴袋に異常は見られなかったという。

 病院から先月上旬に届け出を受けた同署が、穴が故意に開けられたものかどうかなどについて調べている。病院は昨年末、施設内の病棟や調剤室周辺など8カ所に監視カメラを設置した。【川辺和将】



http://www.sankei.com/region/news/170120/rgn1701200042-n1.html
国際医療福祉大、医学部設置で新棟建設 研究、宿泊など100億円規模 栃木
2017.1.20 07:09 産経ニュース

 国際医療福祉大(大田原市北金丸)は19日、医学部新設に伴い、同大学病院(那須塩原市井口)が臨床実習の中心となることから、病棟を増設し、合わせて病院敷地内に研究棟と宿泊棟を建設することを発表した。大友邦(くに)学長と桃井真里子病院長、那須塩原市の君島寛市長が同日、市役所で共同記者会見に臨んだ。全体の事業規模は約100億円。約250人の新規雇用を見込む。

 医学部は4月、同大成田キャンパス(千葉県成田市)に新設される。

 新設病棟は6階建て、延べ床面積1万平方メートル。55床増床し、現病棟と合わせて408床となる。研究棟は5階建て、同3千平方メートル。今年入学する医学部1期生が4年生になる平成32年から臨床実習を始める。臨床実習の際に学生や教員らが利用する宿泊棟は5階建て、同5300平方メートル。ホテル機能を備え、一般宿泊客の受け入れも予定している。今年4月から順次着工し、30年度の完成を目指す。

 桃井病院長は「医療、福祉の一層の充実を図り、大規模事業による経済波及効果も期待している」とし、君島市長は「連携しながら支援したい」と述べた。

 また、同大グループの社会福祉法人、邦友会も病院敷地内に「西那須認定こども園」(仮称)を整備する。鉄骨平屋、延べ床面積1420平方メートル。幼保連携型で定員135人。年度内に着工し、来春開園を目指す。同会は病院敷地内にある特別養護老人ホーム「栃の実荘」の50床増床も計画している。



https://www.m3.com/news/general/495579
国際医療福祉大:那須に臨床実習拠点 付属病院内に新設 /栃木
2017年1月20日 (金) 毎日新聞社

 今年4月に千葉県成田市の成田キャンパスに医学部を新設する国際医療福祉大(大田原市)は19日、医学部の臨床実習拠点として、国際医療福祉大付属病院(那須塩原市井口)の敷地内に病棟や研究棟などを新設すると発表した。また、関連グループの社会福祉法人による認定こども園の整備や老人福祉施設の増床計画も発表され、全体の事業規模は100億円、新規雇用者は250人の見込みという。

 計画によると、病棟は6階建て(延べ床面積1万平方メートル)で、病床数は55床増え、408床になる。研究棟(同3000平方メートル)と宿泊棟(同5300平方メートル)はともに5階建て。宿泊棟には116室あり、教授や学生が最大で100人程度利用可能という。一般客も利用できるホテル形式で、1階にはレストランや大浴場、セミナー室があり、2~5階に宿泊する。来夏以降に完成の見通し。

 幼稚園と保育園を一元化した「認定こども園」(同1420平方メートル)は定員135人。来春の開園を目指している。各自治体を通じ、10月から入園者を募集する。国際医療福祉大の大友邦学長は「医療、福祉環境の充実により地域へ貢献したい」と述べ、那須塩原市の君島寛市長は「本市のまちづくりに貢献するもの」と歓迎した。【柴田光二】



http://www.asahi.com/articles/ASK1H5KMMK1HUTIL00X.html
医学部新設、受験生ら注目 首都圏に43年ぶり
芳垣文子
2017年1月20日18時56分 朝日新聞

 医学部の新設が長く抑えられてきた中で、今春、千葉県成田市に私立国際医療福祉大医学部ができる。医学部の新設は、昨春の東北医科薬科大に続き2年連続で、首都圏では43年ぶりだ。医学界からは「既存大学の教育を充実させる方が効率的」などとして新設に反対する声も出ているが、医学部人気は高く、関心が集まりそうだ。

 東京都心から電車で1時間余り。京成線「公津(こうづ)の杜(もり)」駅(千葉県成田市)を出ると、目の前に「国際医療福祉大」(本校・栃木県大田原市)の成田キャンパスがある。建物には「医学部 平成29年4月新設」の表示。2016年4月、一足先に成田看護学部と成田保健医療学部が開設されたキャンパスではクレーンのアームが高く伸び、医学部の建設が進む。

 医師の「需給」を考慮し、医学部の新設は現在、抑えられているが、16年春、17年春と特例的に新設が続く。昨春は東日本大震災の復興支援として、琉球大以来37年ぶりに東北医科薬科大学に医学部が新設された。国際医療福祉大は、国が国家戦略特区に指定する成田市で「国際的な医師の育成」をめざして例外的に認めた。首都圏では東海大以来43年ぶりだ。

 定員は140人で、うち20人が留学生枠。多くの科目で英語での授業を行い、6年次には4週間以上の海外臨床実習が必修になる。20年には、キャンパスから約8キロのところに640床規模の医学部付属病院ができる予定だ。成田空港にも近い地の利を生かし、外国人が治療目的で来日する「医療ツーリズム」も視野に入れる。計5千平方メートルを超える「医学教育シミュレーションセンター」では、学生が行う診察や処置に合わせて、コンピューターで制御した患者シミュレーターの状況を改善させたり悪化させたりするなど、最新の指導システムを導入する。

 ログイン前の続き6年間の学費は約1850万円。私立大医学部では2千万~5千万円かかるとも言われる中、最低水準だ。大学は「長期にわたる法人全体の財政見通しのもとで決めた」と説明する。大友邦学長(62)は「高い総合的な能力と信頼性を兼ね備えた医師の育成を目指す」と話す。医学部長に就任予定の北村聖教授(63)も「これからの医学部は個性を打ち出す時代。本学は国際的に活躍できる人材育成を個性として進めていきたい」と語る。

 受験業界の反応はどうか。大手予備校「河合塾」で、医学部を専門に目指す受験生が通う麴町校の横井徹校舎長(55)は、「私立大医学部の中では慶応など最難関校に次ぐ中堅レベルの難易度になるのでは」と予測する。人気の要因の一つは学費を低く抑えた点にあるとみる。また都心からの距離も60キロ程度。週末に実家に帰ったり、何かあったときに親が駆けつけられる距離なのも理由だとしている。

 河合塾の全国模試のデータを見ると、国際医療福祉大の出願希望者は回を追うごとに増えており、横井さんは「認知度が高まれば、さらに難易度が上がる可能性がある」と話す。同大広報によると、留学生枠を除いた定員120人に対し、出願者数は一般入試(定員100人)が2769人、センター試験利用入試(同20人)は619人(20日正午現在)となっている。

 一方で新設ならではの懸念もある。先輩や卒業生がいないため、教育や医師国家試験などについて経験者の話を聞くことができない点だ。また、医学部生は保護者も医師の場合が多く、「自分の子どもは、よく名の通った大学や系列病院に進ませたい」と望む傾向が強いという。

■新設に慎重意見も

 医学部新設には反対意見もある。定員は07年度の7625人から17年度の9420人へ、新設2校の240人を除いても1555人増えている。

 必要な医師の数は高齢化や技術革新などで変化し、バランスが難しいとされる。国は08年度以降、地域枠を中心に定員増を図っているが、地域による医師偏在が解消したとは言えない。一方、医学部を新設すると教授陣や大学病院、医療スタッフなどを擁する一つのシステムをつくることにもなるため、地域医療への影響も考えられる。新設を抑制し、定員増で対応しているのはそのためだ。

 日本医師会、日本医学会、全国医学部長病院長会議は15年2月、「医師不足対策にならず、むしろ医療の質を低下させる恐れがある」「新設に伴い全国の大学や地域の基幹病院から医師・教員が引き抜かれれば、地域医療の再生の妨げになる」などとして、国家戦略特区による医学部新設に反対する声明を出した。全国医学部長病院長会議顧問の森山寛・東京慈恵会医科大学名誉教授(68)は「今春入学した学生が6年かけて卒業し、一人前の医師になるのは10年以上先。団塊世代の寿命が訪れて人口が減少し、医師過剰の時代がくる。既存の大学の教育体制を充実させる方が効率的で、いま一度、医学部政策を考え直すべきだ」と指摘する。(芳垣文子)



https://www.m3.com/news/general/495535
復興工事現場で過労死認定 岩手「過重な負荷」
2017年1月20日 (金) 共同通信社

 岩手県の大船渡労働基準監督署が、同県大船渡市の東日本大震災の復興工事現場で昨年3月に倒れ、死亡した男性=当時(41)=について、過労死として労災認定していたことが20日、分かった。遺族の労災申請に対し、過重な負荷があったと認めた。

 同署などによると、男性は東京都の中堅ゼネコン鉄建建設の社員で、JR大船渡線の仮復旧工事に従事していた。工事事務所内で倒れて病院に搬送され、急性大動脈解離で死亡した。

 同署は昨年4月、男性が亡くなる前の2月に労使協定で定めた月60時間の上限を超える約96時間の時間外労働をさせたとして、鉄建建設と現場所長の男性(47)を書類送検し、大船渡区検が12月に略式起訴。大船渡簡裁は今月10日、同社と所長にそれぞれ罰金30万円の略式命令を出した。



https://www.m3.com/news/general/495570
青森県内の救急搬送6割が高齢者、対応苦慮も
2017年1月20日 (金) 東奥日報

 高齢化の進展に伴い、青森県内の救急搬送のうち65歳以上の高齢者の割合が増加し、2013年から6割を超えている。県内の各救急医療機関では、認知症高齢者の対応に苦慮したり、高齢者の手術の同意や入退院時の身元保証人の確保に時間を取られるケースが多くなっていることが東奥日報紙のアンケートで分かった。医療関係者からは「高齢者の情報を把握し、関係機関に提供する窓口や機能が必要ではないか」とする声が出されている。

 県消防保安課の資料によると、青森県の救急搬送人員はデータがある直近5年間(2011~15年)で、年間4万4千人前後で推移しているが、高齢者は12年から2万6千人を超すなど、全体に占める割合が高くなっている。

 東奥日報紙は昨年11月末、県内六つの医療圏域の主な中核病院(8病院)に文書でアンケートを実施。意思疎通できない認知症高齢者や身寄りがない人が搬送された場合の情報収集について聞いたところ、「市役所、民生委員、警察などに問い合わせる」(青森市民病院)、「救急隊から情報をもらう」(弘前市立病院)、「かかりつけ医、ケアマネジャー、福祉事務所に問い合わせたり、お薬手帳などで確認する」(むつ総合病院)など、さまざまな手段で、治療に向けた情報を入手しようとしている状況が浮かび上がった。

 身寄りがない高齢者や、親族が近くにいない人が入院する場合、問題になるのが身元保証人の確保。青森市民病院が「身元保証人がいない場合も受け入れているが、後日、確保するよう促している」と回答するなど、多くの医療機関は、保証人確保を患者受け入れの前提としていた。つがる総合病院(五所川原)の担当者は「治療費回収や緊急時の連絡、退院先の調整などのため、保証人は必要」と話した。

 手術や治療の同意について弘前市立病院は「同意は原則必要となるが、緊急で生命の危機にひんしていると判断された場合、病院の判断で治療を行うこともある」、青森市民病院は「自己判断能力がある場合、患者本人に説明し、承諾を得る」とし「自己判断能力に問題がある場合、緊急時は医療行為を行うものの、実施する前には上級医に報告し、診療科内における協議に基づき判断する」。十和田中央病院は「院長の倫理的配慮による判断を仰ぎ手術をしている」と、各医療機関が慎重に対応している傾向が見られた。

 今後も高齢者搬送の増加が見込まれる中、求められる施策や対応について、青森市民病院は「身元特定や病歴などの確認に多大な時間を要するため、(身元を照会できる)一元的な窓口設置を行政に望む」とし、むつ総合病院は「行政は、高齢者世帯の緊急時の連絡先等を一層把握してほしい」と回答。八戸市民病院は「身寄りのない患者が、負担なく、医療機関を利用できる保証制度の制定と拡充が求められる」、十和田中央病院は「患者本人に医療費の支払い能力がない場合や、保証人となるべき親族がいない場合の医療費の公費負担をお願いしたい」とした。

 一方、住民側に求められることとして、県立中央病院の担当医は「県民が死を身近な現実として受け止め、容体急変時の対応をどうするか、普段から話し合うとともに、文書に残すことが大切」と答えた。



https://www.m3.com/news/general/495569
西胆振で増える外国人客救急搬送 医療機関が対応苦慮
2017年1月20日 (金) 室蘭民報

 訪日外国人客急増を受け、西胆振管内の医療機関に救急搬送される旅行中の外国人も増え続けている。医療現場では、言葉の壁だけでなく、個人的な理由で治療を拒否するトラブルもみられ、西胆振管内の医療機関でも対応に苦慮している。室蘭市医師会(稲川昭会長)や室蘭、登別両市では、訪日外国人客の救急医療に関わる本格的な議論を開始。受け入れ環境の整備を進める考えだ。

 胆振総合振興局の食と観光戦略推進室によると、西胆振管内の2015年度(平成27年度)訪日外国人宿泊者数(延べ数)は、93万3480人とここ数年は増加の一途をたどっている。

 このうち、台湾や中国、韓国からの旅行者は71万4491人。この3カ国・地域からの旅行者は全体の76・5%を占め、ほとんどは日本語はもちろん、英語も話せない旅行者だ。

 一方、室蘭市医師会などによると、西胆振管内を訪れた訪日外国人客の救急搬送件数(2014年4月~16年8月)は計106件。年間平均の救急搬送は44件となる一方で、自ら来院して救急外来を受診する患者は、「救急搬送件数の倍以上になる」(医療関係者)という。

 一方、受け入れる医療現場では「検査内容や結果、同意書の意味を理解してもらえない」など難しい言語対応のほか、「旅行日程が遅れる」「早期帰国希望」などの個人的な理由による治療拒否の事例もあるという。

 ある医療機関では、呼吸器系の症状で救急搬送され、細菌性肺炎と診断された40代の台湾人女性は「明日は札幌に行き、明後日は帰国する」と容体が回復しないまま強引に退院したケースもあった。

 また、大腿骨を骨折した70代の韓国人女性は「手術と入院が必要」「生命的なリスクもあり航空機搭乗は困難」と医師が説明しても、かたくなに帰国を希望。翌日に退院したが、航空機に搭乗できずに再入院を迫ってきたという。

 治療拒否のケースでは、医療機関の責任問題となる場合があるだけに、医療現場では混乱と苦労を重ねている。

 英語以外の外国語で意思疎通できる医療スタッフは「西胆振にはほとんどいない」(医療関係者)。

 こうした現状を受け、室蘭市医師会は、昨年9月から訪日外国人客の救急医療受け入れに伴う環境整備の検討を始めた。実態調査や問題点の抽出に加え、翻訳サービスやアプリケーションソフトの導入、多言語医療問診票作成の必要性などについて本格的な議論を進めている。室蘭、登別両市でも、同会と協力しながら環境の整備を進める意向だ。

 室蘭市医師会の稲川会長は「道内有数の観光地を抱える地域として、外国人観光客も安心して、安全かつ適切な医療を受けられるような態勢を早急に整えたい」としている。



http://www.huffingtonpost.jp/akihiko-ozaki/takano-hospital-and-fukushima-prefecture_b_14277516.html
院長がご逝去された後の高野病院の窮状とこれまでの福島県の対応
尾崎章彦  医師(外科)、南相馬市立総合病院所属,高野病院を支援する会事務局長
投稿日: 2017年01月20日 13時33分 JST 更新: 2017年01月20日 13時33分 JST ハフィントンポスト

1. これまでの経緯 「唯一の常勤医の死亡」

高野病院を支援する会の事務局長を務めている南相馬市立総合病院の尾崎章彦と申します。高野病院は,福島県双葉郡広野町に位置する民間病院です。震災後,高野病院は広野町周辺地域で唯一入院診療が可能な医療機関として,地域の復興を支えてきました。その中で,81歳というご高齢にも関わらず,唯一の常勤医として診療を行ってきたのが高野英男氏でした。そんな高野英男氏が2016年12月30日自宅での火事で亡くなったことで,高野病院は存続の危機に立っています。

幸い,一月初旬の時点で,全国からボランティアとしての勤務を希望する医師からの申し込みが相次ぎました。その結果,もともと非常勤で勤務されていた杏林大学やDMATの医師の他,ボランティア医師30名前後で1月の診療を行う体制は整いました。また,2~3月に関しては,都立駒込病院の中山祐次郎医師が院長・常勤医としての任にあたってくださることになりました。

しかし,4月以降の診療体制は全くの未定です。また,人口減少や人材確保の困難,人件費の高騰を背景に,震災後の高野病院の運営はかなり厳しい状態であり,安定的な運営には,行政からの経済的な支援が不可欠な状況でした。

振り返ること2016年12月31日,高野病院において,高野院長の次女でいらっしゃる高野己保理事長,三浦爾福島県障がい福祉課課長,平信二福島県地域医療課長,遠藤智広野町町長,南相馬市立総合病院金澤幸夫院長などが出席して今後の体制に関する会議が行われました。

その中で,高野理事長より,「患者,スタッフ,地域医療を守るために,病院を無償提供する」という旨が広野町・福島県に伝えられ,その言葉に対する対応も待たれていました。1月3日には遠藤町長が高野病院に対する支援を表明されました。さらに,1月4日には内堀雅雄福島県知事がそれぞれ高野病院を支援する旨を表明されたことで,県がイニシアチブをとって今回の事態に当たることが期待されていました。

高野病院の危機的状況を受けて,1月6日以降,福島県,広野町,高野病院の間で,緊急会議が行われる運びとなりました。残念ながら,1月6日の会議では福島県からなんら具体的な方針は示されませんでした。それを受けて,1月18日第二回の会議が行われました。今回の文章では,その内容を報告したいと思います。また,会議終了後,会議の内容を踏まえて,高野己保理事長と平信二地域医療課長と電話にてやりとりがありましたので,その内容もご報告いたします。

2. 会議のまとめ 「ゼロ回答」「経営責任を負う院長は派遣しない」

12月31日以降,高野病院としては再三にわたり無償提供の申し出を行ってきたにもかかわらず,今回の緊急会議の内容は,「ゼロ回答」と言っても良い内容でした。

ヒトに関して,県としては常勤医の派遣は検討する。一方で,経営責任を負う院長(管理者)の派遣は不可能なので,高野病院として独自に見つけるようにとの回答でした。また,県から複数の経済支援策は提案されましたが,「焼け石に水」といった内容でした。残念ですが,4月までに新たな院長(管理者)を高野病院として見つけることができない場合,医療法上,病院の存続が不可能になります。

加えて,仮に院長を見つけることができたとしても,抜本的な経済支援策が提示されない場合,経済的に安定して地域医療を提供することが不可能です。残念ながら,今回の会議の内容は,高野病院,また支援する会が求めてきたものとは溝があると言わざるを得ません。

3.  緊急会議の詳細

福島県立医科大学の担当者は欠席でした。

会議冒頭,広野町の遠藤智町長より,1月のボランティア医師の状況,2-3月の中山祐次郎医師の赴任,また,クラウドファンディングReady forの達成状況について説明がありました。その上で,4月以降の医師の赴任に関しては全くの未定である旨のご説明がありました。

また,高野病院を支援する会事務局長の尾崎章彦より,支援する会は急場をしのぐために作られた組織であり,数か月にわたる長期的な支援は困難であるとの旨を補足しました。

平信二地域医療課長より,高野病院に対する県の支援に関して説明がありました。その中で,4月以降の常勤医の派遣は検討するが,県として院長の派遣は行わないと明言されました。また,人件費補助(新たに赴任する中山医師も対象),施設設備整備費補助,運営費補助などの経済的支援の提案がありました。

福島復興局庁の木幡浩様より,現在に至るまでの行政の対応は,危機管理という意味では残念な状況であり,外に向けて、明確に県の方針を表明していったほうがよいとのお話がありました。国・厚労省としては,まず県として対応して欲しいとのことでした。

高野己保理事長,堀川章仁双葉郡医師会会長から,双葉郡において安定的に地域医療を継続するということを最優先に考えて欲しいとのお言葉がありました。

4. 県によるブリーフィング 「高野病院から無償提供の申し出はない」

その後,平信二地域医療課長から記者さんへのブリーフィングがありました。その中で「高野病院からは県や町に経営を移譲したいという意向があるようですが,その点について議論はありましたか?」との質問に対して平地域医療課長は,「特にご意見はありませんでした」と答えられました。その後,記者さんと「コメントもない?」「はい」というやりとりが交わされました。

5. 高野病院の見解 「患者さん,スタッフ,地域医療を守るために,病院を無償提供したい」

ブリーフィングにおける平信二地域医療課長と記者さんのやりとりに関して,高野理事長としては,「12月31日以降,私たちが再三県に要請してきた高野病院の無償提供とは異なる内容であり,大変遺憾である。」とのコメントがありました。

その上で,高野理事長自ら平信二地域医療課長に電話にてご連絡し,「(12月) 31日にお話ししている通り,医療が継続されて,支援が受けられるのであれば,(高野)病院を無償提供します。そして,私が出ていきますということをずっとお話しさせていただいています。」「私では患者さんやスタッフ,ましてやこの大きな地域医療を守ることは不可能である。」「民間であるがゆえに支援が難しいという風におっしゃられるのであれば,無償提供します。」「養高会(高野病院)の希望としましては,ここに医療が継続されることが院長の意思であると思っております。 」「法人としての判断が,私が申し上げた無償提供というところなので。」と改めてお伝えしました。平信二地域医療課長からは,「養高会(高野病院)を解散することになるがそれでもよいでしょうか」とお言葉がありましたが,「そのつもりです。」と高野理事長はお答えになりました。その上で,平信二地域医療課長は,「(議長でおられた)井出孝利保険福祉部長にお伝えする。」とお約束してくださいました。

6.  最後に 「全ては地域医療のために」

繰り返しになりますが,高野己保理事長,また,高野病院を支援する会は,患者さんのケア,また,地域医療が存続することを第一義に考えて行動しています。次回の緊急会議で,高野理事長から平信二地域医療課長,井出孝利保険福祉部長に投げられた言葉に関して,県から具体的な方針が示されることを願っております。引き続き皆様のご支援をお願いいたします。

(2017年1月19日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



http://www.the-miyanichi.co.jp/kennai/_23846.html
宮崎市夜間急病センター 小児科 深夜帯撤退へ 20年度まで
2017年1月20日 (金) 宮崎日日新聞

 県央部唯一の小児夜間・一次救急拠点となる宮崎市夜間急病センター小児科(宮崎市北高松町)を運営する市郡医師会が2020年度を最後に、午後11時から翌朝までの深夜帯の運営から撤退する意向を市側に伝えていることが19日、分かった。医師の高齢化により当直体制を維持できないことが要因。深夜帯の拠点がなくなれば、県立宮崎病院など重症患者を受け入れる救急に患者が流れ、影響を及ぼす恐れがあるとして、市は対策に乗り出す。

 同センターの患者は年間1万人を超え、県央部のほか西都・児湯、県北部からも利用が相次ぐ。午後7時から同11時までの準夜帯、続けて午前7時までの深夜帯を医師会の開業医ら約20人と、宮崎大医学部から派遣された医師で交代で担当している。

 しかし、近年は医師会員の高齢化が進み、当番の辞退が目立つようになった。深夜帯を担う50代までの当直医は今後3年間で今の半分以下の6人程度に減る見通しで、存続が危ぶまれる事態に。

 同医師会は昨年4月から市と対応を協議。現行の指定管理者期間が終了する2021年度以降は、準夜帯は継続できるものの、深夜帯の運営から撤退する意向を伝えた。

 宮崎市大坪町で「たかむら小児クリニック」を開く同医師会の高村一志副会長は「何とか今の体制を維持したいが、現実的に厳しい。新たな開業医が極端に少なくなっているのも要因」と指摘。日中の診療からセンターの当直、そして通常の診療と32時間続けることもあり、過重労働も深刻化しているとしている。

 深夜帯がなくなれば、県央部の医療圏全体への影響は大きい。「センターは防波堤の役割を担っていた。患者が県立宮崎病院などに流れればパンクしてしまう。重症患者を受け入れる三次救急体制が損なわれないか」(同市の小児科医)と危惧する声もある。

 宮崎市は現行の診療体制を維持するために、同医師会と県、県立宮崎病院、宮崎大医学部の5者による協議会設置を急ぎたい考え。市健康管理部の伊東芳郎部長は「三次救急への影響がないように、県病院や大学と連携できないか模索する。県とも協議して広域的に対応していきたい」としている。

<宮崎市夜間急病センター小児科>

 1979(昭和54)年から診療を開始。2014年に市郡医師会病院内から県立宮崎病院西側付属棟に移転し、小児医療を集約した。2015年度の患者1万750人のうち深夜帯は31%の3390人。



https://joyonews.ne.jp/smart/土浦協同病院、移転新築費用膨らみボーナス大幅/
土浦協同病院、移転新築費用膨らみボーナス大幅カット
2017年1月20日 常陽新聞

 昨年3月に移転・開院した土浦協同病院(運営は県厚生農業協同組合連合会=メモ参照=)の新築移転費用が、計画の約350億円から約468億円に膨れ上がり、県厚生連は、経営立て直しを迫られている。建築資材や建築作業員の人件費の高騰などが原因という。これにより県厚生連は2015年度決算で過去最高の87億円の経営赤字を計上した。昨年9月に、理事長、専務、参事の役員3人が交代し、県信連などから新役員が就任した。冬のボーナスをめぐっては、県厚生連は昨年暮れ、県内6病院などの職員のボーナス大幅カットなどを提示したため、反発する労働組合が24年ぶりに半日ストを実施、交渉が越年する混乱が続いている。現時点で、医師や看護師など職員に冬のボーナスはまだ支給されていない。

労組、24年ぶり半日ストで対抗
 茨厚労によると、もともと多忙な勤務体制の中、ボーナスの大幅カット方針が示されたのを機に、張り詰めていた気持ちが切れ、年度末で退職を希望する医師や看護師が増えているという。

 冬のボーナス交渉で経営側は、経営立て直しの一環で、例年なら2カ月分支給するボーナスを0・5カ月分とし、さらに退職金の積立金(退職給付引当金)を3年間凍結する案を示した。茨厚労によると3年間凍結で、20年勤務の職員の場合、最大約180万円の退職金減額になるという。

 昨年、計3回の団体交渉を実施したものの決裂。12月20日、6病院で約800人が参加してストライキが決行された。厚生連のストは1992年の看護師増員・賃上げ要求春闘以来、24年ぶり2度目。ストライキは初めてという看護師らも多かったという。ストの際は応援もあり患者などへの影響はなかった。

 昨年団交が決裂して以来、今月19日までに、団交は行われていない。茨厚労の組合員からは、経営責任のツケを職員が負わされることに対する疑問の声が出ているという。

年度末の退職意向25%
 茨厚労によると、夜勤や長時間労働など勤務体制が過酷な総合病院は退職希望者が多い。県厚生連の場合、定年退職者も含め年度末に10%程度の退職者がいるが、看護職員を対象にした調査では、25%程度が3月末で退職したいという意向を示しているという。

 茨厚労中央執行委員の安本真理子さんは「少ない人数で何とかやりくりしている診療科もあり、診療体制が維持できなくなる恐れがある」とし「経営側がいう経営改善すらままならないばかりか、地域医療が崩壊しかねない」と危惧(きぐ)している。

 さらに栃木県と埼玉県の病院新築を例に「人件費を削減すると、医師や看護師の大量退職が相次ぎ、診療科が維持できなくなって患者が減少、さらに経営が悪化するという悪循環に陥り、病院そのものを維持できなくなるという教訓がある」と強調する。

 その上で安本さんは「協同病院は歴史的に地域住民、とりわけ農業者が自らつくった病院。自治体から現在、建設費や医師確保の補助金を受けており、地域医療を守るという公的医療機関としての使命がある。栃木や埼玉と同じ道をたどらない方策をとってほしい」と訴える。「職員が安心して働ける職場であることが地域住民が安心できるより良い病院づくりにつながる」として、自ら積極的に地域に出向いて現状を伝え、病院を守りより良くする運動を展開している。

 これに対し経営側の奥田聡参事は「経営を立て直し、地域医療を守る道筋をつくっている。暮れの団体交渉時点では将来の見通しを示せなかったが(現時点では)見えてきているので、近々、来年度の見通しと併せて、組合に新たな提案を示したい。全職員に対しても2月10日までに説明会を開きたい」としている。
(鈴木宏子)


メモ
県厚生連(茨城県厚生農業協同組合連合会)
 水戸、高萩、土浦、取手、行方市、境町の6カ所で六つの総合病院と、看護学校、診療所などを運営している。職員は約4300人。



http://www.medwatch.jp/?p=12050
地域包括ケアシステムの深化、制度の持続可能性確保を目的に介護保険制度を改正―厚労省・坂口審議官
2017年1月20日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 厚生労働省は19、20に2日間にわたって全国厚生労働関係部局長会議を開催。厚生労働行政の重要事項を、都道府県の保健福祉担当者に詳しく説明しています(厚労省のサイトはこちら)。

 老健局の重要事項については、厚生労働省大臣官房の坂口卓審議官(老健、障害保健福祉担当)(医政局、保険局併任)が次期介護保険制度改革を中心に説明しました。

ここがポイント!
1 この4月(2017年4月)から全市町村で要支援者の訪問介護などを総合事業に移管
2 3割負担対象は約12万人だが、高額介護サービス費があるため実際の負担増は少ない

この4月(2017年4月)から全市町村で要支援者の訪問介護などを総合事業に移管

 介護保険制度改革について、メディ・ウォッチでもお伝えしているとおり、社会保障審議会・介護保険部会で議論され(関連記事はこちら)、昨年末の予算案編成過程で塩崎恭久厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣との折衝において詳細が固まっています(関連記事はこちら)。今後、与党(自由民主党、公明党)との調整、パブリックコメントなどを経て、今通常国会に改正法案が提出されます。

 改革の柱は、「地域包括ケアシステムの深化・推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」の2本と言えます。

 前者の地域包括ケアシステムについては、まず「保険者機能の強化」があげられます。介護保険は地域住民に最も身近な自治体である市町村が保険者となっており、「地域の課題を分析し、自立支援・重度化予防に向けた取り組み」を行うことが求められます。坂口審議官は具体的に、▼データに基づく地域課題の分析 ▼地域マネジメントに係る取組内容・目標の介護保険事業計画への記載 ▼実際の保険者機能の発揮・向上 ▼取組の評価―というPDCAサイクルを回すことが重要と強調。さらに取組内容などに応じて「経済的なインセンティブ」を付与するための法改正を行い、第7期介護保険事業計画、つまり2018年度から実施する方針を明確にしました。

 ただし市町村の規模などによっては、こうした取り組みの実施にハードルもあります。そのため都道府県の担当者に対し「データ分析のノウハウや、医師会など関係団体との連携について市町村を支援してほしい」と要望しています。

 また2014年度の前回介護保険制度改革では、要支援者への訪問・通所介護を市町村の総合事業に移管することとしており、2017年度からは全市町村で実施(移行に向けた経過措置が終了)することになっています。このため坂口審議官は「都道府県は全市町村での円滑な移行に向けて、助言・指導を行ってほしい」と要望するとともに、総合事業の検証手法を開発し、第7期・第8期の介護保険事業計画の中で定期的に総合事業の実施状況を検証していく方針も明らかにしています。
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総合事業のロードマップその1
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 このほか、▼適切なケアマネジメントの推進に向けた「ケアマネジメント手法の標準化」(アセスメントの際の確認方法など)に2017年度から取り組む ▼介護療養からの新たな転換先となる住まい・医療・介護の機能を併せ持った「新介護保険施設」の創設 ▼認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の実践―などに積極的に取り組む考えも強調しました。

3割負担対象は約12万人だが、高額介護サービス費があるため実際の負担増は少ない

 介護保険制度改革のもう一つの柱である「持続可能性の確保」については、(1)利用者負担の見直し(2)高額介護サービス費の見直し(3)費用負担の見直し―などが行われます。

 (1)の利用者負担については、世代間・世代内の負担の公平性を確保することが目的で、特に所得の高い高齢者において「3割負担」を導入するものです。具体的な基準は今後政令で定められますが、坂口審議官は「年金収入+その他所得ベースで340万円以上」(年金収入だけの場合は344万円以上)という目安を紹介しました。なお、介護保険の受給者は現在496万人ですが、このうち3割負担が導入されるのは12万人程度で、全体の約3%にとどまります。また月額上限を定める高額介護サービス費があるため「直ちに、実際に負担増になる人は少ない」と坂口審議官は説明しています。

 また(2)の高額介護サービス費については、所得が「一般」区分の世帯について月額上限が3万7200円から4万4400円(医療保険の高額療養費と同額)に引き上げられますが、経過的な激変緩和措置として「1割負担者のみの世帯では、年間上限額を3年間設定する」ことになっています。

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利用者負担の見直し内容

 (3)は、第2号被保険者の負担する保険料について、これまでに「加入する医療保険者の加入者数に応じた負担」(加入者割)から「加入する医療保険者の加入者数と負担能力に応じた負担」(総報酬割)に、段階的(2017年8月から2分の1総報酬割、19年度から4分の3総報酬割、20年度から全面総報酬割)に移行していくことになります。


 なお福祉用具については「同一製品でも大きな価格差がある」ことが問題視されており、坂口審議官は、▼製品ごとに国が平均価格を把握して公表する▼福祉用具専門相談員に貸与製品の価格だけでなく、全国平均価格や他製品を示すよう義務づける▼製品ごとの貸与価格上限を設定する―といった対応をとることを説明しました。もっともこれらには準備(例えば全国の価格調査など)が必要なため、2018年度から実施されます。
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福祉用具貸与の見直し方向
 
 このほか、介護離職ゼロに向けて「2017年度に臨時の介護報酬改定を行い、介護職員処遇改善加算に、新たなキャリアパス要件や月額3万7000円程度の処遇改善することなどを条件とした『新加算I』を創設する」ことが紹介されました。新キャリアパス要件(要件III)の詳細などは、今後、解釈通知やQ&Aなどで明らかにされます。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/55049/Default.aspx
厚労省・大西経済課長 製薬企業は「ヘルスケア産業」への転換を
 2017/01/20 03:52 ミクスオンライン

厚生労働省医政局の大西友弘経済課長は1月19日、ユート・ブレーンセミナーで講演し、製薬企業に“ヘルスケア産業”への転換をうながした。AIやビッグデータの活用が医薬品産業成長のカギを握るとした上で、研究開発の効率化や創薬への応用などにとどまらず、医療全体を俯瞰して活用することの必要性を指摘。医療ICTメーカーと組むなどすることで、「病気にならないように、未病というテーマでも製薬企業が活躍できる道があるのではないか」との持論を展開した。超高齢化社会の到来が目前に控え、医療保険財政が厳しさを増す中で、製薬企業が創薬だけでなく、予防医療も視野に入れた“ヘルスケア産業”、“健康生命産業”と呼べる姿に成長していく姿を描いた。

◎製薬企業は多様性をもって発展を

昨年末に決まった毎年薬価改定の導入など、薬価制度の抜本改革が製薬企業を震撼させている。昨年末に決定した「薬価制度の抜本改革における基本方針」では、製薬産業の構造転換も盛り込まれた。これに対し、大西課長は、「国際競争力をつけるために企業と企業が合併して数が減る。ジェネリックメーカーも安く売るために合併して数を減らしなさいというような単純なものではない」と指摘。「それぞれの企業が戦略を広い視野で考えるという時代に間違いなくなっている」と述べ、各企業が創薬だけでなく、多様性をもって発展していくことの必要性を指摘した。

AIやビッグデータの活用についても、「単に薬を作って売るというだけではない。そこで持っているノウハウを国民の健康、生命により活かせるように役割を広げる上でAIやビッグデータを使っていく」ことが必要との考えを示した。

その上で、神奈川県では、“未病”を軸とした産業育成を行っていることを紹介。未病とは、健康から病気まで連続的に捉えたときの中間の概念。体調不良はあるが、まだ病気とは診断できない人などが該当する。神奈川県では、従来の予防・診断に加え、心身全体の状態を最適化する、未病の改善につながる商品やサービスのビジネス化を後押し。超高齢化社会の到来が迫る中で、健康寿命の延伸を目指す。医療ICTを活用し、ウエアラブルなどを通じた、血圧や尿、心拍数などのバイタルデータの一元管理を可能にするなどのプロジェクトも進行中だ。

AIやビッグデータの創薬への活用も期待されるが、大西課長は、「病気にならないように、未病というテーマでも製薬企業が活躍できる道があるのではないか」と指摘。抗がん剤・オプジーボに代表される高額薬剤問題などで、国民皆保険堅持のために医療費適正化が求められる中で、予防医療に製薬企業が一役買うことの意義を示した。

今後の医薬品産業を占う上でのもう一つのテーマとして、大西課長は“グローバル化の推進”をあげた。2017年は米・トランプ大統領就任など国内外で政治的な動きが大きい年でもある。大西課長は、「EUも米国もグローバリゼーションと反グローバリゼーションが拮抗している」との見方を示し、先行きが不透明であることから慎重に行動する必要性を指摘。その上で、「国内市場は基本的に少子高齢化市場、人口減少市場だ。国内だけをみているのではビジネスとしては成り立たないと言わざるを得ない」との考えを示した。

◎ベンチャー支援「地方で眠るシーズ発掘を」

イノベーション推進の観点から、ベンチャー支援にも力を入れる姿勢を強調。「地方大学や研究拠点など、地方で眠っているシーズをうまく発掘する」ことの必要性を指摘した。薬事規制や医療保険上の課題などで、シーズが創薬までの軌道に乗っていかないケースもあると指摘。「そこを応援していかないと本当に育たない。死の谷を乗り越えるために厚労省が後押しする」と説明。塩崎厚労相が掲げる“規制官庁から育成官庁へ”を実践する考えも示した。


そのほか、薬価制度改革が議論となる中で、2017年は流通改善が一つの大きなテーマとなるとの考えも示した。2014年度改定で未妥結減算制度が導入されて以降妥結率は向上したが、「中身自体が改善されている感じがしない」と述べ、部分妥結が進んでいる実態があると指摘した。毎年薬価調査、毎年薬価改定が導入されることになるが、「実際に実行できる制度に仕組んでいく上では、流通改善というものが両立しないとなかなかうまくいかない。調査に対する卸の協力も得られないのではないか」と指摘。「薬価制度の在り方と流通の在り方は合わせて総合的に見ていかないと、全体的にはうまく回らない」との見方を示した。



  1. 2017/01/21(土) 06:01:58|
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