Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月18日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/490376
シリーズ: 『「50歳以上ドクター」の悩みと未来』
開業医、後継者決まっていないが54%◆Vol.19
半数が開業時の借金を返済

2017年1月18日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 Vol.19では開業医限定の質問の結果をご紹介する。本調査に回答した開業医は198人。平均年齢は58.4歳だった。
Q 開業したのは何歳でしたか。
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 開業した年齢の平均は43.9歳だった。

Q ご自身が引退した後の病医院について、後継者が決まっていますか。
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 ご自身が引退した後の後継者については、「決まっている(身内)」が17%、「決まっている(身内以外)」が1%、「決まっていない」が54%、「継承する予定はない」が28%だった。

Q 開業に際して、借金をした場合はその返済は終わりましたか。
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 開業時に借金をした場合の返済状況では、「返済が終わった」が47%、「返済中」が34%、「借金をしていない」が18%だった。



http://www.zakzak.co.jp/zakjyo/watcher/news/20170118/wat1701181820003-n1.htm
病院経営が危うい……高野病院は氷山の一角? 地方だけじゃない医師不足
2017.01.18 ZakZak

 福島第一原発の爆発事故後もとどまって診療を続けていた高野病院(福島県双葉郡広野町)の高野英男院長(81歳)が昨年末に自宅火災で亡くなった。現代の“赤ひげ”とも称された高野院長の死で病院自体の存続も危ぶまれている。医師不足や医療機関の存廃は、過疎が進む被災地だけの問題ではない。「教えて!goo」にも「医師不足問題について」をはじめ、たくさんの質問が寄せられている。「高野病院を支援する会」を立ち上げた南相馬市立総合病院に勤務する若手女性医師に話を聞いた。

 ■常勤医がいなくなれば病院廃業

 高野院長は昨年12月30日に死去。病院は原発から22キロに位置する。避難指示が出た後も搬送できない高齢患者のため、病院にとどまり診療に当たった。職員の退職が相次ぐ中、月の半分も当直勤務をこなしてきたという高野院長の死は広く報道された。

 常勤医がいなくなれば廃業しなければならない。交代で高野病院の当直医を務めていた若手医師がいる南相馬市立総合病院に「支援する会」が立ち上がり、広野町の求めに応じる形で福島県立医大などが支援を表明。2、3月は都内の医師が後任を務めることになったが、4月以降は決まっていない状況だ。

 南相馬市立総合病院の初期研修医、山本佳奈さんが赴任したのは2015年のこと。滋賀医大を修了し被災地に来た。2年間の初期研修医期間を過ぎてようやく当直医として協力できる目前で高野院長が亡くなり、「頭が真っ白になった」という。

 今は支援する会のメンバーとして、高野院長に代わって当直に入る先輩医師の後方支援に回っている。サイトを立ち上げたり、メーリングリストを作成したり事務作業が主な役割だ。

 ■人気病院で医師のサービス残業も

 被災地に限らず、過疎が進む地域では医師不足に加えて患者自体の数が減っており、病院経営が成り立たなくなることもあるという。山本さんは都市部でも似たような問題を抱えていると考えている。

 「都市部では固定費がかかるうえ、政府が診療報酬を抑制したことで、病院経営が難しくなっている」と指摘し、その最たる例として東京・築地の聖路加国際病院を挙げる。常に病院ランキングの上位に顔を出す人気にも関わらず、常態化する医師のサービス残業が明らかになり、労働基準監督署が入った。

 「高野病院も聖路加も氷山の一角で、存続が危ぶまれる医療機関は全国にたくさんあると思います」と山本さん。原発事故の避難地域という急速に高齢化が進み、かつ医療機関が急減した地域での経験が研修医の問題意識を成長させている。

 ■クラウドファンディングも活用

 高野病院は事故原発のある双葉郡で唯一の入院できる医療機関だ。高野院長の死去という突発事態に関係者の危機感は大きかった。

 山本さんは「支援する会には住民のほかに震災後ずっと現地にいる学校の先生や医療関係者ら把握しきれないぐらいいろんな人から連絡が入っている。医師不足解消に取り組む医療ベンチャーもアイデアを出してくれた。行政に任せきりではなく、できることから始めないといけない」と話す。

 常勤医が確保されるまで交代で当直に入る医師の宿泊費や交通費に充てるために町はクラウドファンディングを活用。ふるさと納税の対象とすることで幅広く募りやすくし、開始2日で目標額に達した。いち早く動けたのは町、医師、医療ベンチャーが一体となったからという。

 支援を表明した福島県、福島県立医大から具体策はまだ出てないが、「やれる範囲でやるしかない。行政だけでなく、医師だけではなく、いろんな人が関わっている。とても感謝している」(山本さん)。高野病院存続への模索が、これから各地で発生する可能性のある医師不足解消策のモデルケースとなり得るかもしれない。今後も注視したい。

 ●専門家プロフィール:山本佳奈

 滋賀県生まれ。医師。滋賀医大卒。2015年4月から福島県の南相馬市立総合病院に勤務。著書に「貧血大国・日本」(光文社新書)。医療ガバナンス研究所にも在籍。高野病院を支援する会のホームページの立ち上げにも参加。

 (武藤章宏)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017011802000250.html
高野病院に常勤医派遣 福島県、存続へ支援
2017年1月18日 夕刊 東京新聞

 東京電力福島第一原発事故後も福島県広野町で患者の診療を続けていた高野英男院長(81)が亡くなった高野病院の存続に向け、復興庁や福島県、広野町、病院関係者らが十八日、同町で緊急会議を開いた。常勤医確保のめどがたっていない四月以降の体制について、県は県立医科大と連携して常勤医を派遣するなどの支援策を明らかにした。 (片山夏子)

 病院は昨年末、ただ一人の常勤医だった高野院長が亡くなり、医療法などで義務付けられる常勤医が不在となっている。東京都立駒込病院の外科医中山祐次郎さん(36)が二、三月の二カ月間、常勤医兼院長を務めることが決まっている。

 中山医師が福島県郡山市内の病院に勤務することが決まっている四月以降について、県は十八日の会議で、常勤医が確保できなかったり、不足したりした場合には、県立医科大と協力して常勤医を派遣する仕組みを作ることを表明した。

 常勤医とは別に、病院長についても確保できるように支援。財政面では、中山医師を含む新たに赴任する医師への人件費や病院の設備整備費の補助、ボランティア医師の交通費や宿泊費、赤字補填(ほてん)などの支援をする。

 病院は高野院長の死亡で精神科医が不在になったが、十三日から県立医科大と県精神科病院協会が週三回派遣する体制が整えられた。

 県の平信二地域医療課長は会議後、「高野病院は避難指示が出た後も診療を続けるなど大きな役割を果たしてきた。なくなるようなことがあると、これから帰還しようとする人のモチベーションにも影響する」と話した。



http://www.kahoku.co.jp/editorial/20170118_01.html
高野病院存続問題/原発被災地の医療どう守る
2017年01月18日水曜日 河北新報社説

 東京電力福島第1原発が立地する福島県双葉郡で唯一、入院医療を続ける広野町の民間病院が、存続の岐路に立たされている。
 昨年末、院長の高野英男さん(81)が自宅の火災で死亡し、常勤医と管理者が不在となった高野病院だ。
 高野病院は、今も療養を中心に約100人が入院している。存続の行方は患者の今後を左右するだけではない。原発事故被災地の復興に欠かせない地域医療の再生に影を落とす恐れがある。
 広野町は原発事故直後、独自に避難指示を出し、一時は全町避難となった。それでも高野さんらは入院患者と病院にとどまって診療を続けた。 被災地の医療を守ってきた病院の危機に、応援の輪が広がっているのは心強い。
 県内の医師らが、支援する会を結成、ボランティアで診療を手伝い始めた。こうした医師らの宿泊費などに充てるための募金は、開始から2日で目標の250万円を突破。この2~3月に期間限定で常勤する医師も名乗り出た。
 4月以降の常勤医には、福島県立医大が派遣に前向きな姿勢を示す。理事長兼学長に4月就任予定の竹之下誠一氏は記者会見で「できるだけ支援をしたい。(双葉郡など)浜通りの医療体制再構築は使命だ」と強調した。
 ただ、これで解決するとは言い切れない。経営の安定という課題は残る、とみられるからだ。仮に立ち行かなくなれば「患者を守りたい」と支援を決めた関係者の思いは、水泡に帰してしまう。
 双葉郡の地域医療は綱渡りの状況にある。県によると、郡内では原発事故前、6病院と48診療所があったが、今年4月の稼働見込みは1病院、12診療所にとどまる。もちろん病院は高野病院だけだ。
 双葉郡の医療体制に関しては、県が2015年9月、国や関係自治体による検討会を設置。その結果、2次救急を担う県立施設「ふたば医療センター」を富岡町に18年4月開院を目指して整備することが決まったが、それで十分とはとても言えないだろう。
 医療センターの計画病床数は30と少ない。急性期を脱した患者は転院を迫られることが想定され、慢性期や療養期の患者の受け入れ先は他に必要になる。
 双葉郡では今春、富岡、浪江両町の避難指示が一部地区を除き解除される予定。既に解除された周辺町村も含め、住民の帰還が進むかどうかが大きな課題で、安心して暮らせる環境を取り戻せるかどうかが大きな鍵となる。
 「医療は住民帰還に欠かせないインフラだ」。高野病院を支援する会事務局長を務める南相馬市立総合病院の尾崎章彦医師は強調する。
 原発被災地の地域医療をどう再生していくか。高野病院を巡る問題が突き付けている課題に、県など関係機関は早急に向き合う必要がある。



http://www.medwatch.jp/?p=12019
2017年4月から医療費助成の対象となる指定難病を24疾病追加を正式了承―疾病対策部会
2017年1月18日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 先天異常症候群や先天性肺静脈狭窄症、遺伝性自己炎症疾患、無虹彩症など24疾病を2017年度から指定難病に追加し、一定の重症度基準などを満たした患者について医療費助成を行う―。

 18日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会で、こういった内容が了承されました。今後、2017年度予算の成立を待って、24疾病などについて告示を行い、4月から医療費助成が開始される予定です。

患者団体からは「難病制度についての更なる普及啓発」の要望

 指定難病に新たに追加される24疾病をおさらいすると次のとおりで、下部組織である指定難病検討委員会が昨年(2016年)12月12日に固めた内容と同一です(関連記事はこちら)。

(1)カナバン病(関連記事はこちら)
(2)進行性白質脳症(関連記事はこちら)
(3)進行性ミオクローヌスてんかん(関連記事はこちら)
(4)先天異常症候群(関連記事はこちら)
(5)先天性三尖弁狭窄症(関連記事はこちら)
(6)先天性僧帽弁狭窄症(関連記事はこちら)
(7)先天性肺静脈狭窄症(関連記事はこちら)
(8)左肺動脈右肺動脈起始症(関連記事はこちら)
(9)爪膝蓋骨症候群(ネイルパテラ症候群)/LMX1B関連腎症(関連記事はこちら)
(10)カルニチン回路異常症(関連記事はこちら)
(11)三頭酵素欠損症(関連記事はこちら)
(12)シトリン欠損症(関連記事はこちら)
(13)セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症(関連記事はこちら)
(14)先天性グルコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症(既存の指定難病との整合性を図るため、先天性GPI欠損症から名称変更)(関連記事はこちら)
(15)非ケトーシス型高グリシン血症(関連記事はこちら)
(16)β-ケトチオラーゼ欠損症(関連記事はこちら)
(17)芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症(小児慢性特定疾患の疾病名との整合性を図るため、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症から名称変更)(関連記事はこちら)
(18)メチルグルタコン酸尿症(関連記事はこちら)
(19)遺伝性自己炎症疾患(関連記事はこちら)
(20)大理石骨病(関連記事はこちら)
(21)特発性血栓症(遺伝性血栓素因による)(関連記事はこちら)
(22)前眼部形成異常(関連記事はこちら)
(23)無虹彩症(関連記事はこちら)
(24)先天性気管狭窄症(関連記事はこちら)

 ▼発病の機構が明らかでない ▼治療方法が確立していない ▼希少な疾病で、患者数がおおむね人口の0.1%以下(当面は約18万人未満とする) ▼長期の療養を必要とし、日常生活・社会生活に支障がある ▼客観的な診断基準や、それに準ずるものが確立している―という要件を満たす疾病については、「指定難病」として医療費助成の対象とする(ただし一定の重症基準を満たすことが必要)ことが、2015年1月から施行されている「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)で定められています。これまでに306の疾病が「指定難病」に指定されており、今般の24疾病とあわせて330疾病が医療費助成の対象となります。

 24疾病の追加について疾病部会で異論は出ていませんが、森幸子参考人(日本難病・疾病団体協議会)が患者の立場で次のような点を要望しています。

▼狭き門であり患者・家族には「どうすれば指定難病に指定されるのか」との思いもある。指定難病制度について(どのような要件を満たさなければ指定難病に指定されないのか、など)より国民に周知してほしい

▼「疾患群」として、いくつかの疾病をまとめて指定している難病もあるが、医師ですら個別疾病が指定難病に該当するのか不明な場面もあるという。漏れのないような工夫を検討してほしい

▼平地では歩行できるが、わずかでも勾配があれば歩行できない患者もいる。患者の生活実態も踏まえた基準を検討してほしい

 こうした要望について厚生労働省健康局難病対策課の平岩勝課長は、「指定に当たっては学術的な観点で検討している」点などを説明した上で、今後も医師や国民に向けて普及啓発を行っていく方針を強調しています。

 また千葉勉委員(京都大学大学院総合生存館思修館特定教授)は「指定難病の索引などを設け、一覧にしてはどうか」と提案。また指定難病委員会の委員である大澤真木子副部会長(東京女子医科大学名誉教授)は「診断書を作成する段階で、専用のホームページで詳しい情報を参照できるので、(漏れる)心配はあまりない」と説明しています。


 今後、2017年度予算の成立を待って、24疾病などについて告示を行い、4月から医療費助成が開始される予定です。



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0118506218/
「ブラック企業」並み? 外科医の労働環境
がん研有明病院長・山口氏が指摘する「3つの問題点」

2017.01.18 07:20 Medical Tribune

 大手広告会社・電通の新入社員の過労自殺認定に端を発した「過重労働問題」は、外科医師の労働環境でも問題となっている。がん研有明病院(東京都)病院長の山口俊晴氏が指摘する「外科医の労働環境の3つの問題点」について紹介する。同氏は「給与が低い上に、超過勤務手当が支払われない、まさに"ブラック企業"並みの環境にある」と指摘する(本記事は第78回日本臨床外科学会の発表を基に構成)。

執刀数が少ない

 山口氏は、外科医の労働環境における3つの問題点として、①外科医1人当たりの執刀数が少ない ②雑用が多過ぎる ③給与が低い上に、超過勤務手当が支払われない-を挙げる。

 まず①の外科医1人当たりの執刀数については、「少ないのは歴然としている。個人的には、これが外科医の一番のフラストレーションの原因ではないかと思う」と同氏。手術件数が少ない理由の1つとして、「日本の病院は、ベッド数に対して手術件数が少な過ぎる」と述べ、ベッド数に応じて手術室を増やし、手術件数を増やす必要があると指摘した。

 同院では2009年に経営危機に陥ったが、対策として2014年までにベッド数は同じままで手術室を6室増設した。これにより年間の手術件数は約6,600件から8,400件に増加したという。

 症例数が少ない理由として、スタッフの数が足りないことも考えられるが、同氏は「外科医が足りないのではなく、外科医をサポートする医師やコメディカルスタッフ、秘書などが足りないのであり、その充実に努める必要がある」と述べた。また麻酔科医の役割も大きく、麻酔科医が働きやすい環境づくりも重要であるとした。

雑用が多過ぎる

 2番目の問題「雑用が多すぎる」について、山口氏は「外科医は"器用貧乏"でなんでもできるので、なんでもやらされてしまう」と考察。外科医の業務は手術以外に、内視鏡検査、栄養管理、呼吸管理、化学療法、ペインコントロール、緩和ケア、救急対応の他、診断書の作成や検査の説明、National Clinical Database(NCD)登録などのデータベース登録、外来もある。

 特に実は外来が外科医の中でかなり負担になっており、中でも再診の負担は大きい。例えば、乳腺外科グループでは乳がん患者を術後10年にわたって診ているため、手術を行えば行うほど外来患者が増えてしまい、「外来の合間に手術を行う」「外科医本来の仕事ができなくなる」という問題があるという。

 同氏は「再診の削減が必要である」と提起した他、麻酔科医、臨床腫瘍医、緩和医療専門医などとのチーム医療や医療クラークにより、外科医のサポート体制を強化する必要があるとした。

超過勤務手当が支払われない

 さらに③の「超過勤務手当が支払われない」という問題については、経営者側からすれば「病院の経営が苦しいから支払いは無理」との言い分もある。

 同院における最近過去3年間の入院および外来の収支状況を見ると、入院収支は黒字だが、外来収支は常に赤字の状態で、一向に改善される傾向が見受けられない。この外来の赤字に影響しているのが、「外来収支に占める医薬品の割合の高さ」である。また、現行の診療報酬体系では内科医の技術料があまり認められていないことも大きな問題となっている。

 さらに同氏は「超過勤務手当は完全に支払う」ことが重要であるとし、「指導医としての外勤以外は禁止すべきである。週5日間勤務で、そのうちの1日を外勤すれば、外科医としての生活を送れるわけがない。院外で働くよりも、自院で働いてもらい、その分の給与を上げて払った方がよいと思う」と指摘。執刀医としての手術件数を増やし、「外科医を無駄使いしてはいけない」と主張した。

 実際に、同院では超過勤務手当を完全に支給しているためか、外勤をする外科医はいないという。

 最後に同氏は「外科技術の診療報酬体系をさらに改善する必要がある」と強調した。

(髙田あや)



http://mainichi.jp/articles/20170118/ddl/k04/040/047000c
塩釜市立病院
地域包括ケア中核に 新改革プラン審議 /宮城

毎日新聞2017年1月18日 地方版

 経営再建中の塩釜市立病院(伊藤喜和事業管理者)で16日夜、外部の有識者らでつくる事業調査審議会(会長・本郷道夫東北大名誉教授)があった。同審議会で、地域に暮らすお年寄りをサポートする「地域包括ケアシステム」の中核病院を目指すことを柱にした今後5年間の新改革プランが示され、大筋で了承された。30日に市長に最終答申する。

 同病院は2005年度、不良債務比率が全国ワースト4に悪化。13年度に累積債務は解消できたものの、15年度の経常収支は約1億1600万円の赤字になっている。

 同プランによると、経営安定化に向けた対策として、(1)救急患者や紹介患者の積極的な受け入れ(2)検査や待ち時間の短縮などサービス向上(3)健康診断や人間・脳ドックの利用増(4)周辺開業医との連携強化--などに重点を置いて取り組む。

 また訪問診療や看護などの在宅医療、新設した療養病棟での慢性期医療や復帰支援に力を入れ、「地域包括ケアシステムの構築に重要な役割を担う」と強調。こうした採算が厳しい「政策的医療」について、市からの支援を求めている。

 同病院は塩釜地域2市3町で唯一の公立病院で、在宅療養支援病院に認定されている。【渡辺豊】



http://www.medwatch.jp/?p=12009
地域包括ケア病棟の導入で、2016年度改定による収入減を小さく抑えられた―全自病調査
2017年1月18日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 2016年度診療報酬改定が7対1病院などの診療収入に与えた影響は、経過措置終了後(2016年10月)には「マイナス2.2%からマイナス2.4%」となった。うち、7対1を全数維持した病院では収入減の度合いが大きく(マイナス2.3%からマイナス2.4%)、一部を地域包括ケア病棟に転換した病院では収入減を小さく抑える(マイナス1.8%)ことができている―。

 全国自治体病院協議会が12日に公表した2016年度診療報酬改定影響率調査結果(第3報、最終結果)から、こういった状況が明らかになりました(関連記事はこちら)(全自病のサイトはこちら)。

改定影響だけでなく季節変動も考慮した分析

 今般の調査は、全自病が ▼7対1一般病棟入院基本料  ▼特定集中治療室管理料(ICU)  ▼ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)―のいずれかを2016年3月31日(改定前)に届け出ていた会員病を対象にしており、ハーボニーやオプジーボなどの超高額薬剤の影響が大きな病院を除外した130病院について分析しています。

 まず、改定年でない2015年の「3月から4-6月」にかけての総収入変動と、改定年である2016年の「3月から4-6月」にかけての総収入変動とを比較すると、「マイナス1.7%」となっています。次に、「2015年3月から2016年3月」(改定影響なし)の総収入変動と、「2015年4-6月から2016年4-6月」(改定影響あり)の総収入変動を比較すると、「マイナス1.9%」となっています。これは改定以外の季節変動(経年変化と経月変化)を考慮した分析手法で、全自病では、この結果をもとに「2016年度改定で収入にマイナス1.7%からマイナス1.9%の影響があった」と推察しています。

 ただし一般病棟用の重症度、医療・看護必要度などについて2016年9月までの経過措置があったため(関連記事はこちらとこちら)、全自病は上記ロジックのうち「4-6月」を「10月」に置き換えて再分析したところ、「2016年度改定で収入にマイナス2.2%から2.4%の影響があった」ことが明らかになりました。経過措置終了によって、影響の度合いが大きくなっていることが分かります。
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調査対象(7対1病院など)全体でみると、2016改定の影響はマイナス2.2%からマイナス2.4%(赤字部分)

 次に、改定前後で「7対1の届け出病床数」が変わらなかった(つまり転換や削減をしていない)79病院を対象に、同様の分析をすると「2016年度改定で収入にマイナス2.3%から2.4%の影響があった」ことが分かりました(経過措置終了後)。
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7対1のベッドを全数維持した病院をみると、2016改定の影響はマイナス2.3%からマイナス2.4%(赤字部分)
 逆に、改定前後で「7対1の届け出病床数」が減少した(一部を削減あるいは他の入院料に転換)44病院の状況を見ると、「2016年度改定で収入にマイナス1.9%からマイナス2.0%の影響」となっています(経過措置終了後)。
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7対1を一部削減したり他の入院料に転換した病院をみると、2016改定の影響はマイナス1.9%からマイナス2.0%(赤字部分)

 さらに、改定後に地域包括ケア病棟入院料を導入した27病院(44病院の内数)においては、「2016年度改定で収入にマイナス1.8%の影響があった」ことが分かりました。
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地域包括ケア病棟を導入した病院をみると、2016改定の影響はマイナス1.8%(赤字部分)

 整理すると次のようになり、「地域包括ケア病棟の導入で収入減を抑えられ、7対1の維持に力を入れると収入減の度合いが大きくなる」傾向が伺えます。今後の病床戦略を考える上で、大きな示唆を与える調査結果と言えそうです。

▼7対1維持:収入がマイナス2.3%からマイナス2.4%

▼7対1削減:収入がマイナス1.9%からマイナス2.0%

▼地域包括ケアの導入:収入がマイナス1.8%
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2016年度診療報酬改定の影響を病院のタイプ(転換の有無など)で見ると、収入減少の度合いに一定の差があることが分かる



http://www.medwatch.jp/?p=12024
持分なし医療法人への移行促進するため、認定医療法人の要件を実質緩和し期間を延長―社保審・医療部会
2017年1月18日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 次期医療法改正の内容が、18日に開かれた社会保障審議会・医療部会で了承されました。これまでに了承されている「医療機関のウェブサイト(ホームページ)などにおける虚偽・誇大などの表示規制」などのほか、「持分なし医療法人への移行計画の認定制度の要件見直しと延長」「医療機関開設者に対する監督規定の整備」などが行われます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 厚生労働省医政局総務課の中村博治課長は、「今後、与党と調整し、予算非関連法案として医療法等改正案を近く開かれる通常国会に提出し、早期の成立を目指す」とコメントしています。

ここがポイント
1  持分なしへの移行に際し贈与税が課税されないよう、認定医療法人の要件見直し
2  医療法人以外への病院に対し、法令違反などへ柔軟に対応することを可能に
3  院内での検体検査の品質確保に関する基準、検討会を設けて議論
4  特定機能病院の開設者に「管理者へ管理権限」を明確化する義務
5  公立病院による在宅医療進出や地域包括ケア病棟設置をどう考えるか


持分なしへの移行に際し贈与税が課税されないよう、認定医療法人の要件見直し

 医療法などの改正案は、次のように整理されました。

(1)持分なし医療法人への移行計画の認定制度延長(医療法改正のほか、財務省が相続税法改正を行う)

(2)医療機関開設者に対する監督規定の整備(医療法を改正する)

(3)妊産婦の異常の対応などに関する説明の義務化(保健師助産師看護師法を改正する)

(4)看護師などに対する行政処分に関する調査規定の創設(保健師助産師看護師法を改正する)

(5)検体検査の品質・精度管理に関する規定の創設(医療法、臨床検査技師等に関する法律を改正する)

(6)特定機能病院のガバナンス改革に関する規定の創設(医療法を改正する)

(7)医療機関のウェブサイトなどにおける虚偽・誇大などの表示規制の創設(医療法を改正する)


 (1)は「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行促進を狙うもので、現在の「一定要件を満たすと厚生労働大臣が認定した持分あり医療法人(認定医療法人)が持分なし法人に移行した場合、相続税などの猶予をする」仕組みを一部見直し、期限を延長するものです(関連記事はこちら)。

 現在、認定医療法人として認定されるためには▼社員総会の議決▼移行計画が有効かつ適正である▼移行計画期間が3年以内―という要件を満たすことが必要です。認定医療法人であれば、持分なし法人への移行期間(最大3年)において、▽出資者の相続に係る相続税を猶予・免除する▽出資者間のみなし贈与税を猶予・免除する―という税制上の特例措置を受けられます。

 しかし現在は、認定医療法人となっても「相続税などが不当に減少する」場合には、医療法人に対して贈与税が課税されてしまいます。また贈与税が課税されるか否かは税務当局の定める解釈通知で定められており、そこには「理事6名以上・監事2名以上」「役員における親族の割合が3分の1以下」「医療計画に医療機関名の記載がある」など厳しい要件が規定されています。この厳格な基準がネックとなり、持分なし医療法人への移行が十分に進んでいないと指摘されます(認定件数は2016年9月末時点で61件、移行完了は13件にとどまっている)。

 厚労省はこの指摘を重視。認定医療法人の要件について、上記のほかに▼法人関係者に利益供与しない▼役員報酬が不当に高額にならないように定めている▼社会保険診療報酬収入が全体の8割以上(自由診療が少ない)―ことなど(贈与税非課税となる要件から、クリア困難な役員数などを除外している)を追加した上で、「認定医療法人となれば、出資者の相続税を猶予・免除するとともに、医療法人に贈与税を課税しない」仕組みへと見直すこととしています(財務省との協議済)。また認定期間が「2020年9月」まで延長(現在は2017年9月まで)されます。

 認定医療法人の要件だけを見ると厳格化されていますが、「医療法人に対する贈与税非課税」をあわせて見ると「要件緩和」となっており、厚労省では「持分なし法人への移行が進むのではないか」と見通しています。

 加納繁照委員(日本医療法人協会会長)や山崎學委員(日本精神科病院協会会長)は、「画期的な前進である」と厚労省を賞賛しています。

医療法人以外への病院に対し、法令違反などへ柔軟に対応することを可能に

 (2)は、医療法人以外の医療機関開設者に対して「法令違反などに段階的な対応をとる」ことを可能とするものです。

 医療法では、医療法人が法令違反などを行った場合、▼立入検査▼改善措置命令▼業務停止命令▼役員解任勧告―という段階を踏んだ対応をとり、それでもなお是正が見られない場合に初めて「法人設立認可の取り消し」を行うこととしています。

 しかし医療法人以外の病院などについては、法令違反などに対して「物件提出命令」を行う以外に、中間の対応規定が整備されておらず、ダイレクトに「開設許可の取り消し」「閉鎖命令」を出すことになってしまっています。これでは、違反の程度などに応じた柔軟な対応がとれません。そこで医療法を改正し、医療法人以外の病院などに対して、▼立入検査▼改善措置命令▼業務の全部または一部停止命令―という中間的な対応措置をとることを可能とするものです。


 また(3)は分娩時の急変に対して助産所から医療機関への連絡がなく母子が死亡とする痛ましい事故が発生した点を踏まえて、「助産所の管理者に対し、妊産婦の以上に対応する医療機関名などについて、担当助産師が妊産婦へ書面で説明することを義務づける」ものです。


 さらに(4)は看護師などへの行政処分を行う際に、医師・歯科医師に対して認められている「厚生労働大臣の調査権限」を同様に認めるものです。刑事罰を受けるなど、著しい非行が認められた医療従事者に対しては業務停止や資格剥奪といった行政処分が行われますが、看護師については「刑事罰が科せられない場合には事実関係を行政庁が任意に調査する」ことになっており、協力が得られないケースもあるといいます。こうした仕組みを改善し、適切な行政処分を行うことを可能とするものです。

院内での検体検査の品質確保に関する基準、検討会を設けて議論

 (5)は、すでに医療部会で概ね了承されているもので、▼医療機関自ら行う検体検査について、品質・精度管理に係る基準を定めるための根拠規定を新設する ▼ブランチラボなどに業務委託される検体検査について、精度管理に係る行政指導の実効性を担保するために品質・精度管理に係る基準を省令で定める旨を明確にする ▼新たな検査技術の精度管理・安全性に柔軟かつ迅速に対応するために、検体検査の分類を省令に委任する―という見直しを医療法・臨検法について行うものです。

 この点、昨年(2016年)10月20日の医療部会では「院内の検体検査について厳しい基準を設けることは好ましくない」との意見が数多く出されたことから、中村総務課長は「具体的な基準について研究班で検討を行い、さらに別途検討会を設置し(改正法成立後の予定)、関係者間で議論してもらう」との方針を明確にしました。加納委員は「院内と業務委託では性質が異なる、検討会でしっかり議論したい」とコメントしています。

特定機能病院の開設者に「管理者へ管理権限」を明確化する義務

 (6)は、特定機能病院において重大な医療事故が発生したことを踏まえ、適切なガバナンスを確保するために、▼一層高度な医療安全管理体制が必要である点を医療法で明確にする ▼開設者に対して、適切な管理者の選任、監査委員会の設置などを義務付け、管理者が医療安全を確保できるようにする―との医療法改正が行われます。後者では、省令の中で「管理者選任に当たっては、公正な選考委員会を設置する」ことなどが規定される予定です。

 なお、昨年(2016年)12月8日に開催された前回の医療部会では、このほかに「『すべての医療機関の管理者に管理運営権限がある』ことを医療法上、明確にしてはどうか」との提案が厚労省から行われていました。しかし委員からは「これまでに議論していない事項である」といった指摘が相次ぎました。

 そこで中村総務課長は、先の提案を翻し「特定機能病院の開設者に対して、管理者が管理運営業務を遂行するために必要な権限を明確化することを義務づける」規定を設けてはどうかと提案しなおしています。ここでは「特定機能病院の管理者に管理運営権限がある」ことを明確化するにとどめているのではなく、「開設者(理事長など)が、管理者にどのような権限を付与しているかを明確にする」よう義務付けている点に留意が必要です。

 また(7)は、医療機関ホームページが「広告ではない」点を維持したまま、虚偽・誇大などの表示をした場合に広告と同様の是正命令や罰則付与を行うことを可能とするものです(関連記事はこちら)。

公立病院による在宅医療進出や地域包括ケア病棟設置をどう考えるか

 18日の医療部会では、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長から、2018年度からの新たな医療計画策定に向けた「医療計画の見直し等に関する検討会」の意見が報告されました。この点に関連して中川俊男委員(日本医師会副会長)からは「公立病院が在宅医療に参入したり、地域包括ケア病棟を設置したりする事例があるが、民間医療機関が在宅医療を担うことができない地域を除き、公的病院によるそうした動きを積極的に行うことは避けるべき旨を明確にしてはどうか」との要望が出されました。地域の医療機関について、機能分化を進めるとともに、地域での役割を明確化すべきとの考えに基づく要望と言えそうです。

 しかし新井正吾委員(全国知事会、奈良県知事)や邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)は「地域の実情に合わせて在宅医療体制の整備や機能分化を進めるべき」とし、中川委員の提案に強く反対しています。

 なお、厚労省からは昨年(2016年)12月22日に「「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が行った中間的な議論整理が報告されましたが、邉見委員や山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)からは「これまで医療従事者の需給に関する検討会(需給検討会)などで議論された内容の域を出ていない。ビジョン検討会の議論と並行して需給検討会や分科会を動かすべきではないか」との要望が出されています(関連記事はこちら)。

 ビジョン検討会では今年度内に意見をまとめ、それを基に需給に関する議論を行い、さらにそれを待って医療計画における「医療従事者の確保に関する記載事項」についての考え方が厚労省から都道府県に示される予定です。したがって医療計画策定に向けた考え方(解釈通知など)は、「現在固まっている部分」と「医療従事者の確保に関する部分」との2段階で示される可能性が高く(佐々木地域医療計画課長)、こうした点からもビジョン検討会に対する強い批判が多くの委員から相次いでいます。



http://mainichi.jp/articles/20170118/ddh/041/040/005000c
架空請求
八神製作所元社員が 三重大病院6000万円被害

毎日新聞2017年1月18日 中部夕刊

 医療用機器卸大手の八神製作所(名古屋市中区)の社員だった男性(47)が2005年2月から昨年7月までの約11年間で三重大付属病院(津市)に納入した機器の付属品を架空請求する方法で、計約6296万円をだまし取っていたことが同社や大学への取材で分かった。同社は大学から昨年12月に取引停止8カ月の処分を受け、不正に得たとされる全額を返金した。

 同大の財務担当者によると、架空請求していたのは医療用モニターなどの複数の機器用としていたメモリーカードの代金。「経年劣化で転送速度が落ちるので、交換が必要」と言われ、病院側はカードの更新費用を支払ってきた。16年度になって請求代金が前年度に比べ高額になったため、不審に思った病院側が調べたところ、対象機器にはメモリーカードを挿入する装置がなく、だまされていたことが分かったという。

 男性は社内調査に対し「遊興費に使った」と詐取を認めた。同社は昨年9月、この男性を懲戒解雇とし、10月には監督責任を問い八神徹社長らを減俸処分とした。樋田(といだ)佳彦専務は「優秀なベテランで、信頼して任せきっていた」と話した。

 信用調査会社によると、同社の売上高は全国3位で中部地区でのシェアは3割に及ぶとされる。大学病院との取引も多い。三重大での不正発覚を受け、東京大や浜松医科大など他の国立大学でも取引停止処分が広がっている。【吉富裕倫】



http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20170119/CK2017011902000029.html
なれ合い、不正の温床 三重大病院架空請求問題
2017年1月19日 中日新聞  三重

 医療機器商社の八神製作所(名古屋市)の元社員の男性(47)=懲戒解雇=が、三重大病院(津市)に六千二百九十万円の架空請求を繰り返した問題は、業者の内部統制の甘さと、病院側の管理態勢の不備が重なり、十一年間も発覚しなかった。「有能な担当で、信頼していた」。架空の請求書が病院のチェックをすり抜けた背景には、長年の間に醸成された両者の「なれ合い」の構図が浮かぶ。

 「書類上の不備はなかった」。十八日に会見した三重大の幹部は、男性の架空請求を見抜けなかった理由を、こう説明した。

 会見した三重大や八神製作所によると、不正に関与した男性は同社の津営業所に勤務。約二十年間、三重大病院だけを任されていた。同大を担当する社員八人のうち最も年長で、社内や病院関係者の評判は高く、病院内の各診療科に医療機器の部品を納入したり、修理をしたりしていた。

 二〇〇五~一六年の十一年間で、男性は計三百六十五回にわたって架空請求を繰り返していた。三重大側はなぜ不正に気付けなかったのか。会見によると、不正に関係した発注額は一度に数万~数十万円と金額が少なく、いずれも随意契約だった。

 男性は、実際には購入していない医療機器の部品などの領収書を自宅のパソコンで偽造。会社から代金を横領し、三重大病院には、品物の空き箱を納入していたという。

 病院幹部は「箱の中身を調べるなどのチェックはしていなかった」と打ち明ける。機器の修理内容も、請求書と照らし合わせて調べたりはしていなかった。男性は架空請求で得た金を使って、鈴鹿市内のスナックで飲み歩くなど、遊興費に充てていたという。

 大学によると、三重大病院の医療機器の取引を含む昨年度の予算は約二百億円(人件費は除く)。来院する県内の患者の治療費と、文科省の予算などが原資で、八神を含め約三十の納入業者などと取引がある。同大によると、八神製作所との昨年度の取引額は十三億円超に上る。

 今回の架空請求問題を受け、大学側は修理した医療機器の内容を確かめるために、医療技術者を立ち会わせるといった再発防止策を講じた。

 昨年十二月十五日付で八神製作所を八カ月間の指名停止とし、全国の国立大に処分を通知。東大や静岡大など全国四つの国立大が同社を指名停止にするなど影響が広がった。

 しかし、多額の不正請求が横行していた事実を知りながら、八神製作所と三重大ともに公表していなかった。八神側は「上場企業ではなく、納入した機器で、感染などの健康被害がないため公表しなかった」と弁明。大学側は「事態の精査に時間がかかり、早期の公表まで思いが至らなかった」と説明した。

 十八日の会見前、本紙が大学側に問い合わせた際、広報部門を統括する企画総務部の幹部は「大学内の病院と、財務部門から詳しい情報を知らされていない」と回答した。

 処分の事実を積極的に明らかにしなかった八神製作所と三重大。両者の「内向きの論理」は、三重大病院を利用する県民らにどう映ったか。

 (池内琢)

 <八神製作所> 1871(明治4)年の創業。非上場の医療機器販売会社で、注射器やペースメーカーなどの医療用品を扱う。帝国データバンクによると、売上高は全国3位の約1171億円(2015年12月期)で、県内では1位を誇り、大手医療機関のほか、国立大学病院との取引も多い。



http://jp.reuters.com/article/davos-meeting-pharmaceuticals-poor-idJPKBN1520TC?il=0
製薬大手各社が3年間で5000万ドル投資、貧困国の慢性疾患治療で
World | 2017年 01月 18日 17:28 JST  ロイター

[ダボス 18日 ロイター] - ファイザー(PFE.N)やメルク(MRK.N)、ノバルティス(NOVN.S)、ロシュ(ROG.S)、サノフィ(SASY.PA)、グラクソ・スミスクライン(GSK)(GSK.L)など22の製薬大手各社は18日、貧困国における非感染性の慢性疾患を治療するために、今後3年間で5000万ドルを投資すると発表した。世界銀行が支援するプロジェクトに投じる。

貧困国ではこれまで、感染病に対する治療が行われてきたが、今日では、西洋のライフスタイルが浸透したことにより、がんや糖尿病、心臓や肺の疾患などによる死亡が増加している。

世界保健機関(WHO)によれば、このような非感染性疾患(NCDs)は全世界の死亡原因の約70%を占め、うち4分の3は低中所得層の国々で起こっている。

ロシュのシュワン最高経営責任者(CEO)は、製薬各社はすでに新興国に向けて優遇価格を実施しているが、コストが唯一の障害と述べた。

アフリカやアジア、ラテンアメリカの各国は、最新の新薬開発の恩恵を享受するために、医療制度の改善も必要としている。

シュワン氏はロイターに対し「病院のインフラを整えるためにやることはたくさんある。最新の研究施設がなければ、現代のがん治療薬を投与することはできない」と指摘。「我々は協力体制を構築するつもりだ」と述べた。

がん治療は目下の重点項目であり、製薬大手各社は国際対がん連合(UICC)と共に世界の一部の都市で試験的に新たな診断法や治療法を実施している。



http://mainichi.jp/articles/20170118/ddl/k38/040/535000c
患者の死亡事案
14年から3年間32件 医療機関が県に報告 自殺や誤えん、医療行為原因の件も /愛媛

毎日新聞2017年1月18日 地方版

 2014~16年に県内の医療機関から県に報告された患者の死亡事案が32件あることが、県への取材で分かった。うち1件は「医療行為に伴う出血による死亡」だった。そのほか、医療事故や不適切な業務などに関する報告も117件あった。【黒川優】

 毎日新聞の情報公開請求に対して県が開示した文書によると、死亡事案のうち12件は自殺関連だった。また、食べ物を誤って飲み込んだり、嘔吐(おうと)物が喉に詰まったりして窒息したことが原因の死亡事案は13件あった。

 そのほか、交通事故によって死亡した事案や、別の患者からの暴力が原因とみられる死亡事案などが報告された。手術中の出血が原因とみられる死亡事案も1件あった。県は開示した文書で医療機関の名前や所在地などを明らかにしていないが、担当者は取材に「当該の医療機関が事案を公表しているかどうか確認できないため」と理由を説明した。

 また、死亡事案以外で報告があったものの中では、手術時に小腸を損傷した▽手術後に気管が狭まり低酸素脳症になった▽悪性腫瘍の手術で尿管を損傷した▽内視鏡検査で消化管を損傷した▽カテーテル挿入の際に動脈を損傷した▽インスリンを過剰に投与した▽毒薬の不適切な管理--など、医療行為によって患者の体調が悪化した事案が目立った。

 さらに、患者が手足などを骨折した事案も63件報告された。多くは転倒によるものだったが、「放射線治療後の病的骨折」「清潔ケア中の骨折」「職員の行為に起因する骨折」などと記載されている事案もあった。「骨折した原因が不明」というものもあった。

 県医療対策課によると、県内の民間医療機関で医療事故などが起きた場合は、県への報告は「任意」で求めているという。報告されても公表基準は定めておらず、県立病院から医療事故の報告があった場合も「県が公表する義務はない」としている。「外来診療カルテの所在が不明」「23年前にした手術の際に使ったガーゼが患者の体内から見つかった」などの事案は公表されたが、いずれも任意によるものだった。



http://www.huffingtonpost.jp/nissei-kisokenkyujyo/healthy-life-expectancy_b_14212924.html
「健康寿命」伸ばす予防医療-「国民医療費」増加というパラドクスの解消:研究員の眼
ニッセイ基礎研究所
投稿日: 2017年01月18日 16時31分 JST 更新: 2017年01月18日 16時31分 JST ハフィントンポスト

新年から日本経済新聞に『予防医療で医療費を減らせるか』という記事が連載されていた。

筆者の康永秀生・東京大学教授は、第1回目で

『予防医療とは病気になることを防いだり、病気を早期発見・早期治療することで病気による障害や死亡を減らすことを目指す医療だ。一般的に予防医療の推進は、病気の発生・進行を抑え、国民医療費の抑制につながると考えられている。しかし、医療経済学の研究成果からは、大半の予防医療は長期的に医療費や介護費を増大させる可能性がある』

と述べた上で、第2回目以降、予防医療が医療費・介護費に与える影響について具体的な事例を紹介している。

例えば「禁煙対策」は長期的に医療費を増やすという。

喫煙者は非喫煙者よりも早くがんや心筋梗塞にかかり早期に死亡するが、禁煙により寿命が伸びると生涯にかかる医療費や介護費が増えるからだ。

また、「メタボ検診」は国民の健康維持・増進を期待できるものの、長期的に医療費を削減できる確かな根拠はほとんどない。

「メタボ検診」は、高額の医療費や介護費がかかる時期を先送りするのであり、生涯の医療費が抑制されるのではないとしている。医療経済学の専門家の共通認識としては、予防が治療と比べて特に医療費を抑制するわけではないという。

適度な運動とバランスのとれた食事は、運動機能が低下する「ロコモ」を予防し、健康寿命を伸ばす。

しかし、それにより「不健康な期間」が短縮されるという医学的根拠はなく、「メタボ検診」同様に医療費や介護費がかかる時期が先送りされるのだ。

また、がん対策の基本は早期発見・早期治療であるが、「がん検診」が普及すれば「過剰診断」などにより確実に総医療費は増大するとしている。

連載を通して「禁煙対策」、「メタボ検診」、「がん検診」等の予防医療を推進することは重要であると同時に、国民の健康寿命を伸ばす予防医療は、長寿化による国民医療費の増大をもたらすと指摘しているのだ。

では、どうすれば予防医療による健康増進と国民医療費の増加というパラドクスを解消できるのか。

少子高齢化の進展により社会保障制度の持続可能性が問われるなか、国民医療費の抑制は重要課題だ。

予防医療により健康寿命が長くなることはQOLの向上につながるが、その後の不可避な不健康期間に過剰な検査医療や投薬、延命治療などが行われていないだろうか。

第6回目に言及されていた大腸がん検診の精密検査である内視鏡検査などは、高齢者にとって身体的負担も大きい。

かぎりある国民医療費を有効活用するためには、超高齢社会の日常生活の質の向上という観点から、個人にも社会にも幸せな高齢期医療の"選択と集中"のあり方を見直すことが必要ではないだろうか。



https://www.m3.com/clinical/news/494900
カロリー制限、やっぱり長寿に効果
論争に終止符か

2017年1月18日 (水) 朝日新聞

 カロリー制限はやはり長寿に効果がある、とする研究結果を米国の二つの研究チームがまとめ、17日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。両チームは1980年代後半からアカゲザルで実験を続け、効果をめぐって相反する結果を発表。両チームが共同で実験データを再解析し、「効果あり」で結論が一致したという。

 二つの研究チームは米国のウィスコンシン大学と国立加齢研究所。いずれも、好きなだけ食べさせる集団と、それよりも摂取カロリー量を3割減らした集団で生存年数などを比較する実験をしているが、大学は2009年と14年に「効果あり」、研究所は12年に「効果はなかった」と発表していた。

 今回、両チームで15年7月までの互いの実験を比べると、カロリー制限を始めた年齢が大学は大人の7~15歳なのに対し、研究所は1~23歳と幅広かった。このため、研究所のデータについて、実験開始時の年齢を若年(1~14歳)と中高年(16~23歳)に分けて改めて解析すると、若年でカロリー制限を始めた場合は寿命が延びる効果はみられなかったが、中高年で始めた場合は効果がみられ、特にオスは平均寿命の推計が全体よりも9歳ほど長い約35歳だったという。

 また、両チームの解剖データを調べたところ、開始年齢や性別にかかわらず、カロリー制限をしたグループのほうが、がんの発生率が15~20%ほど低かった。糖尿病や脳卒中など加齢に伴う病気も、より遅く発症していた。

 東京都健康長寿医療センター研究所の石神昭人研究部長(老化制御)は「論争に一つの終止符が打たれた。約30年に及ぶカロリー制限の研究データ



http://www.asahi.com/articles/ASK1L331HK1LPTIL002.html
「出産への配慮なく研修継続できず」女性が徳洲会を提訴
阿部峻介
2017年1月18日12時13分 朝日新聞

 出産への配慮がなく、研修医を続けられなかったとして、医師免許を持つ大阪府内の女性(31)が医療法人徳洲会と研修担当の医師2人に計3777万円の賠償を求め、大阪地裁に提訴した。18日に第1回口頭弁論があり、法人側は請求棄却を求めた。

 訴状によると、女性は関西にある徳洲会系列の病院で2014年4月から2年間の予定で初期研修に入った。その後、15年5月の第2子出産の前後に約3カ月休業し、2カ月遅れの16年5月末に研修を終えた。

 その後、専門医の資格取得のため、後期研修を希望したが、徳洲会側から特段の説明なく受け入れを拒まれたという。女性は8月から兵庫県内の大学病院で後期研修を始めたが、勤務地が遠くなって長続きせず、10月に退職した。現在は別の病院職員としてアルバイトをしながら、研修医として受け入れてくれる病院を探している。

 訴状で女性は、出産を控えた15年3月、徳洲会側から予定通り2年間で研修を終えられるよう柔軟な対応をとるという説明を受けていたと主張。初期研修の遅れに伴い、専門医の資格取得の時期が大幅に遅れるため抗議すると、研修担当の医師から「子どもを持ちながら研修するのは努力にあたらない。不利ではある」と言われた、とも訴えている。

 徳洲会側は答弁書で、後期研修への移行は義務ではなく、打ち切りは正当な行為と反論。さらに「厚生労働省承認のプログラムを個人の事情で変えることはありえない」とし、担当医の発言も否定している。(阿部峻介)



http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2017/01/post_14649.html
新地で8月診療再開 小高赤坂病院、規模を縮小
2017/01/18 11:42 福島民報

 東京電力福島第一原発事故の影響で休診している南相馬市小高区の小高赤坂病院は8月、新地町に「新地クリニック」を開設し診療を再開する。精神科、心療内科、内科の3つの診療科目で被災者の心のケアなどを担う。

 小高赤坂病院は精神科の専門病院で精神科、診療内科などの診療科目があり病床数は104床。東日本大震災発生時は非常勤を含む医師5人と看護師、事務職員ら計約80人が勤務し、患者104人が入院していた。原発事故直後も診療を続け、その後、患者は他の病院に転院した。渡辺瑞也院長(74)と事務長以外の職員全員は平成27年3月末で退職した。

 震災当時の入院患者らから再開を求める声が寄せられていたことなどを踏まえ、県の補助を受けクリニックを開設する。昨年12月10日に常磐線の運転が再開し通院の利便性が向上したことや町の後押しで場所を決めた。JR新地駅東側の約15アールの土地に平屋のクリニックを新築する。渡辺院長ら2人で運営し看護師は今後募る。小高赤坂病院は今後も休診する。

 渡辺院長は「以前からの患者にできる範囲で医療を提供したい。複合災害に見舞われた相双地方の住民のメンタルヘルスの力になりたい」と話している。



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0118m040164/
OECD:高額薬、世界の課題 保健相会合声明
2017年01月18日 08時00分 毎日新聞

 経済協力開発機構(OECD)の保健相会合が17日、パリで開かれ、急増する高額な医薬品について、政府や製薬業界、患者団体など関係者による対話を促進することで適切な使用を進めることを目指す閣僚声明を採択した。日本からは塩崎恭久厚生労働相が出席。OECD事務局が各国政府に高額薬の増加への対応策の検討を求めていた。

 会合では、革新的で高額な治療・医薬品や、効率的ではない無駄な医療への対応をテーマにした会合が設けられた。日本では昨年、超高額ながん治療薬「オプジーボ(一般名・ニボルマブ)」の登場を契機に、高額薬の値下げや適正使用に関する議論が始まった。OECD各国も、高額薬の増加や高騰化する医療費の抑制が重要テーマとなっている。

 声明文は、新たな医療技術について「財政にも影響を与える」と指摘。患者の治療へのアクセスの確保 ▽医療制度の持続可能性の維持 ▽技術革新の評価--を求めた。それらを実現するため、OECDの取り組みに加えて「関係者間の対話が新技術の活用に関する課題解決に資する」と、全ての関係者が参加する議論を促した。

 医療制度に詳しい五十嵐中・東京大大学院薬学系研究科特任准教授は「高額な薬剤が、世界的に公的医療支出を圧迫し、給付に一定のメリハリを付けることが求められている。そのためには綿密な議論が必要で、政府が業界や国民と協力しながら考えていくことが必要だ」と話す。【細川貴代】



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t286/201701/549789.html
リポート◎京大病院が進めるICT業務効率化(1)
「かざす」だけでバイタルデータを瞬時に記録

2017/1/18 小谷卓也=日経デジタルヘルス

京都大学医学部付属病院では、ICTを活用して医療従事者の業務効率を高める仕組みを相次いで導入している。その一つが、看護師が日常的に病棟で行うバイタルデータ測定の効率化だ。2016年5月に運用を始めた「バイタルデータターミナル」は、看護師がベッド脇の端末に測定機器をかざすだけで自動的にその看護師を識別し、患者とひもづけた測定データを電子カルテに自動記録できるシステムだ。


 「患者一人ひとりのバイタルデータを手入力でパソコンに打ち込んでいた時間を、ガーゼ交換など他の看護業務に回せるようになった。とても助かっている」。京都大学医学部附属病院 南病棟3階 副看護師長の中山梓氏はこう話す。

 検温をはじめとする入院患者のバイタルデータ測定は、看護師が日常的に行う業務の一つだが、その負荷は思いのほか大きい。通常は数時間に1回、手術後や急変対応時などは数十分に1回の頻度で測定を実施。測定するのは体温と血圧のほかに、患者の病態によっては血中酸素飽和度(Sp02)や血糖値など多岐にわたり、複数の測定データをその都度、記録する必要がある。従来は、患者のベッド脇まで運んできたカートに置かれたパソコンに測定データを手入力する仕組みを導入していたが、「ナースコールなどの対応でバタバタして、あとでナースステーションに戻ってまとめて入力することもよくあった」(中山氏)。

 もちろん、手入力となれば、いわゆる「転記ミス」にも注意する必要がある。さらに、複数の患者の測定データをまとめて入力する場合には、患者間でのデータの取り違えがないように気を配らなければならない。一見、単純な業務でありながらも看護師の負担になっているのが実情だ。

一般病棟のすべてのベッド脇に端末を設置

 このバイタルデータ測定の煩雑な業務をサポートするシステムの運用を、京大病院は2016年5月に開始した。「バイタルデータターミナル(VDT)」と名付けられた同システムでは、看護師は測定後、病床の各ベッド脇に1台ずつ設置した端末に測定機器をかざすだけ(図1/略)。あとは、自動的に測定データが患者の電子カルテに記録される。

 病床数1121床の京都大学医学部附属病院では、重症系・精神科神経科を除く一般病棟のすべてのベッド脇に端末を設置。本格運用を始めて約半年が経過したが、看護師からの評判は上々だという。

 測定データの自動的な取り込みには、広く普及している近距離無線通信の一つであるNFC(Near field radio communication)を利用している。NFC通信機能を搭載した測定機器であれば、メーカーを問わずベッド脇の端末にかざすだけでデータを取り込める。現在、京大病院では、体温、血圧(脈拍数)、SpO2、血糖の4種類のNFC対応測定機器を導入している(図2/略)。

 測定データの取り込みの際、測定を実施した看護師と患者は、次のような仕組みでひもづける。まず、看護師の識別は、看護師が身に着ける名札に搭載された専用の検知用タグ(近距離無線通信の一つであるBluetoothタグ)で行う。看護師がベッド脇(端末)に近付くと、その看護師の情報が自動的に測定データとひもづけられる仕組みだ。端末の下に配置している専用モニター画面にも、自動検知した看護師の名前が表示される(図3/略)。一方、対象患者の情報は、毎日の病床フロアマップと連動させることで、個々の端末と患者名をひもづけている。

 このシステムでは、測定データの自動取り込みと同時に、測定を実施した時刻も記録される。各測定機器に内蔵している時計機能を利用したものだ。これにより「血糖値など、いつ測ったかが重要なデータの測定時刻を間違いなく記録できるので、とても助かっている」(中山氏)という。

試算では業務にかかる時間が約半分に

 バイタルデータターミナル(VDT)を開発したのは、医療・物流・環境安全衛生などの分野に向けたシステム開発を手掛ける島津エス・ディー(京都市中京区)。そして、医療側の視点から開発に協力したのが、京都大学医学部付属病院 医療情報企画部 教授の黒田知宏氏だ。

 バイタルデータターミナル(VDT)の発端は、黒田氏もかかわったATR(国際電気通信基礎技術研究所)の「E-ナイチンゲールプロジェクト」(2004~2009年)にさかのぼる。同プロジェクトの目的は、看護師の“フライトレコーダー”を作ろうというもの。看護師に複数のセンサーを装着し「何をしているのか」「どこにいるのか」などを自動推定、記録する技術の研究開発を進めていた。このプロジェクトの成果である位置計測の基本技術を生かし、バイタルデータ測定業務における看護師の負荷低減に応用したのが、今回のシステムというわけである。

 システムの開発に当たり、黒田氏は実際にどの程度看護師の業務効率が改善するのかを評価した。その結果、検温業務(測定およびデータ入力)においては、患者1人当たりにかかる時間が、平均で53秒から25秒と約半分に短縮するデータが得られたという(図4/略)。黒田氏の試算によれば、京大病院で看護師の検温業務に費やされる時間は推計で年間418万8000分。これが半分になるとすると、年間で約209万4000分、計算上は1日当たり約5737分が検温業務だけで削減できることになる。

 こうした試算も踏まえ、京都大学医学部付属病院では2016年5月からの大規模運用に踏み切った。今回のシステム導入費用については非公開としているが、黒田氏の見立てによれば「削減できる時間を単純に金額ベースに換算し、システム価格と比較すると、500床規模の病院で2年でペイできる」(同氏)という。

 ただし、今回、京都大学医学部付属病院が導入したような、各ベッド脇に端末を1台ずつ設置する方式では、規模が小さい病院などではコスト面で負担がかかる可能性がある。そこで島津エス・ディーは現在、同等の機能を移動用カートに一体化したシステムの開発も進めている(図5/略)。データ取り込み用の端末自体を看護師が移動させるカートに搭載させたもので、各病棟に数台導入すれば済み、導入費用を抑えられる。2017年内には病院などへの納入を始めたい考えだ。



http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20170118-OYTNT50177.html
手術訓練へ大規模施設 名古屋市立大
2017年01月19日 読売新聞

◆献体使って実践的に

 内視鏡などを使う難手術を担う医師の技術向上につなげようと、手術のトレーニング施設を備えた「先端医療技術イノベーションセンター」が名古屋市立大学医学部(瑞穂区)に完成した。献体された遺体を使い、実践的なトレーニングができるのが特徴。2月から運用を始める予定で、外部の医療機関の医師の研修も受け入れる。(野村順)

 同市立大によると、高度な内視鏡や腹腔ふくくう鏡などの手術の技術を磨くにはこれまで、動物や機械装置を使って行うのが一般的だったが、人体と比べると実践的ではないという。献体を活用する場合でも、医学生が使う解剖実習室で行わざるを得ず、多人数の研修には制約があるという。

 そこで、市立大は本格的な研修施設を桜山キャンパスに整備しようと、厚生労働省に申請。県の補助金も財源にし、約1億5000万円かけて完成させた。手術台5台を配備しており、こうした大規模な研修専用施設は極めて珍しいという。

 センターは広さ約400平方メートルで、医学部基礎教育棟の6階に整備。研修室となるサージカル・トレーニングルームは遺体保管室の隣につくり、最新鋭の内視鏡装置2台、エックス線の透視装置3台を用意。多人数が一度に手術の研修ができるようにした。

 手術の訓練以外にも、産学連携による新たな医療技術や医療機器の開発にもつなげたいという。

 内視鏡などの手術は患者への負担が少ないが、医療事故は増えているといい、12日に開かれた内覧会では、センター長の植木孝俊・市立大教授(統合解剖学)が施設の重要性を強調。見学した同大医学部6年の女子学生は「『手術は実践で勉強しろ』と言われていますが、献体の遺体で練習できる機会が増え、失敗するチャンスがあるというのはとてもいいと思います」と話した。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t221/201701/549825.html
シリーズ◎どうなる新専門医制度
新専門医制度、6都府県は専攻医募集に上限
過去数年の専攻医の採用実績を基に検討

2017/1/18 加納 亜子=日経メディカル

 日本専門医機構は1月13日に理事会を開催し、新専門医制度で専門医資格の取得を目指す専攻医を募集する際に、東京や大阪などの6都府県の募集定員に上限を設ける方針を決めた。定員数は、過去の専攻医の採用実績を参考に決める考えだ。

 これは、指導医や症例数が多い基幹施設や都市部の医療機関に専攻医が集中し、医師の地域偏在が進むことを懸念する声を受けたもの。「最終的な上限の設定方法や設定地域は各基本領域の学会に調査を行い、そのデータを基に調整をしながら決定する」と同機構副理事長の山下英俊氏は話す。

 現時点では初期臨床研修と同じように、大都市圏の東京と神奈川、愛知、京都、大阪、福岡の6都府県で上限を設定することを想定しており、「遅くとも3月までには具体的な数値を示す」(山下氏)見込みだ。

 ただし、なり手が減り続けている4つの基本領域(外科、産婦人科、病理、臨床検査)については、上限の設定により今以上に専攻医数が減少し、診療科偏在が助長する恐れがあることから、上限設定の適応外とする考えも明らかにした。

 山下氏は理事会後の記者会見で、12月に公表された「新整備指針」の「運用細則」で定める、サブスペシャルティの基本的な考え方などについても議論を進めていることを説明。2月に開催される次回の理事会でこれらを最終的に決定する見通しを示した。

再燃する総合診療専門医の在り方への議論

 その他、理事会では総合診療専門医の在り方についても、改めて議論がされていることも明らかになった。

 副理事長の松村謙二氏は、同機構の総合診療専門医に関するワーキンググループや「基本問題検討委員会」などで議論を重ねた結果、「地域医療のニーズに合わせて診療科を超えて幅広く対応できる『地域医療を担える医師』を育てていこうという考えで一致している」と説明。しかし、総合診療科を基本領域とする必要性に疑問を呈する声を始め、研修内容の不十分さや研修期間の短さを指摘する声など「いろいろな意見が出ている」とも発言した。

 一方、記者会見で基本領域の専門領域の数について改めて尋ねられた理事長の吉村博邦氏は、「基本領域は19で変わりはない」と発言。「基本はきっちり守っていきたい」と機構としての方針を示した。

「地域医療を担える医師」とは?

 総合診療専門医の在り方について、1月15日に開催された「地域医療研究会シンポジウム」で登壇した日本プライマリ・ケア連合学会副理事長の草場鉄周氏は、厚生労働省の専門医の在り方検討会の最終報告書で、「日常的に頻度の高い疾病や傷害に対応できることに加えて、地域によって異なる医療ニーズに的確に対応できる『地域を診る医師』の視点が重要である」と記載されていることを強調。

 その上で草場氏は「総合診療専門医は『かかりつけ医機能』の強化を図る上で、その機能の背景にある学術的な深みを体現し、診療のみならず教育・研究にも注力する医師集団であり、1つの学術的専門領域である」と発言。学術的な専門領域の医師として、「日本のプライマリ・ケアの質を向上するために欠かせない集団として、じっくり丁寧に育成すべきであり、プライマリ・ケアを担う医師がすべからく持つべき専門医資格と捉え、意図的にプログラム要件を易しくすることは、適切ではないのではないか」(草場氏)と疑問を呈した。

 加えて草場氏は現状の議論の進め方について、「これまで、長い時間を掛けて議論を重ねてきたにもかかわらず、今になって再び総合診療専門医の必要性を問う意見が出ていると聞く。議論の寄り戻し方が少し乱暴なのではないかとも感じている。とはいえ、総合診療医の専門医資格の取得を目指す専攻医への影響は最小限にしなければならない。今後も引き続き丁寧な議論を重ねていかなければならないだろう」と話している。


  1. 2017/01/19(木) 05:42:14|
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