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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月17日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/493134?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170117&dcf_doctor=true&mc.l=201665732&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 2016年の医療界:1000人アンケート
2017年の注目トピック、1位は「新専門医制度」◆Vol.6
「医療事故・訴訟関係」への注目も上昇

2017年1月17日 (火) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 2017 年の注目トピックスは何ですか【複数選択】
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 m3.com編集部が選んだ2017年の医療関連で注目すべき24トピックから、複数選択でもらった。1人当たりの選択数は3.6だった。

 1位は、2年連続で「新専門医制度の動向」という結果になった(2015年の調査結果は『2016年、注目度1位は「新専門医制度」◆Vol.6』を参照)。開業医、勤務医の別では、勤務医の方がより関心が高かった。

 2位は「医療事故・訴訟関係、医療事故調査制度」。2015年調査の5位から上昇した。2015年10月からスタートした医療事故調査制度は、2016年6月の改正で各都道府県と中央にそれぞれ支援団体の協議会を設置することが決定。2016年末には「中央医療事故調査等支援団体等連絡協議会」が発足するなど、制度変更が続いている(『“事故調”支援団体の中央協議会、29団体で発足』を参照)。

 3位は、2017年度から本格化する「2018年度の診療・介護報酬の同時改定に向けた議論」。開業医の方がより関心が高かった。

 4位は「医師の勤務環境の改善」、5位は「医師の地域・診療科偏在の対策」で、1~2月には厚生労働省「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が2016年末に実施した医師10万人調査の結果が報告される予定。

6位以下の注目トピック
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■回答者の性別
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【調査の概要】
・調査期間:2016年12月16日-2016年12月17日
・対象:m3.com医師会員
・回答者数:1015人(開業医338人、勤務医667人)



https://www.m3.com/news/general/494519
詐欺容疑で診療所院長逮捕 性病と虚偽診断、警視庁
2017年1月17日 (火) 共同通信社

 60代の男性会社役員に性感染症と虚偽の診断をし、薬代名目で現金をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は17日、詐欺容疑で診療所「新宿セントラルクリニック」(東京都新宿区)院長の林道也(はやし・みちなり)容疑者(69)=新宿区=を逮捕した。捜査関係者によると、林容疑者は「それは間違っています。後で説明します」と容疑を否認している。

 クリニックを巡っては、この会社役員を含め計3人が同様の被害を訴えて警視庁に告訴しており、捜査2課は裏付けを進める。

 逮捕容疑は2012年9~12月、受診に訪れた東京都国分寺市の会社役員に血液検査をした際、クラミジア感染症ではないのに「陽性だった」と虚偽の診断をし、処方した薬代を十数回にわたり計約2万6千円詐取した疑い。

 捜査関係者によると、血液検査の解析を委託した会社の検査結果用紙は通常、数値が上回ったら陽性と判断する基準値と、実際の患者の数値を記載する。林容疑者は基準値を極端に低く書き換えた結果用紙を診察した人に渡し、「陽性」と伝えていたという。

 会社役員は診断に基づいて投薬治療を続けたが体調が改善しなかったため、同12月に別の病院を受診。陰性と診断されたため、14年4月に詐欺容疑で警視庁に告訴した。

 また会社役員を含め、複数の男性が林容疑者に損害賠償を求めて提訴。会社役員については昨年2月、別の40代男性は同6月に、最高裁で林容疑者に賠償を命じる勝訴判決が確定している。

 林容疑者は昨年11月、共同通信の取材に「やましいことは何もない」と容疑を否認していた。



https://www.m3.com/news/general/494521
「やましいことない」 林容疑者の一問一答
2017年1月17日 (火) 共同通信社

 警視庁に詐欺容疑で逮捕された新宿セントラルクリニック院長の林道也(はやし・みちなり)容疑者(69)は昨年11月、共同通信の取材に容疑を否認していた。主な一問一答は次の通り。

 ―クラミジア感染症とうその診断をした疑いがある。

 「(被害者の男性が)言い掛かりをつけているだけだ。うその診断をしてもうかるわけでもない。経営も苦しくなく、お金にも困っていない。そんなことをする必要はないし、やましいことは何もない」

 ―症状がないのに薬を処方したのか。

 「そもそも疑われる症状があるから、患者は診察に来る」

 ―血液検査で感染を判断するための基準値を改ざんしたのか。

 「基準値は設定が古く、基準値以下で症状が出る人も多い。検査キットのメーカーの研究者に問い合わせて示された数値で判断している」

 ―被害者のセカンドオピニオンでは感染がないと診断された。

 「(新宿セントラルクリニックで)治療していれば、症状は治まる。その後で性病の所見がないのは当たり前だ」

 ―民事訴訟で賠償命令が出ている。

 「裁判官も弁護士も医学的な知識がなく、理解してもらえなかった。行政処分も受けていない。今(昨年11月)でも営業していることが、自分が正しいという証しだ」



https://www.m3.com/news/general/494500
[医療改革] 医療費の「見える化」で地域格差縮減 専門調査会
2017年1月17日 (火) 厚生政策情報センター

医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会 第2次報告書 (1/12)《首相官邸》
 政府の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」は1月12日、「第2次報告」をまとめた(p1~p52参照)。2018年度からスタートする「第3次医療適正化計画(2018年~2023年)」の策定に向けて医療費の地域格差を「見える化」し、不合理な格差がある場合はその縮減に注力していく方針を打ち出した(p11参照)。

 高齢者の医療の確保に関する法律の規定で、都道府県は6年ごとに「医療費適正化計画」を策定しなければならない。計画には最終年の医療費の目標値も盛り込むが、第3次医療費適正化計画ではこの目標医療費の推計に、▽病床機能の分化・連携の推進 ▽後発医薬品の普及(数量シェア800) ▽特定健診・保健指導の実施率向上(健診700、保健指導450) ▽糖尿病の重症化予防 ▽重複・多剤投与の是正―といった、医療費適正化の取り組みの成果を織り込むことが決まっている(p15~p22参照)。

 2次報告は、実際にこの手法を用いて2023年の全国の医療費を機械的に計算すると、入院医療費は19.8~20.1兆円、入院外・歯科医療費は29.7兆円になると推計。このうち入院外・歯科医療費は、医療費適正化を行なわなかった場合の医療費30.3兆円に比べて、0.6兆円の縮減効果が期待できるとしている(p54参照)。

 医療費の地域格差については、国、都道府県、保険者、医療提供者が一丸となって医療費適正化に取り組むためには、各地の医療費の状況を「見える化」して、地域間の比較が可能な状態にする必要があると指摘。具体策として、国が都道府県および2次医療圏ごとの疾病別医療費のデータ(受療率、人口1人あたり日数、1日あたり診療費など)を公表して、都道府県に活用してもらうことを提案した(p11~p14参照)(p54参照)。

資料1 P1~P54(2.0M)
https://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201701_3/2937_2_1_1484624048.pdf



https://www.m3.com/news/iryoishin/494266
シリーズ: 新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会
「14の医師偏在対策、議論深化を」、今村日医副会長
日医、行政、現場の医師、計5人にヒアリング

2017年1月16日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長:渋谷健司・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)の第8回会議が1月16日に開かれ、日本医師会副会長の今村聡氏は、急ぐべき課題は医師の偏在対策であり、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の中間とりまとめが示す14項目の対策を深めるための議論を行うべきと主張した。

 同会議では、今村氏のほか、青森県、現場の3人の医師へのヒアリングを実施。1月26日の次回会議でも、日本看護協会など職能団体と現場の医師、計6人程度にヒアリングを行う予定だ。

 ビジョン検討会の議論の重要なデータとなる、約10万人の医師を対象に実施した「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」は、現在集計中だ。非公開で行われた同検討会後のブリーフィングで、厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「なるべく早いタイミングでまとめ、次回、もしくは次々回のビジョン検討会に提出し、議論してもらう予定。調査結果を公表するタイミングは、渋谷座長と検討する」と説明した。

 フリーランス医師への対応、検討進む

 今村氏が指摘した中間とりまとめは、「医療従事者の需給に関する検討会」が昨年5月の会議で意見集約したもの(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。しかし、ビジョン検討会が2016年10月に発足、「医療従事者の需給に関する検討会」の議論は、ストップしている(『「異例かつ非礼」「異常事態」、医師需給推計の進め方に疑義』などを参照)。

 今村氏は、14項目のうち、(1)フリーランス医師への対応、(2)医療事業の継続に関する税制――については、具体化が進んでいることから、他の12項目についても速やかに議論をすべきと提言した。さらに、医療提供の在り方も、技術革新等により急激に変化する可能性があるため、定期的に医師需給を検証・見直しをする体制も必要だとした。

 (1)のフリーランス医師への対応については、労働政策審議会職業安定分科会が2016年末、「職業紹介事業者は、業務に係る実績(職業紹介により就職した者の数および就職した者のうち、6カ月以内に離職した者の数)および低数料に関する事項について、インターネットにより情報提供しなければいけない」などの方策を提言している。

 (2)については、2017年度の税制改正要望で、「過疎地域、離島地域等において必要な医療を提供する医療機関(医療法人等)について、一定の期間の事業継続等を要件として、事業の継続に関する相続税、譲与税等の猶予等の措置を講ずる」ことが盛り込まれている。

 女性医師の活躍の仕組み、男性医師にも有用

 16日のヒアリング対象者はそのほか、青森県健康福祉部長の一戸和成氏、大阪赤十字病院新生児・未熟児科副部長の坂本晴子氏、英国家庭医療専門医の澤憲明氏、東京ベイ・浦安市川医療センター心臓血管外科部長の田端実氏の4人。

 検討会後の厚労省ブリーフィングによると、一戸氏は、青森県は病院再編や医師集約に取り組んでいるものの、医師の絶対数自体が不足していることから、「都道府県単位の偏在対策には、国の規制的な手法が必要ではないか」と指摘。また青森県は、卒後10年目以降に当たる、30代後半医師が全国平均と比べて特に少ないことから、この世代の医師が一定程度勤務するようになれば、医師不足の解消への効果が期待でき、若手医師育成にも好影響があるとした。

 坂本氏は、3人の子供の育児をしながら臨床医を続ける女性医師の立場から発言。「女性医師が活躍できるための制度や取り組みは、男性医師にとっても有用」と指摘。多様な働き方が可能になるよう、行政のサポートも求めた。さらに患者が医師の働き方を理解した上で、適切に医療を受けるようにしてもらうための方策も必要だとした。

 澤氏は、イギリスの家庭医を紹介。同国では、家庭医を目指す医師が多く、領域別専門医と同水準に収入を得て、ワークライフバランスも保ちやすい環境にあり、国民からも信頼される職業だという。ワークライフバランスを保つには、グループ診療、時間外専門サービスとの連携、多職種連携・分担などが求められる。

 田端氏は、「一人前の外科医を養成にするには、何が必要か」という視点から発表。数多くの症例数をこなすために手術症例の集約、チーム医療、養成カリキュラムが必要であり、症例数という点からも、大学病院ではなく、一般病院が外科医養成のカギとなると指摘。またその際の組織の在り方も、ヒエラルキーではなく、フラットな組織にすることが大切だとした。東京ベイ・浦安市川医療センターでは、「診療看護師」が活躍していることも特徴で、コメディカルと共同する大切さを説いた。



http://www.huffingtonpost.jp/masahiro-kami/young-doctor-and-new-specialist-system_b_14216382.html
[若手医師が注意すべき、新専門医制度との付き合い方
上昌広 特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所 理事長
投稿日: 2017年01月17日 16時14分 JST 更新: 2017年01月17日 16時14分 JST

2017年が明けた。今年は医療界にとって試練の年になるだろう。

若手医師にとって重要なのは、新専門医制度との付き合い方だ。私は、この制度について聞かれると、逆に「専門医資格をとるのは何のためですか」と質問することにしている。

「技術レベルの向上」や「専門医資格がないと将来は就職できない」と答える人が多い。果たして、本当にそうだろうか。

若手医師が進路を考える上で注意すべきは、我が国の医療が都市部から崩壊していることだ。コストは高いのに、診療報酬は全国一律だからだ。経営改善のためには人件費を削るしかない。昨年は聖路加国際病院にも労基署が入り、サービス残業の問題が指摘された。

最近、首都圏の有名病院で研修している医師と話す機会があった。彼は「医局での話題は給料が安い、待遇が悪いばかりだ」という。

この病院を受診する患者は多いが、医師も多い。このため、医師一人あたりの患者数は、地方の一般病院より少ない。彼が「多くの若手医師が医局で暇そうにだべっている」と言うのも頷ける。

この事実は、多くの基幹病院で、医師が過剰になっていることを意味する。私は、医師数を半分に減らし、給与や症例数を増やせばいいと思うが、一筋縄ではいかないらしい。以前、この病院の幹部を務めた医師は「出来るだけ多くの若手医師を抱えたいというのは経営者の本能」という。多くの医師を抱えることが自己目的化し、病院経営の効率より優先されているのだ。

このように考えれば、昨年の新専門医制度をめぐる大学教授たちの議論も納得がいく。ただ、こんなことが長続きする筈がない。

それは、大学病院が得意とする高度専門医療は、既に「選択と集中」が進んでおり、大きな成長が期待出来ないからだ。

例えば、首都圏のがん治療は癌研有明病院の一人勝ちだ。大学病院は歯が立たない。大学病院は、補助金(研究費や製薬企業からの資金援助を含む)なしでは立ちゆかないし、若手医師が、新規技術を身につけても、彼らを雇用し、新たにがんの高度医療をやろうとする医療機関は少ない。「レッドオーシャン」と言っていい。

高齢化社会では医療ニーズも変化する。従来型の高度医療より、終末期や認知症医対策、在宅・遠隔・コンビニ医療などが求められる。このような領域は成長する。若手医師の多くは、このような分野で雇用されるはずだ。

重要なのは、このような分野を主導するのが大学病院よりも、地方の民間病院の可能性が高いことだ。現に、福島県内では、いわき市のときわ会グループや平田村のひらた中央病院など、優秀な経営者が率いる民間病院の躍進が目覚ましい。

若者がとるべき戦略は、このような組織に軸足をおいて経験を積むことだ。大学病院など専門機関は、もし習得すべき技術があれば、短期間だけ研修に行けばいい。議論されている中核病院と協力病院の関係とは正反対になる。

若手医師は、いまこそ、自らの将来を真剣に考えるべきだ。中途半端な専門医資格など必要ない。若い時間は貴重だ。実力をつけなければ、将来路頭に迷うことになる。

現行の医療制度は早晩、破綻する。国が一律に価格を決め、赤字の組織には損失を補填し、業界は国の意向ばかり伺っているからだ。このやり方は、国が支えきれなくなればもたなくなる。

その証左が銀行業界の歴史だ。筆者は87年に東大に入学した。バブル経済の真っ盛りに学生時代を過ごした。全学の剣道部に所属したため、多くの友人が銀行に就職した。悲しいかな、銀行業界の淘汰再編の中で、多くが挫折した。自分の頭で考えた、一部の人たちは、はやばやと他業種や海外の企業に転職した。そして、成功を収めた。

護送船団という点で、医療界は、かつての銀行業界と酷似する。同じような展開を辿るだろう。

若き医師たちが生き残るためには、自らの頭で考え、そして行動しなければならない。今年を、その最初の年として欲しい。

*本稿は「医療タイムス」に掲載した文章に加筆修正したものです。



http://medg.jp/mt/?p=7253
MRIC by 医療ガバナンス学会 メールマガジンVol.010
新専門医制度の新しい展開

森田麻里子
医療ガバナンス学会 (2017年1月17日 06:00)

1年間の開始延期が決まった専門医制度だが、ここにきてようやく進展が見られた。12月16日の理事会で、専門医制度整備指針の改訂案が公表された(http://www.japan-senmon-i.jp/news/doc/sinseibisisin2016.12.16.pdf)。地域医療に配慮するとか、プログラム制を緩和してカリキュラム制も認めるとの文言が盛り込まれたが、その詳細は議論されておらず、大枠はほとんど変わらない。
専門医制度の最大の問題点は、専門医の能力・実績を評価するかわりに、研修期間や研修場所で評価しようとしている点だ。そのために地域医療や若手医師のキャリアに様々な問題が生じている。確かに能力自体を評価するのは難しいが、それなら症例数で評価すればいい。同じ期間でも経験症例数の違いによって達成度は大きく違う。

この点を詳しく指摘しているのは、仙台厚生病院で医学教育支援室長を務める遠藤希之医師だ。遠藤医師の発表したデータは衝撃的だ。国公立大学病院の内科系年間退院患者数(2015年度)を調べると、8000人を超える病院は横浜市立大学と東京大学の2つしかない一方で、3000人を割る病院が7つ、年間3000-4000人の病院が15もある。一方で、仙台厚生病院、倉敷中央病院、小倉記念病院といった実力ある市中病院では10000人を超えている。

後期研修医一人当たりの症例数で考えるとどうだろうか。国公立大学で一人当たりの内科系年間退院患者数が1000人を超えるのは名古屋大学のみであり、900の大学が400人以下、6つの大学で100人を割る。一方で、仙台厚生病院は1026人、南相馬市立総合病院はなんと1430人である。新専門医制度では、一部の科を除き全ての都道府県で大学病院が責任基幹施設となっているが、とても十分な症例数があるとは言えない。被災地の医師不足病院の方がよほど多くの症例数を経験することができるのだ。

そう考えると、研修医は地域の病院に所属して一般的な症例をたくさん経験しつつ、まれな疾患の経験が必要な場合には大学や専門病院へ研修をしに行くのが合理的だ。他院での研修中の給与は所属病院で出せばいい。しかし今回の整備指針は正反対のルールになっている。研修医は大学を中心とする基幹病院に所属しなければならないが、不十分な症例数を補うために他院で研修する間の給与は、基幹病院からは出さないというのだ。大学は人事に口は出すがお金は出さないということである。そのような上下関係の根拠はいったいどこにあるのだろうか。

市中病院にいながら研究をすることも可能だ。南相馬市立総合病院では震災後、若手医師によって発表された論文数が年々増加し、2015年は年間20報を越えた。つい最近でも、外科後期研修医の澤野医師が除染作業員の健康状態について調査した論文がBMJopenに掲載された。仙台厚生病院でも元東大教授の加藤茂明医師によるサポートを受け、若手医師の論文やケースレポートが英文雑誌に受理されるようになった。

神奈川県立病院機構の土屋了介医師は、外科の専門医が多すぎる、専門医取得に必要な症例数をもっと増やすべきだという。土屋医師が提案するのは、研修プログラムに入るのは自由だが、決められた症例数をクリアできなければ専門医にはなれないという仕組みだ。「医師偏在」対策として研修プログラムの定員を制限するよりずっと合理的である。若手医師は、自分がたくさんの症例数を経験できる病院を選べば良い。

現在の議論では、専攻医という安い労働力をめぐって、ステークホルダーの力関係で制度が決まろうとしている。20年後の日本の医療を真剣に考えること、プロフェッショナルオートノミーがまさに試されているのではないか。

参考:平成27年度 日本内科学会認定医制度 教育病院・大学病院年報
平成27年度 日本内科学会認定医制度 教育関連病院年報



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50394.html
[救命救急センター長の1割超が要件満たさず- 厚労省調査、技量不十分な恐れも
2017年01月17日 17時00分 CB news

 全国の救命救急センター長の1割超が要件を満たしていないことが、厚生労働省の調査で分かった。重篤患者を受け入れる施設であるにもかかわらず、知識や技量が不十分な医師が責任者となっている恐れもあるため、厚労省は要件を満たしていないセンター長がいる医療機関に対し、人員体制を改善するよう求めている。【新井哉】

 調査は、全国の救命救急センターの充実度を点数化して評価するもので、2015年3月末までに運営を始めた279カ所が対象となっている。

 調査では、救命救急センター長に関する評価項目として、救命救急センターに専従している医師であることに加え、▽日本救急医学会の指導医▽救急科専門医▽客観的に救急医療に関する指導者として評価を受けている医師―を提示。これに該当せず、是正が必要とされた救命救急センターが29カ所あった。

 厚労省の救急医療対策事業実施要綱(医政局長通知)でも、救命救急センター長の要件として、重症や複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者に適切に対応できる「三次救急医療の専門的知識と技能」、高度な救急医療・救急医学教育に精通していると客観的に評価されている「専任の医師」を挙げている。

 こうした要件を満たしていないケースについて、厚労省は「救命救急センターは救急医療の“最後の砦”として機能しているので、人員体制をしっかりと整えることが望ましい」としている。ただ、地方では都市部と比べて人員・設備が整っていない施設が少なくない。こうした状況を踏まえ、厚労省は今後、救命救急センターの機能強化につながる評価方法を策定する方針だ。



https://www.m3.com/news/general/494468
[判断低下や視力衰えも考慮 専門家交え6月に提言
2017年1月17日 (火) 共同通信社

 高齢ドライバーによる交通事故を減らすため、警察庁が16日に開催した初の有識者会議には、関係省庁の担当課長らに加え、医療や福祉、交通工学などの専門家17人が参加した。判断力低下や視力の衰えといった高齢者の身体的特性を踏まえた議論を進め、6月までに事故防止の施策を取りまとめ、各省庁局長級で構成する政府のワーキングチームに提言する。

 会議の冒頭、警察庁の井上剛志(いのうえ・たけし)交通局長は「超高齢社会の到来を迎え、運転者の事故防止は喫緊の課題」とあいさつ、安全教育、免許証の自主返納の促進、高速道路の逆走対策などを課題として挙げた。

 専門家の顔ぶれは、交通事故学を専門とする早稲田大の石田敏郎(いしだ・としろう)教授や日本認知症学会の秋山治彦(あきやま・はるひこ)理事長、日本医師会の鈴木邦彦(すずき・くにひこ)常任理事ら。今後、さらに4回の会合を予定している。

 政府は、横浜市港南区で小学生の集団登校の列に80代男性の車が突っ込んで7人が死傷するなど重大事故が続いたことから、昨年11月に関係閣僚会議を開催。安倍晋三首相は「社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備」などを指示し、事故防止対策のほか、自動車運転に代わる高齢者の移動手段確保などを検討課題とした。



https://www.m3.com/news/general/494470
[生活の足]どう確保 免許取り上げでは解決困難 高齢ドライバーの重大事故
2017年1月17日 (火) 共同通信社

 高齢ドライバーによる事故防止策を議論する警察庁の有識者会議が16日始まった。道交法改正で認知機能のチェックを厳格化し、運転免許の自主返納を促すなどの取り組みが進むが、公共交通網が整った都市部以外ではマイカーが「生活の足」という現実は変わらない。高齢化が進む中、代替手段の確保が大きな課題になっている。

 ▽臨時検査を導入

 「どこをどう走ったか覚えていない」。横浜市で昨年10月、集団登校中の児童に軽トラックが突っ込み7人が死傷した事故。運転していた男(88)は前日から神奈川県内外を夜通し走り続けていたとみられている。捜査当局は認知症の疑いがあるとみて男を鑑定留置し、当時の精神状態を捜査中だ。

 ブレーキとアクセルの踏み違えなどによる事故の発生率は高齢者に多く、瞬時の判断力など認知能力の低下が大きな要因と考えられている。3月施行の改正道交法ではこれまで免許更新時に実施していた認知機能検査を、75歳以上の運転者が逆走や信号無視などの違反をした場合に臨時で実施することにしている。

 検査後に医師が「認知症」と診断すれば免許取り消しか停止になる。警察庁の試算では、改正法施行後は2015年の10倍以上の年間約5万人が医師の診断を受け、約1万5千人(15年は1472人)が免許取り消しや停止になる見通しだ。

 ▽支援が不可欠

 警察庁はこうした対策とともに免許の自主返納促進にも力を入れる。だが、返納率の地域差は大きく、15年は東京都が5・03%だったのに対し、三重県は1・22%、岐阜県が1・46%など低調だ。代替手段の整備が進まない地方では免許を取り上げれば高齢者を苦しめるだけになってしまう。

 人口の減少が続く中、地方の鉄道やバス路線の多くは採算が取れず、縮小や廃止の危機にさらされる。交通政策に詳しい貝山道博(かいやま・みちひろ)・東北文化学園大教授(都市・地域経済学)は「特に中山間部の移動手段確保は必須。公営バスや乗り合いタクシーの整備には予算が必要で、国の支援も重要だ」と指摘する。

 国土交通省は14年に改正した地域公共交通活性化再生法で、地域交通ネットワークの再編に取り組む事業者と自治体、住民を支援する仕組みを整備した。バス路線を効率化し、コストの低い小型バスや乗り合いタクシーで補うなどの計画を作れば、国が補助を手厚くする仕組みだ。

 ▽ハイテク

 急速に発達してきた自動運転技術を活用する構想にも期待が集まる。内閣府は、3月から沖縄県南城市で路線バスを自動運転で走行させる実験を開始。国交省も17年度から、「道の駅」と中山間地の集落の間で、自動運転車で住民や生活用品を運ぶ実験を始める。

 ただ、自動運転にはさまざまな課題があり、国交省が目指す20年度の実用化は不透明だ。

 各地で高齢者の重大事故が相次ぎ、危険防止の対策は急スピードで進む。こうした中、国立長寿医療研究センターの荒井由美子(あらい・ゆみこ)長寿政策科学研究部長は高齢者の尊厳にも配慮を求めている。「孫の送り迎えなど運転を生きがいにしている高齢者もいる。免許の返納がつらい決断になることを周囲が理解して、精神的にケアすることも重要だ」



https://www.m3.com/news/general/494466
[死亡事故、75歳以上2倍超 操作ミスが3割 高齢化対策必至 初の分析、警察庁
2017年1月17日 (火) 共同通信社

 2015年に75歳以上のドライバーによる死亡事故は458件で、運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は9・6件となり、75歳未満の4・0件の2倍を超えていたことが16日、警察庁のまとめで分かった。ハンドルやブレーキなどの操作ミスが3割に上ることも明らかになった。

 高齢ドライバーの重大事故が相次いだことから、3月には75歳以上の運転者への認知機能検査を強化する改正道交法が施行される。これを踏まえ、75歳以上に絞った詳細な分析を初めて実施し、この日始まった有識者会議に結果を報告した。

 警察庁によると、75歳以上の免許保有者は、05年末に236万人だったのに対し、15年は477万人に増加。25年ごろには「団塊の世代」による大幅増が予想され、一層の対策が求められる。

 75歳以上の死亡事故は05年以降、毎年400件台で横ばいが続いている。しかし、死亡事故の総数は70年をピークに減少傾向にあるため、75歳以上が占める割合は右肩上がりの状況で、割合は05年の7・4%から15年の12・8%へ大幅に上昇している。

 事故の要因では458件のうち、ハンドル操作やブレーキ、アクセルの踏み間違いなど「操作不適」が134件で29・3%を占めた。106件の「安全不確認」が23・1%、85件の漫然と運転するなどの「内在的前方不注意」が18・6%で続いた。

 ブレーキとアクセルの踏み間違いを巡っては、11~15年に計226件の死亡事故があり、75歳以上が半数近い109件を占めた。年齢層別で最も多かったのは80~84歳の53件で、23・5%に達した。65歳未満は48件で、21・2%だった。

 警察庁は、都道府県別の状況も分析。75歳以上について免許人口10万人当たりで死亡事故件数を見ると、東京が2・35件、大阪が3・98件に対し、石川が25・07件、福井が23・30件と地域差がある実態が浮かんだ。

 免許の返納率では、東京の5・03%、大阪の5・41%は全国平均の2・77%を大きく超えている。地方に比べ都市部の方が鉄道など車に代わる公共交通の整備が進んでいることが影響しているとみられる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/494588
[「薬価の毎年改定、対象薬は限定を」、畑中製薬協会長
乖離率が一つの議論のベース、定例記者会見で説明

2017年1月17日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本製薬工業協会会長の畑中好彦氏は1月17日、定例の記者会見で、薬価制度の抜本改革の議論に積極的に参画していく姿勢を示した上で、2016年末に政府が打ち出した「薬価の毎年改定」については、慎重かつ丁寧な議論が必要とし、対象薬は可能な限り絞り混むように求めた。

 「薬価の毎年改定」は、2016年末、政府方針として打ち出された検討課題(『安倍首相、「薬価制度、引き続き諮問会議で議論」』を参照)。畑中会長は、「医薬品の全品について薬価調査を実施し、毎年改定を行うことについて、本年中に結論を得るとされている。イノベーション創出や医薬品の安定供給、診療報酬体形とのバランス等の観点から、慎重かつ丁寧な議論が必要」と求めた。

 その上で、畑中会長は、「製薬協はもともと毎年改定については、さまざまな観点から反対してきた立場なので、可能な限り、対象薬を絞り込むような方法を提言していく」と主張。過去数年の薬価調査における、薬価と取引価格の平均的な乖離率は7~8%となっていることから、畑中会長は、対象薬の目安について、「この乖離率が一つのベースになると考えている」としつつ、「現時点では、何らの具体的な指針、あるいは議論もされていないと認識している。『こうした形にすべき』と言うのは、時期尚早と考えている」と語った。一方で、薬価制度の抜本改革のベースとなるのは、新薬の収載時のイノベーション評価であると主張。新薬創出・適応外薬解消等促進加算の改革も予定されているが、予見性が高く、長期の開発投資を可能とする制度を求めていくとした。

 これらの製薬協の主張については、中央社会保険医療協議会での業界ヒアリングの場で説明していくとともに、政治家、厚生労働省、日本医師会、日本薬剤師会などとの対話を続けながら理解を求めていく。

 レセプト等のデータを活用した「データヘルス計画」については、医薬品については安全性データが重要であり、副作用情報の収集での利活用が想定されるとした。「将来的には創薬においても価値あるデータベースになっていくと思う」(畑中会長)。

 1月20日に誕生する、米国のドナルド・トランプ新政権による製薬業界への影響については、医薬品製造の米国への回帰、医薬品の価格引き下げ、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉離脱などを挙げた。畑中会長は、「医薬品の価格については、選挙中から言及していた。製造の米国回帰も他産業でも言われている」とし、「特に医薬品の価格は、各国の共通課題であり、薬剤へのアクセスをいかに確保するか、という流れから出ている。米国固有あるいは新政権固有の話ではないと認識している」との見解を示した。

 一方で、研究開発型の製薬産業として、創薬イノベーションを推進していくとし、(1)AMED(日本医療研究開発機構)との連携強化、(2)臨床研究・治験実施機能の拡充、(3)PMDA(医薬品医療機器総合機構)等との連携推進、(4)世界の医薬品アクセス向上、(5)産業理解の一層の推進――に取り組んでいく方針を掲げた。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17I1P_X10C17A1TJC000/
[製薬協会長、薬価の毎年改定「対象絞り込みを」
2017/1/17 19:46 日本経済新聞

 日本製薬工業協会(製薬協)の畑中好彦会長(アステラス製薬社長)は17日の記者会見で、2018年度から予定される薬価の毎年改定に関して「対象品を絞り込むよう提言していきたい」と述べた。医薬品の公定価格と医療機関の仕入れ値に近い実勢価格との差が大きい医薬品は見直し対象になるが、具体的な議論はこれからで「業界として前向きに議論に参画する」と強調した。

 政府は医療費を抑えるため16年12月、2年に1回の改定時期を毎年にする方針を決めた。今までは1度決まった薬価は原則2年間は変わらなかったのが、毎年変わる可能性があると「事業の予見性を損なう」として製薬業界は反対してきた。薬価制度の抜本改革については畑中会長は「慎重かつ丁寧な議論が必要」と主張した。

 公定価格と実勢価格の差がどのくらいある場合に、薬価見直しの対象になるかといった制度の抜本改革の具体的な内容は17年から議論が始まる。



http://mainichi.jp/articles/20170118/ddm/008/020/123000c
[OECD
高額薬、世界の課題 閣僚声明「政府、業界、患者で対話を」

毎日新聞2017年1月18日 東京朝刊

 経済協力開発機構(OECD)の保健相会合が17日、パリで開かれ、急増する高額な医薬品について、政府や製薬業界、患者団体など関係者による対話を促進することで適切な使用を進めることを目指す閣僚声明を採択した。日本からは塩崎恭久厚生労働相が出席。OECD事務局が各国政府に高額薬の増加への対応策の検討を求めていた。

 会合では、革新的で高額な治療・医薬品や、効率的ではない無駄な医療への対応をテーマにした会合が設けられた。日本では昨年、超高額ながん治療薬「オプジーボ(一般名・ニボルマブ)」の登場を契機に、高額薬の値下げや適正使用に関する議論が始まった。OECD各国も、高額薬の増加や高騰化する医療費の抑制が重要テーマとなっている。

 声明文は、新たな医療技術について「財政にも影響を与える」と指摘。患者の治療へのアクセスの確保 ▽医療制度の持続可能性の維持 ▽技術革新の評価--を求めた。それらを実現するため、OECDの取り組みに加えて「関係者間の対話が新技術の活用に関する課題解決に資する」と、全ての関係者が参加する議論を促した。

 医療制度に詳しい五十嵐中・東京大大学院薬学系研究科特任准教授は「高額な薬剤が、世界的に公的医療支出を圧迫し、給付に一定のメリハリを付けることが求められている。そのためには綿密な議論が必要で、政府が業界や国民と協力しながら考えていくことが必要だ」と話す。【細川貴代】



http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20170117/dms1701171530010-n1.htm
[『スイッチOTC薬』控除で家計の救世主となるか 専門家が検証「減税効果あるが条件や手間も」
2017.01.17 ZAKZAK

 薬局、薬店、ドラッグストアで、薬を購入することが多い人に朗報だ。1月から5年間の特例として、「スイッチOTC薬」の購入が年間1万2000円を超えた場合、所得税の一部が還付される医療費控除制度が始まった。ただ、利用には一定の条件をクリアする必要があるほか、確定申告が必要など手間も発生する。新制度は得か損か、専門家に聞いてみた。

 「スイッチOTC薬」とは、医師の処方箋が必要な医療用から、一般用に切り替わった医薬品のこと。OTCは「オーバー・ザ・カウンター」の略で、町の薬局などのカウンター越しに薬を買えることを意味する。

 今年から医療費控除の対象となるのは、厚生労働省が定める82成分のいずれかを含むスイッチOTC薬で、風邪薬の「パブロンSゴールドW錠」(大正製薬)や鎮痛剤の「バファリンEX」(ライオン)、胃腸薬の「ガスター10」(第一三共ヘルスケア)など、現在約1500品目ある。

 商品パッケージには識別マークが付くことになるとみられるが、表示は義務ではないため「マークのない在庫が優先して販売され、1~2月は、若干の混乱が生じる可能性もある」(業界関係者)。同じブランドの薬でも、成分によってスイッチOTCの対象商品でない場合もあるので、厚労省のホームページなどで確認したい。

 新制度は、対象商品を購入した金額が世帯当たり、年1万2000円を超えた場合、超過額(上限8万8000円)を、課税所得から差し引くことができる仕組みだ。

 ただ、注意しなければいけないのは、1万2000円を超えた金額がそのまま減税額になるわけではないということ。いくら戻ってくるかは、その人に適用される税率による。

 例えば、購入額が2万円なら8000円分に所得税がかからず、課税所得が400万円(所得税率20%)の人なら、1600円が浮く計算だ。個人住民税は800円安くなる。

 制度利用には、一定の“手間”も覚悟しなければいけない。

 税理士・ファイナンシャルプランナーの田中卓也氏によれば、控除を受けるには、所得税、住民税を納めていることが条件。さらに勤務先の健康診断や市町村のがん検診、特定健診(メタボ健診)、予防接種を受けるなど、その年中に「健康の保持増進や疾病予防のために一定の取り組みを行っている」ことも必要だ。

 制度の利用者は、健康診断などの結果通知表や購入した薬の明細が書かれたレシートまたは領収書などを添え、税務署に確定申告を行わなければいけない。

 レシートや領収書の保管で気をつけたいのは「5つの項目((1)商品名(2)金額(3)対象商品であることの明示(4)販売店名(5)購入日)が明記されているかどうか。よく確認した上で、家族分を保管してもらいたい」と田中氏はいう。

 従来の医療費控除と併用できない点も注意が必要だ。

 新制度は、比較的軽い症状の場合は市販薬で治療を済ませることで、膨らみ続ける医療費削減につなげたいとの思惑もある。所得控除の選択肢の一つとして、注目が集まるが、確定申告の手間などを考慮すると、控除される額を高いとみるか、安いとみるかは意見が分かれそうだ。



http://mainichi.jp/articles/20170118/ddm/016/040/004000c
[セルフメディケーション税制
軽い病気は市販薬で 年1万2000円超えで減税 スイッチOTC薬、領収書保存を

毎日新聞2017年1月18日 東京朝刊

 軽い病気は病院に行かず薬で治す人を後押しする制度が今月スタートした。「セルフメディケーション税制」といい、医療用から市販薬に変わった「スイッチOTC薬」の購入額(税込み)が年1万2000円を超えると税負担が軽減される。医療費削減が狙いで、市販薬の購入が多い家庭には経済的なメリットになる。だが、医療機関に行き遅れて重症化しないよう注意も必要だ。【堀井恵里子】

 知っていますか? セルフメディケーション税制--。1月6日、東京都千代田区のスギ薬局神田駅東口店。店内にこんな放送が流れ、入り口にはポスターも張られていた。制度開始に合わせて、対象商品であることを示すマーク=図<1>=入りの値札に取り換えた。購入者からの問い合わせはまだないというが、平山雄三店長は「制度が認知されれば、病院ではなく店舗に来てもらえる分もあるのでは」と話す。
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図1
 同税制は5年間の時限措置で、家族のスイッチOTC薬の購入額が計1万2000円を超えた分(最大8万8000円)が課税所得から引かれる。例えば、課税所得400万円の人が1年間で2万円買った場合、超過分は8000円。税率20%の所得税は1600円、税率10%の個人住民税は800円の減税となる=図<2>。

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図2

 控除を受けるには、1~12月の1年間のレシートを保存し、翌年に確定申告する必要がある。「健康を維持、増進する取り組み」と位置付けられているため、健診や予防接種など5項目のいずれか一つを受けていることも条件で、この領収書や結果通知表も保存しておかなければならない。

 対象は昨年12月公表分で1555品目。風邪薬「パブロンSゴールドW錠」(大正製薬)や鎮痛薬「イブA錠」(エスエス製薬)のほか、鼻炎薬、目薬、肩こりの貼り薬など幅広い。ただ、風邪薬の「ベンザブロックプラス」シリーズ(武田薬品工業)でも、のどの痛みや発熱向けは対象だが、鼻水向けは対象外など注意が必要なものもある。対象商品に付けられたマークなどが目印になる。対象品は原則2カ月に1回更新され、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html)でも確認できる。

 今も、年間の医療費の自己負担などの合計が年10万円を超えた場合の医療費控除があり、これとは併用できない。どちらが「得」か自分で判断する。

認知度の低さ課題

 同税制は製薬業界が以前から要望していた。厚労省も一般用医薬品の国内市場の停滞を踏まえ、セルフメディケーションでの一般薬の有用性を認めている。

 医療費削減を進めたい同省の思惑とも合致し、2016年度税制改正要望で「全市販薬」「家族で年1万円以上の購入」を対象とするよう求めていたが、財務省との折衝で対象範囲は縮小された。

 課題は認知度の低さだ。医療やヘルスケアの市場調査を手がける「アンテリオ」が昨年11月に実施した調査(有効回答1144人)では、「詳しく知っている」と回答した人は3%にとどまり、「名前は聞いたことがあるが、内容はあまり知らない」が10%、「名前は聞いたことがあるが、内容は全く知らない」が12%で、合わせても25%にとどまった。

 日本一般用医薬品連合会の担当者は「利用実績がないと5年後の延長や品目拡大につながらない。まずは購入者から質問を受けるドラッグストアなどの従業員によく理解してもらうことが大切だ」と話している。

受診遅れに注意必要

 世界保健機関(WHO)は、セルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義している。

 日本医師会の今村聡副会長は「世界では日本のように自由に医療機関にかかれないところもあり、セルフメディケーションがある。日本では仕事で医療機関に行く時間がない人への負担軽減と理解している」と話し、医療費削減と結びつけることには批判的だ。

 受診が遅れて重症化する懸念もある。今村氏は「風邪のような症状でもインフルエンザや肺炎かもしれない。自己判断で薬を飲むことのリスクを理解したうえで、上手に利用してもらうのが前提。薬を飲んでも症状が改善しない、飲むのをやめるとまた症状が出る場合は、早めに医療機関を受診した方がよい」と呼びかけている。

 セルフメディケーションは、本来は健康維持や病気予防などに幅広く取り組む「セルフケア」の一部とされ、運動や食事といった生活習慣の改善などと合わせた取り組みが大切だ。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170117-OYTET50019/
[[展望 2017]「患者ファースト」の理念
2017年1月17日 読売新聞 ヨミドクター

 「医療は独立して存在するのではなく、人の生活の中にある」

 8年前、1面連載「長寿革命」を取材した時、国立長寿医療研究センター名誉総長(当時は総長)の大島伸一さんはこう語った。

 この言葉は、阪神や東日本の大震災、昨春の熊本地震など、災害時を思い起こせば理解しやすい。まずは安心して過ごせる住まいと食事。次に家族や地域住民ら周囲の支え。これらがしっかりと存在してこそ、医療は有効に機能する。

 大島さんは言葉を続けた。

 「医療者と介護者、行政、住民らが役割分担し、連携して、高齢者を地域で支える。『治す医療』から『支える医療』への転換が必要です」

 国は今、地域ぐるみで高齢患者を支える「地域包括ケアシステム」の構築を進めている。この考え方をベースに病院の病床数を再編する「地域医療構想」を、全都道府県が今年3月までに策定する見込みだ。4月からはいよいよ実行段階に入るが、病院同士の利害もからみ、病床の調整が難しい地域もあるという。

 日本人の平均寿命は男性80歳、女性87歳を超え、過去最高を更新した。今後、複数の病を抱えて長生きする高齢者が増え、従来の専門分化した医師だけでは対応できなくなる。が、患者全体を診られる総合診療医と臓器別の専門医を地域にどう配置すべきか、具体的な道筋は見えない。

 昨年9月、久しぶりに会った大島さんの言葉からは、いらだちが感じられた。

 「医療者、大学、行政。それぞれが何をやるべきかは見えているのに、利害がぶつかり、なかなか動かない」

 今、各分野の当事者が問題を解決する上で必要なのは、利害を超えた「患者ファースト」の理念ではないか。

 がん、認知症対策、終末期医療の質の向上など、課題は山ほどある。ゲノム(全遺伝情報)や人工知能(AI)といった先端科学の医療への導入も研究が始まっている。

 喫緊の課題は、増え続ける国民医療費の抑制だ。近年、がん治療薬オプジーボなど超高額な新薬が続々と登場した。今年8月には、高額療養費制度で定める医療費の自己負担額が一部で高くなる。

 「人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ」。喜劇王チャールズ・チャップリンの有名なセリフだが、これからも「少しのお金」で誰もが満足な医療が受けられるのか、雲行きはいささか怪しい。どんな医療を選び、どう死ぬか――。喜劇王のセリフに「死生観」も加えるべき時代になった。

 だからこそ、長期連載「医療ルネサンス」の今年の年間企画テーマは「いのちの値段」とした。医療とお金を軸として、患者の選択や葛藤、取り巻く社会状況を、現場から多角的に伝えていくつもりだ。

 今年4月は、医療部の前身である医療情報室の設立から20年。9月には、医療ルネサンスが始まって25年、四半世紀という節目を迎える。これからも医療の最前線に足を運び、「患者ファースト」の記事を届けていきたい。

 〈医療部〉 最新の治療法や医療政策など医療・健康問題を取材する専門部署。長期連載「医療ルネサンス」や「病院の実力」を担当。部員は21人。



https://www.m3.com/news/general/494567
[【埼玉】戸田中央医科グループ会長 戸田市に2億円寄託 学ぶ意欲のある貧しい子どものために
2017年1月17日 (火) 毎日新聞社

 企業の設立や育成に携わり、社会にも貢献した経営者を県が表彰する「第15回渋沢栄一賞」を受賞した戸田中央医科グループ(戸田市)の中村隆俊会長(89)が、子どもたちの学習機会を支援するため、戸田市に2億円を寄託した。昨年、同市初の名誉市民にも決まった中村会長は「学ぶ意欲のある貧しい家庭の子どもたちに、海外留学などで支援したい」と望んでいる。

 中村会長は、北海道西部の瀬棚町(現・せたな町)出身。函館市で中学・高校生活を送っており、今回は、せたな町と函館市にも、それぞれ5000万円と1億円を寄託した。

 中村会長は北大医学部を卒業後、1962年に戸田中央病院(現・戸田中央総合病院)を開設した。その後、次々と各地の病院をグループ化。現在は1都4県で28病院や介護施設など114事業所、1万3000人を超す職員を擁する国内有数の医療グループを築いた。

 社会貢献活動にも熱心で、乳がん撲滅を目指す「ピンクリボン運動」や、地元での防犯活動などにも取り組んでいる。中村会長は「(北大)医学部時代は寒い教室で手がかじかみ、息を吹きかけながら勉強した。(そうした経験もあり)教育面で子どもたちを応援したい」と語った。

 市は来月の臨時市議会で寄託金による基金を設立するための条例を制定し、基金運営の具体的な方策を決めたいとしている。同市には大学生向けの海外留学生奨学金制度が既にあり、神保国男市長は「中村会長の意向を踏まえながら、中学・高校生向けの留学支援などを今後、検討したい」と話した。【鴇沢哲雄】



  1. 2017/01/18(水) 05:52:42|
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