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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月16日 

http://www.medwatch.jp/?p=11983
医師偏在対策に向け「偏在の数値化」や「病院総合医の育成」に取り組む―日病・堺会長
2017年1月16日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 医師偏在解消に向けて、日本病院会では(1)偏在の数値化(2)病院総合医の育成(3)厚生労働省などへの働きかけ―の3つの対策に取り組んでいく―。

 16日に開かれた日本病院会の定例記者会見で、堺常雄会長はこうした方針を明らかにしました(関連記事はこちら)。

 また、昨年暮に四病院団体協議会と日本医師会の連名で「災害医療を国家として統合するための提言」を内閣府と厚労省に行ったことも報告されました。

ここがポイント!
1 ビジョン検討会設置で、厚労省の医師偏在対策策定は大幅な遅れ
2 常設の災害医療研究機関を国に設置し、関係府省への提言を行うべき


ビジョン検討会設置で、厚労省の医師偏在対策策定は大幅な遅れ


 医師の地域偏在、診療科偏在が大きな課題とされ、厚労省は「医療従事者の需給に関する検討会」や、その下部組織である「医師需給分科会」などで、昨年末に偏在対策を取りまとめる予定でした(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 しかし、塩崎恭久厚生労働大臣は「高度急性期などの医師労働時間は、より適正化(短縮する)ことなどが考慮されるべき」と考え、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(ビジョン検討会)を設置し、ビジョン検討会の結論を踏まえて、医師などの将来需給推計や偏在対策の議論を行うと軌道修正。偏在対策の策定は当初予定よりも大幅に遅れることとなり、医師不足地域の住民には「多大な不利益」が生じていることになります。

 ビジョン検討会では昨年末に、▼地域が主導して医療・介護・生活を支える ▼個人の能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方を実現する ▼高い生産性と付加価値を生み出す―という中間とりまとめを行いましたが、堺会長は「やや具体性に乏しい。机上の空論ではないか」と指摘し、医師偏在対策を積極的に進めるために、日病として次の3つの取り組みを行う方針を明確にしました。13日の常任理事会で了承されたものです。

(1)偏在の数値化(データ収集)

(2)病院総合医の育成

(3)厚労省などへの働きかけ

 (1)は、地域医療構想策定に関する基礎データ(地域の疾病構造や患者数、専門医の数など)をベースにして、地域偏在や診療科偏在の実態を数値で明らかにするものです。

 また(2)は、日病が行ったアンケート調査で「偏在対策に効果的」との声が最も多かったもので、すでに病院の勤務している医師のうち「総合診療に携わりたい」と希望する場合に、日病などが支援を行っていく(指導医向けの講習会開催など)というもので、新専門医制度における総合診療専門医とは異なります。堺会長はかねてより「総合診療医には、『地域の家庭医』と『病院で総合診療に携わる医師』(病院総合医)の2タイプがあり、両者の育成過程には重複する部分もあるが、異なるカリキュラムで研修を行うべき部分もある」と指摘しています。後者の病院総合医育成に日病として本腰を入れることになったと考えられ、全国自治体病院協議会や地域医療振興協会(JCHO)などとも協力していくことになりそうです(関連記事はこちら)。

 (3)では、厚労省のほか、文部科学省や総務省に対して「病院団体も加わって、連係して総合的な対策をとる」よう呼びかけていきます。


 なお、偏在対策としては、「大学医学部の入学定員における地域枠」や「一定の開業制限」「インセンティブの付与」なども検討されていますが、いずれもこれからの議論を待たなければならず、実効性に疑問符が付くものもあります。日病をはじめとする病院団体や日医の今後の取り組みに期待が集まります。

常設の災害医療研究機関を国に設置し、関係府省への提言を行うべき

 16日の会見では、日病災害医療対策委員会の有賀徹委員長(労働者健康安全機構理事長)から「災害医療を国家として統合するための提言」に関する報告も行われました。この提言は、四病院団体協議会(日病、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の各会長と日本医師会の横倉義武会長との連名で行われたものです。

 災害医療としては、例えばDMAT(災害派遣医療チーム)やJMAT(日本医師会災害医療チーム)などが多くの功績を上げていますが、▼行政、日本赤十字社、医師会、病院などさまざまな災害医療チームが作られており、構成や活動ルールがばらばら ▼災害対応をめぐる国家施策に医療の視点が不十分 ▼災害時の医療に学術的根拠を提供する研究活動が低調 ▼最新情報に基づいたテロルの形態が想定されておらず、準備がない ▼医療者の院外活動に関する法律やその他の環境整備が不十分―という課題があることも事実です。

 そこで四病協の各会長と日医の横倉会長は、こうした課題を是正することで、より統合的な国家的な視点に立った災害医療を実現できるとし、「災害医療に関する治験を集積、その学術的根拠を背景して、災害医療の国家的統合を実現するために常設の研究機構を設置し、関係府省庁などに提言を行う」ことを提言しました。提言は、災害対策を主に所管する内閣府と厚労省に対して提出されています。有賀委員長は、「例えば内閣府の中央防災会議(会長は内閣総理大臣が務める)の下に常設の研究機関を設置し、災害医療についてさまざまな研究を行い、そこで得られた知見をもとに、中央防災会議や厚労省、国交省、防衛省などに提言を行っていくことが必要」と強調しています。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14844893374372
3病院、研修医で連携 県南西地域、得意分野生かす
18年4月実施へ

2017年1月16日(月) 茨城新聞

県内の医師不足などを背景に、初期研修医の受け入れ数の増加につなげようと、県南西地域の3病院が15日までに、「臨床研修病院群プロジェクト」を立ち上げた。各病院の得意な診療分野を生かしながら、相互に研修を受けられるなどのプログラム構築を目指す。初期研修医の受け入れを巡っては、大病院への偏りや地域的な偏在などが課題となっている。これまでも3病院は、研修指定病院として個別に初期研修医を受け入れてきた実績があり、さらに周辺の病院と連携してより充実した教育プログラムを提供し、医学生にアピールしていく方針。

同プロジェクトを立ち上げたのは、茨城西南医療センター病院(境町)と、JAとりで総合医療センター(取手市本郷)、友愛記念病院(古河市東牛谷)。「第1回臨床研修医相互乗り入れに関する検討会」が11日に開かれた。各病院長など約15人がプロジェクト立ち上げのほか、七つの教育理念を共有したプログラムを構築することなどを確認した。

今後、3病院は周辺の協力病院などを加えて病院群を構築する考え。具体的なプロジェクトの名称やプログラムの内容などは、主に検討会で話し合っていく。2018年4月の実施を目指し、今年3月から医学生などにプログラムの周知を始められるよう準備する。

プログラムには、各病院が特に得意とする診療分野を選んで研修できる仕組みのほか、著名な専門医などによる回診の講習なども盛り込まれる予定という。

臨床研修医制度は、新人医師が基本的な診療能力を身に付けられるよう、指定病院で2年以上の研修を受ける仕組み。3病院はいずれも地域に根差した中規模病院で、本年度の受け入れ内定は茨城西南医療センターが1人(前年度2人)、JAとりで総合医療センター4人(同ゼロ)、友愛記念病院はゼロ(同ゼロ)。

県内全体で見ると、20の指定病院に対し17病院で計156人が内定。受け入れ数は3年連続で最多を記録したが、受け入れ定員に達したのは県立中央病院(笠間市)、筑波メディカルセンター病院(つくば市)、筑波記念病院(同)の3病院だった。研修希望が大学病院や大規模病院に集中していることから、より充実したプログラムの提供などを目指して、県内初の指定3病院を軸とする病院群プロジェクトの立ち上げに踏み切った。

複数の指定病院などで病院群を組織して初期研修医を受け入れる取り組みは、沖縄県内の8基幹病院と19の協力病院・施設による「臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄」がある。本年度は同県全体で136人が内定し、このうち55人が同プロジェクトの病院に内定している。 (成田愛)



https://www.m3.com/news/iryoishin/492237?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170116&dcf_doctor=true&mc.l=201194518&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
超急性期病院、「地域ケア科」設置のわけ◆Vol.2
病院経営、地域医療、患者ニーズへの対応

2017年1月16日 (月) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――『地域医療の暮らしのゆくえ―超高齢社会をともに生きる―』(医学書院)をまとめようと思ったきかっけと本書に込めた思いをお聞かせください。本書の「はじめに」には、「病院で働く医療従事者にとっては、これから地域に踏み出して多職種と連携するための手引書として」などと書かれています。

 一番のきっかけは、病院と地域との距離があるということ。医療が専門分化していることもあって、医療機関と行政、あるいは地域住民などが、互いに何をやっているかが見えなくなっているようです。超高齢社会をともに生きる上で、それぞれがお互いの立場や役割を理解してもらうため、努力していかなければいけないと考えています。

 もっとも、本書は、積極的に「こうあるべきだ」「社会を変えよう」などと提言しているわけではなく、「お互いの理解を深めるために、皆が情報発信していこう」というスタンスで書いたつもりです。僕は臨床医ですが、かつては厚生労働省でも仕事をしていたので、両方の視点から情報発信できる立場を意識し、行政から見た臨床の話、あるいは臨床から見た行政の話を入れています。

高山義浩氏が上梓した『地域医療の暮らしのゆくえ―超高齢社会をともに生きる―』。

――副題には「超高齢社会をともに生きる」とありますが、沖縄県立中部病院の地域ケア科では、どんな取り組みをされているのでしょうか。

 退院後の療養に不安のある患者さんやご家族の相談に乗り、退院直後のフォローアップを行っています。そして、疾病や障害を抱えながらも生活が軌道に乗ったところで、地域の診療所に紹介して、急性期病院の役割は終了となります。ただし、例えば、余命1カ月以内と考えられる悪性腫瘍の患者さんなどについては、私たち自身で集中的な訪問診療を看取りの日まで行っています。こうしたニーズは、以前から認識されてはいたので、中部病院の医師たちによって散発的には行われていたのです。これを「地域ケア科」という院内標榜科を立ち上げて、組織的に行うようにしました。2010年4月のことです。

 当初、病院幹部から「在宅医療科」という案を示されましたが、「在宅」という言葉が病院目線であり、そもそも高齢者を医療依存から解放しようとしているのに、「医療」を標榜するのは変だということになり、「地域ケア科」に落ち着きました。診療報酬上では、在宅医療をやってはいるのですが、私たちのスピリットは医療ではなく、ケアだと思っています。

 次第に在宅で診る患者さんが増え、今の地域ケア科の医師は8人。皆が兼務で、手挙げ式で集まりました。 地域ケア科に所属していなくても、さまざまな医師やコメディカルスタッフがかかわっています。数例ですが、小児患者の看取りもありました。そんなときは、小児科の先生がチームに入ってくださいます。

――中部病院は、急性期病院であり、その機能を維持するためにも「地域ケア科」が必要だったのでは。

 はい。病床数は550床(一般病床546床、感染病床4床)。一般病床は7対1入院基本料で、平均在院日数は11日強。病床稼働率95~96%くらいなので、突発的に入院が増えたら、100%を超えかねません。

 「地域ニーズへの対応」「効率性の確保」「安定的な経営」という3つの理由から、中部病院のような急性期病院においても在宅医療を実践する意義があると考えています。私たちが在宅で看取る患者さんは年々増え、2015年度は57人でした。地域ケア科がなければ長期入院されていた方々であり、病床マネジメントにも貢献していると思います。

 病院として在宅医療をしっかり支えることが、これから病床を確保していく上での要点になってくるでしょう。病院経営の面でも、在宅療養への安心を提供する後方支援をしっかりすれば、軽症者は在宅にシフトして、収益の良い中等症以上の入院で病棟が埋まるようになります。

 しかも、症状が改善すれば安心して早期退院していただけるので、病床の回転もよくなるわけです。こうした共通理解を病院の中で作っていくことも必要ですね。

――病院から退院後、がんの終末期の看取りの患者さんなどが「中部病院が在宅で診るべき患者の典型」と言われていました(『急性期病院が手掛ける「在宅」とは』を参照)。

 はい。医療依存を高めた状態で退院せざるを得ない患者さんへの訪問診療は、私たち急性期病院が責任を持って果たすべき在宅の典型例。いくら、私たちが病棟で「大丈夫ですよ」と言っていても説得力はないし、実際に状態が悪化して再入院される方も少なくありません。自己導尿やインスリン注射、腹膜透析など、急性期病院として医療介入を高めてしまった場合に、退院後の丁寧なフォローアップが求められます。もちろん、必ずしも医師が行う必要はないのですが。

 また、がん終末期など24時間対応による短期集中型の在宅医療については、外来もやりつつ手がける「ミックス型」の開業医が中心の地域では、担いきれないことが多いです。むしろ、マンパワーのある基幹病院がチームを組んで対応するのが現実的でしょう。

 私たちの在宅医療は、自宅や施設での生活を支えることが目的ですから、暮らしの中で医療の落としどころを現場を確認しながら探しています。これは病棟で患者さんを診ているだけでは分かりません。退院後の生活を見ながら、うまくアセスメントすることが欠かせないのです。

――在宅医療の導入は、地域のかかりつけ医や訪問看護ステーションにつないでいくにせよ、急性期病院が担うケースが多い。

 そうです。在宅医療を導入するきっかけは、少なからず急性期病院への入退院なのです。病気や障害を持って退院する患者さんが、自らの人生をどのように歩むかを選択し、適切な医療やケアを受けながら生活するための支援を、入院中から考える必要があります。その上、それでも病状が急変したときの方針を確認し、入院病床を確保することも求められています。もちろん、診療所の先生方の経験こそが圧倒的に豊富ですが、医療依存を高めたのは病院ですから、そのことについての責任をもっと果たすべく、私たちも地域に踏み出すべきだと考えています。

――改めてお聞きしますが、在宅医療の適応はどんな患者さんなのでしょうか。

 難しいですね。適応を決めるのは患者さんの状態だけではありません。家族など環境要因もかなりあります。ただ、適応はかなり限られていると思っています。通院困難についての明確な定義がないまま、診療報酬による比較的オープンな誘導が行われてしまったこともあり、「本当に医師が出向くべきなのか」についてほとんど問われないまま、訪問診療の対象患者が増えてしまいました。通院困難でありながら、なぜかデイ・ケアには通っている方もいます。「これって変だな」と気づいていく必要があります。

 もちろん、通院支援のヘルパーが確保できないから、代わりに医師や看護師が出向かざるを得ない状況が現実にあることは否定しません。ですが、福祉の仕組みが不完全だから医療にやらせるという意味では、「社会的入院」と「社会的在宅医療」の根っこは同じですね。

 このまま訪問診療が必要な患者さんを増やしていけば、マンパワーの面でも、コストの面でも、非効率になってしまう可能性があります。2025年に向けて私たちは、「真に必要な患者さんに在宅医療を集約化させる」という、適正化こそ推進しなければなりません。ここには、在宅医療のきっかけを作っている病院にも責任があるわけで、私たち病院医師も在宅医療に対するセンスを高めていくことが求められます。

――地域との多職種連携を重視する中で、地域ケア科は、どのように取り組んでいるのでしょうか。

 持病を抱えながらも、病院に頼りすぎず、上手に暮らしていくコツを訪問看護は教えてくれます。私たち医師も訪問看護ステーションと一緒に仕事をすることで、地域について多くのことを教わり、育てていただいています。例えば、私たちが提案している治療について、それが上手に暮らしの中でできているかを確認してくれるのも訪問看護になります。訪問看護を交えて、患者さんと医師とが試行錯誤しながら、暮らしにピッタリ合うような治療法を見つけていけたらと思っています。

 また、院内で地域の訪問看護ステーションや施設の担当者などの関係者が集まって、2カ月に1回ぐらいの頻度で勉強会を開催しています。まず中部病院の医師が、抗菌薬の使い方や薬剤による疼痛コントロールなど、それぞれの専門領域についてレクチャーした後、訪問看護師さんに在宅で診ている患者さんの症例をプレゼンテーションいただいて、皆でディスカッションしています。このカンファレンスの評判はすごくいいですね。外部の一流の専門家を招聘するような講演会ではなく、地域で働く私たちが一緒になって、肩肘を張らずに情報交換する場が求められていたのだと思います。

 特に沖縄には、地域に根差して活躍している訪問看護師がたくさんいます。私もいくつかの県で臨床医として仕事をしてきましたが、沖縄の訪問看護師はとても優秀です。そして、地域への愛を感じます。沖縄の高齢者はお幸せだと思いますよ。沖縄の人たちは、もっと訪問看護のことを知って、上手に利用してほしいと思っています。



https://www.m3.com/news/general/494106
窃盗未遂容疑で医師逮捕 茨城
2017年1月16日 (月) 共同通信社

 茨城県警は14日、住居侵入と窃盗未遂の疑いで、茨城県つくば市、筑波大病院の医師●●●容疑者(27)を逮捕した。「覚えていない」などと容疑を否認している。

 逮捕容疑は昨年9月4日午前3時半ごろ、つくば市内の女子大学生宅に侵入し、金品を盗もうとした疑い。

 県警によると、女性に気づかれたため、何も取らずに逃げた。2人に面識はないという。

 同病院は「職員が逮捕されたことは誠に遺憾。捜査の経緯を見守り、厳正に対応する」とコメントした。


G3註:実名報道であるが、氏名を明らかにすることが目的ではないので、3文字の伏字とした。



https://www.m3.com/news/general/494203
病床減に戸惑い 地域医療構想、岡山県内5圏域で議論開始
2017年1月16日 (月) 山陽新聞

 団塊の世代が全員75歳以上となる2025年にはどんな医療が求められ、どれだけのベッドが必要か―。病院や市町村などが将来の医療の在り方を話し合う「地域医療構想調整会議」が岡山県内5保健医療圏ごとに本年度から開かれている。超高齢社会に、医療費を抑えながら質の高い医療を提供する体制づくりが狙いだが、病院にとっては病床削減や医療機関の役割分担といった経営の機微に触れるだけに戸惑いもあり、先行きは不透明だ。

 「まさかこんなにベッド数の削減が必要とは。公表された当初は大きな衝撃を受けました」。仲田永造・高梁医師会長が振り返る。

 地域医療構想は県が16年2月に公表した。25年に必要とされる県全体の病床数は16年4月時点より16・5%も少なく、中でも高梁・新見圏域は42・6%の大幅減とされたのだ。

 構想は、過剰となる病床の削減や福祉施設などへの転用だけでなく、退院後の生活を支える在宅医療や介護サービスの充実を求めている。医療機関共存のため、診療科が競合しないよう調整したり医療機器を相互利用したりすることも打ち出している。

 実現へ向け、医師会や市町村、住民などが委員となる調整会議(事務局・各保健所)が設けられ、これまでに各圏域で1、2回の会議が開かれた。

■ 反発の声

 地域医療構想をまとめた県医療推進課は「県に病床削減を強制する権限はなく、医療機関の自主的な努力に委ねている」とするものの、大きな変革を迫るものだけに、医療関係者の中には反発や懸念もある。

 16年6月に開かれた津山・英田圏域(津山市など8市町村)の調整会議では「老人の肺炎や骨折は増えており、構想通りに病床を減らせば行き場のない人が生まれる」「病床削減を大前提にした計画は受け入れられない」と複数の医師が訴えた。

 構想では、各保健医療圏の患者の流出入の実態も明らかになった。流出が多い圏域では人口減少分以上の病床削減が迫られる。

 県南への流出が顕著な高梁・新見圏域の調整会議では「地元で治療できるケースもかなりある。流出を食い止めれば病床削減を最小限に抑えられる」として医療機関と高梁、新見市が連携し、身近なところで医療を受けてもらうよう啓発に力を入れることを決めた。

■ 自助は限界

 調整会議では医師・看護師不足や在宅医療の現状といった入り口論にとどまり、踏み込んだ議論には至っていないのが実情だ。

 真庭圏域(真庭市、新庄村)の調整会議で委員を務める金田病院(同市)の金田道弘理事長は「うちの病院でも病床削減などによる経営の効率化を図ってきたが、自助努力はもう限界。県北では経営が悪化する病院が出ており、共倒れにならない手だてを調整会議で打ち出していくしかない」と今後の議論に期待をつなぐ。

 医療政策に詳しい浜田淳・岡山大大学院医歯薬学総合研究科教授は「医療機関の多くは患者が減っていくことに相当の危機感を抱いている。その思いを披露し地域医療の問題点を共有することが議論の出発点であり、県と市町村は多くの医療機関や住民が本音で話し合える機会を増やしていくべきだ」と指摘する。

 【地域医療構想】 2014年に成立した地域医療・介護総合確保推進法に基づき、都道府県に策定が義務付けられた。将来の人口推計や患者の流出入の実態などを基に、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の各病床について25年の必要病床数を推計し、保健医療圏ごとに実現を目指す。東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、沖縄の6都府県を除き、必要病床数は減少する見通し。



https://www.m3.com/news/iryoishin/494239
シリーズ: 医師不足への処方せん
医師偏在、実態把握に向け「見える化」、日病
病院総合医の養成など、「3本柱」で対策

2017年1月16日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本病院会会長の堺常雄氏は、1月16日の定例記者会見で、医師偏在対策について、その実態の「見える化」を進めるほか、病院勤務の総合診療医の育成、厚生労働省をはじめ行政への働きかけという3本柱で、取り組む方針を表明した。

 1月13日の日病常任理事会で、医師偏在対策を議論。堺会長は、医師偏在と言っても、地域あるいは診療科による偏在があり、「特に診療科偏在については分からないことが多い」と指摘。厚労省などに、地域医療構想で活用した患者推計データなども基にしながら、医師の需給バランスの「見える化」を進めるとした。「厚労省はマクロのデータしか公表しない。医師数は“西高東低”だが、同じ都道府県でも、県庁所在地とそれ以外の地域では偏在がある」と堺会長は述べ、ミクロレベルでの「見える化」を目指す方針。新規の調査は実施せず、厚労省などが持つ既存データを基に分析を進めるが、取りまとめの時期は未定。

 総合診療医の養成は、昨秋から打ち出していた方針(『日病が「総合診療医」養成を検討』を参照)。堺会長は、「病院勤務医の中で、総合診療医として活躍したいと考える医師に、援助の手を差し伸べたいと考えており、日本専門医機構の総合診療専門医の議論を制限するものではない」と説明。全国自治体病院協議会や全日本病院協会、地域医療機能推進機構(JCHO)などと協力しながら、養成を進める予定。総合診療専門医のサブスペシャルティと位置付けるかなど、新専門医制度との関係は未定だという。

 行政の働きかけは、医師偏在対策は、厚労省だけでは対応が難しいという考えから行う。「文部科学省、総務省の三者連携、あるいはその中に病院団体が入る形で議論をしていきたい」(堺会長)。

 16日の会見で、堺会長はまず医師偏在対策をめぐる昨今の動きを説明。2015年12月に、厚労省に「医療従事者の需給に関する検討会」が設置され、下部組織の「医師需給分科会」で議論が進められてきたものの、検討途中で議論が中断、代わりに2016年10月に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が設置された。同検討会は12月22日に「中間的な議論の整理」をまとめたが、堺会長は、「具体的提言に乏しく、机上論にとどまる」と指摘(『医師偏在、「プライマリ・ケア」と「地域」で解消』を参照)。

 今春から策定が始まり、2018年度から実施する第7次医療計画では、「医療従事者の確保等」も盛り込む。堺会長は、医療計画策定の基本方針において、現時点では、「医療従事者の確保等」の部分が空白になっている点も問題視した。

 13日の常任理事会では、医師偏在対策をめぐって、さまざまな意見が出たという。その一つが、特定機能病院、地域医療支援病院のほか、県立中央病院など、各地域の基幹病院が、医師不足地域への医師派遣を担う対策。そうした取り組みを行った際には、診療報酬上などでインセンティブを付ける案も挙がった。

 日本医師会と全国医学部長病院長会議は2015年12月、「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」をまとめている(『医師のキャリア形成、大学が生涯にわたり支援』を参照)。盛り込まれた対策の一つが、「医師キャリア支援センター」を設置し、医師を卒業大学に登録、生涯にわたってキャリア支援を行う対策。医師登録自体は、各医師のキャリア把握に有効だとしたものの、同センターが医師配置に使用され、かつその主導権を大学が握ることへの抵抗感を示す意見も、常任理事会では出たという。

 さらに「皆さんは、あまり議論したがらないが」と断りつつ、堺会長は、「医師偏在は、病院勤務医だけの問題ではない。開業制限が必要ではないか」と指摘。今後、日医や病院団体が議論していくべき課題であるとした。

災害医療に関する「常設」研究機構、創設を

 定例記者会見では、「災害医療を国家として統合するための提言」についても説明。同提言は、2016年11月30日に、松本純・内閣府特命担当大臣に提出、その後に12月28日に厚生労働省医政局長の神田裕二氏にも提出した。提言は「行政、日本赤十字社、自衛隊、医師会、病院などさまざまな災害医療チームが作られている」「災害対応をめぐる国家施策に医療の視点が不十分である」など、計5つの問題を提起して上で、「政府の中央防災会議のシンクタンクのように機能する」(日病の災害対策委員会委員長の有賀徹氏)、災害医療に関する常設の研究機構の創設を提言している。今後、具体化に向け、関係者に働きかけていくという。



http://medg.jp/mt/?p=7251
歯科医師は過剰なのか
医療法人社団SGH会すなまち北歯科クリニック  橋村威慶
2017年1月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 昨年12月、厚労省は2029年に歯科医師が1万4000人過剰だという試算を出した。その抑制策として政府は歯科医師国家試験の基準のさらなる引き上げを検討しているという。歯科医師過剰問題は1980年代から言われており、過去に政府は1982年に人口10万人あたりの歯科医師50人を目標とすることを閣議決定している。

 対応策として国立の歯学部の定員を減らしたが、大して効果は上がらず、2000年頃より国家試験の合格基準を上げ調整を計ってきた。今回はさらなる引き上げを検討しているという。筆者はこの削減案に反対する。

 その理由として、一つの都市について注目すると分かりやすい。

 神奈川県相模原市は神奈川県北部にあり、東京都町田市や八王子市に隣接する政令指定都市である。古くは製糸業として発展し、甲州街道沿いは宿場町として栄えてきた。東京都心の新宿駅まで電車で35分、また新横浜駅まで30分とアクセスが良く、現在はベットタウンとして発展している。市の人口は平成18年には62万人、平成27年には72万人と加速度的に増加しており、平成22年には政令指定都市となっている。神奈川県では横浜市、川崎市に次ぐ人口数であり、住民の平均年齢は43.1才と全国1956市区町村中246位であり、若年層が多い将来有望な都市だ。

 そんな相模原市が今後、日本で初めて大都市でありながら歯科治療の受診が困難になる地域になろうとしている。現時点ではさほど問題はないが、政府が新たに打ち出した歯科医師削減政策を推し進めれば、相模原市の歯科医師数は予想以上に減少する。

 政府の指標通り人口10万人あたり50人に到達した場合、現状の38%の歯科医師削減が必要となる。単純計算でいくと相模原市の場合人口10万人あたり36.7人となってしまう。これは昭和45年と同水準だ。現在の高度化した歯科医療技術では患者一人あたりに対する治療時間が長く、その当時と同数の患者を見ることは出来ない。

 また、歯科医師の年齢層も懸念すべき事項だ。継続的な歯科医師抑制政策により、歯科医師の全体数は増加しているが、若年層は減っている。日本全国では40才未満の若手、中堅歯科医師は全体の25.8%しかおらず、そのうち30才未満は6.9 %と少ない。相模原市の場合それぞれ40歳未満は26.4%、30歳未満は4.8%であり、より若手が顕著に少ない。

 65才以上の高齢歯科医師の労働力は中堅、若手より17.2%低く(歯科医療従事者の歯科診療に関する実態調査より)、このまま行けば今の中堅歯科医師が高齢化した場合、若手がより過酷な診療体制の中で働ければならなく、充分な治療が患者一人一人に出来なくなる。

 結果、地域住民全体の口腔内環境が悪化する。また、相模原市の住民の平均年齢は45.5歳(平成27年)であり、全国的に見ても若い都市である。ちょうどこの年齢層が歯科を受診するピークとなる60代半ばになる頃と歯科医師の労働力低下は重なってしまう。

 なぜ相模原市の歯科医師数が問題なのか?それは大都市でありながら歯科医師が減り続けるからだ。世界の共通項として歯科医師は人口が多く、経済、文化の中心地域に集中する傾向がある。相模原市のような人口70万人以上ある大都市の歯科医師が減少するのは、その地域自体に何か大きな問題があるか、日本の歯科医師総数が減少していると考えるのが妥当だ。しかし現状を見るとそのどちらも当てはまらない。減少の原因は歯科医師が一極集中していることしか考えられない。

 相模原市の歯科医師は隣接する東京地区の強力な求心力のせいで空洞化が起きたのだろう。同様の傾向は他の都市でも起きている。相模原市と同じ神奈川県の川崎市や埼玉県の川口市、千葉県の市川市がそうである。いずれも東京のベットタウン的な役割がある人口が多い市だ。

女性歯科医師の復職支援を!

 また歯科医師の男女の性差も考慮が必要だ。女性歯科医師は男性歯科医師より勤務日数、時間共に短い傾向がある。特に女性歯科医師は30~39歳からこの傾向が顕著に現れ、その後の勤務時間はさらに減少していく。歯科の特徴として一度臨床の現場から離れると復帰が難しい。だが、女性歯科医師のための復職支援の制度などは皆無だ。

 各大学の入学者の女性の割合は増加している。昭和56~60年の女性の入学者率は18.6%だったが、平成26年には41.6%と年々増加し、それに伴い女性歯科医師も年々増加している。現在はおよそ4人に1人が女性歯科医師だ。女性歯科医師に対する復業支援策を打ち出さなければ、働くことが出来ない女性歯科医師が増え、実際に働く歯科医師は減少する。

 以上により、筆者はこれ以上の歯科医師数抑制に反対である。まずすべきこと偏在の解消だ。特に東京への歯科医師の流入を防がなければ全体が変わらない。でないと都心では経済的に困窮した歯科医師の過剰医療が蔓延し、地方では患者が溢れ杜撰な治療になってしまう。いずれにしても一番被害を被るのは国民だ。

 そうならないための参考として、福島県南相馬市の例がある。南相馬市は元々医師不足地域だったが震災後さらに減少した。同市立総合病院などでは、12人いた常勤医はたったの4人になってしまった。だが昨年はその8倍の32人もの医師が勤務医として働いている。

 これは自然にそうなったのではない。震災後の報道により注目を集めたことや、震災による調査項目が増えたこともあるが、何よりも官民挙げて医師を積極的に受け入れる体制を築いたことによるところが大きい。

 市立病院で勤務している森田知宏医師は20代の新進気鋭な内科医だ。彼は震災後で課題が多いにもかかわらず、人材が少ないので一人ひとりの活躍できる場があり、やりがいを感じると言う。また同じく市立病院で研修医をしている山本佳奈医師はこの方策の結果、若手医師への教育が強化され、魅力ある職場環境やキャリアアップの機会が増えたと言う。これらは医師の話であるが歯科医師も参考にすべきだ。

 都心に歯科医が集まっているのは地方都市に歯科医を受け入れる体制が整っていないためだ。歯科医師の分散には歯科医師にとって魅力ある地域づくりが必要となる。引いてはそれが住民の口腔の健康にもつながる。幸い日本には地方色豊かな地域が多く残っている。各地方自治体は積極的な歯科医師支援策を打ち出すことが偏在解消の第一歩である。歯科医師削減はそれからでも遅くはない。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50380.html
専攻医、6都府県の募集定員に上限設定へ- 専門医機構、都市部への集中防止で
2017年01月16日 16時00分 CB news

 日本専門医機構(機構)は、専門医を目指す専攻医が都市部に集中することを防ぐため、東京や大阪など6都府県の募集定員に上限を設ける方針を決めた。今後、定員の算出方法などをまとめ、新制度で専門医を育成する研修基準などを定めた指針の運用細則に記載する見通し。【新井哉】

 専門医の養成をめぐっては、これまでは学会が主体となって行われていたが、2018年度からは、第三者機関の機構が養成プログラムの評価や認定を行う予定で、現在、運用細則の作成などが進められている。ただ、新制度が導入された場合、指導医や症例数が多い大病院や都市部の病院に医師が集中して偏在が進むことを懸念する声が出ていた。

 こうした偏在を防ぐため、機構は、都道府県別の募集定員に上限が設けられている初期臨床研修と同じように、大都市圏の東京と神奈川、愛知、京都、大阪、福岡の6都府県で上限を設定する必要があると判断した。

 今後、新専門医制度で基本領域となる各学会の過去3年間の採用実績を基に検討を行い、3月ごろまでに具体的な上限を提示する予定。ただし、外科と産婦人科、病理、臨床検査については、医師数が減少しているため、上限を設定しない方針。



http://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20170116-OYTNT50258.html
雄勝診療所が開所…石巻全て再建
2017年01月17日 読売新聞

◆歯科診療所も入居

 東日本大震災の津波で全壊した石巻市立雄勝病院に代わり、仮設で診療を続けてきた市雄勝診療所の新たな建物が完成し16日、開所した。これで、同市内で津波被害を受けた市が運営する四つの医療機関が全て再建された。

 同診療所は、震災から約半年後の2011年10月に、同病院のあった場所から約3キロ・メートル東にある高台の仮設診療所で再開した。新しい診療所は市雄勝総合支所近くの高台に完成。木造平屋建てで、総事業費は約3億円。県の基金や復興交付金で全額まかなわれた。

 診療科は内科、外科、整形外科の3科で、市立病院の医師1人が常勤し、外来や訪問診療など軽症患者を診る「1次救急」の機能を担う。待合室にはバスで来る住民のために、休憩スペースや子どもの遊び場を設けたほか、電子カルテの運用も開始し、市立病院と連携を図るという。同じ建物内には、仮設で診療を続けてきた雄勝歯科診療所も入居した。

 開所の式典で亀山紘市長は「震災で医療機関が壊滅し、一時は無医地区になった。新築移転したので十分な医療が提供できる」とあいさつ。関係者でテープカットが行われた。

 式典に出席した雄勝地区会長会の佐藤重兵衛会長(78)は「病院は地域の要なので、本当に安心している。これで人口流出に歯止めがかかれば」と話した。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017011602000223.html
石巻・雄勝の高台に診療所 津波で病院全壊 一時は無医地区に
2017年1月16日 夕刊 東京新聞

 東日本大震災の津波で壊滅的な被害に遭った宮城県石巻市雄勝(おがつ)町地区で十六日、市が高台に建設した診療所の開所式が行われた。
 地区にあった市立雄勝病院は津波で全壊した。医師がいない状態に陥った後、二〇一一年十月に開設された仮設診療所が地域医療を担ってきた。
 式では、亀山紘(ひろし)市長が「震災によって医療機関が壊滅し、一時は無医地区になった。仮設診療所で不便を掛けてきたが、新築移転したことで十分な医療が提供できる」とあいさつ。佐々木幸則所長は式後の取材に「一人一人を丁寧に診療し、他の医療機関とも連携して漏れのない医療を目指したい」と語った。
 新しい診療所は木造平屋約四百九十平方メートル。平日は常勤医一人、看護師三人の体制で、仮設の時と同様に内科、外科、整形外科の患者を診療する。歯科診療所も併設し、平日、常勤の歯科医が対応する。
 雄勝町地区は震災で人口が流出し、約四千三百人いた住民が四割ほどに減少した。



http://www.huffingtonpost.jp/arinobu-hori/takano-hospital-stockholm-syndrome_b_14183284.html
新たな経験の現れ
堀有伸 精神科医(精神病理学)、ほりメンタルクリニック院長 NPO法人みんなのとなり組代表理事
投稿日: 2017年01月16日 11時51分 JST 更新: 2017年01月16日 11時51分 JST The Huffington Post

福島県広野町で、震災後の地域医療を担っていた高野病院の高野英男院長が昨年末に急逝された。

その後に広野町から南相馬市に支援依頼があり、広野町に南相馬市立総合病院が支援を行う形で「高野病院を支援する会」が成立し、広野町長が代表を務められることとなった。現在では医療関係者などのさまざまな立場の人々が、ボランティアでこの活動に参加している。

その後の経緯の中で、この「高野病院を支援する会」と福島県の間で、非常に敵対的なコミュニケーションが交わされたことが公開されている。

高野病院をめぐる報道が高まっていることを背景に、1月4日に行われた福島県知事の年頭記者会見では、福島県として医師確保を行うことが表明された。

1月6日には、福島県、広野町、高野病院の関係者が出席して高野病院をいかに救済するのかという件について、緊急会議が開かれた。会議の冒頭に、福島県の担当者が「双葉地方の地域医療と、高野病院の話は別です。そこから話を始めましょう」と発言した。この会議については、常勤医確保に向けた具体的な提案はなされなかった。

このことを受けて、「高野病院を支援する会」の関係者である医師がSNSで会議の経緯について公表した。1月18日には、高野病院を支援するための緊急会議の第2回目が開催されるが、SNSによる発信を行った「高野病院を支援する会」の医師らには、その日程についての連絡が行われなかった。

これは、2種類の正義のぶつかり合いのように思われる。

「高野病院を支援する会」の医師らが、会議における福島県の関係者の言動を公表したことは、広野町を含む福島県双葉郡(そこには東京電力福島第一原子力発電所が立地している)の地域医療を維持したいという熱心さが動機となっていることは理解できるものの、勇み足なのではないかという疑念を生じさせる。問題解決のためには当事者間の信頼関係の構築が重要である。しかしながら、許可なく会議の内容を公開してしまうようなことを行えば、信用を失ってその関係者から外されるのは、当然の帰結ではないだろうか。

そして、一民間病院の利益や立場を県が支持してしまえば、病院間の統制を維持することが困難になる。そのような「わがまま」が通じるような前例をつくることは望ましくないだろう。さらに言えば、「高野病院を支援する会」の関係者には、福島県外の東京などを本拠地にしている者も混ざっているらしい。そのような者が影響力を発揮することを、簡単に認めることは問題だろう、というような考慮も働いていたかもしれない。

通常の場合、まっとうな社会人の感覚を持ち合わせているものならば、このような主張の正当性をある程度は認めて受け入れるであろう。しかし、今回は非常に特殊な状況なのであり、そのような場合においては、「高野病院を支援する会」の医師が行ったような行為についても「理」ありと見なしうることを、今回の小文では主張する。

(同時に、このような非常事態的な対応は通常は許容されるべきではなく、特殊な状況が解消されたのならば、適切な陳謝とともに撤回されるべきであることも、合わせて述べておきたい。)

1月6日の会議で福島県の担当者が行った「双葉地方の地域医療と、高野病院の話は別です。

そこから話を始めましょう」という発言と、その後の一連のコミュニケーションには、私が「日本的ナルシシズム」という形で告発してきた構造的暴力が、純粋に濃縮した形で現れている。さらにこの一連の言動は、その構造的暴力を強化・維持し、反復させる質を持っている。

(「日本的ナルシシズム」については、拙著『日本的ナルシシズムの罪』(新潮新書)の他、以下のようなブログ記事を参考にしていただければ幸いである。
「日本の変わらなさへのささやかな抵抗」http://blogos.com/article/53751/
「平成26年12月に浪江までの相双地区と仙台が常磐自動車道で直結した時に被災地で感じたこと」http://www.huffingtonpost.jp/arinobu-hori/namie_b_6298480.html
「コロナイゼーションの進展としての東京電力福島第一原子力発電所事故対応」http://www.huffingtonpost.jp/arinobu-hori/post_9738_b_7778974.html)

ここで注目している福島県の担当者が行ったコミュニケーションは、以下のような質を持っている。

・ 密室性
・ 「場からの排除」を一方的に行使できる権威性の主張
・ 上記による力関係を背景に、課題となっている事柄が「双葉地方の地域医療」であるという本質的な問題であることを否定し、「高野病院の話」という一民間病院の利益や立場の問題であると矮小化していること。
・ そこには、高野英男先生と高野病院が、震災後の双葉地域の医療の多くを担ってきたことと、それと比べて県などの行政が貢献する部分が大きくはなかったという事実についての、否認が行われていること。
ナルシシズムの観点から心理の深読みを行うならば、このコミュニケーションには、行政からの自分たち以上の業績を挙げた高野病院に対する羨望や、そのような対象に対して「軽蔑」「支配感」「勝利感」などの感情を向ける躁的防衛のメカニズムが働いているといえる。しかしそのような心理は、人間のいる場面ではどこにでも現れうることであろう。

ここで問題なのは、事故を起こした原子力発電所の間近という世界的な注目を集める場所における政治的かつ経済的な意義も大きい高度な社会的な問題に対応する場面で、未熟な心理の表現が、そのままに修正されずに顕在化してしまう状況である。

私が「日本的ナルシシズム」と呼んでいるものは、幼児的なナルシシズムの心理と素朴な「上長を敬う」という道徳的な感覚が、曖昧で混とんとしたまま高度な社会問題の解決を目指す場面でも、そのままに適応されてしまう事態のことも指している。時として現実を適切に扱うよりも、ナルシシズムを守るような想像的な満足が優先される。

そうである場合には、精神性を成熟させることよりも、その混然とした一体感とそれに支えられた素朴で土着的な道徳観念に留まり続ける方が、政治的・経済的な利益が大きいという社会になる。

当然にそのような社会の構成員は、社会的な場面での現れが未熟なままに留まるであろう。そのような構成員は、さらに社会をそのようなものへと固定させる。

このように「日本的ナルシシズム」の心理・社会構造は、反復・強化されている。強いられなくとも、自律的にその成員がそのように行動し、他の成員にもそれを強いるようになるのだ。

率直に言って、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故の発生にもっとも大きな要因となったのは、この「日本的ナルシシズム」の病理であったと私は考えている。そして、あのような経験をした私たちは、この現実に目覚めて、この病理性からの脱却を志すべきなのだ。

しかしながら、あの事故の記憶が色濃く残る場所で、ほんの6年弱しか経過していないのに、その病理性が何の反省も修正もなく反復され、それに対して何の抗議を行うこともできずに従わざるをえないのならば、それは絶望的な事態ではないだろうか。

中立的で学問的な立場からは、二つの正義の利点と欠点を明らかにして、その仲裁を試みるのかもしれない。しかし、私は、私自身がその「日本的ナルシシズム」の心理・社会構造にどうしようもないほどに強固に巻き込まれているものとして、必死にそこからの脱却を目指さなければならない。そして、こちらの正義がもう一つの正義よりも優先されることを主張せざるをえない。これが、私が「造反有理」と主張する根拠である。

人が構造的暴力に巻き込まれている時に、そこから離脱することは容易ではない。

例えば、精神医学で「ストックホルム症候群」として知られている現象がある。それは、誘拐や監禁等の犯罪が行われた場合でも、被害者が加害者と長時間を一緒に過ごした場合に、時に加害者に被害者が好意を持つようになる事象を指している。

私自身が精神科医として臨床的に経験した事例を、事実関係が特定されない形で紹介させていただこう。

ある「仕事が生き甲斐で、好きで仕方がない」若い女性が、疲労困憊して混乱した様子で受診した。話を聞けば、いわゆるセクハラ・パワハラの被害者である。しかし、彼女は自分の勤務先の上長の言動に疑問を感じているものの、「まじめに職場に迷惑をかけずに働く」ことをやめようとしない。数回受診した後に通院が途絶え、しばらくしてまた私の外来を受診した。その時に彼女はすでに、不本意な形での退職を強いられた後であった。

その場で彼女は、「先生から『職場の上長が私のことを適切に扱っていない』と言われて、先生のところに来られなかった」と話していた。今となっては「先生の言っていたことが正しかった」と話すが、それでも以前に私から「上長が患者のことを適切に扱っていない」と指摘されたことは、恨みに思っている様子であった。

私としては、診療を行うことの難しさを感じていたものの、さほど驚くことではないとも考えていた。構造的暴力に巻き込まれている被害者に、その事実を指摘することは、強い恨みを引き起こす可能性があることについては、ある程度の経験のある心理系の臨床家ならば、十分に理解して経験している事柄なのである。

ストックホルム症候群や上にあげた事例のように、実際の加害者とのせいぜい数年間の経験でも、ここまで強い愛着が生じ得るのである。ましてや、「日本的ナルシシズム」のような、前時代の数十年にわたって日本社会の安全と発展を守ってくれた構造であるならば、その構造については問題の方が大きいように時代と状況が変化したのだとしても、その内部の人間がその構造への愛着を離れられないのは、当然のことであろう。

人間の心理はそのようにできている。自分が巻き込まれている構造的暴力については、極端に思考能力が弱まるのだ。

さらに、そのことを意識すること自体が、強い罪悪感を引き起こす。そして、そのような事態を明らかにする対象を、何らかの悪とみなし、その上で攻撃して排除したい欲求が高まるのだ。この場合にその攻撃性は、共同体への愛着に由来する道徳的な真面目さの表現として理解されている。

このように「構造的暴力の被害者」である私を自覚することには困難が大きい。

そして、それ以上に困難なのは「構造的暴力の加害者」である自分を自覚することである。私もまた、何らかの意味で、「日本的ナルシシズム」の構造の被害者に多くの責任を押し付け、それによって自分の安全や利益を確保しているのである。

例えば、私は高野英男先生の苦境を漠然とは知っていた。しかし、その実態を明確に知ろうとしたり、それを手伝おうとしたりはしなかった。ほんの一部かもしれない。決して割合は大きくはないだろう。

しかし私もまた、高野英男先生の労苦を搾取していた中の一人だ。その意味で、私たちは決して一方的に福島県の担当者を弾劾できるような立場にはない。

それでも、この構造のなかで強い影響力を発揮できる立場にある人々、さらに大きな利益を得ている人々が、漫然とこの構造を反復・強化するような行為を継続した場合には、何らかの批判を受けることは適切な事柄であると思われる。

日本的ナルシシズムの構造からの完全な脱却などありえず、漸進的にのみ進行しうる程度の差しか存在しないとも言えるだろう。私たちは皆、構造的暴力の中の被害者であり加害者である。被害者であることを自覚することも、加害者であることを自覚することも、とても絶望的なことである。しかし、その絶望を回避して、漠然と構造的暴力の中に留まり続けることの方が、真に恐るべきことがらに思える。

そして、今までとは違うことが起きつつある。

1月9日にボランティアの医師らの交通費や宿泊費を確保するために開始されたクラウドファンディングは、わずか1日で目標額を達成した。

1月11日には、東京の総合病院に勤務する外科医が、2~3月と常勤医として高野病院に勤務することが発表された。

1月13日には福島県立医科大学の次期理事長が、福島民友のインタビューに答えて「高野病院は地域で重要な役割を担っており、入院患者や近隣の住民に対する切れ目ない医療を維持することが大事。県から要請があれば、常勤医の派遣を含め検討する」と発言している。

構造的暴力に巻き込まれている経験に適切に絶望し、それを心理的に乗り越えて現実を扱えるようになった個人が、今までの反復ではない新しい共同体のあり方を生み出していることに、私たちは希望を見出そう。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017011602000110.html?ref=rank
福島思い「何かしないと」 「自主避難」基金へ支援の医師・山田さん
2017年1月16日 東京新聞 朝刊

 二〇一一年三月十一日に起きた東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から、間もなく六年。「毎日福島のことを考え、何かできないかと思っていた」。東京都八王子市で診療所を営む山田真(まこと)さん(75)=西東京市=は、原発事故の避難区域外から避難を強いられた「自主避難者」の支援に、三百万円の私費を投じた。山田さんを動かしたのは、半世紀にわたり社会的に弱い人たちを支え続けた信念だ。 (中山高志)
 「福島で多くの親が子どもの健康を心配しているのに、医師に相手にされず困っている」。原発事故から二カ月後の一一年五月、ボランティアで都内から福島に通う女性から山田さんに電話があった。
 山田さんは当時、原発の危険性を見抜けなかった自分を責め「何かしなくては」と思っていたという。その後、約四年にわたり、福島県内や全国の避難先で無料健康相談会を開いてきた。現在も都内で仲間と続けている。
 支援に奔走する中、「国や東京電力が何もせずにのほほんとしている」と強い憤りを覚える一方、「何もできなかった」とむなしさも感じた。そんな中、自主避難者の住宅無償提供が三月末で打ち切られ、多くの人が困窮する実態を知り、寄付を思い立った。
 岐阜県の実家は江戸時代から続く医者。山田さんは十代目だが「東京への憧れ」もあって実家は継がなかった。東大医学部卒業後は、大学近くの「今で言うホームレスの人たちを中心に診る」診療所へ。差別を受けたりお金に困ったりする患者と向き合う毎日に「社会的弱者の人たちを診ることが自分に合っている」と強く感じた。
 一九七〇年には現在の「八王子中央診療所」の所長に就任し、半世紀近く地域医療を支えてきた。同年ごろからは森永ヒ素ミルク事件の被害者の健康相談も始め、今も続ける。家庭ではパートナーで医師の梅村浄(きよら)さん(71)との間に三人の子がいる。長女で障害がある梅村涼(りょう)さん(43)が小さいころには、浄さんと障害児の小学校普通学級就学運動にも取り組んだ。
 十五日、寄付金を基に設立された自主避難者支援基金の抽選会場に足を運んだ。涙を浮かべ感謝する母親たちの姿に「孤立無援で本当に大変なんだ」と実感した。「原発避難者のいじめ問題に象徴されるように、大人が自主避難の人たちのことを正しく理解していない。各地でしっかりと向き合い、何ができるのか考えてほしい」



http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H2O_W7A110C1EAF000/
トランプ氏「オバマケア代替案、近くとりまとめ」
2017/1/16 12:01 日本経済新聞

 【ニューヨーク=平野麻理子】トランプ次期米大統領は、現行の医療保険制度(オバマケア)の代替案を近くとりまとめる考えを示した。有力紙ワシントン・ポスト(電子版)が15日に報じた。トランプ氏は選挙戦中からオバマケアの撤廃を主張しており、新たな制度は「全ての人のための保険」になると語った。医薬品の値下げにも取り組む姿勢を強調した。

 トランプ氏は14日夜、ワシントン・ポストの電話インタビューにこたえた。米議会もオバマケアの撤廃に向け準備を始めており、オバマ大統領の政治的遺産(レガシー)の1つが消滅する可能性が出てきた。

 トランプ氏は代替案の詳細については明らかにしなかったが、「もっとシンプルになる。今より安く、今より良くなる」と語った。その上で「検討は最終段階にある」として、厚生長官に指名したトム・プライス氏が議会の承認を受けるのを待つ考えを示した。

 オバマケアを推進してきた民主党は、全米で2000万人以上が医療保険を失うとして、撤廃に反対している。



http://mainichi.jp/articles/20170117/ddm/041/040/055000c
詐欺
医師、薬代詐取容疑 警視庁、強制捜査へ 性病と虚偽診断
毎日新聞2017年1月17日 東京朝刊

 性感染症にかかったと虚偽の診断をし、治療薬の代金を患者から詐取した疑いが強まったとして、警視庁捜査2課が東京都新宿区の診療所「新宿セントラルクリニック」院長で医師の60代の男について、詐欺容疑で強制捜査に乗り出す方針を固めたことが、捜査関係者への取材で分かった。同課は、男が2010年ごろから同様の手口で詐欺を繰り返し、多数の被害者がいるとみて調べる。

 捜査関係者によると、男は12年秋ごろ、クリニックを訪れた新宿区の男性会社役員(68)に「クラミジア感染症」の血液検査を実施。虚偽の診断をして治療薬を処方し、数万円をだまし取った疑いが持たれている。

 クラミジア感染症は通常、血液検査で基準値を超える抗体が検出されれば陽性となるが、男は低く改ざんした基準値を患者に示していたという。男は毎日新聞の取材に「私は間違った診断はしていない」と話している。【黒川晋史、宮崎隆】


  1. 2017/01/17(火) 05:49:17|
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