Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月15日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/493929
「医療構想が具体化、大事な年」塩崎大臣
山崎日精協会長は「保険の一体化」「薬剤現物給付」を提唱

2017年1月15日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

 四病院団体協議会の賀詞交歓会が1月13日、東京都内で開かれ、塩崎恭久厚労相は「今年は各地域の医療構想が具体化をしていく大事な年。病院の役割は極めて重要かつ大である」と挨拶をした。昨年の同会は参加した安倍晋三首相は、外遊中で欠席だった。

 約5分間の挨拶で、塩崎氏は2017年は「盛りだくさんのアジェンダが目の前にある」と話し、具体的には、薬価制度、ICTの活用、地域医療構想――の3点について触れた。ICT化では「過去に例のない大規模なものになる。現場の先生方の医療活動を生かすシステムにしていきたい」と述べた。

 2016年の振り返りでは熊本地震のほか、伊勢志摩サミットに関連して「グローバルヘルスの分野で国際的に日本が評価された」と話した。


 四病協代表として挨拶をした日本精神科病院協会会長の山崎学氏は「新春なので好きなことを言う」と断り、「医療保険と介護保険を一体化すべき」「高額薬剤に対応するために、薬剤は保険制度の外枠として、国が買い上げて現物給付すべき」との考えを示した。



https://www.m3.com/news/general/493938
大規模病院 岡山市に集中
2017年1月15日 (日) 読売新聞

◇医療の質向上へ連携

 大規模病院が集中し、中四国屈指の医療先進都市といえる岡山市。とりわけ近年は、大規模総合病院の建て替えや新設移転が目立つ。厳しい競争は、医療の質の向上につながる一方、中小病院の存立や県北部との医療格差などの問題もはらむ。現状を探った。(加藤律郎)

 岡山市のアーケード商店街のほど近くに昨年11月、一際目立つ高層ビルが現れた。「川崎医科大学総合医療センター」。地上15階、地下2階の鉄筋コンクリート造りで、647床を備え、22の診療科で最先端治療が受けられる総合病院だ。

 12階の手術室には最先端の手術ロボット「ダ・ビンチ」が設置され、集中治療室(ICU)や高度治療室(HCU)を完備。入院病棟の個室は木彫の内装が施され、ホテルの客室さながら。緩和ケア病棟や屋上のヘリポートも含め、充実している。

 「医療都市岡山市にようこそ~最高の医療をすべての人に~」。市が作成した病院案内のパンフレットのタイトルは、医療機関の多さを象徴している。

 市内の総合病院数は、昨年4月1日現在で55か所、診療所は700か所。厚生労働省の統計(2014年12月31日現在)では、人口10万人当たりの病院数は7・6病院(政令市の平均6・7病院)、一般病床数は1011・3床(平均703・6床)と、いずれも全国4位。医師数は400・1人(平均244・9人)で全国3位となっている。

 医療先進都市のルーツは、江戸時代に遡る。1870年に岡山藩医学館が設置され、88年に第三高等中学校医学部、1922年に岡山医科大学、49年に岡山大学医学部に発展した。70年には倉敷市に川崎医科大学が開学し、さらに充実した。

 現在、病床数が500を超える大規模病院は市内に5か所ある。県は今年度、2か年の「第7次保健医療計画」を策定し、各病院の強みを生かした連携の枠組み作りが進む。

 その柱が「岡山大学メディカルセンター構想」だ。医療法改正を機に、岡山大学病院を中心に、市内5病院(市立市民、岡山労災、岡山赤十字、岡山済生会総合、岡山医療センター)が「地域医療連携推進法人」の設置を検討。若い医師を育てて県北部の病院に派遣するなど、都市と周辺部のバランスを取ることも視野に入れる。

 競合関係にある病院同士の調整だけに、合意形成には時間を要し、実効性の確保という課題もある。地域医療に詳しい東京医科歯科大学の伏見清秀教授(医療政策情報学)は「地域の問題、維持すべき水準などを共有し、将来の医療需要に見合った機能分化と連携を進める努力が必要」と指摘。県医療推進課の下坂泰幸・統括参事は「競争から協調へと転換し、医療のボトムアップを図る。質の高い医療を効率的に受けられる仕組みを目指す」と話している。



https://www.m3.com/news/general/493819
沖縄)那覇市立病院、3月から眼科休診 医師確保できず
2017年1月15日 (日) 朝日新聞

 那覇市立病院(屋良朝雄院長)が退職する眼科医2人の後任を確保できていない問題で、3月から眼科を休診することが13日、分かった。同院は、4月以降に週2~3日の外来対応ができるよう、公募や関係機関との調整を進めている。また、早産児らが発症することがある「未熟児網膜症」の診断や治療ができなくなるため、在胎30週未満の妊婦の受け入れを昨年12月末から一部制限している。

 同院は4月以降の外来再開を目指しているが、まだ医師は確保できておらず、入院や手術への対応再開はさらに厳しい状況という。

 眼科医不在は周産期医療にも影響が出る。低出生体重児や早産児が発症する可能性がある「未熟児網膜症」は重症になると網膜剥離が起き、視力障害につながる疾患。

 同院では在胎34週以下の出生児に対し、退院までの数カ月間、眼科医が毎週、診察を実施している。しかし、眼科医が不在となるため、昨年12月末から、紹介や緊急搬送されてくる30週未満の妊婦は、他病院が受け入れられない場合に受け入れる方針をとっている。

 そのため、周産期医療の要になっている県立南部医療センター・こども医療センターの負担が増すほか、疾患の可能性がある出生児をリスクがある中で転院させることにつながっている。

 屋良院長は「このままでは県全体の周産期医療に影響が出る。とにかく診断ができる医師を確保したい」と話している。(沖縄タイムス)



https://www.m3.com/news/general/493762
【秋田】大館市立総合病院:医療費9年過大請求 返還手続きへ 
2017年1月15日 (日) 毎日新聞社

 大館市の市立総合病院は13日、2008年から16年末までの9年間、胃と大腸のカメラ検査をした際、医療費を過大請求していたと発表した。対象者は延べ約2万5000人、総額は約2800万円に上る見通しという。

 同病院事務局によると、胃カメラなどで撮影されたデータは、07年まではフィルム管理をしていた。08年1月からデジタル管理に移行したためフィルム代の請求は必要なくなったにもかかわらず、患者や保険機関などに対し、フィルム代として1137円を請求していた。

 デジタルへの移行は看護師らに周知されておらず、病院内での定期調査でも誤りは指摘されなかった。昨年12月、患者からの指摘で発覚した。同病院は過大請求分の返還手続きを進める方針。

 佐々木睦男・病院事業管理者は「ご迷惑をかけ、深くおわび申し上げます。再発防止に万全を期します」と話している。【池田一生】



http://news.livedoor.com/article/detail/12545024/
「国境なき医師団」が製薬会社からの寄付を断った理由
2017年1月15日 18時30分 らばQ

チャリティ団体のほとんどは、外部からの寄付で成り立っています。

誰からの寄付でもありがたく受け付けているのかと思いきや、国境なき医師団が多額の寄付を拒否したとニュースになっていました。

いったいどんな事情で寄付を断ることになったのでしょうか。


Why Doctors Without Borders Is Rejecting 1 Million Free Vaccines From Pfizer
(http://fortune.com/2016/10/12/doctors-without-borders-rejects-pfizer-vaccines/)
Doctors Without Borders refused a donation of one million vaccine doses from Pfizer
(http://vaccines.trendolizer.com/2016/10/doctors-without-borders-refused-a-donation-of-one-million-vaccine-doses-from-pfizer-the-heart-of-the.html)
Why Doctors Without Borders Refused a Million Free Vaccines
(http://www.theatlantic.com/health/archive/2016/10/doctors-with-borders/503786/)

2016年10月、アメリカ最大手の製薬会社ファイザーが、医療従事者を世界中に派遣するチャリティ団体「国境なき医師団」に対して100万本のワクチンを寄付すると提案しました。

ワクチンは肺炎を予防するためのもので、すぐに必要な人々のもとへ届けることができ、接種により大勢を救えるものでもありました。

ところが医師団は、その提案に「ノー」という返事を下したのです。

ありがたいはずのワクチンを拒否した背景には、ワクチンが極端に高額であることへの抗議の意味が込められていました。

ファイザーは肺炎のワクチンの最終製品だけでなく、製造過程を含む複数の特許を所有しており、競合起業が参入できない状態で、ワクチンの値段は高騰する一方なのが現実です。

人命を救うためのワクチンによって、ファイザーが莫大な利益を上げていることには、多方面から疑問の声が出ていました。

それを人道的ではないと医師たちが考えたことが、ファイザーの寄付を拒否するに至った理由だったのです。

世界中で命を奪っている致命的な病気のワクチンが、途上国で入手可能な値段にならない責任の一端がファイザーにあるとして、非難の意味も込められているようです。

海外掲示板には多くの意見が寄せられていました。

●記事の最後の段落が、その決断をもっとわかりやすいものにしている。
「寄付そのものは、国境なき医師団がすぐに恩恵を得るものでありながら、それを受けることにより別の問題や長期的な問題が出る。『寄付』はある意味で他の者に支払わせているとも言える。肺炎のワクチンを無料で配ることによって、製薬会社は高額な薬を正当化しようとしている」

↑どちらにしてもずる賢いPRだよ。

●最高のウソつきは、まず最初に自分をダマす。

●命を脅かす病気の薬の独占は、かなり稼げるんだと思うよ。

↑なんてこった。もっと良いシステムにできないのか。
「命を救う何かを発明、そしてそれを10年独占して、出来るだけ金を吸い上げろ、買えない貧困層は死ぬ」
そんなのひどいよね。

↑しかもたった10年じゃない。製薬会社はもうその道のプロで、少しの変更でまた新しく10年の特許を取り直すんだよ。

●国境なき医師団たちを軽くとらえない方が良い。彼らはわざわざ劣悪な環境下で子供たちの命を救うことはないし、だからこそ彼らが必要だというものは必要なんだ。
さらに国境なき医師団は、高額な薬に関して長期にファイザーと戦っている。無料のものが本当に無料であることはない。たった1度の薬がこれから何百万人の子供たちの人生を長期的に変えてくれはしない。しかし、何年にもわたる安価な薬なら変えてくれるだろう。

↑同意するよ。
ただし、医師に対する間違った概念は払拭しておきたい。医師の多くはとても長いキャリアでもない限り、そう裕福でもない。

●これが現状。
1. 国境なき医師団に200万ほど寄付。
2. その10倍の金額を広告に使う。
3. そのまま狂ったような高額な値段を変えず、子供たちをリスクにさらす。
4. それが利益。

●ファイザーは100%以上の利益を使って、自分らの株を買い戻しているよ。そして過去20年、その配当を払っているんだ。その利益でさらに特許を増やし、薬を作り、値段を上げ、圧力をかけ、市場に行き、利益をウォール街にも送っている。
S&P500(アメリカの代表的な株価指数)の95%が株の買い戻しや配当を支払うことに使われている。
我々の経済はもうカジノのようなものだ。家庭内の投資も、従業員の賃上げもない。

●2人の男がだいたい同じ時期にポリオのワクチンを発見し、その両方が世界に無料で提供した。その結果としてポリオがほぼなくなったんだ。製薬会社の強欲さには驚くほどだ。

●本当にワクチンを作るのは難しく、安価でもない。ただし政府が乗りだして同じのを作り始めるまでは、値段は下がらないであろう。


利益が新薬開発に繋がる側面もあるため、一筋縄にはいかない問題ではあります。

しかし寄付を断る勇気もすごいですね。
(元記事: https://www.reddit.com/r/worldnews/comments/57mfgu/doctors_without_borders_refused_a_donation_of_one/ )



http://www.asahi.com/articles/ASK1H2TFNK1HUBQU003.html
都市部の専門医、定員に上限設定を 東京・大阪など6都府県 専門医機構
寺崎省子
2017年1月15日09時06分 朝日新聞

 来春開始を目指す新しい専門医制度について、日本専門医機構(吉村博邦理事長)の理事会は、医師偏在を助長しないよう、大都市部がある6都府県では専門医を目指す専攻医の定員に一定の上限を求める方向性について了承した。定員の限度の設定方法などは3月までに決めるという。

 専門医機構が13日に発表した。基本領域の専門医の定員は、運営細則で定める。機構によると、6都府県は東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡。上限は直近3年間の実績などをもとに調整する。減少が心配されたり、数が少なかったりする外科、内科、病理、臨床検査については、上限適用の対象外とする方針だ。

 上限の設定方法や、6都府県以外の大都市部や他の基本領域をどうするかについては、基本領域の学会から過去の実績のデータを提出してもらい、3月までに決める予定という。

 ログイン前の続き一方、新制度では、専門医を中立の第三者機関が認定する仕組みに加え、複数の病気を抱えるお年寄りらに幅広く対応できる「総合診療専門医」も、目玉の一つとなっている。厚生労働省の検討会報告書では、基本領域の専門医の一つに加えると位置づけている。

 来春の制度開始を前に、機構は6月から各基本領域の専攻医の募集を始める予定だが、総合診療科は、具体的な到達目標や研修プログラムが決まっていない。

 13日の会見で、日本医師会副会長でもある機構の松原謙二副理事長は、「基本領域は総合診療科を加えた19で検討している」とした上で「患者さんが良い医療を受けられるよう、3月までに決めたい」と話した。



http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226587786456.html?pageKind=outline
PMDAが審査増員ストップ、量から質へ  近藤理事長  審査期間の目標値は維持
( 2017年1月16日 ) 日刊薬業

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は2017年から審査員の増員を止める。審査部門が累積赤字に陥るのを防ぐ狙いがある。今後は人員増ではなく、個人の能力と審査しやすい環境を高める。一方で、審査期間の目標値は現行水準を維持する。近藤達也理事長が新年を迎えるに当たって日刊薬業の取材に応じ明らかにした。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03207_02
【寄稿】
改正個人情報保護法は臨床研究にどのような影響を与えるのか

田代 志門(国立がん研究センター 社会と健康研究センター生命倫理研究室長)
藤原 康弘(国立がん研究センター 企画戦略局長兼中央病院副院長(研究担当))
週刊医学界新聞   第3207号 2017年01月16日

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 「個人情報の保護に関する法律」(以下,個人情報保護法)等の改正法が2015年9月に成立・公布。これを受け,医学研究における個人情報保護の適切な取り扱いを確保するために関連指針の見直しを議論してきた文科省・厚労省・経産省の合同会議が,さる12月7日に見直し案を取りまとめた。

 新たな指針はまもなく公表されるが,改正個人情報保護法に合わせて来春施行の予定であり,準備期間は非常に短い。合同会議の委員である藤原氏らに,見直し案のポイントと注意事項を解説していただいた。

(本紙編集室)
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診療録を用いた研究は引き続きオプトアウトで実施

 2016年4月15日から開始された研究倫理指針改正のための検討会(「医学研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」,座長=聖路加国際大・福井次矢氏)が,12月7日に最終的な決着を迎えた。結論から言えば,関係各所から表明されていた懸念はおおむね払拭され,次年度からも従来と大きく変わらない形で研究が継続できる目途が立った。

 特に大きいのは,パブリックコメントの時点(2016年9月22日~10月21日)では,全て個別同意を得ることになっていた「診療録を用いた研究」について,現行指針通りオプトアウト(研究概要について情報公開した上で,研究対象者の拒否の機会を確保すること)によって実施することができるようになった点である。これにより,各種の観察研究が本年4月以降も継続できることになり,安心した研究者も多いと思う。

 そこで以下では,この方針転換を踏まえて,改正個人情報保護法が臨床研究の実施に与える影響を概観しておきたい。

個人情報保護法と医学研究

 まず初めに確認しておきたいのは,個人情報保護法と医学研究の関係である。よく知られているように,個人情報保護法には当初から学術研究を「適用除外」とするという規定があり,これは改正された後も何ら変わっていない。そのため,本来的には個人情報保護法の規定をそのまま研究倫理指針に持ち込む必要はなく,あくまでも自主的なルールとして医学研究の現状に即した規定を設ければ良い,という考え方も成り立つはずである。

 しかしながら,個人情報保護法の適用除外の規定をよく読むと,「大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者」が「学術研究の用に供する目的」で利用する場合と書かれており,そう単純ではないことがわかる。つまり,適用除外の要件としては,目的が学術研究にあるだけではなく,活動主体が学術研究機関でなければならない,と解釈し得るのである。そのため,字義通りにとれば,主たる目的が学術研究にはない民間病院や企業は一律除外されない,という結論が導かれてしまう。実際,検討会でもこの点が何度か議論になったが,除外されない機関がある以上,全ての研究機関を包含するルールが必要であるという認識の下,適用除外の件は十分検討されないまま議論が進められていった。その結果,当初の改正案は,個人情報保護法の内容に一切抵触しないだけではなく,行政機関や独立行政法人等を対象とする関連法規の厳しいところを足し合わせたような,極端に厳格なルールとなったのである。

 これに対して,パブリックコメント後に再開された検討会(2016年11月16日)では,適用除外の範囲があらためて確認され,民間病院であっても適用除外となる場合があるという解釈が明確に示された。具体的には,研究計画ごとに結成される研究チームにつき,「その実質や外形が一つの機関としてみなし得るものであれば」所属法人の違いを超えて,「学術研究を目的とする」団体等に所属しているとみなせる,というのがそれである。これは極めて重大な解釈であり,関連法規の厳しい部分を足し合わせたルールを作らなければならない,という当初の認識がここにきてようやく覆されることになったのである。

個人情報の取得に関する「適切な同意」はより簡便に

 以上の解釈を前提として,あらためてルールの見直しが行われた結果,今回の改正で最大の争点になっていた自機関の診療情報の研究利用につき,引き続きオプトアウトでの利用が許容されることになった。パブリックコメント時点での改正案では,これらについても原則全て個別同意を得ることになっていたのだが,この方針が覆されたのである。

 また同時に,研究参加の際の「インフォームド・コンセント」と個人情報の取得に関する「適切な同意」の区別についても明確な解釈が提示された。すなわち,従来の研究倫理指針では,「同意が必要」と判断されると直ちに,指針に規定されている多数の説明項目を説明する義務が研究者には発生してしまい,これが同意取得をためらわせる大きな要因になっていた。しかし改正案では個人情報の取得に関する「適切な同意」は,より簡便なもので構わないことが明らかになった。これにより,今後は新たに研究目的で個人情報を取得する場合にも,現実的な対応が可能となったのである。

 さらに,診療情報の他機関提供に関しても,個人情報保護法適用機関とそれ以外で分けられていた改正案は大幅に修正され,全ての研究機関が共通ルールの下で診療情報の利活用をできるようになった。当初の改正案では,もはやオプトアウトによる疾患レジストリ研究は不可能になるのではないかと懸念されていたが,新たな改正案の下では継続は十分可能になっている。

進行中の臨床研究は倫理審査委員会への変更申請が必要か

 同意の在り方と並んで,もう一つ大きな懸念事項になっていたのが,倫理審査委員会への変更申請の問題である。というのも,今回は過去の指針改正とは異なり,一部の規定に関する経過措置が廃止され,現在既に実施されている研究の見直しが必要だとされていたからである。そのため,最悪のケースでは,現在実施している全ての研究に関して研究者は変更申請を行い,倫理審査委員会はその修正点を確認の上,本年度末までにその全てを承認するという作業が発生する恐れがあった。これは当センターのように1000を超える研究が実施されている研究機関にとっては,おおよそ達成不可能な目標である。

 残念ながらこの件については大きな変更はなく,一定の対応は引き続き必要となっている。そのため,来春の指針施行までに,研究責任者は現在実施中の研究について見直しを行い,必要に応じて研究計画書や説明同意文書を修正しなければならない。ただしその一方で,新たな改正案では,変更申請が必要な修正をごく限られた範囲にとどめることで,倫理審査委員会の負担を最小化している。

 具体的に言えば,変更申請が必要となるのは「同意取得を新たに実施する場合」と「(従来は情報公開のみをしていたが)新たに拒否権の確保を追加する場合」に限られる。これ以外に,新たに通知・公開を実施する,通知・公開項目を一部追加する,指針の定義変更に伴って用語の修正を行う,対応表の管理方法の変更を行うなどの場合については,「変更とみなさない」ため,倫理審査委員会への変更申請は不要であるとの見解が示された。

 なお,こうした細かな研究計画の見直しに際しては,まずは研究者が自己点検を行うことになるが,その際にも過度の負担がかからないよう,行政機関より自己点検用のチェックリストが発出される予定である。いずれにしても,当初想定していたような膨大な数の変更申請が出されることはなくなり,ごく一部の研究のみが対応を迫られるという運用に落ち着くと見込まれる。

残された課題

 以上,倫理指針の改正に関して,同意の取得と倫理審査委員会への変更申請に絞って最終的な見直し案を概観した。

 実際にはこの他にも「匿名化」の考え方や海外提供の際の要件など,新たな規定が指針の中には入っている。また,今回は詳しく触れることはできなかったが,新たに個人情報の定義に加えられた「個人識別符号」にゲノムデータが含まれたことも大きな変更点である。これらの変化は医療者にとっては容易に理解できるものではなく,各研究機関では今後変更点を繰り返し説明する必要が生じるだろう。

 しかし繰り返しになるが,これらの変更により本年4月以降は海外の医療機関や国内の民間病院との共同研究ができなくなる,といった事態は生じないと考えられ,過剰な心配は無用である。基本的には,これまでとは異なる理由に基づいて診療情報の利活用を行うことになるだけであり,多くの場合,実質的な運用は従来通りになると考えられる。

 なお,今回の指針改正を通じて,医療情報の利活用に関して,日本が法的に極めて脆弱な状況にあることがあらためて明らかになったように思う。その点で,今後は医療・医学分野の特徴を踏まえ,将来にわたって安定的に医療情報の利活用が図られるような立法措置がとられることが望ましい。今回の指針改正はそれまでの間の,いわば急場を凌ぐ措置であることを関係者は肝に銘じておくべきである。


  1. 2017/01/16(月) 05:57:14|
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