Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月21日 

http://mainichi.jp/articles/20161221/k00/00e/040/293000c
昭和南海地震
犠牲必ず減らす 新旧医療学生、思いは一つ

毎日新聞2016年12月21日 13時08分(最終更新 12月21日 13時18分)

90歳の元高知県立女子医学専門学校学生、教壇に

 昭和南海地震では、開校2年目だった高知県立女子医学専門学校の学生たちが防疫活動に奔走した。翌年に医専が廃止されたため調理学の道に進んだ1期生は今、食の面から防災に取り組む。医専の後身の高知県立大学も災害看護に力を注ぎ、多くの学生が学んでいる。「災害はいつか必ずやってくる」。地震から21日で70年。同じ思いが医専1期生と現役の学生の原動力だ。

 高知女子医専は戦争による医師不足解消のため創立され、高知市の松崎淳子さん(90)は1945年8月に入学した。46年12月21日早朝は、試験勉強のため自宅で薬理学の教科書を開いていた。「突然机の上のインクつぼが右へ左へ動き始めて……」。家がきしみ、激しく揺れた。外に飛び出すと「地面が波打っていた」。

 学生たちは予防注射など現場で奔走した。松崎さんは地震翌日、約20キロ離れた現在の同県土佐市宇佐町へ向かう。たどり着いた街は家が流され、船がひっくり返って打ち上げられ、港自体がなくなっていた。「手に負えない……」。自らの無力をかみ締めた。

 高知県では679人が犠牲になり、全国の死者・行方不明者の半数近くを占めた。県財政も直撃し、47年には運営費がかさむ医専の廃止と女子専門学校への変更が決まった。「みんな泣きましたよ」と松崎さんは振り返る。在校生の多くは他県の医専に転校したが、松崎さんは経済事情もあって女子専門学校に進み、土佐の伝統料理を研究した。

 県立大名誉教授(調理学)となった松崎さんに被災の記憶をよみがえらせたのは、2011年の東日本大震災だ。教壇から退いていたが、「防災食」を提唱し普及に取り組み始めた。栄養豊富で保存が利くショウガのつくだ煮や大根のふりかけなどのレシピを考案し、各地で講演などを続けている。

 今月16日、地震の被害状況が刻まれた宇佐町の石碑を初めて訪れた。「地震はいつかくるんだという思いを、とにかく忘れないでほしい」。碑を前に語った言葉は、県立大学で学ぶ後輩らへのエールでもある。【岩間理紀】

「災害看護グローバルリーダー」の養成に力を入れ

 県立大学は98年に看護学部を設立、南海トラフ巨大地震などを見据えた「災害看護グローバルリーダー」の養成に力を入れている。

 東京医科歯科大などとつくった「共同災害看護学専攻」で博士課程の西川愛海さん(29)=高知市=は、持病などがある災害弱者の「減災」に尽力する。生まれ育った街がいつか必ず被災地となると考え、「人々の健康や生活を守るために地域に深く関わり、『備え』と日常をつなげる役目をしたい」と思うからだ。昭和南海地震で奔走した女子医専の思いは受け継がれている。



http://mainichi.jp/articles/20161221/ddl/k17/040/301000c
金沢医大
男性遺族「医師連携不足で死亡」 賠償求め提訴 /石川

毎日新聞2016年12月21日 地方版 石川県

 内灘町の金沢医科大病院で、県内の70代男性が肝細胞がんを死滅させる手術後に死亡したのは医師間で情報共有されず処置が遅れたことが原因として、遺族が金沢医科大に計約4400万円の損害賠償を求める訴えを金沢地裁に起こしたことが分かった。提訴は19日付。

 訴状によると、男性は2015年11月10日、針で肝細胞がんを死滅させる「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術」の手術を受けた。横隔膜が針で損傷し出血が続いたが医師間で共有されず、処置が遅れたため11日、死亡したとしている。

 病院側は「訴状が届いてからコメントするか判断する」としている。

 遺族の代理人弁護士によると、男性の死亡は、患者の予期せぬ死亡を対象とした医療事故調査制度の対象となり、調査報告書は、医師間の連携が取れず出血の発見が遅れたと指摘したという。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161221/k10010815551000.html
産婦人科医不足の北海道東部の3町 首都圏で募集広告
12月21日 20時54分 NHK news

産婦人科の医師不足に悩む北海道のオホーツク海側の遠軽町など3つの町が、首都圏から医師を募集しようと、21日から1週間首都圏の鉄道で中づり広告などの掲示を始めました。
広告を出したのは、北海道のオホーツク海側にある遠軽町と湧別町、それに佐呂間町の3つの町です。

このうち遠軽町の遠軽厚生病院には、この地区で唯一の産婦人科がありますが、去年医師が不在となり、その後町の呼びかけで、ことし8月から医師の常駐が再開されましたが医師は1人だけで、地域医療に十分に対応できていないのが現状です。

今回の広告の掲示は、医師の数が多い首都圏で集中的に呼びかけようと行われ、3つの町の場所を示した地図などを載せて産婦人科医を募っています。

広告は、21日から1週間首都圏を走るJR京浜東北線の1編成と一部の週刊誌に掲載され、21日は遠軽町の佐々木修一町長が広告が掲示されている京浜東北線の車内を視察しました。

遠軽町は、リスクの高い分べんにも対応できるよう、少なくとも新たに2人の産婦人科の医師を確保したい考えで、佐々木町長は「少しでも多くの人たちに見てもらい、地域医療の現状に目を向けてもらえればと思う。1人のドクターでは必ず限界が来るので、何が何でも複数の医師を確保したい」と話していました。
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http://www.niigata-nippo.co.jp/life/medical/news/20161221298061.html
県央基幹病院の早期開院へ初会合
三条 整備推進会議

2016/12/21 16:25 新潟日報

 県が2023年度の開院を目指す県央基幹病院の整備推進会議が20日、三条市の燕三条地場産業振興センターで初会合を開いた。地元の医療関係者らが早期開院に向けた課題などについて意見を交わした。

 県央基幹病院は救命救急センターを備え、県央地域の新たな医療拠点として期待されている。燕市の燕労災病院と三条市の三条総合病院を統合再編して、三条市上須頃に整備する。

 推進会議は地元の病院長や大学、医師会の関係者計16人が委員を務め、不定期で開催する。事業の進ちょく状況について情報を共有し、病院再編に向けて協力関係を強める狙いがある。

 初会合は冒頭を除いて非公開だった。県によると、県が測量や基本設計をする業者の選定を進めていることを報告。課題となっている周辺道路の渋滞や冠水対策については、引き続き地元市などと協議していく方針を説明した。委員からは「現場の意見を大切にしてほしい」などの指摘があったという。

 会長の荒川正昭・新潟大元学長は会議後、「地元の方々と情報を交換し、意見を聞く中でいい病院をつくっていきたい」と話した。
【医療】



https://www.minpo.jp/news/detail/2016122137469
地域医療再生へ236億円 復興庁当初予算案 総額1兆8153億円
2016/12/21 10:07 福島民報

 復興庁は平成29年度当初予算案で東京電力福島第一原発事故による被災地の地域医療再生支援費として新たに236億円を確保する方針を固めた。東日本大震災に伴う社会基盤整備が進んだことなどから、予算総額は前年度に比べ約5900億円少ない1兆8153億円を見込んでいる。
 復興庁が当初予算案に盛り込む主な内容は下記の通り。地域医療再生支援費は避難指示が解除された地域の医療体制の再構築に充てる。福島県農林水産業再生総合事業に47億円を確保し生産、流通、販売の各段階で風評対策事業を展開する。
 福島再生加速化交付金などに1116億円を計上し、帰還困難区域内の特定復興拠点の整備や避難者の生活支援に活用する。
 東日本大震災復興特別会計には復興庁以外の各府省が所管する復興関係事業の予算が盛り込まれ、総額2兆7000億円程度の見通し。

【復興庁の当初予算案の主な内容】
・被災者支援総合交付金200億円
・被災地域における地域医療の再生支援236億円
・福島県農林水産業再生総合事業47億円
・被災地の人材確保対策事業10億円
・観光復興関連事業51億円
・イノベーション・コースト構想関連事業101億円
・自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金185億円
・福島再生加速化交付金等1116億円
・中間貯蔵施設の整備等1876億円
・除去土壌の適正管理・搬出等の実施 2855億円
・復興道路・復興支援道路の整備2400億円
・東日本大震災復興交付金525億円
・災害復旧事業2599億円



https://www.m3.com/news/general/488161
保険指定取り消し15施設 15年度返還請求124億円
2016年12月21日 (水) 共同通信社

 厚生労働省は20日、診療報酬の不正請求などで2015年度に健康保険法に基づく指定を取り消した保険医療機関等は、歯科を含む計15施設(前年度比2施設減)だったと発表した。登録を取り消した保険医等は医師6人、歯科医師15人、薬剤師1人の計22人。

 このほか22施設が取り消し相当だったが、いずれも取り消し前に廃業、4人が自主的に登録の抹消を届けた。

 指導や監査で不正請求を確認し、返還を求めた総額は約124億4千万円(前年度比約8億8千万円減)。一部の診療機関は返還金額が確定してないが、架空の診療報酬を付け足すなどして診療報酬を不正請求していた札幌市手稲区の板垣小児科内科医院(閉院)が約2670万円で最多だった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/488258
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「薬価制度の抜本改革、メーカーの成長戦略か」と疑念
中川日医副会長、「中医協の自主性低下」も危惧

2016年12月21日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会薬価専門部会(部会長:西村万里子・明治学院大学法学部教授)は12月21日、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を議論した(資料は、厚生労働省のホームページ)。同基本方針は、薬価調査を毎年実施し、価格乖離が大きい品目について、薬価改定を行うことが骨子で、前日20日に開かれた塩崎恭久厚労相ら4大臣会合で合意していた(内容は、薬価制度の抜本改革案、明らかに、4大臣会合へ』を参照)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、基本方針に対し、「改めて読むと、非常に大きな問題がある。薬価改定財源を国民皆保険制度の維持ではなく、製薬企業の成長戦略のために充てる方針のように見える」と疑念を呈した。毎年の薬価改定を打ち出す一方、「費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることを含め、費用対効果評価を本格的に導入」「より高い創薬力を持つ産業構造への転換」などと記載しているからだ。

 さらに中川氏は、薬価専門部会でも薬価制度改革について議論しており、本来は中医協マタ―であるにもかかわらず、「4大臣合意」として基本方針が取りまとめられたことを踏まえ、「中医協の自主性が少しずつ失われつつあるのではないか」とも懸念、中医協での主体的な議論を訴えた。

 一方、支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、薬価の毎年改定に向けた薬価調査の在り方をはじめ、基本方針には「来年中に結論を得る」とされている点について、その主体を質した上で、「一方的に経済財政諮問会議からボールが投げられることがないように留意してもらいたい。検討項目は多岐にわたり、相当ハードな議論になるだろう。優先順位を付けて、納得性のある議論をするためにも早く議論を開始してもらいたい」と中医協で主体的に議論していくよう、釘を刺した。

 厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、吉森氏の質問に対し、2017年の年初から、薬価専門部会で議論を開始し、基本的な内容については同部会で議論を深めていくと説明。ただし、その結論は、関係省庁や経済財政諮問会議と最終的に調整をして、2017年末までに得るとした。

 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、各論について質問。薬価の毎年改定のための薬価調査が、「大手事業者等を対象に行い」とされている点について、大手4社で取り扱う医薬品の数量シェアは約75%だが、中小卸を外すことで、実勢価格を正しく評価できるか」と質問。さらに、DPCなど薬剤費が包括されている点数の扱いのほか、薬価制度と同様に特定保険医療材料の価格算定方式についても検討が必要だとした。

 抜本改革の基本方針には、薬価の毎年改定のほか、(1)オプジーボに代表されるように効能追加等に伴い、市場が一定規模以上拡大した薬については、新薬収載の機会を最大限活用して、年4回薬価を見直す、(2)新薬創出・適応外薬解消等加算制度をゼロベースで見直し――が盛り込まれており、12月21日の経済財政諮問会議に報告される。

 今後の焦点は、毎年改定の薬価調査の方法、「価格乖離の大きい品目」の定義、毎年薬価改定の財源の取り扱いだ。通常の薬価調査の在り方なども含め、2017年中に結論を得ることになっており、2017年の年明けから議論がスタートする。

 「最大の目的は国民皆保険の維持」のはず

 中川氏はまず、「このような基本方針を、中医協が主体的かつ自律的にまとめることなく、4大臣合意という形でまとまったのは、非常に遺憾」と述べ、「来年末までに結論を得る」などと指示されていることなども踏まえ、「中医協の自主性が少しずつ失われつつあるのではないか」と指摘し、診療側と支払側ともに自戒すべきと語った。

 吉森氏が、今後の議論はハードであり、時間がかかると見通した点については、中川氏はこれまでも議論を重ねてきたことから、それほど時間はかからないとし、厚労省に対し、スピード感を持って議論を進めるよう求めた。「のんびり議論していたのでは、経済財政諮問会議が何らかの意見が出てきかねない。そうした危機感を持ってやってもらいたい」(中川氏)。

 その上で、中川氏は、基本方針が、安倍政権がかかげる成長戦略を狙った方針に映ると指摘した。

 基本方針は、序文に「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」の両立を基本理念として掲げている。中川氏は、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価引き下げを求めていたのは、公的国民皆保険の維持が最大の目的であり、現実にはこれらの両立は容易ではないと指摘。

 基本方針には、「革新的新薬創出を促進するため、新薬創出・適応外薬解消等促進加算をゼロベースで抜本的に見直すこととし、併せて費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることを含め、費用対効果評価を本格的に導入」「我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するため、革新的バイオ医薬品およびバイオシミラーの研究開発支援方策等の拡充を検討、ベンチャー企業への支援」など、イノベーション評価や研究開発投資の促進を狙った記載が多い。

 中川氏は、創薬支援の対象となる「我が国の製薬産業」とは、内資系企業に限るのか、外資系企業も含まれるかを質問。「新薬創出・適応外薬解消等促進加算で恩恵を受けたのは、内資系ではなく、外資系企業であるという歴史的な経緯がある」(中川氏)。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「我が国に必要な医薬品を提供するという制度設計を行っている」と述べ、内資系か外資系かを問わず、日本の医療において薬を提供する企業全体を指すと説明。

 そのほか、現在は試行的に導入されている「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について、ゼロベースで見直すとされている点も質問。中川氏は従来から、革新的新薬創出の支援は、診療報酬ではなく、補助金等で対応すべきと主張してきた。中山薬剤管理官は、「現行の加算について、どのような課題があるかを洗い出して、研究開発投資の促進という観点で見た場合、どんな制度であるべきかをしっかり考え直すことだと理解している」と述べるにとどまった。

 中川氏はそのほか、オプジーボの類薬に当たるキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)の薬価の問題にも言及。キイトルーダは12月19日、悪性黒色腫に続いて、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する効能・効果について薬事承認された。オプジーボはセカンドラインに使用するが、キイトルーダはファーストラインにも使用可能だ。早ければ2017年2月にも薬価収載される見通し。この点も踏まえ、中川氏はオプジーボの患者からの変更だけでなく、対象患者の拡大が見込まれる上、今後も他の癌種でも効能・効果の拡大が検討されていることから、厚労省に対し、迅速な対応を求めた。



https://www.m3.com/news/general/488257
日本臨床疫学会が発足‐データベース研究を推進
2016年12月21日 (水)  薬事日報

 ビッグデータを活用した質の高い臨床研究を通じて、医療が直面する課題の解決を目指す「日本臨床疫学会」が発足した。実臨床のリアルワールドデータを活用した研究の方向性が示される中、疾患横断的に中立的な立場からデータベース研究の標準的な方法論を提供すると共に、学会内に「臨床疫学専門家制度」を創設して若手研究者の育成を図る。同学会代表理事に就任した福原俊一氏(福島県立医科大学副学長)は、18日に都内で開催された発足記念講演会で、「臨床疫学がビッグデータにアクセスできる時代になった。臨床研究で日本の医療を元気にしたい」と抱負を述べた。

 同学会の設立日は今年の2月12日で、本格的な活動に向けて準備を進めてきた。「医療者」をメインとした学会だが、企業やそこに在籍する個人、学生も会員になることができる。患者中心の医療に向けて、企業や行政、国民とも対話する開かれた学会を目指す。

 質の高い臨床研究を世界に発信していくため、ビッグデータを活用した研究の振興と研究人材の育成に力を入れる。福原氏は、「臨床疫学はずっと注目されてこなかったが、ビッグデータを医療に活用できるようになったことで、臨床疫学研究の“適時”がやっときた」と強調。学会を通じて若手研究者が研究成果を発信する場を提供していく考えを述べた。

 日本の国際的地位は年々低下している。基礎研究には強い一方、臨床研究で見ると日本から生まれた論文数は世界30位以下で、2002年の11位をピークにじりじりと下がっている。福原氏は、「医療者が研究したいリサーチクエスチョンを持っていても、それを具現化するリテラシーや方法論が分からないために、研究として反映できなかった」と原因を分析する。

 こうした中、ITの技術革新を通じて、電子カルテやレセプトデータなど医療データベースを活用する研究の可能性が開けるようになり、「データベース研究の作法を提供していきたい」とし、学会主導で研究を進めていくための方法論や倫理的基準を提示していく考えだ。

 また、高齢化社会を迎え、「多重併存疾患を持つ患者が増える中、臓器別専門医が患者の病気を治す医療が限界となり、今後治療と予防を行えるような総合診療医、総合内科医が求められている」と指摘。自らの医療行動を科学的に評価できる医師を育成していくためにも、「新たな学術基盤として臨床疫学研究が必要になる」との方向性を挙げた。

 学会立ち上げに伴い、臨床疫学の専門家制度を創設した。ある一定のスキル・経験の要件を満たせば、「認定専門家」「上席専門家」「卓越専門家」の3段階で認定。医療経験5年以上の「医療者会員」とその他の「特別会員」が専門家資格の対象となる。5年以下の医療者で区分された「一般会員」や、企業に在籍する「企業会員」「賛助会員」も、臨床疫学研究の経験が5年以上などの条件を満たせば、「特別会員」の資格を取得できる。



https://www.m3.com/news/general/488240
【秋田】呼吸器内科3月末で休止、由利組合病院 常勤医師2人退職で
2016年12月21日 (水) 秋田魁新報

 秋田県由利本荘市川口の由利組合総合病院(佐藤一成院長、606床)の呼吸器内科が来年3月末で外来、入院とも休止することになった。同診療科の常勤医師2人が退職し専門医が不在となるが、代わりの医師確保が困難なためだ。病院は1月以降、徐々に新患や入院などの診療制限を行わざるを得ないとしている。

 県内では呼吸器内科医が不足している。医師派遣を行っている秋田大医学部呼吸器内科学講座の医局員も6人と少なく余裕がない状況という。県医師確保対策室によると、県内に69ある病院のうち、12病院で呼吸器内科医の不足を訴えている。

 由利組合総合病院では、呼吸器内科の常勤医2人のうち1人が3月末で定年を迎え、もう1人は市内で開業するため2人とも退職するが、補充のめどが立たないという。



https://www.m3.com/news/general/488160
次官級「医務技監」新設へ 厚労省、子ども家庭局も
2016年12月21日 (水) 共同通信社

 政府は20日、国の医療政策の司令塔役として、省庁の官僚トップである事務次官と同等のポスト「医務技監」を来年度、厚生労働省に新設する方向で最終調整に入った。同省の組織を再編し、子ども・子育て支援に特化した「子ども家庭局」、安倍政権が掲げる働き方改革を進める「雇用環境・均等局」も新設する方針だ。

 医務技監は、医師免許を持つ厚労省の医系技官を充てる想定。専門的な立場から政府の医療・保健政策を統括し、国際連携などにも対応する。来年の通常国会に厚労省設置法改正案を提出し、来夏の人事異動で誕生する見通しだ。

 米国で公衆衛生政策を指揮する「医務総監」などがモデルで、厚労省は同じ名称にしたい考えだったが、国土交通省の次官級ポスト「技監」にならうことになった。

 組織再編では、厚労省は生産性の向上を進める「人材開発局」の新設も内閣人事局に要求していたが、現行の職業能力開発局を「人材開発統括官」組織に衣替えする方向になった。厚労省は省全体で局の数を一つ増やしたい考えだったが、認められなかった。



https://www.m3.com/news/general/488239
岡山大がデトロイトに研究拠点 iPS細胞由来のがん幹細胞解析
2016年12月21日 (水) 山陽新聞

 岡山大は20日、大学間協定を結ぶ米ミシガン州のウェイン州立大に共同研究拠点を開設したと発表した。大学院自然科学研究科の妹尾昌治教授(生物工学)らのグループが手掛けるがん細胞を巡る研究を加速させる狙い。来春にも本格稼働させる。

 計画では、岡山大の研究者1~2人が常駐。妹尾教授らは人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、がんのもとになる多種多様な「がん幹細胞」を作り出して解析することで、一人一人の患者に合った治療法の開発を目指しており、同州立大や併設されているがん研究所の研究員らと共同研究する。

 拠点は、同州立大に昨年10月に開設された「統合バイオサイエンスセンター」のオープンスペースの一角を賃借。研究者用オフィスと細胞培養ができる実験スペースを確保した。「岡山大ウェインラボ」の名称で運用する。契約期間は12月1日から2年間。

 妹尾教授は「互いのコミュニケーションが密になり、新しいアイデアが生まれやすくなる。両大が中心となって国際的な産学官の連携組織をつくり、米国内での資金獲得も目指したい」としている。

 同州立大はデトロイトにある総合大学で、1868年に創立された。岡山大のグループは2012年、マウスのiPS細胞を培養する方法でがん幹細胞の作製に世界で初めて成功。その後、iPS細胞から異なる種類のがん幹細胞も生み出している。両大は14年に共同研究や教員、学生の交流に関する協定を結んでいる。



https://www.m3.com/news/general/488246
病院条例案、適正な採決を 滋賀・野洲市長が要請書
2016年12月21日 (水) 京都新聞

 滋賀県野洲市がJR野洲駅南口に整備を計画している市立病院の設置条例案が今月9日の市議会総務常任委員会で否決されたことを受け、山仲善彰市長は20日、「条例案の適正な採決を求める」とする要請書を坂口哲哉議長に提出した。

 条例案は22日の定例会最終日に本会議で審議、採決が予定されている。要請書は「条例案が否決されると開院が遅れ、市への社会的信頼が損なわれる。委員会の審議内容を精査すると、病院整備の問題の本質とは思えない議論が多い」とし、会期延長も含めた慎重な審議を求めている。

 また同日、守山野洲医師会と市社会福祉協議会、市老人クラブ連合会、「新病院を望む女性の会」がそれぞれ、条例案の適正な審議を求める要望書を坂口議長に提出した。女性の会は10月の市長選の結果を踏まえ「民意を無視したかのような審議が行われている」などと批判した。

 同病院計画は市議会で関連予算案が2度否決されたあと、医師会など各団体が早期整備の要望活動を行い、3度目の提案で可決された経緯がある。

 坂口議長は取材に「議会で議論は十分やってきており、会期の延長はない。本会議の結果を見てほしい」と話した。



https://www.m3.com/news/general/488227
乳房切除の誤診訴訟和解 兵庫・高砂市が謝罪、賠償
2016年12月21日 (水) 共同通信社

 兵庫県高砂市が運営する高砂市民病院による検体の取り違えで乳がんと誤診され、右乳房の一部を切除した20代の女性が、市に約1850万円の損害賠償を求めた訴訟が21日、大阪地裁(比嘉一美(ひが・かずみ)裁判長)で和解した。

 原告側代理人によると、市が女性へ謝罪し、約620万円を支払う内容。和解条項には再発防止策を設けることも盛り込まれた。

 訴状などによると、女性は2014年4月、病院での病理検査で乳がんと診断された。別の医療機関で翌5月、切除手術を受けたが、摘出部位からがん細胞が検出されず、病院が50代女性の検体と取り違え、誤診していたことが判明。病院側は解決金として250万円を提示し、賠償すべき額が争われていた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/488280
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
2018年度改定、「3ラウンド」に分け議論
厚労省、主な検討項目とスケジュール提示

2016年12月21日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は12月21日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、2018年度診療報酬改定に向けて、主な検討項目と今後の検討スケジュールを提示した(資料は、厚労省のホームページ)。

 主な検討項目は、過去数回の改定でも柱となった、入院や外来、在宅医療の機能分化と地域包括ケアシステムの構築に加え、介護報酬との同時改定を見据え、「医療と介護の連携」を加えたほか、政府レベルでの重要課題となっている薬価制度の抜本改革、次世代の医療を担うイノベーションの推進の観点から、バイオテクノロジーやAI(人工知能)などへの対応を入れたのが特徴だ(『「薬価制度の抜本改革、メーカーの成長戦略か」と疑念』、『2018年度医療介護の同時改定、「キックオフ」』を参照)。

 各検討項目について、診療報酬基本問題小委員会をはじめ、中医協の下部組織で基礎的事項を整理した上で、中医協総会で議論を深める。2017年当初から集中的に検討を開始し、各検討項目について「第1ラウンド(~夏頃)」で経緯や主な論点、「第2ラウンド(~秋頃)」で具体的な方向性についてそれぞれ議論、「第3ラウンド(~年末)」で改定の基本方針を踏まえた対応を議論――というスケジュールを想定している。加えて、介護報酬との同時改定になることから、中医協と社会保障審議会介護給付費分科会から関係する委員が集まり、意見交換をする場を設ける。

 「意見交換」の場の位置付けは?

 主な検討項目と今後の検討スケジュールに対し、質問や意見、要望が幾つか出た。

 全日本病院協会副会長の猪口雄二氏は、改定後は医療機関の現場が対応に苦労している現状を紹介、「診療報酬の簡素化」という視点も求めた。さらに入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」などを評価するにも人手が必要となることから、ICTの活用による簡素化、さらには医療機関の創意工夫の余地がある報酬体系を要望した。

 連合総合政策局長の平川則男氏は、介護給付費分科会との意見交換は重要としたものの、その位置付けについて質問。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「物事を決めたり、合意形成をする場ではなく、文字通り意見交換という位置付けである」と説明。

 全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、「検討課題について、足並みがそろうことが重要であり、議論の整合性が取れるように、また1度ではなく節目ごとに何度も意見交換の場を設けてもらいたい」と要望。

 費用対効果評価、「本格導入に向けた検討」

 薬価制度の抜本改革について、「スピード感を持って議論してもらいたい」と求めたのは、日本医師会副会長の中川俊男氏。

 その上で、医薬品や医療材料に関する費用対効果評価について「試行的導入および本格導入に向けた検討」と打ち出されている点を質問。2016年度診療報酬改定の附帯意見では、「医薬品・医療機器の評価の在り方に費用対効果の観点を試行的に導入することを踏まえ、本格的な導入について引き続き検討」となっている。

 迫井課長は、塩崎恭久厚労相ら4大臣が12月20日にまとめた「薬価制度の抜本改革の基本方針」で、「費用対効果評価を本格的に導入」と記載されているとし、「従来のスケジュールとは、少し違った対応が必要になっている」と説明した(『薬価制度の抜本改革案、明らかに、4大臣会合へ』を参照)。

 それを受け、中川氏は改めて費用対効果評価について質問。基本方針では、「費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることを含め、費用対効果評価を本格的に導入する」と記載されている。「高すぎるものを適正な価格にするのが、費用対効果評価の大前提ではないのか。『引き上げも含めて』となると話が変わり、国民皆保険の持続性に問題が生じかねない」と中川氏は質した。

 迫井課長は、現時点では試行的導入に向けてさまざまな作業をしているとし、「その結果をどんな形で薬価に反映させるかは、次のステップとして重要であり、今後の検討課題」と答え、薬価が下がるか、あるいは上がるかは、最終的に費用対効果評価をどのように薬価に反映させるかによるとした。

 これに対し、中川氏は、「費用対効果が高い薬は、単価を上げなくても数量ベースで売上は伸びる。あえて薬価を引き上げる必要はないと考えている」と、薬価引き上げにつながる費用対効果評価に釘を刺した。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1221506053/
毎年改定、実勢価格との差が大きい薬に限定〔CBnews〕
薬価の抜本改革で4大臣が基本方針

CBnews | 2016.12.21 18:55

 塩崎恭久厚生労働相や麻生太郎財務相ら4大臣は20日、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針をまとめた。焦点となっていた「毎年改定」については、公定価格と実際の販売価格との間の乖離が大きい品目などが対象となる。市場実勢価格を毎年把握するための調査の方法などに関しては今後、中央社会保険医療協議会(中医協)で検討する。塩崎厚労相は近く開かれる経済財政諮問会議で基本方針について報告する。【敦賀陽平】

 現行では、医薬品卸売業者などを対象に2年に1度、全品目の市場実勢価格を調べ、下落幅を薬価に反映させているが、基本方針はこれを毎年実施することが柱だ。

 経済財政諮問会議の民間議員は、すべての品目の薬価を見直すよう求めていたが、基本方針では、販売価格との乖離の大きい品目に限定するとした。また、調査に協力する業者などへの負担に配慮し、通常調査の間の年については、対象を大手の医薬品卸売業者などに絞る。来年中に中医協で調査方法などを決め、2019年度にも「毎年改定」へ移行する。

 がん治療薬「オプジーボ」の薬価の問題は、非小細胞肺がんへの適応拡大で対象患者が急増したにもかかわらず、薬価を柔軟に変えることができなかった制度面の不備が原因だった。このため、効能追加などで市場規模が一定以上広がった場合は、年4回の新薬の保険収載のタイミングに合わせて薬価を見直す。これについては、早ければ17年度から実施する。

 また、革新的な新薬の創出を支援するため、特許期間中の新薬の薬価の引き下げを猶予する現行制度を抜本的に見直すとともに、費用対効果の高い薬の薬価を引き上げるなど、イノベーションを評価し、研究・開発投資の促進を図る。費用対効果の評価は、今年春から試行的に始まっており、今後の本格導入の在り方について、来年中に中医協で結論を得る。

 さらに、薬価が決まるまでのプロセスが不透明との指摘もあることから、価格の根拠の明確化などに向けた対策に加え、社会保障制度の違いによる価格差が懸念されている「外国価格調整」を改善させるための具体策についても、中医協で話し合う。このほか、制度改革の影響を受ける関係者の経営実態を把握し、必要に応じて対応を検討するとした。

(2016年12月20日 敦賀陽平・CBnews)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50241.html
救急車利用の転院搬送が過去最多- 消防庁集計、初の50万件突破
2016年12月21日 10時00分 CB news

 いったん医療機関に収容された患者の症状悪化や専門的な処置が必要となった場合、他の医療機関に搬送するために救急車が出動する「転院搬送」の1年間の件数が過去最多となったことが、総務省消防庁の集計で分かった。6年連続で増え、統計を取り始めた1963年以降で初めて50万件を突破した。緊急搬送の必要がないケースも少なくないため、消防庁は救急車の適正な利用を呼び掛けている。【新井哉】

 消防庁によると、2015年の転院搬送件数は51万818件で、前年よりも1万2112件増えた。15年の救急出動件数(605万4815件)のうち転院搬送が8.4%を占めている。

 転院搬送に救急車を使う主な理由は、▽専門的な治療が必要▽他の疾病が見つかったが搬送先の医療機関で治療ができない▽精神疾患があるため、精神科病院に移る―などがあるという。

 しかし、緊急に搬送する必要がなかったり、タクシーの代わりに使ったりするといった本来の救急業務の範囲外とみられるケースも少なくない。また、救急出動件数が増えた消防本部のうち、4割超の消防本部が「転院搬送の増加」を要因に挙げており、不適切な利用が搬送件数の減らない要因の1つとされていた。

 こうした状況を改善しようと、消防庁と厚生労働省は今年3月、都道府県に対し、消防機関が救急業務として行う転院搬送の条件やルール化といったガイドラインを策定するよう通知。要請元医療機関が消防機関に転院の理由などを示した転院搬送依頼書を提出するといったことを地域の関係者間でルール化することを促している。
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https://www.m3.com/clinical/journal/17144
薬剤名のスペルミス、ただならぬ割合
BMJ 

2016年12月21日 (水) m3.com

Ferner R et al. Nominal ISOMERs (Incorrect Spellings Of Medicines Eluding Researchers)―variants in the spellings of drug names in PubMed: a database review. BMJ 2016; 355 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i4854 (Published 14 December 2016)

 誤表記(スペルミス)されることの多い30の薬剤名を対象に、PubMed検索への影響を検討。正表記でのヒットは計32万5979件、誤表記でしか得られないヒットは3872件(1.17%)あった。誤表記の74%は文字の順番違い(iとyなど)と文字抜けだった。最後がin、ine、micinで終わる薬剤名には特にミスが多く、例えば抗うつ薬Amitriptylineには18種類のスペルミスが見られた(8530ヒット中179ヒット)。薬剤名で検索する際はスペルミスも含める必要があると著者らは指摘している。

【原文】British Medical Journal
http://www.bmj.com/content/355/bmj.i4854



http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20161222/CK2016122202000025.html
入院、外来機能は維持へ 中津川の坂下病院
2016年12月22日 中日新聞 岐阜

 縮小案が出ている中津川市の国民健康保険坂下病院について、青山節児市長は二十一日、入院と外来の機能は残し、急性期病床を市民病院に集約する方針を示した。同日の市議会病院・医療等対策特別委員会で表明した。市検討委員会が打ち出し、一部市民から反対の声が出ていた診療所化は見送られた。

 青山市長は人口減少や高齢化の現状に触れ、「両院の現状のままでの継続は困難。機能を見直す必要がある」と言及。市の地域包括ケアシステムの中で、坂下や川上、山口地域の外来と在宅医療の機能を坂下病院に担わせる方針を打ち出した。

 坂下病院の入院規模は縮小し、規模を今後、検討する。外来機能は医師確保が可能な診療科を残す。来年度までに坂下老人保健施設を同院に移す。

 また、青山市長は医師確保に「最善を尽くす」とした。両院の財政については、「両院を合わせた収支均衡を目指す」と一体的にとらえる考えも示した。坂下病院利用者が多い長野県南木曽町と大桑村にも方針を伝える。

 打ち出した方針は二〇一八年度に改めて見直しを行うという。

 両院は診療報酬の引き下げや医師不足から経営が悪化。市検討委は六月、坂下病院の入院機能を市民病院に集約する診療所化案を出していた。

「坂下病院は命のとりで」と訴える市民ら=中津川市健康福祉会館前で
写真
 一方、特別委が開かれた市健康福祉会館前では、市民ら六十人が「坂下病院は命のとりで」と訴えた。市長方針に対し、「病院を守る会」の梶田邦子さん(72)は「一定の評価はできるが、医師が確保されないと、かかれる診療科もなくなってしまうのでは。今後も会として何ができるか考えたい」と話した。

 (星野恵一)

G3註:国民健康保険坂下病院 199床 10診療科
   中津川市民病院  360床 24診療科
   両院の関係に関する広報:中津川市民病院・坂下病院の現状
   http://nakatsugawa-hp-vision.jp/



http://www.huffingtonpost.jp/izumi-yoshida/uber-doctor_b_13445210.html
どこへでも飛んでいく、Uber医師
吉田いづみ  ハンガリー・Semmelweis大学医学部 在学中

2016年12月06日 11時35分 JST 更新: 2016年12月06日 11時35分 JST ハフィントンポスト

私は現在、医療系の研究室でインターンをしている。研究室には多くの医師や看護師が出入りする。体調が悪い時など、スマホで先生方に相談することもある。足腰が痛く、歩きづらい時や、生理痛がひどい時など、処置の仕方から薬局で買える薬の紹介など、メッセージ一つで済んでしまう。
 
そこで私が思ったのは、「医師と患者でも、このようにスマホ一つで診察、治療ができないのか」ということだ。
 
先日、先輩医師を訪ねて、福島県南相馬市にお邪魔した。南相馬市は福島第一原発から近く、今年の7月に避難区域が解除された地域もある。ちょっとした皮膚の炎症でも、病院で診てもらうため、何十分も車を走らせなければならないそうだ。大変な思いをして、病院に行っても、氷で冷やし、軟膏を塗れば済む症状だったりする。
 
私の祖母は長崎市内に住んでいて、街は坂だらけだ。祖母は腰が悪く、坂道を歩くことができない。病院に通えるのは、叔父の仕事が休みの日だけだ。そんな祖母は、家の中で転んだり、つまずいたりして、腰を痛めることがあるそうだ。大した痛みでないにしても、一人で病院に行くことができないため、救急車を呼ばざるをえない。病院で受ける処置は痛み止めの注射くらいだ。診察が終わり、家に帰るのも一苦労だ。叔父の仕事が終わるまで、病院で待っていなければならない。
 
南相馬の住民の方や祖母を見ていると、「電話一つで、スマホ一つで何とかなるのに、そんなに苦労するなんて」と、もどかしくなる。きっと誰しも、街中や自宅で具合が悪くなった、どこか怪我してしまったということがあるはずだ。救急車を呼ぶほどではないけど、念のために医師に相談し、薬を出してもらいたいと思ったことがあるだろう。
 
このような医療ニーズに応えるため、Uberのシステムを導入すればどうだろう。
 
Uberとは2009年にアメリカで設立された企業によって運営されている自動車配車アプリである。これはアメリカ人創設者2人がパリを旅行中、雨の中、大荷物でなかなかタクシーがつかまらず、2人で不満をもらしていた時にひらめいたアイディアから始まったそうだ。「スマホ一つで自分の場所に車を呼び、目的地まで送ってもらう」というシンプルだが、なかなか思いつかないアイディアだ。
 
私は普段は、ハンガリーの大学に通っているのだが、もちろんハンガリーでもUberは常識だ。友人たちと夜まで遊んだ際、帰宅する時に必ず使う。タクシーを使う感覚で利用している。ただ値段がタクシーよりとても安いため、お手軽だ 。日本に帰国し、このUberが使われていないことにとても驚いた。
 
ご存知の方も多いと思うが、Uberとは「安い値段でタクシーに乗りたいお客さん」と「時間があるのでアルバイトをしたい運転手」のマッチングシステムだ。具体的には、携帯電話でアプリをダウンロードして、クレジットカードを登録する。そして、利用したい時に、自分の現在地と行き先を入力する。すると、一番近くにいるドライバーの到着時間とおよその値段が表示され、ワンクリックでその車を呼ぶことができる。現在地まで迎えに来て、目的地まで送ってくれる。まさにタクシーと同じだ。
 
しかし、Uberはタクシー会社を通さないため、はるかに安い。交通状況などにもよるが、だいたい半分程度の料金で、私たち大学生でも躊躇なく利用できる。そして、行き先はもう登録してあるので、運転手と会話する必要はない。言葉の通じない海外でも簡単に使える。また、お会計は後ほどクレジットカードから引き落としなので車内でお金を払う必要もない。
 
他にも車の車種を選ぶことができたり、ドライバーの5段階評価やコメントも事前に確認し、選ぶことができる。
 
私の考えているUberの医師版というのは、スマホ一つで近くにいる医師の診察、または相談を受けることができるというシステムで、いわば「患者さんと医師のマッチングシステム」だ。
 
実際このUberの医師版が実現すれば、近くにいる医師や医療関係者がすぐに駆けつけ、診察や治療をすることができたり、多くのことが電話一本、スカイプ一回で解決してしまう。

例えば、電話で対処法をおしえて貰えれば、南相馬の高齢者が、わざわざ何十分も車を走らせる必要がなくなる。また、祖母の場合は近くの医師に注射を一本打ってもらうだけで時間もお金も節約できる。
 
ただ、これを実現させるには主に3つの大きな壁が立ちはだかる。
 
一つめは医師法20条だ。「医師は自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し(省略)てはならない」と明記されている。

医師法での「診察」とは直接の対面診療のみを意味し、電話などでの遠隔診療は基本的に認められていない。医師法とは昭和23年にできたものだ。スマホはおろか、電話も普及していなかった。平成23年になって、遠隔診療のために注意書きが追加されたのだが、内容は「初診の患者、急性期の患者、対面診療のみで診療可能な患者には適用すべきでない」などの制限が多い。
 
そして二つめは診療場所だ。医師法で定められている、「医療提供施設」でなければ診察、治療はできないことになっている。しかし今、日本が推進している「在宅医療」のように自宅では診療可能なのに、一歩外に出ると診療は不可能だ。在宅医療も再診の方のみ診療可能だ。どうして、街中で診察してもらったらいけないのだろう。
 
最後は診療報酬だ。社会保険診療報酬が明確にされていない。遠隔診療の報酬面は、再診料+処方箋料、◯◯管理料など算定できません。例えば、風邪の場合は初診料+処方せん料で350点(3500円)にもかかわらず、遠隔診療の場合は、再診料の72点(720円)が算定されるだけだ。これでは、医師への報酬が十分とはいえない。 つまり同じ病気でも対面で行った方が報酬が高いため、あえて少ない報酬を選択する医師は少なくなるのだ。
 
ここまで話すと、患者は得するが医師には利益がないように思える。しかしそれは違う。
 
私は将来、医師として働く。結婚もしたいし、子供も欲しい。せっかく医師免許を取ったならば、専業主婦ではなく、仕事も続けたい。しかし、医師という仕事をしながら、私生活や子育てを充実させるのはとても難しそうだ。医学生の私も今から将来のライフバランスに不安を感じる。だが、Uberの医師版が実現したら、それぞれの医師が独立して働けるため、好きな時間に働くことができる。そうなれば、家庭とのバランスも難しくなくなるのだ。
 
こんな患者にも、医師にも優しい「Uberの医師版」という仕組みができることを切に願う。


  1. 2016/12/22(木) 05:46:12|
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