Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月19日 

http://www.excite.co.jp/News/column_g/20161219/Postseven_475372.html
患者を苦しめる医薬分業に対しリフィル処方箋に注目集まる
NEWSポストセブン 2016年12月19日 07時00分 (2016年12月19日 07時33分 更新)

医薬分業が抱える問題とは?

 高血圧や糖尿病など、慢性疾患でいつも服用する薬なのに月に何度も長時間かけて病院に通わなくてはならないことに不満を抱いている人は少なくない。医師が処方する薬が2週間分などと短期間分しか処方されないからだ。なぜこんなことが常態化しているのか。薬にまつわる「患者不在」の歪な構造の背景には、「医薬分業」という制度がある。

 1970年代までは病院内で薬が処方される「院内処方」が主流だった。病院は薬を出すほどに儲けが大きくなったため、患者に大量に薬を出す“クスリ漬け医療”が横行し社会問題となった。

 厚生省(現厚労省)は1974年以降、薬の処方と調剤を分離する医薬分業を推し進めた。患者の診察、薬剤の処方は医師が行ない、医師が出した処方箋に基づいて調剤や薬歴管理、服薬指導を薬剤師が行なう形である。

 現在では医薬分業率は約70%に達し、調剤薬局で薬をもらう「院外処方」が主流になった。厚労省は医薬分業のメリットを、医者が出した処方箋が安全で有効かを薬剤師の目でダブルチェックできるため医療の質が向上し、医療費の抑制も図れると喧伝した。

 だが、実際に起きたことは、医者と薬剤師がそれぞれの分野で利益を最大化しようとして、患者の負担を“倍増”させたことだった。

 医師の処方権は強いまま残り、調剤薬局は、院内処方ではなかった「調剤技術料」や「薬学管理料」といった名目で報酬を受けている。

 患者のための「医薬分業」が、患者を苦しめている現状を解消するものとして現在、注目されているのが「リフィル処方箋」制度である。…

 1回の処方で一定の期間、繰り返し薬を受け取れる制度のことで、すでにアメリカやイギリス、フランス、オーストラリアなど先進国で導入されている。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が言う。
「アメリカのリフィル処方箋は、薬の種類によって期間が分かれています。糖尿病薬や高脂血症薬は3か月間、降圧剤は6か月、胃薬や骨粗しょう症薬は1年間など、副作用が少ない薬ほど有効期間が長くなっています」

 メリットが多いリフィル処方箋は日本でも導入が何度も検討されたが、いまだに実現していない。病院の来院回数の減少に繋がり、薬剤師の権限が強まりかねないため、医師会側が強く反対しているというのだ。しかし、日本在宅薬学会理事長で医師の狭間研至氏は医師としてこの制度に賛成する。
「超高齢化社会に突入する日本において今後、急増する医療ニーズに医師だけで応えるのは難しい。医師は患者の病状を診断し、大きな治療方針を決め、患者への日々のサポートは薬剤師が担うといった新しい役割分担が求められています。

 イメージとしては、病院で医師の診断を受けるのは年2~4回程度が良いでしょう。それ以外は近所の薬局の薬剤師から30日分の薬を調剤してもらい、日々の相談にも乗ってもらうといったシステムが理想です」

 薬剤師に患者のサポートを委ねることのメリットは他にもあるという。狭間氏が続ける。
「例えば、患者が“最近、目まいがする”と訴えた時、医師に相談すれば“薬を出しましょう”となることが多いが、リフィル制度で薬剤師がより患者に近い立場になれば、違う視点からの助言ができるかもしれない。薬のプロの立場から“薬の副作用の可能性もあるので量を減らせないか、医師に相談しましょう”と減薬まで視野に入れた助言も可能です」

 これまで「医者に相談するたび処方薬が増えていった」という人も、これなら薬の多剤併用による副作用リスクなどを防ぐこともできる。

※週刊ポスト2016年12月23日号



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50222.html?src=catelink
推進法人内の増床、地域医療構想達成が条件- 厚労省、医療法施行規則改正で省令案
2016年12月19日 16時00分 CB news

 厚生労働省は、来年4月からスタートする地域医療連携推進法人制度に関する医療法施行規則改正の省令案をまとめた。地域医療連携推進法人に参加する医療法人が増床を申請した場合、都道府県が医療計画で定める地域医療構想を達成するために必要であれば認められるといった条件を示している。【新井哉】

 複数の医療法人や介護事業などを行う非営利法人が参加する地域医療連携推進法人制度をめぐっては、来年4月に制度の創設を盛り込んだ改正医療法が施行される。このため、厚労省や文部科学省が関連省令などを改正するための手続きを進めている。

 制度の開始に向けて大学病院と市立病院などが機能分担や業務連携を図ることを検討する動きが広がりつつある。その一方で、参加する医療法人の間で病床の融通が可能になるため、病床稼働率の低い過疎地域の病院や有床診療所の病床を入院患者の多い都市部の病院に付け替えることを懸念する声も出ていた。

 こうした病床の「地域偏在」を防ぐため、厚労省は、参加する医療法人が都道府県知事に行う増床申請に関して、一定の条件を設けることを決めた。具体的には、地域医療構想の達成の推進に加え、経営効率を上げるために地域医療連携推進法人全体の病床を減らす場合も「医療連携推進区域における医療提供体制の確保に支障を及ぼさない」といった条件を挙げている。

 また、病床の増床を申請する際は、地域の患者代表や医師会が参加する「地域医療連携推進評議会」に意見を聞くことも求めており、病床の付け替えに伴う「地域偏在」の影響を最小限に抑えたい考えだ。来年1月14日まで省令案のパブリックコメントを受け付けた上で、2月に省令を公布する予定。



http://www.medwatch.jp/?p=11680
地域医療連携推進法人、2017年4月施行に向けてパブコメ募集―厚労省
2016年12月19日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 地域医療連携推進法人(かつて、非営利ホールディングカンパニー型法人と呼ばれていた)には、▼ 病院や診療所を開設する個人 ▼ 介護事業などを開設・管理する個人 ▼ 大学などの医療従事者養成基幹の開設者 ▼ 医療に関する業務を行う地方公共団体―なども社員として参加できることとしてはどうか―。

 厚生労働省は16日に、こうした内容を盛り込んだ「医療法施行規則の一部を改正する省令案」についてパブリックコメントの募集を始めました(厚労省のサイトはこちら)。

病院やクリニックを開設する個人、大学、地方自治体なども社員に

 地域医療連携推進法人は、昨年(2015年)の医療法改正で創設された仕組みで、医療法人など病院・診療所・介護老人保健施設を開設する複数の非営利法人が参加して設立します。連携推進法人で、地域医療の再編に向けた統一的な連携推進に向けた方針を策定し、各参加法人はこの方針に基づき、地域医療構想の実現に向けて医療・介護事業を推進していくことが求められます。

 名称から分かるように、地域包括ケアシステムの構築や地域医療構想の実現を目指すことが主眼とされていますが、平均在院日数の短縮などによってマーケットを広げなければならない医療機関にとって、緩やかな再編・統合に向けた第一歩にもなると考えられています。

 連携推進法人制度は、来年(2017年)4月2日から施行される予定で、厚労省が制度の詳細について広く国民から意見を求めることにしているものです(意見募集は来年1月1日まで)。

 まず、連携推進法人の社員には、法律(医療法)が「病院を開設する法人」「介護事業などを開設・管理する法人」を明示しているほか、「地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するために必要な者」を厚生労働大臣が定めるとしています。この点について、省令案では「次に掲げるもので、営利を目的としないもの」を定めてはどうかとしています。

(1)医療連携推進区域において、病院、診療所または介護老人保健施設を開設する個人
(2)医療連携推進区域において、介護事業その他の地域包括ケアシステムの構築に資する事業に係る施設または事業所を開設し、または管理する個人
(3)(1)および(2)に規定する施設・事業所を開設する法人であって、参加法人になることを希望しないもの
(4)医療連携推進区域において、大学その他の医療従事者の養成に関係する機関を開設する者
(5)医療連携推進区域において、医療に関する業務を行う地方公共団体その他当該一般社団法人が実施する医療連携推進業務に関する業務を行う者


 地域医療連携推進法人に参加するメリットの1つとして、「法人内部での病床の融通」があげられます。例えば、基準病床数が一般病床と療養病床で合計1000床の地域があったとして、既存病床数は一般病床が800床、療養病床が200床であったとします。この場合、療養病床の増床が不可能なことは当然ですが、「一般病床から療養病床への転換」は都道府県によって可否が異なっていると言います。この点、連携推進法人の内部では、都道府県知事の了承を条件とした上で、一般から療養への転換などを柔軟に行えます。具体的には、次のような要件を満たすことが必要です。

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新たに創設される地域医療連携推進法人(いわゆる非営利ホールディングカンパニー型法人として議論されてきた)のイメージ

▼ 地域医療構想の達成を推進するために必要なものである
▼ 連携推進法人内部の病床数合計が申請の前後で増加しない
▼ 連携推進法人内部の病床数合計が申請の前後で減少する場合は、医療提供体制の確保に支障を及ぼさない
▼ あらかじめ連携推進法人におかれている地域医療連携推進評議会の意見を聞いた上で行われている

 このほか、連携推進法人が「資金貸し付け」「債務保証」「連携推進法人に設置する基金を引き受ける者の募集」により参加法人に資金調達を行えることを明確にしたほか、連携推進法人のガバナンスに関する事項を整理しています。



http://www.medwatch.jp/?p=11678
専門医制度新整備指針、基本理念に「地域医療への十分な配慮」盛り込む―日本専門医機構
2016年12月19日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 日本専門医機構は16日に社員総会を開催し、専門医の「新整備指針」を了承しました。すでに9日の理事会で概ねの了承を得ており、今般、社員総会の議を経て、最終決定となったものです(若干の文言修正は残っている)た後、制度の骨格となる基本理念に、「医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮する」ことを盛り込んでいます。

 今後、指針に沿って各学会・基本領域で「運用細則」や「整備基準」を定め、これに則って研修プログラムの策定(4-5月頃)、専攻医の募集開始(6月頃)が行われることになります。

研修プログラムの認定、事前に都道府県協議会との協議を行う

 専門医新整備指針は、新たな専門医制度の憲法にも位置づけられるものです。その序文では、▼ 新たな専門医の仕組みは、機構と各基領域学会が連携して構築する ▼ 仕組みを柔軟に運用する ▼ 各領域学会は、学術的な観点から責任をもってプログラムを構築する ▼ 機構は、そのプログラムを検証・調整し、標準化を図る―ことといった具合に、「機構と学会が役割分担しながら、連携を図っていく」ことが強調されています。

 また、専門医制度確立の基本理念について、これまで ▽ 専門医の質を保証できる ▽ 患者に信頼され、受診の良い指標となる ▽ 専門医が公の資格として国民に広く認知される ▽ 医師が、プロフェッショナルとしての誇りと患者への責任を基盤として、自律的に運営する―制度としていたものを、次のように改めました。

(1)プロフェッショナルオートノミーに基づいた専門医の質を保証・維持できる
(2)国民に信頼され、受診にあたり良い指標となる
(3)専門医の資格が国民に広く認知される
(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮する

 このうち(4)は、日本医師会や病院団体などが強く要望していたもので、「新専門医制度の全面スタート1年延期」の引き金となった点です。この点を具体化するために、新整備指針では、随所で「地域医療への配慮」に触れており、例えば次のような配慮を行うことを明確にしています。

▼ 専門医制度は医療提供体制に深く関わっており、地域医療の重要性から基本領域学会専門医の運用においては、地域における医師偏在を解消することに努める

▼「学病院以外の医療施設も、研修施設群の基幹施設となれる」基準を設ける

▼ 機構は、基本領域学会と協同して、研修プログラム制による専攻医登録をする際に医師の都市部への偏在助長を回避することに努める

▼ 専門研修プログラムを形成する研修施設群は、原則として単一の専門研修基幹施設と複数の専門研修連携施設から構成される。地域による特殊性を基本領域学会において配慮する

▼ 専攻医の集中する都市部の都府県に基幹施設がある研修プログラムの定員等については、都市部への集中を防ぐため、運用細則で別途定める

▼ 地域医療を維持するために必要な施設において常勤の専門研修指導医を置くことが困難な場合、研修連携施設に準ずる施設を基幹施設の承認のもと研修プログラムに組み入れ、これらの施設での研修も各領域が定める期間、指導医が不在であっても研修として認めるように基幹施設の責任において配慮する

▼ 従来の学会認定制度において専門医を養成していた医療機関が、専攻医の受入れを希望する場合は、専門医育成のため質の低下をきたさない範囲で基幹施設の承認のもと基幹施設の責任で連携施設となれるものとする

▼ 専門研修プログラムの認定に際しては、地域分布に配慮を行うため、機構は、各領域の研修プログラムを承認するに際して、行政、医師会、大学、病院団体からなる各都道府県協議会と事前に協議し決定する


 このほか、▽ 基本領域学会専門医の研修では、原則として「研修プログラム制」(到達目標を、年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を行い、専門医を養成するもので、基幹施設と連携施設で研修施設群を作り循環型の研修を行う)による研修を行う ▽ サブスペシャルティ学会専門医では、研修プログラム制、研修カリキュラム制のいずれも可能とする―といった事項なども明確にしています。



https://www.m3.com/clinical/news/487524
脳卒中、心臓病死を5%減、学会が5カ年計画
禁煙、減塩で健康長生き

共同通信社 2016年12月19日 (月)

 日本人の死因の上位にある脳卒中と心臓病による死亡数を5年間に5%減らし、健康に老後を過ごす「健康寿命」を延ばすことを目指した5カ年計画を日本脳卒中学会と日本循環器学会が16日、発表した。高血圧や肥満などの生活習慣病と大きく関連するため、禁煙や減塩、節酒などの生活改善の目標値を掲げた。

 心不全や心筋梗塞などの心臓病は日本人の死因の2位で脳卒中は4位。患者の多くは動脈硬化をもとに発症し、発症直後の死亡率が高いなどの共通点がある。

 計画は、発症直後に適切に対応するため、患者の救急搬送を受け入れ、専門の医師がいる「1次センター」の整備が必要とした。

 生活習慣病やメタボリック症候群に適切に対応すれば、発症や病気の進行を抑えられると指摘。喫煙率を今の約18%から15%に下げ、公共の場での受動喫煙を完全になくすことを提唱した。多量に飲酒する人を10%減らすほか、1日の食塩の摂取を2グラム減らし、1日の平均歩数を今より千歩増やすなどの目標値を示した。

 脳卒中と心臓病は再発を繰り返すため、両学会は、予防だけでなく、発症から介護まで切れ目のない医療体制をつくる必要があると訴えた。

 日本脳卒中学会の鈴木則宏(すずき・のりひろ)理事長は「心臓病や脳卒中の対策を進める基本法の制定を目指しており、その裏付けとしたい」と述べた。

 ※脳卒中と心臓病
 脳卒中は65歳以上が寝たきりとなる原因の1位。脳卒中と心臓病を合わせると、高齢者の介護が必要になる原因の4分の1を占める。多くの患者は血管が詰まるなど、生活習慣病が進展して発症。入退院を繰り返し悪化するために、患者や家族の生活に大きな負担となる。日本循環器学会によると、脳卒中と心臓病には全医療費の20%が費やされ、がんの1・5倍かかっている。脳卒中と心臓病の死亡数は、死因の1位のがんとほぼ同じで、75歳以上ではがんを上回る。



https://www.m3.com/news/iryoishin/477274
シリーズ: 『「50歳以上ドクター」の悩みと未来』
現状、半数が卒業時の想定通り◆Vol.12
想定より「悪い」は「良い」より多く

2016年12月19日 (月) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 医学部卒業時に自分が描いたキャリア、医師像と、今の仕事、ポジションにギャップはありますか。
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 医学部卒業時に自分が描いたキャリア、医師像と、今の仕事、ポジションにギャップを尋ねたところ、50%が「概ね想定通り」と回答。想定より良いが計18%、悪いが計31%だった。開業医、勤務医で傾向に違いはなかった。

Q 現在の勤務先の役職はどのようなものですか。
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 勤務医では30%が「部長」で最も多く、19%が「院長」、18%が「役職がない」と回答した。開業医では92%が院長と回答した。アンケート冒頭で、勤務先を「開業医」と回答した198人のうち、7人は「副院長」、4人は「その他」と答えた。



https://www.m3.com/news/general/487385
厳格な同意取得は求めず - 倫理指針改正案まとまる
2016年12月19日 (月)  薬事日報

オプトアウトで実施可能

 来春施行予定の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の改正は、現行の内容をほぼ踏襲し、大幅には変更しないという方向でまとまった。今年9月に発表された同倫理指針の中間取りまとめ案は、個人情報保護法の改正を背景に、後ろ向き観察研究でも患者の同意取得を必要とするなど厳格な対応を求める内容になっていた。これでは臨床研究の実施やレジストリ構築などに大きな影響が生じるとして、医学系学会などが再考を強く要望。その意見が受け入れられた形でほぼ決着した。(3面に関連記事)

 来春に全面施行予定の改正個人情報保護法では要配慮個人情報が新設され、そこに病歴が含まれるようになる。今までは氏名や生年月日の情報を除いて匿名化すれば、個人情報ではないと見なして取り扱うことができたが、氏名や生年月日を除いて匿名化した情報であっても、病歴が含まれていれば個人情報に準じた慎重な取り扱いを求めている。

 このような個人情報保護法の改正を受けてこれまで文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3省合同の会議で同倫理指針の見直し作業が進められてきた。中間取りまとめ案は厳格な対応を求める内容だったが、個人情報保護法の適用除外範囲を幅広く捉えることによって、今月上旬に発表された最終改正案は現行にほぼ近い内容に軌道修正された。

 現行の同倫理指針では、既存の情報を用いた後ろ向きの臨床研究は、患者から直接同意を得なくてもオプトアウトで実施できる。つまり、病院内に掲示しておくなど、個人データの利用や第三者提供について本人が認識し拒否できる機会を保証することによって、それに反対しない限り同意したものと見なすことができる。このオプトアウトによる臨床研究は、今後も引き続き実施できることになった。

 中間取りまとめ案では、基本的にオプトイン、つまり個人情報や病歴の利用や第三者提供は、本人から直接同意を得なければ行ってはいけないとされていた。それによって、▽既存の情報を用いた後ろ向き臨床研究を実施しづらくなる▽多施設共同の臨床研究として特定疾患の患者情報を集積して構築しているレジストリのデータのうち、同意を得ていない情報は削除しなければならない――などが問題視されていたが、その懸念は払拭された。

 個人情報を保護するのは当然だが、それを優先するあまり、臨床研究を実施しづらくなると医学の発展は停滞し、結果的に患者の不利益になり得る。

 そんな事態に陥ることを避けられたと医学系研究者らは胸をなで下ろしている状況だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/487573
シリーズ: 新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会
具体的な政策提言、「医師10万人調査」の結果待ち
「中間的な議論の整理」は理念や方向性の提示

2016年12月19日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長:渋谷健司・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)は12月19日の第6回会議で、第5回会議に続き12月22日に取りまとめ予定の「中間的な議論の整理」に向けた議論を行った(資料は、厚労省のホームページ)。

 「中間的な議論の整理」は、目指すべき医師の働き方等の理念や方向性の取りまとめにとどまる見通し。非公開のビジョン検討会後にブリーフィングした厚労省医政局担当者によると、渋谷座長は、具体的な政策提言は、井元研究班の調査結果を踏まえて、入れ込むべきとの考えだという。

 井元研究班とは、東京大学医科学研究所ヘルスインテリジェンスセンター健康医療データサイエンス分野教授の井元清哉氏が主任研究者を務め、厚労省が実施する「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」で、10万人以上の医師と約1万2000施設の病医院を対象に、1週間のタイムスタディなども取り入れた勤務実態調査だ(『医師10万人調査がスタート!厚労省』を参照)。同調査の結果は、年明け1月の本ビジョン検討会に報告される予定。

 本ビジョン検討会は、(1)地域で市民と患者の生活を支える、(2)専門性の追求と人生の選択の両立、(3)生産性と質の向上、(4)経済活力(イノベーション・国際化)への貢献――という4つのビジョンを柱に、議論を重ねてきた。「中間的な議論の整理」の柱がこれら4つのままか、変更等を加えるかは検討中だという。

 「専門医の募集定員設定を」三重県知事提言

 19日のビジョン検討会では、構成員の一人、三重県知事の鈴木英敬氏が提出した「医師の地域偏在解消対策について」と「医療と介護の連携強化」という二つの資料についても議論した。

 「医師の地域偏在解消対策について」は、(1)地域ごと、診療科ごとに設定する専門医研修プログラムに係る募集定員に関して、国と都道府県が協議して定員数を決められる仕組み、(2)医療計画に、地域・診療科ごとで確保すべき医師の目標値を設定するため、地域ごと、診療科ごとの医師の配置数の現状を都道府県が把握できる仕組み、(3)専門医研修プログラムに1年程度の地域医療研修(へき地での診療)を組み入れるよう、法的に位置付け、(4)医師の偏在対策を推進するため、地域医療介護総合確保基金の活動など、医師確保・育成に向けた都道府県の財源確保――を提言した内容だ。

 (3)について、鈴木氏は「法的に位置付け」にはこだわっておらず、何らかの形で地域医療研修の仕組みが構築できればいいとの提案だ。ただし、構成員からは「本当にこうしたやり方がいいのか」との意見も出たという。

 「医療と介護の連携強化」では、(1)専門医研修プログラムに在宅医療の研修を一定期間組み込む、(2)医療・介護分野の資格を複数取得しやすいようにする、(3)看護職員の処遇改善および介護現場への就職促進・出向支援システムの構築、組織的活動がしやすいように介護施設に看護管理者を配置――を提言。



https://www.m3.com/news/general/487400
「研究者支援職」が急増 5年で2倍、800人超 大学に危機感、改善の鍵
2016年12月19日 (月) 共同通信社

 国立大を中心とした研究の現場で、資金調達やプロジェクト運営などの面で研究者や教員を支援し、負担を軽減する専門職「URA(リサーチ・アドミニストレーター)」が過去5年で2倍以上に急増し、全国で800人を超えたことが17日、文部科学省への取材で分かった。

 国からの交付金削減や研究外の業務増加、雇用の不安定化で大学の研究現場は危機感を抱いている。「研究環境の劣化」(ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典(おおすみ・よしのり)東京工業大栄誉教授)が進む中、URAは改善の鍵となりそうだ。

 URAの役割は大学によって違うが、(1)論文投稿状況の調査・分析(2)学内研究者の外部資金獲得サポート(3)研究プロジェクトの企画・調整(4)企業との連携や特許取得に向けた書類作成(5)研究成果の発信―などがある。

 研究に必要な情報収集や資金管理などを担当する事務員は従来もいたが、URAは元研究者が多く、研究内容にまで踏み込んだ高度で実践的な支援や助言が可能となる。

 日本の研究現場には元々、URAという職名で働く人が極めて少なかった。研究環境を改善するため、文科省が2011年度から総額38億円を投入し、養成・確保に向けた事業を開始した。

 11年度は事業に採択された東京大や京都大などを中心に323人だった。13年度に696人に増加し、15年度は、事業採択校の15大学を含む93の大学や研究機関に830人が在籍している。

 事業の推進委員を務めた金沢工業大の高橋真木子(たかはし・まきこ)教授(イノベーション研究)は「URAに求められる業務は今後ますます多様になる。大学の研究力強化のためには、優れた研究者と研究環境に加え、それを支える専門職もまた必要だ」と強調している。

 ※URAの採用
 大学や研究機関によって異なるが、主に書類と面接で選考される。大阪大のように研究経験を問わない場合もあるが、専門性や語学力がある方が望ましいことが多い。京都大では今冬、新たに理工系や生命・医薬系などを担当するURAを募集。応募条件はこれらの分野の研究、または産学連携などの業務経験があり、いずれも博士号取得レベルが求められる。研究を発展させようという熱意、チームワークの能力なども重視される。



https://www.m3.com/news/general/487401
背景に大学の疲弊 交付金削減、不安定雇用も
2016年12月19日 (月) 共同通信社

 【解説】研究者や教員を支援するURA増加の背景には、国の交付金削減や雇用財源の不足により、国立大などの研究機関が疲弊している現実がある。研究力が低下すれば「やがてノーベル賞受賞者が出なくなる」との危機感が現場に根強く、URAの役割に期待が高まっている。

 2004年度の国立大法人化後、国が国立大に人件費や研究費などを支給する「運営費交付金」は約12%減少した。大学の財政基盤は圧迫され、文部科学省によると、16年度は国立大に在籍する若手教員のうち、無期雇用は約6千人で有期雇用は1万人超。07年度は比率がほぼ逆で、雇用の不安定化が浮き彫りになっており、URAが受け皿になっている側面もある。

 研究費削減により、研究者個人を対象にした国の「科学研究費補助金(科研費)」などの公募と、企業などからの外部資金の重要性が高まっている。16年度の科研費の新規応募件数が初めて10万を超えた一方、採択率は26・4%で低下傾向にある。

 追い打ちをかけるのが、法人化した大学の経営に研究者が参加する現状だ。制御工学の専門家として35年以上教壇に立った池田雅夫(いけだ・まさお)元大阪大教授は「かつては研究と学生との議論に没頭していれば良かった。今の教員は会議に次ぐ会議で食事する余裕もなく、こんな状況で優秀な学生は集まらない」と危惧する。

 文科省によると、博士課程への進学率は04年度から約2割減少しており、日本の研究力低下が懸念されている。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/161219/bsc1612190500001-n1.htm
製薬業界が治験機関名称、金額公開へ 癒着や不正を抑止、産学連携の信頼性向上
2016.12.19 06:04 Sankei BIZ

 新薬開発のために産学連携を強化している製薬業界が、臨床試験(治験)や創薬の共同研究を実施した大学など相手先の名称、投じた金額を公開する方針を決めた。各社が今年度分から毎年、ホームページに掲載する。外部には知られたくない企業戦略にも関わる情報だが、公開することで癒着や不正を抑止でき、産学連携の信頼性を高められると判断した。

 新薬メーカーなどで作る業界団体「日本製薬工業協会」(製薬協、73社)が独自の指針を策定した。

 毎年度の決算終了後に、治験を実施した医療機関などの名称と個別の金額、共同で創薬研究に取り組んだ大学など相手先の一覧と総額をそれぞれ公表する。

 製薬各社は、大学や医療機関と強い結びつきを持っており資金提供も行っている。こうした中、高血圧治療薬「ディオバン」の臨床データをめぐる不正のように、企業に都合の良いデータだけを利用するといった不祥事も国内外であった。

 製薬協は2011年に「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」を策定。会員企業は、研究室への寄付や原稿執筆などに対する謝礼の個別内容については、すでに公開している。



http://medg.jp/mt/?p=7211
Vol.279 
指導・監査・処分の改善に向けて ~健康保険法に憲法25条(生存権)の趣旨をみたすべき~

MRIC by医療ガバナンス学会 (2016年12月19日 10:30)

この原稿はMMJ 12月号(12月15日発売)からの転載です。

井上法律事務所
弁護士 井上清成

1. レセプト請求の指導・監査

現在、健康保険法、国民健康保険法、船員保険法、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、厚生労働省の地方厚生局は、病院・診療所の保険診療報酬請求の指導や監査を行っている。かつての社会保険庁・社会保険事務局の時代と比べると、現在の地方厚生局による指導・監査は、その運用面で改善されてきていると評してよい。
しかし、運用のもととなる法令が「指導大綱」「監査要綱」といった通達レベルのものに過ぎず、健康保険法を中心とする法律レベルが旧態依然のままである。このままでは運用の改善にも限度があろう。そこで、日本国憲法第25条に定める「生存権」の趣旨を充たして、健康保険法第2条に定める基本的理念を補充修正した法律改正をし、ひいては、指導・監査の改善につなげていくべきである。

2. 健康保険法改正の理念

健康保険法改正の理念は、「医療における主権」と「国民の生存権・受療権」と言えよう。
医療における主権の問題とは、医療における究極の決定権者は誰か、という問題である。もちろん、厚労大臣でも財務大臣でも、広く政府でもないことは明白であろう。そうかと言って、医療者でもない。
医療における主権者は、患者である。しかし、その「患者」とは、今現在、治療を受けている個別具体的な患者には限られない。現在、疾病にかかり、または、障害があるにもかかわらず、今もって医療を受けていない、または、受けられない潜在的な「患者」も含まれる。さらには、今は疾病も障害もないが、将来は疾病や障害が生じて「患者」となるであろう者も含まれるであろう。つまり、広く「国民」すべてである。
したがって、医療における主権はすべての国民にある、と言ってよい。

3. 国民の生存権・受療権

すでに述べたとおり、日本国憲法はその第25条で広く「生存権」を保障した。生存権の健康の側面は、「健康的生存権」と称してもよい。この「健康的生存権」の医療の分野における権利が、すべての国民が必要に応じて医療を受ける権利、すなわち「受療権」にほかならない。
また、「受療権」を制度として現実に保障するために導入されたのが、「国民皆保険制」である。「受療権」の現実の保障のために、国民のすべてに公的な医療保険制度を行き渡らせた。
このようにして、憲法第25条の生存権が、受療権、そして、国民皆保険制として具体化されたのである。したがって、保険診療の政策に、そして、健康保険法の条文にも、この趣旨・目的を明示しつつ、国民皆保険制によって基礎付けられた受療権(保険診療受給権)を現実化・具体化させることが要請されていると言えよう。

4. 保険医の責務

翻って、保険診療に携わる医師・歯科医師、すなわち保険医は、これらの国民の健康的生存権、患者の受療権、国民皆保険制に適切に応える責務を負っている。この保険医の責務は、目の前の当該患者に対してはもちろんのこと、広く国民に対する責務と言ってよい。
保険医は、その責務を自らの責任と権限において実現していくべきである。保険医が自らの責任において国民の健康と受療を守るべく行使する権限を、保険医の「診療権」と称することができよう。保険医は、個々別々の患者に対して診療を実施する際には、当該患者の具体的な症状と当該患者を取り巻く具体的な環境などの諸事情を総合考慮し、専ら患者のためにその裁量を駆使して、診療内容への不当な第三者介入から患者を守りつつ、診療を実施しなければならない。これは保険医の責務であると共に、保険診療実施の権限(保険診療実施権)でもある。
保険医は、その有する「診療権」を適切に行使して、自らで責任をもって、患者、広くは国民に対して、必要に応じて適切な保険診療を行っていかなければならない。

5. 個別指導の改善・充実

レセプト請求の指導・監査との関係で言えば、保険医の診療権を実現していく方策は、個別指導の改善とその充実であろう。
現在、指導は、集団的個別指導や個別指導を中心として運用されている。しかし、指導の中心を、監査と連動している集団的個別指導や個別指導から、集団指導に移行すべきであろう。つまり、集団指導のような「研修」に改めるべきである。今の指導は、指導という名の下で「調査」が行われていることが少なくない。集団的個別指導と言うよりも集団的個別「調査」、個別指導と言うよりも個別「調査」というのが、その少なくない実態とも言えよう。
したがって、集団指導は集団「研修」に、個別指導は個別「研修」に改めるべきである。そして、中途半端な集団的個別指導は廃止しなければならない。
その上で、疑わしいレセプト請求をピックアップして「調査」するかのような「指導」システムから、より広く網羅的に充実させた「研修」をその実態とする「指導」システムに移行していくべきである。つまり、より多く、より広く、集団または個別の研修を充実させるのがよい。

6. 算定要件の手続面の改善

集団指導・個別指導の「研修」としての改善・充実を図るとともに、もう一つの重要な改善項目は、診療報酬の算定要件の手続面であろう。
診療報酬の算定要件は、主として中央社会保険医療協議会で議論され、その結果が診療報酬改定の形で告示される。その要件のうちの実体的要件は十分に議論されるけれども、手続的要件の議論は薄く、むしろ事務局任せになっていることが多い。手続的要件とは、たとえば、カルテへの要旨の記載などのことである。
実際、はなはだ微細な記載要件に過ぎて、診療現場の実情に合わないことも多い。今までの個別指導では、その微細な記載不備にばかり焦点が当たっていることも多く、そもそも記載要件の合理性・相当性にも疑問を呈さざるをえないことも少なくないように思う。
したがって、今後は、診療報酬改定に際しては、そもそも「研修」の大本となるレセプト請求の手続的な算定要件の定め方にも留意して、改善を図っていくべきである。

●日本国憲法第25条(生存権、国の社会的使命)●
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

●健康保険法第2条(基本的理念)●
健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/gap/201612/549142.html
連載: 患者と医師の認識ギャップ考
自宅に帰りたいと泣く患者、戸惑う医師
レスパイト入院活用の「在宅時々入院」という道も

石川ひろみ(メッセンジャーナース・広域紋別病院副院長兼看護部長)
2016/12/20 日経メディカル

 メッセンジャーナースには、患者さんの意思決定を支え、患者さんと家族、それを取り巻く人々をつないでいく、「紡ぐ」という役割があります。先日、患者さんや家族の意向に添っているつもりが、実は周囲の医療従事者らの方に思い込みがあったという事例がありました。

 ある日の夕方、内科医が私(副院長兼看護部長)の執務室を訪れました。「困ったことが起きました。実は、担当患者でALS(筋萎縮性側索硬化症)のAさんに泣かれてしまって。急に家に退院したいと言うのです」と話し始めました。彼は、私がメッセンジャーナースを学んでいることを知り、「メッセンジャーナース 看護の本質に迫る」を読んで、感想メールもくれていました。

 Aさん(老年期女性)は10年頃前から、右の手足の動作困難を自覚して整形外科を受診し、5年前には左右人工股関節置換術、2年前に脊髄疾患による手術を受けました。

 ALSの確定診断は昨年夏にうけました。全身の筋力は低下し続け、今年初め、大学病院で胃瘻造設術を受け当院経由で自宅退院しました。4ヶ月後に脳梗塞を発症し、脳外科病院で治療後当院にリハビリテーションのため転院し、先月、大学病院でALS評価を受けました。

 帰院後、Aさんは担当医や看護師らに、「病気は仕方無い。でも、自分でできることは自分でしたい」「夫は仕事もせず、頼りにしたこともない。娘は仕事があり、私の世話をしたいとも思っていないし、私も世話にはなりたくない!」。こんな愚痴を漏らしていました。

 Aさんの夫は無口で何も話さず、長女も自宅介護に限界を訴えていました。訪問ステーション会議でも、以前からのAさんと家族の関係が問題視され、さらに筋力が低下し、日常生活にほぼ介助が必要になった今、介護力の無い自宅での生活は関係者のだれもが無理だと思い込んでいました。何しろ、Aさん自身が自宅を頑なに拒否していたため、本人の意向に添って退院先は療養型病院という方向で決まっていました。ところが、転院近くなったある日、突然Aさんの本心を聞かされた担当医は、困難を感じ、メッセンジャーナースに相談しようと思ったのです。

 私は、Aさんの状況について、当該病棟の看護師長に詳しい聞き取りをしながら、担当医からの情報を伝えました。彼女は「仕切り直しですね」と答え、再調整を決めました。

 私は、Aさんの大学病院での評価結果や家族への説明状況の情報提供がないことを重視し、再度確認して、医師から家族に説明することを提案しました。その結果、予後半年から1年であると説明された長女は驚き、時間が限られていることを初めて知り、自宅で過ごさせたいという思いに変わりました。看護師がAさんと家族との間に入り、お互いの思いを確認しつつ、「自分でしたい」というAさんの願いと介護を要する現状とのギャップを受け入れる必要があることも確認し合いました。

 次に私は、地域拠点病院として家族の介護をバックアップする退院計画の立案を提案しました。医師と看護師は、地域包括ケア病床のレスパイト入院を活用した「在宅時々入院」の退院計画を家族に提示し、継続的に支援する姿勢を示すと、家族、ケアマネジャー、訪問看護ステーションの関係者が皆、安心しました。

 Aさんは泣いて喜びながら自宅に退院できました。管理職でもある私は、医療従事者と患者・家族をつなぐことは、看護師の育成に役立つことも実感することができました。

■著者紹介
石川 ひろみ(いしかわ ひろみ)
 公立の総合病院をスタートし15年前から看護師長、10年前からトップマネジャーとして数カ所の病院を転勤しました。8年前から看護職副院長として病院全体の運営にかかわり、2013年に認定看護管理者、今年11月にメッセンジャーナースSA認定を頂き、現在は北海道オホーツク圏で院内、周辺地域で副院長、北海道看護協会支部長として活動しています。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10862000Z11C16A2EE8000/
高齢者「70歳以上に」 内閣府、定義引き上げ提言
2016/12/20 1:22日本経済新聞 電子版

 内閣府は技術革新などがなされない場合、2030年には生産年齢人口が1%減少し、日本で低成長が定常化するとした分析をまとめた。高齢者の定義を70歳以上に引き上げることも提案。定年延長や、医療や介護サービスで、高所得の高齢者の負担を増やすといった施策を想定する。構造改革の基本的考え方として、政府の経済政策に反映させる。

 内閣府が報告書をまとめ、近く開く経済財政諮問会議で公表する。30年にかけて20~30代が約2割減ることで働き手が不足し、成長の制約となる懸念を示した。働く人を増やし、日本全体で現在と同じ6割の人が就労する仕組みを構築する。

 自立した生活を続けられる健康寿命に注目し、高齢者を「70歳以上」として経済的・社会的な定義を見直すことを提案する。定年延長により高齢者の社会参加を促し、所得に応じた年金負担の仕組みなどを検討する。

 欧米で格差が政治問題となっていることを受け、所得再分配の強化などを通じた強い中間層の育成も必要とした。

 政府は名目で3%、実質で2%の経済成長率目標を掲げるが、改革なしでは30年での達成は厳しいとの見方を示す。課題克服のため、第4次産業革命の普及や、将来世代への教育支援などを重点項目に挙げた。地域資源やインフラ、人材の有効活用も徹底する。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10861940Z11C16A2EE8000/
受診時定額負担は先送り 予算閣僚折衝、18年度に結論
2016/12/20 1:19日本経済新聞 電子版

 政府は19日、歳出総額97兆4500億円程度の2017年度予算案について、閣僚折衝を進めた。医療・介護制度改革ではかかりつけ医以外で受診した場合の定額負担について18年度末まで結論を先送りする方針で合意した。東京電力福島第1原子力発電所の廃炉や賠償に絡み、国から東電への無利子融資枠を拡大する財源として400億円の国費計上も決めた。

 20日に自公両党との最終調整に入り、22日に閣議決定する。

 社会保障費は自然増を6400億円から高額療養費制度の見直しなどで1400億円圧縮して5000億円に抑える。閣僚折衝では、社会保障費を全体としても前年度比5000億円増にとどめ、32兆4700億円程度とする方針を確認した。17年度は新たに(1)子育ての受け皿を50万人に拡大(2)介護士・保育士の処遇改善(3)年金の受給資格を10年に短縮――といった施策を進める。

 医療・介護の制度改正で今年実施を見送った課題について、今後の検討工程も作った。まず17年度末までに、紹介状のない大病院を受診した場合に5000円以上徴収している対象病院の拡大を検討する。その上で、受診時定額負担の導入を18年度末までに検討し、結論を得る方針を確認した。湿布などの市販品類似薬の自己負担の引き上げは18年度末までに検討する。

 介護分野では自宅での掃除や調理などの生活援助について、要介護度1と2といった軽度な人向けのサービスを介護保険から外して市区町村の事業に移行することを19年度末までに検討して結論を出すこととした。

 前年度比400億円増の9800億円程度とする経済産業省の予算では、東京電力ホールディングスへの無利子融資枠をいまの9兆円から13.5兆円に広げるための財源として、400億円の国費を投入する。人工知能(AI)やロボットの技術開発などの「第4次産業革命」関連の予算には180億円を充てる。

 外交・防衛関連では、政府開発援助(ODA)予算を前年度比15億円増の5527億円とすることで合意。防衛関連予算は5兆1250億円として、探知能力を向上させた新型潜水艦の建造に728億円を計上する。

 公共事業費は5年連続増の5兆9760億円を計上し、子育て世帯や高齢者世帯の住宅に空き家を活用する「住宅セーフティーネット制度」を創設する。地方交付税は前年度比2900億円増の16.3兆円を確保。景気対策として創設されていた歳出特別枠は2500億円減の2000億円に圧縮する。


  1. 2016/12/20(火) 05:57:42|
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