Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月18日 

https://www.m3.com/news/general/487101?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161218&dcf_doctor=true&mc.l=196347614
看護部長ら退職・経営難…患者中毒死の病院「まだ混乱」
2016年12月18日 (日) 朝日新聞

 横浜市神奈川区の大口病院で入院患者2人が相次いで中毒死した事件は、最初の犠牲者が出てから18日で3カ月になる。物証が乏しく捜査は長期化の様相を見せる一方、病院は経営難から年内に入院病棟(85床)を閉鎖する方針を決め、地域医療への影響も懸念されている。

 病院には今も連日、神奈川県警の捜査員が出入りする。事件後、病院は再発防止のために看護態勢を強化し、警備員を常駐させるなどしてきたが、ある病院関係者は「経済的な損失は非常に大きい」。入院病棟の閉鎖に向け、患者の転院を進めている。

 県警のこれまでの調べでは、院内で使われていた消毒液が点滴に混入されたとみられており、医療器具に詳しい院内の関係者の関与が疑われた。ただ、物証に乏しく、院外から侵入した者が事件を起こした可能性も排除しきれないという。

 県警は殺意の立証や混入があった時間帯の絞り込みを進めるため、点滴に混入された消毒液「ヂアミトール」の致死量について専門家に分析を依頼するなどしている。だが、ある捜査関係者は「進展につながるものがない」と打ち明ける。

 高橋洋一院長は「まだ混乱している」と言葉少なに話す。看護部長を始め、退職する看護師も出始めた。事件が起きた4階に入院患者はおらず、3階にわずかに残っている。勤務する看護師は「責任もあるし、最後の患者さんが転院されるまで辞めない。ただ事件の真相がわからず、情報が欲しい」。

 受け入れ先が見つからない患者もいる。母親が入院している60代の女性は「このまま見つからなければ、他の病院に仮に移り、改めて病院を探すことになる」と困惑した表情で話した。

 大口病院が入院の受け入れをやめることで、地域医療への影響も懸念されている。85床がなくなることで、「横浜北部医療圏」の基準病床数を割り込む。横浜市医療政策課の倉本裕義課長は「地域に根付いた病院を頼る住民にとって、不便になる」と案じる。

 病院では今春からナースステーションに置かれていた看護師の服が切り裂かれたり、飲み物に異物が混入されたりするトラブルが続き、横浜市にメールで通報があった。また4階では7月以降、事件発覚までに48人が死亡していた。横浜市は11月に第三者委員会を立ち上げ、事件前の市の対応が適切だったかなど、検証を進めている。(天野彩、前田朱莉亜、飯塚直人)

■北九州・大阪…各地で点滴に穴

 大口病院の事件後、各地の病院でも点滴の袋に穴が見つかっている。

 北九州市の産業医科大学病院では10月20日、患者に投与中の点滴1袋と未使用の2袋に針で開けたような穴が見つかった。同病院では11月20日にも、点滴1袋に穴が開いていた。

 大阪市の大阪府立成人病センターでも11月21~22日、患者に投与中の点滴1袋に穴が見つかり、別の使用前の1袋からは液漏れがあった。12月2日には、山口県下関市の医療法人元洋会森山病院で、保管中の点滴1袋に針で刺したような穴が開いているのが見つかっている。

 いずれも原因は明らかになっておらず、点滴の管理のあり方が問われている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/485375
シリーズ: 2016年度マッチングに対する全国医学部生アンケート
大学病院を選ぶ理由、「出身だから」が最多◆Vol.3
市中病院では「プライマリ・ケア」「症例数」

2016年12月18日 (日) 高橋直純、玉嶋謙一(m3.com編集部)

Q 研修先として希望を提出された病院は、何を重視して選択されましたか?最も重視した項目を選択してください【複数選択】。
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 研修先が市中病院か、大学病院かで見てみると、市中病院では「プライマリ・ケアに関する能力を習得できる」、大学病院では「出身大学だから」がそれぞれ最も多かった。

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※「出身大学だから」「大学受験の際に入学したかった大学だから」を除く
 研修先別のギャップを見ると、市中病院に決まった者が重視する項目では、「プライマリ・ケアに関する能力を習得できる」が13ポイント、「多くの症例を経験できる」も12ポイントの差があった。「先輩や友人の勧め」も5ポイントそれぞれ多く、市中病院を選ぶ際にはより口コミを重視していることが見て取れた。

 一方、大学病院に決まった者が重視した項目では「実家に近い」が5ポイント多かった。

■マッチング参加者の声【3】
Q今回のマッチングに当たり、研修先を選ぶ過程で何を重視したか、どのような迷いや悩みがあり、最終的にどのように意思決定したかを具体的に教えてください。
・多くの症例を経験できる病院とそこそこの症例数でじっくりと考えながら研修できる病院とで悩んだ。最終的には症例数の多い病院の方が体で覚えられると思い、症例数の多い病院を選んだ。【市中病院】

・出身大学の関連病院であることを重視しました。【市中病院】

・自分の志望科が強い病院ではなかったが、志望科の指導医の先生方がとても魅力的だった。やはりその科が強い病院の方が良いかとも考えたが、結局雰囲気を重視して選んだ。●この方の属性は?

・実習で数週間お世話になった時に、研修医室の雰囲気が良かった。研修医は当直で主にウォークインを診るという点だけが、マイナスポイントであったが、先輩方の意見を取り入れて、徐々に救急車の対応もできるようになっていると聞いて、研修医の意見を取り入れている姿勢が感じられた。また、1つ上に部活の先輩がおらず、程よい距離感で緊張感を持って研修できると思った。【市中病院】

・小児科を志望しているので、小児を通年で診られること、出身大学が同じ先生があまりいないこと、スーパーローテートであることを重視しました。【市中病院】

・初期研修医のうちからERで初診外来を診ることができる機会が多い。 プライマリケア能力を養成することを重視することが、感じられたから。 第一希望にする予定の病院から、ロールモデルに指導医の先生が異動されることが決まったこともあり、順位を変更した。【市中病院】

・3.11の年に入学した者の使命と して、福島県内で臨床研修し、その後も福島のために尽力することを決めていた。なるべく多忙な病院で、年齢幅のある多くの患者を見られる病院が自分を成長させると思った。さらにやる気があって意識が高い人が集まる他院や、指導医が多く研修プログラムが良さそうな他院も見たが、結局は患者さんが一番ものを教えてくださると考え、地域に信頼されていて症例が多く、研修医の裁量が大きい病院を選んだ。

・研修先を選ぶに当たっては、私自身が自主的に課題を見つけて勉強する性格なので、あまり拘束されることなく自由な環境の中で勉強できる病院を選んだ。私が研修先として選んだ病院は、コメディカルとしっかり連携が取れており、研修医は雑務ばかりに追われることなく、忙しすぎず暇すぎずといった感じで、バランスの取れた研修ができると感じた。また、勉強のモチベーションを高く保てるよう、同期の研修医が勉強熱心であることを重視した。 優秀な研修医が多く集まるようなレベルの高い研修を求めていたが、研修後のキャリアにおいて研究をして学位を取得し、大学病院内での地位を積み上げていくには出身大学に残った方がいいのではないかという点に関しては非常に悩んだ。また、研修先が実家から離れているため、いずれ実家に帰らなければならなくなった際に、うまくキャリアチェンジができるかということも不安の一つであった。最終的には、必ずしもそのような大学医局員としての典型的なキャリアを歩む必要もなく、臨床一本でいくことも選択肢の一つであると考え、また医局に所属していない方が実家に帰る際も手続きがスムーズなのではないかと考え、この結論に至った。【市中病院】

・最初は市中を希望していたが決まらず、出身地近辺の大学病院を考えていたところ、市中病院に行くことのできるプログラムのある大学病院があったため。【大学病院】

・私は他県の医学部に一般入試で入学しました。在学中、高校の先輩や友人がおらず情報やつながりが少なかったように思います。そのため、医師としての基礎を作る上で大切な2年間は、情報やサポートの多い地元で働こうと思っていました。その中でも地元の大学病院にしたのは、たすき掛けで市中病院と大学病院が半々で研修できるプログラムに魅力を感じたからです。【大学病院】

・市中病院でバリバリ臨床経験を積むことも考えたが、アカデミックな部分にも触れたいというのと、少しだけではあるが実習で学んだ行政の分野も初期研修中に見ておきたいと思うようになり、それが可能な自大学のプログラムにした。臨床経験は後からでも十分積めると考えた。【大学病院】

・市中と大学で悩みましたが、多くの診療科をローテートできる研修医のうちに、common diseaseだけでなく大学でしか学べないような難しい症例や稀な疾患を経験したいと考え、大学病院での研修を選びました。【大学病院】

・大学の先輩にあたる叔父(現在は関連病院の部長)からは、融通が効くということで、出身大学での研修を勧められていた。そのつもりで病院見学にも行かずにいたが、救急科での実習の際に、研修医の先生方が忙殺されている様子を見て、不安を覚えた。三次救急の現場はできれば避けたいという思いもあったため、6年になる春休みには、三次救急を行わない研修病院1つに見学に行った。結果的に採用面接を受けたり、マッチングで登録したりしたのは出身大学のみである。2年生の時にうつ病になり、留年をして以降は特に環境の変化によるストレスで調子を崩すことがしばしばあり、慣れた環境という点では出身大学での研修が最適だと考えたためである。【大学病院】

・基礎研究に進みたいが、研修は臨床能力を磨くために市中病院で行うか、あるいは大学病院で行うかで悩んだ。最終的に、将来、大学院に入学したい大学の初期研修に応募し決まった。1年目の間に、基礎の大学院の見学などを行い、2年目の大学院入試に備えるつもりである。【大学病院】

・経験できる症例数は市中病院のほうが多いように思ったが、出身大学の医局に入局しようと思っているので、そのまま大学で研修しようと考えた。【大学病院】

・最初は実家の近くの市中病院で研修をしようと漠然と思っていたが、出身大学で後期研修をすることを考えると特にメリットがないことに気がついた。初期研修中は医業を学ぶのはもちろんのこと、後期研修からも使える人脈を作っておくことが、将来のためになると思った。【大学病院】

・大学病院か県立病院かの二択だったが、県立病院は研修終了後に行くことになるため、研修の間は貴重な症例の集まる大学病院で研修し、難しい症例の対応などを学びたいと思った。【大学病院】



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201612/549422.html
記者の眼
「医療事故調査制度」はネーミングに問題あり

2016/12/19 満武 里奈=日経メディカル

 医療事故調査制度の動向を継続的に取材してきた筆者は、このほど日本医師会主催の「全国医師会勤務医部会連絡協議会」で講演する機会を得た。37年目を迎えるこの会は、医療に関する様々な問題を勤務医の立場から議論することを目的に、年1回開催されている。今年は大阪で行われ、400人近い医師らが一堂に会した。その中のシンポジウムの1つ「医療事故調査制度の動向」で、筆者は「マスコミの立場から」というテーマで話をさせていただいた。

 当日の講演では、筆者が考える医療事故調査制度の課題を幾つかお伝えした。今回はそのうちの1つ、「医療事故調査制度」という名称の問題点について紹介させていただきたい。

 これは一言でいうと、「医療事故」という単語を冠した名称が原因で、この制度が医療者と国民の双方に要らぬ不安や誤解を与え、うまく運用されていないのではないかということだ。こういった指摘が以前からあったことは既報の通りだが、その懸念が現実のものとなりつつある。2015年10月の制度スタートから1年を経た今、医療事故調査制度が抱える課題が次々に明らかになってきたが、「ネーミング問題」は解決に向けた手が打ちやすい課題であるため、シンポジウムでは制度の名称変更を考えてもいいのでは、と提案させていただいた。

「病院側に落ち度」と誤解される恐れ
 医療事故として報道されるのは、一般に医療機関側に過失があったケースが多い。だが、医療事故調査制度が対象とする事案はあくまで「提供した医療に起因した予期せぬ死亡」であり、医療者の過失の有無は関係しない。とはいえ「事故」という言葉が持つネガティブなイメージが原因で、医療事故調査制度について医療機関が説明する際、「家族が死亡したのは病院側に落ち度(過失)があったからではないか」と遺族側に疑念を抱かせてしまう恐れがある。

 実際に医療事故調査制度に基づく院内調査を経験したA病院の院長は、調査を行ったことで病院側と遺族側が対立してしまったと嘆いている。センターに医療事故が発生したことを報告する前に、遺族側に制度について丁寧な説明をして真摯に院内調査に取り組んだが、遺族側は「病院側には会いたくない」と態度を硬化させた。院内調査結果を伝える席に、病院関係者が同席することも許さなかったという。

 またB病院では昨年、制度の対象事案が発生。医療安全に資するようにと院内調査を実施した。しかし、遺族は終始、「どう補償してくれるのか」の一点張り。院長によると「『再発防止』という制度の趣旨を説明しても、全く聞き入れてもらえなかった」と振り返る。

 これらの事実から見えてくるのは、遺族側には医療事故の再発防止という制度の目的が理解されにくいということだ。その原因の一端は、やはりこの制度の名称に、「医療事故」というワードが含まれていることが関係しているように思えてならない。

 冒頭に紹介したシンポジウムでは、日本医師会副会長の松原謙二氏がコメンテーターとして緊急登壇し、私を含むシンポジストの講演内容を受ける形で「医療事故調査制度という名前自体がよろしくない。これは将来、変えていくべきだと考える」と述べた。

 医療事故で大切な人を失った遺族は、「なぜ死んでしまったのかその原因を知りたい」と思い、そして何か過失があるならば「謝罪してほしい」と考える傾向が強い。事故発生直後の悲しみに打ちひしがれる遺族に医療機関が、医療事故調査制度は再発防止のための制度であることに理解を求めても、うまくいかないだろう。

 「再発防止」という医療事故調査制度の趣旨と、突然家族を失って悲嘆に暮れる遺族への配慮を擦り合わせ、着地点を考えていくことこそが大切だろう。そして、名称が制度への誤解を招いているのだとすれば、制度の名称変更を考えてもいいのではないだろうか。

当日は「おおさか宣言」採択も
 会の最後には、「おおさか宣言」が採択された。この宣言では女性医師への支援や、病診連携体制の重要性をうたった項目の他に「国民に理解される医療事故調査制度とするために、再発防止を目的とした制度の周知を図り、医療安全を確立する」という項目が盛り込まれた。臨床医の先生方に十分に制度が浸透しているとは言い難い現状で、このような宣言が採択されたことは、それ自体が大きな一歩であるように感じた。

 最後に、医療事故調査制度について深く考える機会を与えてくださった座長の一番ヶ瀬明先生(大阪府医師会勤務医部会常任委員)と高井康之先生(大阪府医師会副会長)には厚く御礼を申し上げたい。



http://www.pressdigitaljapan.es/texto-diario/mostrar/553554/
スペインの多くの医療関係者は新規採用は非正式社員(期限付き契約社員)
Taichi Nakagawa | 16年 12月 18日 11時 57分 Pressdigital Japan

スペイン国家公共雇用サービスが発表したところによると、11月に雇用された医師のうち、96.5%は期限付きの契約社員であったことが分かった。

情報によると、先月雇用された408人の医師のうち、35人だけが正式社員として採用され、看護師では2,848人採用されたうち、78人だけが正式社員として契約を結んでいた。

このほか、薬局でも543人のうち465人が期限付きの契約社員であった。



http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/161218/lif16121815320009-n1.html
薬の処方期間 病院が小刻みにするのは収入を考えるため
2016.12.18 15:32  Newポストセブン

 早朝から病院の待合室に列を作り、薬をもらい帰宅する頃には昼が過ぎている--。慢性疾患で“いつもの薬”をもらうことが目的となっている人たちは、そうした手間や時間を煩わしいと感じながら、「ルールだからしょうがない」と諦めているのではないか。

 それにしてもなぜこうした仕組みになっているのだろうか。米山医院院長の米山公啓氏が解説する。

 「日本は医師の権限が非常に強い。欧米では患者が望めば薬剤師の判断でジェネリック医薬品への変更ができますが、日本では医師の許可を得ないとできません。同じ薬をもらうために頻繁に受診することに疑問を感じる医療関係者もいますが、薬の処方に関しては医師が独占的に裁量権を握っているため、変えるのは容易ではないのです」

 医療ガバナンス研究所・理事長の上昌広氏もこんな指摘をする。

 「日本は諸外国に比べ、処方箋がないと出してもらえない薬が圧倒的に多い。その処方箋には医師側の都合が反映され、患者の利便性は無視されています」

 「薬の処方期間」も、実は医師側の都合で決められたものだという。日本在宅薬学会理事長で医師の狭間研至氏が話す。

 「販売されて1年以内の新薬は14日分まで、睡眠薬や向精神薬などオーバードーズ(過剰摂取)の危険性がある薬は30日分までと、厚労省によって処方期間が決められています。しかし、その他の多くの薬は処方期間に制限はありません。

 長期にわたって飲み続ける人が多い高血圧薬や糖尿病薬などは期間の上限なく処方できる。もちろん症状の変化や副作用などに対応するため定期的な診断は受けたほうがいいですが、病状の安定した人なら、60日分や90日分を一度に出しても問題ないケースが少なからずあるのも事実です」

 ところが現実は2週間や1か月分しか処方せず、頻繁に通院を促されるケースが大半だ。仮に2か月に1回の受診だと年6回の通院だが、2週間に1回だと年24回も通院することになる。病院側の実入りは4倍に膨らむ。

 「病院側が期間を小刻みに区切って薬を処方する理由は、強制的にリピーターを大量生産することで再診料などを確実に稼ぐためです」(前出・上氏)

 薬の処方方法も期間も患者目線に立ったものではない、ということなのだ。

 ※週刊ポスト2016年12月23日号



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48672
「医師偏在の加速」という嘘を振りまく厚労省、大学
既得権益者の妄想と裏腹に、健全な競争で地方の病院に若手集まる

森田 知宏
2016.12.19(月) JB Press

 専門医制度変更への議論が喧しい。新専門医制度の2017年度実施は見送られ、日本専門医機構の理事は変更となった。


 専門医制度の問題点については数多くあるが、ここでは医師の偏在についての議論を取り上げたい。曰く、「医師の地域偏在が深刻化しており、その是正のために専門医制度を変更しないといけない」というものだ。

 そもそも医師の教育と地域偏在は無関係であるが、ここでは措く。私が異常だと感じるのは、厚生労働省、大学医学部、日本医師会に至るまでが、データの提示なしに「日本の医師の偏在が悪化している。どうして若者が地方へ行かないのか」と口々に言うことだ。

 特に槍玉に挙げられるのが、2004年に始まった臨床研修制度だ。

医師数の格差は解消に向かっている!

 この制度のせいで、大学医局に属さない病院へ就職する新卒医学生が増えたために、大学医局が支えていた地域医療が崩壊した、というのがその主旨である。

 ここで、あるデータを紹介したい。公開されている市町村ごとの医師数、人口データを元に、医師の偏在を定量的に評価したものだ。

 使ったのは、「ジニ係数」と呼ばれる、所得格差を表す指標であり、数字が大きいほど格差が大きい。通常は所得で行うところを、市町村人口あたり医師数に置き換えて、ジニ係数を計算した。

 すると、驚くべきことに、新臨床研修制度が始まった2004年から2014年まで、ジニ係数は0.60から0.56と、ジニ係数は減少傾向にあった(図)。
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 つまり、医師の地域偏在は、拡大するどころか、むしろ縮小している可能性すらあるのだ。これは、私の実感とも一致する。
 確かに、臨床研修制度によって、「勝ち組」と「負け組」の病院が生まれた。しかし、「勝ち組」、つまり若手の研修医がたくさん入ってくる病院の多くは、医師不足地域にある中核病院である。


 患者数に比して医師数が少ない病院では、研修医の出番が多く、成長する機会も大きいからだ。

 このような病院の中で、研修医教育に力を入れている病院が総じて研修医の人気も高い。臨床研修制度によって医師の流動性が高まり、偏在が緩和されたという可能性は十分にある。

大学病院での研修が激減

 では、なぜ「医師の偏在が加速した」と言われるようになったのか。

 それは、「大学関係者の目の届く範囲から」医者がいなくなったからである。大学病院で研修する研修医の割合は、2004年の56%から2016年の40.5%へと、減少傾向にある。

 この影響で、研修医が終わってからも、大学医局に属さない医師が増加した。大学関係者にとっては、大学医局に属さない医師というのは自分の人事権が及ばない存在であり、腹立たしいのだろう。

 「オレの目の前から消えた若い奴らは、どこかでのうのうと気楽に生きているに違いない」という思い込みがある。そして、その思い込みを「都市部への医師偏在の加速」という意見によって正当化しようとする。

 しかしデータを見れば、臨床研修制度が医師の偏在の緩和につながった可能性の方が髙いのである。少なくとも医師偏在が加速している証左にはならない。

 大学医局から医師が消えただけで「地域医療が崩壊する」と叫ぶ大学関係者の傲慢さには呆れる。通信販売や電子書籍の煽りを食った街の書店が、「最近の若者は読書をしない」と嘆くようなものだろう。

 医師のキャリアモデルに選択肢が増えただけだ。

 私が最も危惧するのは、この5年間、医師の偏在が加速したという説が幅を利かせているにもかかわらず、その根拠が示されていないという事実である。

 先程のジニ係数などはすべて公開されているデータだし、計算自体は通常の表計算ソフトでも簡単にできる。にもかかわらず、このような偏在の推移に関するデータが、厚労省の検討会で真剣に議論された形跡はない。

 データをあえて無視して「医師の偏在が進んだ」と述べるほどの悪意があるのなら、まだましなのかもしれない。

偏在の評価など思いもよらなかった?

 実際には定量的に偏在を評価することは思いもよらなかったのではないだろうか。

 自らの思い込みも、大勢が復唱して何度も唱えているうちに自己暗示がかかり、確信に変わっていく。あらゆる検討会で、何のデータもなしに「医師の偏在が加速」と合唱するその姿は、狂信者そのものである。

 会議室で妄言を喚くにとどまればいいのだが、その妄言で政策が方向づけられてしまうのだから困り者だ。

 日本の医療は厚労省や各利益団体の遊具ではない。迷惑を被るのは患者であり、国民である。思い込みで好き放題言うのは、いい加減やめていただきたい。



http://www.sankei.com/west/news/161219/wst1612190007-n1.html
透明性のある産学連携を…製薬業界が共同研究の相手先・研究費を公開へ 今年度分から
2016.12.19 02:05 産経ニュース

 新薬開発のために産学連携を強化している製薬業界は、臨床試験(治験)や創薬の共同研究を実施した大学など相手先の名称、研究費など支払った金額を公開する方針を決めた。各社が今年度分から毎年、ホームページに掲載する。本来は外部には知られたくない企業戦略に関わる情報だが、産学連携の信頼性が問われる中、癒着や不正の抑止を狙って公開に踏み切る。

 新薬メーカーなどで作る業界団体「日本製薬工業協会」(製薬協、73社)が独自の指針を策定した。毎年度の決算終了後に、治験を実施した医療機関などの名称と個別の金額、共同で創薬研究に取り組んだ大学など相手先の一覧と総額をそれぞれ公表する。ただ創薬研究については金額の内訳は示さない。

 製薬各社は、研究開発で大学や医療機関と強い結びつきを持っており、資金提供も行っている。こうした中、高血圧治療薬「ディオバン」をめぐって、企業に有利な臨床データだけを使って医学論文を大学側に作成させたとされる事件もあった。

 製薬協は平成23年に「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」を策定。会員企業は研究室への寄付や原稿執筆などに対する謝礼については、支払先と金額を自社ホームページで公開してきた。共同研究については、年間総額だけ公開していた。

 塩野義製薬は新ルールで「より透明性をもって産学連携が進められる」と強調。田辺三菱製薬の担当者は「生命関連企業としての責任があり、重要な制度だと受け止めて情報公開していく」とする一方で「過剰に開示を求められれば企業の機密保持や競争に影響が出る懸念もある」とした。

 日本の製薬会社が巨大な欧米企業との競争を勝ち抜くには、外部の研究機関との連携強化が不可欠。製薬協の田中徳雄常務理事は「産学連携を進めるためにも透明性を保ち、説明責任を果たしたい。不正な金銭のやりとりの抑止力になれば」と話している。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF10H0B_S6A211C1MM8000/
高齢者医療、チェックなき膨張
2030年 不都合な未来(1)

2016/12/19 2:00日本経済新聞 電子版

 暮らしや老後を守る社会保障が日本経済を揺るがそうとしている。止めどない高齢化で医療や介護、年金にかかるお金が膨張。財政も刻一刻と危うさを増す。団塊の世代が80代を迎える2030年はどのような社会になるのか。経験したことのない選択を迫られることだけは間違いない。

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 その男性は西日本の病院で最期を迎えた。享年80。12年に受けた弁膜症の術後の経過が悪く、感染症を繰り返した。透析や胃ろうの処置などあらゆる医療行為を受けた。

■医療費、計7400万円

 レセプト(診療報酬明細書)には70以上の病名が並ぶ。「本人も知らなかっただろう」と関係者は話す。3年半の医療費は約7400万円。男性の自己負担は約190万円。残りの大半は税金と現役世代の支援金だ。

 高齢者医療費が歯止めを失いつつある。社会保障給付費は30年に今より約50兆円増えて170兆円程度に達する可能性がある。影響が大きいのが医療費。とりわけ75歳以上の後期高齢者医療費は約1.5倍の21兆円に達する公算が大きいことが全国調査をもとにした分析で分かった。

 取材班は全国約1740市区町村の後期高齢者の1人当たり医療費を調べた。厚生労働省は都道府県単位の数値を集計しているが、市区町村の全容は初めて判明した。

 1人につき年100万円以上の医療費を使っている市区町村は14年度分で347に及ぶ。30年の人口推計などから試算すると、全体の後期高齢者医療費は現在の約14兆円から大きく膨れ上がる。

 最多と最少の自治体格差は14年度時点で2.6倍。東京都台東区など都市部の自治体も上位に入った。大きな医療費格差はなぜ生じるのか。

 1人当たり医療費が133万4453円と全国最多の福岡県宇美町。高齢者らが長期入院する療養病床は人口対比で全国平均の3倍超。在宅療養を支援する診療所は乏しく医療費がかさむ入院に頼りがちだ。

 息子夫婦と暮らし、通所介護を利用する80代女性は約1年前、軽い胃の不調を訴え、町内の病院を受診した。「検査に時間がかかるので療養病床に入れる」。病院からこう聞いた担当のケアマネジャーは1カ月後に確認したが「退院したら連絡する」と告げられ、検査入院が長期化。ケアマネによると、女性は現在も入院したままだという。

 高齢者医療制度はチェック機能を担う広域連合が市町村の合議体で、責任の所在が曖昧という問題を抱える。保険者としての機能不全は覆い隠せない。その裏側で高齢者医療費の4割を支える現役世代の負荷が高まる。

 「手取りが……」。オムロングループの30代女性は10月の給与明細に目を疑った。1年前より1万円ほど減っていた。30万円台前半の基本給は7000円ほど上がったが、健康保険料が3600円、厚生年金保険料が7800円増えた。会社の方針で残業手当が減ったことも誤算だった。

■賃上げむなしく

 「今の制度はもたない」。創業100年超の化学メーカー、第一工業製薬の赤瀬宜伸常務(57)は断言する。同社は単一の健康保険組合を維持するのは困難と判断し、自主的に解散した。05年度に6.6%だった保険料率は9.5%に上昇。人間ドック補助の削減などを重ねたが万策尽きた。

 07年度に1518あった健保組合は100以上が消え、経団連によると13、14年度の賃上げ効果の46%分は社会保険料として吸い上げられた。

 たとえ高齢者医療の綻びを繕えても、それだけで光明が差すわけではない。学習院大学の鈴木亘教授の試算では、年金や医療、介護にかかわる債務は30年時点で今より350兆円増えて2000兆円規模に達する。

 支えを求める高齢者が増え続け、細る現役がその負担を迫られる。制度を根本から作り替えないまま、不都合な未来はもう目の前に来ている。



https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12156-13954/
ドクターXで大門が言った「私、バイトなので」の台詞の深い意味
2016年12月18日 21時00分 まいじつ ニフティニュース

10月期のテレビドラマは『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)が、12月8日放送の第9話の平均視聴率で22.6%と、2位以下を5%以上も引き離して圧倒的な人気ぶりだ。

しかし、米倉涼子(41)扮する女医の大門のある台詞が波紋を呼んだ。

大門の決め台詞は「私、失敗しないので」。しかし12月8日放送の大門はいつもと少々違った。勤務先の東帝大病院のライバルである慶林大病院の外科医夫人の手術を、何と慶林大で行うというものだった。無事に成功して東帝大に帰ると、院長から「どういうつもりだ!」の怒声を浴びせられる。すると大門は「私、バイトなので」と知らん顔をして見せた。
「大門はフリーランスの医師なので、基本的にはどこの病院の仕事を手伝っても構いません。病院の名誉争いよりも、人を助けることが医師本来の仕事です。でも、さすがに『バイトですから』は言い過ぎかもしれません」(医療事務従事者)

大門は常勤医師ではなく、フリーの非常勤医師だ。このような処遇の医師は病院に数多く存在するという。

もちろん、非常勤の医師が手術を手掛けたからといっておかしなことは何もない。特に人手不足の救急病院などは、一刻を争う生命に関わる場合に、適切な処置として手術に踏み切ることもある。

「非常勤の医師が手術すると聞くと、患者はやはり眉をひそめます。自分の体のことですから患者は不安になるのです」(医療系ライター)

非常勤の医師よりは常勤の医師が好まれるように、肩書だけで判断されてしまいがちだ。

「責任問題に発展する可能性もあることから、緊急的な手術をしないというアルバイトの医師も少なくありません。あくまで常勤が来るまでの“つなぎ治療”だけで、本格的な執刀の責任は常勤にやってもらう。最初から契約で手術しない医師もいるほどです」(同・ライター)

今回の大門のバイト発言は、こういう医療界の医師の処遇について、改めて考えさせられる深い台詞だったのだ。

「病院のホームページに、常勤でない医師には非常勤と記載するところもあります。急にいなくなるかもしれないという、病院側からのメッセージとして捉えることもできます」(同・ライター)

医師の世界にも正規と非正規の格差の波が押し寄せているのだ。


  1. 2016/12/19(月) 06:26:11|
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