Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月14日 

http://www.asahi.com/articles/ASJDG71S4JDGUBQU00Y.html
問題繰り返す医師に指導強化 日本産婦人科医会
福宮智代
2016年12月14日21時09分 朝日新聞

 愛媛県今治市の産婦人科診療所で、出産後に大量出血で女性が死亡するなどの事例が相次いでいた問題で、日本産婦人科医会は14日の会見で、問題を繰り返し起こす医師への指導を強化する考えを明らかにした。これまでは現地の調査・指導は、基本的に都道府県の医会に任せてきたが、同様の問題が発生した際は必要に応じて、医会の本部から担当者を派遣すし、直接指導するという。

 診療所は今後、帝王切開は近隣病院に任せ、それ以外のお産も来年3月までにやめる方針。これに伴い、愛媛大病院が今治市内の医療機関に産婦人科医2人を新たに派遣する案を医会などに示しているという。

 医会によると、これまでも問題が発生した際には、都道府県の医会を通じて連絡を受け、相談に応じる体制はつくっていた。だが、今回の問題を受け、より本部の関わりを強めていくという。



http://www.sanspo.com/geino/news/20161214/tro16121420420015-n1.html
倉庫裏で喫煙、病院長ら12人を処分 駐車場でもスパスパ
2016.12.14 20:42 サンスポ

 徳島県は14日、全面禁煙の県立中央病院(徳島市)敷地内で自ら喫煙したり、喫煙を黙認したりしたとして永井雅巳病院長(61)ら12人を減給や戒告の懲戒処分にした。

 県によると、同病院は2005年4月から敷地内を全面禁煙とした。県病院局と同病院でつくる調査委員会の報告書によると、13年4月ごろから、医師や看護師ら28人が廃棄物倉庫裏で喫煙。永井病院長も同じ頃から、駐車場の自家用車内で喫煙していた。

 病院は「人目に付かず、受動喫煙も考えにくい」との理由で黙認していた。処分を受けた12人のうち10人は同病院の現職幹部。「職員が喫煙している」という通報が11月にあり、調査委員会が医師や職員から聞き取り調査を実施していた。同病院の竹田伸也事務局長は「再発防止対策を徹底する」と話している。



http://www.yomiuri.co.jp/local/tokushima/news/20161214-OYTNT50063.html
院長も敷地内で喫煙
2016年12月15日 読売新聞

 ◇県立中央病院 幹部ら12人懲戒処分

 全面禁煙にしている県立中央病院(徳島市)の敷地内で医師と職員が喫煙していた問題で、同病院は14日、永井雅巳院長(61)を含む計29人が喫煙したとする調査報告書を発表した。県病院局は同日付で、喫煙していた永井院長、八木淑之副院長(59)、医療局長(56)の3人のほか、管理監督責任として9人の計12人(課長級以上)を懲戒処分とし、ほかに課長級3人を文書訓告とした。

 病院局の発表では、永井院長を減給10分の1(2か月)、八木副院長ら4人を同(1か月)。部長級4人、課長級3人を戒告とした。

 調査報告書によると、喫煙は2013年頃から常態化し、問題となった病院の敷地西側にある倉庫の裏側で医師、職員の28人が喫煙。永井院長は職員用駐車場内にとめた自家用車内でたばこを吸ったという。

 竹田伸也事務局長は「今回の事態を真摯しんしに反省し、失った信頼の回復に努めたい」と話した。



http://www.asahi.com/articles/ASJDG63F9JDGUBQU00K.html
福島県立医大が医師をパワハラで処分 停職3カ月
2016年12月14日18時23分 朝日新聞

 福島県立医科大学は12日、同大と付属病院で勤務する40代の女性医師が、パワーハラスメントなどを繰り返していたとして、同日付で停職3カ月の処分にしたと発表した。

 同大によると、女性医師は2012年12月から付属病院に勤務する技師や看護師など計10人に対して「あいさつがなっていない」「医師に対して態度が失礼」などと口頭で言ったり、メールを送ったりする嫌がらせをした。

 大学の上司が注意すると、その上司に対しても「上司の資格がない」といった内容のメールを大量に送りつけたという。



http://www.asahi.com/articles/ASJDG5R84JDGUBQU00G.html
オプジーボ、適正使用の指針案 厚労省が中医協に提示
黒田壮吉
2016年12月14日17時19分 朝日新聞

 高額ながん治療薬「オプジーボ」の肺がん患者への適正使用を促そうと、厚生労働省は14日、患者や病院の条件を定めたガイドライン(指針)案を中央社会保険医療協議会(中医協)で示した。無駄な薬の使用を避けて副作用のリスクを下げながら、医療費の抑制につなげる狙いがある。

 指針案は日本臨床腫瘍(しゅよう)学会などと作成。一部の肺がんについて、体外診断薬で有効性を調べ、オプジーボと既存の抗がん剤の効果が同等と評価された場合、薬価の安い既存の抗がん剤を使うことを推奨。副作用の恐れのある患者への使用を控えるよう求めている。

 一方、病院の条件としては、高度な治療ができる特定機能病院や、全国に約400ある「がん診療連携拠点病院」などに限定、専門知識のある医師の配置を挙げた。間質性肺疾患など重い副作用に対応できるように、CT画像診断の設備や24時間受診ができることも求める。

 厚労省は、指針から外れた場合は公的な医療保険の適用を認めない方針だ。

 患者1人で年間約3500万円かかるオプジーボは、社会保障財政を圧迫するとの懸念が広がり、来年2月に薬価が半額になることが決まっている。



http://www.huffingtonpost.jp/hideki-komatsu/japan-medical-association_b_13618626.html
日本医師会と世界医師会
小松秀樹
2016年12月14日 16時46分 JST 更新: 2016年12月14日 16時46分 JST ハフィントンポスト

医師の情報サイトm3によると、2016年10月22日、台北で開かれた世界医師会で、日本医師会の横倉義武会長が次期世界医師会会長に就任することが決定した。名誉なことだが、以下に述べるように日本医師会の現状は世界医師会の理念から逸脱している。

世界医師会は、医療倫理について世界的合意を形成するためにいくつかの宣言を発出してきた。医師個人が守るべき倫理としてのジュネーブ宣言、人間を対象とする医学研究の倫理的原則を扱ったヘルシンキ宣言、患者の権利についてのリスボン宣言、医師の自律性を守るための医師会の役割を扱ったマドリッド宣言などだ。

●ナチスの残虐行為に医師が加担したことへの反省

世界医師会はホームページで以下のように自己紹介している。

世界医師会は、医師の独立性を確保して、崇高な倫理的基準に則った行動と医療を、いかなる場合にも実行できるようにするために創設された。こうしたことは、第二次世界大戦後、とりわけ重要だった。このため、世界医師会は自由な専門職集団の、誰からも支配されない独立した連合であり続けた。

第二次世界大戦当時、ナチス政権下のドイツでは、医師が、国家の命令により、合法的に残虐な人体実験を行い、多くの犠牲者をだした。こうした悲劇を繰り返さないために世界医師会が設立された。

●世界医師会の論理

世界医師会は、個人主義を全体主義の防波堤にしようとした。患者の判断の責任主体は患者個人にあり、医師の判断の責任主体は医師個人にある。個人の判断に国は関与してはならない。

患者には自己決定権があり、医師はそれを尊重しなければならない。前記ヘルシンキ宣言はこうしたインフォームド・コンセントの考え方を定着させた。

医師は自身の医学的知識と良心に基づいて行動する。したがって、行動には個人的責任を伴う。

ジュネーブ宣言の第10項目は「私は、たとえ脅迫の下であっても、人権や市民の自由を犯すために、自分の医学的知識を利用することはしない」と宣言している。これは特定の国家に所属しない世界医師会が、全世界に向かって発出した宣言だ。

医師は、国内法が医師を処罰するかどうかにかかわらず、患者の権利が侵害されるときは、ジュネーブ宣言を優先させる。

ジュネーブ宣言は、国家が理不尽にふるまう場合、医師個人に不服従を求めているが、個人だけで抵抗するのは無理がある。そこでマドリッド宣言は、医師会を、医師の自律を支えるための組織として規定した。ドイツの医師会は各州で独立している。これは独立した医師会が複数ある方が、国内で統一された医師会より国家の一元支配がおよびにくいという理由による。

●規範的予期類型と認知的予期類型

現代社会は機能分化が飛躍的に進んだ社会だ。世界社会は、世界横断的な部分社会システムの集合体である。個人は様々な部分社会システムと関わって生きている。個人の幸不幸について、資本家と労働者など階層間の問題より、個人が社会システムに包摂されるか排除されるかが重要になった。

それぞれの社会システムは独自に正しさを形成し、日々更新している。例えば、医療の共通言語は統計学と英語だ。頻繁に国際会議が開かれているが、これらは、医療における正しさや合理性を形成するためのものだ。

社会システムはコミュニケーションで作動する。それぞれの社会システムは独自の言語論理体系を発達させ、それに基づくコミュニケーションを活発に行い、システムの機能を最大化させた。

ルーマンは、コミュニケーションを成立させる予期のあり方に基づいて、社会システムを大きく二つに分類した。規範的予期類型(法、政治、メディアなど)は物事がうまく運ばないとき、自ら学習することなく、規範や制裁を振りかざして、相手に変われと命ずる。これに対し、認知的予期類型(科学、テクノロジー、医療など)は物事がうまく運ばないとき、自ら学習して、自分を変えようとする。認識を深め、知識・技術を進歩させる。

医療倫理は規範的予期類型に属する。医師に医療倫理が浸透しにくいのは、医療システムと言語論理体系が異なることによる。倫理システムは、過去に設定された道徳、規範にもとづき、違背に対し、相手に変われと命ずる。正しさを他に強制する。これに対し、医学を含めた科学の正しさはとりあえずの真理であり、更新され続ける。

このため、議論や研究が継続される。新たな知識が加わり進歩がある。医療は未来に向かって融通無碍であり、規範とは無縁である。倫理システムや法システムは、医療システムに対し、環境として外部から影響を与える。医療システムには、罰をもって単一の正しさを強制するような猛々しさはない。

●フィクションとしての規範

世界医師会はナチスの悲劇を繰り返さないために、また、医療の健全性を保つために、判断主体としての個人というコンセプトを中心においた。医療倫理を設計するのに、社会が理性を備えた個人から成り立っているとするフィクションが必要だった。

しかし、医療システムは、認知的予期類型であるがゆえに、本質的にフィクションの堅持を苦手とする。

例えば、有効な治療手段のない患者にどのように説明するのか。患者の自己決定権は「優しさ」のためにしばしば曲げられる。患者への優しさは、医療機関側の利害の方便としても使われがちだ。病院を存続させるために、収入を増やしたいという思惑もしばしば自己決定権をないがしろにする。

患者の希望、紹介元の医師の意向も、しばしば、主治医の説明をゆがめる。主治医によっては、患者、紹介元の医師と自身の判断を厳密に区別できない。自他の区別が明確でないということは、個人が確立されていないということに他ならない。これは、社会が理性を備えた個人から成り立っているという前提がフィクションであることを示す。

医療システムは、世界医師会が提案した医療倫理を承認したが、本質的に固定した規範を嫌う。規範的予期類型との接点で、常に規範としてのフィクションを承認するわけではない。例えば、過失を犯した個人を罰することで患者安全が高まるというフィクションに異議を唱えている。

●世界医師会と日本医師会

世界医師会は、自身を、自由な医師会の誰からも支配されない独立した連合であると宣言している。ジュネーブ宣言は、患者の権利が侵される場合には、法に対する不服従を宣言している。日本医師会の現状は、こうした世界医師会の理念と矛盾している。

かつて、日本医師会の医療倫理に関する文章を法律家が担当していた。法律の解説が、医の倫理として提示されていた。これに対し、一部から厳しい批判が寄せられたが、2014年9月3日付けで新たに作成された「医の倫理の基礎知識」においても、倫理というより、法律の解説とすべきものが多く含まれている。

法律学者である樋口範雄は総論にあたる「倫理と法」で、「法は倫理と相反するものではない」と述べた。しかし、第二次世界大戦当時、倫理と法の間で深刻な矛盾が生じたこと、医師が国家の命令で残虐な人体実験を行い、多くの犠牲者をだしたことを記述しなかった。世界医師会が創設された歴史的経緯を意識的に無視したか、勉強不足かのどちらかである。

意識的に無視したとすれば、日本医師会が、法システムに属する行政の強い影響下にあるためであろう。

日本医師会の滝澤秀次郎事務局長(2016年11月現在)は、厚労省の元医系技官である。厚生労働省健康局国立病院部政策医療課長,環境省総合環境政策局環境保健部長などを歴任した後、2006年厚労省を退官し、日本医師会事務局長に就任した。日本医師会の会長を含む12名の理事のうち、全体の4番目に位置付けられている。裏方の事務局長ではなく、意思決定に大きくかかわる立場だ。

●日本医学会高久史麿会長

日本医学会は日本医師会に置かれている。126の学会がメンバーになっている。

日本医学会に期待される役割は、各学会の自律性を高めることにある。現在の髙久史麿会長は、2004年4月1日以後、12年の長きにわたって会長職にある。髙久会長は、しばしば、行政と患者団体あるいは行政と医師との間に対立のある案件で、行政の意を受けて発言してきた。

●イレッサ訴訟

イレッサ訴訟で2011年1月7日東京ならびに大阪地裁で和解勧告があったが、同年1月24日、髙久会長は、「肺がん治療薬イレッサの訴訟にかかる和解勧告に対する見解」で、和解勧告に対する懸念を表明した。その後、同趣旨の下書きを厚労省が事前に髙久会長に渡していたことが明らかになった。同年2月24日のキャリアブレインは以下のように報じた。

髙久会長は、「厚労省側が面会を申し入れてきて、『これで見解を出してくれないか』と文書を持ってきた」といい、見解を発表したのは厚労省からの依頼があったためだと説明。

「それまで出すつもりはなかったが、長い付き合いもあり、もともと関心のある問題でもあったので」見解を出すことにしたという。依頼の意図について、厚労省側から特に説明はなかったというが、「和解勧告が厳しい内容だったので、和らげてほしかったのではないかと思う」と述べた。

厚労省は検証チームを作って調査し、同年5月24日、間杉純医薬食品局長と医薬担当の平山佳伸審議官、担当室長の3人を訓告、担当課長を厳重注意の処分とした。

●インフルエンザ特措法

インフルエンザ特措法について、髙久会長は、2012年4月10日、慎重な審議を求める文書を発表した。しかし、髙久会長の本当の狙いは批判を和らげることだった。キャリアブレインの取材に対し、「法案に反対する科学的根拠はない」と答えた。厚労省の担当者から説明を受け、医師が従わなかったとしても、罰則規定や強制力がないことが分かったためだという。

2012年10月12日、日本感染症学会は、インフルエンザ特措法について、緊急討論会を開催した。討論会で発言した専門家の中に、インフルエンザ特措法に賛成する者はいなかった。

●権力の監視

イレッサ訴訟について厚労省に問題があったことは、厚労省の認めるところだ。しかし、権力を放置すれば、当然、自らの意思にしたがって動く。権力の行動を適切に保つのに、自制に頼ることはできない。近代立憲主義は、チェック・アンド・バランスを基本的な制御手段としている。近代立憲主義、世界医師会の理念のいずれの立場からも、髙久会長の発言は不適切である。

インタビューでのやり取りから、高久会長が自らの行動に問題があったと自覚していないのは明らかである。近代立憲主義、世界医師会の理念を知らないとすれば、日本医学会長としての資格を欠く。高久会長が12年以上、日本医学会の会長職にとどまったことに対し、日本医師会には大きな責任がある。

感染症専門家がインフルエンザ特措法に対する反対意見を述べることができたのは、日本感染症学会が学会として、自由な議論の場を設けたためである。個人が単独で同様の発言をすると、行政からさまざまな嫌がらせを受けかねない。日本感染症学会の決断を高く評価する。
日本の医師の多くは、医系技官を恐れ、表立った言論による批判を避けている。

指導的立場の医師は、医系技官にすり寄ることで社会的地位を得てきた。逆に言えば、医系技官にすり寄る医師だけが指導的立場になれた。有効なチェックのない中で、医系技官は権力を拡大させ、統制医療を強めている。

上意下達のヒエラルキー的な統制は、冗長化した情報を反復して末端に流す。組織の頂点しか環境を認識してそれに対応することができないため、医療の営為を画一化し、硬直的にする。統制は、医療が複雑多様化している中で、失敗を繰り返してきた。

医系技官は、繰り返される失敗を、強制力を強めることで押し切ろうとしている。一部の医系技官は、言論を抑圧することさえためらわなくなった。民主主義が医療分野からほころび始めている。ナチスの台頭は権力の監視のゆるみから生じた。監視を怠ると権力は暴走する。日本医師会は、目先の利害にこだわって行政におもねり続けると、大きなものを失うことになる。

(2016年12月9日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



https://www.m3.com/clinical/news/484712
認知症患者の運転中止に医師は無力?! 【JSDR 2016】(2016.12.14訂正)
2017年春、改正道交法でさらに変わる認知症の取扱い◆Vol. 2

m3.com編集部2016年12月14日 (水)

 医師や患者家族が認知症患者に運転中止や運転免許の返納を説得する機会は、今後ますます増えていくと見られる。大阪大学大学院医学系研究科精神医学講座教授の池田学氏は、国立長寿医療研究センター長寿政策科学研究部長の荒井由美子氏の研究班に参加し、2010年に「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル」を作成。2016年4月には第2版を公開した。患者の支援には、もちろん医師の関わりも重視されるが、認知症患者や家族に繰り返し丁寧に運転中止を説得してきた池田氏による自験例の「成果」とは。第35回日本認知症学会学術集会(JSDR 2016、12月1-3日)の池田氏によるプレナリーセッションと、独自取材による認知症と自動車運転の最新動向を紹介する。全3回。(まとめ:m3.com編集部 坂口 恵)

運転中止、最大のきっかけは

 社会的関心が高まる以前から認知症患者の自動車運転の問題に取り組んできた池田氏。「運転を続けようとする認知症患者やその家族にかなりの時間をかけて、運転を早く中止するよう、繰り返し丁寧に説明していた」と振り返る。しかし、2004年3月に自身が愛媛大学在籍中にまとめた認知症と自動車運転に関する班研究で自験例の一部の運転状況を追跡したところ、13例中8例が自動車運転を中止していたものの、運転中止のきっかけは8例すべてが「医師の説得」ではなく「運転事故の反復」。中には自損事故を2-3回繰り返し、運転中に迷走、最終的に人身事故を起こしてようやく中止に至ったケースも含まれていた。さらに残りの5例は事故歴がなく、まだ運転を続けていた。「正直、研究当初は、自分の説得もある程度効果があるだろうと思っていたが、こういう結果だった」と池田氏。「しかし、これにより、公共交通機関の乏しい地域では、いかに運転中止の説得のみでは対応が難しいかが分かった」と述べた。

 一方、池田氏らの班研究では認知症のない高齢者1500人以上への聞き取り調査で「認知症高齢者の自動車運転はすぐ中止すべき」との意見が90%超と圧倒的多数を占めており、「わが身のことでなければ高齢者もこの問題を冷静に捉えており、何らかの対策が必要というコンセンサスはあるものと考えてよいだろう」との考えを示す。

法改正後の「認知症の恐れあり」の人への臨時適性検査の内容は?

 現在、改正法に合わせた診断書試案の作成が進行中だ。「自動車運転に影響を及ぼす診断書でかなり詳細な記載が求められる」と池田氏。現行法でも診断書にはHDS-RやMMSEなどの認知機能検査、神経心理学的検査や臨床検査、画像検査を記載する多数の項目があるが、改正後はさらに「どのような日常生活上の変化がいつごろから見られたか」「診断書作成時の状態」「日常生活自立度」などの記載が求められる予定だ。記載の追加に伴い、診断書の様式決定と同時にその記載方法に関する詳しい解説が付記される見通しだという。

 また、現行法では「各検査は、原則として全て行う」との項目の記載が、改正後には「未実施の場合、その理由の記載を求める」よう強化される。「かかりつけ医からは、『これほど詳細な診断書は書けない』との意見もある。また、かかりつけ医が認知症と診断して、専門医にセカンドオピニオンを求めてきた場合の対応や、診断書作成のために実施した各種検査の保険診療上の取り扱い、抗認知症薬を使用している軽度認知機能障害(MCI)の人の自動車運転能力をどう考えるのかなど、さまざまな質問も寄せられている」と池田氏。

 「MCIやごく初期の認知症の人の運転能力が一般高齢者に比べ、危険とのエビデンスはほとんどない。ごく初期の認知症やMCIの人に関しては医学的な認知症の診断ではなく、実際の運転技能を実車テストなどで運転の専門家が判断する必要があると考えている」とのことだ。

 池田氏らは現在、関連学会で寄せられた意見を集約し、厚生労働省や警察庁への問い合わせを行っていく見通し。「その回答を基に医師のためのQ&A集を作成し、関連学会の公式サイトに掲載するなどして、法改正後の混乱を少しでも避けたい」との意向を示している。

変更履歴(12月14日):文中の「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための説得マニュアル」を「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル」に修正しました。お詫び申し上げます。



http://mainichi.jp/articles/20161214/ddl/k15/040/203000c
研修医自殺
病院に是正勧告を 夫、新潟労基署に申し入れ /新潟

毎日新聞2016年12月14日 地方版 新潟県

 今年1月に新潟市民病院(新潟市中央区)の研修医の女性(当時37歳)が「過重労働」のため自殺した問題で、30代の夫が13日、新潟労働基準監督署に対し、長時間労働がまん延しているとして、同病院に是正勧告するよう申し入れた。

 申告書によると、市の情報公開制度で取得した2015年6月分の電子カルテの利用履歴から、同病院の研修医35人に月80時間を超す時間外労働があったと指摘。労使間で結んだ特別条項付きの「36協定」で定めた上限(80時間)を超えるとして、同労基署に労働基準法に基づき是正を勧告するよう求めている。

 申し入れ後、夫は記者団に「妻のような人をなくしたい」と訴えた。代理人の斎藤裕弁護士は「医師、研修医の労働時間はすぐに把握できるはずだ。職業倫理に頼らずに改善してほしい」と述べた。

 同病院は09年度、36協定で定めた上限を超える時間外労働があったとして、同労基署から是正勧告を受けている。【柳沢亮】



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20161214296714.html
「過酷労働なくしたい」実名を公表
新潟・市民病院医師自殺問題

【社会】 2016/12/14 08:20 新潟日報

 新潟市民病院に勤務していた女性医師がことし1月に自殺し、過労が原因として遺族が労災申請している問題で、女性の夫は13日、新潟日報社などの取材に応じ、女性の実名を木元文(あや)さん=当時(37)=と明らかにした。木元さんの夫は公表の理由について「本名の方が事実が伝わり、事態が良い方向に動くと考えた」とした上で、「妻と同じような目に遭う人をなくしたい」と強く訴えた。

 夫によると、木元さんは以前、介護施設で看護助手として働いていた。次第に「やっぱり医者になりたい」という思いが募り、仕事を続けながら猛勉強。新潟大医学部を経て、念願の医師となった。

 生活が一変したのは、2年間の前期研修が終わり、2015年4月に市民病院へ入ってからだという。夜中にも頻繁に呼び出される木元さんを見て、夫は「ずっと働いているな」と気に掛けていた。結果的に、妻を守れなかった後悔が残った。

 木元さんの死後、市民病院では労働時間を本人の申告で算出していると知った。労働時間の正確な把握など5項目を新潟市に求めたが、市の回答は個別の項目への答えはなかった。

 夫は「(具体的に)何をするのか分からず、あまりにひどい。これではまた、市民病院で妻と同じ目に遭う人が出る」と感じたという。市に対し、事態の深刻さを伝え、もっと真剣に取り組んでほしいとの思いが強くなった。

 当初は匿名を通したが、「医師は単なる肩書。本人は嫌がるかもしれないけれど、木元文という人がこれだけ働いたという事実を伝えたい」と考えるようになった。弁護士からの助言もあり、妻の実名公表に踏み切った。名前が出ることで、妻のことを知る人から情報が集まることにも期待を寄せる。

 労災申請の結果が出る時期はまだ分からない。夫は「公共団体が法律を守らなければ、民間が守るわけはない」と語った。

◎労基署へ申し入れ

 木元さんの夫と代理人弁護士は13日、新潟市民病院で労働基準法違反の長時間労働がまん延しているとして、新潟労働基準監督署に是正を申し入れた。

 是正申告書によると、市民病院では特別な場合でも月80時間の時間外労働を限度とする労使協定(三六協定)が結ばれているにもかかわらず、限度を超えた「過酷な長時間労働」が行われているという。

 市民病院の高橋豊管理課長は「申し入れ内容を詳細に把握していないのでコメントは差し控えるが、労基署の調査には真摯(しんし)に対応している」と話した。

◎時間外労働推定187時間

 木元文さんは2015年4月から、医師免許取得後3年目の後期研修医として新潟市民病院に勤務した。15年9月ごろから体の不調を訴え、ことし1月、新潟市内の公園で自殺した。

 木元さんの夫と弁護士は、病院側が提出した資料などを基に木元さんの時間外労働時間を算出。それによると、15年4月~ことし1月の時間外労働時間は月平均で約187時間だった。

 夫らは8月に労災申請し、11月9日には医師の正確な労働時間の把握など、労働環境改善の方向性を示すよう求める申し入れ書を新潟市の篠田昭市長宛てに提出。市は同30日、市長名で「今後も(労働時間の削減を)継続・強化する必要がある」と回答した。



http://answers.ten-navi.com/pharmanews/8397/
「タケプロン」「ムコスタ」「ノルレボ」など候補に…スイッチOTC 新たな仕組みで促進なるか
2016/12/14 Answers News

医療用医薬品を医師の処方箋なしに買える一般用医薬品に転用する、いわゆる「スイッチOTC」。購入額が一定以上となった場合に所得控除の対象となる「セルフメディケーション税制」のスタートを来年1月に控える中、転用を促進するための新たな仕組みが動き出しています。

厚生労働省は12月9日、新たな仕組みの下で転用の候補となる医薬品のリスト第1弾を公表。「タケプロン」などのプロトンポンプ阻害薬や胃炎薬「ムコスタ」、緊急避妊薬「ノルレボ」などがリスト入りしました。

医療費削減や健康増進の観点から必要性が叫ばれながら、一向に拡大しないスイッチOTC。新たな仕組みで、転用は進むのでしょうか。

「セルフメディケーション税制」でスイッチOTC使用推進

2017年1月から、医療費控除の特例として、医療用医薬品を一般用に転用した「スイッチOTC」を一定額以上購入した場合に所得控除を受けられる「セルフメディケーション税制」がスタートします。

セルフメディケーションは世界保健機関(WHO)で「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義され、国は国民の健康増進や医療費削減の観点からこれを推進したい考えです。

セルフメディケーション税制の対象となるのはスイッチOTC。今年10月時点で1525品目あり、厚生労働省のホームページに一覧表が掲載されています。年間購入額が1万2000円を超えた分が、8万8000円を上限に所得控除の対象となります。

例えば、課税所得400万円(所得税率20%)の人がスイッチOTCを年間2万円購入したとすると、1万2000円を超えた分の8000円が課税所得から控除されます。この場合、控除額8000円に20%をかけた1600円が戻ってくる計算です。加えて、住民税も減税されます。

スイッチ候補選定に一般消費者のニーズも

新税制の創設で、国はスイッチOTCの使用を促進したい考えですが、日本ではなかなか転用が進んでいないのが現状です。そこで厚労省は今年度、医療用からの転用を認めるかどうかを決めるプロセスを見直しました。

従来は、日本薬学会が転用が妥当と考えられる医薬品のリストをとりまとめ、厚労省審議会で転用の可否を決めていましたが、今年8月からは学会だけでなく、団体や企業、一般消費者からも広く転用の提案を受け付けるようにしました。さらに、医学・医薬の専門家だけでなく、一般の医療関係者や消費者の代表も参加する検討会議を新設。スイッチOTC化を検討するプロセスに消費者のニーズをはじめとする多様な意見を反映させることで、開発・発売を加速させることにしました。

スイッチの提案の募集は今年8月に開始。厚労省は12月9日、11月までに提案のあったスイッチOTCの候補となる医薬品16成分のリストを初めてホームページ上で公表しました。提案は随時受け付けており、厚労省は定期的に提案のあった医薬品のリストを公表することにしています。今回はその第1弾です。

今回、候補として挙がった医薬品16成分を表にまとめました。「タケプロン」「パリエット」などのプロトンポンプ阻害薬(PPI)や胃炎・胃潰瘍治療薬「ムコスタ」、緊急避妊薬「ノルレボ」などが含まれています。「イミグラン」「アマージ」などの片頭痛治療薬や、ドライアイ治療薬「ヒアレイン」も候補に挙がりました。

スイッチOTCの候補として提案のあった医薬品
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今回、厚労省が公表したスイッチOTCの候補16成分は今後、関係学会や産業界の意見も聞きながら、新設された検討会議で転用の可否が検討されることになります。

スイッチ促進に影落とすエパデール

医療費削減や利便性、健康増進の観点から必要性が叫ばれながら、日本では医療用から一般用へのスイッチがなかなか進んでいません。

従来の仕組みでは、08~15年に22成分のスイッチOTC化が認められましたが、このうち実際にスイッチOTCとして発売されたのはわずか5品目。「ムコスタ」や「ヒアレイン」は従来から候補に挙がっていたにも関わらず、いまだに転用は実現しておらず、今回もまた候補に挙がってきました。

厚労省の研究班が15年に公表したOTC医薬品に関する研究報告書によると。今回候補に入ったPPI「オメプラール」がOTC化されていないのは、日米英独仏豪とニュージーランドの7カ国のうち日本だけ。「ノルレボ」も日本とドイツを除いてOTC化されています。

医師会反対で厳しい販売規制 スイッチの意義骨抜き

スイッチOTCがなかなか進まない日本の現状を象徴する出来事に、日本初の生活習慣病領域のスイッチOTCとして注目を集めた高脂血症治療薬「エパデール」をめぐるゴタゴタが挙げられます。

1999年から医療用医薬品として販売されている「エパデール」は、厚労省審議会での検討を経て、08年スイッチOTC化が了承。これを受けて持田製薬がスイッチOTCを申請しました。

ところが2010年、「生活習慣病領域はスイッチOTC化になじまない」と日本医師会が反対したことで、厚労省は承認を一旦見送り。12年、2年越しでようやく承認されましたが、反対する医師会の意向を受け、販売は「中性脂肪が正常値よりも高いものの、医師からすぐに通院治療を始める必要はない人」に限定。メーカー主催の研修を受けた認定薬剤師のいる店舗でしか販売できないなど、厳しい販売条件が課されました。

医師の診断を受けないと購入できないのでは、スイッチOTC化する意義はほとんどなく、販売も低調に。「エパデール」のスイッチOTCは、持田製薬とライセンス契約を結んだ大正製薬と日水製薬から13年4月に発売されましたが、日水製薬は14年、承認時に義務付けられた適正使用調査の症例を集めることが難しいとして、販売から撤退。現在は大正製薬のみが販売を続けています。

「かかりつけ医の管理下で服用すべき」

日本医師会は「エパデール」の承認をめぐる議論の過程で、

  「スイッチOTCは、自覚症状があって、比較的短期間の服用でそれが改善することが分かって、自分で中止することを判断できるものに限定すべき」

  「生活習慣病は自覚症状がなく、かかりつけ医を中心とした医師の管理下で服用するのが大前提」

  「我が国の医療制度は非常にアクセスがよく、世界に冠たる制度なので、遠慮なくかかりつけ医を受診して相談するのがよい」

といった理由で、生活習慣病治療薬のスイッチOTC化に強く反対。それ以降、スイッチOTCの承認は停滞気味で、「エパデール」の一件はスイッチOTCの促進に大きな影を落としています。

承認プロセスは従来のまま

こうしたこともあってか、政府が14年6月に閣議決定した成長戦略「日本再興戦略」の改訂版には、スイッチOTCを加速するため「産業界・消費者等のより多様な主体からの意見が反映される仕組みを構築」すると明記されました。厚労省がスイッチOTCの候補選定プロセスを見直したのは、こうした政府の方針を受けてのものです。

専門家だけで行われていた転用の可否を検討するプロセスに一般消費者のニーズが反映されることになったのは大きな前進と言えます。しかし、これでスイッチOTCが進むかというと、そうとは言い切れない部分もあります。

厚労省が導入した新たな仕組みでは、転用を認めるかどうかを検討するプロセスこそ広くニーズを集め、透明性を高める仕組みとなったものの、実際に承認の可否を検討するプロセスは従来のまま。専門家や医師会、薬剤師会などが非公開の審議会で審議することになります。

「エパデール」は、スイッチOTCの候補として認められていたにも関わらず、承認の可否をめぐる議論で厳しい販売規制が敷かれ、OTC化の意義が骨抜きにされました。ニーズが大きく、転用が認められたものであっても、承認の過程で「エパデール」と同じようにほとんど売れないような条件が課される可能性は残っています。

医師会が反対する理由も分からないわけではありませんが、薬剤師がしっかり関与すれば医療機関で治療が必要な患者の掘り起こしにもつながることも期待されます。医療費削減の効果や利便性の向上といったメリットも小さくはないはずです。

新たな仕組みでスイッチOTC化は進むのでしょうか。注目が集まります。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50195.html
転換型老健への移行、4割弱が「不満」- 「報酬の評価低い」などの指摘・全老健調査
2016年12月14日 22時00分 CB News

 介護サービスに加え、痰の吸引といった医療的なケアも提供する介護療養型老人保健施設(転換型老健)の4割弱が、療養病床から移行したことに「不満」を感じているとする調査結果を、全国老人保健施設協会(全老健)が明らかにした。満足していない理由としては、「介護報酬の評価が低い」「薬剤費が高くつく」といった指摘があった。【松村秀士】

 厚生労働省は2008年、療養病床の再編を進めるために、転換型老健を創設した。従来型の介護老人保健施設は在宅復帰のための役割が期待されているのに対し、転換型老健では介護サービスのほかに痰の吸引や経管栄養などにも積極的に取り組み、医療的なケアが必要な人を受け入れる役割を担うことが期待されている。11月末現在、転換型老健は全国に約150カ所あるという。

 全老健は今年6月、加盟会員の転換型老健を対象にアンケート調査を実施。47施設から回答を得た。

 療養病床から転換型老健に移行したことについては、「不満がある」と答えた施設が36.2%で、「よかった」と回答した施設も36.2%。「どちらでもない」は23.4%、「回答なし」は4.3%だった。

 不満を感じている施設に理由を聞いたところ、「介護報酬の評価が低い」「診療報酬との連動性がない」「医療的ケアが必要な重度の利用者がいるので、薬剤費が高くつく」「マンパワーが足りない」といった意見が寄せられた。

■療養病床の新類型、4割が「興味なし」

 社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」で、厚労省は、来年度末に廃止期限を迎える介護療養型医療施設(介護療養病床)の転換先と位置付けられた新類型の案として、▽医療機能を内包した施設系サービス(医療内包型) ▽医療を外から提供する、居住スペースと医療機関の併設(医療外付型)―を提示。また、「医療内包型」について、容体が急変するリスクがある人を受け入れる施設と、容体が比較的安定した人を受け入れる施設の2パターンを提案し、検討が進められている。

 調査では、特別部会で検討されている療養病床の新類型について興味があるかどうか聞いたところ、48.9%が「ある」と答えた。一方、40.4%が「ない」と回答し、転換型老健に移行した施設の4割弱が不満を感じながらも、新類型に関心がない施設が4割超あるという状況も明らかになった。

 さらに、新類型の計3パターンの案のうち、どれに興味があるかとの質問では、「容体が急変するリスクがある人を受け入れる医療内包型」が最も多く、全体の50.0%を占めた。次いで多かったのは「容体が比較的安定した人を受け入れる医療内包型」(33.3%)で、「医療外付型」は16.7%だった。



https://www.m3.com/news/general/486031
調剤医療費が8兆円目前に
2016年12月14日 (水) 薬局新聞

調剤医療費が8兆円目前に 厚労省・平成27年調剤医療費の動向で薬剤料の伸長傾向を公表

 調剤医療費は8兆円に迫る状況にあることが厚労省が発表した「平成27年度調剤医療費(電算処理分)の動向」からわかった。対前年比において9.3%の伸びとなっており、直近5年でも突出した伸長傾向を示している。

 平成27年度の調剤医療費は7兆8192億円で前年の7兆1515億円から9.3%伸長した。この伸び率は昨年の2.3%、一昨年の6.1%、3年前の1.2%と比較すると特異的な動向を示したことが窺える。処方箋枚数は8億1912万枚で、前年の8億359万枚から1.9%増加、1枚当たり調剤医療費は9,546円となり、初めて9000円台に突入した。前年比では7.3%の増加となっていることから、1枚当たりの処方箋単価が著しい増加傾向を示したものと判断できそうだ。

 調剤医療費の内訳では技術料が1兆8283億円(対前年比3.4%増)、薬剤料が5兆9783億円(同11.3%増)となっており、技術料はこれまでと同様の伸び幅に留まっているが、薬剤料は2桁伸長となっており、直近5年間は最大で9%増の年があったことを踏まえると、27年は特異的な増加を見せていることが浮き彫りとなった。

 処方箋1枚当たり調剤医療費は9,546円(伸び率7.3%増)で内訳は技術料2,232円(1.4%増)、薬剤料7,299円(9.2%増)、特定保険医療材料料は15円(1.8%増)。

 年齢階級別にみた処方箋1枚当たり調剤医療費の傾向では、年齢が上がるとともに単価は高くなり、75歳以上では11,730円で過去最高となった。その一方、0歳から5歳は3,328円となっており、4倍近い差が生じていることが示された。

 後発医薬品割合の推移および数量ベースの使用割合に関しては、27年度は新指標で60.1%(対前年度比3.7%増)、後発品調剤率は63.1%(2.3%増)となっている。



https://www.m3.com/news/general/486023
高齢者、薬の飲み過ぎ防げ 生活習慣見直し、併用減
2016年12月14日 (水) 毎日新聞社

 病気をいくつも持つ高齢者には、さまざまな種類の薬が処方される。臓器などの働きが低下した高齢者が、多くの薬を一緒に飲むと、意識障害や低血糖など「薬物有害事象」と呼ばれるトラブルを起こしやすい。今年1月には日本老年薬学会が発足し、医療関係者の間で高齢者の多剤併用を見直す取り組みが広がっている。【堀井恵里子】

 ◇意識障害や低血糖招く

 「お父さん、お国はどこ?」。先月14日、在宅療養支援診療所「たかせクリニック」(東京都大田区)の高瀬義昌医師が、区内の男性(83)宅を初めて訪ねた。雑談しながら、処方薬をチェックする。ぜんそくや骨粗しょう症などの薬が10種類、1日3回飲むものもある。高瀬医師は「薬をちょっと調整した方がいいね。1日1回ぐらいに変えていきたいね」と話しかけ、男性の反応を確かめた。

 高齢者は臓器の機能低下に伴い、代謝や排せつといった生理機能も落ちる。肝臓や腎臓の機能が低下すると薬が代謝、排せつされにくくなり、血液中の薬物の濃度が上がる。つまり、若い世代と同じ量を飲むと「飲み過ぎ」のような状態になる。種類も優先順位を付けて必要性を見直すことや、食事や運動など生活習慣の見直しで減らすことができる。

 昨年度、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)でも議論された。同省の資料によると、75歳以上の患者で10~14種類の薬を処方されたのは20・2%、15種類以上も7・1%に上った。「薬を6種類以上飲む高齢者は薬物有害事象が多い」「有害事象には意識障害、低血糖、肝機能障害が多い」などの研究結果もある。

 高瀬医師は約380人の訪問診療をしており、新しい患者では本人の同意を得ながら薬を見直す。この日の男性は、飲み薬から吸入薬への切り替えもして「2~3カ月で6種類ぐらいに減らせるだろう」と考える。1日に飲む回数も減らしていく。また、予防接種を勧めたり、介護サービスの利用状況を確認したりして、重症化の予防にも気を配る。

 複数の病気を持ち、複数の医療機関にかかると、高齢者が抱える問題の全体像も見えにくくなる。そこで処方状況などをチェックする薬剤師の役割が重要だ。

 日本老年薬学会は、高齢者の病気や体の状況を理解し、薬を減らすことを含めた処方の見直しや服薬支援を担う「認定薬剤師制度」を作った。来年秋には200~300人が最初の認定を受ける見込みだ。

 同学会理事を務める大井一弥・鈴鹿医療科学大教授(病態・治療学)は「高齢者が要介護状態になる原因の4分の1が骨折、転倒、衰弱だ。それらの背景には、薬で便秘や食欲不振になって外出しないことによる筋力低下など、多剤併用もあると考えられる。そのような要介護者を増やさないことを目指していきたい」と話す。

 ◇院内、チームで対応

 病院でも、薬を減らす取り組みが始まった。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)は9月、「ポリファーマシー(多剤併用)削減チーム」を作った。医師、薬剤師、看護師のほか栄養士、リハビリにかかわる言語聴覚士といった多職種のメンバーだ。5種類以上を服薬し、同じ薬効の薬の重複投与が2種類以上ある入院患者を対象に、週1回検討する。栄養士は「食物繊維を取ることで下剤を減らせないか」、言語聴覚士は「薬ののみ込みはどうか」などを提案する。

 8月末、脳梗塞(こうそく)の治療後、リハビリのため転院してきた80代の女性は、14種類の薬を1日9回に分けて服薬していた。腎機能の低下が進んでいたため利尿薬を中止し、認知症と判断されていた症状は脳梗塞によるものと分かったため認知症薬をやめた。約3週間で6種類、1日2回まで減らし、多剤併用が原因とみられる抑うつなどの症状も治まったという。入院中は経過観察を続け、この女性は11月上旬に順調に退院した。逆に、血圧の維持ができず、薬を元に戻した例もある。

 退院後は地域の薬局と連携する。近くの薬局向けの説明会を開くほか、どのような理由でどんな薬を減らしたのかという記録を「お薬手帳」に貼り、薬局に引き継いでいる。

 チームの溝神文博薬剤師は「胃の調子が悪いと『薬がほしい』と思う患者もいる。このため、患者にも多剤併用の問題点や薬を減らした理由を説明することが必要だ」と指摘する。



https://www.m3.com/news/general/486039
「認知症の根本治療薬」製品化断念…米製薬大手、臨床試験で効果証明できず
2016年12月14日 (水) 読売新聞

 米製薬大手のイーライリリーは、開発を進めていた軽度アルツハイマー型認知症の新薬「ソラネズマブ」の承認申請を断念したと発表した。

 臨床試験で認知機能の低下を抑える効果を証明できなかった。

 同社によると、臨床試験には2100人超の患者が参加。ソラネズマブの点滴を1年半受けた群と受けない群に分け、認知機能の低下度合いを調べたが、差が見られなかったという。

 アルツハイマー型認知症は、脳に「アミロイドβ」などの異常なたんぱく質が蓄積して起きる。ソラネズマブには、アミロイドβを除去する働きがあるため、認知症の根本治療薬として患者らの期待が高かった。

 認知症に詳しい国立長寿医療研究センターの柳沢勝彦研究所長は「今回は残念な結果だったが、ソラネズマブや他の新薬開発の取り組みが全て否定されたわけではない」と話している。



https://www.m3.com/news/general/485987
「再発防止、適切に実施」 千葉がんセンターに監査委
2016年12月14日 (水) 共同通信社

 腹腔(ふくくう)鏡手術後の患者死亡が相次ぐなど問題が続いた千葉県がんセンター(千葉市)の安全管理体制改善に向け、県が設置した外部の有識者による監査委員会が13日、千葉市で会合を開き「改善策や再発防止策はおおむね適切に実施されている」との報告書をまとめた。

 報告書では、センターについて「患者へのインフォームドコンセント(説明と同意)に関して詳細なマニュアルを備え、説明に用いる文書も事前に審査を受けていて高い水準に達している」などとした。

 一方、各部門に任命されたリスクマネジャーの研修を充実させることなどを課題に挙げた。

 委員会は8月に設置され、がんセンターが先進医療を提供する施設として必要な安全管理基準を満たしているかを調べてきた。委員会は今後、他の県立病院も監査する。

 センターでは、2008~14年に腹腔鏡手術を受けた11人が手術当日から約9カ月後の間に死亡した問題が14年に発覚。県の第三者委員会は昨年7月の最終報告書で「原因究明や再発防止への意欲的な取り組みがなかった」と安全管理体制を批判した。



http://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20161214-OYTNT50245.html
点滴患者死亡受け横浜市 情報提供へ対応強化
2016年12月15日 読売新聞

 横浜市神奈川区の大口病院で点滴投与中の入院患者2人が中毒死した事件を受け、同市は14日の市議会で、外部から情報提供を受けた際の対応策を強化したことを明らかにした。事件や医療事故の恐れがあると判断した場合、臨時の立ち入り検査の実施などを部長級の医師や保健所長ら幹部が検討することにしたという。

 同病院を巡っては、事件が発覚する前の今年7~9月、看護師のエプロンが切り裂かれたり、患者のカルテがなくなったりしたことなどを知らせるメールが4件、電話でも1件あった。だが、所管する市医療安全課は9月2日に立ち入り検査を行うまで病院側に知らせず、病院を受け持つ保健所長らも具体的な内容を共有していなかった。

 市健康安全部の大貫義幸部長は14日の市議会常任委員会で「検査を待たず、メールが届いた段階で病院に確認すべきだった」として対応の不備を認めた。

 市には医療機関に関するメールや電話などによる情報提供が年間約5000件あり、このうち約150件が患者の虐待や無資格診療などを理由に立ち入り検査を求めるものだったという。市は事件の発覚後、こうしたケースについて病院や警察への連絡の必要性などを協議することにしたと説明した。



https://www.m3.com/news/general/486116
兵庫県立病院:最大規模へ 姫路へ新設 県、基本計画案示す /兵庫
2016年12月15日 (木) 毎日新聞社

 県は13日、姫路市に新設する県立病院の整備方針などをまとめた基本計画案を発表した。同市の県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院を統合し、名称は「県立はりま姫路総合医療センター(仮称)」に決定。建設場所をJR姫路駅東側の再開発エリア(同市神屋町)とすることも正式に明らかにした。計画では病床数は740床で、兵庫県立の病院では最大規模となる。2019年度に着工し、22年度上半期のオープンを目指す。【幸長由子、井上元宏】

 ◇病床数740、ヘリポートも

 県立姫路循環器病センターが老朽化し、両病院での医師の確保も困難な状況にあることから、15年に県が統合再編の方針を発表。外部有識者らでつくる「検討委員会」が今年3月、整備候補地や役割などを盛り込んだ最終報告書をまとめ、県が建物の規模や診療機能などの検討を進めてきた。

 基本計画では、新病院は病棟が地上15階建て程度で、屋上にヘリポートを設置。別館には、病院の管理部門や市が誘致を進める「医療系高等教育・研究機関」が入る予定。2棟の延べ床面積は約7万平方メートルになると想定されるという。約300億円と見込まれる整備費は県が負担し、建設用地は姫路市が県に無償貸与する考えを示している。

 診療機能としては、両病院の機能を維持しつつ、重症患者の対応をする3次救急の機能を強化。さらに、利用者の高齢化で呼吸器系疾患の増加が見込まれることから、呼吸器内科・外科を新設する。また、地域周産期母子医療センターも設置され、産科、小児科で妊産婦や新生児患者の重症対応も可能になる。

 両病院の統合に向けた環境作りとして、来年度、地域医療連携推進法人を設置。医師などの人事交流や定期合同カンファレンスを実施するという。また、県は両病院の跡地利用について、姫路市の協力を得ながら製鉄記念広畑病院が担ってきた市南西部地域の医療提供の確保を図り、県立姫路循環器病センターは跡地返還を市と協議するという。

 ◇医療過疎をカバー 会見で知事


 姫路市の2病院の統合再編基本計画について、井戸敏三知事は13日の定例会見で「総合病院の機能をフルに発揮できるようになり、医療過疎の西播磨地域をカバーできる。製鉄記念広畑病院の後継医療機関は民間病院からの引き合いも2、3出ており、調整を進めたい」と話した。

 ◇意見を募集

 県病院局は、姫路市に新設する県立病院の基本計画案について14日からパブリックコメントを募集する。基本計画は県庁ホームページに掲載しているほか、県病院局、各地域の県民情報センターなどで閲覧できる。意見は電子メール、ファクスなどで1月17日まで。詳細は県病院局企画課企画調整班(078・362・3299)。

〔播磨・姫路版〕



https://www.m3.com/news/iryoishin/486139
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
オブジーボ、「最適使用推進ガイドライン」(案)公表
非扁平上皮がん、「PD-1発現率確認」を求める

2016年12月14日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、12月14日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に、オブジーボ(一般名ニボルマブ)の非小細胞肺がんに対する「最適使用推進ガイドライン」(案)を提示した。施設は「外来化学療法加算1もしくは2」の算定施設などに限定するほか、治療の責任を持つ医師については「5年以上のがん治療の臨床研修」などの要件を挙げ、「非扁平上皮がんではPD-1発現率を確認した上で投与の可否を判断することが望ましい」としている(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は、14日に出た意見を踏まえて、ガイドライン案を再検討し、改めて中医協総会に諮る。ガイドラインを踏まえ、保険診療上の取り扱いを記載した留意事項通知を今年度内に出す予定。

12月14日の中医協総会は、2018年度診療報酬改定に向けた議論を開始した。

 オプジーボの販売元である小野薬品工業は、企業の自主的な取り組みとして、「適正使用のお願い」を出している(同社のホームページ)。ガイドライン案はこれがベース。ただし、「適正使用のお願い」後の新たな知見として、非小細胞肺がんのうち扁平上皮がんでは、PD-L1発現率によらず、オプジーボ群では、対照であるドセタキセル群よりも全生存期間が延長するが、非扁平上皮がんの患者ではPD-L1発現率が1%未満の場合には、ドセタキセル群とほぼ同様の全生存期間であることが分かったため、PD-L1発現率の確認が追加した。

 「適正使用のお願い」では、「全例調査における責任医師」として、(1)日本呼吸器学会の専門医、(2)日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医、(3)5年以上のがん化学療法の経験――のいずれかに該当する常勤医としている。一方、ガイドライン案の要件は、2年の初期研修修了後、(4)5年以上のがん治療の臨床研修、うち2年以上はがん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修、(5)4年以上の臨床経験、うち3年以上は呼吸器病学の臨床研修――のいずれかに該当する医師。「専門医」は求めていないが、(4)と(5)の研修は、「日本呼吸器学会もしくは日本臨床腫瘍学会の専門医研修」(厚労省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課)を想定。

 施設要件は、がん診療連携拠点病院、都道府県がん診療拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域診療病院、特定機能病院、都道府県知事が指定するがん診療連携病院、外来化学療法加算1もしくは2の届出施設(2015年7月1日現在2538施設)――のいずれかに該当すること。

 「最適使用推進ガイドライン」(案)について、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、「施設要件は幅広く取っているのに対し、責任医師に専門性を求めて限定している。このやり方により、適切で安全な投薬が可能になると考えている」と評価。投与対象患者についても、「きめ細かな対応をしている。使いたい人に使えないという事態は生じない」と述べた。

 もっとも、全国健康保険協会理事の吉森俊和氏からは、「率直な感想だが、現在の使用状況が具体的にどのように最適化されるかが全く見えない。このガイドラインを満たしていない例がどの程度あるのか。このガイドラインの実効性をどのように担保するのか」との質問が出た。

 厚労省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長の山田雅信氏は、現在でも小野薬品工業が、ガイドライン(案)のかなりの部分について自主的に取り組んでいるとし、「詳しい数値はないが、かなり最適使用に近い状況になっている」と説明。ただし、PD-L1発現率を測定するキットは11月末に承認されたばかりであるため、本測定はこれからだという。

 厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、実効性を担保できるよう留意事項通知を作成すると説明。例えば、非扁平上皮がんの患者ではPD-L1発現率の確認を求めており、その旨をレセプトに記載することなどが想定される。同医療課長の迫井正深氏は、審査支払機関も含め、留意事項通知を出す際に、実効性を高めるために、関係者への周知方法も検討するとした。

 キイトルーダのガイドライン、別途作成
 14日に中医協の議論は、キイトルーダをめぐる議論にも発展。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、まずオプジーボについて「このガイドラインは、今後、効能効果が追加された場合には、随時見直していくのか」と質問。さらに、オプジーボの類似薬に当たるキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)が2017年2月に薬価収載される見通しであることを踏まえ、同薬のガイドライン作成についても質した。

 中山管理官は、効能効果追加の場合には、ガイドラインを改訂していくと回答。迫井課長は、キイトルーダのガイドラインは、オプジーボとは別に現在、作成中であると説明した。

 中川氏は、キイトルーダとオブジーボの使い分けや、キイトルーダの薬価算定の在り方も質問した。キイトルーダは1次治療の適応を持つが、オプジーボには1次治療への適応はない。「非小細胞肺癌で、ファーストライン(1次治療)で抗PD-1抗体を用いる場合には、キイトルーダを使うことになるのか」との質問に対し、中山薬剤管理官はその通りだと回答。迫井課長は、薬価制度改革の議論を進めていることから、キイトルーダの薬価設定の仕方も、この議論に関係してくるため、現時点では回答できないとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/486132
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
薬価の毎年改定、「乖離率大」なら理解、日医
薬価調査の見直し前提、「大切なのは技術料評価」

2016年12月14日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、12月14日の定例記者会見で、薬価と納入価の間の乖離率が「一定幅以上の一部の医薬品」を対象とした薬価の毎年改定については、「一定の理解」ができるとの見解を表明した。ただし、現行の薬価調査では調査に要する関係者の負担が大きいことから、薬価調査の在り方も見直すことが条件とした。

 横倉会長は11月30日の会見では、薬価の毎年改定には反対していた(『薬価の毎年改定、「相当危機感、容認できず」』を参照)。しかし、12月7日の経済財政諮問会議では、毎年改定を軸に、薬価制度改革の基本方針を議論することになった(『「薬価の毎年改定」で一致、「全品か一部か」が焦点』を参照)。「一番大事なのは、技術料を2年の1度の診療報酬改定できちんと引き上げていくこと」と述べ、技術料の引き上げに日医の主張の焦点を充てる一方、薬価制度改革については多少の譲歩を余儀なくされた格好だ。

 経済財政諮問会議で安倍晋三首相は、塩崎恭久厚労相を含む4大臣に対し、基本方針の決定を指示。今週末か来週早々には4大臣会合が開かれ、基本方針が決定する見通し。

 現行制度でも2017年から2020年まで毎年改定
 横倉会長は14日の会見で、改めて薬価と診療報酬は、中央社会保険医療協議会で一体的に議論してきたものの、切り離されて議論されている現状に対し、「大変な問題」と指摘。「イノベーションの推進」と「国民皆保険の持続性」を両立し、医療の質向上を実現するのが、厚生労働省の役割であり、その具体的な検討の場が中医協であると主張した。

 その上で、現行制度でも、2017年2月にはオプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価引き下げが予定されており、2018年4月には診療報酬と介護報酬の同時改定、2019年10月には消費税率10%引き上げに伴う改定、2020年4月には診療報酬改定があり、2017年から2020年まで毎年改定が行われる見込みと説明。

 一方で、横倉会長は、2年に1回、薬価改定が行われているにもかかわらず、薬価が上昇していると指摘。今年11月の日医総研ワーキングペーパーでは、平均薬価が上昇するのは、期中に新薬が収載されたり、製薬企業が新薬の販促に力を入れていると分析しているという。

 薬価の改定財源は、1972年の中医協の建議以来、診療報酬改定財源に充当されてきた経緯があるとし、「歴代の厚労大臣や首相も、充当されるべきと国会で述べている」(横倉会長)。健康保険法上でも、薬剤と診療等は不可分一体のものであることも、本体財源に充当すべき根拠であるとした。

 横倉会長は、総医療費に占める人件費の割合は減少している一方、医薬品や医療材料は上昇しているデータも提示。安倍首相が「働き方改革実現改革」で、2017年における4年連続のベースアップを求めていることを踏まえ、「医療機関には、全国に300万人以上が従事しており、雇用誘発効果が高い。それを支えているのは、診療報酬の技術料」と述べ、改めて技術料の引き上げを求めた。


  1. 2016/12/15(木) 05:50:53|
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