Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月12日 

https://news.biglobe.ne.jp/domestic/1212/mai_161212_3799838111.html
<愛媛・産婦人科医>日本医会が改善指導 3年間で2人死亡
毎日新聞12月12日(月)15時0分

 出産直後の女性が死亡するなど複数の重大事案が起きた愛媛県今治市の産婦人科医院を、日本産婦人科医会の幹部らが11日に訪れて調査を実施し、改善を指導した。医会幹部の立ち入り指導は異例といい、石渡勇・医会常務理事は取材に対し「3年間で母親の死亡事案が2件相次いだことは異常。非常に重く受け止めている」と話している。国内で年間約100万件ある分娩(ぶんべん)の前後に女性が死亡する事故は通常40件程度という。

 医会などによると、同産婦人科は50代の男性医師が1人で診療にあたり、年間130〜140件ほどのお産を手掛けている。「重大医療事故が相次いでいる」という情報が寄せられたことを受け、医会は今年9月、カルテなどの調査に着手。その結果、2009年以降の8年間で2件の死亡事案を含む4件の重大事故が起きていたことが確認された。

 12年には当時30代の女性が出産後に出血が止まらず、市内の県立総合病院への搬送中に死亡。15年には当時30代の別の女性が帝王切開手術後に腹腔(ふくくう)内で大量出血し死亡した。この他、09年に当時30代の女性が麻酔を伴う帝王切開手術の後、脳梗塞(こうそく)になり、半身にまひが残った。16年も出産後の大量出血で当時30代の女性が一時重症となった例があったという。いずれも、生まれた子は無事だった。

 男性医師はこれら4件のうち、15年に起こった死亡事案の概要を医会に報告したのみで、3件については医会に伝えていなかった。医会は詳しい報告を待つスタンスを取り、評価委員会を開くなどの対応はしていなかった。

 医会は11日の調査後、「症状が重篤になる前に別の対応ができた可能性があり、結果的に判断が遅かったことになる」と指摘。血圧や脈拍数などを正確に測ることや、緊急時には速やかに県立病院に搬送する体制を整えることなどを改善点として示した。

 その上で、今後の方針として、来年3月末までに分娩から撤退することを前提に、その後は同産婦人科では34週前後までの妊婦の検診のみ受け付け、分娩は県立の総合病院でしてもらう「セミオープンシステム」を提案した。

 石渡常務理事は「地域の医師間のコミュニケーションが取れておらず、人手不足を補って助け合うことができていなかったことが残念」としている。男性医師は取材に対し「指摘された内容を重く受け止め、改善していかないといけない。提案については前向きに検討する」と述べた。【黒川優、成松秋穂】



http://www.sankei.com/west/news/161212/wst1612120060-n1.html
愛媛・今治の診療所、出産直後の2人死亡 半身不随や出血重症の2人も 50代医師が1人で診療
2016.12.12 22:32 産経WEST

 愛媛県今治市の産婦人科診療所で出産直後の女性2人が死亡するなど医療事故が相次ぎ、日本産婦人科医会が改善のために指導したことが12日、分かった。医会は開業医などで構成する専門団体で、医療機関への直接指導は初めて。診療所は来年3月で出産の扱いをやめるとしている。

 妊産婦の死亡事故は全国で年40件程度。医会によると、診療所の過失の有無は不明だが、現地調査した石渡勇常務理事は「事態を重く受け止めている。どの地域でも安心安全な医療を実現するための取り組みを進めていく」と話した。

 医会などによると、診療所では50代の男性医師が1人で診療に当たり、年130件程度の出産を扱っている。平成24年には出産した女性の出血が止まらず、別の病院に搬送したが死亡。27年には帝王切開を受けた女性が急変し死亡した。

 21年には麻酔して帝王切開した女性が脳梗塞を起こし半身不随に。28年には帝王切開後に出血が止まらず女性が重症となった。いずれも女性は30代で、新生児は無事だったという。

 医会は、診療所では医師の手が足りない上、大学病院まで1時間以上かかるのに急変時の対応に問題があったと判断。緊急時に近隣の総合病院に搬送できる体制を整えるよう指導した。

 診療所は「妊婦の身を第一に考えたい」としており、来年4月以降は妊婦検診のみを受け付ける方針。



http://www.excite.co.jp/News/column_g/20161212/Postseven_474605.html
健保連理事、病院に行かないと薬貰えない仕組みに異議
NEWSポストセブン 2016年12月12日 07時00分 (2016年12月12日 07時33分 更新)

 都内在住の太田和文さん(仮名・67)は2~3週間に一度、バスに40分揺られて隣の区の総合病院に通う生活を3年前から続けている。定年の翌年に受診した人間ドックで糖尿病と高脂血症と診断され、その薬を処方してもらうためだ。太田さんが話す。
 「病院に着いて診察まで2時間以上待たされることもあります。診察が始まっても、医師からは“体調はいかがですか?”や“お変わりありませんか?”という簡単な問診があるだけで、1分ぐらいで終わっちゃう。
 毎回、同じ薬の処方箋を渡された後、病院から通りを一本隔てた調剤薬局に行って、薬を受け取るのにまた20分待たされる。病状に変化があるわけではなく、もらう薬も決まっているのだから“わざわざ病院で診察を受ける意味があるのか?”と、いつも疑問に思っています」
 太田さんは病院に足を運ぶたび、再診料や処方箋料などで1000円近く(3割負担分)を払っているという。さらに薬代約2400円に加え、通院のためのバス代もかかる。
 夫婦2人で月額約20万円の年金収入で暮らす太田さんにとっては、重い負担となっていると嘆く。
「医者に“薬をもらいに来るのが大変だから、まとめて100日分出してよ”と相談したことがあるのですが、“3か月も診断期間が空けば病状が悪化するかもしれませんよ! 副作用も心配だからダメです”と断わられました。
 おカネの問題だけでなく、薬をもらうだけで疲弊して1日が潰れてしまう。どうにかならないものでしょうか」(太田氏)

 長期にわたって使い続ける薬なのに、いちいち医師の診断を受けなければいけないことに、疑問を感じる人は少なくないだろう。
 例えば、降圧剤や糖尿病薬、高脂血症薬などは病状が安定していれば、医師の診断はそれほど重要視されない。病院に行かずとも薬局で継続処方してもらえれば、患者の時間的負担は軽減される。
 慢性的な腰痛治療のための鎮痛剤や湿布、さらにバイアグラなどのED治療薬にも同じことがいえる。特にED治療薬は、毎回医師の診断を受ける“辱め”を回避でき、喜ぶ患者も多いのではないか。
 もっとも、これまではそんな患者側の不満に業界側が耳を傾けることなどなかった。ところが、医療業界の中枢で、同様の疑問が湧き上がってきたのである。

 10月19日、厚労省の中央社会保険医療協議会・総会で、健康保険組合連合会(健保連)理事の幸野庄司氏が、日本医師会副会長の中川俊男氏との議論の中で、こんな爆弾発言をした。
 幸野氏は、「今の薬局は病院の近くに開設され、処方箋を持って薬をもらうだけ。患者から見れば正しい姿と思えない」と薬剤師の権限の弱さに疑問を投げかけ、さらに「なぜ毎回、医師を受診して再診料や処方箋料を取られなければならないのか」と、薬が処方される際に医師が受け取る料金に噛み付いた。“病院に行かないと薬がもらえない”という仕組みに公然と疑問を投げかけたのだ。
 これは2018年度の調剤報酬改定に向けて医師と薬剤師の権利を巡る論争の中での一幕だった。
 医師会が医師を代表する立場なら、健保連は保険料を支払う側であり、患者を代表する立場である。ついに患者側の長年の不満が爆発したのだ。
※週刊ポスト2016年12月23日号



http://news.allabout.co.jp/articles/o/19558/
千葉大医学部生の集団暴行事件に見る「匿名報道」の在り方とは
今西 順一
2016.12.12 All About NEWS

千葉大学医学部生の学生が女性に対する乱暴を働いたということで逮捕され、その後、その場にいた医師も逮捕されました。学生達の被疑事実は集団強姦罪、医師については準強制わいせつ罪と報道されています。

集団強姦罪は、2人以上の集団で女性を強姦した場合に成立する犯罪で、最低4年の懲役刑と定められている大変重い犯罪です。

準強制わいせつ罪は、泥酔してわいせつ行為の被害を受けていることを認識できない状態や抵抗不能な状態の人に対して性的な行為(ただし性行為そのものは除く。この場合は強姦罪になります。)をすることです。この場合は6か月以上10年以下の懲役刑と定められています。まだ捜査段階ですから、彼らが有罪かどうかは分かりません。

匿名か実名か、基準はあるのか?

ところで、日本の場合は、逮捕された被疑者の実名を報道するのが通例となっており(例外もありますが)、マスコミが被疑者の実名を知るのは捜査機関(警察や検察)を介してです。しかし、千葉大の事件では、当初、千葉県警が被疑者の実名公表を控えていました。

警察が実名公表をするか否かの基準を設けているのか、私は知りません。ただ、肌感覚として、警察官が逮捕された場合は実名公表が通常よりも少ないように感じており、身内には甘いのかななどと思っています。

一方、捜査機関にせよ、ここから情報提供を受けるマスコミにせよ、本当に被疑者の実名を公表することが必要なことなのか、というのは一弁護士として感じるところがあります。

この点、裁判例は、被疑者にもプライバシー権や名誉といった法的に保護すべき権利や利益があることを認めつつも、犯罪報道が公共の利害に関するものであることを理由に実名公表を容認する傾向にあります。つまり、実名公表をしても違法ではないと判断している裁判例が多いということです(もっとも、不正確な報道をした場合等には違法であると評価されたりします)。

「実名公表」について議論はあるべき

実名公表については、様々な議論があり、事件の態様も色々で十把一絡げに言うことはできないところもあるのですが、とはいえ、例えば、東京都の〇×というビルで殺人事件が発生しました、というニュースを報道するにあたって、被疑者の名前、年齢、性別、職業、住所まで報道することがどのような公共の利害に関わっているのか、もう少し考え直してもよさそうです。ニュースを見聞きした人は、せいぜい、被疑者の年齢、性別と事件のあらましの情報を得ることができれば、犯罪の内容についてある程度イメージを持てるのではないでしょうか。

そうすると、むしろ、匿名が原則で実名公表が例外というのが適切な公表の在り方ではないかと感じています。もちろん、例外をどの程度認めていくかは様々な議論があって然るべきだと思います。

千葉大の事件に話を戻すと、警察が当初何らかの意図で実名を公表していなかったことは明らかのように思います。

ただ、他の事件では実名公表しているから、今回も実名公表しろということではなく、むしろ、今回の事件をきっかけとして、原則匿名にすべきでないかという議論も出てきていいのではないかと感じているところです。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1212505929/
出生前検査で指針違反、日産婦学会が医師3人を処分〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.12.12 13:50

 妊婦から採血して胎児の染色体の病気の可能性を調べる新型出生前検査を、大阪府の病院など3施設が日本産科婦人科学会の指針に反してあっせんした問題で、日産婦は10日、男性医師1人をけん責処分、男性医師2人を厳重注意とした。

 新型検査は、日本医学会が認定した77病院のみで実施が認められている。認定には妊婦に適切な情報を伝え、心理面で支援する遺伝カウンセリングの体制整備など日産婦の指針順守が条件となるが、守っていなかった。

 けん責処分を受けた医師は、指針順守を確約する誓約書などを提出しなかったため、他の2医師より重い処分となった。

(2016年12月12日 読売新聞)



https://www.m3.com/clinical/news/484673
免許更新で「要認知症診断」100倍に?!【JSDR 2016】
2017年春、改正道交法でさらに変わる認知症の取扱い◆Vol. 1

m3.com編集部2016年12月12日 (月)

 高齢運転者による交通死亡事故のニュースが連日のように報道され、高齢者の自動車運転への関心が高まっている。そんな中、2017年3月に施行予定の改正道路交通法では高齢者の認知機能検査の要件が強化される。全交通事故件数 が減少し続ける中、高齢運転者による事故件数は相対的に増加しており、高齢者の運転に関する規制強化は避けられない情勢だが、それに伴う課題も多いようだ。特に法改正により、運転免許更新時に認知症に関する診断書が必要となる人の数が、現在の年平均で数百人から4万-5万人と100倍近くに増えるのではとの見方を示す専門家もいる。東京都で開催された第35回日本認知症学会学術集会(JSDR 2016、12月1-3日)での大阪大学大学院医学系研究科精神医学講座教授の池田学氏のプレナリーセッションと、独自取材による認知症と自動車運転の最新動向を紹介する。全3回。(まとめ:m3.com編集部 坂口 恵)

道交法上の認知症、これまでの取り扱いは?

 池田氏によると、道交法に認知症に関する条項が初めて記載されたのは2001年。当時の改正では精神病とてんかんが絶対的欠格事由から相対的欠格事由に要件が緩和され、新たに認知症と睡眠障害が運転に支障を来す恐れのある疾患や病状として個別の判断を求め、免許更新時の病状申告書の提出を義務付けた。

 2009年改正の現行法では70-74歳で運転免許更新時の高齢者講習受講、ならびに75歳以上の運転者への認知機能スクリーニング(講習予備検査)を義務化。ここで「認知症の恐れがある者」に分類され、なおかつ一定期間内に信号無視などの一定の違反行為があった場合、医師の診断(臨時適性検査)を義務付けた。

 この違反行為は75歳以上の高齢運転者約1600人を対象とした検討で「認知症の恐れがあると考えられた人の運転行動の主要な5つの特徴(信号無視、交差点走行不適、道路変更不適、一時不停止、加速不良)」に基づき選定された15の「基準行為」として示されている(2008年日本認知症学会「警察庁からのお知らせとお願いについて」)。その後、2013年には病状申告書の虚偽記載への罰則規定が、2014年には医師の任意通報制度に関する規定が新たに追加された。

 2017年3月の改正法では、75歳以降の免許更新時のスクリーニングで「認知症の恐れあり」と判定された人の全てが違反や事故の有無に関わらず、医師の「臨時適性検査」の対象となる。認知症に関する記載が強化されてきた背景として池田氏は「他の疾患と異なり、病識が乏しくなっている認知症患者は、本人に悪意がなくても、自ら病状を申告することが困難なことがある」と話す。

法改正による実地臨床への影響は

 今回の法改正に伴い、免許更新時に医師による「臨時適性検査」の対象となる75歳以上の運転者の数は現在の年間平均200-300件から、4万-5万件以上に増加するのではとも考えられている(警察庁交通局運転免許課2015年10月13日都道府県・指定都市認知症施策担当者会議「道交法の一部改正について」)。国内の認知症専門医の数は約2000人。法改正により専門医への受診が激増する可能性もある。

 これにより、池田氏をはじめ、実地臨床医が懸念するのは「認知症診療における患者と医師の信頼関係構築が困難になること」だ。「認知症診療の基本は早期診断・早期治療。診断書を公安委員会に提出することで、初期の段階で運転免許という日常生活の手段が奪われることは適切な認知症治療そのものを危うくする」との指摘もある。

 さらに「認知症が進行した場合、運転は不可能になることは自明。しかし、実はごく軽度の認知症と自動車運転能力の関連は明らかでなく、認知症治療薬使用と自動車運転に関するエビデンスもほとんどない」と池田氏。認知症と一口に言っても、背景疾患や運転に与える影響はさまざまだ。

 道交法上の医師の診断書は、認知症に該当するか否かの判断に関する意見を公安委員会に提供する位置付けで、最終的な免許更新の可否は公安委員会が判定する仕組みとなっている。また、一部の認知症について医師が「6カ月以内に回復の見込みあり」と診断した場合には、この間に免許の保留・停止を行い適性検査や診断書の提出を再度行うことなどを求める但し書きもある。

 しかし、実際は個別の認知症の状態はあまり考慮されず、認知症の診断書のみで免許停止の判断が行われているとの指摘もある。池田氏は「一部の認知症専門医は、こうした診断書を作成した経験もある程度あり、患者や家族からの不満を受け止める立場からは逃れられないことを承知していると思う。しかし、地域医療を担う医師にとっては、臨時適性検査のために患者や家族との信頼関係が築けなくなることは大変な事態と考えている」と話す。



http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50324
医療・健康・食週刊現代日本
医者と病院と製薬会社だけがボロ儲け!「薬価の闇」をえぐり出す
こんな異常な国は日本だけ

週刊現代 講談社 2016.12.12

普段何気なく飲んでいる薬の値段は、誰がどのようにして決めているかご存知だろうか。実は患者のことなんか考えていない。そこにあるのは自分たちの利益だけーー日本の「薬価の闇」をえぐり出す。

上昌広 (かみ・まさひろ)
93年東京大学医学部卒業。国立がん研究センターなどを経て、現在は医療ガバナンス研究所・理事長を務める
川口恭 (かわぐち・やすし)
93年京都大学卒業後、朝日新聞社入社。'04年に独立し、医療専門誌『ロハス・メディカル』を創刊
中医協というブラックBOX

上 日本は世界の中でもっとも薬の値段が高い国の一つです。それはなぜか。簡単に言ってしまえば、日本の薬価は一部の人間が「適当」に決めているからです。この一部とは厚生労働省が管轄する「中央社会保険医療協議会」(中医協)のこと。

中医協は、厚労省の役人や医師、公益委員など合計20~30名ほどで構成されている。この中医協という組織は、先進国の中でも日本だけの特殊なものです。

川口 アメリカでもイギリスでも、薬の値段は製薬会社が決めています。その値段で買うか買わないかは、保険会社や「NHS」(国民保険サービス)に入っている保険者次第で、値引きもあります。

上 ところが日本は中医協という一つの組織にしか決定権がなく、医療の現場を知らない中央官庁の職員が薬価を決めているのです。中医協は非常に狭い「村社会」で、医療業界の利益を確保することを第一に考えている。

中医協が決めているのは薬価だけではない。診療報酬も彼らが決めている。たとえば、心臓マッサージを30分間施した場合の診療報酬は2500円ですが、風邪の診療報酬は4000円に設定されている。生死がかかる治療のほうが安くて、3分で終わらせる診察のほうが高いなんて、おかしいと思いませんか。

川口 そうですね。日本の医療の問題点は、大切な医療費が中医協という閉鎖的な空間で決まり、「ブラックBOX化」していることです。

上 その問題を浮き彫りにしたのが、最近話題の「夢の抗がん剤」と呼ばれるオプジーボ(小野薬品・製品名はニボルマブ)。オプジーボが問題視されたのは、年間3500万円というあまりに高額な薬価です。

先頃、中医協は「薬価の改定は2年に一度」という規定を前倒しし、来年2月に50%の引き下げを決定しましたが、これを英断などと持ち上げてはいけない。50%下げてなお、イギリスでの値段よりまだ2倍以上高い。異常な事です。

川口 元々日本のオプジーボの値段は、100mg当たり約73万円であるのに対し、米国では約30万円、英国では約14万円。同じ薬なのに日本は明らかに高すぎでした。

上 もちろん最初にこの値段を決めたのも中医協です。ではなぜ、そんな高額な値段を付けたのか。

元々オプジーボは、悪性黒色腫(メラノーマ・皮膚がん)に対してしか効果が認められておらず、適応患者数が600人と少なかった。だから高額な薬価を認めたのです。ところがその後、肺がん(約6万人)にも適応され、腎臓がんにも範囲が広がったことで、適応患者の数が当初より遥かに増加した。

それらすべてを保険で賄おうとすると医療費が膨大に膨れ上がり、国が破綻してしまうため、問題になったのです。

医者は「薬価差益」で儲ける

川口 オプジーボは、承認されたがんに対して高額療養費制度が使えるので、自己負担は年間100万円ほど。そのため患者さんは「本当の薬」の値段にはあまり興味が持てないのかもしれません。

しかし、残りの3400万円は、我々国民が納めている健康保険料や税金から支払われているのを忘れてはなりません。

上 病院や製薬会社からすれば、薬価を下げることはできるだけ避けたい。一人の患者にオプジーボを投与するだけで年間3500万円が入るわけですからね。まさにボロ儲けですよ。

川口 日本のGDPは'97年の523兆円がピークで、それ以降は下回り続けている。ところが医療費は増え続けています。'97年の医療費は29兆円であったのが、'15年は41.5兆円にまで膨れ上がっている。

他業界の人たちの給料は減っているのに、公的保険で強制的におカネを吸い上げている医療業界だけが「お手盛りで医療費を膨らましていいのか」ということです。

中医協の仕組みは、人口や経済が右肩上がりの時に、パイの奪い合いを調整する場として作られたものです。それを今の時代に採用し続ける神経が私には分かりません。

上 医者も高い薬を出せば薬価差益(薬の仕入れ値に病院の利益を上乗せすること。オプジーボは7~8%)が増えるので、当然値段が高い薬を出したがる。そうなるとますます、医療費がかさみ、国民皆保険制度自体が崩壊する危険性があります。

川口 実は、今回のオプジーボに関しては、本当は特例を使わなくとも、もっと早くに値下げをすることができました。

今年の2月の段階で悪性黒色腫に対する使用量が2.25倍に増えたんです。使用量が増えると薬価を再計算するというルールがあります。そのルールに当てはめると55.6%引き下げることが可能でした。にもかかわらず、なぜこの段階まで引き伸ばし、特別ルールで薬価を引き下げたのか。全く理解できません。

上 それは、彼らが何とかして自分たちの利益を守りたかったからでしょう。しかし世論の反発が大きくなったから、慌てて引き下げたのです。

川口 中医協が定める「薬の値段のつけ方」には、いくつか方法があります。たとえば今回のオプジーボのように「原価積み上げ方式」といって、新薬の開発にかかったコストに対して薬価を決めるやり方です。

上 よく薬価を高く付けるのは「製薬会社が新薬開発にかかったコストを回収するため」「そうしないと誰も新薬を開発しなくなる」と言いますが、原価を積み上げて薬価を決めるのは難しい。

なぜならメガファーマ(巨大製薬会社)が、ベンチャー企業を買収して新薬の権利を手に入れるので、開発費を厳密に計算することなんてできないのです。

川口 確かにそうですね。オプジーボを開発した小野薬品もアメリカのベンチャー(後に大手製薬会社BMSが買収)との共同開発ですからね。

他には「類似薬価方式」といって、同じような薬と比較して、決める方法もあります。しかし元々日本の薬価水準は高いので、のちに続く薬も高くなりがちです。

また外国平均価格を参照する際に、非常に薬価の高い米国薬(一部の薬)に引っ張られて、おかしな値付けになってしまう。

上 でもなぜか中医協はそれを疑問に思っていない。オプジーボが高すぎることは、医療関係者なら誰もが最初から分かっていたはずです。

医療費こそが既得権益

川口 現在はオプジーボばかりが注目されていますが、日本は他の抗がん剤や生活習慣病薬なども高い。もっと費用対効果を考えて値付けするべきです。

上 中医協だけで決めている限り、それは難しいと思う。基本的に競争がないと値段は下がりません。

その点、アメリカは、製薬メーカーが何とかして使ってもらうために価格を下げます。アメリカで、オプジーボの値段が下がったのも対抗薬のキートルーダ(メルク社)が出てきたからです。

特にジェネリック(後発薬)はどんな企業でも参入することが可能なので、競争原理が働き価格は自然と下がる。

しかし日本では全ての値段を中医協が決めてしまうので、ジェネリックも海外より高い。アメリカのように「マーケット」が値段を決めればこんなことにはならないのですが……厚労省も中医協も製薬メーカーに便宜を図って値段を決めている。当たり前ですよね。大事な天下り先なんですから。

川口 アメリカには「サンシャイン法」と呼ばれる「医師への利益供与の情報公開制度」がありますが、日本では製薬会社の任意に留まっています。何しろ公文書の公開ですらちゃんとされないのがこの国ですから。

都合の悪いことは隠す。結局、意思決定者が分からなくなり、後から責任を追及できず、そのツケに苦しむことになる。

上 問題なのは追及しようとする姿勢すらないことですよ。本来、大臣は役人の擁護者ではなくて国民の代わりの「監視者」です。今回のオプジーボのように、払わなくてもいい多額のカネを国民が負担させられている。そのことをちゃんと問題にすべきです。

実は、国が価格統制しない医療分野は伸びる傾向があります。顕著なのが不妊治療です。不妊治療は成功報酬で、ローン商品もある。出産にかかる費用を高所得者からは多くとって、低所得の人からは少ししかとらない病院もあります。

川口 価格統制されている限り、医療産業は世界で戦えないでしょう。

上 すべての値段を決めようとするからおかしくなるのです。市場に任せて、低所得者を救済すればいい。

川口 それをしないのは厚労省としては、価格統制しないと国民皆保険制度を維持できないと考えているからでしょうね。彼らにすれば「善意」でもあるのでしょう。しかし現実には害を及ぼしている。「タチの悪い善意」ですよ。

上 多くの人は、肺がんになってオプジーボを使う可能性より、介護を受ける可能性が高い。もちろん肺がん患者を救うことは大切なことですが、1500億円ものカネがぶち込まれていることに、もっと怒ったほうがいい。

川口 健康保険組合は健康な人たちの代弁もしなければいけません。けれどもその声が小さすぎます。

今回の日本のオプジーボのケースは、メディアが薬価問題を取り上げたことが値段の改定につながりました。

上 ただ大手の新聞は取り上げなかった。テレビもそうです。それは製薬会社から広告料が入っているからでしょう。川口さんが発行する『ロハス・メディカル』にはその縛りがないから、厳しいことも書いている。

川口 もう一つ見逃せない問題は、国の予算は国会で審議されなければならないのに「新薬の薬価は予算の枠外」になっていることです。

新薬で増えた分の費用を、国は無条件で払わなければいけません。その増えた分を、2年に一度の診療報酬改定の際に、既得権益として医療費に組み込んでしまうのです。これでは国民の知らない間に医療費が膨れ上がるのは当然です。こんな制度は即刻やめるべきです。

上 さらにオプジーボの場合、日本臨床腫瘍学会の専門医しか処方することができないのも問題です。その学会は実は国立がん研究センターの組織で、国立がん研究センターは厚労省そのものです。

自分たちで薬価を決め、自分たちの息がかかった専門医しか処方できないようにしているんです。彼らからすれば「自分たちが責任を持たなければいけない」という正義感なのかもしれませんが、これは利益の独占です。

本来ならもっと健康保険組合が追及しなければならない。彼らは国民の代理人なんですから。

中国人にカネが流れている

川口 今、中国は大気汚染のために「肺がん患者が増加している」と言われています。そこで日本に移住して健康保険に加入し、オプジーボを使おうとしている中国人もいると聞きますよ。

上 健康保険制度は外国籍でも住民票さえあれば加入することができますからね。その制度を利用し、オプジーボを使っているとすると、これは大問題ですよ。国庫からどんどんカネが流れ出ていることになる。

川口 国民の代表であるはずの健康保険組合が、ここまで医者や製薬会社の「カモ」にされていることは情けない限りです。

上「あと5年で日本の医療制度は破綻する」という話もありますが、私からすれば「もう破綻している」。

今後、一番資金が必要になるのは高齢者介護の分野です。しかしそこに全然、カネが回っていない。

川口 それどころか、どんどん高齢者介護の予算は削られています。

上 それは儲からないからです。介護は一人一人違うので手間の割に、利幅が薄い。一番儲かるのは、ある病気の患者さんだけに特定して、薬を高く売ること。それが根拠のない薬価に繋がっている。しかもそれを2年間改定しないのは、どう考えてもおかしい。

川口 そこに国民目線はまったくありませんね。

上 一番大切なのは、高齢者になってもきちんと医療を受けられて、日常生活を過ごせることです。

薬の値段は、今後も勝手に決められていきます。もっと国民が国や医療業界の動向に注意して、監視していくしかない。

川口 未来ある子供や孫たちも、しっかり医療を受けられるように、皆が危機意識を共有する必要があると思います。

「週刊現代」2016年12月3日号より



http://www.medwatch.jp/?p=11519
地域医療に配慮した、専門医制度の「新整備指針」案を大筋で了承―日本専門医機構
2016年12月12日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 新たな専門医制度においては、各学会と日本専門医機構が対等な立場で役割分担する。また地域の意思偏在を助長しないよう、必要な場合には「指導医がいない病院でも関連施設」として専門医養成プログラムの参加を可能とする。さらに、専門医養成プログラムの認証にあたっては「都道府県の協議会」と必ず協議を行うこととする―。

 日本専門医機構の理事会は9日、こういった内容を盛り込んだ「専門医制度の新整備指針」案を大筋で了承しました。

 16日開催予定の社員総会での了承を経て、各学会・基本領域で「運用細則」や「整備基準」を定め、来年(2017年)4-5月にかけて専門医養成プログラムの認証を行い、6月から専攻医の募集を開始することになりそうです。

専門医養成プログラム認証にあたって、機構と都道府県協議会で必ず協議

 新専門医制度については、当初、来年(2017年)4月から養成が開始される予定でしたが、「地域・診療科における医師偏在が助長する」との指摘を受け、全面スタートを1年延期(18年4月から)。その間に、さまざまな課題を解決することになっています。

 その一環として、専門医の認定や養成プログラムの認証を統一医的基準で行う日本専門医機構医療は、専門医制度の骨格となる「整備指針」の改訂論議を行ってきました。論議の過程では「地域医療への配慮が十分でない」といった指摘が日本医師会や全国自治体病院協議会などからなされ、一時は「再延長」の可能性も出ましたが、今般、「新整備指針」案が理事会で合意されました。

 9日の理事会終了後に記者会見を行った吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)と山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は、現在の整備指針を次のように見直すことを説明しています。

▼「学会の専門医」ではなく、「その領域を担当する学会が専門医制度を運用する」ことを明示する(学会が運用する制度について、機構が対等の立場で指導・助言する)

▼専門医養成プログラムについて、学術的な観点から各学会が1次審査を行い、機構が整備指針などに則ったものになっているかを2次審査で検証する

▼基本領域の学会とサブスペシャリティ学会が検討委員会を設け、そこでサブスペシャリティ専門医の在り方や運用を議論し、それに対して機構が助言・審査を行う

▼専攻医の都市部集中などを避けるなど、医師偏在を助長しないように努めることを明示する(仮に偏在助長が明らかになった場合には、機構が対応する)

▼基本領域においてはプログラム制(カリキュラムの内容を、年次毎に定められた一定のプログラムに則って履修する仕組み)を原則とするが、カリキュラム制(カリキュラム基準を充足した時点で、専門医試験の受験を可能とする仕組み。何年かかってもよい)を採用してもよい。サブスペシャリティ領域では、いずれを採用してもよい

▼研修施設群(原則として1つの基幹施設と、1つ以上の連携施設などで構成するが、柔軟なバリエーションを認める)を設け、そこで循環型の研修を行う(専攻医は基幹施設には6か月以上、連携施設などには3が月以上在籍することが原則だが、領域や地域によって弾力的な運用を可能とする)

▼専攻医の採用は、基幹施設、連携施設などのいずれでもよいが、専攻医の管理を行うため基幹施設で「登録」を行う

▼「基幹施設は、大学病院に限定されず、適切な基準を満たす施設である」旨を明記し

▼研修を行う施設(基幹施設、連携施設)には指導医の在籍が必要であるが、プログラム全体として「指導医がいないが、その施設での研修が必要」と判断される場合には、当該施設を「関連施設」(仮称、連携施設に準ずる施設)として研修施設群に入れることを可能とする

▼プログラムを機構で認証するに当たっては、事前に必ず都道府県の協議会(地域医療関係者を含める)と協議を行い、地域医療に配慮する

▼医師免許取得後(医学部卒後)5年を経過した時点で、基本領域の専門医資格を取得できることとする

▼初期臨床研修で研修した症例などを基本領域で、基本領域部分で研修した症例などをサブスペシャリティ領域でカウントすることを可能とし、シームレスな研修を目指す

▼定数については今後、検討するが、「1指導医あたり3名の専攻医」を原則とする

▼出産や留学などで研修を中断した専攻医について配慮を行う(再開した場合に、中断前部分からの継続を認めるなど)

▼ダブルボードを可能とするため、必ず「1つ基本領域の専門医を取得してから、別の基本領域の研修を受ける」とするのでなく、複数の基本領域で連動した研修を行うことも可能とする

 こうした見直し内容は、前述した日医や全自病らの要望も踏まえたもので、日医の副会長でもある機構の松原謙二副理事長は「すべて盛り込まれた」ことを明確にしています。

 また吉村理事長は、「12月16日の社員総会で了承された場合」の今後のスケジュールについて、
▽各基本領域で「運用細則」の策定を行い、機構の理事会でそれを確定する(年明け1月)
▽運用細則に沿って、各領域でプログラムの整備基準を定める
▽各領域でプログラムの1次審査を行う(2-3月)
▽各プログラムについて機構と都道府県協議会との間で協議を行い、機構で2次審査を行う(4-5月)
▽各プログラムが専攻医の募集を開始(6月)
▽新専門医の養成を全面スタートする(2018年4月)
―という大枠を発表しています。

 なお、山下副理事長は、指導医が在籍しない「関連施設」について、「教育のためにどうしても必要な場合、その合理的な理由を明示してもらい、学会と機構で判断することになる」とし、「無制限に関連施設を認める」ものではないことを強調しています。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1212505932/
医療消費税問題「10%までに」〔CBnews〕
17年度与党税制改正大綱

CBnews | 2016.12.12 12:59

 自民・公明両党は8日、2017年度の与党税制改正大綱を決定した。医療に関する税制としては、社会保険診療に対する消費税が非課税であることから生じている控除対象外消費税問題について、検討事項の中に、消費税率が10%に引き上げられるまでに結論を得ることなどを盛り込んだ。

 控除対象外消費税については、16年度大綱の検討事項で「17年度税制改正に際し、総合的に検討し、結論を得る」などと明記されたが、政府が消費税率10%への引き上げを19年10月まで延期することを決めたことから、状況が大きく変わった。

 医療界は控除対象外消費税が、医療機関の経営を圧迫しているとして、早期の対応を求めているが、政府・与党の問題解決に向けた動きはほとんど見られない。

(2016年12月9日 君塚靖・CBnews)



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54935/Default.aspx
中医協・薬価専門部会 毎年薬価改定実施で産業構造転換に危機感
2016/12/12 03:52 ミクスオンライン

中医協薬価専門部会が12月9日開かれ、年内にも策定される薬価制度抜本改革の基本方針策定について、日米欧製3団体と日本医薬品卸売業連合会(卸連)のヒアリングを行った。薬価の毎年改定が焦点となっているが、12月7日開催された経済財政諮問会議では、毎年改定など薬価制度の抜本的改革を通じ、産業構造の転換の必要性が指摘されていた。この日の中医協では、日本ジェネリック製薬協会の吉田逸郎会長(東和薬品社長)が「特に後発品企業は壊滅的となる」と述べるなど、業界側から危機感を示す声があがった。厚労省側は、こうした業界の意見を吸い上げ、塩崎厚労相が今週中にも開かれる麻生財務相、菅官房長官、石原経済・財政相の4大臣との会合に臨む。官邸では、基本方針策定後は、できるだけ早期の実施を求める声があがっており、基本方針策定後の2017年度中にも薬価の毎年改定が導入される可能性も高まっている。

先週7日に開かれた経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)では、薬価の毎年改定の導入は避けられない状勢となり、改定の対象範囲が焦点となった。諮問会議の民間議員が全品を対象にした薬価調査と、それに基づいた薬価改定を求めた。これに対し、厚労省側は、全品を対象とした上で、効能効果の追加などで当初の予想販売額を上回る医薬品や、後発医薬品など市場実勢価格と薬価の乖離率が大きい製品を洗い出すなど、一定の水準や要件を定めた上で、薬価を引き下げる考えを示している。また、薬価制度改革を通じた産業構造の転換の必要性も指摘された。塩崎厚労相が提出した資料でも、先発メーカーにはより高い創薬力を、ジェネリックメーカーには規模の拡大を念頭に置いた市場の競争促進を求めている。特に、後発品と長期収載品をめぐるビジネスモデルは、大きな転換を求められることが想定される。

◎GE薬協・吉田会長「後発品企業は壊滅的になる」

この日の中医協では、日本製薬団体連合会(日薬連)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の3団体が共同で意見陳述を行った。日薬連の多田正世会長(大日本住友製薬社長)は、薬価の毎年全面改定について、「企業の競争力を一様に弱体化させるとともに、国の成長戦略に反する」と指摘。「イノベーション創出や医薬品の安定供給等、保険医療に貢献する医薬品の提供に重大な支障を及ぼすことになる」と述べ、断固反対の姿勢を示した。「ルールを前提として投資、人の配置、採用を進める。毎年改定は経営の前提条件が変わるということにつながる」と述べ、企業経営の観点から予見性を損なう施策の導入に反発した。

一方、GE薬協の吉田会長は、1983~86年にかけて4年連続薬価改定が実施された際に、最大の打撃を受けたのは後発品中心のメーカーだったと説明。「万が一、毎年改定となれば製薬企業の中でも特に、後発品企業は壊滅的となる。後発品の使用促進が停滞し、安定供給の責任が果たせなくなる」と述べ、毎年改定の導入に強い反対の姿勢を示した。

◎日薬連・多田会長 効追による市場拡大製品の薬価引き下げに理解

薬価改定の対象範囲について日薬連の多田会長は、「非常に不合理な部分にはいまの薬価制度には残っている。大きく原価が下がるような行動があったときには下げるべきというのが、もはや我々の基本スタンスとなっている」と述べ、効能追加などで市場規模が拡大された製品の薬価引下げについては容認する姿勢を示した。

一方で、EFPIAのオーレ・ムルスコウ・ベック副会長(ノボ ノルディスク ファーマ)は、「効能追加のためには、追加的に臨床試験を実施する必要がある。追加的な投資が必要」と指摘。薬価の引下げにより必要な患者に医薬品を届けられない可能性を指摘し、「患者のためにならない」と主張した。

そのほか、論点の一つに外国平均価格調整があがっており、この日も米国の薬価の取り扱いをめぐり議論があった。現状の薬価制度では、米、英、独、仏の価格を参照している。ただ、米国の薬価が市場実勢価格ではなく、これを含めることで日本の薬価が相対的に上昇するとの懸念がもたれている。 日本製薬工業協会(製薬協)の畑中好彦会長(アステラス製薬代表取締役社長CEO)は、米国は世界最大の市場であるとした上で、「最大市場の価格を全く無視される時には慎重に議論をお願いしたい」と述べた。その上で市場実勢価格を把握することの必要性を強調。「何らかの反映させる良い方法が見つからないということであれば、外していくという方向性も議論に委ねていきたい」と述べた。

◎卸連・鈴木会長 高仕切価で厳しい交渉に「医薬品の安定供給に支障も」 調整幅も俎上に

一方、卸連の鈴木賢会長(バイタルネット会長)は、「流通改善に逆行し、医薬品の安定供給に支障を生じかねない毎年改定には、断固反対する」と主張した。薬価の引下げスピードを抑制するために高仕切り価が製薬企業から設定される一方で、医療機関側からは、薬価改定前の現行薬価差率で要求される可能性を指摘。「極めて厳しい価格交渉が行われることが見込まれる」と主張。さらに、新たな薬価に基づく価格交渉を短期間で行うことが求められることから、「総価取引が拡大し、単品単価取引はさらに後退する」などと主張した。

診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)も、医薬品の安定供給に必要な流通経費の確保の必要性を指摘。「交渉を妥結した上で下がらないことが起きる可能性が高い。そういった手間が増えることについては結果的にプラスにならない」と述べた。

現在、流通の安定性を図るために、市場実勢価格に2%の調整幅を持たせて薬価を決めているが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「改定頻度を変えるときに調整幅が妥当かどうかも議論の中に入ってくるのではないか」と指摘した。診療側の松原委員も「もともと医療機関では残薬が出る。2%で対応できないので、もっと高く評価していただきたい」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/485338
高知医療センターが事故2件公表 吸入薬を注射し一時心肺停止
2016年12月12日 (月) 高知新聞

 高知医療センター(高知市)は12月9日、2016年7月に投薬ミスなどで患者が一時心肺停止となる医療事故が2件あった、と公表した。2件とも患者に後遺症などはないという。高知県・高知市病院企業団議会の議員協議会で吉川清志院長が報告した。

 報告によると、1件は入院中の70代女性に対し、肺治療のため吸入で投与する予定の抗菌剤を、看護師が誤って静脈注射で投与。一時心肺停止となった女性は心肺蘇生を行うなどして回復したが、処置の際に肋骨(ろっこつ)が折れた。

 高知医療センターでは、薬剤の投与方法は医師が電子カルテに記入して指示。電子カルテには「吸入」の指示が記入できないシステムになっており、吸入の場合はいったん「注射」と記入し、コメント欄で吸入を指示することが慣例となっていた。看護師は別病棟から異動してきており、この慣例が徹底できていなかったという。

 吉川院長は「医療者間のコミュニケーション不足から生じた。与薬業務の手順順守と確認を徹底する」と説明。現在はシステムを改善し、「吸入」も指示できるようになっている。

 もう1件は、70代の男性患者に胆管と膵(すい)管の内視鏡検査を行う際、鎮静剤プロポフォールを投与。患者が動くなどして効きが悪かったため投与量を増やした結果、心拍数が低下して一時心肺停止となった。事故を受け、プロポフォールを使用する場合は麻酔科医が立ち会うように変更。呼吸の状態を把握するモニタリング機器も導入したという。

 吉川院長はこの他、体に影響がない事例も含めた上半期の事故は計1259件で、前年比で124件増えたと報告した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/484242
シリーズ: 2016年度マッチングに対する全国医学部生アンケート
初期研修先、女性は大学病院を選ぶ傾向◆Vol.2
大学病院「たすきがけが魅力」、市中病院「視野広げるため」

2016年12月12日 (月) 高橋直純、玉嶋謙一(m3.com編集部)

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 2016年度の医師臨床研修マッチングに参加した全国の医学部生へのアンケートでは、大学病院に決まった割合は、男性の27%に対して、女性は38%で、女性が大学病院を選ぶ傾向が高いことが明らかになった。

 大学病院に決まった者の内訳では、女性は出身大、出身大学以外の大学病院を選んだ割合がともに男性より高かった。
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■回答者の属性
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 マッチングを運営する医師臨床研修マッチング協議会の最終結果では、大学病院42.7%、市中病院57.3%となっている(『大都市圏以外に過去最多の研修医、2016年度マッチング最終結果』を参照)。本アンケートの回答者は、市中病院決定者からの参加が多かったことが見て取れる。

■マッチング参加者の声【2】
Q 今回のマッチングに当たり、研修先を選ぶ過程で何を重視したか、どのような迷いや悩みがあり、最終的にどのように意思決定したかを具体的に教えてください。

・手技がたくさん経験できる市中病院とアカデミックさを重視する大学病院で迷ったが、 最終的には、大学病院と市中病院をたすきがけで1年ずつ経験できるプログラムがそれぞれの”いいとこ取り”をできるという意味で最適だと感じ、 関連病院が豊富で研究の分野もたくさん開かれていて充実しているといわれる東大病院の1年目市中病院、2年目大学病院のプログラムに決定しました。【大学病院・男性】

・子供が二人いるので、家庭と仕事のバランスを取れるよう、通勤時間はできるだけ短くしようと思いました。大学病院にするか市中病院にするかで迷い、より家族との時間が確保できそうな市中病院を第1希望にしました。しかし、マッチングの登録を終えた後で、本当にこれで良かったのか、という思いが残りました。やはり、勤務条件は厳しくても、しっかりとした教育環境の整った大学病院も魅力的であり、最後の最後までどちらにするかは迷っていたからです。結果的には、第2希望にしていた大学病院にマッチングが決定し、これで良かったな、と思っています。【大学病院・男性】

・出身大学であり、勝手がよく分かっていたので、あまり迷わずに選びました。【大学病院・女性】

・後期研修から就職しなければならない奨学金を受けているので、その病院に近い(距離・医局)病院でと考えました。専門医制度がどうなるか分からなかったので、専門医取得に向けた入局のことも考え大学病院にしましたが、市中も含めいくつか見学に行き、気に入った市中病院と大学病院に絞りました。 市中病院には何度も見学に伺ってアピールしたのですが、(奨学金で)後期研修でうちの病院に残れないのは困る、ということを暗に言われたので、最終的には市中は諦め大学病院に決めました。【大学病院・女性】

・幅広く様々なことを学べることを重視した。救急も充実しているところの方が初期対応を学べると考えていた。また手技を多く経験したいがために、同期が多すぎるところや大学病院は避けた。しかし1番の決め手は病院の雰囲気であり、見学時の先生方やコメディカルの方々の様子を見て判断した。【市中病院・男性】

・まずは外科志望ということで外科系の病院を考えました。次に自大学の医局への入局を考えているので、千葉県内の大学の系列病院を考えました。最後に研修はそこそこ時間があって、自己学習の時間をある程度とりたいと思ったこと、外科の先生方の雰囲気が好きだったのとで研修先を決定しました。【市中病院・男性】

・3年後以降の進路を踏まえて決めたいと思いましたが、どこに入局するか何科に進みたいか決まらず悩んでいました。結局、外科系に進みたいと思い、出身大学と地元の大学の先生に相談して症例数が豊富で良い指導医の先生がいらっしゃる今の病院に決めました。出身大学の系列で、とも考えたが、視野を広げるためにも出身大学とは離れた新しい土地で2年間学ぼうと考えた。【市中病院・女性】

・大学に残る人が周囲に増えている傾向であったため、市中病院へ出るというイレギュラーな選択に若干躊躇した。しかし、自分が将来やりたいことを肯定的にとらえてくださる病院全体の雰囲気に惹かれ、最終的に市中病院での実習を選択した。【市中病院・女性】

■回答者の属性
 全マッチ者数に対する希望順位ごとのマッチ者の割合では、アンケート回答者と医師臨床研修マッチング協議会の最終結果で大きな差は見られなかった。
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https://www.m3.com/news/general/485235
予算も志望者も減少 基礎科学、厳しい現状 「表層深層」日本人25人目のノーベル賞
2016年12月12日 (月) 共同通信社

 大隅良典(おおすみ・よしのり)・東京工業大栄誉教授が日本人25人目となるノーベル賞の栄誉に輝いた。日本人の受賞は3年連続の快挙となり、日本の層の厚さを改めて示したと言える。だが、大隅さんをはじめとする研究者の間では、基礎科学への予算が減り、研究者を目指す若者が減る現状への懸念が強まっている。「このままでは20、30年後にはノーベル賞受賞者が出なくなる」との声も上がっている。

 ▽このままだと...

 「ノーベル財団が基礎研究の成果を取り上げてくれてうれしい」。7日に行われた受賞記念講演で大隅さんはこう述べた。医学生理学賞に決まってから、自らの受賞の喜びよりも、さまざまな場で基礎研究を取り巻く危機的な状況の改善を訴え続けてきた。

 京都産業大の永田和宏(ながた・かずひろ)教授も、基礎研究の現状に「このままだと駄目になるのは間違いない」と厳しい視線を向ける。一つの要因としてみるのが、行き過ぎた"出口志向"だ。「目標を設定して、それに到達するという喜びしかない」と話す。

 文部科学省によると、国の研究助成には国立大に人件費や研究費などを一括配分する「運営費交付金」と、研究者個人を対象に研究テーマ別に募る「科学研究費補助金(科研費)」がある。

 運営費交付金は減少の一途をたどっている。本年度は約1兆1千億円で、2004年度から約12%も落ち込んだ。国はその分、科研費を手厚くするが、すぐに結果や利益に直結する応用研究に重点が置かれている。

 ▽過去の投資

 大隅さんの授賞理由になったオートファジーのような基礎科学は、運営費交付金に頼る割合が大きいが、最近は1人当たり年間50万円程度にしかならないとの指摘もあり「電話、電気代を引くとほぼゼロ」と不満を漏らす研究者もいる。

 予算の削減に伴い、研究者の雇用も終身で働ける研究室が減る一方、任期が限られたポストが増加。研究者を目指す若者は減り、博士課程への進学率は低下傾向にある。

 最近の日本人のノーベル賞ラッシュについて、ノーベル医学生理学賞の選考委員長を務めるスウェーデンのカロリンスカ研究所のアンナ・ベデル教授は「1960~70年代に基礎研究を育てた成果ではないか」と分析する。過去の投資が実を結んだという意味であり、大隅さんは「ノーベル賞学者が日本では毎年出ていると、浮かれているような状態ではない」と警鐘を鳴らす。

 ▽社会全体で支えを

 ここに来て国もようやく動きを見せ始めた。文科省は今年11月、基礎科学力の強化を目指した支援策を検討する作業部会を省内に設置。運営費交付金の増額や、博士課程の学生への進路や財政面の支援、科研費の制度見直しなどを念頭に議論を始めた。

 12月2日の第1回会合では、座長が「すぐに取り組めるものは、すぐに実行に移す」と前向きな姿勢を強調。参院の委員会で基礎科学の研究体制を問われた松野博一文科相は「軽視していないが、まだまだ十分とは言えない」と述べ、改善の必要性を指摘した。

 大隅さんは研究の面白さについて「サイエンス(科学)は、どこに向かっているのか分からないところが楽しい。社会全体で基礎科学を支えようという雰囲気が、本当の意味の科学技術立国ではないか」と改めて社会に問い掛けている。



https://www.m3.com/news/general/485286
支払いはオンライン…病院会計の待ち時間ゼロに
2016年12月12日 (月) 読売新聞

 三井住友銀行は東京慈恵会医科大などと共同で、スマートフォンとクレジットカードを使って病院の会計の待ち時間を「ゼロ」にできるサービスを開発した。

 大規模病院に売り込む考えで、来年にもサービスが始まる見通し。大規模病院を中心に待ち時間の長さが課題になっており、金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」で改善をはかる。

 サービスの利用にはスマホとクレジットカードが必要だ。患者はあらかじめスマホに専用アプリを導入し、カードを登録する。受診後、会計窓口に診察券を提示し「オンライン会計で支払います」と伝えるだけで、手続きが済む仕組みだ。

 それを受け付けた病院側は、その場では「オンライン会計」であることをシステムに登録するにとどめ、具体的な診療費の計算は比較的すいている時間帯に行う。手間のかかる計算を後回しにすることで、患者の待ち時間を少なくできるというわけだ。



https://www.m3.com/news/general/485334
姫路医療センター、広畑病院跡への移転打診断る
2016年12月12日 (月) 神戸新聞

 兵庫県姫路市内の県立姫路循環器病センター(同市西庄)と製鉄記念広畑病院(同市広畑区夢前町3)を統合・再編してJR姫路駅近くに新しい県立病院を開設する計画に絡み、県などが広畑病院跡への移転を「国立病院機構姫路医療センター」(同市本町)に打診したところ、断られていたことが9日分かった。広畑病院は同市南西部の救急医療拠点で、移転後の地域医療の空洞化を懸念する声が住民から上がっている。

 同日の県議会本会議で、西村隆一郎・病院事業管理者が一般質問に答えた。

 「国立病院機構―」は世界遺産・国宝姫路城の特別史跡内に立地。現在地での建て替えが困難なため、県と広畑病院が9月に広畑病院跡への移転を打診したが、11月に「移転を希望しない」との回答があったという。

 県などは、広畑病院跡への移転に関心を示す他の医療機関と協議する。広畑病院の建物はそのまま活用する方針。

 統合・再編後の新しい県立病院は、JR姫路駅東側の再開発地域「イベントゾーン」に開設予定。近く県が基本計画案を発表する。


  1. 2016/12/13(火) 06:00:32|
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