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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月10日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/484931
シリーズ: 真価問われる専門医改革
新専門医制度の「新整備指針」、機構理事会了承
大学病院以外も基幹病院に、地域医療に配慮

2016年12月10日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は12月9日の理事会で、新専門医制度の基本指針となる「専門医制度整備指針」を了承した。12月16日に開催予定の社員総会で了承が得られれば、正式決定、公表する。2017年度から開始予定だった新専門医制度用の整備指針(2014年7月作成)の改定に当たるが、地域医療への配慮を念頭に、大幅な変更が加わったことから、理事会では「改定」ではなく、「新」を付けるべきとの意見が上がり、「専門医制度新整備指針」などの名称が用いられる見通し。

 理事会後に会見した日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、改定ポイントとして、「地域医療への配慮」を挙げた。(1)「大学病院以外の病院も基幹施設となれる基準とする」と明示、(2)常勤の専門研修指導医が在籍しない施設でも、医療の質を落とさない研修環境を整えることなどを条件に、基幹病院を中心とする研修施設群に加わることを可能とする、(3)日本専門医機構が、各専門研修プログラムを承認する際、行政、医師会、大学、病院団体などから成る「各都道府県協議会」との事前協議を前提とする――が主な変更点だ。専攻医の登録数の基準も必須としているが、具体的な基準などは今後の検討課題となる。

 山下副理事長は、「専門医制度で、医師の地域偏在を解消することは難しいが、偏在を加速することがあってはならない」と説明、仮に加速するような事態になれば、機構から各基本領域の運営を担う各学会に対し、助言等を行うという。また、「地域医療への配慮」から、研修施設の基準を全体的に緩和した点について、「専門研修は、教育のシステム。国民の医療に貢献できる医師をいかに養成するかという観点から、研修環境を整えることが必要」と、質の担保が前提であると説明。同機構理事長の松原謙二氏も、「合理的な理由があり、教育上が必要で、質が担保されているのであれば、指導医がいなくても研修施設として認めるという考え方だ」とつけ加えた。

 そのほか、妊娠・出産・育児等の理由により、研修を中断した場合の配慮なども盛り込んでいる。日本医師会は11月18日の日本専門医機構の理事会に対し、7項目から成る要望書を提出した(『新専門医「整備指針」、地域医療に配慮し12月に改訂』を参照)。日医副会長でもある松原副理事長は、今後、整備指針の運用細則で決める部分もあるとしたものの、要望書には対応した改定になっていると説明した。

 「地域医療への配慮」以外にも、変更点は多い(『内科と外科のサブスペシャルティ取得、「短縮」も』などを参照)。同機構と学会の関係も大きく変わり、旧整備指針は、同機構が、専門研修プログラムの1次、2次審査を行うなど、同機構主導の制度だった。しかし、新整備指針では、学会が運営する基本領域の専門医制度に対して、同機構が助言・評価する仕組みに変更する。専門研修プログラムの1次審査は基本領域学会が行い、2次審査を同機構が行う。旧整備指針と異なり、研修プロセスを重視する研修プログラム制のみではなく、到達目標で質を担保する研修カリキュラム制も認める。サブスペシャルティについては、基本領域学会とサブスペシャルティ学会が協同して、制度設計・運営する。

 これに対して、基本領域の到達目標(修得すべき知識・技能・態度など)などは変更しない。到達目標を達成するために、研修体制を見直すのが今改定の主眼と言える。「更地に建物を建てるというより、地域医療に配慮しながら、リフォームするイメージ」(山下副理事長)。

 日本専門医機構理事長の吉村博邦氏は、同機構と基本領域学会との役割分担が見直されたことを踏まえ、「基本領域学会の自主性を非常に重視する方向になっているが、勝手にやっていいわけではなく、この整備指針に則って実施し、その状況を機構が評価する仕組み」と説明。「原則として、初期の臨床研修を終えた医師は、基本領域のいずれかの専門研修プログラムに入ってもらいたい」(吉村理事長)。

 「専門制度新整備指針」が社員総会で了承されれば、2017年1月中には運用細則を作成する。その後、各基本領域学会が専門研修プログラム整備基準を作成、それを基に各基幹病院は専門研修プログラムを作成、2017年4、5月頃には専門研修プログラムの2次審査を終え、6月頃から専攻医の募集を開始、2018年度からの新専門医研修の開始を目指す。

 2017年度から開始予定だった新専門医制度は、地域医療への影響が大きいことから、「一度立ち止まって」検討することが求められ、日本専門医機構の執行部が一新した(『日本専門医機構の理事長、吉村・北里大名誉教授が就任』を参照)。以降、制度の見直しが進められてきた。整備指針は改定されたが、実際に地域医療への影響が生じないように専門医制度を運用できるか否かは、今後の基本領域学会および基幹施設の取り組みにかかっている。

 連携施設でも専攻医の採用可能
 専門医制度においては、基幹施設と連携施設、必要に応じて連携施設に準じる施設を加え、研修施設群を構成して研修に当たる。基幹施設の基準は、大学病院以外の病院もなれる基準とする。基幹施設単独で専門研修プログラムの要件を満たす場合でも、連携施設を含めた専門研修施設群として申請することを求める。

 研修期間は、専門研修プログラムの基本領域によって異なり3、4年だが、原則として、基幹施設での研修は6カ月以上、連携施設は3カ月以上。「診療科や地域などによって、研修期間は変わってくる。一つの目安として、この期間で運用する」(山下副理事長)。

 専攻医の採用は、基幹施設に限らず、連携施設でも可能とし、研修場所となる施設が給与等を支払う。ただし、専門研修プログラムを責任を持って運営する観点から、専攻医の研修における登録上の所属は基幹病院とする。

 サブスペシャルティの専門医研修は、研修プログラム制が原則だが、研修プログラム制、研修カリキュラム制のいずれも可能とする。臨床研修、基本領域の専門医研修、サブスペシャルティの研修をシームレスに進めるため、例えば、基本領域の研修実績をサブスペシャルティの研修実績として認めるなど、相互乗り入れも可能とする。



https://www.m3.com/news/iryoishin/484555
シリーズ: m3.com意識調査
看護師の特定行為、「医師と看護師の連携」に課題
医師、看護師ともに特定行為には賛成が多数派

2016年12月10日 (土) m3.com編集部

 m3.com意識調査「特定行為に係る看護師増加で、医師の負担は?」において、看護師の「特定行為研修制度」については、医師・看護師ともに賛成が反対を上回る結果となった。

 開業医は賛成45%に対し、反対が23%だったのに対し、勤務医は賛成65%、反対17%と、勤務医の方が支持率が高い結果となった。看護師の賛成率は71%で、「制度について知らない」という回答は0人だった。

(回答数は開業医148、勤務医562、看護師34、薬剤師210、その他の医療従事者35)
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 また、「看護師が特定行為を行うことにより医師の負担が軽減されるか?」との質問に対しては、「減ると思う」との回答は開業医が29%、勤務医が41%、看護師が41%、薬剤師が40%、その他の医療従事者が43%で、「減らない」「かえって増える」という回答と意見が分かれる結果となった。「減ると思う」という回答については、医師と看護師の間で大きな傾向の違いは見られなかった。
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 最後に「特定行為研修制度」についての課題を伺ったところ、どの職種でも60%前後で「責任の所在が不明瞭」との回答が多かった。看護師については、「責任の所在」とほぼ同じ回答数で「医師と看護師の連携体制」を課題として挙げており、医師と看護師との間で大きなギャップがあった。
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 以下に自由回答の一部を掲載する。

■賛成派の意見

 ・医師-看護師間にある医療行為のジレンマがNPによって軽減されることが期待できます。例えばNPの介入により定期薬の処方等の雑務が減ったり、その度に連絡をしなければならない看護師やその連絡を受ける医師の苛立ちは少なくなると思われます。しかし、患者全体に関わることが少なくなれば、医者は病気のみを診ればいい、という思いが強くなるのではないでしょうか?

 緊急時にNPがいることにより、すぐに対応ができることはとても良いことだと思います。しかし、そもそも医師-看護師間のコミュニケーションや人間関係ができていればそういったジレンマは解消できると思っています。医師も看護師も患者に寄り添う心があれば、患者に必要なことは自ずとできるし、そういったジレンマはなくなるのではないでしょうか?

 私はNPの存在が、医師の負担を無くすだけとしか考えられず、それは医師の怠慢だし、看護師の傲慢な思いのように思います。

 医師の行為が看護師の業務にまで広がることで、スムーズに医療を提供できるようになっていますが、医療行為の責任の所在が不明瞭になっているからこそ、きちんと線引きが必要なのではないでしょうか? 【看護師】

 ・意見の相違を明らかにしていく作業もこれからは必要かと思う。特に外科の医師は思い切った選択をする傾向にあるが、看護師は保守的な選択をしがちである。どちらが正しいかはお互いのコミュニケーションで歩み寄るしか判断できない。【勤務医】

 ・やれることが増えるのはよいが、その分、責任も付いてくることをまず理解すること。 院内での立ち位置が難しい。報酬はどうするか難しい。組織のリーダーとは違うため、資格手当などで対応するのか。責任分担をどう決めるのか。【勤務医】

 ・特定行為は、既に現在でも行われている施設もあり明文化することで診療の補助が具体化された。しかし、そのことによって研修をしなければその行為ができなくなり混乱を生じるのではないかと思う。

また、指導・訓練をする人材育成する人もなく、場所も確保されていない現状では問題ではないかと思う。【看護師】

 ・病院や医師によって理解が異なると思う。研修に行くことすらできなかったり、研修に行けても院内での活動内容が不明瞭であったり、検討課題は多数あると思う。ただ、医師の業務を減らすだけではなく、チーム医療の質の向上という点ではよいと思う。【勤務医】

 ・看護基礎教育の一定化が必要。学士の中で、技術教育時間の増加、臨床と大学の連携による看護基礎教育の充実が必要。医師と看護師、他職種との連携の充実、役割を明確にして協働体制を強化することが求められる。【看護師】

 ・特定看護師と言う身分を作ってしまうと、特定看護師でないとできない業務となり、結局のところ、あまり医師の負担軽減にはならないと思う。医療行為でグレーゾーンであり、従来、看護師がしていた部分を医行為ではなく、看護師でもできるものとしたら良いとおもう。【薬剤師】

■反対派

 ・看護師に教える時間があるなら、研修医に重点を教えたい。患者さんに対して医師が判断し治療に当たるのか、看護師が判断し治療に当たるのかはっきりしない。命令系統が2通りあるのは、現場は混乱する。政府はゆくゆくは風邪ぐらいの疾患を治療とおっしゃっているようだが、「単なる風邪です」と診断するのは非常に難しいと思う。その後に肺炎など引き起こす可能性は十分あり、その後の経過、治療に当たたらねばならないことは十分にある。動脈穿刺、ドレーン抜去、IVH挿入などなど、いったい誰が教えるのか?研修医制度ができてからIVHを一回も自分で入れたことのない外科医? 内科医も存在する事実はどう解釈するのか。そもそも看護師にできると思われる特定行為なら歯科医師、薬剤師、獣医師など医学を学んだ先生であれば、はるかに看護師より能力が高い。能力的には医師と同等と思われる。医師が足りないからと医学を総合的に学んでいない看護師を担ぎ出すのはいかがか。【勤務医】

 ・日本での医師と患者の関係から考えると、医師は患者に対して全ての責任を負っている。看護師は患者に対してではなく、医師、あるいは管理者に対して責任を負っている。医師はたとえ勤務中でなくても責任は継続しているが、看護師の責任は勤務中だけである。

 経験豊かで自信のある看護師ほどとんでもないミスをやらかすので、特定などの名前がつくとそれだけで勘違いして取り返しのつかないミスをするかもしれない。断固反対である。

 医師になって40年、それなりの自負はあるがこれまで経験したことのない症例に巡り合うことも少なくない。70歳近くなっても勉強させられているが、その責任の重さに疲れてきた。医師を辞める時が近づいている。【開業医】

 ・特定行為研修制度の目的を存じ上げませんが、医師数過剰まで10年を切っている現状で、即ち、2025年問題とは医師数過剰時代の到来であるとの認識が欠如しているように思えます。おそらくここで議論される「特定行為」で生計を立てる医師が、都市部を中心に増加してゆくことは必定と思われます。【勤務医】

 ・医師の指示のもとに医療行為ができるとされている看護師が、医師の指示なく、自分の判断で医療行為はできないはずである。それでよいのだ。看護師の医療行為による不利益が患者にでた場合、看護師が訴訟を受けられるのか。【開業医】



https://www.m3.com/news/iryoishin/484954
介護療養病床、「3つの新類型」に転換
医療部会が改革案了承、2017年度末が設置期限

2016年12月10日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)は12月8日、「療養病床の在り方等に関する議論の整理」(案)を了承した。2017年度末に設置の経過措置が切れる、(1)介護療養病床、(2)看護配置4対1などの基準を満たさない医療療養病床について、医療機能を内包した施設系サービス(2類型)、医療を外から提供する居住系サービス――という3つの新類型に転換する。

 今後、必要な法整備を行うが、当該類型の人員配置・施設基準・報酬などが決定するのは、2017年度末になると見込まれることから転換のために一定の経過期間を設ける。3年もしくは6年の案があり、現時点では決まっていない(資料は、厚労省のホームページ)。

 「議論の整理」は、12月7日に開催された、社会保障審議会「療養病床の在り方等に関する特別部会」で意見の取りまとめを行った。同特別部会および「療養病床の在り方等に関する検討会」で、介護療養病床の介護老人保健施設などへの転換が進まないことから、新たな転換先を検討してきた。

【新施設類型】
・医療機能を内包した施設系サービス(新たな施設)
基本的性格:要介護高齢者の長期療養・生活施設
設置根拠:介護保険法
主な利用者像:(I)重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者など、(II)(I)と比べて、容体は比較的安定した者
施設基準:(I)介護療養病床相当(医師は48対1、3人以上)、(II)介護老健施設以上(医師は100対1、1人以上)
・医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設(医療外付け型)
 目的:経営者の多様な選択肢を用意する観点から、医療外付け型の特例、要件緩和等を設ける。
設置根拠:医療機関は医療法、居住スペースは介護保険法・老人福祉法
主な利用者像:医療の必要性は多様だが、容体は比較的安定した者
施設基準:居住スペースは、特定施設入所者生活介護(有料老人ホームなど)を参考(医師の基準なし)

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「新たな施設類型は、介護保険法の本則に位置付ける。給付範囲も介護保険から行う」と説明。施設基準は、介護老健施設を参考とする。経過措置を3年もしくは6年にするかは相当等の議論があり、現時点では両論併記になっている。

 施設の名称は、「現場で働いている医師、看護師等の思いや士気も踏まえ、適切に配慮すべき」とし、病院が一部を新施設類型に転換する場合、全体として病院の名称を維持・運営できるよう、必要な要件緩和を行うことも求めている。

 「議論の整理」に対し、出された意見は一つのみ。NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、医療、介護ともさまざまな施設があり、さらに新施設類型が増えることになることから、一般向けの分かりやすい広報を求める一方、「病院」との名称を用いることが混乱のもとになるとの懸念を呈した。

 厚労省老健局老人保健課長の鈴木健彦氏は、「これまで病院だった施設の一部を、新しい施設にするので、全体としてこれまで通り、病院として名乗れないのか、という意見があった」と紹介、一方で介護保険法に基づく施設でもあることから、名称の扱いは内閣法制局と議論しているとした。



https://www.m3.com/news/general/484714
弘前市に新中核病院構想、24時間稼働ER型要望 市立病院廃止へ
2016年12月10日 (土) 毎日新聞社

 国立病院機構弘前病院と弘前市立病院を統合させる新中核病院構想について、弘前市は7日、手術や入院を要する急患に対応する新病院の2次救急医療は「1日24時間、365日稼働のER(緊急救命室)型」を要望していることを明らかにした。葛西憲之市長が市議会一般質問に答えた。

 県が地域医療構想に基づき、「2020年度めどに稼働」と提案した新病院は現在、県、市、国立機構と医師を供給する弘前大病院の4者で内容を協議中。市は「新病院は国立機構が運営する。運営に市が関与できる条件を探っているが、市立病院としての事業継続は難しい」とし、市立病院を廃止する方針。

 市はまた「新病院の診療科目は現在の国立機構より多く、研修医に魅力ある医療体制を望んでいる」と述べ、「市立病院の医師や看護師、職員らの身分は国立機構に移る方向だ」としている。【松山彦蔵】



http://medg.jp/mt/?p=7191
Vol.272 医療ガバナンス学会
日本医師会と世界医師会

元亀田総合病院副院長 小松秀樹
医療ガバナンス学会 (2016年12月9日 06:00)
2016年12月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

医師の情報サイトm3によると、2016年10月22日、台北で開かれた世界医師会で、日本医師会の横倉義武会長が次期世界医師会会長に就任することが決定した。名誉なことだが、以下に述べるように日本医師会の現状は世界医師会の理念から逸脱している。
世界医師会は、医療倫理について世界的合意を形成するためにいくつかの宣言を発出してきた。医師個人が守るべき倫理としてのジュネーブ宣言、人間を対象とする医学研究の倫理的原則を扱ったヘルシンキ宣言、患者の権利についてのリスボン宣言、医師の自律性を守るための医師会の役割を扱ったマドリッド宣言などだ。

●ナチスの残虐行為に医師が加担したことへの反省
世界医師会はホームページで以下のように自己紹介している。

世界医師会は、医師の独立性を確保して、崇高な倫理的基準に則った行動と医療を、いかなる場合にも実行できるようにするために創設された。こうしたことは、第二次世界大戦後、とりわけ重要だった。このため、世界医師会は自由な専門職集団の、誰からも支配されない独立した連合であり続けた。

第二次世界大戦当時、ナチス政権下のドイツでは、医師が、国家の命令により、合法的に残虐な人体実験を行い、多くの犠牲者をだした。こうした悲劇を繰り返さないために世界医師会が設立された。

●世界医師会の論理
世界医師会は、個人主義を全体主義の防波堤にしようとした。患者の判断の責任主体は患者個人にあり、医師の判断の責任主体は医師個人にある。個人の判断に国は関与してはならない。
患者には自己決定権があり、医師はそれを尊重しなければならない。前記ヘルシンキ宣言はこうしたインフォームド・コンセントの考え方を定着させた。
医師は自身の医学的知識と良心に基づいて行動する。したがって、行動には個人的責任を伴う。ジュネーブ宣言の第10項目は「私は、たとえ脅迫の下であっても、人権や市民の自由を犯すために、自分の医学的知識を利用することはしない」と宣言している。これは特定の国家に所属しない世界医師会が、全世界に向かって発出した宣言だ。医師は、国内法が医師を処罰するかどうかにかかわらず、患者の権利が侵害されるときは、ジュネーブ宣言を優先させる。
ジュネーブ宣言は、国家が理不尽にふるまう場合、医師個人に不服従を求めているが、個人だけで抵抗するのは無理がある。そこでマドリッド宣言は、医師会を、医師の自律を支えるための組織として規定した。ドイツの医師会は各州で独立している。これは独立した医師会が複数ある方が、国内で統一された医師会より国家の一元支配がおよびにくいという理由による。

●規範的予期類型と認知的予期類型
現代社会は機能分化が飛躍的に進んだ社会だ。世界社会は、世界横断的な部分社会システムの集合体である。個人は様々な部分社会システムと関わって生きている。個人の幸不幸について、資本家と労働者など階層間の問題より、個人が社会システムに包摂されるか排除されるかが重要になった。

それぞれの社会システムは独自に正しさを形成し、日々更新している。例えば、医療の共通言語は統計学と英語だ。頻繁に国際会議が開かれているが、これらは、医療における正しさや合理性を形成するためのものだ。
社会システムはコミュニケーションで作動する。それぞれの社会システムは独自の言語論理体系を発達させ、それに基づくコミュニケーションを活発に行い、システムの機能を最大化させた。ルーマンは、コミュニケーションを成立させる予期のあり方に基づいて、社会システムを大きく二つに分類した。規範的予期類型(法、政治、メディアなど)は物事がうまく運ばないとき、自ら学習することなく、規範や制裁を振りかざして、相手に変われと命ずる。これに対し、認知的予期類型(科学、テクノロジー、医療など)は物事がうまく運ばないとき、自ら学習して、自分を変えようとする。認識を深め、知識・技術を進歩させる。

医療倫理は規範的予期類型に属する。医師に医療倫理が浸透しにくいのは、医療システムと言語論理体系が異なることによる。倫理システムは、過去に設定された道徳、規範にもとづき、違背に対し、相手に変われと命ずる。正しさを他に強制する。これに対し、医学を含めた科学の正しさはとりあえずの真理であり、更新され続ける。このため、議論や研究が継続される。新たな知識が加わり進歩がある。医療は未来に向かって融通無碍であり、規範とは無縁である。倫理システムや法システムは、医療システムに対し、環境として外部から影響を与える。医療システムには、罰をもって単一の正しさを強制するような猛々しさはない。

●フィクションとしての規範
世界医師会はナチスの悲劇を繰り返さないために、また、医療の健全性を保つために、判断主体としての個人というコンセプトを中心においた。医療倫理を設計するのに、社会が理性を備えた個人から成り立っているとするフィクションが必要だった。
しかし、医療システムは、認知的予期類型であるがゆえに、本質的にフィクションの堅持を苦手とする。例えば、有効な治療手段のない患者にどのように説明するのか。患者の自己決定権は「優しさ」のためにしばしば曲げられる。患者への優しさは、医療機関側の利害の方便としても使われがちだ。病院を存続させるために、収入を増やしたいという思惑もしばしば自己決定権をないがしろにする。

患者の希望、紹介元の医師の意向も、しばしば、主治医の説明をゆがめる。主治医によっては、患者、紹介元の医師と自身の判断を厳密に区別できない。自他の区別が明確でないということは、個人が確立されていないということに他ならない。これは、社会が理性を備えた個人から成り立っているという前提がフィクションであることを示す。
医療システムは、世界医師会が提案した医療倫理を承認したが、本質的に固定した規範を嫌う。規範的予期類型との接点で、常に規範としてのフィクションを承認するわけではない。例えば、過失を犯した個人を罰することで患者安全が高まるというフィクションに異議を唱えている。

●世界医師会と日本医師会
世界医師会は、自身を、自由な医師会の誰からも支配されない独立した連合であると宣言している。ジュネーブ宣言は、患者の権利が侵される場合には、法に対する不服従を宣言している。日本医師会の現状は、こうした世界医師会の理念と矛盾している。
かつて、日本医師会の医療倫理に関する文章を法律家が担当していた。法律の解説が、医の倫理として提示されていた。これに対し、一部から厳しい批判が寄せられたが、2014年9月3日付けで新たに作成された「医の倫理の基礎知識」においても、倫理というより、法律の解説とすべきものが多く含まれている。

法律学者である樋口範雄は総論にあたる「倫理と法」で、「法は倫理と相反するものではない」と述べた。しかし、第二次世界大戦当時、倫理と法の間で深刻な矛盾が生じたこと、医師が国家の命令で残虐な人体実験を行い、多くの犠牲者をだしたことを記述しなかった。世界医師会が創設された歴史的経緯を意識的に無視したか、勉強不足かのどちらかである。
意識的に無視したとすれば、日本医師会が、法システムに属する行政の強い影響下にあるためであろう。日本医師会の滝澤秀次郎事務局長(2016年11月現在)は、厚労省の元医系技官である。厚生労働省健康局国立病院部政策医療課長,環境省総合環境政策局環境保健部長などを歴任した後、2006年厚労省を退官し、日本医師会事務局長に就任した。日本医師会の会長を含む12名の理事のうち、全体の4番目に位置付けられている。裏方の事務局長ではなく、意思決定に大きくかかわる立場だ。

●日本医学会高久史麿会長
日本医学会は日本医師会に置かれている。126の学会がメンバーになっている。日本医学会に期待される役割は、各学会の自律性を高めることにある。現在の髙久史麿会長は、2004年4月1日以後、12年の長きにわたって会長職にある。髙久会長は、しばしば、行政と患者団体あるいは行政と医師との間に対立のある案件で、行政の意を受けて発言してきた。

●イレッサ訴訟
イレッサ訴訟で2011年1月7日東京ならびに大阪地裁で和解勧告があったが、同年1月24日、髙久会長は、「肺がん治療薬イレッサの訴訟にかかる和解勧告に対する見解」で、和解勧告に対する懸念を表明した。その後、同趣旨の下書きを厚労省が事前に髙久会長に渡していたことが明らかになった。同年2月24日のキャリアブレインは以下のように報じた。

髙久会長は、「厚労省側が面会を申し入れてきて、『これで見解を出してくれないか』と文書を持ってきた」といい、見解を発表したのは厚労省からの依頼があったためだと説明。「それまで出すつもりはなかったが、長い付き合いもあり、もともと関心のある問題でもあったので」見解を出すことにしたという。依頼の意図について、厚労省側から特に説明はなかったというが、「和解勧告が厳しい内容だったので、和らげてほしかったのではないかと思う」と述べた。

厚労省は検証チームを作って調査し、同年5月24日、間杉純医薬食品局長と医薬担当の平山佳伸審議官、担当室長の3人を訓告、担当課長を厳重注意の処分とした。

●インフルエンザ特措法
インフルエンザ特措法について、髙久会長は、2012年4月10日、慎重な審議を求める文書を発表した。しかし、髙久会長の本当の狙いは批判を和らげることだった。キャリアブレインの取材に対し、「法案に反対する科学的根拠はない」と答えた。厚労省の担当者から説明を受け、医師が従わなかったとしても、罰則規定や強制力がないことが分かったためだという。
2012年10月12日、日本感染症学会は、インフルエンザ特措法について、緊急討論会を開催した。討論会で発言した専門家の中に、インフルエンザ特措法に賛成する者はいなかった。

●権力の監視
イレッサ訴訟について厚労省に問題があったことは、厚労省の認めるところだ。しかし、権力を放置すれば、当然、自らの意思にしたがって動く。権力の行動を適切に保つのに、自制に頼ることはできない。近代立憲主義は、チェック・アンド・バランスを基本的な制御手段としている。近代立憲主義、世界医師会の理念のいずれの立場からも、髙久会長の発言は不適切である。インタビューでのやり取りから、高久会長が自らの行動に問題があったと自覚していないのは明らかである。近代立憲主義、世界医師会の理念を知らないとすれば、日本医学会長としての資格を欠く。高久会長が12年以上、日本医学会の会長職にとどまったことに対し、日本医師会には大きな責任がある。

感染症専門家がインフルエンザ特措法に対する反対意見を述べることができたのは、日本感染症学会が学会として、自由な議論の場を設けたためである。個人が単独で同様の発言をすると、行政からさまざまな嫌がらせを受けかねない。日本感染症学会の決断を高く評価する。
日本の医師の多くは、医系技官を恐れ、表立った言論による批判を避けている。指導的立場の医師は、医系技官にすり寄ることで社会的地位を得てきた。逆に言えば、医系技官にすり寄る医師だけが指導的立場になれた。有効なチェックのない中で、医系技官は権力を拡大させ、統制医療を強めている。上意下達のヒエラルキー的な統制は、冗長化した情報を反復して末端に流す。組織の頂点しか環境を認識してそれに対応することができないため、医療の営為を画一化し、硬直的にする。統制は、医療が複雑多様化している中で、失敗を繰り返してきた。

医系技官は、繰り返される失敗を、強制力を強めることで押し切ろうとしている。一部の医系技官は、言論を抑圧することさえためらわなくなった。民主主義が医療分野からほころび始めている。ナチスの台頭は権力の監視のゆるみから生じた。監視を怠ると権力は暴走する。日本医師会は、目先の利害にこだわって行政におもねり続けると、大きなものを失うことになる。



http://inamai.com/www/ictnews/detail.jsp?id=46301
伊那中央病院「信州型総合医育成プログラム」に認定
放送日:2016年12月10日(土曜日) 伊奈谷ネット

 伊那中央病院は、高齢化が進む地域に対応できる医師を育てる長野県の「信州型総合医養成プログラム」に認定されました。
 総合医は特定の臓器や疾患に限定せず全身を幅広く診療できる医師のことです。
 長野県では、医師不足が依然深刻で、高齢化が進んでいることから、総合医の養成に取り組む医療機関を認定しています。
 来年度開始分は、伊那中央病院を含む県内16病院が認定されました。
 認定された病院では、県の奨学金制度の利用者や初期臨床研修医などに対してプログラム受講者を募り、来年4月から研修を始めます。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14812843740528
行方・潮来・鉾田 医師確保へ3市一体、要請行動へ協議会
なめがた医療センター

2016年12月10日(土) 茨城新聞

 行方市井上藤井の土浦協同病院なめがた地域医療センターの医師確保を目的に、同市と潮来、鉾田両市の地元3市が同センター連絡協議会を設立した。鹿行地区北部の中核病院である同センターで不足する医師を確保し、充実した救急医療体制を確立するため、地域が一体となって関係機関に働き掛けていく。

 設立総会は同センターで開かれ、連絡協議会委員には、3市の市長と地元JA組合長、保健所所長、同センターの清水順一院長が就いた。会長は地元行方市の鈴木周也市長、副会長はJAなめがたの棚谷保男組合長に決まった。

 同会設立の趣意は(1)地域医療(救急医療)の充実(2)医師不足の解消(3)公的病院運営補助の充実。委員たちは今後、県の関係部署や県内外の大学病院などを訪問しながら、同センターの医師確保へ向けた要請行動を進めていく。

 全国の人口10万人当たりの医師数は、2014年で244・9人。これに対し、本県は177・7人で全国46位と、医師数から見て医療体制が著しく脆弱(ぜいじゃく)な地域といえる。鹿行二次医療圏で見ると90・7人となり、さらに深刻な医師不足を呈している。診療科の偏在については、県レベルで小児科が全国47位(全国103・2人に対して本県75・3人)、産婦人科が43位(全国42・2人に対して本県36・1人)に低迷している。

 同センターは、鹿行地域の公的病院の一つとして、2006年に三次救急医療の拠点病院としての「地域救命センター」が開設されたが、医師不足の影響から十分な救急医療体制が提供できない状態となっている。行方市健康増進課は「救急医療を24時間稼働させるために必要な医師確保へ向け、3市がまとまって要請行動を行っていくことで、今まで以上に効果が期待できると思っている」と話す。 (三次豪)



http://www.asahi.com/articles/ASJDB5TVKJDBULBJ00C.html
新型出生前診断で指針違反、3医師を懲戒処分 日産婦
福宮智代
2016年12月10日21時37分 朝日新聞

 妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断を、学会の指針に反して認可外の施設で実施したとして、日本産科婦人科学会(日産婦)は10日、会員医師計3人を譴責(けんせき)などの懲戒処分とした。東京都の2人と大阪府の1人で、氏名や施設名は公表しなかった。

 同学会によると、今後は指針に従うとの始末書を提出した2人を最も軽い厳重注意とし、始末書を出さず指針に従う意思が確認できなかった1人を一段階重い譴責にした。譴責にした医師には年末までに指針に従うという誓約書の提出を求め、提出がない場合はさらに処分を検討するという。

 新型出生前診断は、同学会の指針に基づき日本医学会が認可した医療機関で、35歳以上などの妊婦を対象に実施されている。処分を受けた3人が所属する3施設は、いずれも認定を受けていなかった。(福宮智代)



http://mainichi.jp/articles/20161211/ddm/016/040/003000c
アレルギー治療
向上を 拠点病院を整備へ 厚労省基本指針案

毎日新聞2016年12月11日 東京朝刊

 国民の約2人に1人がかかっているといわれるアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患。2015年12月に施行されたアレルギー疾患対策基本法に基づき、厚生労働省は今月2日、対策の方向性を示す基本指針案を初めてまとめた。全国どこでも科学的な知見に基づいた適切な治療が受けられるよう、拠点となる病院を整備することなどが柱だ。症状をきちんと抑えることで患者が安定した生活を送れるよう、対策の具体化が待たれている。【堀井恵里子】

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 10月末、専門医の定期診察を受けた後、病院内のコーヒーショップで小学4年生の長男(9)がホットドッグを一つ食べた。重度の食物アレルギーで、治療を始めた4年前に食べたのはうどんわずか2ミリだったが、じんましんが出た。ホットドッグを夢中で食べる息子をみながら、神奈川県横須賀市の女性は「すごい奇跡」という思いで胸があふれた。

 長男は生後3カ月で乳児アトピー、生後8カ月には食物アレルギーと診断された。当時住んでいた岐阜県内のかかりつけ医は「3歳まで待ってから、大学病院に紹介する」との方針だった。しかし、アレルギー症状を起こすと顔がやけどのように腫れ、呼吸が苦しくなる。耐えかねて、1歳半の時から自己判断で小麦や乳製品など6品目を食べない完全除去を始めた。

 長男のアトピー性皮膚炎は劇的に改善したが、アレルギー症状を引き起こすアレルゲンへの感度が高まったのか、スーパーのパンの調理販売コーナーに近寄っただけで呼吸困難に陥ったこともあった。小麦の粉を吸い込んだとみられる。

 専門医にかかれたのは横須賀市に転居し、長男が5歳になった時だった。神奈川県立こども医療センターで、小麦などを少しずつ食べさせて、どのくらいの量で症状が出るかをみる食物経口負荷試験を受けた。アトピー性皮膚炎やぜんそくをコントロールしながら、症状が出ない範囲で食べ続けることで、次第に食べられる量も増えていった。今は牛乳以外の食物アレルギー症状はほとんど出ず、カヌーなどスポーツも楽しんでいる。

 アレルギー診療体制は地域的な偏りが指摘されてきた。食物経口負荷試験は公的医療保険が適用されているが、専門的な体制が必要で、まだ地方で実施する医療機関は少ない。アトピー性皮膚炎やぜんそくなど他のアレルギー疾患では、10万人当たりのアレルギー科常勤医数が都道府県によって「0~0・24人」から栃木、島根、徳島3県の「1人以上」までばらつきがある。

 さらに、標準的な治療法が十分広まっていない問題もある。厚労省研究班の調査では、アトピー性皮膚炎患者の5割強が「ステロイド薬をできるだけ薄くのばして塗るよう指導された」と回答し、関連学会が推奨する「湿疹を覆うように」との方法ではなかった。

 指針案では「居住地域に関わらず、科学的知見に基づく適切なアレルギー疾患医療を等しく受けられる」ことを目標に掲げ、全国的な拠点となる医療機関▽地域の拠点となる医療機関▽かかりつけ医との連携協力体制--を整備する方針を打ち出した。

 ただ、具体化は新たに設けられる検討会に持ち越された。日本アレルギー学会の西間三馨顧問は「地域拠点は各都道府県に一つは必要だ」と指摘する。横須賀市の女性も「日々の健康をサポートするかかりつけ医の存在も患者には重要。専門医の指導に沿った診療をしてほしい」と連携の重要性を訴えている。

 指針案では、ホームページなどを通じた、最新の知見に基づいた適切な治療法など、正しい情報提供の充実も盛り込んだ。「アレルギーを考える母の会」の園部まり子代表は「今は受診した医師によって、人生が左右される。患者が受けている医療が適切か判断できるよう、国が信頼のおける情報を発信していくことが重要」と指摘している。

行政と医療連携重要
 食物アレルギーの場合、学校や保育園などの給食での対応も大切だ。ただ、保護者の申し出だけで必要以上に除去がされてきたケースもあるとみられる。医師による指導表提出の徹底など、行政と医療機関が連携して対象者を適切に把握することも重要だ。

 さいたま市は14年度から、学校給食で対応が必要な場合に提出を求める書類を、医師が記入する「学校生活管理指導表」に一本化した。それまでは、医師の診断を受け保護者が作成する「指導願」も認めていたが、症状をより正確に把握するためだ。市教委と市内の4医師会、市内の基幹病院の医師が議論して一本化で合意した。

 この結果、13年度に9%だった管理指導表の提出は、14年度80%(未提出20%)、15年度94%(同6%)に達し、対応不要になった児童・生徒も各年度約140人いた。文部科学省も、15年の学校給食の対応指針で指導表の提出を必須と明示した。

 一本化に関わった、さいたま市民医療センターの西本創小児科科長は、さらに対応の必要性を精査できるとみる。例えば、血液検査が陽性の食品でも食べられることはよくあるが、埼玉県内の公立校で提出された管理指導表で、血液検査のみを診断根拠として鶏卵を除去されている例が、15年度で約3割あったという。

 西本氏は「必要のない除去をすると、食べられない子ども本人が一番損をする。学校も対応に追われて重症者への注意がおろそかになる。入学前に、除去が本当に必要か、専門医による食物経口負荷試験で正しい診断を受けておくことが大切」と指摘している。

指針案のポイント
・国や地域の拠点となる医療機関、かかりつけ医との連携体制を整備
・学会の認定制度を通じて医師や看護師、薬剤師らの知識を向上させる
・学校給食における食物アレルギー対応指針などの周知と実践を促す
・ホームページで、適切な治療や予防法、生活改善策などの最新情報の提供を充実
・災害時にアレルギー対応食を確保し提供
・花粉を減らすため森林を整備

 ■ことば
アレルギー疾患
 免疫機能が過剰に働いて慢性の炎症を起こす疾患。アレルギー疾患対策基本法では、食物アレルギー ▽アトピー性皮膚炎▽気管支ぜんそく ▽アレルギー性鼻炎 ▽アレルギー性結膜炎 ▽花粉症--の6疾患を挙げている。複数のアレルギー疾患の合併や、子どもの成長とともに、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、ぜんそく、鼻炎と進む「アレルギーマーチ」が起き得るなどの特徴がある。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG10H4T_Q6A211C1000000/
無認定で出生前診断 学会、医師3人を処分
2016/12/11 1:04 日本経済新聞

 妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新出生前診断を、東京都と大阪府のクリニックが無認定で実施した問題で、日本産科婦人科学会(日産婦)は10日、学会の指針に反したとして医師1人をけん責、医師2人を厳重注意の処分にすると決めた。

 厳重注意の2人は今後指針を守る考えを示したが、けん責の医師は態度を明らかにしなかった。日産婦は指針順守の誓約書を求め、年内に提出されない場合はより重い処分を検討する。

 新出生前診断は遺伝カウンセリング体制の整備などを条件に、日本医学会が実施施設を認定。日産婦が指針で検査対象や年齢などの条件を定めている。〔共同〕



http://www.asahi.com/articles/ASJDB33P4JDBUBQU009.html
医師偏在対策の議論が暗礁 需給検討会の中止状態で、厳しい意見も
寺崎省子
2016年12月10日23時10分 朝日新聞

 医師の偏在対策などを話し合う国の検討会での議論が暗礁に乗り上げている。12月上旬をめどに、医師偏在対策をとりまとめる予定の「医師需給分科会」は2カ月以上開かれておらず、今月中のとりまとめは絶望的だ。8日の社会保障審議会医療部会では、「年内を目指す」としていた医師偏在対策の議論が止まった現状に対し、複数の委員から厳しい意見が相次いだ。

 団塊世代全員が75歳以上になる2025年に向け、必要な医療や医師の地域偏在などを踏まえた「医療従事者の需給検討会」が始まったのは昨年12月のこと。検討会では、医師、看護職員、理学療法士・作業療法士の三つの需給分科会が設置された。

 このうち、医師需給分科会では、都道府県が策定する2018年度に始まる次の医療計画に盛り込めるよう「年内のとりまとめを目指す」としていた。

 ログイン前の続き6月には、医療計画で医師数が不足する診療科や地域の目標値を決めて、専門医の定員を調整できるようにする▽将来的にも偏在が続く場合は、十分な医師がいる診療科では定数を設け、医師が自由に開業し、掲げる診療科を決められる状況を見直す▽臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者になるには、特定の地域や診療科で一定期間診療する――など13項目の中間まとめを行い、9月から本格的な議論に入り始めた。

 しかし10月3日、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師などの働き方ビジョン検討会」(医政局長の私的検討会)が設置されると、医師需給分科会は同6日を最後に「休眠状態」となった。

 医療部会で口火を切ったのは、東大政策ビジョン研究センター特任教授の尾形裕也委員。

 医療従事者の需給検討会の委員で、看護職員需給分科会の座長を務める立場から「医療従事者の需給検討会が途中で事実上中断し、他の検討会の結果に基づいて、需給検討会を再度動かすやり方は、極めて異例かつ非礼だ」と批判。「需給推計の日程が半年以上遅れるのは確実で、来春再開する前に、十分なデータ、資料を出して欲しい」などと注文を付けた。

 需給検討会と3分科会の委員を務める山口育子委員=NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長=は、「一切説明はなく非礼だ」と批判。財政計画などをまとめた「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)では、医療従事者の見通しと地域偏在対策などについては「年内にとりまとめを行う」としていることに触れ、「『12月中に結論を出す』と言っていたのに、誰が責任をとるのか」などとただした。

 一方、現在、調査中の「医師10万人の実態調査」についても、委員から不安の声が出た。

 医師の働き方に影響を与える子育てや介護の支援体制について、「『育児を中心的に行ったのは誰か』という質問で選択肢にベビーシッターはあるが、保育施設はなく、介護では介護施設はあるが、ヘルパーが無い」などと指摘。「育児・介護などの経験がある人が設問の設計に参加しているのか。正しい現状把握ができないまま、将来の医師の働き方にかかわる政策が進められることに不安を感じる」と話した。


  1. 2016/12/11(日) 05:47:40|
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