Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月8日 

http://www.medwatch.jp/?p=11484
新専門医制度、整備指針に地域医療への配慮がなされないなら、さらなる実施延期も―全自病・邉見会長
2016年12月8日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 専門医制度の整備指針案は、今のところ、地域医療への配慮などが十分でない。こうした状態のまま進めようとするのであれば、新専門医制度の全面開始はさらなる延期を求めていく必要があるかもしれない―。

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は、8日の記者会見でこのような考えを明らかにしました。

整備指針には地域医療への配慮が足らない、機構のガバナンスにも問題あり

 新たな専門医制度は、専門医の認定と養成プログラムの評価・認証を中立公正な第三者機関(日本専門医機構)で統一して行うもので、来年(2017年)4月から養成(研修)がスタートする予定でした。

 しかし、養成プログラムに参加する機関病院・連携施設のハードルが高いため、地域の医療現場などから「専門医を目指す若手医師が都市部や大学病院に集中するなどし、医師の地域偏在・診療科偏在が助長されてしまう」「専門医機構の運営などが不透明である」との強い批判が出されました(関連記事はこちら。そこで日本専門医機構は執行部を刷新。新執行部は、新たな制度に基づく専門医養成の全面スタートを1年延期し、その間にさまざまな課題を解決することとしていました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 課題の1つとして、専門医制度の骨格とも言える「整備指針」の見直しがあげられますが、日本医師会の横倉横倉義武会長や全自病は、「地域医療への配慮を十分に行うべきである」とし、▼従来の学会認定制度の下で専門医を養成していた医療機関が専攻医の受け入れを希望する場合は、連携施設となれるようにする▼専攻医採用は、連携施設でも行えるようにする―といった7項目の改善要望を行っています(全自病では、声明と同内容の要望を機構に提出)。

 この点について、邉見会長は「専門医機構では、我々の要望を『全く受け入れられない』としているわけではないが、厳しいと感じている」とコメント。

 また、11月18日に開かれた機構の理事会に代理出席した中島豊爾副会長(岡山精神科医療センター理事長兼名誉院長)は、「理事会では整備指針案について了承手続きなどは得られていないにも関わらず、終了後の記者会見で吉村博邦理事から『概ね了承された』との発表があった。機構のガバナンスには依然として問題があるのではないか」と苦言を呈しています(関連記事はこちら)

 さらに邉見会長は、「重要な制度改正であり、このまま(全自病らの要望が受け入れられず)進むのであれば、さらなる全面スタートの延期(中島副会長は6年程度かけ、徹底的に議論すべきと提案)を求めていくことも必要になるかもしれない」との考えも明らかにしています。



http://www.qlifepro.com/news/20161208/start-distribution-of-new-web-lecture.html
個別の製品や領域によらない新しいweb講演会の配信を開始-バイエル薬品
2016年12月08日 PM12:00 QLifePro

第1回は「研究計画の立案」「公表論文の評価」について

バイエル薬品株式会社は11月29日、新しいwebカンファレンスシリーズ「バイエル・メディカル・ダイアログ」をスタート。同日夜、「まずは第一歩、何をすべきか?~臨床研究の適切な立案と公表論文の解釈のために~」のリアルタイム配信を行い、その模様を報道陣に公開した。通常、製薬メーカーが配信するwebカンファレンスはマーケティング部門が特定の領域や薬剤を対象としたものが多いが、今シリーズは、同社メディカルアフェアーズ本部が企画したもの。同本部は、営業、マーケティングなどのコマーシャル部門から独立した組織で、販促活動とは異なる学術活動の役割を担っている。


今回の配信では、まず「研究計画の立案」をテーマに、東海大学医学部内科学系循環器内科学教授の後藤信哉氏が、臨床研究の種類とそれぞれの特性を理解した研究デザインの立案や研究目的を意識した対象・方法・評価の一貫性などについて語った。続いて、慶應義塾大学医学部循環器内科の香坂俊氏が、「公表論文の評価」をテーマに、論文を評価する際に押さえておきたいポイントや解釈するうえで陥りやすい落とし穴などを説明した。講演後はリアルタイムで視聴していた全国の医師から質問が寄せられ、活発な議論が繰り広げられた。

配信前の予想を大幅に上回る視聴者数

今回の新しい試みについて、同社メディカルアフェアーズ本部長の犬山里代氏は「配信前の予想を大きく上回る医療者の方にご視聴いただいた」と手ごたえを語った。さらに、視聴した医師からも「特に解析方法に関する話が一番印象に残った。大学では聞く機会がないため、このような企画があってよかった。これからも機会があれば聴講したい」などの感想が同社に寄せられた。

今後の配信については、各専門領域に特化したものや医療全般をテーマとしたものを考えている、とのこと。今回の配信の模様は後日、同社医療関係者向け情報サイト「バイエルヘルスビレッジ」で掲載される。(QLifePro編集部)



https://id.nikkei.com/lounge/auth/password/proxy/post_response.seam?cid=1133449
災害時に心のケアする病院を 厚労省検討会、都道府県に求める
2016/12/8 12:06 日本経済新聞

 厚生労働省の有識者検討会は8日までに、都道府県が作成する医療計画の見直しに向けた報告書案を大筋で了承した。災害対応の強化などが柱。被災者の心のケアが重要であることを踏まえ、都道府県に対して「災害拠点精神科病院(仮称)」の整備を求めることを決めた。

 医療計画は、がんや脳卒中など患者が多い「5疾病」に加え、救急医療や災害時の医療などについて、地域医療の基本方針を定めている。厚労省は来年3月に医療計画作成指針などを都道府県に対して通知。これに基づき各都道府県は2018年度からの6年間が対象の医療計画を作る。

 新たな医療計画では災害時の対応強化を求める。建物が耐震構造であるなどの要件を備えた「災害拠点病院」の整備を進めてきたが、厚労省によると、精神科医療については体制整備が遅れているという。

 熊本地震で精神科病院が被災し、患者の受け入れが困難になった経験を踏まえ、各都道府県に災害拠点精神科病院の整備を求める。

 救急医療については、かかりつけ医や介護施設などとの連携体制の構築を進めていくべきだとしている。周産期医療では基幹病院の「総合周産期母子医療センター」で、精神疾患にかかった妊婦に対応する体制整備の必要性を指摘した。



http://www.sankei.com/region/news/161208/rgn1612080070-n1.html
相双地域で看護師の確保難航 今年度は求人の4割程度
2016.12.8 07:05 産経ニュース

 福島県沿岸部に位置する相馬双葉(相双)地域の看護人材は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故以降、落ち込んだまま回復の兆しがみえない。今年度も確保できたのは、求人の4割程度にとどまる。

 県医療人材対策室によると、相双地域では現在、16病院のうち6病院が休止中。開院している10病院は今年6月末時点で看護師計109人を募集したが、採用できたのは46人だった。震災前(平成23年3月1日時点)の10病院の看護師合計数は788人だったが、今年9月1日時点で約100人減少したままだ。

 県は赴任や住宅費用の補助に加え、給与への上乗せなどの財政的な支援を実施。勤務地となる相双地域の実情を見てもらう視察ツアーを開催するなど、人材確保に力を入れている。

 県の担当者は「来年3月には帰還困難区域を除く大部分の地域で避難指示が解除されるため、住民帰還が進むと予想される。地道に人材確保に努めたい」としている。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H46_Y6A201C1EE8000/
厚労省、医療制度改革案を提示 高齢者負担増が柱
2016/12/8 23:23 日本経済新聞

 厚生労働省は8日、医療制度改革案をまとめた。70歳以上の高齢者を対象とした「高額療養費制度」の自己負担の上限引き上げなどが柱だ。高齢者の負担増に与党は反発しており、調整を続ける。

 社会保障審議会の医療保険部会で改革案を示し、大筋で了承を得た。一定以上の所得がある高齢者は高額療養費の「上限額を引き上げるべきだとの意見が多かった」とまとめた。具体的な金額には触れなかった。

 高額療養費の上限引き上げを巡っては、年収370万円未満で住民税が課税される「中所得高齢者」について外来受診時の上限を月1万2000円から同2万4600円に引き上げる案を示したが、与党の反発で修正を迫られている。



http://www.sankei.com/affairs/news/161208/afr1612080029-n1.html
【相模原19人刺殺】
司法の介在、向き合わず 識者「立法の不作為」司法関与議論を」

2016.12.8 21:10 産経ニュース

 医療現場からは、法に触れる罪を犯した精神障害者の処遇に司法の介在を求める声も上がる。だが、厚生労働省の検討チームが公表した最終報告に犯罪防止の視点は乏しかった。惨劇が起きるたび、社会の安全と触法精神障害者らの人権問題が議論されては立ち消えになってきたが、今回も正面から向き合うことはなかった。

 「社会の安全を医療に押し付けている。刑事政策なき弥縫(びほう)策にすぎない」。現場で精神医療に携わってきた独協医科大学越谷病院の井原裕医師(54)は報告書をこう批判する。

 元慶応大法学部教授(医事刑法)の加藤久雄弁護士(74)も「触法精神障害者の対策は刑事司法の枠組みで行うべきで、司法の関与について真剣に議論すべきだ」と話す。

 欧米の多くでは重大な触法行為を犯した精神障害者に対し、犯罪予防的な「治療処分」が制度化され、裁判所が専門病院への強制入院を命じることができる。

 日本でも海外の事例を参考に、保安処分やアルコール、薬物依存で禁錮刑以上の罪を犯した者を保安施設に収容する「禁絶処分」を盛り込んだ刑法改正の検討が何度か行われた。だが、日本弁護士連合会や日本精神神経学会などが再犯の恐れがある人を拘禁する「予防拘禁」や「保安処分」につながると強硬に反対し、実現することはなかった。

 法務省幹部の一人は「刑法改正について議論をしなければいけない時期に来ている」と打ち明けるが、法曹界では今も、タブー視する風潮が続いている。

 池田小学校の児童殺傷事件後、心神喪失者等医療観察法が施行され、裁判所が医師の鑑定により入院を命じることができるようになった。ただ、重大事件を起こしながら、精神障害を理由に不起訴処分や無罪となった場合に限られている。

 井原氏は「触法精神障害者に対する立法の不作為を医療に責任転嫁している。措置入院は実質『保安処分』と化し、精神科病院は代用監獄として乱用される。このような無為無策が続けば、19人の失われた命は浮かばれない」と強調している。



http://mainichi.jp/articles/20161208/ddl/k15/040/168000c
上越医療センター短期入所者死亡
市、遺族と和解方針 /新潟

毎日新聞2016年12月8日 地方版 新潟県

 上越市は、上越地域医療センター病院(同市南高田町)で昨年1月、市内に住む短期入所者の女性が喉にたんを詰まらせて心肺停止状態となり、その後死亡したのは、看護師の見回りが少なかったことなどが要因だとして、遺族に損害賠償金2200万円を支払うことなどで和解する方針を決めた。関連議案を市議会12月定例会に提案した。

 市によると、看護師が発見したときには入所者は既に心肺停止の状態だったという。自発呼吸ができず、県立中央病院に搬送されたが、4日後に多臓器不全で死亡した。市は、結果として死亡という重大な事態に至ったことについての責任を認め、和解による早期解決が望ましいと判断した。【浅見茂晴】



http://toyokeizai.net/articles/-/147697
キャリア・教育 深掘り!医学部入試の知られざる世界
もはやトンチ!医学部入試「珍問」出題の意図
キリとクモの巣の絵から「愛」を語る?

小林 公夫 : 一橋大学博士、作家
2016年12月08日 東洋経済


いったい、この珍問に正解した受験生はいたのか…( 写真:IYO / PIXTA)
12月に入り、大学入試のシーズンがいよいよ近づいてきた。医学部受験の難関に挑む受験生諸君も、ラストスパートをかけ始めていることだろう。

医学部受験においてこのところ目立つのが、2次試験におけるユニークな小論文の出題である。この連載では、過去にも「『謎の小論文』があぶりだす受験生の本性」の中で、2016年度に順天堂大学医学部で出題された、“写真の中の男の子の前に広がっている世界を述べよ”という問題を紹介した。そして、同年には愛知医科大学でも、以下のような問題が出題された。

クモの巣、キリ、モリ…え、どういう意味?

問い)以下の判じ絵をみて次の問いに答えなさい
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(2016年度の愛知医科大学(医)入試問題を基に、編集部作成)
(1)この絵は何を示した絵か推測し、その理由を100字以内で書いてください。
(2)この絵に描かれた2つの素材を用いて「人を愛するということはどういうことか」を500字以内で書いてください。

うーん、かなりの難問である。この問題を先日、医学部予備校で教えている受講生から見せられ、「どういう答えになるのでしょう?」と質問されたときは、一瞬、頭を抱えてしまった。実はこの愛知医科大は、過去にも「3年間交際し、結婚の約束をした恋人に別れの手紙を書け」という問題が出されたこともあり、ユニークな出題が散見されるのだ。

ただ、これはあくまで医学部の入試問題である。それを考慮すると、やはり私が提唱する9つの医師の能力・資質と関連づけて答えを訴求していくのが良いだろう。

医師に必要な9つの能力・資質

① 患者の要望に耳を傾け正しく応える力(聞く能力)
② 正当な注意力、判断力(科学的判断に基づく正しい行為から逸脱しない能力)
③ 正当な開拓精神(不確実性に立ち向かう能力)
④ 研鑽能力(医師としての技量を磨き深める能力)
⑤ 利益衡量能力(複数の価値が対立している場合にそれぞれの利益を調整し、よりよい結論を導く能力)
⑥ 情報収集力(新しい知見や情報を収集する能力)
⑦ 空間把握能力(腹腔鏡手術などで要求される能力)
⑧ 推理能力(患者が訴える症状から病巣を推理する能力)
⑨ 公共性・公共心(おおやけを意識し思う心、社会の利益を追求する心)

参照:『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)


本文へのアプローチ方法としては、まず⑧の「推理能力」を駆使すればよいだろう。私が受講生にアドバイスしたのは、以下の思考プロセスである。

A. 判じ絵とは何なのか。おそらくこれは、クイズ、なぞなぞ、トンチの類なのではないか。
B. もし、そうであれば、この絵は物や生き物を表しているはずだ。
C. この2本の棒はクモの巣にかかっているので、一般的には昆虫か何かを表しているのではないか。
D. クモの巣にかかる2本の棒のようなものは、右は「モリ」のように見えるが、左は「キリ」であろう。
E. 左のキリには濁点がふられている。つまり「ギリ」である。


ここまで話したところで、質問した受講生は「『モリ』に『ギリ』に『クモの巣』?何ですかそれは…??」と疑問符だらけの表情になった。そこで私は、プロセスFとして、以下のように説明した。

F. 右のモリのような道具は、モリにしては短いから、これもキリの一種なのではないか。そして、クモの巣をただの“ス”と読む。すると……


巣にかかる虫そのものに「ス」が入ってしまっている点は論理的ではないが、ナゾナゾの一種なので、この解釈は許容範囲であろう。巣にかかる物の正体が虫というのも妥当である。結局のところ(1)の解答はこうなる。

この絵は「キリギリス」と判読する。クモの巣にかかる2本の棒状の物は、共に「キリ」であり、濁点のつく左は「ギリ」となる。背景にあるのは巣(ス)であり、合体すれば「キリギリス」と読める。

一方、(2)の解答は一筋縄ではいかない。先に示した医師の能力・資質であれば、④の研鑽能力、⑨の公共心・公共性が問われていると推測できる。そのうえで、本質的な思考力や広範な知識が要求されていると考えられる。

クモの巣から愛を語る

たとえば、キリの持つ性質に着目し、両手で丹念にキリをもみ込む行為と「愛」との関連性を論じるなどのアプローチが可能である。両手でキリをもみ続ければ、ぶ厚い木片にもいずれ穴が開くのである。まるで人の心に穴を開けるようではないか。

また、クモの巣に関しては、「カバキコマチグモ」というクモの一種の、母グモの生態から描写することが可能である。この種のメスは、子グモをたくさん産んだ後、子グモに自らの体を食べさせるという。子供たちに自らを食べ尽くされた母グモは死ぬが、多数の子グモたちは、その後、巣にかかる獲物を待ち続けてそれを捕食し、生き抜いていくのである。そして、子グモたちの一部も、いずれ同じ運命をたどる。母グモの奉仕的な愛は「究極の愛」と称されるが、このように別の観点から「愛」について描写することもできると思う。

それでは、医学部入試でこのような難問・奇問が出題されるのはなぜなのだろうか。(2)の問題では、受験生の「研鑽能力」と「公共心・公共性」が問われていると考えるが、これは、目まぐるしく進歩する医学知識の修得が、医師に求められていること、医師の職業の本質である医学・医療の目的が、「国民の生命の保護と健康の増進」であること、などを考慮すると、問われる理由がおのずと見えてこよう。

わかりにくいのは(1)の推理能力だが、医師の職業が患者の症状、所見から患者の抱える病が何であるかを推理するなりわいであることを考えれば、ピンとくるだろう。過去に体験した印象に残る話をここに紹介しよう。

かつての私の教え子に、36度強の微熱が長い間続いていた受験生がいた。私は大学病院へ行って精密検査をするように勧めたが、彼はとりあえず町医者で診察してもらった。

だが、原因はなかなか判明しないまま、数カ月が過ぎた。それでもあまりに様子がおかしいので、大学の附属病院で大がかりな検査をした。そこで腎臓ガンだったと判明したときはすでに手遅れで、数年後には帰らぬ人となってしまった。

知人のベテラン医師によれば、腎臓ガンは推測するのが難しい病気なのだという。明らかな症状が現れたときにはすでに手遅れになっていることが多いというのだ。

すでに亡くなった人に対して「もしあのとき……」と考えるのは無益なことかもしれない。それでも、もし経験を積んだ医師が初期に病巣を見極めていたら、彼の命は助かったかもしれないという思いは、いまだ消えないでいる。

このほかにも、医学部入試に関する情報を小林公夫オフィシャルサイトにて紹介しております。ぜひ、併せてご覧ください。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kigawa/201612/549298.html
コラム: 木川英の「救急クリニック24時」
救クリが研修先として適切か検証してみた

木川 英(川越救急クリニック)
2016/12/9 日経メディカル

 師走に入りましたね。今冬は、異常に寒い日があったり暖かい日が続いたりと体調を崩しやすくなっているように思えますが、皆様はいかがでしょうか。

 ここ、救クリの地ではインフルエンザの患者さんはまだちらほら見掛ける程度。それよりもウイルス性胃腸炎が猛威を振るっています。

 そんな中、10月から12月までという短期ではありますが、自治医科大学付属さいたま医療センター救急科シニアレジデントの中村雅人先生に来てもらって大変助かっています。恒例のインタビューに先立って、今回は救クリがレジデントの研修先として役立てるかどうか検証してみました。

 全期間にわたる調査はなかなか困難でしたのでデータは繁忙期に限って提示しますが、3カ月という期間内であればほぼ当てはまると考えられます。我々の施設は、夕方から翌朝まで(16時~翌9時)という近隣の医療機関が休業している時間に開業するスタイルを取っていますので、毎週末、ゴールデンウィーク、盆の時期、年末年始は特に受診患者が多くなる傾向があります。

 そこで繁忙期に当院を受診した患者を検討して、どのような症状・主訴が多く、当院の医師に求められている能力は何かを検証してみました。

 2014年のゴールデンウィーク(4月30日~5月6日)、盆の時期(8月13日~16日)および2014年~15年にかけての年末年始(12月30日~1月3日)の合計16日間に救クリを受診した患者のカルテを後方視的に調査し、小児とそれ以外に分け、当院の受診動機を調べました。

図1 受診に至った理由の内訳(繁忙期、n=1038)
120801.jpg

 全受診患者数は1038人(65人/日)であり、そのうち小児は447人(43%)でした。受診に至った理由は、図1の通りでした。なお、通常の日の平均受診患者数は38人/日です。

 夏には外傷がやや多く、年末年始の時期にはインフルエンザが多かったということもありますが、総合内科的なアプローチが必要なケースが圧倒的に多かったです。外傷に関しては、小外科、整形外科的な知識が必要でした。小児に関しても、それは同様でした。

 救クリを受診した患者全体の1.2%の患者に入院が必要だったというデータがありますが、調査した期間も同様に10人の入院患者がありました(肺炎、脳卒中、四肢骨折など)。

 救クリに勤務する医師には、従来の科目にとらわれない幅広い知識が求められるといえます。10年前から始まった臨床研修の到達目標に照らし合わせると、経験すべき症状・病態・疾患において、頻度の高いものをかなり網羅していました(表1)。


表1 臨床研修の到達目標(赤丸は当院で経験した病態・疾患)
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 以上を踏まえて、救クリは今後、初期研修医や後期研修医の修練の場として機能できると思われました。また院長と私がマンツーマンで指導いたしますので、研修医を預けたいと思われる臨床研修病院の先生方からのご連絡をお待ちしております。

 次回は、年内最後になると思いますが、中村先生と語りつくしたいと思います。

 では、また。



http://mainichi.jp/articles/20161209/k00/00m/040/092000c
相模原殺傷 厚労省主導に限界…最終報告
毎日新聞2016年12月8日 21時27分(最終更新 12月9日 01時07分)

 19人が犠牲になった相模原市障害者施設殺傷事件の再発をどうすれば防げるか。厚生労働省の検討チームが8日出した答えは、措置入院患者への「継続的な支援」だった。当初、障害を持つ当事者や家族が懸念した監視や隔離の強化は、検討チームが強く否定したが、精神保健福祉分野の対応に関する議論に終始したことに「表層的だ」「国民的な議論を」といった声もある。【熊谷豪、山田泰蔵】

警察対応の検証欠落…再発防止
 再発防止の議論が厚労省主導で進んだのは、安倍晋三首相の発言が端緒だった。事件直後の7月28日に開かれた関係閣僚会議で首相は「厚労相を中心に検討を」と指示。この結果、精神医療のあり方や障害者施設の防犯が対策の焦点になった。

 障害者団体など当事者や家族は、障害者全体への風当たりが強まることを警戒した。2001年に大阪教育大付属池田小で起きた乱入殺傷事件の加害者に措置入院歴があり、障害者を危険視する雰囲気が広がったからだ。

 この懸念は厚労省も認識し、検討チームには精神医療の現場を知る医療関係者を中心に集め「精神障害者を地域で支える取り組みは逆行させない」との理念を共有した。最終報告書は冒頭で「共生社会の推進」をうたい、危険思想を持つというような対応が難しいグレーゾーンについても「他者を傷つけることを防ぐための措置は、人権保護の観点から極めて慎重でなければならない」と強調した。

 だが、精神医療の専門家を中心としたメンバーによる検討は、措置入院制度という狭い範囲の議論にならざるを得なかった。多くの関係者が、「当時の警察の検証が欠落した」と指摘する。

 「犯行予告まであったのに警察は何かできなかったのか」。11月、自民党の会合で複数の議員が警察庁担当者に憤りをぶつけた。警察庁は「逃亡や証拠隠滅の恐れが高くなく逮捕は困難」と説明するだけで、具体的な再発防止策を示さなかった。

 検討チーム会合には警察庁も出席していたが、複数のメンバーは「積極的な発言はほとんどなかった」と明かす。最終的に報告書が警察に言及したのは、自治体や医療者と情報共有のあり方などを検討する協議の場の設置などわずかだ。

 警察幹部は毎日新聞の取材に「容疑者を保護して市に報告し、施設に防犯カメラの設置など助言を続けた」と説明する。政府全体の再発防止の検討は今回で区切りになるが、自民党は警察庁や法務省に引き続き対応を求めるとしている。

人員の確保課題…継続支援
 精神障害で措置入院した患者は、昨年度7106人。提言は、自治体が主体となって全患者を措置入院中から退院後まで継続的に支援するよう求めた。厚労省によると、任意入院などに移行せず、退院後すぐに地域で暮らす約3割の患者に対し、保健師が自宅訪問して受診を勧めるなどの重点的な見守りをすることになるという。

 課題は保健所のマンパワーの確保だ。中心になる保健師の業務は感染症対策、母子保健、高齢者福祉など多岐にわたり、ここ10年は自殺対策や生活習慣病予防も加わった。だが、増員は7年間で約6%どまり。全措置入院患者の退院後支援に既に取り組んでいる兵庫県でも、人手不足に悩んでいるという。

 東京都内のある保健所長は「ただでさえ認知症の人への対応や、警察などとの調整業務が増えている。提言は理想だが、人の手当てがないと対応できない」と漏らす。自治体が民間医療機関に委託するモデルも提言で示されたが、先進的な民間施設が全国どこにでもあるわけではない。

 厚労省は来年度予算要求で、精神障害者の見守り事業費を今年度の約10倍の4億8000万円に増やした。地方交付税増額も総務省と協議中だが、実現できるかは見通せない。

 一方、障害を持つ当事者からは「再発防止に向けた根本的な視点が欠けている」との指摘がある。日本障害者協議会の藤井克徳代表によると、11年に精神障害が疑われた男による連続テロ事件があったノルウェーでは、議会が1年かけて検証などを進めた。日本の国会ではこうした動きがない。藤井さんは「『障害者なんていなくなればいい』という優生思想的な考えに社会がどう相対するか、表舞台で議論すべきだ」と訴える。

 DPI(障害者インターナショナル)日本会議の尾上浩二副議長は「この事件を生み出した背景、社会のあり方について、当事者の声を聞きながら社会全体が向き合ってほしい」と話す。



http://www.medwatch.jp/?p=11491
すべての医療機関の管理者に、自医療機関の管理運営権限あることを明確化すべきか―社保審・医療部会
2016年12月9日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 医療法を改正して、すべての医療機関の管理者(院長など)に「当該医療機関の管理運営権限がある」ことを明確化すべきか―。

 8日に開催された社会保障審議会の医療部会では、この点を巡って激論が交わされました。

 厚生労働省は、この点に加えて、▼高度かつ先進的な医療を提供する特定機能病院において、高度な医療安全管理体制の確保が必要である ▼特定機能病院の開設者は、管理者が医療安全管理などを適切に行うことを担保するための体制確保責任を持つ―ことを、医療法を改正して明確にしたい考えです。

ここがポイント! [非表示]
1 特定機能病院のガバナンス強化に向け、管理者(病院長)の選考プロセスを規定
2 一般病院の管理者(院長)の権限明確化、主に「手続き」に関して委員から批判
3 ビジョン検討会の設置・運営について、委員の不満・不安は募る一方


特定機能病院のガバナンス強化に向け、管理者(病院長)の選考プロセスを規定

 東京女子医科大学病院と群馬大学医学部附属病院で重篤な医療事故が発生したことを受け、塩崎恭久厚生労働大臣は「特定機能病院における安全確保体制の改善やガバナンスの確保が必要である」とし、省内にタスクフォースを設置。その結論を踏まえて、今年(2016年)6月には特定機能病院の承認要件を見直す(医療安全管理責任者の配置や外部監査の義務化など)とともに(関連記事はこちらとこちらとこちら)、ガバナンスの確保に向けた検討(大学附属病院等のガバナンスに関する検討会)を続けていました。

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特定機能病院において医療安全管理体制を強化(内部統制の強化、外部監査の強化)するとともに、医療法に「特定機能病院には高度な医療安全管理体制が求められる」旨の理念規定を置くことになった

 検討会では、9月に次のような意見を取りまとめています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

(1)病院として適切な医師決定を行うための体制を構築するため、▼病院管理者に「病院の管理運営のために必要な一定の人事・予算執行権限」があることを明確化する ▼法人(大学法人)の理事会・執行役員会などに管理者(病院長)を参画させ、病院側の意向が勘案させるようにする―ほか、病院長をサポートする体制の充実や、病院幹部が病院の管理運営に係る重要事項を審議する「病院運営に関する会議」を設置する、などの対応を図る

(2)病院の管理運営に対するチェック・牽制などのため、▼外部有識者を含む理事会・監事などによるチェック ▼コンプライアンス体制(内部規定や通報窓口など)の整備 ▼情報開示の推進―などを進める

(3)管理者(病院長)の選定においては、▼各病院では、管理者に求められる「医療安全確保のための能力」「管理運営上必要な能力」に関する基準を予め公表する ▼広く候補者を募り、必要な基準に照らして適任か否かを外部有識者を含めた「選考委員会」などで厳正に審査する(選考委員の名簿や選定理由を公表) ▼審査結果を踏まえて、任命権者が自らの責任で先行し、その結果・選定理由などを遅滞なく公表する―といったプロセスを経る
 

 こうした検討会意見を踏まえて、厚労省は医療法を改正し、▼高度かつ先進的な医療を提供する特定機能病院において、高度な医療安全管理体制の確保が必要である ▼特定機能病院の開設者は、管理者が医療安全管理などを適切に行うことを担保するための体制確保責任を持つ―ことを、8日の医療部会で提案し、了承されました。

 なお改正医療法の成立を待って、特定機能病院の管理者選考プロセスに関する規定が医療法施行規則などに盛り込まれることになります。

一般病院の管理者(院長)の権限明確化、主に「手続き」に関して委員から批判

 ところで(1)にあるように、特定機能病院の院長には「その病院の管理運営権限がある」ことを明確にすべきとされています。

 しかし、「病院の管理運営権限」は、何も特定機能病院の院長に限ったものではなく、すべての医療機関の管理者(院長など)が当然、保持しているものと言えます。そうでなければ、管理者に課せられた重い責務・任務を果たすことはできません。そこで厚労省医政局総務課の中村博治課長は、「医療法には、医療機関の管理者にはさまざまな責務が課されている(例えば、医療機関の管理や、さまざまな報告義務など)が、それを果たすための『権限』に関する規定がない。このため、特定機能病院だけに管理運営権限があると規定することは法制上バランスを欠く可能性があり、『すべての医療機関の管理者に管理運営権限がある』ことを医療法上、明確にしてはどうか」と提案しました。

 この提案については、楠岡英雄委員(国立病院機構理事長)や菊池令子委員(日本看護協会副会長)は「管理者の当然の権限であり、明確にする必要がある」と一定の理解を示しましたが、多く委員から「手続きが乱暴である」といった批判が出されました。

 中川俊男委員(日本医師会副会長)や相澤孝夫委員(日本病院会副会長)、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)らは「特定機能病院の議論をしながら、『ついでに』といった具合に、全医療機関に広げていくのは乱暴である。検討会なりで議論し、積み上げた結果を医療部会に提案すべきではないか」とし、慎重な検討が必要との強く求めました。

 こうした批判を受け、中村総務課長は「省内で検討し、改めて提案する」とし、今回の提案は一度収めることになりました。なお、尾形裕也委員(東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)は、「仮に特定機能病院の管理者にだけ管理運営権限があることを医療法に明記した場合、どういったアンバランスが生じるのかなどを示してほしい」と要望しています。

ビジョン検討会の設置・運営について、委員の不満・不安は募る一方

 8日の部会では、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の状況などについて報告を受けました。

 将来の医療従事者の需給については、「医療従事者の需給に関する検討会」とその下部組織である分科会(医師、看護師など)で議論を行います。特に医師については、今後の医学部入学定員にも影響するため、今年(2016年)5月に非常に精緻な試算を行い、中間とりまとめが行われています。

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将来の医師需給の試算結果、早晩、供給量が需要量を上回ることが明確に(上位推計でも2033年以降は医師供給過剰になる見込み)

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将来の医師需給の試算結果、早晩、供給量が需要量を上回ることが明確に

 しかし、厚労省は「働き方の変化」などを勘案してより詳細に推計することとし、上記のビジョン検討会を設置。ここで「将来の働き方」などに関する議論を先に行うことになりました。

 このプロセスについて10月20日の前回会合では委員から不満・批判が噴出。8日の会合でも、多くの委員から「異例かつ非礼である」(尾形委員)、「異常事態である」(中川委員)といった強い批判の言葉が相次ぎました。また、木戸道子委員(日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長)は、「ビジョン検討会では医師の働き方・勤務状況に関する全国調査を行うとしているが、そのアンケート項目では、例えば、夜勤の状況について『当直』の選択肢がないなど、あまりにずさんである」とし、ビジョン検討会での議論に強い不安を覚えていることを強調しています。

 ただし中川委員は批判するだけではなく、厚労省医政局の幹部に対し「私は厚労省の事務方を信頼している。できるだけ早期に『正常』な状態に戻るよう体を張ってほしい」とのエールも送りました。板挟みになっている事務方の心情を慮ってのものです。

 ビジョン検討会では、前述の全国調査(年明け2月上旬に結果報告の見込み)を経た上で、将来の働き方について検討。年度内に意見をまとめる予定です。医師需給などについては、この意見を踏まえて、改めての推計がなされる見込みですが、当初予定から大幅に遅れることになります。また、喫緊の課題とも言える「医師偏在対策」の議論については、どのタイミングで再開されるのかも明らかになっておらず、医療現場の不満・不安は募るばかりです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/484241?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161208&dcf_doctor=true&mc.l=194542649&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 2016年度マッチングに対する全国医学部生アンケート
初期研修先、女性は「実家の距離」や「研修後」重視◆Vol.1
男性は「症例数」「プライマリ・ケア」

2016年12月8日 (木) 高橋直純、玉嶋謙一(m3.com編集部)

 m3.com編集部ではこのほど、2016年度の医師臨床研修マッチングに参加した全国の医学部6年生らに、どのような考えで研修先を選んだかを尋ねたアンケートを実施した。都市部か地方か、大学病院か市中病院か――。次世代の日本の医療を担う学生たちがどのように進路を考えているか、生の声をお届けする。

 調査は2016年11月11日から11月15日までの4日間で実施。エムスリーグループで、医師国家試験向けの予備校事業を行う(株)テコムを通じて、全国の医学部6年生、既卒者にアンケートを送付した。回答総数は381人。

Q 研修先として希望を提出された病院は、何を重視して選択されましたか?最も重視した項目を選択してください。
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 男性では「多くの症例数を経験できる」「臨床研修のプログラムが充実」「プライマリ・ケアに関する能力を習得できる」が上位を占めたのに対し、女性では「研修後の進路やキャリアを考えて有利」が群を抜いていた。
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 男女のギャップを見ると、男性が重視する項目の「多くの症例を経験できる」では12ポイントの差があった。「病院の施設・設備が充実」「優れた指導者がいる」も8ポイント差で続いた。

 一方で女性が多かったのが「実家に近い」で男性より6ポイント多かった。「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」も5ポイント差が付いた。
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 全体では、「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」「臨床研修のプログラムが充実」「プライマリ・ケアに関する能力を習得できる」が多かった。

■マッチング参加者の声【1】
Q 今回のマッチングに当たり、研修先を選ぶ過程で何を重視したか、どのような迷いや悩みがあり、最終的にどのように意思決定したかを具体的に教えてください。
・初期研修の2年間を終えたときに、目の前で人が倒れても適切に対応できる医師になれると思えた研修先を選んだ。具体的には救急対応を通年を通して経験できる病院、総合内科として幅広く内科疾患を見られる病院の中から研修先を選んだ。将来のキャリアを考えると、地元を出ることに対してやや抵抗を感じたが、初期の2年間で今後の医師としての習慣が身に付くことも考慮して、自分が自信を持って医師として成長できそうな病院を選んだ。【男性】

・立地 彼女の勤め先に近い。【男性】

・実家に戻るか母校に残るかで相当迷いましたが、症例数の多さと働きやすさを重視して母校を選びました。【男性】

・女医として働く上でいずれ出産などをしたいこと、新専門医制度などとを考えると、出身大学の対応を期待した。【女性】

・既婚のため、なるべく当直が少ないプログラムを検討した。【女性】

・仕事のプレッシャーに押しつぶされることがないように、病院の雰囲気が自分に合っているかどうか、つらい時に周りに頼れる人がいるかを重視しました。【女性】

・夫の研修先から通勤圏内であることを最重要視した上で、今後の専門医制度がどうなるか分からないということを踏まえて希望しているマイナー科に入局しやすい大学病院を選択しました。【女性】

■回答者の属性
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https://www.m3.com/news/general/484212
「正しい情報へ配慮欠く」 DeNA社長がサイト謝罪 被害者向けに相談窓口
2016年12月8日 (木) 共同通信社

 記事の無断転用を促したり点検を怠ったりするずさんな運営の発覚で、全情報サイトを休止したIT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の守安功(もりやす・いさお)社長は7日、問題発覚後初めてとなる記者会見を開いた。「成長を追い求めて正しい情報への配慮を欠いた」と原因を説明し、「全ての関係者に多大なる迷惑と心配をかけ、心よりおわびする」と謝罪した。

 DeNAは自社のホームページ上に相談窓口を設け、サイトの誤った情報で被害が発生した人や、著作権者からの問い合わせを受け付けると発表した。また第三者による調査委員会を設置し、詳しい原因や組織の問題点などを調べる方針だ。

 サイトの記事は一般の情報提供をまとめる形を掲げていたが、実際には最大で9割程度を依頼したライターに執筆させていた。DeNAの管理責任を問う声が強まりそうだ。

 同席した創業者の南場智子(なんば・ともこ)会長は「どうして自浄作用が働かなかったのか」と指摘。「経営の立て直しが必要」との考えを強調した。

 守安社長は、社内でも正確性を問題視する声は上がったが、外部からの指摘を受けるまで対応できなかったことを明らかにした。

 サイトの再開については「調査を待って考える」と明言を避けた。ただ医療情報を扱うサイト「WELQ(ウェルク)」は「ハードルが高い」として、再開は難しいとの認識を示した。

 進退については「信頼回復に全力を尽くすのが私の責任。辞めるつもりはない」と社長を続投する方針を示した。

 またDeNAのウェルクに化粧品や健康食品の誇大広告が掲載されていた疑いがあるとして、東京都が5日にDeNAの担当者から聞き取りしていたことも判明した。都は医薬品医療機器法(旧薬事法)違反の疑いで、広告作成者の特定を進める。

 ※ディー・エヌ・エー(DeNA)
 1999年設立のIT大手。ネットオークション事業から出発し、携帯電話やスマートフォン向けのゲームサイト運営を主力事業として業績を伸ばした。プロ野球の横浜ベイスターズを子会社化して、球団運営も手掛けている。最近では、任天堂との提携のほか、自動運転への投資など事業の多角化を進めている。



https://www.m3.com/news/general/484276
トランプ氏、薬価抑制言及 医薬品株が下落
2016年12月8日 (木) 共同通信社

 【ニューヨーク共同】トランプ次期米大統領は7日付で載った米誌タイムのインタビューで、米国で製薬大手が特許切れの薬などの価格をつり上げる動きが問題化したことに関して「薬価を引き下げる。薬価を巡って起きたことは好ましくない」と語った。

 大統領選では、民主党候補だったクリントン氏が薬価抑制を公約に掲げていた。同氏の敗北を受けて医薬品株は上昇していたが、トランプ氏も薬価引き下げの意向を示したことで、7日のニューヨーク株式市場では医薬品株の売り注文が殺到した。

 薬価を巡っては、米マイランが注射薬「エピペン」の価格を不当につり上げたとして米議会が追及するなど、問題が相次いで表面化していた。



https://www.m3.com/news/general/484175
薬事行政めぐる国の二枚舌に異議  相次ぐ手のひら返しに不信感を強調するコメント
2016年12月8日 (木) 薬局新聞

 全く困った事態である。

 日本薬剤師会の山本信夫会長は先ほど行われた定例記者会見で、敷地内薬局に対して今後も反対活動を継続することを改めて表明した。

 山本会長は組織として敷地内薬局を強く反対する根拠として「病院の敷地内に薬局を誘致するということは、結局はお金の話になる。保険医療機関と保険薬局のリベート問題がかつてあった。療養担当規則改訂で具体的な禁止事例が示されているが、それ以外であれば何でも問題ないという訳ではない」と語り、資本力の差で地域医療が決定していくかのような状態には賛同できないとする考えを示した。

 また仮に保険医療機関が賃貸料として保険薬局から収入を得て、診療報酬上では処方箋発行料も請求する状況になり、「事実上、薬局を利用した2重取りになる。これだけ医療財源が切迫しているなかで、なぜこのようなことが発生するのか。もしビジネスモデルとして国がこのようなことを推し進めるのであれば、全く考え方がわからない」と述べ、かかりつけ薬局を推進することと真逆の施策を実施することへの不信感を表明した。

 山本会長の国への不信感は、薬価制度問題に関しても言及する格好となった。「平成18年以降、財源を決める国、方向性を決める社保審、実際の点数配分を決める中医協というバランスで診療報酬改定は行われてきた。薬価の頻回改定を行うとなると、このバランスは崩れることになり、改定論議を根っこから変えることになる」とし、そもそも毎年改定の議論に関しては「2年に1回がけしからんというのであれば、適切な期間を議論するべきで、頻回改定ありきではない」と言葉を続けた。また頻回改定を行うことで「企業は薬価を高めに設定するだろう。いつでも簡単に値段が下がるのであれば普通に考えてそうする。こうした制度を継続すると、製薬企業は新薬を開発する意欲も研究費もなくなる。日本再興戦略で創薬分野は成長産業に据えられていたこととも相反するし、論理としての仕組みがわからない」とコメントするなど、医療財源を引き下げることのみで制度改正を行う姿勢に不信感を打ち出していた。



https://www.m3.com/news/general/484284
急な分娩、母子守れ 獨協医大、救命士ら対応訓練
2016年12月8日 (木) 下野新聞

 地域の救急救命士や医師、助産師に産科救急や急な分娩(ぶんべん)への対応法を学んでもらおうと、獨協医大は3日、壬生町北小林の同大で講習会を開いた。4日も行われ、延べ64人が受講する。

 講習は院内での救急患者対応を学ぶ「ALSO」と、院外での急な分娩などに対処する能力を身に付ける「BLSO」の2種類。どちらも世界的に実施されているプログラムで、国内ではNPO法人「周生期医療支援機構」(石川県七尾市)が各地の医大などに指導者を派遣している。同大では4回目。

 3日にBSLOを受講した12人は講義の後、急な分娩への対応に挑戦。駅で破水した妊婦が救急車内で急きょ出産した実例が再現された。受講者は妊婦役の状態を冷静に確認し、優しく声を掛けながら人形の赤ちゃんを取り上げた。

 南那須地区広域行政事務組合消防本部の救急救命士、鈴木亮司(すずきりょうじ)さん(27)は「産科救急は症例が少ない分、講習も少ないが、携わる可能性はあるので訓練できて良かった」と自信を持った様子だった。

 特に重症な妊婦や新生児に対応する「総合周産期母子医療センター」は、県内では同大と自治医大付属の2病院にある。獨協医大病院のセンターでは年間約630回の分娩があり、7割が双子や妊娠高血圧症候群などハイリスクのケースだという。同センターの宮下進(みやしたすすむ)教授(50)は「初産年齢の高齢化などでハイリスクの分娩が増える中、地域の医療従事者の方々に、講習で得た知識や経験を広めてほしい」と期待を寄せた。



https://www.m3.com/news/general/484303
手当を不正受給...防衛医科大学校、技官ら停職処分
2016年12月8日 (木) 埼玉新聞

 防衛医科大学校(所沢市)は7日、公共交通機関で通勤手当の認定を受けていたが、私有車で通勤し、手当約65万円を不正に受給したとして、女性の防衛技官(38)を停職50日、飲酒後に私有車を運転して自転車と接触事故を起こし、けがを負わせた男性の防衛教官(52)を停職25日の懲戒処分にしたと発表した。

 同校によると、技官は2011年12月から15年5月までの間、車で通勤していたが、バスと鉄道を利用した通勤手当を得ていた。教官は今年9月28日午後11時50分ごろ、飲酒後に自宅の駐車場から車で車道に出ようとした際、自転車と接触し、30代男性にけがを負わせた。



https://www.m3.com/news/general/484285
建て替え 病院局負担3倍 30年償還に疑問 県立宮崎病院
2016年12月8日 (木) 宮崎日日新聞

 県立宮崎病院(宮崎市)の建て替え事業費が、基本構想の185億円から最大390億円に膨んでいる問題で、県病院局は7日、病院局の負担が当初の3倍の240億円に増大するとの見通しを示した。リニューアル後の収支改善で賄えるとしているが、昨年度の黒字は2億7千万円余りしかなく、30年の償還期間で支払えるか、疑問視されている。一方で県の一般財源の負担増は5億7千万円に抑えるとしている。

 同日の県議会厚生常任委員会(太田清海委員長、8人)で、病院局が収支計画を示した。

 185億円の基本構想段階では、病院局の負担分は85億5千万円。残りは地方交付税52億1千万円と、一般財源からの支出47億4千万円で賄う計画だった。

 一方、390億円に膨らんだ基本設計段階では、病院局の負担分は239億8千万円。建物本体の金額増が109億9千万円、さらに基本構想では加えられていなかった立体駐車場や医療機器などの負担分44億4千万円も含まれている。

 7日の委員会で、病院局は収支計画で、開院予定の2021年度に22億1800万円の赤字となるが、入院患者の増加による収益増などで26年度からは黒字に転じるとの予測を説明。「立体駐車場などの整備費用は基本構想段階では算出していなかったので、それらを除いた建設費306億4千万円をベースに考えると、一般財源からの支出の増額は5億7千万円。一般会計には極力迷惑を掛けないように努めている」などと主張。

 ただ、15年度の黒字額は2億7200万円。委員からは「公立病院は公益性が高い。240億円を病院の利益で返せるという計画が不思議」と疑問視する声が上がり、「県立3病院の中でも、純利益が高い宮崎病院が相当稼がないといけなくなる」といった意見も出た。



https://www.m3.com/news/general/484247
[医療改革] 医師不足地域勤務で2種保険医登録証授与を提案 働き方検討会
2016年12月8日 (木) 厚生政策情報センター

新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会(第5回 12/5)《厚生労働省》

 厚生労働省は12月5日、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」を開催した。日本の医療を取り巻く環境の変化を踏まえた医師・看護職員などの確保という観点から、望ましい医療従事者の働き方などのあり方について検討する。今回は、「中間的な議論の整理に向けた検討」について議論した。

 尾身茂構成員(地域医療機能推進機構(JCHO)理事長)は、「医師の地理的偏在、診療科偏在」について提案した。

 「医師の地理的偏在」に関して、尾身構成員は「医師は居住・移転・職業選択の自由が保障される一方で、社会的責務を果たすことが社会から期待される」と説明。これを踏まえ、保険医登録や保険医療機関の責任者になるための条件として、「一定期間、医師不足地域で勤務すること」を求めた(p4参照)。

 具体的には、「医師不足地域」について、2次医療圏ごとに医師不足の程度を表す指標を創設。指標をもとに医師不足が深刻でない地域からA/B/C―の3種に区分し、過疎地域などの特殊地域Sを設ける。また、保険医登録は全国共通の制度とし、保険医登録証を1種登録証と2種登録証に区分。1種登録証は医師免許取得時に全員に授与し、2種登録証は臨床研修終了後に、▽2次医療圏Bに2年 ▽2次医療圏Cに1年 ▽2次医療圏Sに6カ月― の勤務実績で授与する(p5参照)。

 登録証の効力・定義について、2種登録証を保持しない者は保険医療機関の責任者になれないと提示。1種登録証については、▽通常の保険診療を継続的に行える ▽保険診療を行える期間を例えば10年と規定する― の2案を示し、どちらにするかは国民や医療関係者の意見を聞き、コンセンサスを得ることが必要とした(p5~p6参照)。

 一方、「医師の診療科偏在」に関して、尾身構成員は「一般社会に対して説明でき、納得してもらえる専門医制度のあるべき姿について、医療関係者の間で合意することが問題解決の条件」と指摘(p7参照)。全国・各地域の診療科ごとのニーズをもとに、各都道府県あるいは2次医療圏ごとに一定程度の幅を持った診療科別の専攻医「研修枠」の設定を提案した。この際、現在の診療科、地域別の医師数と、将来の▽人口動態の変化 ▽疾病構造の変化 ▽モータリゼーション・交通利便性―などを考慮する(p8参照)。

 ただし、「研修枠」の設定に至る過程は時間をかけて行うべきとした(p8参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/484358
シリーズ: 社会保障審議会
大学病院長の「管理運営権限」、医療法で明文化
医療部会、一般医療機関への拡大に異議

2016年12月8日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、12月8日の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)に、大学附属病院等のガバナンス改革の一環として、「管理者(院長)が医療機関の管理運営権限を有すること」など、3項目を医療法に規定する改正案を提案した。特定機能病院についての改正案は了承が得られたものの、それ以外の医療機関に関しても、「管理者(院長)の権限」を規定することは、これまで議論した経緯がないことから、手続き的に問題視する意見が相次いだ。委員は改めて論点を整理し、議論をするよう要望した。

 女子医大と群馬大の医療事故がきっかけ
 医療法の改正は、東京女子医科大学病院と群馬大学医学部附属病院で発生した医療事故がきっかけ。両病院とも2015年6月に、特定機能病院の承認が取り消された。その後、厚労省の「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」の議論を踏まえ、2016年6月10日に医療法施行規則を改正、特定機能病院の承認要件に、「医療安全管理者の配置」や「監視委員会による外部監査」などが加わった。

 並行して議論を進めた厚労省の「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」は、管理者(院長)が、(1)病院運営に必要な指導力を発揮し、医療安全等を確保できるよう、病院内外に対し、病院の管理運営に係る職務権限を有することを明確化、(2)医学部との権限、運営上の関係等も含め、病院の管理運営のために必要な一定の人事・予算執行権限をすることを明確化――などを盛り込んだ取りまとめを行い、この12月に公表した。管理者(院長)の資質として、医療安全管理業務の経験などを求めるほか、選考に当たっては、透明性が確保されるよう、外部有識者も含めた合議体で審査するなども求めた(『大学病院ガバナンス検討委員会、最後まで議論紛糾』を参照)。

 これらを踏まえて、厚労省は8日の社保審医療部会に、下記の3点を医療法改正案として提示。

(1)高度かつ先端的な医療を提供する使命を有する特定機能病院においては、高度な医療安全管理体制の確保が必要であること (2)管理者が医療機関の管理運営権限を有すること (3)特定機能病院の開設者は、管理者が医療安全管理等を適切に行うことを担保するための体制確保に責任を有すること(当該規定に基づき管理者の選考方法等について省令を改正)

 現行の医療法、「責務規定」のみ
 (2)のみ、「特定機能病院」ではなく、「医療機関」となっていることから、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、その意味を確認。

 厚労省医政局総務課は、「管理者が管理運営権限を有すること自体は、特定機能病院に限ったことではない。特定機能病院に限らず規定することが考えられるのではないか」と答えた。

 日本医師会副会長の中川俊男氏がこの説明に納得せず、「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」の検討を踏まえた医療法改正を、特定機能病院以外にも広げること自体を疑問視、改めて質した。

 厚労省医政局総務課長の中村博治氏は、「今の医療法では、管理者の責務は規定されているものの、管理者が責任を持って病院を運営するという規定が欠けているのはないかという議論があった。医療機関にすべからく適用される規定であり、新たに責務が生じるのではなく、管理者には管理運営権限がある、つまり日々管理者が果たしている役割を、医療法上で位置付けるという意味」と説明した。

 これに対し、中川氏は「法に書かなくても、管理運営権限は当然ある。違う(特定機能病院に関する)議論で、全ての医療機関を対象にするのは、丁寧な議論ではないと思う」などと指摘。病院の裁量や自由度の制限にもなりかねないことから、「全ての医療機関の管理者について、管理運営権限を規定する必要があるのか」と述べ、責務の規定だけで十分との考えを示した。特定機能病院で、管理者の管理運営規定が必要なのは、「一つの診療科が、『一つの病院』であり、一般の病院と全く違うため」(中川氏)だ。

 中村総務課長は、法律上、特定機能病院に限って、管理運営権限を規定することが、法制的に可能かという問題もあると説明。しかし、他の委員からも、今回の医療法改正の提案が唐突との意見が相次ぎ、中村課長は、「改めて提案する」と議論を収めた。

 「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」の構成員の一人、国立病院機構理事長の楠岡英雄氏からは、「一般の医療機関では当然、管理運営権限があるという不文律でやってきたが、特定機能病院について明文化する必要がある」と述べ、「今回の手続きには問題はあるが、どこかの時点で明文化する必要があるのではないか」との意見も出た。

 大学の「権威勾配」が障害に
 8日の議論は、今年6月の医療法施行規則にも発展。

 日本精神科病院協会会長の山崎学氏は、群馬大の医療事故では、腹腔鏡手術で死亡例が相次いでも、容易に明らかにならず、対策が遅れた事情があるとし、「医療安全管理者の配置」などで、医療事故を予防できるのかと問いかけた。

 「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」の議論にも加わった楠岡氏は、山崎氏が指摘した点も議論になったと説明、「権威勾配がなく、相互に意見を行ける状況を作ることが必要」とコメント。

 中川氏も、「勇気ある告発する人を、表彰するような仕組みでない」と述べ、内部通報の環境を整える必要性を指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/484345
シリーズ: 社会保障審議会
「異例かつ非礼」「異常事態」、医師需給推計の進め方に疑義
医療部会、ビジョン検討会や医師勤務実態調査を問題視

2016年12月8日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省が12月8日の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)に対し、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の検討状況を説明したところ、「異例かつ非礼」「異常事態」など、医師需給推計の議論の進め方や、厚労省が現在実施中の「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(以下、医師勤務実態調査)の内容について異論が続出した。

 厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」に設置された「医師需給分科会」は、2015年12月のスタート当初、2016年末までに、医師需給推計や医師の地域・診療科偏在対策を議論する予定だった。しかし、今年10月に塩崎恭久厚労相の意向で、ビジョン検討会がスタートしたために、議論がストップ。厚労省は、医師勤務実態調査を踏まえ、ビジョン検討会が2017年2、3月頃に取りまとめを行い、その後に「医師需給分科会」の議論を再開するスケジュールに変更した。

 批判の口火を切ったのは、東京大学政策ビジョン研究センター特任教授の尾形裕也氏。「医療従事者の需給に関する検討会」の構成員や、その下部組織の「看護職員需給分科会」の座長を務める立場から、一連の議論の進め方に対し、「異例かつ非礼だと思っている。納得しているわけではない」と語気を強めた。「看護職員需給分科会」も、2016年末までに報告書をまとめる予定だったが、半年以上遅れる見通しであるとし、2017年に策定が進む第7次医療計画にも医療従事者の需給は関係することから、「関係者に迷惑をかけないようにしてもらいたい。来年(2017年)4月以降、議論が再開したら、迅速かつ効率的な議論ができるように、必要な資料、データを揃えてもらいたい」と要望した。

 「医療従事者の需給に関する検討会」等の構成員を務める、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏も、「ビジョン検討会は、理想や総論の話をしている。なぜ医師需給分科会などの議論をストップしているのかが分からない。構成員に説明もないのは、失礼だと思う」と続いた。

 さらに「異常事態だと思う」と切り出したのは、日本医師会副会長の中川俊男氏。「ビジョン検討会は、医師需給分科会に、屋上屋を重ねて、議論をしている。しかも、非公開であり、その結論を待てというのは、異常事態」と述べ、厚労省に経緯の詳しい説明を求めると同時に、医師勤務実態調査について、「どのようにも解釈できる調査」と指摘し、その調査結果の解析・評価に当たっては、恣意性の排除を求めた。

 もっとも、数々の批判、意見に対し、厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、スケジュールの変更やその説明不足については詫びたものの、医師勤務実態調査の結果を踏まえ、ビジョン検討会で議論することにより、「新たな時代にふさわしい医療・介護従事者の需給推計の在り方の起点」などの成果が得られると改めて説明。医師勤務実態調査は、今後の医師需給推計に用いるが、「科学的で、中立公正、厳しい目で、解析・評価をしていく」と述べ、理解を求めた。

 ビジョン検討会、なぜ非公開?
 厚労省の議論の進め方には、連合総合政策局長の平川則男氏も問題視。「ビジョン検討会は、非公開なので、どんな方向で議論されているのかが、全く分からない。なぜ議事録も非公開なのか」と指摘し、「自由闊達な議論をしたい、というのは非公開の理由にはならない」と切り捨てた。

 これに対し、厚労省医政局総務課長の中村博治氏は、「非公開の理由は、率直な意見交換をするため」と回答。

 医師勤務実態調査、「不適切な選択肢」
 医師勤務実態調査の内容に疑問を呈したのは、日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長の木戸道子氏。「この調査票の設計は、どのように行われているのか。作り方がずさんで、不適切な選択肢がたくさんある」とした。例として、「夜間・休日の勤務体制」として、「オンコール制」「交代勤務制」の二つの選択肢のみで、「当直制」がないことを挙げた。「育児を中心的に行った人」に「ベビーシッター」はあるが、「介護を中心的に行った人」には「ヘルパー」がないなど、選択肢に整合性がない点も問題視した。「正しい現状を把握できないまま、将来の施策に関係する制度設計が行われることに大変不安を覚える」(木戸氏)。

 木戸氏は、ビジョン検討会の内容についても触れ、「医師の勤務環境の改善」という視点が欠けていることから、「『働き方ビジョン』ではなく、『働かせ方ビジョン』にならないようにしてもらいたい」と釘を刺した。

 「調査では、勤務実態把握できず」
 中川氏は、医師勤務実態調査の結果の取り扱いを質問。

 武井医事課長は、「医師の働き方について、タイムスタディを行っており、今の勤務実態が明らかになってくる」と述べ、現状の勤務の課題や将来希望している働き方なども調査していることから、ビジョン検討会ではそれを踏まえて「医師の働き方改革」に資する議論ができると説明した。さらに調査結果は、「医師需給分科会」での医師需給推計の際に活用できるとした。

 この回答に納得せず、中川氏は「あの調査で、勤務実態が把握できると思っているのか」と問題視した。武井医事課長は、医師勤務実態調査のみで、すぐに医師需給推計ができるわけではなく、データの一つとして活用すると繰り返し説明。

 それでもなお中川氏は、「ものすごく時間をかけて議論し、限りなく結論を遅くしようとしているのか」と質し、厚労省幹部に「異常事態ではなく、正常事態に戻すよう、努力してもらいたい」と求めた。


  1. 2016/12/09(金) 06:31:33|
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