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11月20日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/478523
シリーズ: 群馬大学腹腔鏡死亡事故
「ミスをした人を罰する」、エラー防止の最大の障害
医療の質・安全学会、上田・群大外部調査委員会委員長が警鐘

2016年11月20日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 第11回医療の質・安全学会学術集会が11月19日、千葉市で開催され、群馬大学医学部附属病院の肝切除術に伴う医療事故の外部調査委員会の委員長を務めた、奈良県総合医療センター総長の上田裕一氏がシンポジウムに登壇、調査の経緯や苦労に触れつつ、同事故のように、手術の「質」が問題視される場合には、クリニカル・ガバナンスを確立し、再発防止につなげる重要性を強調した。

 手術事故では、とかく外科医個人の手術手技が問題視されがちだが、上田氏は、診療科、ひいては病院全体の問題として捉える必要性を説く。例えば、合併症が起きても、それが相次ぐと「慣れ」が生じ、注意喚起につながりにくくなるため、「集団的注意深さ」が求められるほか、臨床指標を設定し、「質」を測定するなどのクリニカル・ガバナンスが大切だとした。さらに各病院単位ではなく、学会レベルでの取り組みも重要であり、全国規模の全症例登録のデータベースを作成して、「見える化」を進め、手術成績の向上につなげる必要性を強調した。

 2016年7月に外部調査委員会が報告書をまとめた直後、群大は執刀医と担当教授の処分を行ったが、この点も上田氏は問題視(『群大、執刀医と教授を解雇処分』を参照)。「我々の調査は、責任追及を目的とはしていない。しかし、調査報告書を公表した直後に、医師が懲戒処分された。罰せられた人が出た施設で、今後、どれだけ事故報告が出るのか。(医療事故対応に関する)カルチャーが変わらない限り、“セカンド・ビクテム”(第二の犠牲者)が生じる」と警鐘を鳴らし、米ハーバード大学のDr.Lucian Leapeの言葉も引用した。

 「エラーを防止する上で、唯一で最大の障害は、『私たちはミスをしたという理由で人々を罰する』ということである」

 外部調査委員会の報告書には、6人の委員全員が署名している。上田氏は群大事故を含め、これまで計18件の医療事故調査を経験している。「今回ほど、力を入れ、また丁寧に議論してまとめた報告書はない」と上田氏は述べ、事故の教訓を生かすために、本報告書の検証を期待した。

 メディア報道先行で苦労
 上田氏の講演テーマは、「群馬大学病院医療事故調査で“私”が学んだこと」。上田氏は名古屋大学医学部附属病院の副院長として、医療安全を担当するなど、これまで医療事故調査にかかわってきた経験を踏まえ、群大事故を振り返った(『“名大事件”が群大事故調査の手本 - 上田裕一・群大“事故調”委員長に聞く◆Vol.1』を参照)。

 「群大事故の報告書をお読みになった方はどのくらいいますか」。上田氏は講演の冒頭で、会場の参加者に問いかけ、報告書に目を通すよう呼び掛けた。

 続けて、上田氏は「外部調査委員会は特殊な事情でスタートした」と、事故調査立ち上げの経緯と苦労を語った。群大事故は当初、外部委員を交えた院内職員中心の体制で調査を行い、2015年3月に「執刀医に過失あり」との記載がある報告書をまとめた。しかし、世間の批判を受けたことなどから、「過失あり」との記載を消去、外部調査委員会が新たに発足した経緯がある(『死亡事故の背景、「手術数の限界を超え、悪循環」』などを参照)。その上、古い事故は2009年度の事例であり、長い経過が過ぎているほか、メディアの関心も高く、「報道が先行した医療事故調査は苦労することが多い。最終報告に至るまで多くのメディアが注目した」(上田氏)。調査の第三者性を担保するためには、「異なる専門領域」「異なる地域」の委員に依頼する必要もあり、群馬県から離れた奈良県の上田氏に委員長の依頼が来たという。

「死亡事例以外も検証」が特徴
 上田氏らが取り組んだ調査には幾つかの特徴があるが、その一つが調査対象となった肝切除術に伴う18の死亡事例のみではなく、「経年的に手術の変遷、手術実績を概観する」という視点から、死亡事例が生じた期間における成功事例も含めて検証した点だ。

 群大第二外科における2009年度から2014年度までの開腹による肝切除術は計109例で、うち死亡は10例、腹腔鏡(補助)下肝切除術は計103例、うち死亡は8例。時系列的に見ていくと、症例数の累積に伴い死亡率は安定するほか、同時期に複数の重症患者を抱える時期に死亡例が続いたり、腹腔鏡下手術を始めた2010年度から死亡例が続くなどの状況が見えてくる。死亡事故が相次いだ理由などを探るためには、「一例一例のカルテを見るのではなく、全体を見ることが必要」(上田氏)。

 さらに死亡率などの統計的な分析は可能だが、さらに専門的な調査、分析を行うには、事故の関係学会による調査が必要という。群大事故の場合は、日本外科学会が、外部調査委員会が対象にした事例以外の死亡事例も含めて調査を実施した。「群大事故は、手術の質を評価するものであり、「専門学会の協力と支援がなければ調査は不可能だった」と上田氏は振り返る。

 客観的な質評価の指標、必要
 診療科の専門性が細分化していくほど、他領域や他科の医師にとって見ると、他の医師の評価は難しく、自分のコメントに責任を持てず、口出しができない状況があるため、「医療安全管理部門がどこまで介入できるかが問われている」と上田氏は指摘する。

 とはいえ、患者の取り違えや誤薬などの医療事故とは異なり、手術の診療水準の評価は難しい。そこで求められるのが、クリニカル・ガバナンスという視点だ。これは、上田氏らが今回の調査の際に参考とした、イギリスのブリストル王立小児病院事件(手術後の死亡が相次いだ同病院で、特別調査委員会が1984年から1995年の12年間の診療内容を調査)の調査報告書に記載されている概念だ。「提供される専門的医療サービスの質のチェックやモニターと関係者への説明責任に対する体系的なプロセス」であり、「より良い診療を促進し、悪しき診療を防ぎ、容認できない診療を発見することであり、医療組織と医療の質と安全で規律付けるための仕組み」と定義付けられる。

 上田氏は、(1)行った治療がデータベース化されているか(死亡率、術後合併症など治療の質を評価する指標が蓄積されているか、(2)少なくとも重篤な合併症が生じた場合には、病院全体として症例検討会を開催して評価するだけでなく、診療所の問題点が広く共有されているか――などと問いかけ、「医療従事者の認識と『報告する組織風土』が問われている」と語った。

 米ハーバード大学経営学者、Michael E. Porterの言葉も引用、「医師は自分がどのチームに属するか、あるいはかかわるかを理解し、それがチームとして機能するようにしなければいけない」「外科においては、医療の価値は、外科医だけではなく、麻酔科医や放射線科医、看護師、熟練した技師などによっても左右される」と述べ、医師個人や病院には組織として取り組む姿勢が求められるとしたほか、「真の実績評価を可能にする唯一の存在である学会が、患者にとっての医療の評価を改善するプロセスを主導しない限り、学会は自らの役割を果たしていないことになる」と指摘し、症例データベース構築などの取り組みを期待した。

 肝臓内視鏡外科研究会では、2015年10月から前向きに全症例登録制度を開始した。2016年6月までの実績では、死亡率(部分切除、外側区域切除、亜区域切除、区域切除、葉切除)は、術後30日以内0.14%、90日以内0.27%、適応拡大した術式(亜区域切除、区域切除、葉切除)の死亡率は、術後30日以内0.92%、90日以内1.83%などのデータをまとめている。「質」に関する指標を設定、測定する仕組みの構築により、手術適応が厳格になることもあり、手術成績の向上が期待できるという。

 「○○科の患者さんではなく、病院の患者さんと考える必要がある」。講演の随所で、医療事故を組織の問題として捉え、チームとして対応する必要性を説く上田氏。最後は前述のように米ハーバード大学のDr.Lucian Leapeの言葉を引用し講演を締めくくった。

 「エラーを防止する上で、唯一で最大の障害は、『私たちはミスをしたという理由で人々を罰する』ということである」



https://www.m3.com/news/iryoishin/474875
シリーズ: 『「50歳以上ドクター」の悩みと未来』
勤務先への満足度、年齢とともに上昇?◆Vol.5
U35世代より勤務先への不満少なめ

医師調査 2016年11月20日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

Q ご自身の勤務先の環境に満足していますか。
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 勤務先の環境への満足度では、全体で「大いに満足」が4%、「満足」が31%、「普通」が50%となった。開業医と勤務医では大きな違いはなかったが、今年5月に掲載したU35世代と比べると、「普通以上」はU35世代では70%で、85%だった50歳以上の世代の方が勤務先への不満が少ない傾向が見て取れた。



https://www.m3.com/news/general/478512
現役並み所得の高齢者、医療負担の上限引き上げ
2016年11月20日 (日) 読売新聞

 政府が2017年度からの実施を検討している社会保障制度の見直し案が分かった。

 一定の所得がある高齢者の医療と現役世代の介護保険の負担を増やすことが柱だ。具体的には、現役世代並みの所得(年収約370万円以上)のある70歳以上の医療費の自己負担上限額を引き上げるほか、大企業の会社員らの介護保険料を引き上げる。高齢化で膨らむ社会保障費の抑制を目指す。

 医療分野では、毎月の医療費の自己負担に上限を設けている「高額療養費制度」について、現状では、原則として所得にかかわらず69歳以下より低い上限となっているが、現役世代並みの所得があれば引き上げる。対象の所得層は約160万人と見込まれている。



http://economic.jp/?p=68423
医療機関の8割で導入予算・運用予算が1000万未満 医療分野のICT化に課題
2016年11月20日 19:25 エコノミックニュース

エス・エム・エスが病床数20床以上の医療機関に勤務する事務長(108人)を対象に「第4回 医療関連ICT実態調査アンケート」を実施した

 エス・エム・エスが病床数20床以上の医療機関に勤務する事務長(108人)を対象に「第4回 医療関連ICT実態調査アンケート」を実施した。同社によれば、医療関連ICTシステム導入・検討状況の調査では、「医事会計」「自院ホームページ」「画像管理」「栄養・給食管理」で半数以上が導入済みとなっていたほか、新規導入を検討しているシステムとして、「電子カルテ」「オーダリング」「看護業務支援」が上位となった。特に電子カルテに関しては導入検討率が導入率を上回っており導入意欲が高いことが明らかになった。導入済み、新規導入検討システムとして割合が低かったものには、「在宅医療連携支援」「眼科」など、そもそもサービス提供を実施していない医療機関の割合が高いものや、それ以外のものでは「手術管理支援」「経営管理」「透析管理」「物品物流管理」といったものがあり、ICT化へのニーズの低い分野が明らかになった。「地域医療連携支援」に関しては、導入済みの割合は低かったものの新規導入を検討している医療機関が導入率を上回る10.2%あり、地域包括ケアシステムの実現に向けて今後力を入れる必要性を感じている医療機関が出てきていることがうかがえる。

 医療関連ICTシステムの導入・運用予算については、年間の導入予算・運用予算ともに約8割が1000万円未満との結果となっており、こうした予算の制限から、最低限必要なシステム以外での普及が進みにくい構造となっていることがわかる。こうした導入・運用コストの負担から医療のICT化の推進が進んでおらず、クラウドを活用した低廉なモデルの普及が求められている。しかし、クラウドサービスに関してはセキュリテー面・安定性での課題があるほか、カスタマイズにより異なるシステム同士の情報連携面で不安があるようだ。無料のクラウドサービスを導入する可能性については、「検討の余地あり」との回答が電子カルテで92%、地域連携支援で97%、栄養・給食管理で94%と高い導入意欲を示す一方、実際の導入で求める要件として、電子カルテで「安定性」「セキュリテーの堅固さ」「スムーズなデータ移行」「導入済みの他システムとの連携」が、栄養・給食管理で「セキュリテーの堅固さ」「院内他システムとの連携」が挙がっている。また、どちらに関しても「実績」が求められており、先駆的にシステムを導入して成果を出す医療機関の事例増加が、システム普及のためのポイントとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)


  1. 2016/11/21(月) 05:39:54|
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