Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月9日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/474618
シリーズ: 医師不足への処方せん
東京「区中央部」の医師、10年で32%増
高橋・国際医療福祉大教授、「医師偏在対策、全国一律はNG」

2016年11月9日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 1位は「区中央部」で2627人(32%増)、2位は「福岡」で1174人(24%増)、3位が「名古屋」で1113人(19%増)……。

 2次医療圏別に見た、2004年から2014年までの間の「医師数の増加数」の全国トップスリーだ。全国平均は4万834人(15%)の増加。これに対し、東京都の千代田、中央、港、文京、台東の5区から成る、増加数トップの「区中央部」の医師数は、2004年の8204人だったが、2014年には1万831人に達した。土地柄、他の2次医療圏からの患者流入が多いことを割り引いても、医師数の増加は際立つ。

 この分析を行ったのは、国際医療福祉大学医療福祉・マネジメント学科教授の高橋泰氏。「2004年の人口当たりの医師数が非常に多いにも関わらず、医師が激増した地域」は、「区中央部」の他にも幾つかあることから、「これらの地域の医師を、医師不足地域にローテーションさせれば、医師偏在の問題は解消するのでは」と冗談ながらも、半ば真面目に指摘する。

 高橋氏は、2004年と2014年の「医師・歯科医師・薬剤師」調査の結果を基に、2次医療圏ごとに医師数の増減を、この間に起きた2次医療圏の統廃合も踏まえて分析、その結果、非常に興味深い事実が浮かび上がっている。データ分析だけでなく、これまで全国344(2014年時点)の2次医療圏のうち、342の医療圏を自らの足で訪れ、“皮膚感覚”として、地域の医療機関の実情を把握する高橋氏は、厚生労働省などで医師の偏在対策の議論が本格化している折、次のように警鐘を鳴らす。

 「医師不足の現状は、地域による差が大きく、国が一律の施策を講じても、問題は解決しない。マクロの視点ではなく、ピンポイントで各地域の問題を分析し、対策を考えることが重要」

 「医師過剰地域」でも医師激増

 高橋氏は、分析結果の一部を、10月9日の第58回全日本病院学会でも発表、多くの参加者の関心を集めた。11月下旬には、日医総研のホームページに詳細結果を掲載予定だ。

 2004年から2014年までの間、全国の医師数は27万371人から31万1205人へと4万834人、率にして15%増加。344医療圏(2014年10月時点)のうち、医師数が増加したのは233医療圏、減少は111医療圏だ。

 人口数や人口密度から、2次医療圏を「大都市」「地方都市」「過疎地域」という3区分に分けることもでき、「大都市」に該当する2次医療圏の医師数は21%増、「地方都市」12%増だったのに対し、「過疎地域」は3%減少した。

 2004年の人口当たりの医師数が非常に多いにも関わらず、2014年までの間に、医師が激増した2次医療圏の代表例が、「区中央部」のほか、東京都の「区西部」(5235人から982人増の6217人)、千葉県の「安房」(378人から202人増の580人)、京都府の「京都・乙訓」(5627人から1042人増の6669人)など。

 一方、「2004年の人口当たり医師が少ないにも関わらず、2014年までの間に、医師が減少した地域」「2004年の人口当たり医師が少ないが、2014年までの医師が激増し、医師不足が緩和された地域」があり、全国平均で15%医師が増えたものの、2次医療圏別に見ると、明暗は分かれる。

 東京周辺でも医師が充足傾向に

 首都圏の場合、東京都中心部は人口が多く、その周辺の千葉、埼玉の医師の少なさが問題視されることが多いが、「高齢者の増加のスピード以上に、医師は増加している」と高橋氏は指摘。過去10数年以上にわたり、「高校生の医学部進学志向」が高まっており、東京をはじめ、首都圏の進学校の高校生が地方大学の医学部に進学、卒業後は戻りたいと考えても、東京都中心部は医師数の増加が著しいため、周辺地域に流れたのでは――と高橋氏は見る。

 ただし、関東でも千葉県の「香取海匝」「山武長生夷隅」、茨城県の「鹿行」など、「東京から通勤するのが難しい地域」(高橋氏)では、医師不足は解消されていない。

 また高橋氏が、興味深い地域として挙げるのが、愛知県の「尾張中部」。「2次医療圏単位で見れば、日本を代表する医療過疎地」(高橋氏)だが、面積は狭く、「名古屋」「尾張西部」(一宮市などを含む)などの2次医療圏に隣接しており、「名古屋や一宮へのアクセスは良く、とても医療が充実している地域と言える」(高橋氏)。

 病院、診療所別でも医師数の増減分析

 高橋氏は、2次医療圏別の医師数の増減について、病院、診療所勤務別にも分析している。東京の「区中央部」は、いずれも増加率は全国1位。内訳は、病院医師数が2004年の5757人から、2014年は1556人(27%)増の7313人、診療所医師数は2004年の2447人から、2014年は1071人(44%)増の3518人。

 医師の偏在対策を考える場合、医師の供給側の要因としては、地域別、病院・診療所別に加え、診療科別の現状のほか、現在働いている医師の年齢構成や勤務実態、2008年度から2016年度までに1637人増員した医学部の卒業生の今後動向など、医師の需要側の要因としては、人口動態をはじめ、さまざまな要素を勘案して検討する必要がある。その結果、導き出される課題や施策は、地域によって多種多様であり、「“ご当地医療”の考え方で、対策を講じていくことが必要」と高橋氏は指摘している。



https://www.m3.com/news/general/475155
酒気帯びの医師を停職7日 危篤患者に対応と軽減
2016年11月9日 (水) 共同通信社

 長崎県は8日、酒気帯び運転をした県対馬病院(対馬市)の男性医師(59)=同市=を停職7日の懲戒処分とし、管理職から一般職に降格したと発表した。通例では免職に相当するが、危篤状態の患者の元に向かっていたことを考慮し、処分を軽くしたとしている。

 病院を運営する長崎県病院企業団によると、医師は7月9日未明、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕された。自宅で発泡酒3本を飲んで眠り、約6時間後に病院から呼び出しを受けて乗用車を運転していた。企業団の聞き取りに「お酒は抜けていると思った」と説明したという。

 10月に厳原簡裁から罰金30万円の略式命令を受け、納付した。



https://www.m3.com/news/general/475239
「手術遅れて死亡」山形大が争う構え 遺族、賠償請求
2016年11月9日 (水) 山形新聞

 急性大動脈解離により山形大付属病院(山形市)で死亡した米沢市の男性=当時(52)=の妻ら遺族が山形大に対し、手術の遅れが原因として慰謝料など約1億1800万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が8日、山形地裁であった。大学側は答弁書を提出し、請求棄却を求めて争う姿勢を示した。

 訴えに対する認否、反論は答弁書になく、大学側は次回期日までに主張するとした。一方、原告側も準備書面を提出。手術予定日は調整中だったとする病院側に対し、当時の手術室の使用状況や、担当医の勤務状況などの説明を求めた。

 訴状によると、男性は2015年3月30日朝、別の医療機関を受診し大動脈解離が判明。同病院に転院搬送され、集中治療室に入ったが、午後10時すぎに死亡した。深刻化が見込まれた症例で、遺族は「緊急に手術すべきだった」と訴えている。



http://mainichi.jp/articles/20161109/ddl/k15/100/260000c
介護ロボット
新任医師ら体験 上越の特養ホームで /新潟

毎日新聞2016年11月9日 地方版

 今年度、新たに上越市内などの病院に採用された医師らが8日、同市安塚区の特別養護老人ホーム「あいれふ安塚」を訪れ、実証実験が進められているコミュニケーションロボットや介護支援用機器の活用を見学、体験した。

 県による臨床研修・地域保健研修の一環で、医師4人と歯科医師2人が参加。6人はまず、腰痛を防ぐために開発された介護支援用ロボットスーツ「HAL」を体験した。

 HALは腰に装着することで、お年寄りを抱えたり、重たいものを持ち運ぶ際の補助となるもので、筋力の約40%をサポートしてくれる。6人は実際に水10リットルが入ったポリタンクを持ち上げ、装着した場合としていない場合を比較。医師の山崎仁史さん(27)は「装着がシンプルで使いやすい。老老介護の現場でも使えるのではないか」と評価していた。

 その後、6人はコミュニケーションロボットの使い方を学び、集団レクリエーションを見学。太田雅俊施設長は「いいと思ったことは、ぜひやってください」とエールを送っていた。【浅見茂晴】



http://mainichi.jp/articles/20161109/ddl/k09/040/193000c
佐野市民病院
民営化「おおむね理解」 市政策審答申へ /栃木

毎日新聞2016年11月9日 地方版

 佐野市民病院の経営形態について市から諮問を受けた市政策審議会(委員長・三橋伸夫宇都宮大教授、委員17人)は8日、第4回会議を開き、病院を民間に譲渡して民営化を目指す市の方針について「おおむね理解する」とする答申案をまとめた。近く岡部正英市長に答申する。

 不採算部門の切り捨てなど民営化後の病院機能などについて不安が残るため、民間譲渡について市民や患者、医療スタッフに十分説明する ▽譲渡先に医療サービスの向上に取り組ませる ▽担当セクションを設置し、譲渡先などと十分に協議する--ことを市に求める付帯事項を付ける。

 佐野市民病院は深刻な医師不足による経営難を背景に2008年10月、指定管理者制度を導入。医療法人財団「青葉会」(本部・東京)が運営を引き継いでいる。市は、青葉会との指定管理協定が18年3月末で満了することから、18年度以降の病院の経営形態について検討。今年5月に民間譲渡を目指す方針を打ち出した。市民生活に直結する課題のため、市の重要政策についての諮問機関である市政策審議会で、民営化の是非について議論を重ねてきた。【太田穣】



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49940.html
厚労省・元医系技官の新たな挑戦- ネット社会の「かかりつけ医」を模索
2016年11月09日 10時00分 CB News

 11月1日、東京都渋谷区のJR代々木駅から歩いて10分以内にあるのに、駅周辺の喧騒がほとんど聞こえない閑静な住宅街に、内科や小児科などを標榜する「みいクリニック」がオープンした。

 このクリニックで院長を務める宮田俊男(41)は、同区本町で昭和30年代に開業した伊村診療所の地域医療に取り組む「こころ」を引き継ぐ形で開業した。すでに閉院した伊村診療所の伊村欣祐院長と、妻の千春医師は、共に昨年他界した。みいクリニックは、伊村診療所のあった場所から、約1キロしか離れていない。

 みいクリニックの診察室は、当時の伊村診療所の診察室と見紛う雰囲気を再現しており、故・伊村夫妻の長女は驚いた。また、診察室と待合室を隔てる壁はあえて白色を使わず、木製の板をニスで塗装し、木の優しい雰囲気をそのまま使っている。内装のほとんどは、患者会を含めたボランティア有志約15人が休日に集まって仕上げた。

 待合室は、患者会や地域住民が集えるカフェの機能も兼ねており、がんの治療経験者や患者会の人が受付を担当している。そこには伊村診療所で長年使われていた、赤ちゃんを横に寝かせながら測る木製の身長計と赤ちゃん用の体重計がインテリアとして置かれている。

■1年3カ月前、診療所を地域のために残してほしいと頼まれた

 宮田は変わった経歴を持つ。渋谷区で幼少期から大学生までを過ごした。宇宙工学を志望して早大理工学部に入学。その後、人工心臓に出会い、医師になろうと阪大医学部に入り直した。卒業後、外科専門医となり、心臓外科医となった。

 同大医学部附属病院や三井記念病院などでの勤務後、厚生労働省の医系技官となり、社会保障の安定と財源確保を目指した2012年の社会保障・税一体改革の草案づくりで、事務局の一員として永田町と霞が関を奔走した。

 宮田は厚労省を退官後、外科医に復帰するとともに日本医療政策機構(黒川清代表理事)に参画し、政府や地方自治体の医療政策のアドバイザーを務めるなど、多忙な毎日を過ごしていた。そんな中、1年3カ月前に伊村診療所の故・伊村夫妻の長女から、「診療所の後継ぎがおらず、地域に申し訳なくて困っている」との相談を受けた。

 伊村院長は、宮田家の「かかりつけ医」だった。宮田は「こう見えて、小さいころは細くて病気がちだった」と笑いながら当時のことを振り返る。小学1年の1年間のうち、30日は休むほど病弱だった。宮田の母親は、息子が発熱などをするたびに伊村診療所に駆け込んだ。夜中に扉をたたくこともあった。

 中学1年の時だった。1週間ほど、原因不明の40度の高熱が続いた。その時も、伊村診療所に世話になった。「今、思うと、代々木公園で遊んでいた時に蚊に刺されたことによるデング熱だったのではないか」と話す。中学3年になると、おたふく風邪にかかり、3週間近く自宅で療養しなくてはならず、伊村院長は毎日のように往診に来てくれた。

■「臨床医として地域医療連携のモデル示したい」

 「厚労省を退職して講演などで全国を巡る中で、医療政策のあるべき姿を提言するだけではなく、臨床医として地域医療連携の政策などを実践してみたいとか、少しおこがましいですが、いつかモデルを示したいと思っていました」-。宮田は開業に踏み切った胸の内を明かす。

 診療所を引き継いでほしいという依頼は、グッドタイミングだった。宮田が伊村診療所の地域医療に取り組む「こころ」を継承することを決めるのに、長い時間はかからなかった。それに一緒に取り組む多くの仲間がそろっていた。

 住宅街にある みいクリニック の周りでは、閉院する診療所が相次いでいる。診療所の後継ぎ難の問題が深刻化しており、都内では同じような状況が、ほかの住宅街などで起きている。一方、最近の開業は「ビル診」といって、駅中や駅に併設されたビルに集中している。事実、みいクリニック周辺に住む高齢患者の多くは、家から離れた「ビル診」まで足を運んで、診療を受けなくてはならなかった。

 宮田は みいクリニック の開業が、診療所の後継ぎ問題や、地域医療をめぐるさまざまな医療課題の解決につながると期待している。

 「診療所で24時間365日、一人で地域医療を背負っていくのは大変です。ここが診療所のグループの一つのハブになり、多くの医師や看護師、薬剤師が関与する新しい形の診療所ネットワークを目指しています。多くの医師が複数の診療所を支え、一人の医師が診療所で診察している間に、もう一人がへき地や新興国の医療に対応することもできるし、ICTで互いの診療分野を補完し合えると思っています。ネットワーク社会に対応した診療所、さらには都市型のかかりつけ医のあり方を模索していきます」 =敬称略=



https://www.m3.com/news/general/475260
筑波記念病院:腹部大動脈瘤破裂、103歳の手術成功 /茨城
2016年11月9日 (水) 日新聞社

 筑波記念病院(つくば市要、小関迪総院長)は8日、腹部大動脈瘤(りゅう)破裂の103歳の男性患者に対する人工血管を装着する手術に成功したと発表した。この病気で、100歳超の高齢患者の救命例はまれだという。

 大動脈瘤は、大動脈がこぶのように膨らむ病気で、破裂すると大量出血で命に関わる。同病院によると、筑西市内に住む103歳の男性患者が今月4日、強烈な背中の痛みを訴えて同市内の病院に運ばれた。腹部大動脈瘤破裂と診断され、同日中に筑波記念病院の心臓血管外科に救急搬送。両脚の付け根を切開して細い管を挿入。人工血管を動脈瘤のある部分に届けて装着し、動脈瘤に血液が流れ込まないようにする手術をした。

 同科によると、手術は成功し、男性患者は8日に集中治療室から一般病棟に移った。食欲もあり、自力で歩けるほどに回復した。

 当初は高齢で全身状態が悪化しており、手術に耐えられる可能性は低いと考えられた。同科の末松義弘部長は「患者本人が倒れる直前まで元気で体力があり、家族も治療を希望したことから手術に踏み切った。高齢というだけで手術を諦めるのではなく、可能な場合は積極的な治療に努めたい」と話している。【大場あい】



https://www.m3.com/news/iryoishin/475301
薬価、10万円ダウンでも問題なし?
トルツ薬価再申請、企業戦略と薬価算定方式に異論続出

2016年11月9日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月9日、23成分、35品目の薬価を承認したが、尋常性乾癬などに適応を持つトルツ皮下注(一般名イキセキズマブ)については、製薬企業の経営姿勢に対し、委員から厳しい指摘が続出、薬価算定方式にも問題があることから、2018年度改定に向けて、抜本的な見直しを求める声が相次いだ(資料は、厚生労働省のホームページ)。薬価基準収載は、2016年11月18日の予定。

 トルツ皮下注は、今年8月の中医協総会で、24万5873円(80mg1mL1筒)の薬価で承認されたものの、その後、日本イーライリリーは薬価収載を取り下げた。今回再申請され、決まった薬価は、14万6244円(同)。日本医師会副会長の中川俊男氏は、薬価が約10万円も下がった点を挙げ、「企業は、これで十分にやっていけるということか」と指摘、その上で「企業戦略に翻弄されてはいけない」と問題視した。薬価算定方式における外国平均価格調整は、「製薬企業の希望小売価格である、アメリカの価格」(中川氏)に左右される場面が多いことから、比較対象国からアメリカを除外するなど、2018年度改定において薬価算定方式を抜本的に見直すよう強く求めた。

 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏も、いったん中医協で承認されたにもかかわらず、製薬企業の論理で薬価収載を取り下げ、再申請された点を挙げ、「中医協の審議を経ないまま、取り下げることが可能なのか」と一連のプロセスを問題視。中川氏と同様に、約10万円薬価が下がった点にも触れ、薬価算定に当たって上乗せされる製薬企業の営業利益の在り方も2018年度改定に向けた検討課題であるとした。

 多岐にわたる指摘や批判が噴出したが、新薬の薬価算定における外国平均価格調整と営業利益率の在り方、いったん中医協で薬価が承認された新薬の薬価収載取り下げの手続き、新薬創出のイノベーションの原資――という論点に集約できる。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、この日の中医協総会での指摘事項を踏まえ、2018年度薬価制度改正に向けた議論を進めていくと回答した。

 為替レート変動で外国平均価格調整の対象外に

 トルツ皮下注は、今年8月24日の中医協総会で、日本イーライリリーが申請した14万6244円から、外国平均価格調整が行われ、24万5873円(80mg1mL1筒)に引き上げられた。高薬価になったことから、(1)「尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」において、既存治療で効果不十分な場合に使用、(2)(1)の場合、同種同効で薬価が安いルミセフ皮下注をまず使用し、トルツ皮下注を用いる場合には、レセプト等にその臨床的理由を記載――という内容の留意事項通知が出されることになった(『「同種同効なら低薬価品」、厚労省が留意事項通知』を参照)。

 しかし、同社は、8月31日に薬価基準への収載取り下げを行った。高薬価かつ留意事項通知付きでは、普及が見込めないとの経営判断とみられる。

 外国平均価格調整とは、算定された薬価が(1)1.25倍を上回る場合には引き下げ調整、(2)0.75倍を下回る場合は引き上げ調整」を行う仕組み。比較対象国は、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツの4カ国で、当該薬剤が販売されている国の薬価を基に調整を行う。為替レートの関係から、8月の時点では、アメリカ58万6001円、イギリス20万2500円、外国平均価格39万4251円で、トルツ皮下注の薬価が引き上げ調整された。しかし、今回はアメリカ55万6455円、イギリス18万4500円。「最低薬価の3倍を上回る国の薬価は対象外」とするルールがあることから、結局、外国平均価格はイギリスの18万4500円とされ、(1)と(2)のいずれにも該当せず、外国平均価格調整は行われず、トルツの薬価は、日本イーライリリーの申請通り、14万6244円に決まった。

 「米国と日欧の比較、フェアではない」

 日医の中川氏はまず、一連のプロセスと外国平均価格調整の方法を問題視、「為替レートの推移を見ながら、調整がかからないように上手に企業戦略としてふるまったという理解でいいか」「場合によっては、(薬事承認から原則)60日以内、遅くとも90日以内、薬価基準収載するというルールは守らなくていいのか。メーカーの勝手ということか」などと問い質した。トルツ皮下注の製造販売承認日は、2016年7月4日だ。

 厚労省が薬価収載の再申請を指定した期日は、10月3日。同省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、「薬価算定組織の議論に間に合うように期日に設定した」と述べ、「60日ルール」「90日ルール」は、原則守るものだが、その期間内に収載されないこともあり得ると説明した。

 中川氏はさらに、外国平均価格調整に用いる諸外国の価格についても問題視。「アメリカの価格は、メーカー希望小売価格。これに対し、欧州と日本の薬価は公定価格。これらを同列に並べるのはフェアではない」と指摘し、アメリカを比較対象国から除外するなど、外国平均価格調整の在り方の抜本的な見直しを求めた。

 日本病院会常任理事の万代恭嗣氏も、「リストプライスではなく、マーケットプライス(実際の取引価格)で提示してもらいたい。しかし、後者の把握には、一定程度の費用がかかるため、あくまでアメリカの薬価は参考程度にする、とした方が現実的」と中川氏の意見を支持。

 そのほか、中川氏は、「新薬開発のイノベーションを、政府が成長戦略として位置付けることに異論はない。しかし、営利企業である製薬企業のイノベーションを促すために、公的医療保険の診療報酬の加算を原資として使うのは無理がある」とも述べ、経済産業省予算を例に挙げ、補助金等を確保する必要性を指摘した。

 「トルツの薬価収載取り下げ、業界紙で知った」

 健保連の幸野氏は、トルツ皮下注の薬価収載取り下げは「業界紙で知った」と切り出し、中医協という場で承認した薬価を、製薬企業の戦略で取り下げることが可能な現行ルールを問題視した。取り下げるだけの明確な理由を提示してもらい、中医協で議論、承認するという手続きをルール化するよう求めた。

 さらに幸野氏は、「薬価が約10万円下がっても、企業として成り立つのだと、改めて支払側として感じた。薬価の中に、どの程度の営業利益が入っているのか、隠されている営業利益は相当なものがあると、疑わざるを得ない」と指摘、薬価算定方式における営業利益率の在り方も、次回改定に向けた課題とした。



http://www.medwatch.jp/?p=11133
DPCの機能評価係数II、2018年度の次期改定で再整理―DPC評価分科会
2016年11月9日|医療・介護行政をウォッチ Medwatch

 DPCの機能評価係数IIについて、2018年度の次期診療報酬改定で全体を「再整理」する―。

 9日に開かれた診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会で、こういった方針が確認されました。

 また医療機関群についても、要件や参加ルールとともに、名称(I群、II群、III群)の見直しも検討していくことになります。

ここがポイント!
1 I群・II群・III群の体系は維持するが、名称や要件を見直す方向か
2 機能評価係数II、後発品係数と重症度係数を中心に「再整理」を実施
3 ICD10(2013年版)に基づくコーディング、2017年4月以降もDPC事務局で実施

I群・II群・III群の体系は維持するが、名称や要件を見直す方向か

 DPC制度については、2016年度の診療報酬改定附帯意見で、▼調整係数から機能評価係数IIへの置き換えに向けた適切な措置を講じる▼医療機関群・機能評価係数IIの在り方を検討する―こととされています。

 厚生労働省は9日のDPC分科会で、当面(2016年度中)の検討課題として(1)基礎係数(医療機関群)の在り方(2)調整係数の在り方(3)機能評価係数II―を掲げ、それぞれについて次のような論点を提示しました。今年度(2016年度)内に方向を固め、来年(2017年)4月以降、個別事項について具体的な制度設計の議論が行われる予定です。

(1)基礎係数(医療機関群)の在り方

▼各医療機関群について、「基本的な診療機能に着目した群ごとの適切な基礎係数(出来高点数の平均値)を設定する」との趣旨を踏まえた現行の在り方をどう考えるか

▼医療機関群の要件設定や参加に係るルールをどう考えるか

(2)調整係数の在り方

▼置き換えとともに、激変緩和措置の対象病院についてのより詳細な分析が必要ではないか。また激変緩和対象病院への今後の対応をどう考えるか

(3)機能評価係数II

▼各係数の趣旨や導入目的に鑑み、全体の「再整理」が必要ではないか。その際、重み付けを行うことをどう考えるか

▼重症度係数について、実績や役割の検証が必要ではないか

▼医療機関間の機能分担・連携を推進するような機能評価係数IIの在り方をどう考えるか

 

 (1)の医療機関群については、診療報酬支払のための分類というよりも、「病院の格付け」要素として受け止められている現実があります。小山信彌分科会長(東邦大学医学部特任教授)や井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)は「折に触れて格付けではないと説明するが、なかなか受け入れられない」との現実を強調。また福岡敏雄委員(公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院総合診療科主任部長)は、「II群を目指すために、要件として評価されにくい診療科(例えば産科など)を縮小しているという話を聞くと複雑な気持ちになる」と訴えます。

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II群の要件の概要


 この点について美原盤委員(公益財団法人脳血管研究所附属美原記念病院長)は「基礎係数の評価シェアが機能評価係数IIよりも大きいとの印象が拭えないために『II群を目指したい』との心情が働くのではないか」と分析します。

 こうした意見を踏まえて、具体的な見直し方向を探っていくことになりますが、藤森研司分科会長代理(東北大学大学院医学系研究科・医学部医療管理学分野教授)は「各委員が、具体的な見直しモデルを持ち寄り、それに基づいて議論してはどうか」と提案しています。そこでは以前に検討された「絶対的な基準(現在はI群の最低値をクリアするという相対的な基準)」なども議論される可能性があります。

 また「III群の細分化」なども議論される可能性がありますが、厚労省保険局医療課の担当者は「委員の意見を聞く限り、現在のI群・II群・III群の体系を維持しながら、要件などを見直していく方向になるのではないか」と分析しています。なお小山分科会長は、医療機関群が「格付け」になっている背景には「I群、II群、III群」という名称もあるのではないかとし、「名称の見直し」も検討する考えを示しました。
 

 また(2)については論点どおり「激変緩和対象病院」の分析を進め、その結果を踏まえて議論する方向が確認されました(関連記事はこちら)。

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調整係数から機能評価係数・機能評価係数IIへの置き換えが進んでおり、2018年度の次期改定で完了する予定となっている

機能評価係数II、後発品係数と重症度係数を中心に「再整理」を実施

 (3)の機能評価係数IIについては、全体的な「再整理」をする方向が厚労省から示されました。現在の機能評価係数IIは、大きく「全DPC病院が目指すべき望ましい医療の実現」に向けた係数・指数(例えば保険診療指数や効率性指数など)と「社会や地域の実情に応じて求められている医療の実現」に向けた係数・指数(例えば地域医療指数など)に分けられており、この構造を維持しながら再整理を行うことになります。これに対する異論は出ませんでした。

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機能評価係数IIは、大きく「全DPC病院が目指すべき望ましい医療の実現」に向けた係数(保険診療指数など)と「社会や地域の実情に応じて求められている機能の実現」に向けた係数(地域医療指数など)に分けることができる

 ただし、当初からある6項目(保険診療、効率性、複雑制、カバー率、救急医療、地域医療)は、病院の基本的な機能を評価するものゆえ現在の体系を維持し、その後に導入された項目(後発医薬品、重症度)を中心に、基本的な考え方から見直していくことになりそうです。とくに2016年度改定で導入された重症度係数については「ゼロの病院もあるが、重症患者を受け入れていないわけではない」との批判が分科会でも出されており(福岡委員や山本委員)、どのように見直されるのか注目が集まります。

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2016年度改定で導入された「重症度係数」の概要

 また井原委員は、「DPCの機能評価係数IIは読めば読むほどよくできていると感じるが、その分複雑で、説明に苦労する。例えば保険診療指数1つをとってもさまざまな視点が盛り込まれている」と述べ、複雑さを解消するために再整理が好ましいとの見解を表明。さらに「再整理をすることで重み付けができる可能性もある」と指摘しました。

 重み付けについては、2016年度改定に向けた議論の中で「技術的に困難」と判断されましたが、厚労省保険局医療課の担当者は「要件を満たせば1ポイント、満たさなければゼロポイント」という評価体系の中で「要件の満たし方によって2ポイント、あるいは0.5ポイントといった評価」を拡大していくイメージを持っていることを述べています。

 また山本修一委員(千葉大学医学部附属病院長)や金田道弘委員(社会医療法人緑壮会理事長兼金田病院長)は「地域における機能分化・連携を機能評価係数IIで評価する」ことを強く要望しています。特に金田委員は、▽地域医療連携を評価する診療報酬項目(診療情報提供料や退院調整加算など)の算定割合に応じた評価▽地域医療連携推進法人に対する評価―などの具体案も示しました。来年度(2017年度)以降、個別事項を議論する中で検討されることになります。

 さらに、こうしたテーマに関連して池田俊也委員(国際医療福祉大学薬区部薬学科教授)は「医療の質の評価に関する研究が進んでおり、そうした視点からの機能評価係数IIも検討してはどうか」「例えば循環器疾患について高いパフォーマンスの病院があったとして、病院全体ではなく、病院の循環器疾患患者について評価を行うことも検討すべきではないか」と提案しています。来年度からの個別事項の中で検討される可能性があります。

ICD10(2013年版)に基づくコーディング、2017年4月以降もDPC事務局で実施

 9日のDPC分科会では、ICD10(2013年版)への対応方針も固まりました。

 2018年度改定以後、ICD10(2013年版)に沿ったDPCコードで請求を行うため、「現在のICD10(2003年版)に基づくコーディング」と「見直し後のICD10(2013年版)に基づくコーディング」の2つのデータが必要となります。前者は2018年度改定までの診療報酬を請求のために、後者は新DPC点数設定のために必要なのです。

 この点について厚労省は、9月12日の前回会合で(1)2016年10月-2017年3月は、DPC事務局で2013年版のコーディングを行う(病院でのコーディングは2003年版のみ(2)2017年4月以降は各病院で2013年版のコーディングを行う(病院でのコーディングは2003年版と2013年版の2つ)―という提案をしていましたが、委員からは「病院の負担が重すぎる」との反対意見が出されました。

 そこで今般、新たに(2)の2017年4月以降も「DPC事務局で2013年版のコーディングを行う(病院でのコーディングは2003年版のみ)」とすることが厚労省から提案され、了承されました。

 ただし、2013年版のDPC事務局によるコーディング内容について各病院での確認作業は必要となります(2017年4月以降)。この点、厚労省保険局医療課の担当者は「確認が必要な部分を明示するなどし、病院の負担軽減に努める」ことを明確にしています。

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ICD10(2013年版)への対応方針、厚労省は当初上段の提案をしていたが、病院に負担に配慮し後段の提案に切り替えた。各病院は「2003年版に基づくコーディング」と、「DPC事務局が行った2013年版に基づくコーディングの確認」のみを行う


  
  1. 2016/11/10(木) 06:14:12|
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