Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月29日 

https://www.m3.com/news/general/472088
レーザー手術やけど、腸内ガスに着火か 東京医大調査委
2016年10月29日 (土) 毎日新聞社

 東京医科大学病院(東京都新宿区)で4月、手術中の女性患者が大やけどを負った火災で、同病院は28日、患者の腸内ガスがレーザー手術器の照射により着火し、手術用の布(ドレープ)に燃え移ったことが原因だった可能性が高いとする外部調査委員会の報告書を公表した。

 火災は今年4月15日、同病院の手術室で、産科・婦人科の医師がレーザー手術器を使って女性患者の手術を行っていた際に発生した。ドレープに火が付き、患者は腕や足などに大やけどを負った。

 報告書によると、レーザー手術器は正常に作動し、異常加熱や漏電など誤作動は確認されなかった。また手術前の準備などにも問題はみつからなかった。

 こうしたことを踏まえ、報告書は、腸内ガスが何らかの原因でレーザー照射により着火し、ドレープが燃えた可能性が高いとしている。報告書は、過去に同様の事故がないことなどを理由にこうした原因について「可能性の域を脱することができない」とも述べた。

 そのうえで報告書は、安全対策を講じるとともに、他の医療機関などに周知することを病院に求めた。病院の担当者は毎日新聞の取材に「今後も患者の治療などについて誠意を持って対応していく」としている。

 警視庁新宿署は医師から事情を聴くなど火災の原因を調べている。【神保圭作】



https://www.m3.com/news/general/472108
横浜入院患者連続殺人、大口病院に13項目指導 来月18日まで、市に改善報告書
2016年10月29日 (土) 毎日新聞社/神奈川

 横浜市神奈川区の大口病院で入院患者2人が中毒死した事件に関連し、横浜市は28日、事件後の臨時立ち入り検査で院内の問題点が明らかになったとして、13項目について行政指導して改善を促した。病院は11月18日までに改善報告書を提出する。

 市が改善を促したのは、入館時だけでなく、退館時も記録をとり、面会証を導入する▽ナースステーションが無人とならないように看護師の増員を検討する――など13項目。職場でのトラブルなどによる職員の心理的な負担を測る検査の導入も促した。病院を巡って、事件前に院内のトラブルを知らせるメールが市に寄せられていた。

 医療法に基づいて改善を求めた項目は、院内感染を疑ったときは感染対策委員会を開き、議事録を残す▽カルテを紛失したときは患者の家族に説明する――など三つだった。

 一方、7月から9月20日に4階の病棟で48人が亡くなった点の検証は「医療法に基づいて確認ができない」として断念した。

 市は年に1度、市内の病院に定期的な立ち入り検査をするが、事件を受けて大口病院に今月11日に臨時立ち入り検査を実施した。院長、看護部長ら幹部に事件後の安全管理体制についてヒアリング。点滴や消毒液を施錠して保管▽防犯カメラの設置▽警備員の増強――などの取り組みの説明を受けた。

 大口病院は今月21日に初診を除いた外来の診療を再開。入院の受け入れは行っていないという。【水戸健一】



https://www.m3.com/news/general/472107
筋弛緩剤紛失、茨城・古河の病院で50ミリグラム、3人分の致死量
2016年10月29日 (土) 毎日新聞社

 茨城県古河市の友愛記念病院は28日夜、医薬品医療機器法(旧薬事法)で毒薬に指定されている筋弛緩(しかん)剤「エスラックス」50ミリグラムが院内から紛失したと発表した。大人3人分の致死量に当たるといい、盗難の恐れもあることから警察や保健所に紛失を届けるとしている。

 同病院によると、紛失したエスラックスは薬品用保冷庫に入れていた。最後に確認された28日午前9時20分ごろから、紛失に気づいた午後0時20分ごろまでの約3時間の間に持ち出された可能性があるという。同病院は茨城県民生活協同組合が運営。県の地域がん診療連携拠点病院の指定を受けている。【鈴木加代子】



http://www.sankei.com/life/news/161030/lif1610300015-n1.html
オプジーボ、250以上値下げを検討 日本は薬価見直しせず高止まり 厚労省
2016.10.30 05:00 産経ニュース

 高額ながん治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省が海外の価格を参考にするルールを応用し、現状より250以上の薬価引き下げを検討していることが29日、分かった。

 厚労省は5日、予想を大きく上回って売れた薬の価格を見直す現行ルールを特例的に用い、最大で25%引き下げることを厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)に提案。しかし、塩崎恭久厚労相は6日の参院予算委員会で、日本では100ミリグラム約73万円のオプジーボが欧米では半値以下と答弁。14日に開かれた経済財政諮問会議では民間議員らが50%以上の引き下げを求めた。

 こうした要望に応えるため、厚労省は引き下げ幅を最大25%から25%以上とすることで調整。11月9日に開催予定の中医協の専門部会に提案する。平成30年に予定される次回の薬価改定を待たず、来春にも特例的な大幅値下げが実施されそうだ。

 小野薬品工業(大阪)が販売するオプジーボの価格は、日本では100ミリグラム約73万円で、体重60キロの肺がんの患者が1年間使うと年3500万円かかる。全国の医師らで構成する全国保険医団体連合会(保団連)は9月6日、会見でオプジーボが米国で約30万円、英国で約15万円であるとの試算を発表。日本の価格はあまりに高額で、緊急に値下げするよう要望した。

 医療保険で使える薬の価格「薬価」は、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」が了承して決まる。しかし、中医協に提出される薬価原案を作る会議は非公開で、どのような議論があったかは不明。保団連は「途方もない薬価を算定した」と厚労省を厳しく非難した。

 オプジーボの価格はなぜ日本で突出して高いのか。厚労省によると、欧米で販売されている薬に値段をつける際は欧米での価格を参考にするが、オプジーボは日本で最初に“値付け”が行われた。その際に「途方もない薬価」がついた理由は2つある。

 1つは、オプジーボがこれまでにない働きを持つ新薬だったことだ。画期的な薬と評価され、評価が値段に反映された。

 もう1つは、オプジーボが患者が年470人と想定される「悪性黒色腫(メラノーマ)」という市場規模の小さいがんに対して最初に承認されたことだ。オプジーボには似た薬がなく、薬を使うことが想定される患者数で材料費や開発にかかった費用を割る方法で値段が付けられた。

 しかし、その後に数万人の患者がいる肺がんに適応が拡大。現行制度は適応拡大による薬価見直しを行わないため、高い価格で据え置かれているのだ。

 ただ、薬価は日本より安いといっても、海外では日本と同じように使えるわけではない。欧米でオプジーボを販売する米製薬企業ブリストル・マイヤーズスクイブによると、英国では悪性黒色腫には公的な医療保険が適用されるが、肺がんではまだ使えない。公的保険の適用に費用対効果が厳しく判断されるからだ。

 小野薬品の担当者は「日本の価格が高いのは事実だが、米国では製薬企業が薬価を決めるなど各国で制度が違い単純比較は難しい。民族の体格差もあり100ミリグラムの価格差と実際に患者に投与される平均的な価格差は異なる」と話す。

 中医協では平成30年に予定される次回の薬価改定を待たず、来春にも特例的な引き下げを行う方向で議論が進む。だが、そもそも日本発の革新的新薬の開発は安倍政権の成長戦略のひとつ。現行ルールにない特例による引き下げには、「企業の開発意欲をそぐ」(製薬企業幹部)、「日本の薬価制度への信頼を低下させる」(米製薬団体幹部)との批判も上がっている。(道丸摩耶)



http://mainichi.jp/articles/20161030/ddm/001/040/067000c
ストーリー
産科医たちの挑戦(その1) すべての子に家庭を

毎日新聞2016年10月30日 東京朝刊

 白い肌着に包まれた赤ちゃんをそっと両腕に抱くと、父親になる男性(40)の顔がほころんだ。「かわいい。こっち見てるよ」。母親になる妻(45)は、思わず目頭を押さえた。

 埼玉県熊谷市の産婦人科医院「さめじまボンディングクリニック」。柔らかな朝の日差しに照らされた病室で、約3週間前に生まれた赤ちゃんの「バースデーセレモニー」が開かれた。ある女性が出産後、「どうしても育てられない」と養子にすることを決め、この日、養親になる夫婦に託された。4年間の不妊治療でも子を授からなかった夫婦にとって待望の赤ちゃん。約10人の職員が立ち会い、新しい家族の誕生を祝った。

 目を真っ赤にした助産師が、この場にいない生みの母を代弁するように「この子の幸せを祈っています」と頭を下げた。望まない妊娠で初めは自暴自棄だった女性とおなかの赤ちゃんを職員は数カ月間支えてきた。「ハッピーバースデートゥーユー」の歌声が響く中、赤ちゃんは新しい母の胸に体をぴったり付け、その顔をじっと見つめていた。

 「この子は、あなたたちのところへ行きたいという気持ちがどの赤ちゃんよりも強かったから、ここにたどり着いたと思います」。鮫島浩二院長(64)が語り掛けると、新しい父は「この子のすべてを受け入れます」と応えた。家庭裁判所に申し立て、半年以上の試験養育で特別養子縁組が認められれば、戸籍上「実子」と同じになる。

 特別養子縁組は、親元で暮らせない原則6歳未満の子どもに安定した養育環境を与えるための制度だ。院内に事務局がある「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」は、全国22の医療機関が妊婦のSOSに即応して心と体をケアし、虐待予防の観点などから必要であれば、選択肢の一つとして無償で縁組をあっせんする。

 あっせんの多くは児童相談所やNPO法人などが手掛けており、病院・診療所の連合体は異色だ。

 生まれてくるすべての赤ちゃんに家庭を--。使命感に突き動かされる産婦人科医たちの挑戦を追った。<取材・文 黒田阿紗子>



http://mainichi.jp/articles/20161030/ddm/010/040/064000c
ストーリー
産科医たちの挑戦(その2止) 二つの命に寄り添う

毎日新聞2016年10月30日 東京朝刊

 ◆「望まぬ妊娠」母子のはざまで
「縁組」広がる連携


 猛暑で知られる埼玉県熊谷市の郊外に、洋館のような診療所がある。2006年に開院し、年間約1000件のお産を扱う「さめじまボンディングクリニック」。ボンディングは英語で「絆づくり」を意味し、患者は親しみを込めて「さめボン」と呼んでいる。

 1階の職員通用口の前に、院内の案内図には書かれていない病室が二つ。望まない妊娠をした女性などのために用意された部屋だ。ある年の瀬、ここに20代の女性が入った。

 「貯金、所持金がない臨月の妊婦です。一度も病院に行っていません」

 院内に事務局を置く「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」(あんさん協)へのメールがきっかけだった。妊婦が県内にいることを知った鮫島浩二院長(64)は「お金のことは何とかなるから。とにかく来て」と電話で伝え、職員が最寄り駅まで迎えに行った。「育てられない」と言葉少なに話す女性に、鮫島院長はゆっくりと言って聞かせた。

 「それでも何とかしないといけないと思ったから、連絡をくれたんですよね。私たちはあなたを支えますから、血のつながった唯一の母親であるあなたが、おなかの子をちゃんと愛して、産んであげてください。養子にするかは、それからのことです」

 子宮口が少し開いており、そのまま入院した。昼になっても頭から布団をかぶった女性を、助産師と看護師は近くの荒川の土手へ連れ出した。住まいは勤めていた風俗店の寮。子どもの父親は誰か分からない。父子家庭で育ち家族とは疎遠。散歩をしながら女性は少しずつ話し始めた。初日の出を病院の屋上で迎えたり、新生児室で授乳を体験したりするうちに、笑顔も見せるようになった。

 年明けに出産。女性は「育てたい」と言った。児童相談所や保健師、生活保護の担当者、暴力団の介入を案じて警察も交じり、支援策を話し合った。乳児院に預け、自立してから迎えに行く道もある。だが、女性は泣きやまない赤ちゃんを「殴ってしまいそう」とも口にした。2週間悩み続け、「養子」を選んだ。

 あんさん協には月10~20件の相談がある。中高生や性犯罪の被害者もおり、大半は中絶できる21週を過ぎている。鮫島院長の妻で事務局長のかをるさん(59)は、知られることを恐れ、来院しないケースを一番心配する。「自宅で一人で産もうとするのは本当に危険。逆子や、胎盤の位置の問題などは健康診断をしないと分かりません。病院なら助かる命を失い、最悪の場合、殺人や保護責任者遺棄致死の罪に問われることもあるんです」

 特別養子縁組制度の歴史は比較的浅く、1988年に始まった。当時、鮫島院長は東京都内の総合病院の若手勤務医。知人に「赤ちゃんを養子に迎えるのを手伝って」と頼まれ、出産した高校生の意思を確認した上で知人に引き渡し、家庭裁判所に意見書を出した。戸惑いつつも「産婦人科医はこんなこともできるのか」と少し驚いた。「中絶を望む人たちと、不妊外来に一生懸命通う人たち。このギャップと、縁組につながりを感じたんです。そういう人たちと接する産婦人科医だからこそ、やる意味が大きい」

 親元で暮らせない子の多くは、当時も今も乳児院や児童養護施設に預けられる。だが、鮫島院長は大学時代のボランティアの経験などで、施設での養育に違和感を持っていた。「人に無関心の子と、妙になれなれしい子の差が極端。いろんな面で問題が出やすいのではないか」。幼い時に主な養育者が定まらない環境で育つと、人との距離感が不安定になる「愛着障害」だ。大人になっても対人関係に苦労する傾向があるといわれる。

 「施設より家庭で」との思いから、遠方まで出かけ、かをるさんとともに特別養子縁組の相談に対応した。06年に開院してからは職員総出で母子や養親を支援した。手伝った縁組が50件を超えた頃、一診療所での対応に限界を感じた。

 産婦人科の開業医がサービスの向上を目指す「HIS研究会」に加わったのは08年。創設者の一人が、出産の取り扱いが全国一多い熊本市の福田病院の福田稠(しげる)理事長(70)だ。研究会に参加するうち、鮫島院長は「意識が高い一流の病院ばかり。手を組めば多くの人を助けられる」と直感した。虐待死の背景に望まない妊娠があることを訴え、「一緒にやりましょう」と口説いて回った。

 ただ、医師が単独で動くにはネックがあった。縁組の相談員として、国は社会福祉士か児童福祉司が最低2人関わるよう定めていた。「鮫島先生に心動かされた」という日本医師会の今村定臣(さだおみ)常任理事(68)は国への働き掛けに協力。12年4月、医師、助産師、看護師らを有資格者に加える通知改正にこぎつけた。医療機関が関与しやすくなる環境が整った。

 同年6月、さめボンで開かれた研究会。鮫島院長は壇上から福田理事長を指名した。「特別養子縁組のあっせんに、まず熊本の福田病院こそ加わるべきでしょう」

 「熊本の」という言葉に意味があった。同市には、07年に慈恵病院が設置した新生児を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(通称・赤ちゃんポスト)がある。これも親が育てられない子を助ける取り組みだが、残念ながら0歳児の虐待死の減少には至っていない。

 慈恵病院の蓮田太二理事長(80)とは、幼い頃に家庭教師をしてもらった間柄という福田理事長は「蓮田先生が善意で動かれたことをよく知っています。ゆりかごができたことで、私も新生児の虐待死に問題意識を持ちました」と話す。ただ、ゆりかごは「最終手段」。運営を見ながら「預けなくて済むように、何かできることはないか」と考え始めていた。「その気持ちを鮫島先生は突いてきた。やられた、と思いましたよ」

 その頃、ある民間あっせん事業者が養親に数百万円の手数料を求めていたことを問題視する報道が相次いでいた。鮫島院長は会のメーリングリストで、信頼される仕組み作りを呼びかけた。「他人に相談できず妊娠生活を過ごし、わらにもすがる思いでやってきた二つの命を守るのは我々の責務です。トコトン逃げないで、二つの命を守ることに挑みましょう」。各地の医師が次々と手を挙げた。

 13年9月、HIS研究会の3分の2の20施設で「あんさん協」は発足した。現在は16道府県22施設に増え、このうち福田病院、さめボン、田中病院(山口県周南市)、神野レディスクリニック(滋賀県彦根市)、森産科婦人科病院(北海道旭川市)の5施設が特別養子縁組のあっせん事業者として届け出ている。

 あんさん協が選ぶ養親は、自治体に里親登録をした45歳以下。健診と2回の面接、家庭訪問で審査する。埼玉県社会福祉士会推薦の有資格者が最終面接に同席し、元児童相談所長ら外部識者にサポートしてもらう独自の仕組みも作った。

 選ばれた養親は、分娩(ぶんべん)台で赤ちゃんと対面するところから始める2泊3日の教育入院で、もく浴や授乳の仕方を教わる。こうして新たな家庭を得た赤ちゃんは3年間で43人。長期ケアした妊婦は110人に上る。

 特別養子縁組は、国内で年間500件ほど成立している。しかし、養子にせざるを得ない状況とは何か、養親になる条件は何か、明確な基準はない。あんさん協のように外部の目を入れ、全国に拠点を持って連携する仕組みは例がなく、多くは児童相談所と民間が、それぞれに生みの母から相談を受け、養親を見つけているのが実情だ。鮫島院長は「特別養子縁組は本来、国がやるべきこと」と思っている。

 「すべての都道府県に支援の拠点病院をつくり、国と連携する体制ができれば、あんさん協はなくなっていい」
養親に託す「ごめんね」

 さめボンでは、子どもを養子に出した女性に手のひらほどのクマのぬいぐるみを贈る。目を閉じ、手を合わせる姿は、別れた母子の幸せを祈るようにも見える。子どもの代わりにクマを連れ帰った生みの母は、今どうしているのだろう。

 「いろいろです」。看護師長の長嶺悦子さん(49)は複雑な表情を浮かべた。「夢ができて進学した人や、定期的に近況を伝えてくれる人がいる一方、音信が途絶えた人、望まない妊娠を繰り返した人もいます」。最近、よく顔を出す人がいると聞き、紹介していただいた。

 埼玉県内に住む女性(26)は、あんさん協ができる前の10年春に女の子を出産し、養子にした。3年前に結婚して、今は2歳の男の子の母親になっていた。

 「うちの子、超かわいいよ。見る?」。院内の一室でスマートフォンの写真を見せながら、ふと、親指が止まった。生まれたばかりの赤ちゃんの写真が4枚。「これはね、1人目の子」。機種変更をしても必ず手元に保存している。

 中学生の時に母が病死し、父から虐待を受けた。高校を中退し、家に帰らず勤め先のキャバクラの事務所で雑魚寝した。妊娠したのは19歳の時。周りに「太った」と言われ、たまたま受診したのがさめボンだった。生理不順と思い込んでいたが、妊娠9カ月。別れた交際相手は後に既婚者と知った。「育てたいけど仕事もなくて、生活が無理。未成年だから部屋も借りられない」。切迫流産で入院し、出産の4日後、養子にすると決めた。

 退院後は、アルバイトをかけ持ちした。「働いている時は他のことを考えなくてよかった」から。居酒屋チェーンの店長を任されるまでになった。「もう一度、ここから始めたい」と2人目もさめボンで出産した。

 養子と決めた時の心境を聞くと、女性の声色が変わった。

 「心から納得していたかと言われると、そうじゃない。そんな単純じゃない。でも、やっぱり仕方がなかった。会いに行きたい、通りすがりの人としてでいいからって、今も衝動に駆られる」

 子どもが望まない限り会わないのが、あんさん協のルール。ただ、裁判資料を見れば、養親の住所は分かる。「それでも、会いに行ってないの?」と問いかけると、黙ってうなずいた。「あの子、育ての親と時々ここに来てるんだよね。スタッフと話してると、仲良くやってるって分かる。私だけじゃなくて、あの子のことを思ってくれる親がいる。それって、すごく幸せだと思うから」

 担当だった助産師とは、今もメールをやり取りする。話題はもっぱら育児。「かわいいけど、一日中2人でいるのはすごいストレス。でも、あの子のママもこんなに大変だったんだろうな、育ててくれてありがたいなって分かるようになった。あの時のことがあったからこそ、絶対にこの子は私が守らなきゃって思う」

 あの子は来年、小学生になる。別れの時、さめボンを介して養親に「いつか子どもに読ませて」と手紙を託した。

 この手紙を読んでる時はいくつになっているのかな。ママは、あなたをけっしてすてたりはしてないよ。あなたの幸せを考えての答えだったの。

 ママがあなたをうんだ時はまだ19歳なんだよ。結婚もしてないし仕事もしてない。未熟だった。大人になったあなたが私の事をどう思うかはわかりません。でも、私のおなかをえらんできて、私をママにさせてくれてありがとう。そして一緒に大人になれなくて、生活できなくてごめんなさい。

 わかれる時、私はすごく泣いた。何度も何度もあなたにごめんねとくりかえした。

 私の子どもにうまれてくれて、ありがとうございました。

 私は、この原稿を書いていて悩んだ。「望まない妊娠」という表現だ。おなかの子に配慮し「予期せぬ妊娠」と書きかえることもある。でも、それでは妊婦の抱える困難が伝わらない気がする。

 子どもを託された養親たちは昨年、自助グループ「星の子の会」を作った。会長の早川岳人さん(47)は「いつか、子どもが出自を詳しく知りたいと言ったら『鮫島先生の所に行きなさい』と言うつもりです」と話す。

 その日のために、事務局には支援した子どもの名前を記した分厚いファイルが、ずらりと並んでいる。つらい境遇の中でも出産まで一つの命を守り抜いた母親の手記や、医師、助産師、看護師たちによる克明な記録--。たとえ、きっかけが「望まない妊娠」であっても、たくさんの人たちに望まれて生まれてきたことを示す、確かな証明だと思う。

 ◆今回のストーリーの取材は
黒田阿紗子(くろだ・あさこ)(東京医療福祉部)
 2006年入社。新潟支局を経て東京本社社会部で警視庁や厚生労働省などを担当し、今年4月に新設された医療福祉部に配属された。子どもの養育や貧困の問題を取材する。2歳児の母。



http://mainichi.jp/articles/20161029/ddl/k25/010/605000c
東近江市
薬の重複処方に注意して 高齢者にリスト試験送付 全国に先駆け /滋賀

毎日新聞2016年10月29日 地方版

 複数の医療機関で類似の薬を重複して処方されている人に注意喚起しようと、東近江市は国民健康保険に加入する一部の高齢者に処方薬のリストを送る試みを始めた。対象は今年6月の1カ月間に複数の医療機関で受診し、6種類以上の薬を処方された60~74歳の1152人。27日、受診した医療機関と薬局名、外来診療で処方された全ての薬のリストを送付した。健康被害を防ぐ適正な服薬を促し、市の医療費負担も軽減する狙いだ。

 リストには薬の名前、服用量などが一覧表示され、成分が似ている薬には欄外に「○」印を付けて分かりやすいよう工夫した。同封の説明書で、リストを基に医師や薬剤師に薬の内容を照会することを推奨し、飲み合わせが悪い薬の服用も防止できるとしている。入院中と歯科から処方された薬は除外した。

 市が負担する医療費は、今年7月のC型肝炎の新薬認可や、薬価上昇などの影響で増加傾向にある。保険年金課によると、リスト送付は全国初の本格運用に向けての試み。受診者と医師、薬剤師が情報を共有し適正な処方を行えば医療費の3割削減も可能という。

 今回の効果を検証し改善点などを整理した上で、年内には75歳以上の後期高齢者を対象に試行し、来春には今回の対象者に2回目のリスト送付をしたいという。小椋正清市長は「多くの薬を服用する危険性に気付くきっかけになれば」と話している。【金子裕次郎】

対象者に送られた薬のリストの見本。成分が似ている薬には表の右に「○」印が付けられている
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http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201610/20161029_23048.html
<損害賠償訴訟>弘前大病院側が請求棄却求める
2016年10月29日土曜日 河北新報

 弘前大医学部付属病院でがん治療を受けていた女性=当時(63)=が死亡したのは、医師が腎機能障害について注意義務を怠ったためだとして、青森市の遺族らが弘前大に慰謝料など約5890万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が28日、青森地裁であり、病院側は請求の棄却を求めた。理由は追って明らかにするとしている。

 訴えによると、女性は2009年7月から、放射線や抗がん剤治療のために同病院を受診。10年4月の検査で右の腎臓に水腎症などが見つかり、12年12月中旬の検査でがんはなくなったとされたが、同27日に自宅で容体が急変し、13年1月に死亡した。腎機能に関する検査は12年8月に実施されて以降、亡くなる直前までなかった。



http://www.excite.co.jp/News/market/20161029/Moneyzine_214628.html
医療施設、病床数は減少も施設数は増加 国民医療費も増加を続け、家計を圧迫
MONEYzine 2016年10月29日 14時00分 (2016年10月30日 05時30分 更新)

 医療費の増加が懸念される中、病床数は減少しているものの医療施設は増加。国民所得に占める医療費の比率も11.200に上昇した。

 厚生労働省は9月26日、医療施設動態調査(平成28年7月末概数)の結果を発表した。医療施設動態調査は、病院や診療所などの「医療施設」の分布や整備の実態を明らかにし、医療行政の基礎資料を得る目的で実施されている。

 平成28年7月末の医療施設の総数は17万8,745施設で、10年前の平成18年10月1時点より3,801施設増加した。内訳をみると、病院が8,445施設で同498施設減少、一般診療所が10万1,412施設で同2,803施設増加、歯科診療所が6万8,888施設で同1,496施設増加した。一方、病床数の総数は166万5,629で、同12万1,020減少した。内訳は病院の病床数が156万1,540で同6万5,049減少、一般診療所の病床数が10万4,015で同5万5,883減少、歯科診療所の病床数が74で同88減少した。

 病院や診療所の病床数は、基準病床数制度によって制限を受けている。各都道府県が地域で必要とされる「基準病床数」を全国統一の算定式により算定し、既存の病床数が「基準病床数」を超える地域では、病院の開設や増床を許可しないなどとなっている。そのため、病床数は10年前と比較して大きく減少しているが、医療施設そのものは増加傾向にあるようだ。

 国民医療費も増加している。厚生労働省が9月28日に発表した平成26年度の国民医療費の概況によると、平成26年度の国民医療費は前年度比1.90増の40兆8,071億円、人口1人当たりの国民医療費は前年度比2.00増の32万1,100円となっている。10年前の平成16年度をみると、当時の国民医療費は32兆1,111億円、国民1人当たりの医療費は25万1,500円。また、国民全体が得る所得の総額「国民所得」に占める医療費の比率は、平成26年度が11.200で、平成16年度の8.680から上昇している。

 増加する医療費の抑制を目指して病床数は管理されているものの、医療費の増加傾向は止まらない。家計に占める医療費の割合も年々高まっており、医療費の増加は国の財政だけでなく、家計も圧迫しつつあるようだ。


  1. 2016/10/30(日) 06:17:18|
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