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10月23日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/460507?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161023&dcf_doctor=true&mc.l=185127624
シリーズ: 医療裁判の判決詳報
研修医、非専門医の急性心筋梗塞見落としの責任は?
長崎地裁の和解を詳報 、5300万円請求に対し解決金400万円

2016年10月23日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

 長崎市立市民病院(現・長崎みなとメディカルセンター市民病院)で診察に当たった研修医らが適切な診断を行わなかったことが原因で患者女性(死亡時63歳)が直後に死亡したとして、遺族が病院を運営する市立病院機構に約5300万円の損害賠償を求めた訴訟は2016年6月、長崎地裁(田中俊行裁判長)で和解が成立した。病院側が解決金400万円を支払い、遺憾の意を示し、医療安全体制を構築する内容だった。

 ポイントとなったのは、診察に当たった研修医、および循環器専門医でない内科医が、結果として急性心筋梗塞の兆候を見逃したことをどのように判断するか。

 原告(遺族)、被告(病院側)が裁判に提出した資料から双方の主張を詳報する。

※以下の内容は、原告、被告が裁判所に出した訴状、答弁書、準備書面などでの主張の要旨であり、裁判所が事実として認定したものではない。

原告側訴状の要旨
原告
死亡した女性の夫と二人の子供

概要
 吐き気、胸部不快感、冷汗を訴えて来院した女性(死亡時63歳)について、心電図の異常所見を見落とし、急性冠症候群の発症を疑って循環器専門医に相談したり、入院させて経過観察を行ったりするべき義務を怠り、漫然と帰宅させ、死に至らしめた損害賠償を求める。

事案概要
1 患者女性は2010年9月26日夕刻、家族とドライブに行って帰宅した際、自宅駐車場で突然、顔面蒼白になり、胸の苦しみを訴え嘔吐したため、駐車場から直接、長崎市立市民病院(以下、被告病院)に赴いた。

2 30分ほど待たされ、その間も胸の違和感を訴え続け、トイレで嘔吐までしている。4時5分にA医師(研修医)の診察を受け、吐き気、胸部不快感、冷汗を訴えた。A医師は、血液検査、心電図検査を行った後、ウイルスの量が多いようなので「ウイルス性腸炎ではないか」と発言し、整腸剤、抗生物質および吐き気止めを処方した。夫からの「胸の苦しみは心筋梗塞でないのか」という問いかけに対して、同席した年配のB医師(糖尿病専門医)は「血液検査、心電図でも異常は見られない。今すぐ命の危険性があるという状態ではないので、明日も具合が悪かったら来てください」と述べていた。A医師もこれに従った。

 その後、処方されるまで待合室で横になっていた。A医師が心配そうに様子を見にきた時にも、女性は胸の不快感を訴え続け、トイレで嘔吐した。その様子を見ていたA医師の指示で、10分ほど診察室のベッドで横になった後、午後5時35分ころに帰宅の道に就いた。

 午後6時ごろ、女性は薬を服用したが一向に改善せず、嘔吐を繰り返した。その後、意味不明な言葉を発する等の異常が見られたため、午後8時半に夫が救急車を呼び、午後9時に再び被告病院を受診した。

 夫らはC医師(循環器専門医)から検査の結果、女性は心臓破裂、急性心筋梗塞であり、非常に危険な状態であるから、すぐに長崎大学病院に移送する必要があると説明された。この移送の際にC医師から長崎大学病院への診療情報提供書において「本日16時に当院内科外来を受診しています。その際はいったん帰宅となっています(後で心電図を見ますとその際に既に急性心筋梗塞を発症していたようです)」と記載されている。

 女性は午後10時半ごろに長崎大学病院に搬送され、治療を受けたものの、心破裂、急性広範囲前壁心筋梗塞により、翌27日午前6時41分に死亡が確認された。

被告病院の責任
1 責任原因
 患者女性は9月26日、被告病院との間で、適切かつ最善の医療を提供することを目的とした診療契約を締結した。被告病院は不完全な履行を行い、女性に損害を与えた。

2 不完全履行
ア A医師は、吐き気、胸部不快感、冷汗を訴えて来院した女性について、心電図の異常所見を見落とし、急性冠症候群の発症を疑って、循環器専門医に相談したり、入院させて経過観察を行ったりすべき義務を怠り、漫然と帰宅させたという不完全履行がある。

イ 女性は吐き気、胸部不快感、冷汗を訴えているところ、この場合に疑うべき疾患として、消化器疾患など様々あるが、その一つに急性心筋梗塞も含まれる。特に患者女性は高血圧、糖尿病という心筋梗塞の危険因子となる持病を有しており、その持病については医師に説明していたのであるから、なおさら疑いを持つべきであったと言える。急性心筋梗塞を含む急性冠症候群は、早期の診断・治療が不可欠であり、ひとたび診断・治療が遅れると死に至る重大な疾患なのであるから、安易に除外診断することは許されない。

ウ 最初の診断時に心電図検査を行っているが、この心電図に置いてST上昇が認められ、またT波増高が認められている。このT波増高については、ガイドラインでも「心筋逸脱酵素がいまだ上昇していない心筋梗塞超急性期においても、心電図ではT波の先鋭・増高を認めることが多く、これが診断のカギになる」(急性心筋梗塞の診察に関するガイドライン(1358ページ))とされているように、急性心筋梗塞を疑うべき典型的な波形であるとされている。

 この点に関し、病院は心電図の自動解析装置においては、ST上昇には該当していなかったのであるから、やむを得ないという反論する可能性がある。しかし、蘇生ガイドラインによれば、「コンピュータによるECG(心電図)自動解析が経験豊かな臨床家による判断に置き換わるものではなく、それと併用して用いられるべきであろう」とされており、自動解析装置の結果に依拠すれば、免責されるものではない。また、自動解析装置においてもT波増高には該当しているのだから、やはり疑いを持つべきであったと言えるのである。

 また「1回の心電図では診断確定に至らないことがあるので、経時的に記録することが必要である」(今日の治療指針)とされているにもかかわらず、1回の心電図検査を行っただけで帰宅させている。

エ 女性を最初に診断したA医師は循環器の専門医ではなかったかもしれないが、そのことによって免責されるということもできない。「冠動脈の血流を完全に遮断することとT波の増高に引き続き、典型的な心電図が変化であるST上昇が発生する」や「1回の心電図では診断確定に至らないことがあるので、経時的に記録することが必要である」「クレアチンキナーゼの発生には、心筋梗塞の発症から時間がかかる」などということは、研修医向けのマニュアルにさえ記載されている基本的記事項である(『研修医当直御法度症例帖』)。

 また、A医師は急性心筋梗塞の確定診断を早期に行わなければならなかったわけでなく、発症を疑って循環器専門医に相談したり、患者を入院させて経過観察を行ったりすべきであったにすぎないのであるから、非専門医に対する過酷な要求とは言えない。

オ なお、病院は血液生化学検査において異常がなかったから急性心筋梗塞の疑いを持つことができなかったと主張する可能性もあるが、前述の通り、心筋壊死を示すクレアチンキナーゼは、心筋梗塞の発症後3時間後から上昇が認められ、トロポニンTは発症後2時間後から上昇が認められるのであるから急性期の診断には限界があるのであって、血液検査において異常がなかったからと言って急性心筋梗塞を除外診断してよいわけではない(『研修医当直御法度症例帖』49ページ)。

3 因果関係
 9月26日午後4時5分の段階で、発症を疑って循環器専門医に相談したり、患者を入院させて経過観察を行ったりしていれば、長崎県急性心筋梗塞24時間診察可能機関である被告病院において、速やかに再灌流療法などの急性心筋梗塞に対する治療を施すことによって、女性を救命することは十分に可能であったはずである。よって、医師らの不完全履行によって死亡に至ったのは明らかである。

4 損害
63歳で死亡するに至った女性の損害
1 収入額 主婦業であり、H22賃金センサスの全年齢女性平均額である345万9400円になる。
2 生活費控除額 30% 
3 就労可能年数 平均余命の半分である12.835年を就労可能年齢とする。13年とした場合のそのライプニッツ係数は9.3936となる。
4 遺失利益 345万9400円 ×(1-0.3)×9.3936 =2274万7354円
葬儀費用 150万円
慰謝料  2400万円
弁護士費用 482万円
合計 5306万7354円

答弁書(訴状への反論)
・A医師は「ウイルスの量が多いのでは」と言っていない。「ウイルス性腸炎ではないか」とは言った。夫から「胸の苦しみは心筋梗塞ではないか」との問いかけはされてない。
・B医師が、血液検査、心電図で異常が認められないと言ったのは認める。「今すぐ命の危険性があるという状態ではない。明日も具合が悪かったら来てください」とは説明していない。症状に変化があれば再度受診するよう説明した。
・「A医師が心配そうに様子を見に来た時に」は否認する。見に行った事実はなく、偶然、見かけたので、ベッドで休むように声をかけたが、ベッド上安静にて症状は軽減した。
・胸部不快感は「胸部に何か違和感がある」「ムカムカする」程度の訴えであり、胸痛はなく、主症状は吐き気であった。意識清明、顔面蒼白でなく、歩行は可能で全身状態は良好であり、急性心筋梗塞の典型的な臨床症状ではなかった。「病院は安易に除外診断」をしたものではない。

心電図について
・ST上昇は心電図の自動解析装置で判定されておらず、また、急性心筋梗塞時に典型的に生じるとされる凸のパターン(上方に凸の形でST上昇が認められる)ではなく、下に凸のパターンであり、対側性ST低下も欠いており、非特異な所見である。T波増高は急性心筋梗塞の超急性期に現れることもあるが、健常者でも認め得るものである。

医師の専門性について
・A医師は当時研修医であり、B医師は糖尿病を専門とする内科医である。いずれも循環器の専門医ではない。原告は『「冠動脈の血流を完全に遮断することとT波の増高に引き続き、典型的な心電図が変化であるST上昇が発生する」とか「1回の心電図では診断確定に至らないことがあるので、経時的に記録することが必要である」「クレアチンキナーゼの発生には、心筋梗塞の発症から時間がかかる」などということは、研修医向けのマニュアルに記載されている』と主張しているが、記載されている症例は「前胸部の締め付けられる感じ」が「約30分ぐらいは持続していた」症例であり、急性心筋梗塞の典型的臨床所見を前提に記載されているが、本件では、急性心筋梗塞の典型的な臨床症状は存在しなかった。

病院の主張
1 診療経過
主訴 吐き気、胸部不快感、冷汗(ただし、来院時は冷汗-)
診察時、意識清明で、呼吸静音、心雑音なし
心電図T波増高
血液検査、白血球、CPKは基準値内、トロポニンT陰性
医師はウイルス性腸炎と診断し、女性は17時35分に帰宅
帰宅後に様子がおかしいとの電話があり、再診説明したところ、21時7分に救急車で来院
心破裂、急性広範囲前壁心筋梗塞の診断で長崎大学病院に転送

2 急性心筋梗塞を診断できなかったことが医療水準を下回るものではないこと
(1)臨床症状
 「典型的なAMIの症状は、胸骨後面、もしくは左前胸部を中心とした疼痛あるいは絞扼感で少なくとも30分以上持続し、多くは数時間継続する」「強い不安感と強烈な胸痛あるいは胸部絞扼感により冷汗を伴う苦悶様の表情を呈し、顔面は蒼白で、手足の抹消には冷感がある」とされる。女性が訴えていたのは、「胸部に何か違和感がある」「むかむかする」程度であり、胸痛はなく主訴は吐き気だった。冷汗も来院時には消失していた。また、意識清明、顔面蒼白でなく急性心筋梗塞の典型的な臨床症状ではなかった。

(2)心電図所見
 ST上昇は心電図の自動解析装置で判定されておらず、また、急性心筋梗塞時に典型的に生じるとされる凸のパターン(上方に凸の形でST上昇が認められる)ではなく、下に凸のパターンであり、対側性ST低下も欠いており、非特異な所見である。T波増高は急性心筋梗塞の超急性期に現れることもあるが、健常者でも認め得るものである。心電図でも急性心筋梗塞の典型的所見は乏しい。

(3)血液検査
 急性心筋梗塞診断時に重要とされる血清心筋マーカーであるクレアチンキナーゼ(CPK)は基準値内であり、トロポニンTも陰性である。「白血球増多は心筋マーカーの上昇よりも早く出現するため、診断的価値がある」「白血球数は非特異的であるが、発症早期に上昇する」とされるが、白血球数も基準値内である。また発症「数時間以降には」上昇するとされるAST、LDHもいずれも基準値内である。血液検査結果で、急性心筋梗塞を疑わせる結果は何ら存在しない。

(4)小括
 臨床症状、心電図所見、血液検査結果からして、急性心筋梗塞の所見は極めて乏しく、循環器専門医ではない内科医が急性心筋梗塞を疑えず、ウイルス性腸炎と診断したことはやむを得ず、医療水準を下回るものではない。

原告準備書面
担当医が循環器専門医ではなかったことについて
・被告病院は一般の開業医ではなく、循環器専門医などを擁する地域総合病院である。また、救急告示医療施設であり、長崎県急性心筋梗塞24時間診察可能機関でもある。そのため急性心筋梗塞の患者に対することができる十分な体制が整っていたというべきである。かような被告病院の特徴を踏まえるならば、担当医師がたまたま循環器専門医ではなかったとしても直ちに医療水準を軽減させるべきではない。
・仮に医療水準を低減させるにしても、典型的な症状や心電図であり、研修向けマニュアルや看護師向けのテキストにさえ、記載されている基本的事項である。

被告準備書面
担当医が循環器専門医ではなかったことについて
・検討すべきは医療施設の規模の問題でなく、担当医師の専門性である。大病院であれ、開業医であれ、循環器内科を専門としない医師にとっては、循環器内科専門医に比較すれば、循環器疾患についての知識・経験が少ないことに変わりはなく、本件のような典型的所見を欠き、診断が困難な急性心筋梗塞について医師の責任を問う場合には、医師が専門医でないことを十分考慮しなければならない。

裁判所からの求釈明についての回答
・循環器内科医のC医師は、長崎大学病院宛ての診療情報提供書において、「(後で心電図を見ますとその際に既に急性心筋梗塞を発症していたようです)」と記載している。C医師は患者が2度目に来院した際に、急性心筋梗塞に伴う心破裂と診断された状況を認識した上で、事後的に被告病院への1回目の来院時の心電図を確認すると典型的ではないが、ST上昇が認められること、カルテに記載してある1回目の来院時の主訴(吐き気、胸部不快感、冷汗)も事後的に考えると、急性心筋梗塞発症時の症状として矛盾しないことから記載した。

 1回目来院時にA、B医師は、急性心筋梗塞の典型的な所見などを総合的に考慮し、ウイルス性腸炎の可能性が高く、急性心筋梗塞を含む虚血性心疾患は考え難いと判断した。

当直体制
26日午後4時ごろの当直医師体制
内科系医師1人(B医師)、外科系1人、循環器内科1人(C医師)、研修医1人(A医師)だった。

自動解析装置の精度
「前壁・中隔心筋梗塞(急性)」については、自動解析装置の感度は96.08%とされ、その診断精度は極めて高く、診断結果が前壁心筋梗塞でありながら、自動解析装置では陰性と判断された(偽陰性の判定)された本件は、3.92%という低い確率で生じ得ることが生じた例といえる。

裁判所からの求釈明についての回答
仮に、C医師が診察をした場合について
 C医師は「記録上の各所見からは急性心筋梗塞の診断はできないが、カルテの主訴と心電図での典型的ではないがST上昇が認められることからすると、急性心筋梗塞の可能性は排除できないので、患者を帰宅させず、初回心電図から30分後に再度の心電図検査と心エコー検査を実施することはしたのではないかと考えられるが、患者の実際の臨床所見によるところはあり、患者を直には診察していないので、確定的な意見は述べられない」とのことだった。

和解文
1 原告らに解決金400万円を支払う
2 本件経過を重大かつ真摯に受け止め、遺憾の意を表明するとともに今後の医療安全体制の構築に取り組むこととする
3 原告らは医師、看護師、その他職員に対し、一切の民事、刑事、行政責任を追及しないこととする



https://www.m3.com/research/polls/result/155
シリーズ: m3.com意識調査
結果研修先、選ぶのは大学病院or市中病院?

カテゴリ: 医療 回答期間: 2016年10月11日 (火)~18日 (火) 回答済み人数: 1540人

 初期臨床研修先を決めるマッチングの最終結果が10月20日に公表されます。近年は大都市、市中病院の人気が高まる傾向が続いていますが、もし現在の医学部生だとしたらどのような選択をするでしょうか。
医学部生だったら?研修先は「市中病院」が47%

 10月20日に公表された2016年度医師臨床研修マッチングの最終結果では、大学病院に研修先が決まったのは全体の42.7%で、大学病院離れが下げ止まったようでした。「もし現在の医学部生だったら」という仮定で研修希望先をお尋ねしたところ、大学病院は42%、市中病院が47%で、僅差で市中病院が人気を集めるという現在の医学部6年生と同様の傾向が見て取れました。 内訳をみると、大学病院では、出身大学が32%、他大学が10%。市中病院では大学と同じ都道府県が25%、大学と異なる都道府県が22%と拮抗しました。

 複数選択で尋ねた研修先を選ぶ基準では、プログラム(研修)内容(1105人)、症例の数や多様性(807人)、先輩からの評判(633人)、給与などの待遇(528人)、同期がたくさんいること(241人)、大都市であること(215人)、研究のしやすさ(201人)、出身地であること(198人)、インターネット等での評判(191人)同期が少ないこと(48人)――の順になりました。

 良い研修先の見分け方については、医療維新でご紹介します。

研修先の選び方、「最初はハードさが重要」「症例数より考え方を」

Q1 もし現在の医学部生だった場合、初期臨床研修病院先として希望するのは?
10231.png
※2016年10月18日 (火)時点の結果

Q2 もし現在の医学部生だった場合、初期臨床研修病院を選ぶ基準は?【複数】
10233.png
10232.png
開業医 : 308人 / 勤務医 : 1035人 / 看護師 : 13人 / 薬剤師 : 154人 / その他の医療従事者 : 30人
※2016年10月18日 (火)時点の結果

Q3研修先として良い病院の条件や見分け方について、ご意見があればお書きください【任意】
(次項)



https://www.m3.com/news/iryoishin/469758
シリーズ: m3.com意識調査
研修先の選び方、「最初はハードさが重要」「症例数より考え方を」

2016年10月23日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 研修先として良い病院の条件や見分け方について、ご意見があればお書きください。
調査結果はこちら⇒医学部生だったら?研修先は「市中病院」が47%

【大学病院】
・とにかく、出身大学で研修しましょう!そして、大学院へ入りましょう!

・大学病院なら出身学生の残留率。

・症例数も欠かせない条件だが、まだ右も左も分からないうちは、偏りのない系統だった指導ができる指導医や環境が大事だと思います。そういう意味では、大学病院が教育の面ではリードしているのではないでしょうか?診療や研究の基礎ができてからでも、市中病院での症例経験は遅くはないと考えます。長い医師生活の最初はやはり焦らずじっくりと、いろんな意味での基礎力習得を目指すべきだと考えます。

・研修後の医師としての長い将来を考えると、いかに多くの優れた先輩医師と巡り合えるかという点を考えると、市中病院という今現在だけの経験値を選ぶより、多くの専門があり、多くの先輩医師がいる大学病院がいいと思います。

・行けるのであれば、都会の有名大学を目指します。

・市中病院は症例が多いが、教育という面で手薄感は否めない。大学病院は症例は少ないが、教育は行き届くと思われる。駆け出しの際に必要なのは、まず症例数の多さより少ない症例を深く掘り下げることである。

【市中病院】
・臨床研修制度開始第一期だったので、何も情報も無い中で手探り状態にて研修先探しを行いました。大学病院では、コメディカルを含めた職員間の連携に大きな疑問があると共に、一般疾患に対する診察等には不向きだと思い、市中病院を選びました。その時のつながりで今まで色々な職場を経験しましたが、今でもその時の選択で良かったと自信を持って言えます。所詮、大学病院では奴隷として扱き使われるだけで、医者としての技量や能力向上には何ら役に立たないと今でも確信しています。

・やはり倍率の高いような病院は、人気があるだけあって評判もいいし、良い教育もしていると思う。

・将来、実力のある臨床医になろうとする者にとっては、初期研修では、医師不足で少し忙しすぎるような地域の基幹病院が最適の研修病院である。最初に楽をすると、次に忙しさに耐えられない。最初は苦労する方がよい。

・学閥がないことが重要 力を付けても出身大学の壁でポジションをもらえないことが多々ある 地方大学ほど力が無いのに医局支配が強く、都内は比較的学閥に支配されていない職場があるので、これも地方から医師が上京してくる一因と思われる。

・大学はあり得ない。日雇いの大学院生に指導させて、スタッフは全く教育しない。

【先輩、卒業生、職員の様子、病院の体制】
・過去に研修した先生が、その後どんな医師になっているか。

・働いている職員の表情評判。

・1学年上の研修医が自分の1年後と考える。自分と同程度のモチベーションの人達がいるところを選ぶといいと思う。

・出身者が戻る、残っている人が多い病院。研修医が救急外来を任されていて、かつ見守られている状態。

・医者が医者の仕事に専念できること。研修先ではコメディカルが少なくて、本来なら看護師や看護助手、放射線技師やMSWのやっているような業務までやらされていました。

・研修医が1人でしなければならない状況作り。困ったときのサポート体制。

・勤続年数が長い先輩が多いこと。そうでない場合は労働条件が過酷だと予想できる。

・患者さんの口や体がきれないこと。

・勤務時間に応じて給与が出る、適当な休暇がある病院。医師の定着率も一考に値すると思います。

・救命救急において、北米型ERを取り入れるなど積極的に急患を受け入れている医療機関は、比較的症例数が多かったり多様性を持っていると考えられる。

・研修できる科目があること、常勤医または指導医がいることが必須です。市中病院ではない科目があり、大学病院に依頼して行ったりすることになります。症例数の多さだけでなく、希少疾患も含めた疾病の多様性が人を鍛えます。

・どのくらいやらせてくれるかが大事。自分の時代では、大学での研修では何もやらせてもらえなかった。採血要員とNsにまで、あごでこき使われていた。都内の優良な病院で研修してきた同期はエコーも内視鏡検査まで指導してもらっていて、実力の差を感じた。どれだけ任せてもらえるか、度量、器の大きさが大事な要因だ。

・できれば発症から転帰までしっかり追えるところ。

・どのように働きたいか、どのように生活したいか、ですね。医学者としては初期研修で厳しい忙しい病院に行き、たくさん経験を積むことは大切です。一方で、2年間という短くはない時間を過ごす以上、自分の家族を含めたQOLも大切になります。個人的にはマイナーに行くと決めている人や、子供や妻がいてマイルドに働きたいというニーズに適した病院がもっと選べてもいいと思います。

・ハードでも研修内容がいい病院には研修医が集まる傾向が高い。内容がしっかりして教育されているからにほかならない。研修医のときにハードな研修をしないとおそらく一生ものにはならないような気がします。

【指導体制】
・指導医が沢山いること、指導体制がしっかりしていること。大学病院では、オーベンの研究のための意味の無い検査が多かったという印象がある。指導体制がしっかりしていなくて、研修医が即実践で鍛えられたという側面はあるが、患者のためにも指導体制が最も重要。

・たとえそれが少数でも、優れた指導医がいること。看護師や病院スタッフも研修医の教育に関わっているという意識を持っている施設であること。

・研修医のやる気を助長するような制度(例えば、BLS ACLS PALS ICLS JATECなど、研修医で受験できる資格の受験費用を病院が負担する制度のある病院や、JAMEP受験を奨励している病院など)は好感が持てる。

・論文数。臨床、教育レベルの目安の一つ。

・初期研修では体系だった症例経験が重要で、後期研修はどちらかと言えば、何にでも対応できるよう野戦的な研修病院がいいのではないでしょうか。

・カンファレンスがしっかりしているところ。見分けるのは知り合いの先輩からの情報が一番よいと思います。一例一例をしっかり診られてから、症例数多数の病院にいく流れの方がよいと思います。

・市中病院は救急が盛んだったり、手技をやらせてもらえるとかいうけど、そんなの初期研修の時には必要ない。3年目以降にやればよい。それよりもカンファレンス等をしっかりしているところを選んで、学ぶ姿勢とかを勉強した方がよい。

・ガイドラインや教科書ばかりではなく、考える力のつく研究マインドを滋養できるプログラム、すなわちそういう指導者が存在することが必須条件と思います。

・考え方をちゃんと指導してもらえるかどうかが重要。いくら症例が多くても考え方が論理的でないと変なくせが付くだけ。

【その他】
・絶対他流試合すべき、ド田舎では勉強できないです。

・プログラムはフレキシブルである程度しっかりしていること。指導医クラスが大切。(レベルと人間性も)僻地は色々な意味で余程の研修医でないと厳しい。地域によっては鬱になり、経歴にダメージを負うかもしれません。

・都市部の大病院、大学。専門医資格のためほとんどの医師はそうするしかない。

・充実した研修をすれば銭は後からついてくる!目先の銭で研修先を選ぶな!

・内科医がたくさんいること。

・やはり必ず見学や実習に複数回行くこと。単なるイメージや他人の評判だけでは、自分自身に合うかどうかは絶対に分からない。初期研修で医師としての考え方や生き方が決定するとも言われます。しっかり見極めたい。

・特定の大学のカラーが強くないところを選びます。

・研修病院のトップだけの面接では、研修医がかわいそうです。研修医にも指導医を選ぶ権利を与えてほしいと思います。

・見分ける必要はないと思います。郷に入っては郷に従えです。社会人一年生として、全てが勉強なのです。研修を、良くできるかどうかは、病院や研修内容ではなく、自分次第なのです。そもそも、このアンケート自体が、ナンセンスですね。

・自分が研修医を指導する立場になって分かってきたことがたくさんあって、自分が研修医の立場で魅力的に思えていても、後になったらそれは枝葉末節であったなと思えることが多くある。そういった意味で研修先はよく考えてもらいたいし、研修が終わっても多くの病院を経験すればいいところや悪いところはいろいろと見えてくると思う。決して給与や休日の多さだけで選んではいけないと思う。

・良いか悪いかは、自身がどのような医師になりたいかによって変わると思います。賛否両論あるでしょうが、大多数が大学病院に所属していた時代の方が、地域医療は守られていたと思います。今は条件が良い、症例豊富などの病院に人は集まりますが、その先がなければ、開業を選ぶ人が多く、条件の悪い病院は医師確保が難しくなっています。医局に属し、御礼奉公という名で条件が悪くても数年はそのような病院で働く医師がいることで守られてきた地域医療があると思います。



http://blogos.com/article/195120/
埼玉の医師が少ない!6年前から何か変わった?若い先生を犠牲にする前に何かすることあるんじゃない
中村ゆきつぐ
2016年10月23日 10:38  BLOGOS

JBPRESSにこのような記事が出ました。(日本で最悪の医療過疎地、埼玉県 南米チリと同水準、産科は医療崩壊の危機に直面 )今までもたくさんの記事が出ていますが、6年前私が選挙に立候補した理由の一つです。

東京近郊であれば、東京の病院まで1時間以内に通える場所が交通機関が発達した埼玉は多いです。そして勤務先の近くの病院に通っている方も大勢います。今後団塊の世代が定年になった場合、仕事場の東京の病院から地元の埼玉の病院に転院されてくる方が増えてくるでしょう。埼玉には今以上の患者の増加と混乱が予想できます。ただそうすると東京の病院に患者減少に伴う余裕が出てくる可能性があります。結果一時期混乱するでしょうが東京に集中する医師は分散し、地域偏在は解消すると考えているようです。事実東京は利益を得るために患者の奪い合いが始まりだしたと聞いています。

もちろんそれではすぐに効果は出ないため、記事の中にもある「保険医登録制度」で見直しを提言し、若い医師たちに居住の自由や専門選択の自由を捨てさせて地域を守ることが厚労省主体に検討されています。またこの部分と並行して、今まで学会主導だった専門医を地域診療とリンクさせ、地域で働くことを義務付け、さらに厚労省出向の機構に上納金を納めさせるといった新専門医制度施策も企てていましたが、現場からの反対を受け混乱しています。(迷走する専門医制度に懸念噴出、専門医機構、認定料など新方針)医局を研修医制度で破壊したのに、自分たちのためまた復活させようとしたのですから当たりまえですが。

>実態がしっかり把握されず、「医師不足は地方」というイメージだけで議論がなされることがなく、地元埼玉の産科医不足がいち早く解消されるよう切に願います。

産科医の数が減少したということが最近報道されました。(産科医、7年ぶり減少…産婦人科医会「危機的」)そう、全体でも足りない、それこそ東京でも足りないのに、配分するとき考慮ではダメ。やはり専門の偏在を考えなければいけません。

ただそれは強制という名の下で行うのなら、自治医大、防衛医大のように最初に契約しないといけません。後出しジャンケンで、お前らは俺たちの言うことを聞けばいいのでは巷のブラック企業と何が違います?それでなくとも労働基準法違反の当直をなし崩し的に行っている医師たちに、今度は職業選択や居住の自由の権利まで奪おうというのではさらにみんな逃げていきます。

どうしても一つのことだけに注目しても解決はできません。全体を見ながら何をすべきなのかの施策が必要です。少なくとも全体の医師数は増えてきています。しかし産科を始めしんどい専門に医師は増えていません。(「しんどい医療」とは ではどうすれば)

厚労省が医療者適正配置に関し会議を開いています。(新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会)今年中に提案がなされる予定です。でもその中身は少し悲しい限りです。

国会答弁で雇用のミスマッチに対して、1 インセンティブ、2 ハローワーク、3 教育とされているのに、医師には合わせてくれるつもりはなさそうです。そして医師たち自身も調整できない結果患者が損をします。

もっと全体みようよ。研修医制度改変でどうして地域医療が衰退したのか。そこから考えなきゃ。そして自分たちは汗かかず、若い医師たちに教育の機会を減らし、家族の環境も制限し、仕事量にかかわらずインセンティブは同じという施策を作るお偉いさん。絶対ダメだと思う。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161023/k10010740621000.html
旧社会保険病院や労災病院 薬品調達などで不適切契約
10月23日 6時21分 NHK ニュース

厚生労働省所管の独立行政法人が運営する各地の病院が薬や備品を調達する際などに、厚生労働省の通知に反して、入札をしないまま特定の業者を選ぶなどの不適切な契約を結んでいたことが会計検査院の調べでわかりました。
厚生労働省は旧社会保険病院や労災病院を運営する独立行政法人に対して、6年前に出した通知で、物品の購入や業務委託などで一定の金額がかかる契約を業者と結ぶ際は原則、入札を行うよう求めています。

しかし、会計検査院が調べたところ、地域医療機能推進機構が運営する全国6つの旧社会保険病院では大量に使う薬を調達する際、支払い総額は入札が必要な金額になっているのに、安い単価で発注して入札を行わないまま納入業者を決めるなど厚生労働省の通知に反する形でおよそ6億円の契約を結んでいたことがわかりました。

また、別の独立行政法人が運営する兵庫県尼崎市の労災病院も、病室に設置する冷蔵庫やテレビなどをリースした際、契約を部屋ごとに70以上に分割して1件当たりの金額を抑える方法ですべて同じ業者に発注し、昨年度までに3000万円以上を不当に支払っていたということです。
会計検査院はこうした不適切な契約の見直しを求める方針で、病院や運営する独立行政法人は「現段階ではコメントしない」などとしています。



http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20161023/Recordchina_20161023018.html
世界一の医療環境を誇る日本、高効率の診察や薬剤師の行き届いた指導―中国紙
レコードチャイナ 2016年10月23日 15時30分 (2016年10月24日 05時01分 更新)

世界保健機関(WHO)の最新の「世界保健報告」によると、医療水準や医療サービスの受けやすさ、薬の費用負担の公平性など、さまざまな分野において、日本は高水準で、「世界で最も医療環境が整っている国」と称されている。生命時報が伝えた。

■病院の大きさにかかわらず同じ医療水準

日本の病院は大きく分けて4種類ある。体調を崩した際、大抵まず行くのが各コミュニティーにある診療所。そこで見てもらってもよくならない場合、その病院で紹介状を書いてもらい、専門病院で治療を受ける。もし、深刻な病状の場合、大型総合病院に行って治療を受ける。それに加えて、対応人数が20~50人のクリニックもあり、あまり待たずに診察してもらえるため、患者にとっては便利な存在だ。

2002年、厚生労働省は国民の健康維持と現代病予防を目的として「健康増進法」を制定した。その中でも重要なのは、国民のためにバランスの取れた医療環境を構築することだ。そのため、日本では、各種専門病院が各都市の各地域にあり、患者が受診のために遠くまで出かけなくて済むようになっている。

上記の4種類の医療機関の医療の質を同レベルにするために、日本の政府はクリニックに対する定期検査を重視し、その経営範囲や医療水準、医師の資質、最新設備の導入などを厳しくチェックしている。

■効率のよい診察

診察の効率を保つため、医師は通常、看護師3~5人の助けを得る。患者が来ると、看護師が医師の指示に従って、採血を行ったり、血圧を測ったり、問診をしたり、身体検査をしたりする。また、大抵、診察室の隣で各種検査を受けることができるため、受診時間の短縮にもつながっている。検査の結果が出ると、看護師はそれを医師に見せると同時に、所見を伝え、患者の病状について意見を交換する。その後、医師が患者に病状を伝え、処方箋を出す。その後、看護師は処方箋を見せて、患者に薬の服用の仕方などを詳しく伝える。このようにすることで、患者は15-20分で受診を終え、薬をもらって帰途に就くことができる。中国のように、患者が検査結果を自分で持って、医師のもとに戻って来て、他の患者の受診を妨げるような状況は見られないのだ。

■病院と薬局が別々、必要な分だけ処方

欧米諸国と同じく、日本の病院には通常、薬局がない。薬局があるのは、200人以上の患者を収容できる総合病院ぐらいだ。その理由は、日本では薬品は全て政府が統一して管理しているからで、どこの薬局で買っても、同じ薬ならほぼ同じ値段だ。

患者が医師が出した処方箋を持って薬局に来ると、薬剤師が医師の指示に基づいて、必要な分だけ薬を準備してくれる。例えば、一箱30個入っている薬であっても、医師が20個と指示していれば、薬剤師は20個だけ取り出し、服用方法が書かれた袋に入れて渡してくれる。また、薬のお金を払った後、薬剤師が別室で、服薬指導をしっかりと行ってくれる。

このような整った医療条件があるため、日本人の生活の質は非常に高く、世界一の長寿国となっている。2015年のWHOの「世界保健統計」によると、14年の日本人の平均寿命は女性86.83歳、男性80.50歳で、ともに過去最高を更新した。日本は20年連続で世界一の長寿国の地位を維持している。(提供/人民網日本語版・編集/KN)


  1. 2016/10/24(月) 05:33:12|
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