Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月19日 

http://www.huffingtonpost.jp/masahiro-kami/medical-ethics_b_12552172.html
「研究機関の医療倫理」という領域に、政府が介入するのは正しいのか?
上昌広  特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所 理事長

投稿日: 2016年10月19日 15時42分 JST 更新: 2016年10月19日 15時42分 JST ハフィントンポスト

東大医科研を辞し、医療ガバナンス研究所に移り、半年が経過した。相変わらず、診療・研究・教育活動を続けている。

研究を進める上で、倫理委員会は必須だ。独立した研究機関になった以上、私たちも倫理委員会を立ち上げることとした。この旨、中央大学経済学部4年で、当研究所のスタッフである三浦基君に指示した。三浦君には倫理委員会に詳しい専門家を紹介した。

三浦君からの報告を聞いて驚いた。「今さら倫理委員会を立ち上げても遅い。倫理委員会は集約化され、国が認めたものしかなくなる」と言われた」と言うのだ。

確かに、日本医療研究開発機構(AMED)のホームページには「倫理審査委員会認定制度構築事業」について記載があり、その必要性を「「倫理審査委員会ごとに審査の質にばらつきが生じている」との指摘」があるためと説明している。15年度には東北大学など、6つの大学が認定されている。

この事業の真意について、知人の厚労官僚に問い合わせたところ、「海外の制度を参考に作っており、今後は法制化も視野にしている。国が認定するのは、そんなにおかしいのでしょうか」という回答が返ってきた。

なぜ、医療倫理という問題に政府が介入することに、誰も違和感を抱かないのだろう。

丁度、三浦君と議論しているところに、小松秀樹医師がやってきた。『医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か』などの著書で有名な論客だ。

小松医師に、この問題についての意見を聞くと、「ありえない。国が倫理をコントロールすればナチスだ。そもそも医療倫理は、戦後、ナチスへの反省から生まれた。こんな議論を真顔でしているのは、日本人の知性が劣化している証左だ」と喝破した。医療倫理の専門家や厚労省の意見とは正反対だ。

では、厚労官僚が「錦の御旗」とする海外の議論とは何だろう。最近、New Engl J Medに、米国バンダービルト大学のローラ・スターク博士らが、「Clinical Trials, Healthy Controls, and the Birth of the IRB」という論文を発表し、その中で'Central IRB'が生まれた経緯を説明している。

米国でIRBが始まったのは50年代だ。きっかけは、NIHの臨床センターで「ボランティア」を臨床試験に登録していることが問題となったからだ。当時、「ボランティア」と言えば、囚人や軍人、医学生だった。

その後、NIHが資金を提供し、他施設で実施される研究についても、倫理的な問題が指摘されるようになった。70年代に発覚したタスキギー事件など、その代表例だ。32~72年までアラバマ州タスキギーで米国公衆衛生局が、梅毒の無料治療を提供すると称して、黒人の梅毒患者を無治療で経過観察した。

このようなケースを通じ、臨床研究を実施する各施設にIRBを設置することが求められるようになった。それが'local IRB'だ。

ところが、この仕組みに不都合が生じている。多施設共同研究で、各施設がIRBを設置するのは金と時間の無駄なのだ。スターク博士らは、この無駄を解消する仕組みが'Central IRB'であるという。このため、単独あるいは数施設で実施する小規模な臨床研究は、対象とならない。そもそも「今回のIRB改革の提言は、政策担当者による規制強化を求めるものではない」と強調している。'Central IRB'の主旨は、現場の研究者の支援であり、国家統制ではないのだ。

厚労省やAMEDの担当者とは対照的だ。彼らのやり方は、補助金と引き替えに、倫理委員会の統制を進めることになる。医療倫理の世界の常識から逸脱している。前出の三浦君は「どうして、日本では世界の議論がこんなにねじ曲がるのでしょうか」と言う。

私たちの研究所は、多施設共同の前向き研究には参加しない。福島などをフィールドとした小規模でretrospectiveなものばかりだ。従来の予定通り、独自に倫理委員会を立ち上げることとした。

小さい組織のメリットはスピードだ。大組織の倫理委員会を利用すれば、我々の長所が失われる。その代わり、情報開示を徹底したい。倫理委員会の委員をお願いする方々には、忌憚のない率直な意見を賜りたいと思う。


*本稿は「医療タイムス」での連載に加筆修正したものです。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1019/mai_161019_1829096148.html
<厚労省>個人治療歴を一元管理 医療効率化 20年度から
毎日新聞10月19日(水)21時31分

 厚生労働省は19日、病院での治療歴や健診結果など国民の医療や保健に関するさまざまな情報を統合し、病院や介護などの現場で活用できるデータベースを2020年度から運用する構想を明らかにした。国民一人一人に最適な医療や保健サービスの提供を目指すとともに、投薬や検査の重複を防ぐことで医療費の節約にもつなげたい考えだ。一方、情報提供への同意の取得や個人情報の取り扱いなど、実現には高いハードルが想定される。
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 現在、個人の治療情報や、予防接種記録、健康診断のデータなどは、病院や自治体などが別々に保有している。この日、塩崎恭久厚労相が設置した有識者懇談会が保健医療分野の情報通信技術の活用に関する提言書をまとめた。その中で、国民の医療、保健、介護に関する情報について、国が主導してデータの規格を統一し、統合して管理することによって医療や介護の効率化を図るデータベース作りを求めた。

 厚労省は提言を受け、データベースを「PeOPLe(ピープル)」(仮称)と名付け、20年度の運用開始を目指す方針を決めた。過去の病歴や薬の使用状況、健診の結果、介護の必要性などの情報が共有されれば、かかりつけ医以外の医療機関に搬送された場合に適切な治療を受けられたり、同じ薬の重複投与を避けられたりする。高齢化が進む中、地域の医療・介護の連携や災害時の治療、本人の健康管理などにも役立てられると期待される。

 また、集まったデータを匿名化して分析し、病気の原因解明や医薬品の安全対策、効率的な医療の実現などにも役立てる計画だ。

 一方、病気や健診の情報は特に慎重な扱いが求められる個人情報のため、集めたデータの保護の徹底や、万が一流出した場合の対策などが求められる。民間の病院や機関が保有する情報の提供に関するルールも必要になる。提言書は、データベースへの情報提供には本人の同意が必要とし、情報を使える人の範囲を限定する仕組み作りを要請している。同省は今後、具体的な仕組みの検討や関係者との調整を始める。【細川貴代】



https://www.m3.com/news/iryoishin/468967
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
中川日医副会長、「医師の処方権と薬剤師の調剤権、全く違う」
日薬大会での健保連幸野氏の講演、問題視

2016年10月19日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「医師の処方権と薬剤師の調剤権は、どの辺りでバッティングするのか、全く違う。処方は、医師法に基づいた医師の権限であり、薬剤師は医師の処方に基づいて、薬を調剤するのであり、そこにどんな格差が生じるのか、意味が分からない。『医薬分業をゆがめている』というのは、非常におかしな話だ」

 10月19日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)の席上、語気を強め、問題視したのは、日本医師会副会長の中川俊男氏。怒りの矛先は、支払側委員の健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏だ。幸野氏が、10月10日に名古屋市で開かれた第49回日本薬剤師会学術大会で講演、「薬剤師の調剤権を医師の処方権の間に格差があることを問題視し、同等に近づけることが、2018年度診療報酬改定の重点課題の一つ」などと発言したことの真意を、中川氏は質した。

 幸野氏は、処方せん欄に「後発医薬品への変更不可」欄があること自体が問題であり、残薬管理なども医師に疑義照会するのではなく、薬剤師の判断で対応することなどが、「調剤権の拡大」の意味であると説明。病状が安定した患者はリフィル処方で対応すれば、医療費の適正化にもつながる、などの持論を展開した。

 一方、中川氏は、患者を診察して薬物治療の要否や処方薬を決めるのは、医師法で認められた医師の権利であり、医師の処方に基づき調剤するのが薬剤師の役割であるなどと主張。

 「幸野発言」問題は、この日の中医協総会の議題ではなかった。両者の意見は平行線をたどり、医師の処方権と薬剤師の調剤権に対する考え方の相違が際立ったまま、議論は時間切れで終了した。

 幸野氏「中医協委員でなく、個人的な発言」
 中川氏は、まず幸野氏に対し、日本薬剤師会学術大会の講演で、「医師の処方権があまりに強いために、薬剤師の調剤権との格差があり、医薬分業がゆがんだ形態になった」「薬剤師の調剤権の拡大、強化が、次期診療報酬改定の重要課題に位置付けたい」などと発言したことは、事実か否かを質問。

 幸野氏は講演の事実は認め、中医協委員ではなく、健保連理事として、以前からの持論、私見を話したと説明。「医師の処方権と薬剤師の調剤権の間に格差が生じていると感じている。医薬分業は約40年前から始まったが、調剤権の拡大がないままに、地理的な優位性のみで分業してきたために、薬剤師の本来機能が失われた」などの内容だったという。2016年度診療報酬改定では、かかりつけ薬剤師の機能が評価されたこともあり、「医薬品については、薬剤師は専門家。医師と同等の立場で調剤権を発揮できるように、頑張ってほしいというエールを送るつもりだった」(幸野氏)。

 中川氏「処方権と調剤権、全く違うもの」
 この回答に対し、中川氏は、「健保連理事の立場」と部分を問題視。学術大会という公の場での講演であり、かつ「次期診療報酬改定の重要課題とする」とまで言及している以上、中医協委員の立場での講演であり、「個人的な見解、では通用しない」と指摘した。

 その上で、「医師の処方権と薬剤師の調剤権は、どの辺りでバッティングするのか、全く違うもの」と問いかけた。「医師が処方する権利は、医師法に基づいている。薬剤師は医師の処方に基づいて、薬を調剤するのであり、そこにどんな格差が生じるのか、意味が分からない。『医薬分業をゆがめている』というのは、非常におかしな話だ」(中川氏)。

 幸野氏は、(1)処方せんに、「後発医薬品への変更不可欄」があるのは問題で、医師は一般名処方をし、薬の選択は薬剤師が行うべき、(2)残薬を確認した場合には、医師に疑義照会せずに、薬剤師自らが判断すべき――などの例を挙げ、この意味で「調剤権の拡大」を提言していると説明。「病名に対して、薬を決めるのは薬剤師だ、という意味ではないが、医師が処方したものに対して、薬を選択していくのは薬剤師の仕事だ、という意味」(幸野氏)。

 この回答に対し、中川氏は再び反論。「患者を診断して、どんな治療をするかを、資格として認められているのは医師であり、薬剤師には認められていない。どの薬を使うかも、医師が決める。『一般名で処方して、どの薬を使うかは、薬剤師が判断する』というのは、暴論に近い。患者を診察しない薬剤師が、どのようにして使う薬を判断するのか」。

 これらのやり取りに、日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、次のように発言した。「調剤権の拡大ではなく、薬剤師が調剤する上で、どんな義務を負っているのかを考えていくことが必要。医師の負担軽減が重要視される中で、医師と薬剤師がお互いの理解と連携の中で、それぞれが機能を発揮する、役割を果たすことが求められている」。

 中川氏と幸野氏、リフィル処方でも意見対立
 反対に、幸野氏は、「門前薬局が本当に医薬分業の正しい姿なのか」と中川氏に問いかけた。「立地優先のビジネスモデルに変わってしまった」と幸野氏は述べ、セルフメディケーションなどを支え、医療機関に受診する前に患者が利用できるような薬局が在るべき姿であるとした。

 中川氏は、セルフメディケーションについては、「話が違う議論」と切り捨て、「本来薬剤師がやるべき業務、役割を果たすことが第一」と安部氏の発言を支持。医薬分業については、「大賛成ではなく、むしろ患者にとってデメリットも多い。しかし、国の政策として進めてきた以上、できるだけ支障のないように改善していきたい」と回答した。

 話を幸野氏の講演に戻し、「リフィル処方が導入されれば、再診料や処方料が不要になるから、医療費が削減される、とまで言っている。これも看過できない。医科の技術料が調剤料に移行するだけで、医療費は削減されない。慎重な発言をお願いしたい」と中川氏は問題視した。

 幸野氏はこれに対し、次のように回答した。「リフィル処方は絶対に悪くない制度だと思う。病状が安定し、薬剤師の範疇で管理できる患者については、リフィル処方で管理するのが在るべき姿。なぜ毎月、医療機関を受診して、再診料や処方せん料を払わなければいけないのか。保険者から見れば、疑問。病状が安定している患者については、そうした仕組みを入れて医療費に適正化につなげるのは当たり前の考え方」。



https://www.m3.com/news/general/468915
がん新薬、心筋炎1人死亡 オプジーボの副作用
2016年10月19日 (水) 共同通信社

 厚生労働省は18日、がん治療薬「オプジーボ」を投与された60代の患者1人が、副作用とみられる心筋炎を発症し死亡したとして、製造元の小野薬品工業(大阪市)に、薬の添付文書に重大な副作用として追記するよう指示した。

 厚労省などによると、2014年7月の薬の承認以降、死亡した1人を含む3人が心筋炎を発症した。血小板が減り出血しやすくなる「免疫性血小板減少性紫斑病」や「横紋筋融解症」を発症した患者もおり、これらも重大な副作用とされた。

 オプジーボの投与を終えた後、14人が糖尿病などを発症したことも判明。厚労省は、投与終了後の副作用についても注意喚起を求めた。

 オプジーボは、一部の患者に優れた効果があるが極めて高額な薬剤。悪性黒色腫と非小細胞肺がん、腎細胞がんの治療に保険が適用されている。



https://www.m3.com/news/general/468921
記者が会見資料提供か 岡山大薬学部アカハラ問題
2016年10月19日 (水) 共同通信社

 岡山大の准教授がアカデミックハラスメントを巡って前薬学部長ら2人を提訴した訴訟に絡み、前学部長側の代理人弁護士が18日、記者会見などで報道機関に提供した資料を、記者が原告の准教授側に渡していた疑いがあると明らかにした。報道機関名は判明していないとしている。

 代理人弁護士は「取材源の秘匿が大前提の記者を信頼して提供した。相手方に渡るとは想定しておらず遺憾だ」と話している。

 代理人弁護士によると、記者会見などで提供されたのは、前学部長らを巡る別の裁判の訴訟資料。今回の訴訟で准教授側の代理人は、記者から入手したことを明らかにしたといい、訴訟に協力する趣旨の内容が書かれた記者からのメールを裁判所に証拠提出した。報道機関や記者の名前は消されていた。

 准教授側の代理人を務める弁護士事務所は「担当弁護士が不在で答えられない」としている。

 准教授は昨年5月、前薬学部長ら2人に、計550万円の損害賠償を求めて岡山地裁に提訴。訴状によると、業績を中傷されたほか、2人の代理人が2014年9月に記者会見を開いた際、准教授の名前だけを実名で記載して批判する内容の資料を配布され、精神的苦痛を受けたとしている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/all/welcome_leaf.jsp?http%3A%2F%2Fmedical.nikkeibp.co.jp%2Fleaf%2Fmem%2Fpub%2Feye%2F201610%2F548705.html
数年後には在宅医療が診療所の必須要件に?
2016/10/19 二羽 はるな=日経ヘルスケア

 「数年後には、在宅医療の提供が診療所の必須要件となるのではないか」――。最近、取材をしていて、そう感じることがとても多い。そこで今回の『記者の眼』では、診療所が在宅医療を手掛けなければならなくなると考える理由を解説したい。

国民への普及啓発に向け「全国在宅医療会議」が発足
 在宅医療の需要は、今後一層増す。政府の社会保障制度改革本部に設置された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」は、2025年に居宅や介護施設、高齢者住宅などで在宅医療等による対応が追加的に必要になる患者が29.7万~33.7万人程度になると推計。だが、高まる需要に対し、在宅医療の担い手は足りていないのが現状だ。

 このため、国は在宅医療の普及に向けて、国民に対しても、医療者に対しても、様々な策を打ち出そうとしている。

 国民に対しては意識の改革を求めていく。今年7月、関係団体や研究機関、学会、住民などで構成される「全国在宅医療会議」が発足した。会議では、在宅医療の特性を踏まえた適切な臨床評価指標のあり方、在宅医療の普及啓発に向けた効果的な情報発信の方策などについて検討する。入院患者の中には在宅医療への移行を望む人が少ない現状を踏まえ、適切な臨床評価指標を用いて在宅医療の特徴やメリットを分かりやすく国民に啓発し、在宅医療を普及させたい考えだ。

 医療者に対しては、診療報酬の見直しにより在宅医療の提供を求めていく。

 2016年度診療報酬改定では、在宅医療における収入の柱となる在宅時医学総合管理料(在医総管)などの管理料の報酬体系が大きく見直された。具体的には、(1)一つの建物の中で診ている患者数に応じて点数を細分化、(2)重症度の高い患者への診療をより手厚く評価、(3)月1回の訪問診療でも算定できる管理料を新設――の三つだ(図1)。既に在宅医療を手掛けている医療機関の経営にとって最も影響が大きかったのは(1)だが、在宅医療の担い手を増やすという観点から注目すべきは(3)だろう。

 従来、在医総管を算定するには、計画的な医学管理の下で月2回以上の定期的な訪問診療を行う必要があった。だが、今回の改定では月1回の訪問診療でも算定できる管理料が新設された。

 こうした点数ができた背景には、二つの狙いがあるとみられる。一つは、状態の安定している患者に対する訪問診療は月1回とし、空いた時間でより多くの患者を診てほしいという、「1人の医師が診る在宅患者数を増やす」狙い。もう一つは、在宅医療を手掛けていない医師にも、外来通院が困難になった患者への訪問診療を行ってほしいという、「在宅医療を提供する医師数を増やす」狙いだ。

 外来医療で算定する報酬の施設基準に在宅医療の提供が盛り込まれ、在宅医療の提供が必須要件化されるケースも出てきた。

「かかりつけ医」の要件にも「在宅医療の提供と24時間対応」
 2014年度改定で、外来医療において「主治医機能」を評価した地域包括診療料・地域包括診療加算が新設された。2016年度改定では、この地域包括診療料・加算の算定を届け出る施設が少ない実態を踏まえ、施設基準が緩和された(図2)。病院では「二次救急告示病院または救急告示病院」の要件が削除され、診療所では「常勤医師3人以上」の要件が「2人以上」に引き下げられた。

 さらに、認知症を有する患者への主治医機能を評価するため、より点数の高い認知症地域包括診療料・認知症地域包括診療加算が新設された。これらの報酬は、国にとって「届け出のハードルを下げてでも算定してほしい報酬」といえる。

 認知症地域包括診療料・加算や地域包括診療料・加算の施設基準では、在宅医療の提供や、当該患者に対して24時間対応を行うことが要件となっている。国が示した「かかりつけ医」の要件として、在宅医療の提供が最低限求められているといえるのではないだろうか。

 他方、外来医療需要はピークに近づきつつある。経済産業省の「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」が2015年にまとめた報告書によると、外来医療需要は全国では2025年にピークを迎え、その後は減少に転じる見通しだ。外来患者数の落ち込みに備えた診療所の生き残り策としても、在宅医療は重要になってくるだろう。

 とはいえ、1人で診療に当たっている診療所開業医が24時間・365日対応を行うのは困難だ。そこで、こうした医師をバックアップするため、在宅医療をメーンに手掛ける大規模な在宅療養支援診療所(在支診)が、診診連携によって夜間や休日の対応を担う動きが出てきた。

 医療法人悠翔会(東京都港区)は、東京都や埼玉県、神奈川県、千葉県で九つの機能強化型在支診を展開する。夜間や休日の電話相談を受けたり緊急往診を行う「当直機能」の拠点は3カ所に集約し、複数の医師で対応に当たっている。この当直機能は、電子カルテによる情報共有が可能であれば法人外の診療所でも利用でき、現在は18診療所が利用している。費用は患者1人・一晩当たり50円だ。「在宅での看取りの対応力が広がる一方で、医師の負担も大きくならず、在宅医療の持続可能性を確保できる」と理事長の佐々木淳氏は話す。こうした仕組みが全国各地で広がれば、1人で診療に当たっている診療所開業医に
とっても在宅医療を担うハードルは今より低くなるだろう。

 診療報酬の見直しや先進的な医療機関の取り組みなどにより、在宅医療はゆっくりだが着実に広まりつつある。今後は国民への啓発も進むとみられ、数年後には在宅医療は現在よりも格段に普及しているだろう。高まる患者ニーズに応えるためにも、診療所として生き残るためにも、在宅医療を始めるのに今日より早い日はないと考えるが、いかがだろうか。



https://www.m3.com/news/general/468762
三重)救急ワークステーション、名張で来月から試験運用
2016年10月19日 (水) 朝日新聞

 救急隊員が病院で医師や看護師から実習指導を受けながら、いざ119番通報があればそのまま出動する「救急ワークステーション(WS)」の試験運用を名張市が11月10日から始める。市立病院(百合が丘西1番町)の協力を得て、来年度からの本格運用をめざす。WSの導入は、県内の市町で5例目。

 市消防本部の説明では、毎週木曜日の午後1~5時に救急救命士2人と救急隊員1人が1組となり、名張消防署の救急車2台のうち1台を使って市立病院に詰める。3人は平時は救急処置室などを拠点に、心肺蘇生や点滴処置などの救命活動、消防庁の「救急救命士再教育ガイドライン」に沿った処置について医師や看護師から指導を受け、傷病者に対する処置技術の習得、向上をめざすという。

 来年1月からは実施時間を午前9時~午後5時に延長。実習内容や派遣体制について検証し、来年度から水、木曜日の週2回とする本格運用に備える。

 市内では、住民の高齢化などに伴って救急出動回数が増加。2006年は約2500件だったのが、今年は3500件ほどになると見込んでいる。WS導入は、救命率の向上を図るため隊員らを再教育するとともに、次世代を担う隊員の育成と資質向上を、現有態勢を崩さないまま効率的に図る狙いがある。(中川史)



https://www.m3.com/news/general/469038
薬局でインフルエンザ検査 - 陽性の利用者に受診勧奨
2016年10月20日 (木) 薬事日報

■九州保健福祉大学が臨床研究

 九州保健福祉大学薬学部の河内明夫教授、富高薬局などの研究グループは、かぜ症状がある来局者を対象に薬局でインフルエンザウイルス検査を行い、陽性者に対して薬剤師が受診を勧奨する臨床研究を実施している。昨シーズンに実施した研究では利用者の約3割にインフルエンザウイルス陽性反応が見つかり、受診を勧奨した。病院や診療所に加え薬局でもこの検査を行える体制を整備することによって、インフルエンザ患者を地域から幅広く見つけ出せるようになる。この体制は、特にパンデミック発生時に効果を発揮するという。研究グループは今年の冬も同様の臨床研究を実施し、その成果を検証する計画だ。

 昨シーズンの臨床研究は千代田病院、宮崎県日向保健所、日向市・東臼杵郡薬剤師会などの協力を得て、国の科学研究費をもとに実施した。日向市にある富高薬局の1店舗に簡易検査ブースを設置。昨年12月から今年3月末まで、研究の趣旨を説明し同意を得た52人に対し、インフルエンザウイルス検査を無料で行った。

 検査時にはまず、発熱、咳、鼻水、くしゃみ、頭痛など現在の症状や、かぜをもらった場所、予防接種の有無などを調査票に記入してもらい、体温も測定した。その上で鼻にビニールシートをあてがって鼻かみ液を採取し、それを検体として検査機器でインフルエンザウイルス検査をその場で実施した。

 その結果、52人中15人(28.8%)にインフルエンザウイルス陽性反応が認められた。陽性者に対して薬剤師は、早めに医療機関を受診するよう勧奨したほか、水分を十分に補給すること、マスクを着用すること、外出を控えることなどを伝えた。

 一方、陰性者に対して薬剤師は、発症初期にはウイルスを検出できない場合があることも説明し、発熱や咳などの症状があればインフルエンザに罹患している可能性があることなどを伝えた。

 52人中、医療機関受診前に来局した利用者は36人で、そのうち7人は陽性だった。一方、医療機関受診後に来局した利用者は16人で、このうち8人に陽性反応が認められた。受診時には感染早期のため検査が陰性だったが、その後時間が経過し陽性反応が出現したと考えられたという。

 2週間後、利用者に調査票を郵送し経過を聞いたところ、回答があった24人のうち陽性者7人は全員受診してインフルエンザと診断され、処方薬の投与を受けていた。陰性者17人のうち受診した6人は全て、インフルエンザではないと診断されていた。受診しなかった11人は自宅で療養し、自然に緩解していた。

 また、薬局でのインフルエンザウイルス検査を今後利用したいと思うか聞いたところ、24人中22人(91.7%)が「そう思う」と回答した。

 研究代表者の河内氏は「検査結果に基づいて明解に受診勧奨を行える。薬剤師もやりがいを感じている」と述べ、「パンデミックが起こった時にも薬局が交通整理を行える」と利点を強調する。陽性者の中には、解熱鎮痛剤の常用によって発熱などの症状が抑えられている患者もいた。

 研究グループは今シーズンも11月頃から同様の体制で臨床研究を実施する。かぜ症状を示す患者や地域住民の中に潜在するインフルエンザ罹患者を効率良く発見し、受診勧奨に導くことは地域保健の向上に寄与するとして、その効果をさらに検証する計画だ。



https://www.m3.com/news/general/468928
レンタル料金ばらつき是正 高額批判でチェック厳しく 「どうなる!?介護保険」福祉用具
2016年10月19日 (水) 共同通信社

 約270万人が利用する介護保険サービスの一つが、車いすや介護ベッドなど福祉用具のレンタルだ。事業者ごとの料金のばらつきが問題視されてきたが、見直されることになった。

 高齢者は1~2割の自己負担で福祉用具を借りることができる。レンタル料金は、公定価格に縛られる他の介護保険サービスと異なり、製品本体の価格や保守点検に必要な人件費などを考慮し、事業者が自由に決められる。料金がばらばらなのは、このためだ。

 だが極端なケースも報告されている。財務省の調査では、ある介護ベッド製品は全国平均料金(月額)が8803円なのに、一部の事業者は10倍以上の10万円の値を付けていた。平均料金597円のスロープが、販売価格(5千円程度)より高い7180円で貸し出されている例もあった。

 こうした事態を受け、厚生労働省はレンタル料金の適正化に乗り出す。具体的には(1)利用者に複数の製品を紹介するよう事業者側に義務付ける(2)料金設定が極めて高い場合、事前に市町村の了解を求める(3)ケアマネジャーに貸与計画書を点検してもらう―など新たな仕組みを導入する方針だ。

 ただ、現実的に市町村がどこまでチェックできるかは不透明。全国町村会は「判断基準を国が示してほしい。専門知識を持つ職員が少ない小規模自治体ではチェックしきれない」と懸念する。

 業界団体「日本福祉用具供給協会」の小野木孝二(おのぎ・こうじ)理事長は、高額な料金設定が一部にみられることを認めた上で「介護保険制度が始まったころに比べ、製品ごとのレンタル料金は下がっている。市場競争の原理は働いている」と説明。情報公開を進め、実際の平均料金と事業者の希望料金を利用者が比較できるようにするなど、独自に対策を取りたいと話す。

 福祉用具レンタルにかかる費用は増え続け、2014年度は2755億円。政府内では「要支援1、2」「要介護1、2」の軽度者に関し、福祉用具利用の自己負担を引き上げる案もくすぶる。

 福祉用具を使う軽度者は約110万人。その1人、大阪府大東市に住む女性(72)は要介護1で、歩行器や昇降機など4点をレンタルしている。進行性の病気で両足が不自由だが、電動カートで出掛けるのが楽しみだ。「負担が増えると借りるのをためらう。足をもぎ取られるのと同じ」と不安がる。

 利用者や事業者でつくる「福祉用具国民会議」の元には、負担増に反対する約22万人の署名が集まっている。



https://www.m3.com/news/general/469050
厚労省、セルメ税制に備えて留意事項を連絡
2016年10月20日 (木) 薬局新聞

厚労省、セルメ税制に備えて留意事項を連絡 商品名や金額・購入日など記載求め

 厚生労働省医政局経済課は、来年1月1日より稼働するセルフメディケーション税制(セルメ税制)の事務連絡を通達した。対象OTC医薬品を販売する店舗に対し、証明書類となるレシート等を発行する際の注意点などを喚起している。

 確定申告の際に税制適用に係る証明書類であるレシート等について、購入品目が税制対象品目であることがわかるよう「商品名」「金額」「セルメ税制対象商品である旨」「販売店名」「購入日」の各項目が明記されていることが条件となっている。またキャッシュレジスターが発行するレシートでは、「対象製品の前にマーク(例えば★)を付すとともに、当該マークがセルメ税制の対象である旨」「対象商品のみ合計額を分けて記載」ことが必要であるとしている。

 なお、「商品名」「金額」「セルメ税制対象商品である旨」「販売店名」「購入日」が記載されていれば、手書きの領収書およびキャッシュレジスターのレシートであるかは問わないとしている。



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シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「患者申出療養の趣旨から逸脱」、中川日医副会長
東大病院の第1例目、「先進医療とどう違うのか」と問題視

2016年10月19日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月19日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、「患者申出療養」の第1例目になる東京大学医学部附属病院の事例を報告したが、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「患者申出療養の趣旨とは全く異なり、逸脱している。今回の枠組みで患者申出療養の第1例目を実施するのは、非常に残念」と問題視、「患者申出療養」の制度の在り方を改めて検討するよう求めた(資料は、厚労省のホームページ)。

 東大病院の患者申出療養は、腹膜播種陽性または腹腔細胞診陽性の胃癌に対する「パクリタキセル腹腔投与および静脈内投与並びにS-1内服併用療法」で、9月21日の患者申出療養評価会議で了承された(『東大の「患者申出療養」、条件付きで第1例目承認』を参照)。

 中川氏は、この療法を希望した患者に対する実施は問題ないとしたものの、疑問を呈したのが、東大病院の実施計画において、対象患者の適格基準の緩和の仕方に問題があるほか、1年間の予定登録症例数が100例であり、うち30例は「先進医療下で実施された臨床試験で治療継続する患者」となっている点だ。「患者申出療養」は文字通り、患者からの申出が起点であるにもかかわらず、今回の患者の申出をきっかけに、東大病院が主導で臨床研究を進めるかのように逆転していることに、中川氏は疑義を呈した。この点は患者申出療養評価会議でも問題になっており、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏など、他の委員からも同様の指摘が出た。

 厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、今回の100例についてフォローをしていくともに、第2例目以降の審査において、中医協総会で出た意見を反映させていくと説明、議論を収めた。


 問題は「適格基準7項目緩和、100例予定」
 中川氏は、「患者申出療養は、素晴らしい評価に値する仕組み。しかし、これは第1例目なので、誤った取り扱いはしてはいけないと思う」と指摘。

 「パクリタキセル腹腔投与および静脈内投与並びにS-1内服併用療法」は、先進医療制度下で行われた第3相試験で、適格基準外だった患者からの申出。東大病院は、適格基準のうち7項目について緩和、予定登録症例数を100例として実施計画を提出した。中川氏は、「患者申出療養評価会議で、一例一例を慎重に検討して、患者申出療養に適しているか否かを審査するのが本来の趣旨ではないか。適格基準を7項目も緩和し、100例を目指すのは、患者申出療養の趣旨とは全く異なる」と指摘し、「先進医療とどこが違うのか」と問いかけた。

 厚労省保険局医療課企画官の眞鍋馨氏によると、7項目のうち、申し出のあった患者が該当する緩和は2項目のみ。これを受け、中川氏は、「2項目のみ緩和することで十分ではないか。他の項目まで緩和するのは、100例を集めるという想定があったからだろう」などと述べ、7項目も一気に緩和する以上、「先進医療Bを新しく立ち上げるべきではないか。患者申出療養の趣旨から逸脱している」と指摘した。

 患者申出療養のエビデンスと保険適用との関係にも疑問
 花井氏も、「きっかけは患者の申出だが、東大病院が主体となり、データが取れるように研究をデザインしている。申し出た一人の患者に寄り沿って、研究を進めるべきであり、主客が転倒して臨床研究が走るのには、違和感を覚える」などと述べ、中川氏の意見を支持。その上で、患者申出療養で、死亡例など安全性に懸念が生じた場合、保険収載を目指してデータが得られた第3相試験にどう影響するかについて質問。「対象患者を広げたために、先行している試験に全く影響がないと言えるのか」(花井氏)。

 眞鍋企画官は、「適格基準を緩和して重篤な死亡例などが出た場合、先行する試験と併せて、総合的に評価することになる」と回答。

 この発言に疑義を呈したのが、中川氏。「適格基準を拡大しない段階で出たエビデンスに影響するのはおかしい。適格基準に該当しない患者に個別に対応するために、特別な仕組みを作ったのではないか。これでは、患者申出ではなく、医療機関主導でやっている先進医療。この患者に対しては実施するのはいいが、今回の枠組みで患者申出療養の第一例目を実施するのは非常に残念」。

 迫井課長は、中川氏や花井氏の指摘は、患者申出療養評価会議でも議論された内容であると説明。議論の結果、今回の対象となる、腹膜播種陽性または腹腔細胞診陽性の胃癌については、有効な治療法がなく、苦しんでいる患者が相当数いるという現実を踏まえ、適格基準を7項目緩和したことに理解を求めた。緩和された適格基準に該当する患者であれば、患者申出療養評価会議に諮ることなく、東大病院の判断で当該治療を実施することが可能だ。

 さらに迫井課長は、患者申出療養で得られた知見については踏まえつつも、第3相試験の結果は独立して評価すると説明。

 中川氏は、それでも納得せず、「患者申出について一例一例丁寧に審査すべき。100例も予定登録症例を集めてエビデンスを出す仕組みではない」と繰り返し、予定登録症例100例などの実施計画の訂正を求めた。

 迫井課長は、今回の患者申出療養についてはフォローアップしていくとともに、第2例目以降の患者申出療養の審査において、中医協総会で出た議論を反映させていくとして、議論を収めた。特に「予定登録症例数100例」という数字について、「100例集めなければいけない、100例ありきと受け取られると、先進医療Bと同じではないか、ということになる」と述べ、実施計画の立て方なども今後検討していく方針を示した。


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