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10月17日 

http://smart-flash.jp/sociopolitics/12717
使えない医者を量産する「怒らず、残業させず」新研修医制度
2016.10.17 Smart FLASH / 光文社

「研修医は叱らないでください」

 ある日の朝、某病院の麻酔科部長のA先生が私に釘を刺した。これから始まる手術の麻酔を研修医が担当するのだ。私はそのサポート役である。

「それから、研修医の担当する手術が17時以降に及んだ場合、本人が帰宅を希望したら交代してください。厚労省のガイドラインで決められているので」

 かつて、研修医は出身大学で各専門科の研修を受けるのが慣習だった。だが2004年、厚労省が定めた新医師臨床研修制度によって、新人医師は2年間で「外科2カ月→小児科2カ月→麻酔科1カ月……」式にいろいろな科を廻り、幅広い分野の総合的な能力を養うことになった。

 それにより大学病院に長年存在した医局制度は衰退した。新人医師が「幅広い分野の総合的能力を養う」ことは悪いとは思わないが、新制度の影響が医師不足・医療崩壊(※)という形で表面化したのは残念だ。『ドクターX』はそんな現状を背景に描かれているドラマなのだ。

 厚労省の新研修医指導ガイドラインには「ミスをしても頭ごなしに叱らず優しく諭す」「本人の同意のない時間外労働は禁止」「体調不良時には休ませる」とも。なんとも優しいことだ。

 A先生は、かつて鬼コーチとして研修医に恐れられる存在だった。「鉄は熱いうちに打て」をモットーに研修医を使い倒し、仕事が終わった後も英文論文を渡して、それを翌朝までに読ん
で来なかった研修医は、カンファレンスで罵倒された。

 しかし、彼の熱血指導を2年間耐え抜いた研修医は、それなりに使えたのも事実であった。

「さすがの鬼コーチも、厚労省には勝てなかったか……」

 冒頭の場面に話を戻そう。

 研修医は8時40分になっても現われない。手術開始は9時。「筒井先生、代わりに麻酔の準備をしておいてもらえませんか?」とA先生。

 研修医をケータイで呼び出すのも「今はまだ時間外だからダメ」と。なんでも、以前研修医を夜9時まで働かせたところ、パワハラで始末書を書かされたという。

「夜9時でパワハラですか!?」

 と私が驚くと、

「そう。心臓外科部長なんて、徹夜オペの助手をやらせたら、労働基準監督署に直訴されたんですよ」

 聞けばその研修医たちはその後、一人は先輩医師とデキ婚して専業主婦になり、もう一人は「こんなブラック病院は撲滅する!」と宣言して、ロースクールの受験勉強をしているとか……。

 8時50分、手術部受付の電話が鳴った。研修医からA先生に「LINEを確認してください」との伝言だ。A先生が慌ててスマホを開くと「今日は体調不良なので休みます」とのメッセージがあった。

「そういうわけですので、筒井先生、この手術の麻酔をお願いします」

 そして「了解、お大事に」とLINEに返信したA先生だった。


※医師不足・医療崩壊=さまざまな原因があるが、新医師臨床研修制度により新人医師が大学病院ではなく都市の総合病院に集中し、余力を失った大学病院が地方病院に医師を派遣することができなくなったこともそのひとつとされる

<筒井冨美 Fumi Tsutsui>
 1966年生まれ フリーランス麻酔科医 国立医大卒業後、米国留学、医大講師を経て2007年からフリーに。医療ドラマの制作にも関わり、『ドクターX』(テレビ朝日系)取材協力、『医師たちの恋愛事情』(フジテレビ系)医療アドバイザーを務める



http://biz-journal.jp/2016/10/post_16925.html
問題だらけ!JALとANAの「医師登録制度」
2016.10.17  Business Journal

JAL・ANAの「医師登録制度」は問題だらけ! 飛行機内で急病人が発生したら……

 「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか~!」毎度おなじみのこのフレーズ。颯爽と手を上げたイケメン医師がすばやい処置を施す。現実はドラマのようにはいかない。
 今春、公益社団法人日本医師会とJAL(日本航空)は、国内初の「JAL DOCTOR登録制度」を立ち上げた。日本医師会が発行する「医師資格証(=IC付きカード)」を持ち、事前登録した「医師(=JALマイレージバンク会員)」が機内で不調を訴えた急病者に迅速かつ適切な応急措置を行う、それが「JAL DOCTOR登録制度」のねらいだ。
 海外35億2500万人(ICAO/国際民間航空機関統計)、日本9519万7000人(国土交通省航空輸送統計年報)。延べの人口比率で見れば、海外なら世界人口の48%、日本なら日本人口の75%にもなる。
 機内で頭痛や腹痛に襲われることがあるかもしれない。急に体が不調に陥った時、機内でどんなケアが受けられるのか? そんな時、機内に医師が搭乗していたら、安心できるにちがいない。
JALとANAの「医師登録制度」がスタートしたが……

 JALのテイクオフから7カ月後の9月1日、ANA(全日空)は、JALを追うように「ANA DOCTOR ON BOARD」の導入に踏み切り、「お客様の中にお医者さまはいらっしゃいませんか?」の機内アナウンスを消した。

 この制度は、医師個人の意思と判断に基づいて登録するので、登録医師が搭乗すれば、航空会社は医師の搭乗を事前に掴める。体調が急変した乗客が出ても、客室乗務員が医師の席へ行き、「お願いします」と依頼できる。

 「お医者さんはいらっしゃいませんか?」のドクターコールがないので、乗客は不安感をもたない。何よりも人命救助がよりスムーズに行われる可能性が高まる。それが、この制度のメリットだろう。

 「医師登録制度」の足並みは揃ったかに見えるが、「JAL DOCTOR登録制度」も「ANA DOCTOR ON BOARD」も難題を抱えている。制度設計の甘さを指摘する声が根強いからだ。

なぜ医師が名乗り出ない? 「医師登録制度」の数々の問題点

 JALとANAの「医師登録制度」の問題点は何だろう?

 第1点、責任の所在の不明確。JALもANAも「故意、重過失の場合を除き、会社が対応する」としている。だが、設備も環境も不十分な機内の医療行為の故意、重過失をどのような基準で判断するのか? 

 患者が死亡すれば、訴訟のリスクを負わされる。善意の行為でも、医師は業務上過失致傷罪・致死罪に問われるリスクがある。民事責任を免責されても、刑事責任は避けられない。

 ちなみにアメリカには、「災難に遭った人、急病の人を救うために無償で良識的かつ誠実に善意の行動をとったのなら、失敗しても結果責任を問われない」という「善きサマリア人の法」が立法化されている。

 第2点、登録時の専門とする科の選択肢が不十分。登録できるのは麻酔科医、産婦人科医、一般開業医、内科医/心臓専門医、神経科医/精神科医、その他だ。

 科は必ずしも医師の専門スキルを表していないので、専門スキルを選べるように変えるべきだ。

 第3点、機内の医療設備が未整備。設備が未整備のため、病態の原因が分からず、十分な診断ができない。

 原因が分かっても、設備も薬剤もなければ、対応できることは限られ、最適な治療ができない。救急バッグは常備されているが、超音波装置などの診断装置も必要になる。

  第4点、登録できるのは医師だけ。救急医、救急救命士、看護師は除外。

 救急救命が必要な急病者なら、救急医、救急救命士、点滴の準備をする看護師が不可欠だ。救急医、救急救命士、看護師も登録できるように改善しなければならない。

 第5点、報酬の明示が不明確。機内の治療行為は、医師法に定める勤務時間外の診療だ。医師への報酬を明示しないのはなぜか? 

 JALは「空港のsakuraラウンジが使える」、ANAは「お礼状など常識の範囲内での対応」としているが、医師にボランティアを求めるのは、誠意も礼儀も失する行為だ。

 ちなみに、ルフトハンザ航空(ドイツ)なら、医師登録すれば5000マイルの付与と、次回使える50ユーロ分のチケットがプレゼントされるという。

JALもANAも「医師登録制度」の見直しを急ぐべきだ

 このように、JALとANAの「医師登録制度」は、難題ばかりだ。

 早急に医師をはじめ、救急医、救急救命士、看護師の意見をヒヤリングして、設備の整備、救急医、救命救急士、看護師の登録、責任の所在と報酬の明確化に取り組まねばならない。「善きサマリア人の法」の立法化も重要課題になるだろう。

 「医師登録制度」のスタートラインはできていない。制度の趣旨と目標が明確になれば、使命感と善意がある医師らは、安心して登録するはずだ。乗客の信頼感も満足感も高まるだろう。JALもANAも制度の見直しを急いでほしい。
(文=編集部)



http://yamagata-np.jp/news/201610/17/kj_2016101700344.php
山形刑務所、常勤医師がいない 安全や待遇への不安背景
2016年10月17日 15:44 山形新聞

 今年4月から山形刑務所の常勤医師がいない異常事態となっている。医師向けの求人サイトを活用したり、山形大や県、市の医師会に依頼するなど策を講じているが、なり手が見つからないという。関係者によると、背景には ▽受刑者への恐怖感 ▽民間に比べ給与が低い― などの先入観が広まっていることが挙げられる。現在は非常勤医師12人が交代で急場をしのいでいるが、受刑者の高齢化が進む中「一刻も早く常勤医師の確保が必要」と担当者は危機感を募らせている。

 山形刑務所を管轄する仙台矯正管区によると、東北6カ所の矯正施設で、常勤医師が不在なのは、山形刑務所、盛岡少年刑務所、福島刑務支所(女性のみ)の3カ所。ただ盛岡は若年受刑者で、収容者数は234人(8月末現在)。福島は490人(同)で、男性の福島刑務所と同じ敷地にあるため、補完が可能だ。これに対し、山形は千人規模で長期の受刑者も多いため、医師ゼロは喫緊の課題といえる。

 この状況に山形刑務所は、非常勤医師の交代勤務で対応している。5、6人の准看護師と1人の看護師が常駐しているが、常勤医師がいないと継続的な治療ができない、緊急対応に時間がかかる―などの問題点がある。

 同刑務所によると、3月末で男性医師が県外に転出。13年度からはこの男性医師が担ってきたが、今年4月に後任が見つからず「ゼロ」になった。この10年で常勤医師が不在となったのは2011~12年度以来2度目という。大学や医師会への直接依頼に加え、医師向けの求人サイト「e―doctor」に掲載するなど対策を取っている。

 常勤医師は国家公務員扱いの「矯正医官」で、年収約1千万~1100万円という。性別不問で、医師免許があれば任用可能だ。平日午前8時半から午後5時までの勤務で週休2日、当直はない。年次休暇も40日あるが「犯罪者と向き合うのは怖い」「民間と比べて収入が低い」などの声がある。実際には問診に刑務官が立ち会うため「安全は確保されている」と担当者は話す。

 関係者は「受刑者の心身を健康に保ち、罪と向き合わせるために適正に管理することが刑務所の務め」と力を込める。高齢化で認知症や介護の必要な受刑者も増えているといい、「医療体制の充実が急務だ」と窮状を訴えている。

◆東北6県の刑務所の常勤医師数と収容者数
     医師数(定員) 収容者数
 青森   1  (1)   451
 宮城   7  (8)   945
 秋田   1  (1)   413
 山形   0  (1)   1009
 福島   1  (1)   956
福島支所  0  (1)   490
盛岡少年  0  (1)   234
(収容者数は未決者を含む8月末現在)



https://www.m3.com/news/iryoishin/468310
「全ての面で市中病院が圧倒」、マッチングの動向
『ハローマッチング』著書の石黒達昌氏インタビュー

2016年10月17日 (月) 高橋直純(m3.com編集部)

 10月20日に最終結果が公表される2016年度医師臨床研修マッチング。医師国家試験対策予備校テコムで講師を務め、医学部生向けマッチング解説書『ハローマッチング』(医学評論社)を執筆している医師の石黒達昌氏にマッチングの仕組みや近年の傾向について聞いた(2016年9月30日にインタビュー)。

――マッチングは2003年度から始まりましたが、医師の中でも詳しい仕組みをご存知ない方もいると思います。簡単にご説明いただけますでしょうか。
 マッチングは2004年度から義務化された初期臨床研修制度に伴って、厚生労働省が前年の2003年に作った制度です。アメリカで1952年からあるThe National Residency Matching Programをモデルにして作られています。マッチングに参加する研修プログラム(病院)と医学生の双方の希望をコンピュータアルゴリズム下に公平な形でマッチさせていきます。両者で“婚約”が成立すると、仮契約を結ぶことになり、マッチした病院で研修を受けない等の場合には一定期間、マッチングに参加できなくなるといった制裁もあります。

 医学生はどの病院で研修するかを調べるため、4、5年生になると各地の病院を見学しています。

――マッチングの導入で大学病院離れが進んでいます。
 残念ながら、職場の雰囲気や知識・手技の習得、雑用の少なさなども含め、ほぼ全ての面で研修の場としては市中病院が大学病院を圧倒しています。研修する一番の目的は、なるべく早く一人前になること。学生からすると実をとるのは当然です。

 大学病院では医局システムの名残があり、ピラミッドの一番下、下手すると学部生の下ということもありますが、市中病院では「お医者様」として扱ってくれる。たくさんの症例を経験できるということもありますが、市中病院ではどんなに新米でも「自分は医師なんだ」という自覚が持てることが多いです。

――医師の地域偏在を助長するとも言われています。
 僕が東京の予備校で教えていることも大きいかもしれませんが、都会志向が強まっていると感じています。高校生と話す機会もありますが、どうせ東京に帰るから大学(医学部)はどこでも良いという子もいます。

 ただ、それは医師もそうで、地方の大学を出てもフリーランスになって都会に出ていく。私の勤務先も麻酔科医がいないので、手術のたびに派遣会社にお願いしています。医局に組み込まれなくても十分にやっていけて、経済的にも潤うという状況がある。我々もそうなので、学生に都会志向がだめとは言えないと思います。

――マッチングの是非はどうお考えでしょうか。
 マッチングは医学生の将来選択として一つのハードルになっており、それが良いと思います。医師国家試験は約9割受かる試験で決して難しくない。人気の市中病院では、ペーパー試験や論文、面接があり、倍率もそれなりです。試験に妥当性があるかは別としても、医学生が各地の病院を見て考えるきっかけになっています。病院も、どこまで守っているかは別として、かっちりとしたプログラムも作るようになりました。

 そして何より、最大の効果は医局の力が緩んだこと。以前は大学医局に医師を派遣してもらう必要があり、そのために病院長に大学から落下傘的に降りてくるということも多かったです。今は制度として定期的に新人医師が入ってくるので、下からコツコツたたき上げた人が病院長になれるようにもなりました。

――石黒先生はいろいろな立場で医学教育に関わってこられたと聞いています。
 1987年に医学部を卒業しましたが、6年時に国家試験に落ちるという強迫観念にかられ、東大生としては珍しく(笑)、予備校の冬期講習会に行きました。その時に講義をしてくれた先生の話が大学の講義よりはるかに面白くて感動しました。何とか合格することができた後、初期研修の忙しい半年が終わり、麻酔科に移ったころに、その予備校から講師になってほしいと連絡が来て、この業界に足を入れました。 その後、外科に移って忙しくなった時に、その予備校もつぶれて、外科研修に専念できてちょうど良かったかもと思っていましたが、ある日、上司から別の予備校で教えるようにお願いされました。やんわり断ったつもりが、今度は病院長から呼ばれて「教えてくれることになったんだって。ありがとう」と(笑)。要するに病院ぐるみで近くの予備校で教えていたのです。

 東大の外科に入局後は、文部科学省高等教育局医学教育課にも派遣されました。今でこそ医学教育課は厚生労働省と交流がありますが、当時は完全な縦割りでどちらかと言えば対立関係にあったように記憶しています。OSCEができたのは僕がいたころです。文科省は大学を統括していたのにもかかわらず、国家試験というクリティカルなところは厚労省が押さえていて、OSCE導入の動機には、多少主導権争いもあったのではと想像したりもします。

 その後、テキサス大学MDアンダーソン癌センター助教授などを経て、帰国後はフリーランスの外科医になりました。いまだに場所を変えて予備校でも教え続けており、2004年度からは、マッチングの傾向と対策を紹介する『ハローマッチング』というガイドブックを執筆し、論文の書き方指導や医学生へのアンケートに基づく人気病院の過去問解説などをしています。

――いろいろな場所で医学教育をされてきて、どのような形がいいとお考えでしょうか。
 臨床研修で言えば、初期研修も含めた8年は長すぎるのではないでしょうか。6年間の学部教育のうち最初の4年間は教養的なことを極力省いて、医学専門教育に特化し、共用試験を通過したら残りの2年は現在の必修研修のようなカリキュラムにして、とやれば卒業と同時に専門を選択できる以前のような体制に戻せると思うのです。もっとパワーアップした形で。今の初期研修ではどうしても「お客様」のような位置付けになっていて、「鉄は熱いうちに打て」といった体制にはなっていない気がします。そのうち見直しがなされるのではないでしょうか。

 文科省時代、隣の課長補佐と雑談混じりに話していたことですが、臨床は癌センターなども含めた公的病院、研究は大学付属病院と研究所、そして教育は大学医学部といった棲み分けでいいんじゃないかと。逆に言うと、医学部の教授は教育に特化すべきだと。良い医師、良い研究者、良い教育者は基本的には別の存在で、教えることは、特殊な才能、アートだと思います。一人の教授が三つもやるのは、現実的に難しいし、そもそも三権分立の原則に反すると思うのです(笑)。

※医師国家試験対策予備校テコムや医学評論社を運営する株式会社テコムは2016年よりエムスリーのグループ会社になっています。



https://www.m3.com/news/general/468254
症例集めの難しさ一因か 患者「信頼揺るがす事態」 精神保健指定医の不正取得問題
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 全国の精神科医100人前後が「精神保健指定医」資格の不正取得に関与した疑いがあることが9月に明らかになった。申請時に提出する症例リポートの使い回しが横行。症例集めの難しさが一因との指摘もあるが、強制入院の判断など強い権限を持つだけに、患者側は「信頼を揺るがす事態」と批判する。識者からは「精神科医療の在り方を見直す機会にすべきだ」との声も出ている。

 ▽100人

 聖マリアンナ医大病院の医師が資格を不正取得していた問題が発覚したのは昨年4月。指導医を含む計23人の資格が取り消され、症例リポートを使い回して申請する手口が常態化している実態が露呈した。

 厚労省はその後、診療記録の保存期間が法律で5年となっていることから、過去5年に資格申請を受け付けた2千人以上の症例リポート1万6千件超をデータベース化。患者名や入院期間に重複するものがないかどうか調査を続けてきた。

 その結果、指導医も含め100人前後の不正関与疑いが判明。聖マリアンナ医大病院の別の医師や、相模原の障害者施設殺傷事件で逮捕された容疑者の措置入院判断に関わった医師もおり、同省担当者は「ここまで多いとは」と声を落とす。

 指定医の数は、昨年7月時点で1万4793人。同省幹部は「5年以上さかのぼれば、不正取得者がもっといる可能性はある」と認める。

 ▽絶対的存在

 患者本人の意思にかかわらず強制入院させる措置入院や、患者の自由を奪うことにもつながる身体的拘束―。人権の制限にも関わる判断を実質的にしているのが精神保健指定医とされる。精神障害者の家族らでつくる「全国精神保健福祉会連合会」の小幡恭弘(おばた・やすひろ)事務局長は「患者や家族にとっては絶対的な存在。今回の問題は重大な判断の正当性を揺るがし、資格への信頼性を損なわせる深刻な問題だ」と指摘する。

 指定医の資格取得には3年以上の実務経験の他に、「統合失調症」「そううつ」など6分野8症例以上のリポート提出が必要。常勤の医師として診療した患者の症例に限られ、原則的に同じ患者の同一時期のものは認められない。

 6分野の中には「児童・思春期精神障害」など症例数が少なく、患者を受け入れている医療機関が限られるものも。医師が、必要な症例を得るために病院を移って短期間働き、複数で1人の患者を順番に担当することもあるという。

 自身も指定医の白石弘巳(しらいし・ひろみ)東洋大教授は「臨床をしながら資格を目指す若手にとって『症例集め』が大きな負担となっているのは事実」と明かす。

 ▽資格不要の任務

 それでも白石教授は、権限の重さを考慮すれば資格要件は緩和すべきではないと主張。一方で「今の精神科医療は強制入院が中心に据えられ、『指定医になって一人前』という風潮がある。そのため大半の医師が資格取得を目指す状況になっている」と分析する。

 信頼関係構築に向けた粘り強いコミュニケーションや、家族や地域と一体となったサポートなど、指定医資格を取得する前に精神科医として習得すべきことがあると指摘。「こうしたことが当たり前に行われるような体制が整備できれば地域で生活できる患者は増えるはず」と話す。

 今回の問題を受け、症例リポートのチェック強化など国の対応が注目されるが、「この機会に精神科医療がどうあるべきかを改めて考える必要がある」と訴える。



https://www.m3.com/news/iryoishin/468075
オプジーボ対応、「緊急的」と次期改定の二段階 - 迫井正深・厚労省保険局医療課長に聞く◆Vol.1
フレームワークの改革必須、典型は高額薬剤

2016年10月17日 (月) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 2016年度診療報酬改定から約半年だが、高額薬剤をめぐる議論が白熱するなど、中医協の動向から目が離せない状況が続く。同改定の検証と、介護報酬と同時改定となる2018年度改定に向けた議論も今後、本格化する。
 この中医協の事務局を担当する厚生労働省保険局医療課長に、今年6月に就任したのが迫井正深氏。医療課所属は4回目、診療報酬改定を担当するのは、2018年度改定で5回目になるという。就任から3カ月強の迫井課長に、医療提供体制や診療報酬体系についての現状認識や課題などをお聞きした(2016年10月7日にインタビュー。計5回の連載)。

――迫井課長はこれまで何度も診療報酬改定を担当されています。

 (厚労省保険局)医療課は4回目、診療報酬改定を担当するのは2018年度改定で5回目になります。

 最初は1992年から1993年の夏まで。医療指導監査室の所属だったのですが、第2次医療法改正に伴い1993年4月から特定機能病院と療養型病床群が創設される時に、診療報酬を議論するチームに入りました。中医協の議論や改定の進め方を経験したのは、その時が初めてです。

 その次が、2000年度の診療報酬改定の時で、介護保険制度の創設時の同時改定を、医療課課長補佐として担当しました。入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院料などを新設したほか、現行の薬価算定ルールを導入したのも、この時です。

 その後、2010年度と2012年度の2回の診療報酬改定を、医療課企画官として担当。2018年度に迎える診療報酬改定が、5回目に当たります。

厚労省医療課長の迫井正深氏。1989年東京大学医学部医学科卒業、1992年厚生省(現厚労省)入省、厚労省医療課企画官などを経て、2012年9月同省老健局老人保健課長、2015年10月同省医政局地域医療計画課長、2016年6月から現職。

――直近の2010年度と2012年度の改定との比較、つまりここ5、6年のスパンで見て、医療を取り巻く環境、その中で診療報酬が果たす役割、中医協の議論の在り方などはどのように変わったとお考えですか。

 当時もそうだったと思いますが、「診療報酬改定だけをやっていればいい」状況ではもはやない、ということです。もう少し正確に言うと、枠組みをあまり意識せず、ルーチン的に個々の報酬を修正していただけでは対応できず、フレームワーク自体の改革が必要になっています。高額薬剤がその典型例です。DPCなども、そうだと思います。

 「医療を取り巻くいろいろな意味での環境の変化に、診療報酬自体が対応しきれていない」という従来からの指摘に、いかに応えるかです。「改定の前年はこんな作業をやって……」という昔の医療課の“季節感”は、崩れつつありましたが、近年は特にその傾向が強まっています。

――今まさに中医協では、(抗PD-1抗体製剤の)オプジーボなどの高額薬剤が議論されています。まずは直近でどう対応するか、次にそもそも2018年度に抜本的な薬価制度の改革を実施するという2段階の議論が求められています。直近の「緊急的な対応」は水曜日(インタビュー前々日の10月5日)の中医協で基本的方向性は決まったと言っていいのでしょうか(『オプジーボの「緊急的な対応」、薬価専門部会で合意』を参照)。

 その通りです。

――「緊急的な対応」では、市場拡大再算定の考え方で薬価引き下げを実施することになります。実施時期と下げ幅の検討のほか、改定の期中に対応するハードル、検討すべき課題は何ですか。

 具体的な薬価の設定水準のほか、実施時期を含めたオペレーションの問題があります。診療報酬の改定時期に合わせて今の医療界は動いているので、(2年に一度の改定以外の時期に、薬価改定をすれば)現場には少なからずインパクトがあります。イレギュラーの対応なので、いかに混乱なく実施していくかという実務も重要です。

 医薬品は、メーカーが作り、流通市場に流通し、医療機関が購入し、医師が処方する。それぞれのステップに、いろいろな組織や人が介在します。通常の改定は折り込み済みなので、皆が暗黙のうちに準備をします。しかし、今回はそうした準備は前提としていないので、ロジスティクスを整理する必要があります。

 またオプジーボの「最適使用推進ガイドライン」への対応も求められます。その中身にもよりますが、「最適使用」という言葉を用いている以上、使用局面を一定程度、絞り込む形になると思うのです。現在、処方されている患者さんの対応も含めて、過渡的な措置が必要になるでしょう。

――卸や医療機関の在庫、現在使用している患者さんの存在、さらに審査支払も含めて、実務的な対応が必要になる。

 その通りです。

――「緊急的な対応」の実施時期を決める場はどこになりますか。

 それは当然、中医協でしょう。決めるだけでなく、関係者への周知も含めてです。

――販売元の小野薬品工業から提出してもらう年間予想販売額が、今回の薬価改定のベースになります。そのデータを検証する必要性も、5日の中医協で指摘されました。

 恐らく中医協の場では、「高く買いたい」と思う人は誰もいません。どちらかと言えば、「もっと引き下げろ」という意見が中心でしょう。ただ医薬品や医療機器については、公定価格を設定している以上、提供者側の意見もきちんと斟酌しないと、長い目で見た場合に、健全な市場形成は難しいでしょう。

 これまでは薬価調査という形で、可能な限り、全数に近い形で取引価格を捕捉していたからこそ、薬価制度が成り立っていたわけです。今回は薬価調査がない中での対応ですが、「企業の言い値を基にしているのだから、もっと厳しくしろ」という話にもならないと思います。

――「厳しくする」根拠も、一方で見当たらない。

 その辺りは、水掛け論になりかねません。だから、5日の中医協で、「いったん緊急的な対応をやるけれども、きちんと薬価制度の枠組みの議論をして、次回の2018年度改定の時に、『清算する』という進め方でいいのですね」と確認させていただきました。別に異論は出なかったと思います。

 「緊急的な対応」をする際、得られるエビデンス、数値には一定程度の限界があります。その時点で誰かが損した、あるいは得したという話をするわけではなく、薬価調査を行い、薬価算定ルール見直しの議論も経た2018年度改定の時点で、皆が納得できる合理的な解決をするということです。

――下げ幅ですが、市場拡大再算定をすると、現時点での小野薬品工業の年間予想売上額は1260億円なので、最大で25%の引き下げです。

 厚労省としては、下げ幅の考え方を問いかけただけで、「最大25%引き下げる」といった提案はしていません。2016年度の薬価改定に当たって、さまざまな議論を経た上で、(C型肝炎治療薬のソバルディなどの引き下げについて)「市場拡大再算定の特例」というルールに落ち着きました。今回改めて議論しても同じような経過になることが想定されるため、「緊急的な対応」をするのであれば、議論のスタート地点として、この特例の考え方を用いてはどうかと提案したわけです。

――「最大25%引き下げ」かどうかは、今後の議論になる。

 もちろんです。

――スケジュール感としては、当然ながら年末の予算編成までに結論を出す。

 そうです。これはいつまでも議論している話ではありません。

――日本医師会などからは、現行の薬価算定方式そのものの根本的な見直しを求める声も上がっています。どの程度、踏み込んで議論する予定ですか。

 これまでも2年に一度の改定時に、薬価算定のルールも含めて、日本の医療の在り方を総ざらいして議論してきました。今回も、通常の改定のプロセスに、薬価制度見直しの議論を入れるということです。

 当然ながら、オプジーボのように、「効能効果が大幅に変わり、対象患者も増えた」ような場合を想定して対応できるようにする必要はあります。ただし、「あらかじめ落とし所が決まっている」話ではありません。

――薬価制度の見直しにおいて、ほかに議論しなければいけないものは何ですか。

 改定の度に議論されていることですが、外国価格との調整の在り方です。昨日(10月6日)の参議院予算委員会でも議論になりましたが、同じ薬が海外の市場でどう評価されているかを踏まえて、どう調整するかが課題です。



https://www.m3.com/news/general/468260
「乳がん見落とし」で和解 徳洲会側、650万支払い
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 検体の採取ミスで乳がんの発見が遅れ、右乳房の全摘出を余儀なくされたとして大阪府の女性(49)が、同府和泉市立病院を運営する徳洲会と医師らに650万円の損害賠償を求めた訴訟が14日までに、大阪地裁(山地修(やまじ・おさむ)裁判長)で和解した。徳洲会側が同額の解決金を支払うとの内容で、和解は9月30日付。

 和解調書によると、徳洲会側は「発見が遅れた事実を厳粛に受け止め、再発防止に努めることとする」としている。

 訴訟では徳洲会側は「採取時に通常通りの手順を踏んでおり義務違反はない」と主張していた。

 訴状によると、女性は2014年4月、エコー検査などで乳がんの疑いを指摘されたが、採取した検体は良性で経過観察となった。約1カ月半後の再受診で乳がんと診断され、医師から「前回は採取用の針が正しく刺さっていなかった」と説明された。女性は「誤診のため乳房を残す温存療法ができなくなり、生存率も下がった」として慰謝料などを求めていた。



https://www.m3.com/news/general/468241
注目集める「フォーミュラリー」 - 医療費増の抑制に役立つと期待 第49回日本薬剤師会学術大会
2016年10月17日 (月) 薬事日報

 科学的根拠に経済性を踏まえて、医療機関や地域ごとに策定する医薬品の使用指針「フォーミュラリー」に関係者の注目が集まっている。米国や英国などで確立され、日本でも一部の病院が取り組みを開始したフォーミュラリーの仕組みを各医療機関や地域、保険者で導入することによって、医薬品の使用を適正化し、医療費の増加を抑制できるのではないかとの期待が背景にある。9、10日に愛知県で開かれた日本薬剤師会学術大会の分科会「病院と薬局の連携と薬剤師」ではフォーミュラリーの特徴が示され、導入の拡大に向けて意見が交わされた。

 フォーミュラリーが国家施策の観点からも注目を集めるようになったのは、安倍内閣が示した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)がきっかけだ。今年6月の骨太の方針2016には「生活習慣病治療薬等の処方のあり方等について今年度より検討を開始し、2017年度中に結論を得る」との文言が盛り込まれた。財務省の財政制度等審議会財政制度分科会でも、高額な降圧薬ARBが国内医薬品売上の上位を占めることを例に「生活習慣病治療薬等について処方ルールを設定すべき」との案が示されている。

 骨太の方針に沿って今後、フォーミュラリーの仕組みなどを参考に具体的な検討が進められる見通しだ。高額な新薬を過剰に評価して多用するのではなく、年月が経っていても有効性や安全性、経済性に優れた医薬品やジェネリック医薬品を適正に評価し、積極的に使用する仕組みをどう構築するかが焦点になる。

 分科会で安川孝志氏(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課)は「行政としてもフォーミュラリーをどういったことに活用できるのか、これから検討しながら考えていく」と説明。その上で私見として、薬剤師に対し「フォーミュラリーの作成や活用を含め、薬剤の特性を踏まえた適切な薬剤選択や、適正使用のための情報収集、提供に積極的に関与してもらいたい」と求めた。また、「製薬会社からの情報だけに頼るのではなく、自分たちで必要な情報を収集し、どういった薬を選択すべきかをしっかり医師に提言できるように能力を発揮してもらいたい」と呼びかけた。

 さらに、フォーミュラリーはジェネリック医薬品にも関係すると指摘。各地域で公立、公的病院が採用しているジェネリック医薬品リストが公表されているとし、「こういったものが地域におけるフォーミュラリーの使い方の一つになるのではないか」と語った。

■第1、第2選択薬を明示‐9薬効群でフォーミュラリー

 国内でフォーミュラリーを導入している病院の一つが、聖マリアンナ医科大学病院だ。同院は現在、ACE阻害薬・ARB、スタチン、グリニド系糖尿病薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、プロトンポンプ阻害薬(注射薬、経口薬)など九つの薬効群を対象にフォーミュラリーを策定している。これら9薬効群では院内使用における第1選択薬、第2選択薬の基準を決定。医師のオーダ時などに注意喚起し、その使用を促している。

 同院は同種同効薬の採用を原則2剤までとし、ジェネリック医薬品等の安価な薬剤を優先して採用している。実際に9薬効群の第1選択の多くをジェネリック医薬品が占め、フォーミュラリーはその使用促進に役立っている。

 新薬の評価はまず薬剤部が行い、臨床上の必要性を「代替治療はあるが新しい機序の薬剤ではある。しかし既存治療を上回るエビデンスは不十分」「代替薬はないが同効薬が多数存在する。必要性は低い」などの5段階で評価する。その上で既に同種同効薬が採用されている場合には、医師と薬剤師で構成されるフォーミュラリー小委員会で必要性を評価し、薬事委員会で採用可否の最終的な決断を行う。

 同院薬剤部の上田彩氏は「標準治療の実践にはガイドラインと関連づけたフォーミュラリーが有効とされている。当院でも医師と薬剤師の連携でフォーミュラリーを作成し、有効性と経済性に優れた薬物治療の管理の実践に貢献できている」と報告。課題として「有効性や費用対効果を比較したデータが不足しているため、ジェネリック医薬品のない同種同効薬群へのフォーミュラリーの運用はまだできていない」としたほか、「外来処方に関してはフォーミュラリーを運用していない」と語った。

 一方、薬局薬剤師の立場から講演した嶋元氏(川崎市薬剤師会会長)は、中学校区などの単位で地域医薬品集を作成することが効率の良い医療につながるとし、それに向けてまずは「近隣の病院や診療所の採用医薬品を調査し、薬局ごとの採用医薬品集を作成するべき」と話した。その上で、有効性や安全性、経済性を考慮した地域医薬品集の策定が視野に入るが、薬局は多種多様の処方箋を受け入れているため、薬を絞り込む作業は「非常に難しい問題」と話した。

 このほか川上純一氏(浜松医科大学)は、有用性は高いが薬価改定によって採算が厳しくなった医薬品の薬価を維持する「基礎的医薬品」の仕組みが今年度の薬価制度改革で導入されたことに触れ、「高額な薬剤の使用をどう抑えるか、医薬品費をどう適正化するかだけではなく、本当に患者や国民に必要な医薬品をきちんと供給していくこともフォーミュラリーの考え方になる」と強調した。



https://www.m3.com/news/general/468240
NDBデータを初公表 - 降圧剤はARBが上位独占 厚生労働省
2016年10月17日 (月) 薬事日報

■ビタミン剤の処方も多く

 厚生労働省は、医科や調剤レセプト等の情報を集めて格納した国の「ナショナルデータベース」(NDB)のオープンデータを初めて公表した。2014年度のレセプトデータ約18億8000万件を単純集計し、広く利用者が有効活用できるよう作成したもの。そのうち薬剤データについて、外来で院外処方された内服薬を見ると、糖尿病用薬は「メトグルコ錠250mg」が約11億錠と圧倒的に多く、血圧降下剤は「オルメテック錠20mg」などARBが処方数の上位を独占した。一方で、ビタミン剤など古くて安価な医薬品も多く処方されている実態が見られた。

 NDBオープンデータは、これまで行政機関や研究者向けに提供してきたNDBデータベースの有用性をさらに生かすため、医科診療行為や薬剤などのデータを広く国民に情報提供し、様々な目的に応じて有効活用できるよう単純な集計表としてまとめたもの。14年4月から昨年3月までの1年間、レセプト情報データベースに格納された医科入院外レセプト、医科入院レセプト、調剤レセプトなどが対象となっている。

 今回、新たに公表された薬剤データは、処方数量を薬効別に上位30位を選んだもの。そのうち、外来で院外処方された内服薬について、主な薬効別に処方数量の上位を見ると、糖尿病用薬は「メトグルコ錠250mg」が11億4078万9846錠と最も多く、次いで「エクア錠50mg」が3億3297万1242錠、「ジャヌビア錠50mg」が2億8869万4459錠と、古くから使われているメトホルミン製剤が圧倒的に多く処方されていたが、最近登場したDPP-4阻害剤も約6億錠程度と多かった。

 また、高脂血症用薬は「クレストール錠2.5mg」が7億3948万8536錠と最も処方されており、血圧降下剤は「オルメテック錠20mg」3億6325万3110錠、「ミカルディス錠40mg」3億1089万8058錠、「ブロプレス錠4mg」2億2115万8570錠とARBが処方数上位を独占した。

 消化性潰瘍用剤は、防御因子増強薬の「ムコスタ錠100mg」が6億6208万6515錠と最も処方されており、制酸剤「マグミット錠330mg」が9億5724万0968錠、肝機能改善薬の「ウルソ錠100mg」6億0276万1600錠、消化管運動促進剤の「ガスモチン錠5mg」も3億9523万2409錠などと多く処方されていた。

 また、広くかぜの発熱時などに使われている解熱鎮痛消炎剤は「ロキソニン錠60mg」が4億8404万4009錠、古くから用いられている去痰剤「ムコダイン錠500mg」2億6966万9429錠、咳止めの「メジコン錠15mg」2億7971錠と根強い支持を集めている。さらに、抗凝固薬は「ワーファリン錠1mg」7億0947万2907錠、「ワーファリン錠0.5mg」9442万2498錠と、依然としてワーファリンの支持が厚かった。

 精神神経用剤では「デパス錠0.5mg」が5億5955万6733錠と、精神安定剤も多く処方されており、抗不安剤では「ソラナックス0.4mg錠」1億7810万3763錠、「マイスリー錠5mg」1億7772万1113錠、抗てんかん剤も「デパケンR錠200mg」が2億5027万5573錠、「リボトリール錠0.5mg」1億0906万5055錠などとなっている。

 その他のアレルギー用薬では、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎などに使われる「アレグラ錠60mg」が2億5394万6946錠と最も多く処方されており、次いで「タリオン錠10mg」の2億3652万5475錠、新薬の「ザイザル錠5mg」も1億9722万5355錠と支持されていた。

 一方、ビタミンB1剤の「25mgアリナミンF糖衣錠」が1億4142万8545錠、ビタミンB1を除くビタミンB剤は後発品の「メチコバール錠500μg0.5mg」が10億7747万4639錠、ビタミンK剤は「グラケーカプセル15mg」が5000万4544カプセル、ビタミンE剤「ユベラ錠50mg」が8011万7594錠などと、ビタミン剤も日常診療で多く処方されていることが分かった。

 外用薬の消炎鎮痛剤は、「モーラステープL40mg 10cm×14cm」が8億4000万8238枚、「モーラステープ20mg 7cm×10cm」が6億2949万7804枚とモーラステープ群だけで約14億7000万枚も処方されていることが分かった。

G3註:厚生労働省 第1回NDBオープンデータ 2016-10-12
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html


https://www.m3.com/news/general/468247
救急延命、本人の意思尊重 終末期高齢者、情報共有へ 在宅医や消防に研修も 学会は蘇生中止指針検討
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 がんなどの重い病気により終末期にある高齢者が心肺停止といった状態で救急搬送される際に、本人の意思表示がないまま蘇生・延命措置を受けるケースが増えているため、厚生労働省は2017年度から、在宅医療に携わる医師や看護師、救急隊が連携し、患者の情報を共有する仕組みづくりを支援する。先進的な自治体の取り組みを参考に研修会を来年開き、患者の意思を尊重した終末期医療を目指す。

 日本臨床救急医学会は、本人の意思やかかりつけ医の指示などの条件を付けた上で、救急隊が蘇生措置を中止できるようにする方向で指針を検討している。

 救急隊や搬送先の病院は応急処置をするのが原則だ。一方で、終末期の高齢者の中には、回復が見込めなければ延命を望まない人も多い。認知症で事前の意思表示が難しかったり、家族が離れて暮らしたりしている場合もあり、救急医療の現場では葛藤が続いている。

 厚労省は、判断能力のあるうちに患者の意思を確認し自宅や介護施設で容体が急変した場合、救急隊が家族や在宅医と速やかに連絡が取れる体制をつくることで医療者の悩みを減らしたい考え。

 総務省消防庁によると、救急搬送される人数は年々増え、15年には約547万人と過去最多を記録した。高齢者の増加が目立ち、14年は全体の55・5%に当たる約300万人が高齢者だった。

 東京都八王子市は高齢者の救急搬送について、11年に消防署や病院、介護施設などで連絡会をつくり延命措置の希望などを記入する用紙を市民に配布している。兵庫県の明石市消防本部は各地区で医療・介護職らが開く連携会議に参加。本人や家族から蘇生措置を望まないとの意思表示がある場合は、119番する前にかかりつけ医などに相談するよう求めている。

 厚労省の研修会は10~20自治体を対象とし、先進地の関係者が講師役。自治体や圏域ごとに救急隊員、行政担当者、在宅医療の医師や訪問看護師らにまとまって参加してもらい、連携や住民への啓発活動を促す。17年度予算の概算要求に事業費1700万円を盛り込んでおり、18年度以降も各地に取り組みを広げることを検討する。

 ※救急隊員の応急処置

 総務省消防庁の基準では、救急隊員は「生命が危険であり、または症状が悪化する恐れがあると認められる場合、応急処置を行う」と定められている。処置の方法としては、気道確保や人工呼吸、胸骨圧迫(心臓マッサージ)などがある。救急業務に関する別の基準では「傷病者または関係者が拒んだ場合は搬送しない」としているが、現場では「119番の後に『本人は延命措置を望んでいなかった』と聞かされても、応急処置をするのが原則」との意識が強い。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161017-OYTET50053/
沖縄の県立病院、筋弛緩剤を紛失…少量の使用でも死に至る恐れ
2016年10月17日 読売新聞

 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター( 南風原はえばる 町)は14日、手術室で保管していた筋 弛緩しかん 剤「スキサメトニウム」の瓶4本(各40ミリ・グラム入り)を紛失したと発表した。少量の使用でも死に至ることがあるという。

 発表では、9月26日午前10時25分頃、看護師が手術室内の保冷庫を点検した際、瓶の不足に気づいた。センターは同日、県警与那原署に紛失を届け出た。

 医師や看護師らへの聞き取り調査の結果、同月21日以降、未使用の筋弛緩剤の本数確認を怠っていたことが判明。手術室前の防犯カメラには不審人物は映っておらず、センターは盗難の可能性は低いとみている。



http://www.medwatch.jp/?p=10811
平均在院日数の短縮、全国ベースでは目標クリアしたが、地域間で大きなバラつき―厚労省
2016年10月17日 | 医療・介護行政をウォッチ MediWatch

 来年度(2017年度)までを対象期間とする第二期医療費適正化計画の進捗状況を見ると、「特定健診の実施率」は、目標70%に対して2014年度実績で48.6%、「特定保健指導の実施率」は、目標45%に対して2014年度実績で17.8%にとどまっており、都道府県間のバラつきも大きい。平均在院日数については2014年時点で目標をクリアしているが、やはり都道府県間のバラつきがとても大きい―。

 厚生労働省が14日に公表した、2015年度の「第二期医療費適正化計画の進捗状況」からこういった実態が明らかになりました。

ここがポイント!
1 2013-17年度を対象とする医療費適正化計画の進捗状況
2 特定健診は東高西低、特定保健指導は東低西高という状況が伺える
3 平均在院日数、都道府県間で大きなバラつき、地域の状況も見た丁寧な分析を

2013-17年度を対象とする医療費適正化計画の進捗状況

 2008年の医療保険改革に伴い、都道府県には5年を1期とする「医療費適正化計画」の策定義務が課されており、現在、2013-17年度を対象とする第二期医療費適正化計画が動いています。厚労省は、2015年度から「毎年度、進捗状況を公表する」ことにしており、今般、2013年度・14年度の実績が示されました。

 まず全国の状況を見ると、次のようになっています。

▼特定検診実施率:【2017年度の目標】70% 【実績】13年度 47.6%、14年度 48.6%

▼特定保健指導実施率:【同目標】45% 【実績】13年度 17.7% 14年度 17.8%

▼メタボ該当者・予備群の減少率:【同目標】25% 【実績】13年度 3.47% 14年度 3.18%

▼平均在院日数:【2017年の目標】28.6日 【実績】13年 29.2日 14年 28.6日

▼実績医療費:【2017年度の目標】45兆6000億円(特定健診などの推進や平均在院日数の短縮を見込む) 【実績】13年度 40兆610億円 14年度 40兆8071億円

 平均在院日数については、2014年度時点で達成できていますが、特定健診や特定保健指導など、今後力を入れていくべきとされる分野については、目標達成までに、まだまだ距離があります。

特定健診は東高西低、特定保健指導は東低西高という状況が伺える

 次に都道府県別に見ると、特定健診や特定保健指導はもちろん、平均在院日数についても大きなバラつきがあることが改めて浮き彫りになっています。

 2013年度の特定健診受診率を見ると、最高は東京都の65.5%。少し飛んで2位は山形県の54.8%、3位は宮城県の54.5%となっています。逆に最低は北海道の36.4%、ほかに奈良県37.5%、山口県38.5%などで低い状況です。「東日本で高く、西日本で低い」傾向が見て取れます。

 また特定保健指導実施率は、沖縄県の33.9%。次いで徳島県の31.2%、長崎県の29.3%と続きます。一方、最低は大阪府の11.8%、ほかに神奈川県の13.0%、北海道の13.2%で低くなっています。こちらは逆に「東日本で低く、西日本で高い」状況です。

平均在院日数、都道府県間で大きなバラつき、地域の状況も見た丁寧な分析を

 さらに2014年の平均在院日数を見ると、▼総数 ▼一般病床 ▼療養病床 ▼精神病床―のいずれでも、大きな都道府県間の格差があることが分かります。

 総数(全国平均で28.6日)で見ると、最長は鹿児島県で43.3日、次いで高知県の42.9日、佐賀県の41.6日となっています。一方、最短は東京都で22.1日、次いで神奈川県の22.2日、長野県の23.4日と続きます。最長の鹿児島県と最短の東京都では、21.2日と3週間以上の開きがあります。

 一般病床(全国平均で16.8日)については、最長は高知県で22.0日、次いで熊本県の20.5日、鹿児島県の20.2日となっています。最短は神奈川県の14.1日、次いで東京都の14.5日、愛知県の14.7日という状況です。最長の高知県と最短の神奈川県では、7.9日と1週間以上の開きがあります。

 また療養病床(全国平均で164.6日)については、最長は富山県の245.4日、次いで北海道の233.3日、神奈川県の202.0日と続きます。逆に最短は鳥取県の97.1日、次いで宮城県の108.1日、長崎県の111.6日という状況です。最長の富山県と最短の鳥取県では、148.1日と5か月違い開きがあります。

 ここで注目できるのが、病床の種別によって在院日数の長短に関する状況が異なっているという点です。他の介護施設や在宅医療などの整備状況ともあわせて、丁寧に分析していくことが必要でしょう。


 現在、持続可能な医療保険制度の再構築を目指して、例えば安倍晋三内閣が6月に閣議決定した骨太方針2016に盛り込まれた「地域差の縮小」をキーワードとした改革が進められようとしています。医療費適正化計画についても第三期計画の策定に向けた検討が進められており、今後「地域の実情」と併せて「全国との比較」(ベンチマーク)をも勘案した計画策定が求められそうです。



http://www.medwatch.jp/?p=10799
後発品使用割合67.3%、政府目標の70%まであと一歩―協会けんぽ2016年6月
2016年10月17日|医療・介護行政をウォッチ MediWatch

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽでは、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合が今年(2016年)6月時点で67.3%(数量ベース、新指標)となり、政府の掲げる「70%以上」の第一目標にあと一歩に迫っている―。

 こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が14日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(関連記事はこちら)(全国健康保険協会のサイトはこちら)。

 2016年度の診療報酬改定以後、協会けんぽのジェネリック医薬品使用割合の伸びが鈍化していますが、遅くとも政府目標は期限(17年央)内に達成できそうです。

ここがポイント! 
1 協会けんぽの後発品使用割合、現行のペースでは来年5月に70%の目標を達成
2 沖縄78.8%など8県では70%以上を達成、徳島は56.0%
3 薬効別の後発品使用割合(数量ベース)、血管拡張剤は75.0%、去たん剤は71.6%

協会けんぽの後発品使用割合、現行のペースでは来年5月に70%の目標を達成

 医療保険制度の持続可能性を考えたとき、医療費の増加を国民の負担できる範囲内に抑えることが必要です。その中で、「効果が同じで費用が安い」とされるジェネリック医薬品(後発品)の使用促進が医療費適正化に向けた最重要施策の一つに掲げられ、政府は「2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とし、18年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする」という目標を設定しています。

 協会けんぽを運営する全国健康保険協会でも、「後発品の使用促進」を重要施策に位置付け、「後発薬に切り替えた場合の自己負担額の軽減効果通知」などの取り組みを進めているほか、毎月、後発品の使用割合を公表しています。

 それによると、今年(2016年)6月の後発品割合は数量ベースで67.3%(新指標、調剤分)となり、過去最高を記録しました。

 ただし、2016年度の診療報酬改定以後(関連記事はこちらとこちらとこちら)、後発品割合の伸び率はやや鈍化し、毎月0.25ポイントとなりました。昨年(2015ねん)7月(59.9%)から今年4月(66.8%)にかけての伸び率は、平均して毎月0.77ポイントでしたので、最近の状況(伸び率の鈍化)が気になります。今後、改定後の状況についての詳細な分析が必要でしょう。

 もっとも、現在の伸び率(毎月0.25ポイント)が続いたとしても、2017年5月に後発品割合は70.05%となる見込みで、政府の定める第一目標「後発品割合70%」を期限(17年央)内に達成できる見込みです。

沖縄78.8%など8県では70%以上を達成、徳島は56.0%


 このように全国ベースで見ると後発品使用は進んでいますが、都道府県別に見ると若干の心配もあります。

 沖縄県では78.8%、次いで鹿児島県74.3%、岩手県74.0%、長野県・山形県70.9%、宮崎県70.5%、富山県70.1%、青森県70.0%では、すでに目標達成していますが、徳島県56.0%、山梨県58.7%、高知県61.4%などでは、徐々に後発品割合が上昇しているものの、「もう一頑張り」を期待したいところです。

薬効別の後発品使用割合(数量ベース)、血管拡張剤は75.0%、去たん剤は71.6%

 主な薬効分類別に、後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の75.0%、去たん剤の71.6%、消化性潰瘍用剤の64.9%などで、いずれも上昇傾向にあります。また金額ベースでは、血管拡張剤の61.4%、去たん剤の54.9%、抗生物質製剤(主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの)の38.7%などが高くなっています。

 逆に後発品使用割合が低いのは、数量ベースでは代謝拮抗剤の1.7%、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の9.8%、金額ベースでは代謝拮抗剤の1.3%、抗ウイルス剤の2.0%などとなっています。



http://www.carenet.com/news/general/carenet/42703
6割が現在の年収額に満足―医師1,000人へのアンケート
ケアネット 2016/10/18

 ケアネットでは、9月9日(金)~12日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に「医師の年収に関するアンケート」を行った。その中で、ご自身の年収額が妥当と思うかと尋ねたところ、25.1%が「そう思う」、36.4%が「ややそう思う」と回答し、6割以上の医師が、現在の年収におおむね満足していることがわかった。

 年収帯別にみると、600万円未満のうち50%、600~800万円の51%、800~1,000万円の48%と、いずれも半数程度が「そう思う」または「ややそう思う」と回答していた。その割合は1,000~1,200万円の年収帯では59%と、800~1,000万円の48%から10ポイント程度増加し、年収額が1,000万円台に届いたところで納得感が出てくる医師が増えるのではと推察される。1,200~1,400万円では51%と減少したが、年収額が上がるごとに満足度は上がっていた。

 年代別では、どの年代でも半数以上が「そう思う」「ややそう思う」のいずれかを回答しており、年代が上がるごとに上昇していた(35歳未満:53%、36~45歳:60%、46~55歳:63%、56~65歳:65%、66歳以上:69%)。

 上記のほか、男女別、病床数別、勤務先別、診療科別の集計についても、以下のページで発表している。

医師の年収に関するアンケート2016【第3回】年収の妥当性
http://www.carenet.com/useful/income2016/cg001773_index.html
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  1. 2016/10/18(火) 05:58:40|
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