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10月12日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/455786?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042033&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 島根大“事故調”事件を検証
裁判で「事故調報告書」を否定◆Vol.4
患者側、大学の「不誠実な対応」を問題視

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「2008年2月6日付書面で、被告病院に対して、損害賠償金を請求した。被告病院は、平成20年3月28日付書面において、原告ら代理人と被告病院の顧問弁護士の話し合いをしたいと述べるものの、その後も、具体的提案はなかった。(中略)これに対して、被告病院代理人は、民事調停を提案したのみであった。原告らとしては、被告病院が過失を認めていると受け止めていたことから、当初、訴訟提起までは及ばなくても示談等による早期解決ができることを望んでいたが、被告病院の回答には具体性もなく、誠意が感じられないことから、やむを得ず、今回の訴訟提起に至った」

 患者側が松江地裁に提訴したのは、2009年7月24日。その訴状には、提訴に至った理由がこう記されており、提訴に至る前に示談交渉が行われたものの、それが決裂したことが分かる。

 その後、弁論準備手続きや口頭弁論(判決言い渡しを含めて6回)を経て、松江地裁が判決を言い渡したのは、2014年2月24日。原告である患者側の請求は棄却された。

 裁判を通じて、島根大側が証拠として提出したのは、2007年1月5日に病院長に提出された「特殊事例検討委員会」の報告書、2007年8月9日作成の「医療事故調査報告書」のほか、カルテ、手術記録、分娩監視装置記録などの諸記録、『産婦人科診療ガイドライン2008』などの医学参考資料など。

 一方、原告である患者側も、陳述書や分娩事故の裁判例、日本母性保護産婦人科医会が作成した吸引分娩関係資料のほか、2007年8月30日に大学が記者会見した際の新聞記事なども提出している。

 関係者への尋問は、2011年9月12日に1回だけ行われた。出席したのは、元島根大学産婦人科教授の宮崎康二氏と主治医の産婦人科医で、当日の分娩に関わった医師らが「陳述書」を提出している。一方、原告側からは出産した患者本人が出席。

 原告敗訴の判決を不服として、患者側は2014年3月10日に控訴。しかし、2015年6月17日の広島高裁松江支部の判決でも、内容に多少の違いはあるものの、原告の請求棄却は変わらなかった。

島根大、報告書と食い違う主張展開
 「医療事故調査委員会」には、学外の2人の産婦人科医が関わっている。一方、松江地裁での一審で、鑑定書を書いたのは、この2人とは別の産婦人科医だ。2009年7月24日の提訴から、2014年2月24日の一審判決まで、4年7カ月もかかったのは、鑑定をめぐり時間がかかったことが一因と見られる。原告から鑑定申出書が提出されたのは、2011年10月20日。鑑定申出を採用する決定をしたのは、2012年2月6日。鑑定人を決定したのは9月10日。鑑定書が作成されたのは、2012年12月28日だ。その後もしばらく、鑑定書に対して、追加意見、補足説明を求めるやり取りが続いた。

 「医療事故調査委員会」の報告書と、松江地裁判決と広島高裁判決は、島根大側の過失を認めたか否かで大きく異なる。その相違が生じたのは、調査委員会と鑑定に関わった産婦人科医の間で、医学的見解に相違があったことのほか、島根大側が裁判になり、報告書とは違う主張をしたことが挙げられる。

 それが端的に表れたのが、鑑定依頼をする際、鑑定人に対し、特殊事例検討委員会報告書と医療事故調査委員会報告書(以下、「事故報告書」)を渡すかどうかで、島根大側と原告との間で意見が食い違った場面。2012年7月に以下のようなやり取りがあった(文書の内容を抜粋)。

特殊事例検討委員会報告と医療事故調査委員会報告をめぐるやり取り

2012年7月18日:島根大学(被告)
 「事故報告書」の内容は、原告および被告の本件訴訟における主張ではない上、本件の各証拠とも符合しない。このような資料を鑑定人に送付すれば、鑑定人に無用の誤解を与え、混乱を招来しかねないことは明らかというべきである。

2012年7月26日:患者側(原告)
 本件においては、本来、事実経過を確認する上で参照すべき客観的資料であるはずのカルテ、パルトグラムについて、これを作成した被告自身が、その記載内容、時間等の客観性を否定している。本件は、そもそも医療機関である被告の主張と、被告の医師が作成したパルトグラム、カルテとの証拠が符合しておらず、その記載内容から、直ちに事実経過、診療内容が明白になるとは言えない特殊なケースなのである。
 他方、「事故報告書」は、(緊急帝王切開手術が行われた)9月7日からあまり日を置かない関係者の記憶の鮮明な時期に、第三者の専門的医師と院内の責任者らも加わって、直接の当事者や関係者である医師らに対して行われた事情聴取に基づき、診療の経過等について確認、整理したものであって、事実経過を確認する上で、極めて信頼性が高い客観的資料である。
 なお、被告が「事故報告書」作成に際しての事情聴取に不満を持ち、その内容が不当であると主張していることについては、被告の主張や宮崎教授の証言にも強く触れられていることから、鑑定人はそのことを知り得るし、被告の懸念を払拭するために、資料送付に当たって、「事故報告書」で整理された事実関係について、被告が争っていることを念のため付記されれば済むことである。

2012年7月27日:島根大学(被告)
 「事故報告書」の内容に問題があることは、被告において主張し、立証したところであるが、この資料をこの資料をそのまま鑑定資料として作成すれば、事情をよく知らない鑑定人は、これが大学によりオーソライズされた結果と誤解し、この事実を前提に鑑定意見を出す恐れがある。仮に鑑定資料とするのであれば、これまでの原告、被告の主張の状況を明確にするために、全ての主張書面(訴状、答弁書、準備書面)を鑑定資料とすることが必要である。また「鑑定事項の説明」の中で、どのような事実を前提とし鑑定意見を出したのかを明確にするよう求めるべきである。

 また患者側は、「医療事故調査委員会」の委員だった産婦人科医を証人として請求したが、採用されなかった。島根大が、「本人尋問が十分に行われないまま作成されたのであり、証人の尋問により、具体的な事実が明らかになるわけではない」と反対していた。

 前述の通り、松江地裁判決を不服として患者側は控訴。その「控訴理由書」には、(1)大学側の意見の変遷、(2)原告提出の書類を検討していない――などを記し、大学と裁判所の双方を問題視している。これに対し、島根大側は、「大学側は控訴時、期日の変更、取消期日を含めると20回以上、判決言い渡しまで4年7カ月かかっており、議論は十分に尽くされており、新たな主張は控訴状でも出されていない」との答弁書を提出。

患者側、事故調の議事録提出も申立
 二審の裁判は、2015年4月20日に結審している。しかし、その直前の4月16日、患者側は、特殊事例検討委員会と医療事故調査委員会の信用性を確認するために、「文書提出命令申立書」を広島高等裁判所松江支部宛てに提出している(『島根大“事故調”、患者と医師の悲劇』を参照)。

 「被控訴病院の医師らは、検討会において十分な説明の機会を与えられ、検討会および委員会は医師らの説明も踏まえた上で事実を認定し、検討・判断したものであり、各報告書は作成経緯および内容においていずれも信用に値するものである」との理由から、(1)特殊事例検討委員会議事録(2006年11月20日開催)、(2)医師や看護師から事実確認のために聴取した際の録音テープまたはその反訳、(3)検討会に提出された関係者が作成した、陳述書あるいは報告書、(4)2007年2月5日、5月21日開催の医療事故調査委員会議事録、(5)委員会における聴取のための録音テープまたはその反訳、(6)委員会に提出された関係者が作成した、陳述書あるいは報告書――などの提出を求めた。

 さらに結審後の5月25日にも、私的鑑定書を用意する準備があることから、弁論再開申立説明書を提出している。その理由として、事故の医学的検証の必要性のほか、「医療事故調査委員会の判断に従い、訴訟提起前には過失も因果関係も認めていた被控訴人が、訴訟提起後には一転それを全て否定するという極めて特異な事件であり、過失・因果関係にかかわる事実の認定は、決して訴訟における被控訴人の主張・立証のみに依拠することはできず、より客観的・公平な観点から慎重に審査されるべき事案である」という点を記載。しかし、再開は認められず、2015年6月17日に広島高裁判決が言い渡されている。

 その後、患者側は2015年6月30日に上告受理申立、同年8月21日に上告理由を提出。「公平な立場で鑑定を引き受けてくれる協力医は、見付けることが難しい。ようやく見付けることができた」と訴え、「訴訟提起前、病院は、医師らの過失を、事実上認めていた」と指摘。さらに「申立人(患者側)からみると、被上告人が一転して、何ら理由の説明がなく、態度を豹変させたことによって、長年にわたる訴訟の遂行を余議なくされ、一審敗訴後は、過去の医療費の請求まで受けるに至っており、相手方病院のあまりにも不誠実な態度により裏切られた思いと強い憤りを感じている」と、大学側の「不誠実な対応」を問題視している。

 上告理由では、裁判所に対しても、「1、2審の裁判所は、本件分娩時に作成された診療録やパルトグラムの信用性、さらには被上告人の設置した医療事故調査委員会の報告書の信用性まで否定する一方、被上告人の医師らが本件訴訟段階になって作成した陳述書や証人尋問での供述を重視して事実認定を行った。そして、その結果、当然のことであるが、医師らの過失や因果関係等もまた否定される結果となった」などと批判の目を向けている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/466665?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042035&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”スタート1年、報告件数は388件
当初想定の2~3割、遺族のセンター調査依頼増加し6件

2016年10月11日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医療安全調査機構は10月11日、9月1カ月間の実績を公表、同機構が運営する医療事故調査・支援センターへの医療事故の報告件数は32件、2015年10月の医療事故調査制度の開始以来の合計は388件で、当初の想定を大幅に下回ることが分かった(資料は、同機構のホームページ)。

 制度開始前、報告件数は「年1300~2000件」との推計もあったが、その2~3割にとどまった。厚労省は今年5月の時点で、本制度の医療事故の定義に基づく推計ではないことなどを、推計と実際の報告数に開きがある理由として挙げていた(『“事故調”開始から7カ月、「光と影」』を参照)。

 同機構は毎月、実績を公表しているが、ここ数カ月の特徴は、センター調査依頼件数が増加傾向にある点だ。今年6月までは計4件だったが、7月5件、8月1件で、9月は6件に上り、制度開始から1年で計16件。9月の6件はいずれも遺族からの依頼だ。センター調査は、医療機関が医療事故としてセンターに報告した医療事故について、医療機関と遺族のいずれからも依頼が可能。センター調査の進捗は、院内調査結果報告書の検証中が12件、院内調査結果報告書の検証準備作業中が1件、医療機関における院内調査の終了待ちが3件という内訳だ。

 外科、内科、消化器科・整形外科が上位
 制度開始からの1年間を総括すると、388件の内訳は、病院362件、診療所26件。診療科別で最も多いのは、外科で69件、内科56件、消化器科と整形外科が34件、循環器内科25件、産婦人科22件などと続く。

 医療事故調査制度では、医療機関は、センターに報告した医療事故を調査し、その結果をセンターに報告することが求められる。388件中、調査を終え、報告されたのは161件。

 センターへの相談件数は1820件。内容による集計(1件で複数の相談あり)は2098件で、最も多かったのは、センターに報告すべき医療事故か否かの判断についての相談で753件(制度開始前の事例や生存事例に関する相談を含む)、報告の手続きに関する相談514件、院内調査の相談518件など。



https://www.m3.com/news/general/466902?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042038&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
医療事故 届け出促進へ 関係機関が統一基準 制度低迷打開
2016年10月12日 (水) 毎日新聞社

 医療死亡事故の第三者機関への報告を全医療機関に義務付けた医療事故調査制度で、日本医師会(日医)を中心にした関係機関の協議会が年内に発足し、届け出の統一基準作りを始めることが分かった。10月で制度開始から1年になるが、届け出は地域や病院間でばらつきがあり、当初見通しの3分の1以下と低迷している。日医は積極的で迅速な報告を医療機関に促す考えを示しており、統一基準が届け出拡大の後押しになると期待される。

 第三者機関「日本医療安全調査機構」が11日公表した9月末までの届け出件数は388件で、開始前に想定していた年間1300~2000件を大きく下回った。医療法が対象を「医療に起因した予期せぬ死亡」としか定めておらず、施設側が事故として扱うことに及び腰になっているのが一因とみられる。

 届け出が必要かどうかを医療機関に助言する支援団体は全国に約860あるが、解釈には差がある。例えば日医は、今年6月にまとめた手引で心臓手術中に急性循環不全で死亡した事故の調査例を示したが、約1000法人が加入する「日本医療法人協会」はガイドラインで、薬剤取り違えなどの単純過誤は報告対象外だとしている。

 ばらつきを是正するため、厚生労働省は6月に同法施行規則を改正。中央と各都道府県に支援団体などで作る協議会を設け、届け出や調査方法の統一的な基準を話し合うことにした。各地には既に医師会や看護協会、大学病院などで構成する協議会ができ、青森、福岡などでは医療機関からの相談窓口を医師会に一元化することが決まった。

 中央の協議会も、個人の責任追及を目的としない現行制度の導入を主導してきた日医が調整役になり、主要な医療関連団体が参加する見通し。日医の手引は「遺族が疑義を挟まなかったことを理由に届け出をためらうと、医療安全体制強化の機会を失いかねない」としており、今村定臣常任理事は「対象かどうか迷う場合には、届け出るのが望ましい」と話す。【熊谷豪】

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 ■解説

 ◇患者らの信頼獲得へ 調査積み重ね不可欠

 医療事故調査制度は、鉄道や航空機の事故を調べる運輸安全委員会と異なり、事故が起きた医療機関が自ら調査主体となり、事故報告書は警察にも提出されない。この点で、専門性を持つ医療界の自律性を重んじた制度と言える。

 届け出の低迷を受け、日本医師会などによる統一基準作りが今後本格化するが、最終判断は医療機関がすることに変わりはなく、不届けに対する罰則もない。これに甘んじ、遺族側とのトラブルを避けようと届け出を怠れば、遺族は結局、警察の捜査や裁判に真相解明を頼るしかない。

 この制度ができた背景には、患者が点滴ミスで死亡した東京都立広尾病院事件(1999年)などで医師らの逮捕・起訴が相次いだことによる医療界の危機感の高まりがある。

 患者や遺族に信頼される制度にするには、医療機関が積極的に事故を届け出て、真摯(しんし)な原因調査を積み重ねていく必要がある。【熊谷豪】



https://www.m3.com/news/iryoishin/466983
シリーズ: 社会保障審議会
入院患者の光熱水費負担拡大、賛否分かれる
医療保険部会、「金融資産等の保有状況考慮した負担」は反対

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は10月12日、療養病床の65歳以上の入院患者の光熱水費負担額を1日320円から370円に引き上げるほか、現在徴収していない65歳未満の入院患者から徴収するなど、入院時の光熱水費に関する患者負担の見直しについて議論したが、賛否は分かれ、結論を出すには至らなかった(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 一方、介護保険の「補足給付」と同様の考え方で、医療保険でも「金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担」を導入する是非について議論したが、医療者や患者の立場だけでなく、保険者の立場の委員からも「時期早尚」との声が相次ぎ、慎重な検討を求める意見が大勢だった。

 入院時の光熱水費に関する患者負担と、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担についての検討は、2015年6月の「骨太の方針2015」で、「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化」の観点から提言された。2016年末までに結論を得て、法改正が必要な見直しを行う場合は、2017年の通常国会に法案提出する予定になっており、引き続き社保審医療保険部会で検討する。

「療養病床、全患者から光熱水費徴収」と提案
 医療保険においては現在、「療養病床に入院」「65歳以上」「医療区分1に該当」(医療区分1-3のうち、医療の必要性が一番低い区分)のいずれも満たす場合に、光熱水費として1日320円を徴収している。2006年度に、介護保険との整合性および年金給付との調整を図る観点などから、導入された。

 今回は、光熱水費の負担を求める対象を拡大するかが論点。具体的には、(1)療養病床の65歳以上の入院患者の負担額を、320円から370円に引き上げ(介護保険では2015年4月から370円)のほか、(2)療養病床の医療区分2と3の入院患者、(3)療養病床の65歳未満の入院患者、(4)一般病床や精神病床等の入院患者――について、新たに光熱水費の負担を求めるか否かが論点。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、(1)については、介護保険と揃える観点から支持。(2)と(3)についても、在宅療養との整合性なども踏まえ、「年齢区分なく、療養病床の入院患者については全て光熱水費を求めるべき」と述べた。(4)の一般病床の入院患者については、短期で退院する患者と長期入院する患者に分かれることから、「一定期間、例えば、90日を超える人には負担を求めるという考え方がある」とし、精神病床については、「療養病床と同様に負担を求めるべきではないか」と提案した。日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏、全国健康保険協会理事長の小林剛氏などが、白川氏の意見を支持。

医療者など光熱水費負担の対象拡大に反対
 一方、「いずれも慎重な検討が必要ではないか」と述べたのは、連合副事務局長の新谷信幸氏。2006年に「医療区分1」について光熱水費負担が導入された際、「病院での食事・居住サービスは、入院している患者の病状に応じ、医学的管理の下に保障する必要がある」との議論がなされた点を踏まえ、医療区分2と3の入院患者について負担を求めることや、年金支給対象外である年齢層については、「年金給付との調整」は不要であることから、(2)や(3)の導入には反対、(4)についても、一般病床と精神病床には、「住まい」としての機能がないことから導入には異議を唱えた。

 さらに新谷氏は、厚労省が、一般病床等については、「入院期間が長期化しているケースや入院医療の必要性の低いケースもあり、これらの点も含め、どう考えるか」との論点を提示したのに対し、「光熱水費負担と長期入院の問題は、分けて議論すべき」と指摘した。

 日本医師会副会長の松原謙二氏、日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏らも、基本的には新谷氏と同意見だった。

「2018年度以降の療養病床」の議論踏まえる必要
 日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、介護療養病床が2018年3月末で設置期限を迎えるため、社保審の「療養病床の在り方等に関する特別部会」で、療養病床全体について、今後の在り方に関する議論が進められていることから、「今の段階で議論すべきではなく、2018年度以降の形が見えてから、もう一度検討してはどうか」などと提案。必ずしも患者像と合致していないことから、療養病床の医療区分に応じて光熱水費負担の有無を決めることも問題視した。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長で、多久市長の横尾俊彦氏は、320円から370円への負担増について、「低所得者の配慮は必要だが、財政運営上、必要であるなら、制度の持続可能性を考える意味で、検討する必要がある」と述べ、仮に負担増を図る場合には、「十分な広報が必要」と求めた。

 そのほか、「利用負担の公平性や、医療保険と介護保険の整合性を図っていくことは必要だが、医療と介護の性格は違う。医療は予見性がなく、治療の必要性についての患者の自己決定性は低い。光熱水費負担を求めるか否かは慎重な議論が必要」(法政大学経済学部教授の菅原琢磨氏)、「施設から施設に移った場合に、(負担額に大きな差を生じさせず)利用者がスムーズに受け入れられるようにしてもらいたい」(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子氏)などの意見が出た。

「医療保険」と「金融資産」、なじまず
 金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担は、介護保険で導入されている。施設入所等に係る費用のうち、食費と居住費は本人の自己負担が原則だが、低所得者については、預貯金なども含め、資産を把握し、「補足給付」を支給し、負担を軽減している。同様の考え方で、医療保険でも低所得者への負担軽減の際に、金融資産等の保有状況を考慮に入れた仕組みを導入するか否かが論点。

 ただし、現状では金融資産等を把握するためには、自己申告をベースとせざるを得ない。マイナンバー法等の改正により、2018年度から、銀行等の預金者は、銀行等にマイナンバーを告知することが求められるが、法律上の告知義務は課されないからだ。

 白川氏は、低所得者への配慮がある高額療養費制度のほか、保険料に、金融資産等の保有状況という考え方を入れることは、金融資産を100%把握することができない現実や、把握するための事務手続きのコストに見合う効果が得られないと想定されることから、「慎重に検討すべき」とコメント。「医療保険に、金融資産等の保有状況という考え方を入れるかどうかが本質的な問題だが、私は慎重に考えるべきであると思う。日本ではそこまで議論が深まっているわけではない。今後、審議会等で議論して方向性を決めるべきであり、今の段階では、時期早尚」とも指摘した。

 新谷氏や松原氏も同様の意見。東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏も、「社会保険である医療保険において、金融資産の多寡で給付が決まるという考え方を入れることには、原理的な疑問がある」と指摘した。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1012504949/
65歳以上の入院居住費、1日370円に...厚労省が値上げ案〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.10.12 13:10(2016年10月12日 読売新聞)

 厚生労働省は、入院患者が負担する光熱費と水道代にあたる居住費を値上げする検討に入った。

 公的医療保険の給付を抑える狙いがある。療養病床を利用する65歳以上を対象に、現行の1日320円から370円への引き上げを12日に開かれる社会保障審議会の医療保険部会に提案する。

 長期療養のための療養病床は住まいの機能を持つとして、入院患者に居住費の負担を求めている。介護施設である老人保健施設の相部屋では1日370円と設定されており、厚労省は、それに近い機能を持つ療養病床も同等に見直す必要があると判断した。

 同部会では、現行で居住費の対象外としている65歳未満や比較的軽症の患者に負担を求めるかも議論する。

 入院患者の自己負担を巡っては、1食分の食事代を15年度までの原則260円から、16年度と18年度に100円ずつ上げることが決まっている。



https://www.m3.com/news/general/466874
月刊誌側が争う姿勢 信州大教授の名誉毀損訴訟
2016年10月12日 (水) 共同通信社

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種を受けた女性が体調不良を訴えた問題の厚生労働省研究班代表を務める池田修一(いけだ・しゅういち)信州大教授が、研究を捏造(ねつぞう)と決めつけた記事で名誉を傷つけられたとして、月刊誌「Wedge」の発行元(東京)に損害賠償と謝罪広告掲載を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、東京地裁であり、Wedge側は請求棄却を求めた。

 訴状などによると、池田教授の研究班は3月、マウスに同ワクチンを接種すると、異常な抗体が作られたと発表。これについてWedge 7月号は「崩れる根拠、暴かれた捏造」と題した記事で、池田教授が研究者から受け取ったマウスの顕微鏡写真のうち、都合のいい写真だけを選んで実験結果を出したと報じた。

 池田教授は信州大の副学長と医学部長を務めていたが、提訴後にいずれも退任。Wedgeの記事を受け、信州大は不正がなかったか調査を進めている。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161012/k10010727401000.html
産科医1人当たりの出産件数 最大で2.7倍の格差
10月12日 19時25分 NHK

産科の医師1人が1年間に担う出産の件数を各都道府県ごとに調べたところ、東京や大阪に隣接する埼玉、千葉、兵庫などで医師の負担が重く、負担の少ない県と比べて最大で2.7倍の格差のあることが、日本産婦人科医会の調査でわかりました。医会では「妊婦の多い大都市近郊で、産科医が不足している実態が明らかになった。医師の適切な配置など対策を取ってほしい」と話しています。

日本産婦人科医会は、ことし1月時点の全国の産科の医師の数と去年1年間の出産件数を基に、産科の医師1人が担う出産件数を都道府県ごとに調べました。

その結果、産科医1人当たりの出産件数が最も多かったのは埼玉県で、年間182件に上り、最も少なかった山形県の68件の2.7倍になっていました。次いで多かったのは佐賀県で164件、続いて千葉県が161件、兵庫県と沖縄県が149件、広島県が147件などとなっていて、大都市の東京や大阪に隣接する県で医師の負担が大きい実態がわかったとしています。

また、全国の産科医の数は、平成21年の7290人から毎年増え続け、去年は8264人となっていましたが、ことしは8244人と初めて減少に転じたこともわかりました。これは、ことし産婦人科医を目指す若い医師の数が364人と少なく、退職する産科医も多かったことが原因だということで、日本産婦人科医会では、平成22年度から産婦人科が臨床研修の必修科目から外れたことも影響しているとしています。

調査を行った日本産婦人科医会の中井章人日本医科大学教授は「産科医療は全国的にも厳しい状態が続き、地方の自治体で出産できる病院が少ないことなどが問題になっているが、一方で、埼玉や千葉など大都市近郊では、地方に比べ妊婦の割合が多く、産科医が不足している実態が明らかになった」と話しています。このうち埼玉県では、おととしから県内で受け入れができない場合、東京都と連携して都内に搬送する対応を取っていますが、中井教授は「出産は緊急の場合があり、妊婦や赤ちゃんの命に関わる。広域搬送は本来のあるべき姿ではない。負担が重い状態が慢性化すれば、提供できる医療が不安定になる可能性があり、安全なお産のためには、産科医全体の数を増やし、適切に配置する対策を取るなどしてほしい」と話しています。



http://www.sankei.com/life/news/161012/lif1610120033-n1.html
産科医が7年ぶり減少 都市近郊で医師の負担大きく 人材確保が急務
2016.10.12 23:21 産経ニュース

 開業医らでつくる日本産婦人科医会は12日、1月時点の産婦人科の医師の数は前年同期比22人減の1万1461人と、7年ぶりに減少に転じ、埼玉や千葉、兵庫など、大都市近郊で医師の負担が大きくなっているとの調査結果を発表した。今後も大幅な増加は見込めないといい、同医会は人材確保と適切な配置が急務の課題だと訴えている。

 医会によると、産婦人科医は2009年に1万79人まで減った後、労働環境改善などによって増加していた。しかし、新たに産婦人科医になる人より退職者が多く減少に転じた。

 産婦人科が研修医の必修科目から選択科目に変わり、12年以降は新たに産婦人科を専攻する医師が減少していることが背景にあるという。

 出産を扱う産科・産婦人科の医師は、他の診療科と比べて当直や呼び出しが多く激務であることや、患者側から訴えられる「訴訟リスク」も敬遠される一因とされる。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1012/mai_161012_5777179615.html
<産婦人科医>7年ぶり減…「勤務厳しい」新人希望せず
毎日新聞10月12日(水)21時19分

画像:産婦人科医師数の推移
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 日本産婦人科医会は12日、今年1月時点の産婦人科の医師数は1万1461人と昨年より22人少なかったと発表した。前年よりも医師数が減るのは2009年以来。同医会は、産婦人科を希望する新人医師が減っていることなどが要因と分析している。

 同医会は毎年1月、産婦人科のある病院や診療所の全施設を対象に、常勤の医師数を調査している。09年(1万79人)以降は緩やかな増加傾向にあった。このうち、お産を扱う施設の医師数は8244人で、昨年より20人減った。

 同医会によると、産婦人科に入った新人医師数はピーク時の11年に450人だったが、昨年4月は364人まで減った。これを退職者が上回り、全体の医師数が減少することになった。都道府県別では、ここ10年で医師数が減っているのは、山形 ▽福島 ▽埼玉 ▽千葉 ▽新潟 ▽石川 ▽岐阜 ▽和歌山 ▽鳥取 ▽島根 ▽広島 ▽香川 ▽愛媛 ▽熊本 ▽宮崎−−の15県だった。

 同医会は新人医師が減っている理由について、10年度に見直された医師の臨床研修制度で、産婦人科が必修科目から選択科目の一つになったことが影響しているとみている。09年に医学部定数が大幅増員されたが、その影響が現れるのは来年以降になるという。

 同医会常務理事の中井章人・日本医科大教授は「産婦人科は勤務状況が厳しいという印象が先行し、現場を見ないままでは産婦人科を選びにくいのではないか」と話す。【下桐実雅子】



https://www.m3.com/news/iryoishin/466996
シリーズ: 社会保障審議会
「不正請求が横行」、柔道整復療養費を問題視
医療保険部会、療養費の抜本的改革求める

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「不正請求が多発、横行している。これは最近のことではなく、昔から山ほどある。柔道整復療養費の在り方を根本的に見直す必要がある。さもなければ、国民の保険診療に対する信頼を相当損なう」

 10月12日の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の席上、語気を務めて問題視したのは、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏だ。

 白川氏は、「今までの厚生労働省の療養費についての基本的な考え方が、違っていたのではないか」と指摘。保険医療機関や保険薬局については、診療報酬や調剤報酬の施設基準や算定基準が厳格に設定され、レセプト審査も行われている。これに対し、柔道整復療養費については、「施設基準はなく、請求書の様式もバラバラ。各都道府県の柔整審査会は、請求書の4分の1か、5分の1くらいしか審査していない。目で見て審査していることもあり、不正請求が多発している」(白川氏)。

 社保審医療保険部会の下に設置された、「柔道整復療養費専門委員会」は9月23日、「議論の整理」を取りまとめた。12日の同部会に資料として提出されたことが、白川氏の発言の発端だ。

 「柔道整復療養費専門委員会」の座長も務める遠藤部会長は、まだ「議論の整理」の段階であることから、白川氏らの意見も踏まえ、「今後検討する」と引き取った。

柔道整復療養費、医療費の約1%
 「議論の整理」は、不正請求が問題視されていることを受けた、2016年3月以降の「柔道整復療養費専門委員会」の議論をまとめたものだ(資料は、厚労省のホームページ)。

 白川氏は、「議論の整理」内容以前の問題として、「根本的なところを見直してもらいたい」と述べ、冒頭の発言を続けた。他の委員からも、柔道整復療養費に加え、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費について、問題視する声が相次いだ。

 2013年度の場合、柔道整復療養費は、国民医療費約40兆円の約1%に当たる約4000億円。日本医師会副会長の松原謙二氏は、この点を踏まえ、「約4000億円が適切に使われているかどうかは、国の責任でもある。一生懸命に仕事をしている柔道整復師も同じような目で見られる。どこが問題かを抜本的に検証し、不正を正すべき」と白川氏の意見を支持。

 全国健康保険協会理事長の小林剛氏も、「悪質な不正請求事案があり、保険者としてもその対応は喫緊の課題」と指摘。「保険者が不正請求を把握した場合、地方厚生局に対して、情報提供し、指導・監査を依頼するしかないが、迅速かつ十分な指導・監査が行われている状況ではない」と問題視した。「議論の整理」では、地方厚生局における積極的な指導・監査につなげるために「人員体制の強化」を求めている。「理念として掲げるのではなく、実効性がある形で進めてもらいたい」(小林氏)。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長で、多久市長の横尾俊彦氏も、広域連合でも問題になっていると指摘し、「指導・監査の体制強化は、趣旨としては正しいが、地方厚生局長が腹を決めて、『やるなら、やる』というディレクションを示すことが必要」と述べ、対応を求めた。

 そのほか「明細書を無料発行すれば、患者の段階で不正防止につながる」(連合副事務局長の新谷信幸氏)などの声が上がった。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49784.html
国立大病院、黒字転換も設備投資額減る傾向- 15年度決算
2016年10月12日 16時00分 CB News

 国立大学附属病院長会議はこのほど、2015年度の国立大病院の決算概要を公表した。回答した44病院の合計の収支差額は約24億円の黒字となり、約71億円の赤字だった14年度に比べて約95億円の収支改善が図られた。一方、14年度の診療報酬改定の影響などによって診療機器の取得額は減少傾向にあり、十分な設備投資が難しい状況が浮き彫りになった。【松村秀士】

 44病院の15年度決算は、平均在院日数の短縮が進んだことに伴う診療単価の増加などにより病院収入が約1兆216億円(前年度比4.4%増)、運営費交付金は約1114億円(同4.0%減)などとなり、総収入は約1兆1529億円(同3.8%増)だった。

 一方、人件費は研修医や看護職員の増加などによって約4268億円(同3.3%増)、医薬品や診療材料などの医療費は約4190億円(同5.6%増)などとなり、総支出は約1兆1505億円(同2.9%増)で、収支差額は約24億円の黒字だった。

 ただ、14年度の診療報酬改定や消費税率8%への引き上げの影響などに伴い、各病院では設備投資費が減少しているのが現状だ。15年度の診療機器の取得などに掛かった費用は14年度に比べて9.1%減の441億円となり、13年度の658億円をピークに連続して減少した。

■「大学病院の使命果たせなくなる」―山本氏

 7日に開かれたプレスセミナーで、同会議の山本修一・常置委員長(千葉大医学部附属病院長)は、「各病院は必要な診療機器の更新を先送りしているのが現状で、このような状況が続くと、高度医療という大学病院の重要な使命が果たせなくなる」と危機感をあらわにした。


  1. 2016/10/13(木) 05:30:03|
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