Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月6日 

http://www.asahi.com/articles/ASJB65TR7JB6ULBJ00W.html
保険医の条件に「医師不足地域の経験」 偏在解消へ提案
寺崎省子
2016年10月6日20時49分 朝日新聞

 地方や一部の診療科で医師が不足している問題について、厚生労働省の分科会で6日、医師不足地域での勤務経験を、公的医療保険による診療ができる保険医として登録するための条件にすることなどを、専門家が提案した。目立った反対意見はなく、厚労省は今後、この提案を盛り込んだ医師偏在対策案を示す。

 「地方の医師不足を助長しかねない」と導入が来春に延期された専門医制度に関連し、地域医療機能推進機構の尾身茂理事長が提案した。

 尾身氏はまず、診療科別の偏在などの対策として、将来の人口や主要な病気の変化も考え、都道府県などごとに一定の幅がある各診療科別の専門医の「研修枠」を設けることを提案した。その上で、保険医の登録や保険医療機関の責任者になる条件に、医師不足地域での一定期間の勤務を求めた。具体的な勤務期間として、医師の「不足」地域は1年、「極めて不足」「離島など」は半年と例示し、「地域偏在の解消に最も実効性がある対策の一つ」と訴えた。

 委員からは「考え方は賛成」などと目立った反対意見はなかったが、実現には「法改正や関係者間のきめ細かい協議が必要と思われる」(尾身氏)。医師不足地域での勤務経験がなくても全額患者負担の自由診療はできるが、国民皆保険の日本では医療費の大部分は保険診療なだけに、論議を呼びそうだ。(寺崎省子)



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1006504919/
医師偏在、「強力な対策」の方向性明記〔CBnews〕
厚労白書、女性医師離職防止や認知症対策も

CBnews | 2016.10.06 17:00

 塩崎恭久厚生労働相は4日の閣議に、2016年度版の厚生労働白書を報告した。「人口高齢化を乗り越える視点」をテーマに掲げ、医師の地域間偏在の解消を図るため、医師の勤務地や診療科に関する規制を含めた「強力な対策」や女性医師の離職防止・復職支援の必要性に加え、認知症対策などの充実に取り組む方針を示している。

地域間偏在の是正踏まえた検討が必要

 白書では、人口10万人に対する医療施設に従事する都道府県別の医師数(14年)は、埼玉(152.8人)や茨城(169.6人)、千葉(182.9人)などで全国平均(233.6人)を下回っていることを挙げ、「地域によっては、一層の医師の確保を必要とするところもある」と指摘。今後、高齢社会が一層進む中で、人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制を構築するため、地域間偏在の是正などの観点を踏まえた「医療従事者の需給の検討が必要」と説明している。

 具体的な対応として、昨年12月から医師の地域間偏在や需給に関する議論を始めた医療従事者の需給に関する検討会を取り上げ、「医師が勤務地や診療科を自由に選択するという自主性を尊重した対策だけでなく、一定の規制を含めた対策を行っていく観点から、さらに強力な偏在対策について年末に向けて議論していく」としている。

 また、女性医師の離職防止・復職支援については、復職から離職防止までをパッケージ化して女性医師支援の取り組みを行う「モデル医療機関」を選定し、普及啓発を図っていることを説明。復職・離職防止と勤務環境の改善対策を併せて実施することで、女性医師が安心して就業の継続や復職ができる環境の整備につなげたい考えだ。

認知症初期集中支援チームが孤立者支援も

 認知症については、65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備群とされていることを挙げ、かかりつけ医の認知症への対応力を高め、認知症サポート医の支援を受けながら鑑別診断や行動・心理症状(BPSD)への対応を行い、必要に応じて適切な医療機関につなぐことが重要としている。

 認知症に関するコラムも掲載しており、かかりつけ医と連携しながら認知症初期集中支援チームを運営し、認知症が疑われる人を早期に適切な医療や介護につなげている砂川市立病院認知症疾患医療センター(北海道砂川市)などの取り組みを紹介。社会的に孤立しやすい1人暮らしの高齢者については、医療や介護の機関につないだ後も定期的に連絡を取り、課題があればアフターフォローも行っているという。

 うつ病などの気分障害や認知症の増加に伴い、社会的要請が高まっている精神科医療については、身体拘束の判断などを行う資格を持つ精神保健指定医の診療所の開業が増える一方、ニーズが高まっている病院での急性期医療に携わる人材が不足しているといった課題を指摘。現在、精神保健医療福祉の在り方を検討会で議論していることなどを説明している。

(2016年10月5日 新井哉・CBnews)



http://www.medwatch.jp/?p=10711
介護療養病棟などの移行先となる「新類型の医療施設」、議論は煮詰まってきている―社保審・療養病床特別部会
2016年10月6日|医療・介護行政をウォッチ MediWatch

 介護療養病床や病院全体で看護配置4対1などを満たせない医療療養病棟について、経過措置期限後の移行先となる新類型の医療施設について、近く具体的な「叩き台」を示してほしい―。

 5日に開かれた社会保障審議会の「療養病棟のあり方等に関する特別部会」では、遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)からこういった指示が出されました。厚生労働省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長はこの指示を受け、「検討会で固められた案1-1、案1-2、案2をより精緻化した叩き台を示す」考えを明らかにしました(関連記事はこちら)。

 なお前医療介護連携政策課長で、現保険局総務課の城克文課長はメディ・ウォッチに対して「コアメンバー以外の委員が具体的なコメントを活発に寄せており、議論がかなり煮詰まってきた」とのコメントを寄せています。特別部会では12月上旬にも一定の意見をまとめる予定です。

ここがポイント!
1 介護療養などの継続を認めるべきか、新たな施設の基本的性格をどう考えるか
2 介護療養などの設置根拠について、再延長を行うべきか
3 新施設の基本的性格や低所得者対策は法律に記載すべき事項
4 新施設類型への転換を決めたとしても、2018年4月からの一斉転換は困難
5 新施設類型の新設を認めるか、法律本則に規定するかなども関連する論点

介護療養などの継続を認めるべきか、新たな施設の基本的性格をどう考えるか

 介護療養病床や看護配置4対1などを満たせない医療療養病床は、設置根拠が2018年3月で切れます。このため、厚生労働省は「療養病床の在り方等に関する検討会」で議論を行い、医療内包型・医療外付け型の3つの新類型案を整理しました。現在、社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」でより具体的な制度設計に関する検討が進められています(関連記事はこちらとこちら)。

 この日は、厚労省の黒田医療介護連携政策課長から、議論を整理するために次のような論点が示されました。

(1)介護療養病床などの経過措置再延長を行うべきとの指摘もあるが、どう考えるか

(2)新たな施設を創設する場合、▼財源を含めた基本的性格▼人員配置▼施設基準▼低所得者への配慮―についてどう考えるか

(3)新たな施設を創設する場合、転換に当たっての経過措置をどの程度想定すべきか、またその点の転換支援を含む経過措置をどう考えるか

(4)療養病床からの転換以外に、新設も認めるべきか

 このうち(1)は「現在の介護療養など」に関する論点、(2)-(4)は「新たな施設類型」に関する論点に分けることができます。

介護療養などの設置根拠について、再延長を行うべきか

 (1)の経過措置再延長は鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)や、吉岡充委員(全国抑制廃止研究会理事長)委員らが強く求めているもので、「現行の介護療養に不都合があるのか」という視点に立った意見です。

 鈴木委員らの意見に理解を示す見解も少なくありません。が、その委員でも「当初の設置期限は2011年度までとされ、その後、2017年度までに延長された。これをさらに延長することは難しいのではない」として、より前向きに「介護療養などのもつ重症患者を受け入れる機能を、新施設類型に発展的に継続していくべきではないか」といった旨を指摘しています(土居丈朗委員:慶應義塾大学経済学部教授や、岩村正彦委員:東京大学大学院法学政治学研究科教授、白川修二委員:健康保険組合連合会副会長ら)。

 なお土居委員は、「介護療養の入所者などに『追い出される』と思われないように、介護療養から次の施設類型に映るのであるといった積極的な議論を行う必要がある」とも付言しています。

 この点について黒田医療介護連携政策課長は、「現在の介護療養について設置根拠の延長を求める意見と、新たな施設類型への転換を決め、転換に向けた移行期間を十分にとるべきとの意見が混在しているように感じている。委員の意見を分析した上で考えていきたい」とコメントしています。

新施設の基本的性格や低所得者対策は法律に記載すべき事項

 (2)の施設基準については、▼施設の基本的性格 ▼低所得者対策―の2点が法律に記載すべき事項に、 ▼人員配置 ▼施設基準―は政令などの下位法規に記載することになる見込みです。したがって、前者の ▼施設の基本的性格 ▼低所得者対策―の2点については、早急に部会の意見を固める必要があります。

 例えば「施設の基本的性格」については、病院や診療所のように医療保険から給付がなされる施設とするのか、介護老人保健施設のように介護保険から給付がなされる施設とするのかを早めに決めなければいけません。

 また「低所得者対策」としては、介護保険の補足給付のような特別の配慮を行うためには法律にその旨の記載が必要となります。

 この点、複数の委員から具体的な見解も示されました。鈴木邦彦委員は、新たな施設の財源について「介護保険が望ましい」との見解を示すとともに、案1-1の人員配置について「少なくとも機能強化型AまたはBの介護療養並みとすべき」(関連記事はこちら)、施設基準について「建て替えなどの大規模修繕までは6.4平方メートル・4人部屋を認める必要がある」と提案しています。

 また武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)も、鈴木委員と同じく「6.4平方メートル・4人部屋」を認めなければ、新施設類型は画餅に帰してしまうと強調。また人員のうち医師配置について「(例えば案2では)併設医療機関に医師もおり、医師を必置としなくてもよいとも考えられる」との見解も示しました。

 さらに井上由起子委員(日本社会事業大学専門職大学院教授)は、人員配置について「案1-1の類型では機能強化型A相当(関連記事はこちら)、案1-2と案2でも看護・介護合わせて3対1以上」、施設基準について「案1-1と案1-2は医療施設であり6.4平方メートル・4人部屋を認めてもよいが、案2の類型は『住まい』とされており、個室が必要となるのではないか」との考えが示されています。

 こうした意見も踏まえて、厚労省は次回会合により具体的な「叩き台」を示す見込みです。

新施設類型への転換を決めたとしても、2018年4月からの一斉転換は困難

 (3)の経過措置は、「介護療養などから新たな施設類型への移行を決定したとしても、2018年4月に全施設が即座に移行できるわけではない。転換決定後に一定の(転換準備などのための)経過措置を設ける必要があるのではないか」との論点です。

 この点、多くの委員が「十分な経過措置」を求めており、さらに有床診療所や過疎地などの病院(介護療養)については、「特段の配慮」を求めるべきとの指摘が田中滋委員(慶應義塾大学名誉教授)や鈴木邦彦委員、岩村委員らから出されました。特段の配慮として、例えば「人員配置の緩和」なども考えられそうです。

新施設類型の新設を認めるか、法律本則に規定するかなども関連する論点

 (4)の「新設を認めるべきか」という点について、賛否両論が出ています。賛成派の委員(例えば田中委員)は「医療と住まいの機能を併せ持つ施設は魅力的で、地域包括ケアシステムの中で推進すべき」といった意見を示しており、慎重派の委員は「介護療養からの転換に的を絞らなければ、議論が散漫になってしまう」ことを危惧しています(関連記事はこちら)。

 この点について黒田医療介護連携政策課長は「新たな施設類型を、法律の本則に規定する場合には必然的に『恒久的な制度』と見込まれるため、療養病床からの転換以外の『新設』も認めていく必要があろう。一方、法律の附則などに規定する場合には『経過的な制度』と見込まれるため、新設は認めないという考え方もありうる」との考えを示しています。

 なお、特別部会の委員からは「検討会でも同じような議論がなされており、特別部会で議論すべき事項をきちんと整理しなければ、議論が進まず、12月上旬の意見とりまとめに間に合わないのではないか」との指摘も出ています。

 たしかに多くの意見は、過去の検討会や特別部会で出されたものと似ており、議論が進んでいないようにも見えます。しかし、検討会を取り仕切った前医療介護連携政策課長の城保健局総務課長は、「発言するメンバーが、いわゆるコアメンバーだけではなくなってきている。議論は相当煮詰まってきている」とメディ・ウォッチにコメント。12月上旬の意見とりまとめに期待を寄せました(関連記事はこちらとこちら)。



http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08036870V01C16A0X11000/
オプジーボ 「高いのは日本だけ」
2016/10/6 6:30 日本経済新聞

 超高額と言われている小野薬品工業のがん免疫薬「オプジーボ」の価格を巡る議論が進んでいる。厚生労働省は5日、中央社会保険医療協議会・薬価専門部会を開き、引き下げの方法を取り上げた。「安価にして必要な患者に広く使用できるようにすべきだ」などの意見が相次いだ。こうした声を強く後押しするような事実が明らかになっていた。

 「これほど高い薬価は日本だけ。受容できるわけがない」。医師で構成する全国保険医団体連合会(保団連)の住江憲勇会長は語気を強める。

 保団連は8月、米国と英国におけるオプジーボの薬価を調べた。日本では100ミリグラム当たり約73万円であるのに対し、米国では同約30万円、英国では約14万円だった。同じ薬の値段が米国では日本の約4割、英国に至っては約2割でしかなかったのだ。

 保団連は調査結果を塩崎恭久厚労相に提出、薬価の再考を強く訴えた。住江会長は「海外と同程度まで薬価を引き下げるのが当然だ」と説く。


 なぜ、こうなったのか主な理由は2つある。

 ひとつはオプジーボが日本で初めて承認されたからだ。薬価を決めるときに他国の事例を参考にできなかった。もうひとつは最初に悪性黒色腫という珍しい皮膚がんの薬として承認されたことだ。患者が少なくても開発費が回収できるようにするため、高い薬価が付く計算法が適用された。

 薬価の見直しは2年に1度が原則で次は2018年度。現行制度ではオプジーボの薬価を適切なタイミングで修正する仕組みがない。そこで厚労省は緊急引き下げに向けた議論に着手した。

 オプジーボの薬価の引き下げ率は11月には決まる見通しだ。ただ、50%引き下げたとしても、米国の薬価にすら届かない。そして英国では、現行の薬価をさらに引き下げようとする方針がまとまりつつある。日本の薬価の着地点はどこなのか。

 日本の約2割の価格でオプジーボを販売する英国では、さらなる価格引き下げが現実味を帯びている。焦点は患者数が多い肺がん向け価格だ。英国では、NICE(ナイス)という政府機関が薬の費用対効果を計算し、薬を推奨できるか決める。価格に見合う価値があるのか、効果や副作用などのデータから見極める。NICEが推奨しないと、実質的に医療現場で使うことはできない。

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オプジーボ(100ミリグラム)の国内価格は、英国の約5倍の水準だ

 9月時点で英国では、「今の価格ではオプジーボを肺がん向けに推奨できない」と判断されている。

 NICEは患者が少ない悪性黒色腫向けには、日本の薬価の5分の1にあたる14万円強(100ミリグラム)が妥当と判断し推奨している。だが同じ価格では「肺がん向けには費用対効果の基準に達していないと判断された」(東京大学大学院薬学系研究科・特任准教授の五十嵐中氏)のだ。

 もっともオプジーボを心待ちにしている肺がん患者への配慮も必要だ。そのため、NICEは製薬企業とある交渉を行っている。

 英国には製薬企業が政府と交渉し、薬の価格を下げることで推奨を得る「PAS」と呼ばれる制度がある。企業が高額薬を値引き販売したり、売上高の一部を還元したりして薬剤費の負担を抑える制度だ。

 英国でオプジーボを販売する米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)は、このPASの適用をNICEに提案している。

 PASによる値引き幅は原則非公開だ。製薬企業の国際戦略に影響が出るのを避けるためだが、NICEの公表資料などには交渉段階での幾つかの提案が記されている。

 それによると、BMSはオプジーボについて「1年分を超えて患者に投与した薬代はBMSが負担する」、あるいは「最初の半年分、つまり3万1000ポンド(約400万円)を超えた薬代はBMSが負担する」などを提案しているようだ。

 小野薬品工業による臨床試験ではオプジーボの平均投与期間は半年だったが、提案が実現するとオプジーボを長く使う患者の薬剤費は減ることになる。

 もっともNICEはこうした提案に対し、まだ推奨の立場を表明していない。

 大阪府保険医協会の小藪幹夫氏は「NICEは今年1月、たとえBMSが薬価を56%下げたとしても、推奨の基準に達しないとの試算を出している。推奨を得るにはさらなる引き下げが必要ではないか」とみる。肺がん向けのPASの交渉は最終段階で、近く結論が出る見込みだ。

 オプジーボの薬価見直しを検討している中央社会保険医療協議会(中医協)では、外国価格との調整を行うことも視野に入れている。英国での薬価交渉の行方は、国内の薬価引き下げ率を巡る議論にも影響を与える可能性がある。

(企業報道部 野村和博)

[日経産業新聞10月6日付]



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201610/20161006_11048.html
<循環器センター>宮城県が栗原中央病院に移管決定
2016年10月06日木曜日 河北新報

 宮城県は5日までに、県循環器・呼吸器病センター(栗原市瀬峰)が担ってきた診療機能を、栗原市栗原中央病院(同築館)に移す方針を正式決定した。2019年度の移管を目指す。
 センターは循環器科、呼吸器科、心臓血管外科など6診療科と県内唯一の結核病床50床を備える。診療科を栗原中央病院に移し、病院敷地には30床程度の結核病棟を整備する。
 同病院の機能を強化させ、14年の移転開院後に患者が集中する大崎市民病院など他の基幹病院との機能分担を図る。センター跡地は介護施設や医療機関としての活用に向け、県が来年度、事業者を公募する。
 機能移管の方針は同日、県議会保健福祉常任委員会と栗原市議会全員協議会で報告された。県の渡辺達美保健福祉部長は「地元住民の声を踏まえ、跡地にも医療機能を持たせられるよう努めたい」と話した。
 センターは1952年に開院し、現在の稼働病床数は一般、結核合わせて計110。医師や患者数の減少を踏まえ、県は県北地域基幹病院連携会議を設置し、在り方を検討してきた。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20161005-OYT1T50055.html
点滴死の病院、ヒヤリ・ハット報告極端に少なく
2016年10月06日 08時18分 読売新聞

 横浜市神奈川区の大口病院で入院患者2人が中毒死した事件で、横浜市は4日、事件発覚前に実施していた定期立ち入り検査に基づき、同病院を行政指導したと発表した。

 カルテの記載徹底など要改善点は14項目に上るという。

 同病院では、4階の同じ病室に入院していた88歳の男性2人が9月18、20日に相次いで死亡。点滴に消毒液を混入されたとみられている。

 同月2日の定期検査では、医師資格を持つ市職員らが4階のナースステーションで点滴の保管状況などを確認していた。市医療安全課は4日、「患者や職員の健康被害の報告は病院側からなく、事件に直接つながるような異常はなかった」と説明した。

 行政指導で市は、同規模の病院では年間170件ほどと試算される医療事故やヒヤリ・ハット事例の報告件数が、大口病院では2年間で22件と極端に少ないことを指摘。現場のスタッフから報告が上がってきやすい環境を院内で整備するよう求めた。また、今回の事件について調査する臨時立ち入り検査を、11日にも実施する方針を伝えたという。

2016年10月06日 08時18分



https://dot.asahi.com/wa/2016100500222.html
広尾病院前院長が核心を激白「移転は舛添さんのレガシーだった」
(更新 2016/10/ 6 07:00) 週刊朝日 / dot朝日

 東京都立広尾病院(渋谷区恵比寿)の不可解な移転問題で進展があった。本誌(9月30日号など)の一連のスクープなどにより、国と都の土地売買交渉が凍結されたのだ。問題のキーマンの一人、佐々木勝・前広尾病院長(64)が、闇に包まれていた真相を、180分にわたり激白した。

「最近は、防犯ブザーをいつも持ち歩いているんですよ。大変なことが起きているのだと思います……」

 佐々木氏は苦笑いしながらこう話した。広尾病院の前院長である佐々木氏は、日本の災害医療の第一人者として知られている。その専門知識を見込まれ、今年4月からは内閣官房参与として安倍晋三首相に災害医療と危機管理について助言する重責も担っている。

 その佐々木氏が身の危険を感じるというのだから、事は穏やかではない。というのも、先月8日に佐々木氏のもとに一通の脅迫状が届き、そこにはこう書かれていた。

〈出る杭は打たれる。出すぎた杭は打たれない。ただ、引き抜かれるのみ…〉

 佐々木氏が語る「大変なこと」とはむろん、広尾病院の移転問題のことだ。

 広尾病院は2023年に、現在の立地から約2キロ離れた青山エリアの国有地「こどもの城」跡地に移転する計画が持ち上がっている。ところが、土地購入費だけで370億円、病院建設費なども含めると900億円前後が必要となる巨大プロジェクトであるにもかかわらず、今年1月に16年度予算案が示されるまで、移転計画は公表されていなかった。都議会でも十分な議論もないまま、3月にはあっさりと予算が成立。拙速な計画の進め方に、現在は「経緯が不透明だ」などと、地元医師会や病院関係者が猛反発している。

 事実、8月31日に開かれた第1回の検討委員会の会議では、移転が決定するまでの経緯が不透明だとして議論が紛糾。9月末には開かれる予定だった国有地の売買に必要となる政府の審議会も、本誌の特報などで開催の見通しが立っていない。今では、“第2の移転問題”になっている。

「豊洲新市場では『食の安全』をめぐって人々が不安になっていますが、広尾病院の移転計画も『医の安全』に関わる重要な問題。だからこそ私は、自分の知っている事実は、ちゃんと説明しておきたいのです」(佐々木氏)

 では、佐々木氏の証言をもとに、あらためて移転計画の経緯をたどってみよう。

 施設の老朽化が問題となっていた広尾病院は、かねてから改修・改築が課題となっていた。14年までは現地建て替え案が有力視されていたが、それに明確な変化が訪れたのは15年1月21日だった。この日、都の病院経営本部長であるA氏が広尾病院を訪れ、佐々木氏に「技術的な問題などから移転しかないでしょう」と語ったのだ。

「A氏は、現在のNHK放送センターがある代々木エリアと、国有地である『こどもの城』(15年2月1日閉館)の二つの移転候補先を示しました。都としては、移転案で計画を進めたい意向だった。ですが、病院の移転は、たとえ現在の場所から数キロしか離れていなくても、簡単なことではありません。なによりも、広尾病院に通っている患者が困ってしまうからです」(同)

 だが、A氏からは、二つの移転先で病院を建設した場合の経営ビジョンの説明もなかった。しかも、会話の中では都議会自民党の幹部の名前をあげて、了承を得る必要があるとも語っていた。

「医療を担う当事者である病院側の意見を聞かず、都庁職員が都議の名前を出しながら移転案を迫ってきたのは、おかしいと感じました。『移転すること』だけが先に決まっていたとしか思えません」(同)

 移転案に不信感を持った佐々木氏は、6日後の1月27日に、秋山俊行副知事(当時)と面会して直談判をした。

 秋山氏は、A氏が佐々木氏との会話の中で議員の名前を出したことについて、「議員の名前を出したのはよくない」と陳謝。さらに秋山氏は、広尾病院の医療機能や改修・改築についての調査を実施することを提案。それを受けて佐々木氏は、みずほ情報総研に調査を依頼し、6月末までに二つの報告書を作成した。

 だが、この二つの調査報告書も、都が推進する移転案をくつがえす材料にはならなかった。

 佐々木氏は、報告書で示されたデータをもとに、7月13日にA氏の後任の病院経営本部長となるB氏にあらためてプロセスの不備を説明し、「善処する」と言われたが、報告書は黙殺されてしまった。

「その後、私に最後の説明があったのは10月21日でした。その時に私に説明をした都の政策企画局長は、『舛添(要一)知事のレガシー(遺産)にするために青山に建てることが決まった』と言いました。そんなことはおかしいと感じましたが、知事の決定には従わざるをえません。それ以降は何も言えなくなりました」(同)

 そして10月22日には、舛添氏によって青山エリアへの移転の方針が決定されたのである。

「誤解してほしくないのは、私は現地建て替え案に固執していたわけではありません。調査の結果、各案を比較検討して、青山エリアへの移転が最適なら、それを受け入れるつもりでした。それが、移転した後の病院経営に必須の患者の需要調査すらされていない。結論に至るまでのプロセスが、おかしいのです」(同)

 佐々木氏と都の間で交わされたやり取りについて都に尋ねると、

「都庁職員は、職員同士や都議との間で日常的にやり取りを行っており、そのすべてを把握しておりません」(病院経営本部)

 佐々木氏はその後、16年3月末に異動となって院長の職を離れ、4月からは東京都保健医療公社の副理事長に就任している。だが、災害医療の第一人者である佐々木氏に、その専門性を生かすような仕事は与えられていないという。

 自民党東京都連の最高顧問を務める深谷隆司氏は、都庁の実態をこう語った。

「小池(百合子)さんは都議会自民党をブラックボックスと言ったけど、本当の敵は都庁内にもいます。ここを変えなきゃダメだ」

 15年度に都が広尾病院に補填した額は約27億円。十分な病院経営計画もなく、移転を強行すれば、さらに都民の負担は増えかねない。将来、“負のレガシー”になる前に、移転計画は白紙撤回すべきではないか。(本誌・小泉耕平、亀井洋志、上田耕司、西岡千史)

※週刊朝日 2016年10月14日号



http://www.medwatch.jp/?p=10693
求むは「水平・垂直連携」「地域専門医」、有賀・労災機構理事長に聞く(2)
2016年10月6日|医療現場をウォッチ MediWatch

 「労働者健康安全機構」の有賀徹理事長への連載インタビュー第2回目は、急性期医療がテーマ。救急医療の権威でもある有賀理事長は、地域の医療資源と患者の重症度を考慮して適切な医療連携を実現する「水平連携に準じた垂直連携」の必要性と、「専門は地域」と言い切れるほど地域の実情をしっかりと把握した上で適切な医療を提供できる総合診療専門医の存在が欠かせないと訴えます(聞き手はGHC代表の渡辺幸子)。

ここがポイント!
1  「水平連携に準じた垂直連携」が急性期医療の大テーマ
2  自宅に戻れない「さまよえる高齢者」
3  総合診療医「専門は○○村です」

「水平連携に準じた垂直連携」が急性期医療の大テーマ

渡辺:有賀理事長は、救急医療の現場経験が長く、昭和大学においては救急医学講座の教授として教鞭をとられていました。急性期医療の根源は「救急医療」にあると感じていますが、今後の急性期医療に必要なことは何だとお考えですか。

有賀徹(あるが・とおる)氏:1976年東京大学医学部卒業。同大医学部脳神経外科学教室、日本医科大学附属病院救命救急センター、東大附属病院救急部などを経て、1984年公立昭和病院脳神経外科主任医長、1990年同院救急部長。1994年昭和大学医学部救急医学教授、昭和大学病院救命救急センター長兼副院長。2011年から昭和大学病院病院長を務め、2016年4月から労働者安全機構理事長。
有賀徹(あるが・とおる)氏:1976年東京大学医学部卒業。同大医学部脳神経外科学教室、日本医科大学附属病院救命救急センター、東大附属病院救急部などを経て、1984年公立昭和病院脳神経外科主任医長、1990年同院救急部長。1994年昭和大学医学部救急医学教授、昭和大学病院救命救急センター長兼副院長。2011年から昭和大学病院病院長を務め、2016年4月から労働者安全機構理事長。
有賀氏:現在、自治体が走らせている救急車で運ばれる患者の半数以上が65歳以上、3分の1以上が75歳以上です(2012年の東京消防庁のデータ)。救急車で運ばれる患者の中には、心筋梗塞や脳卒中、車にひかれただとか火事場のやけどだなどという、一分一秒を争う状態の患者も確かにいます。しかし、繰り返す肺炎で運ばれてくる高齢者も非常に多いわけです。これは長崎県のデータですが、救急車で運ばれる65歳以上の高齢者で最も多い疾患は肺炎、2位が脳梗塞を中心とする脳卒中、3位が大腿骨頸部骨折で、これで6割を超えます。これらは確かに急病ではあるのですが、特に肺炎や大腿骨頸部骨折については、必ずしも救急センターで対応しなければならないかというと、必ずしもそうではありません。

 先ほどお話した通り、急性期病院は今後、まずはやりたい医療から求められる医療への転換が必要です。その求められる医療を語る上で大きなテーマになっているのは、「水平連携に準じた垂直連携」であると考えています。

 地域包括ケアでケアマネジャーや訪問看護や訪問リハビリテーションなどとの連携が水平連携で、救急車で運ばれるのを垂直連携とすると、この水平連携に限りなく近い急性期医療、つまりは「水平連携に準じた垂直連携」というものがあると思っています。救急医療は、病院の中でも特に人材を集中させる部門です。ここは車にひかれたなどのクラシックなイメージの救急医療に特化するべきで、現実に救急車で多く運ばれている肺炎などの患者とは分けて考えるべきでしょう。また、肺炎や脳卒中、大腿骨近医骨折などいずれ地域に戻るニーズが増えてきたので、そのニーズに応えるためにも「水平連携に準じた垂直連携」が求められています。この大きなテーマを踏まえずに急性期医療を議論しても仕方がないでしょう。

 そこで着目している「水平連携に準じた垂直連携」の例として、東京の八王子市、町田市、葛飾区の医師会では、自分の診ている高齢者が「また肺炎かな」と思ったら、地域で決められているルールに基いて、必ずしも救急医療での対応が必須とは思われない高齢者に対しては、東京消防庁の救急車ではなく、「病院の救急車」に出動要請をして、病院の救急車が地域の病院へ運び込む仕組みを始めています。こうした取り組みは、東京だけのものではないはずです。

 これは要するに、救急車を出動させるのに、必ずしも東京消防庁でなくてもいいだろう、という発想に基づいています。消防庁は一分一秒を争う患者の搬送に特化し、その替わりに水平連携に準じた垂直連携で対応できる患者に関しては、地元で対応すべきという、患者の容態に応じて救急車の発進元をコントロールする機能を、地域に設けるという取り組みです。

自宅に戻れない「さまよえる高齢者」

 また、むやみに東京消防庁の救急車を出動させ、患者が住む二次医療圏を超えた病院に運び込まれることで、自宅に戻ってこられない「さまよえる高齢者」という問題もあります。

 さまよえる高齢者は、『高齢社会を生きる 老いる人/看取るシステム』(編者:清水哲郎、出版:東信堂)の中で用いられていた表現ですが、二次医療圏を超えて急性期病院に運び込まれた後に、その後、在宅復帰できない高齢者を指します。救急車で二次医療圏の外に運ばれてしまうと、約4割の高齢者は戻ってこられなくなるという調査もあります。ほとんどの人の生活圏域は、地域包括ケアシステムで定義されている中学校区域であることがほとんどで、ましてや二次医療圏の外に出てしまったら、知り合いもおらず、その運ばれた急性期病院やそこから転院した老人保健施設や療養病床が終の棲家になってしまったら、あんまりじゃないですか。ただ、そういうことが、実際に起きているのです。

 さまよえる高齢者となったきっかけの急病が、二次医療圏内の地域ネットワークの中にある医療機関で対応可能だったのであれば、在宅復帰の可能性も高まったかもしれません。そのためには地域の医師会がプラットフォームとなり、重症度に応じた救急車出動のコントロールをすべきです。そのことが、医療の最適化や効率化だけにとどまらず、さまよえる高齢者の抑制にもつながることになると考えています。

総合診療医「専門は○○村です

渡辺:水平連携に準じた垂直連携などで、地域でしっかりと患者を支えることを考えると、より地域から求められる医療への対応が必要そうです。地域から求められる医療にしっかりと対応していくために重要なことは何でしょうか。

有賀氏:地域の実情をしっかりと把握し、求められる医療を提供できる総合診療専門医が必要です。

 基本的に、総合診療と内科は全く違います。例えば、総合診療のドクターが地域の医療提供体制を調べて「この村には産科医療が足りない」と判断したら、近隣の産科センターの専門医と連携して、いざ産まれるというまでの間に、例えば内診を含めて産科的な診療ができるように勉強するというのが、求められている総合診療専門医のイメージです。それが内科との大きな違いです。

 例えば、内科の専門医に専門は何かと聞くと、「消化器内科」などと答えると思いますが、総合診療を専門にやっている医師の中には、「○○村」などと回答する人もいます。つまり、総合診療専門医としての医学的な知識を身に付けることはもちろん重要なのですが、それと同じく地域のリソースや特性を十二分に把握していることも重要であるということで、「その地域の医療担うのは私だ」ということの意思表明でもあるのです。

 そのための教育をこれまでしてこなかったのですが、これから出てくる総合診療専門医には、内科のようなものという意識ではなく、地域の実情を知り、地域の求められる医療を提供する責任を担っているのだというポリシーを、しっかりと持ってもらいたい。また、今の総合診療を実践しているドクターたちは、総合診療とはそういうものであるということを、同じ総合診療を経験しているドクターたちの間だけで語り合うのではなく、もっとほかの専門医や医学生や研修医たちにも発信していってもらいたいと思っています。

取材を担当したインタビュアー
渡辺 幸子(わたなべ・さちこ)
株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの代表取締役社長。
慶應義塾大学経済学部卒業。米国ミシガン大学で医療経営学、応用経済学の修士号を取得。帰国後、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社コンサルティング事業部などを経て、2003年より米国グローバルヘルスコンサルティングのパートナーに就任。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kigawa/201610/548511.html
コラム: 木川英の「救急クリニック24時」
救急車で来る患者の99%は軽症という現実

木川 英(川越救急クリニック)
2016/10/6  日経メディカル


 ようやく過ごしやすい季節になりました。

 救クリにとって秋といえば、食欲の秋ですが、今年は「勉強の秋」になりそうです。

 先日、群馬大学医学部5年生の市岡くん(写真左)が公衆衛生学の地域医療実習の実習先に救クリを選んで来てくれました。

 救クリが地域医療、一次および二次救急医療にどのように関わっているかをテーマに調査してくれました。

 私自身も救クリに赴任して3年。あれこれ考える機会となりましたので、市岡くんの実習レポートに負けじと書きたいと思います。

 定義的なことではなく、実地的な観点から考えます。地域医療を展開しようとしても、基本的には医療機関が立っている場所によって求められていることは大きく異なり、時間帯によっても違うと思います。

 例えば、大都市の駅前にある医療機関では平日仕事の行き帰りに受診するオフィスワーカーが多く、患者の居住地もまちまちです。主に内科、心療内科的な診療が求められ、外傷の処置などは少なそうです。

 一方、集落が転々としている山間部の村などでは、老若男女、内科、外科を問わず総合診療的なニーズがありそうです。もちろん、眼科や耳鼻咽喉科のような専門科も欠かせません。

 このような観点で見ると、救クリは上記のような場所では求められていないと考えられます。救急医療はどこでも必要とされそうですが、平日日中は必要性が低く、市町村が運営している休日夜間診療所が機能している地域も多数あります。地方によっては、地域丸ごとを診療圏として24時間対応している医療機関もあると聞いております。

 つまり、救クリが成り立っているのは「川越市のこの場所で、この時間に診療しているから」であって、他の地域、他の時間帯ではうまくいかないと思われます。地域住民が必要としていない場所、時間帯に開業しても無駄だということです。

 一次救急医療に関しては、以前院長との対談の中でも話した通り、一定の成果は得られたと思っていますので、このまま継続していくことが重要だと思います。欲を言えば、外来時間を延長したいのですが、これはマンパワー的に困難なので現状維持が地域への医療貢献と考えます。

 二次救急医療なのですが、救急車の受け入れに関して持論があります。この連載でも救クリに救急車で来た重症例を紹介しましたが、これはほんの一部で、救急車で運ばれる患者の99%以上は軽症例です。茅ヶ崎徳洲会病院、八戸市立市民病院救命救急センター勤務時代を含めた筆者の経験からもそう言えます。少なくとも日々救クリに救急車で搬送されて来る患者のほとんどは、「緊急性がなく本来、救急搬送を必要としない人が救急車に乗っている」と思わざるを得ない人たちです。

 そのような現実が存在すること自体問題だとは思いますが、これは救急車を要請する側の方に要因がありそうです。救急車を要請する場面を何度も経験できる人は皆無だと思いますので、このような患者層が一定数出るのは仕方ないと考えます。以前にも述べましたが、救急車を呼んで病院に搬送され、結果的に軽症だった、重症だったという話であって、患者や家族、搬送する側がそこまで判断するのは困難だと思われます。

 こうした状況は今後変えていくべきと思いますが、当面そのような救急患者に対応していくことが救クリの責務といえますし、それを日々実践し続けることが地域医療を救うと信じています。

 これにて私のレポートは終了ですが、これからも地域のため、ひいては日本のため頑張っていきます!



http://mainichi.jp/articles/20161007/ddm/012/040/154000c
癌治療学会
共催催し、医師人選で患者ら反発 「根拠不十分な治療実施」

毎日新聞2016年10月7日 東京朝刊

 がんの領域で国内最大の学会「日本癌治療学会」(理事長=北川雄光慶応大教授)の学術集会に合わせ、同じ会場で22日に開かれる市民向けイベントで、根拠が不十分な治療を実施している医師が相談に応じることが明らかになった。医師や患者団体が反発し、抗議の退会者が出るなど混乱が広がっている。イベントを共催する同学会は対応を協議し始めた。【高野聡】

 イベントは「がん撲滅サミット2016」。22日に学術集会と同じ横浜市内の会場で開かれる。イベントの中で、会場の参加者の相談を受ける5人の医師のうち2人が、「少用量抗がん剤治療」「血管カテーテルがん治療」など、有効性や安全性などについて科学的根拠が確立していない治療を自由診療で提供するクリニックの医師と発表された。

 これに対し、患者会「卵巣がん体験者の会スマイリー」が4日、「有効性や安全性が確かではない治療法を学会共催のイベントで紹介すると、医療知識のない患者や家族は惑わされる」と共催を見直すよう求める意見書を同学会に提出。同学会員の医師が抗議の退会をしたり、署名活動の準備を始めたりするなどの動きも出ている。

 イベント実行委会長の鈴木義行・福島県立医大教授によると、登壇者は作家や弁護士ら同実行委の顧問らが選んだ。鈴木教授は「5人のうち3人は科学的根拠に基づく医療を提供しているが、根拠の少ない治療について知りたい患者もいると考えた」と説明する。学術集会の責任者の中野隆史・群馬大教授によると、イベント事務局から共催を提案され、了承したという。

 北川理事長は毎日新聞の取材に、「7日を期限として理事会で対応を協議している。学会は、患者に正しい情報を科学的根拠に基づいて伝えることは重要と考えているので、何らかの変更をしたい」とコメントした。

 日本臨床腫瘍学会の理事長を務める大江裕一郎・国立がん研究センター中央病院副院長は「(登壇した医師が)科学的根拠に乏しいときちんと明示して話すか分からないうえ、学会のイベントとして開催すれば、そうした治療にお墨付きを与えることになる。そのような事態は避けるべきだ」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/465232?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161006&dcf_doctor=true&mc.l=181996072&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 真価問われる専門医改革
6基本領域の専門医、「地域医療への影響なし」
日本専門医機構、「暫定プログラム」使用を検証

2016年10月5日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は10月5日、2017年度から「暫定プログラム」を使い、専門医制度を運営する6学会へのヒアリングを実施、「地域医療への影響はない」と判断した。「暫定プログラム」は2017年度から開始予定だった新専門医制度用に準備していたプログラムで、使用するのは日本小児科学会、日本耳鼻咽喉科学会、日本病理学会、「暫定プログラム」と現行プログラムを併用するのは、日本整形外科学会、日本救急医学会、日本形成外科学会。新専門制度は地域医療への影響が懸念されたため、延期された経緯があり、「暫定プログラム」を使用する学会については、検証が求められていた。

 同日開催の理事会では、2018年度に向けた新専門医制度のスケジュールも確認、10月末、遅くても11月半ばまでには、各基本領域共通の「専門制度整備指針」の見直しを終える予定。理事会後に会見した、日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「今年内には、(基本領域別の)専門研修プログラム整備基準の見直しも終え、おおまかなところは決まる」と説明、2017年夏に各研修施設が専攻医の募集を行うことを念頭に、2017年春頃には研修プログラムの作成ができるよう、準備を進めるという。「専門研修整備指針」は、従来は細部まで決めていた部分を、各基本領域の学会の判断に委ねるなどの考え方で見直す。

 会見では、新専門医制度用の専門医更新基準に基づき、2次審査を終え、泌尿器科専門医80人、救急科専門医25人が更新したことも明らかにされた。両専門医の更新は、新専門医制度の延期の影響で、2次審査がストップしていた。既に更新を終えた産婦人科、病理、形成外科、リハビリテーション科、整形外科を合わせ、新基準での更新を終えたのは、合計で7領域、計3058人に上る。これらの専門医は現時点では「学会認定」となるが、2018年度から新専門医制度がスタートした場合、遡及して「日本専門医機構と各基本領域学会」の連名の専門医とするか否かは今後の検討課題。

 5日の理事会では、総合診療専門医のワーキンググループの委員も決定した。委員名は現時点では未公表。今後のスケジュールについて、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏は、「年度内には一定の方向性を出したい」と、「いろいろな意見が出ているので、まとめるのは難しい」とも述べた。

 そのほか(1)専門医の新規認定・更新や専門研修プログラムの1次審査は、各基本領域の学会が日本専門医機構の基準に基づいて行い、2次審査は日本専門医機構において、各基本領域の代表者も交えて実施、(2)各基幹施設が支払う専門研修プログラムの認定料は、5年間有効で1万円、(3)専攻医や専門医が支払う専門医新規取得・更新料は、従来通り5年間有効の認定で1万円を想定――など、前回理事会で議論した内容を正式に決定した(『内科と外科のサブスペシャルティ取得、「短縮」も』を参照)。

 日本専門医機構が抱える課題としては、社員としての加盟希望、サブスペシャルティの扱いなどがあるが、引き続き検討中だという。

 さらに従来から指摘されていたガバナンスの問題も、7月から新執行体制に一新されたものの、いまだ残る。その一つが、財務問題。新専門医制度の開始延期に伴い、研修プログラムの認定料、専門医新規取得・更新料は、日本専門医機構には入らなくなった。日本医師会のほか、各学会からの借り入れで賄う方針。10月末に返済期限を迎える日本政策投資銀行からの借り入れもあり、対応は急務だ。

 6学会、「地域医療に対して前向きに取り組む」

 6つの学会の専門医制度の地域医療への影響は、日本専門医機構の「第2回専門医研修プログラムと地域医療にかかわる新たな検討会」で検証した。メンバーは、25人の同機構理事のうち、学会関係者8人を除く17人、監事3人、公衆衛生の専門家として加わった地域医療機能推進機構(JCHO)理事長の尾身茂氏の21人で構成。

 尾身氏は、6学会へのヒアリングについて、「各学会が地域医療に対して前向きに取り組んでいることがよく分かった」と評価したという。この結果は、厚生労働省に報告するほか、各都道府県に対し、昨年と今年の基幹施設と連携施設のリストも提示する予定。

 吉村理事長によると、例えば、日本小児科学会は、研修プログラムについて、都市部を中心に削減し、188から159に減らした。指導医の基準も、従来は1回以上の専門医更新が要件だったが、地方では専門医がいれば可能としたり、場合によっては基幹施設と連携が取れれば研修施設として認定するなど、緩和した。専攻医の募集定員も以前より減らし、想定専攻医数の約1.33倍に当たる1190人とした。全ての研修プログラムにおいて、へき地の研修を必修とするなど、地域医療への対応を考えているという。

 日本整形外科学会は、研修プログラムは104、連携施設は1631。基幹施設はほとんどが大学病院だが、3年間のうち大学病院での研修は半年程度で、残りは地域の連携施設で研修するなど、「必ずしも大学中心のプログラムではない、とのことだった」(吉村理事長)。



https://www.m3.com/news/general/465452
奈良の土庫病院の胃がん告知ミス 大和高田の病院副院長、書類送検 業過致死容疑で 高田署
事故・訴訟 2016年10月6日 (木)配信毎日新聞社

奈良・土庫病院の胃がん告知ミス:大和高田の病院副院長、書類送検 業過致死容疑で 高田署 /奈良

 大和高田市の総合病院「土庫(どんご)病院」で2010年、胃がんだった橿原市の建設業、石田政裕さん(当時53歳)が誤って胃潰瘍と告知され、2年後に死亡した問題で、高田署が業務上過失致死容疑で、告知ミスをした男性副院長を奈良地検葛城支部に書類送検したことが分かった。

 捜査関係者によると、書類送検は3日付。副院長は10年9月、石田さんの胃がんが検査で判明し、その結果を正確に説明する業務上の注意義務があるのに誤って胃潰瘍と説明。石田さんは12年7月に胃がんで死亡した。遺族が「告知ミスで治療が遅れた」として告訴し、13年4月に同署が受理していた。

 同病院は「検察の判断を見守りたい」としている。

 遺族らが病院を運営する社会医療法人と副院長を相手取った民事訴訟で、奈良地裁は今年2月に病院側に約6200万円の支払いを命令。大阪高裁で8月に和解が成立した。【塩路佳子】



https://www.m3.com/news/iryoishin/464411
シリーズ: 真価問われる専門医改革
脳神経外科医のキャリア「パンドラの箱が開いた」
山口大の鈴木氏らの専門医調査、脳神経外科学会総会で発表

2016年10月5日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「パンドラの箱が開いてしまったと思う。世の中にあふれる情報はいっぱいある。でもそれを鵜呑みにしていてはダメで、自分自身の羅針盤の針に従って大海原を航海して、新しい大陸を見付けよう」

 山口大学脳神経外科教授の鈴木倫保氏は、福岡市で開催された第75回日本脳神経外科学会総会で10月1日、現役の脳神経外科向けのセッション「専門医アンケートと生涯教育」で、脳神経外科専門医の現状や、2769人の専門医を対象に2015年に実施したアンケートの結果を紹介、講演の最後をこう締めくくった。

 鈴木氏が会長を務めた本総会のテーマは、「進化する脳神経外科とぼくらの羅針盤」。テーマ通り、本学会では、「専攻医」「現役」「シニア」の別に、キャリアパスを考えるセッションが数多く企画された。本セッションもその一つ。鈴木氏は、サブスペシャルティが多様化し、キャリアの選択肢が増えている脳神経外科領域における固有の変化に加え、人口構成など社会環境が変わる中、自らが情報を吟味して自身の手でキャリアを築く重要性を強調した。

 「不都合な真実か」「都合のいい事実か」――。鈴木氏が講演の冒頭で提示したのは、(1)人口の高齢化と同様に、脳神経外科の専門医も高齢化、(2)専門医試験の受験者数は減少傾向にあるものの、合格率を調整することで、合格者数を何とか減らさずに保っている――というデータだ。

 専門医へのアンケートで「脳神経外科医の充足度」を聞いたところ、「少なすぎる」との回答が3割だった一方、「多すぎる」も2割と意見が分かれた。脳神経外科専門医の勤務先、地域、年齢・立場などによる相違があると考えられる。

 脳神経外科の「不満足な理由」のベスト5は、2006年に実施した前回のアンケートと全く同じで、「もっと手術をしたい」「給与が少ない」「研究時間がない」「当直・呼び出しが多い」「自施設の症例が少ない」がベスト5。

 これらの順位も年齢等によって異なってくると想定されるものの、鈴木氏は、「劣悪な環境にもかかわらず、何とか満足し、仕事を続けているが、不満は解決していない」と指摘、特に現役世代が燃え尽きる前に対策を講じる重要性を強調した。「世代間の役割分担が非常に大事な時代だと思う。現役世代が、手術や救急、研究に専念できる体制にし、若者もどんどんリクルートしなければいけない。シニアは、これら二つの世代をサポートしなければいけない」(鈴木氏)。

 脳神経外科専門医への調査、2006年以来

 脳神経外科の専門医の実態調査は、過去に1999年、2000年、2005年、2006年に実施していた。今回、2015年に10年ぶりに実施し、2006年調査との比較も行った。

 回答者数は2769人(2006年調査は2860人)。内訳は、男性2658人、女性111人、平均年齢は50.4歳で、50歳以上が51.8%(2006年調査は39.9%)を占めるなど、やや高齢化している。所属施設は一般病院が50%強で、所属施設の所在地や役職などにはあまり変化はない。脳神経外科専門医の取得時期は、卒後8.5±4.7年。

 主な調査結果は以下の通り。

◆専門医試験の難易度について

 2015年調査では、「難しい」34.1%、「適当である」63.9%、「簡単である」1.7%。2005年調査では、質問の仕方が異なるが、「臨床診療能力」を問う試験では、「もっと厳しくすべき」が46.3%であるなど、高いレベルを求める医師が多く、「意気がいい」(鈴木氏)回答であり、意識の変化がうかがえた。

◆サブスペシャルティの専門医資格について

 サブスペシャルティの決定時期は、「専門医取得後」64.3%、「専門医取得前」35.7%。専門医の取得率は、脳卒中(2006年30.2%⇒2015年47.3%)、脳神経血管内治療(同4.4%⇒14.6%)、脊髄外科(同3.2%⇒8.5%)などで増加(複数回答)。
 「自分のサブスペシャルティは?」の質問には、脳血管内手術(同10.2%⇒15.5%)が増加、一方、特に大きく減少したのは「神経外傷」(同35.1%⇒16.7%)で、「神経集中治療や救急へ移動した可能性が示唆された」(鈴木氏)。そのほか「脳血管障害」(同70.9%⇒61.4%)、「脳腫瘍」(同37.2%⇒28.4%)などで、脳神経外科領域でメーンストリームと言われる分野が減少(複数回答)。
 「サブスペシャルティのさらなる多様化、既存分野から、新規分野への移動が見られる。それ故に、そのベースとなる脳神経外科専門医のトレーニングが重要になる」(鈴木氏)

◆年間の手術件数や手術の実態について

 専門医の年間手術件数の中央値は、2006年と2015年調査ともに約60件でほぼ同じ。
「手術に特化すべきか」との質問には、「同感しない」(2006年40.7%⇒2015年48.8%)と約半数が「NO」と回答。反対に「全く同感」(同21.3%⇒11.6%)は減少している。
 脳神経外科医の守備範囲の広がりを反映している結果とも言え、「脳神経外科手術」を「主たる診療範囲」と回答した医師は減少(2006年75.6%⇒2015年45.5%)、反対に「かなり関わる」(同12.3%⇒16.8%)、「時に関わる」(同7.8%⇒11.6%)、「ほとんど関わらない」(同3.1%⇒20.2%)はいずれも増加。そのほか、脳神経外科手術と同様に、脳神経外科のメーンストリームと言える脳卒中、救急などについても、「主たる診療範囲」と回答した医師は減っている。

◆脳神経外科医の充足度や勤務状況について

 「脳神経外科医の充足度」は、「多すぎる」21.5%、「適当である」49.7%、「少なすぎる」28.9%と意見が分かれた。「勤務先での脳神経外科専門医の充足」は、「充足している」50.3%の方が、「不足している」43.7%よりも上回ったものの、地域や施設による充足度の差があることがうかがえる。
 1週間当たりの勤務時間は、「59.5±23.7時間」で、個人差が大きく、この差が「充足度」への回答の相違にもつながっていると考えられる。
 「基礎、臨床を問わず研究を行っているか」との質問には、「はい」42.5%、「過去にはしたが、現在は行っていない」48.4%、「行ったことがない」9.1%。「研究を実施したことがない人が、1割もいるという結果には驚いた」(鈴木氏)。「過去10年間で研究活動に充てる時間」は、「減った」が56.2%と半数を超えた。これらの結果を踏まえ、鈴木氏は脳神経外科研究の崩壊を懸念する。

◆脳神経外科専門医の満足度について

 「他の専門診療科と比較して自分の給与は?」との質問には、最も多いのは2006年と2015年のいずれも「他科と比べて変わらない」(2006年53.0%⇒2015年58.3%)。
 脳神経外科が「不満足な理由」のベスト5は、2006年と2015年ともに同順位。1位「もっと手術がしたい」、2位「給与が少ない」、3位「研究時間がない」、4位「当直・呼び出しが多い」、5位「自施設の症例が少ない」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/465551
シリーズ: 医療従事者の需給に関する検討会
診療科別の「専攻医研修枠」、JCHO尾身氏が提案
保険医登録「2段階制」も、医師不足地域勤務が管理者要件

2016年10月6日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」(座長:片峰茂・長崎大学学長)は10月6日に第8回会議を開催、参考人として出席した地域医療機能推進機構理事長の尾身茂氏は、医師偏在対策として、各都道府県別あるいは2次医療圏ごとに、各診療科別の「専攻医研修枠」を設定することを提案、多くの構成員の支持が得られた。

 尾身氏は、日本専門医機構の「専門医研修プログラムと地域医療にかかわる新たな検討会」に、公衆衛生の専門家として加わった立場から発言、新専門医制度が混乱したのは、関係者間の綱引きが行われたことが一因であるとした(『専門医の必要数、タブー視せず議論を - 尾身茂・JCHO理事長に聞く』を参照)。

 「今までは各学会が、独自に専門医の養成数を決めていた。学会間のパワーゲームになってしまうと、診療科別の偏在問題は解決しない」と指摘する尾身氏は、「専攻医研修枠」の設定を提案。さらに、医師の地理的遍在対策は、「専門医制度の枠の外」の話であるとして、「最も実効性のある施策の一つが保険医登録の仕組みを変えること」とした。これは、保険医登録を2段階に分け、保険医療機関の管理者になるためには、「医師不足地域への一定期間勤務を要件」とする案であり、「この方法であれば関係者の納得が得られる」(尾身氏)。

 本分科会は今年末までに、医師偏在対策を議論する予定で、6日の会議では、尾身氏のほか、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏、徳島県保健福祉部次長の鎌村好孝氏の計3人の参考人にヒアリング(『「専攻医の定員、専門医機構や県の権限法制化」を検討』を参照)。

 吉村氏は、新執行部が発足した7月以降の動きを紹介。理事はオールジャパンの体制にし、各基本領域の学会との協同関係にするなど体制を刷新したほか、専門研修プログラム整備指針をはじめ、さまざまな見直しを進め、並行して2017年度の各学会による専門医養成の地域医療への影響を検証するなど、これまでの取り組みを説明した(『新専門医制度、全19領域とも「1年延期」へ』、『6基本領域の専門医、「地域医療への影響なし」』などを参照)。

 鎌村氏は、徳島県の人口当たりの医師数は全国3位であるものの、特に公的医療機関の勤務医不足が課題になっており、その対策に取り組んでいる現状を紹介。その一つが、地域医療支援センターの活用だ。同センターは徳島大学に設置、2009年度以降の同県内の初期・専門研修の研修者をデータベース化、地域枠医師の初期臨床研修に関する県内医療機関による協議、地域枠の医学生向けのキャリア面談など、さまざまな取り組みを通じて、医師の地元定着に努めている。

 6日の会議で問題視された一つが、10月3日に発足した厚労省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」。「医師需給分科会」の今年5月の中間取りまとめで、「医師の働き方・勤務状況等の実態について、より精度の高い推計を行い、将来、あるべき医療提供体制とそこにおける医師の新しい働き方を示すビジョンを策定した上で、必要な医師数を推計するプロセスが必要」と提案したのが、発足の直接的なきっかけ(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、中間取りまとめで行った医師の需給推計について、塩崎恭久厚労相がビジョン検討会の席上、「無意味な数字」と発言したことに触れ、「何のために、本分科会を開催したのかが分からない」と語気を強めた。日医常任理事の羽鳥裕氏も、「どんな根拠で、ビジョン検討会の構成員を選んだのか」と質し、かかりつけ医や救急医療に従事する医師など、現場で診療に当たっている医師が構成員に不足していることを問題視。「医療従事者の需給に関する検討会」の座長を務める、国立社会保障・人口問題研究所所長の森田朗氏も、ビジョン検討会発足について、厚労省から正式な説明を受けたことはないと明かした。

 岩手医科大学理事長の小川彰氏は、「医師需給分科会」は今年末までに医師偏在対策をまとめる予定である一方、ビジョン検討会は2017年1~2月の取りまとめの予定であり、両者の整合性を質した。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、医師需給推計と医師偏在対策は分けて検討し、「医師需給分科会」は医師偏在対策を今年内にまとめ、社会保障審議会医療部会に報告、その後、ビジョン検討会の結論を踏まえ、医師需給推計の議論を進めると説明した。

 この説明に対し、全国医学部長病院長会議会長の新井一氏は、「医師需給バランスと医師偏在対策はリンクしており、(2019年度に期限が切れる)今の医学部の臨時定員増をどうするかが、最終的な話」と返し、医学部を目指す若手のことも踏まえ、丁寧な議論を求めた。

 「後期研修にもマッチング」との意見も

 尾身氏は、「専攻医研修枠」について、現在の診療科・地域別の医師数に加え、将来の人口動態の変化、疾病構造の変化、モータリゼーションの変化なども踏まえて設定すると説明。「ただし、この数は硬直的なものではなく、目指すべき方向性であり、「現状と乖離がある場合には、時間をかけて修正していくことが現実的」(尾身氏)。

 この提案に対し、聖路加国際病院院長の福井次矢氏は、「国全体および地域別にどの程度専攻医が必要なのかを明確にしないと議論は進まない。ぜひ取り組んでもらいたい」と述べ、臨床研修と同様に、「マッチング制を導入した方がいい」と提案。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏も支持、「時間をかけて修正していく」とした点について、「どれくらいのタイムスパンか」と質問。尾身氏は、「1、2年でやると混乱を招く。少しずつ調整し、状況をモニターしつつ、皆の納得感を得ながら、数年から10年かけて進める」のが妥当だと回答した。

 小川氏も「ラジカルな提言だが、基本的に賛成。これくらいのことをやらないと、変わらないだろう」とコメント。

 保険医登録の二段階制、“徴兵的な制度”?

 保険医登録を2段階に分ける仕組みについて、「これは大変、大事な仕組みだと考えている。医師不足地域に勤務することを、医療機関の管理者の要件にすると読める」と質問したのは今村氏。

 尾身氏は、(1)医師国家試験に合格した人は、保険医登録する、(2)全国の医療圏を、A=医師が充足、B=少し不足、C=極めて不足、S=へき地や離島、などと分け、B~Sの地域に、一定期間(半年や1年など)勤務することを、保険医療機関の管理者の要件とする――などと解説。

 前東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授の北村聖氏からは、「インドネシアで採用されて、実は失敗したシステム。モチベーションがない人がへき地で勤務し、地域住民が反発した」との意見も上がった。日本精神科病院協会常務理事の平川淳一氏も、“徴兵的な制度”であり、「今の時代に合わない」と異議を唱えた。

 これに対し、尾身氏は、本提案に当たって、医学生などにヒアリングしたところ、本システムを前もって説明、理解していれば、問題ないとの意見だったと説明。権丈氏も、尾身氏が「医師には、プロフェッショナルフリーダムが認められると同時に、地域のニーズに応える社会的な責務がある」と提起している点にふれ、“徴兵的な制度”には当たらないとした。

 「地域枠」、地元出身限定案も

 そのほか、医学部の「地域枠」の在り方も議論になった。(1)「地域枠」の医学生は、臨床研修修了後、大学と同じ都道府県で勤務する割合が、「地域枠」以外の医学生よりも高い、(2)「大学と出身地が同じ都道府県」の医学生は、臨床研修修了後、大学と同じ都道府県で勤務する割合が、「大学と出身地が異なる都道府県」の医学生よりも高い――などのデータがある。「地域枠」の医学生の地元定着率を高めるには、当該大学がある都道府県出身者限定の「地域枠」とすることも一案になり得る。

 これに対し、慎重な検討を求めたのが、新井氏。「地域枠」のうち、どの程度の割合を都道府県出身者限定とすれば、医師偏在対策になるのかなど、もう少し精査したデータを基に議論しないと、「大学の合意が得られない」と指摘した。



https://www.m3.com/news/general/465375
療養14万床、新施設へ転換計画 スムーズな移行に課題
2016年10月6日 (木) 朝日新聞

 高齢者らが長期入院する「療養病床」を再編する計画の期限が2017年度末に迫っている。厚生労働省は約27万床の半数程度を廃止して新しい形態の施設に転換させる計画で、具体化に向けた議論が本格的に始まった。医療機関の経営が成り立たなくならないように、円滑な転換ができるかどうかが焦点だ。

 ■面積や職員配置、不安の声

 療養病床は介護だけでなく、脳卒中などでたんの吸引といった医療も必要な患者が使うベッド。介護保険が適用される「介護型」(約6万1千床)と医療保険が適用される「医療型」(約21万3千床)がある。

 廃止するのは、在宅での療養が難しいことなどから退院できない「社会的入院」が問題化し、医療費を抑制するため。対象は介護型と、医療型のうち医療の必要な程度が軽い患者向けの計約13万7千床だ。

 5日にあった社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の特別部会では、廃止して転換する新施設のあり方について意見が相次いだ。

 「相部屋なのか個室なのか」「病院の建て替え時期が来るまでは、現状の相部屋を認めるべきだ」

 新施設について、厚労省は(1)医療態勢を整えてもとの医療機関内に残す(2)医療機関に併設する――といった大枠を示している。高齢者が終末期まで入所することを想定し、「住まい」としての機能も重視する。

 1人当たりの床面積は、特別養護老人ホームの10・65平方メートルに対し、療養病床の4人部屋で6・4平方メートル。特養など高齢者施設の水準に合わせて、広い部屋を確保しなければならないことへの懸念が出ている。

 また、職員の配置基準についても決まっていない。医師や看護師の配置が少なくなることに対する不安もあり、日本医師会の鈴木邦彦委員は「新施設の報酬や人員も分からないうちに転換はできない。経過措置期間が必要だ」と訴えた。

 ■難航なら「介護難民」も

 療養病床を持つ医療機関などでつくる東京都慢性期医療協会は8~9月、患者や家族約630人を対象にアンケートを実施。入院を続けられなくなった場合に自宅での療養は不可能と答えた人が約9割に上った。

 「高額でない施設が増設されないと無理」「緊急時に対応してもらえないと困る」といった意見も寄せられた。担当者は「新施設への転換がうまく進まなければ介護難民や介護離職につながる」と心配する。

 介護型の療養病床が約370床ある陵北病院(東京都八王子市内)の看護師、桑原綾子さん(41)は「重い心臓病のうえ認知症の周辺症状があるなど、在宅でケアが困難な患者さんも入院する」と転換の難しさを指摘する。介護型の療養病床はもともと11年度末に廃止する計画だったが、準備が間に合わず6年間延期された。実現への道のりは、なお険しい。(水戸部六美)


  1. 2016/10/07(金) 06:06:00|
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