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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月5日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49750.html
医師偏在、「強力な対策」の方向性明記- 厚労白書、女性医師離職防止や認知症対策も
2016年10月05日 16時00分 キャリアブレイン

 塩崎恭久厚生労働相は4日の閣議に、2016年度版の厚生労働白書を報告した。「人口高齢化を乗り越える視点」をテーマに掲げ、医師の地域間偏在の解消を図るため、医師の勤務地や診療科に関する規制を含めた「強力な対策」や女性医師の離職防止・復職支援の必要性に加え、認知症対策などの充実に取り組む方針を示している。【新井哉】

■地域間偏在の是正踏まえた検討が必要

 白書では、人口10万人に対する医療施設に従事する都道府県別の医師数(14年)は、埼玉(152.8人)や茨城(169.6人)、千葉(182.9人)などで全国平均(233.6人)を下回っていることを挙げ、「地域によっては、一層の医師の確保を必要とするところもある」と指摘。今後、高齢社会が一層進む中で、人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制を構築するため、地域間偏在の是正などの観点を踏まえた「医療従事者の需給の検討が必要」と説明している。

 具体的な対応として、昨年12月から医師の地域間偏在や需給に関する議論を始めた医療従事者の需給に関する検討会を取り上げ、「医師が勤務地や診療科を自由に選択するという自主性を尊重した対策だけでなく、一定の規制を含めた対策を行っていく観点から、さらに強力な偏在対策について年末に向けて議論していく」としている。

 また、女性医師の離職防止・復職支援については、復職から離職防止までをパッケージ化して女性医師支援の取り組みを行う「モデル医療機関」を選定し、普及啓発を図っていることを説明。復職・離職防止と勤務環境の改善対策を併せて実施することで、女性医師が安心して就業の継続や復職ができる環境の整備につなげたい考えだ。

■認知症初期集中支援チームが孤立者支援も

 認知症については、65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備群とされていることを挙げ、かかりつけ医の認知症への対応力を高め、認知症サポート医の支援を受けながら鑑別診断や行動・心理症状(BPSD)への対応を行い、必要に応じて適切な医療機関につなぐことが重要としている。

 認知症に関するコラムも掲載しており、かかりつけ医と連携しながら認知症初期集中支援チームを運営し、認知症が疑われる人を早期に適切な医療や介護につなげている砂川市立病院認知症疾患医療センター(北海道砂川市)などの取り組みを紹介。社会的に孤立しやすい1人暮らしの高齢者については、医療や介護の機関につないだ後も定期的に連絡を取り、課題があればアフターフォローも行っているという。

 うつ病などの気分障害や認知症の増加に伴い、社会的要請が高まっている精神科医療については、身体拘束の判断などを行う資格を持つ精神保健指定医の診療所の開業が増える一方、ニーズが高まっている病院での急性期医療に携わる人材が不足しているといった課題を指摘。現在、精神保健医療福祉の在り方を検討会で議論していることなどを説明している。



http://mainichi.jp/articles/20161005/ddl/k15/010/193000c
かじ取り役への宿題
’16知事選/2 医師不足 地域人材どう確保 /新潟

毎日新聞2016年10月5日 地方版 新潟県

基幹病院で育て配分へ

 平日の昼下がり。魚沼市の市立小出病院の外来患者待合スペースには、診療を待つ患者の姿が朝から途切れることなく続いていた。同病院の外来患者数は1日平均252人。常勤医9人と新潟大から派遣されている医師らで診療に当たっている。夜間、入院患者に対応するのは常勤医4人。何とかやりくりしているのが実情だ。

 糖尿病治療のため月1回通院している市内の男性(76)は「高齢を理由に辞める開業医が増えている中で、この病院だけが頼りだ。医師の数が十分でないと、診療態勢が整わなくなるのではないか」と不安を口にした。

 県内で医師不足が叫ばれて久しいが、改善の兆しは見えてこない。2014年の県内の人口10万人当たりの医師数は200・9人。全国平均(244・9人)を大きく下回り、都道府県別では43位と厳しい状況が続く。

 高齢化が著しい魚沼地域ではさらに深刻だ。人口10万人当たりの医師数は、新潟市や五泉市などの新潟医療圏では264・1人と全国平均を上回っているが、魚沼市や小千谷市などの魚沼医療圏は119人と半分以下。高齢を理由に医師が引退したり、亡くなったりして閉鎖される民間診療所が増え、他の診療所や小出病院が受け皿とならざるを得ない状況だ。残された医師の負担は増しており、小出病院の布施克也院長は「医療の質を維持するという点でも好ましくない」と懸念する。

 県は医師確保策の一環として、08年度以降、新潟大や順天堂大(東京都文京区)と新たな取り組みを始めた。両大は医学部に、卒業後の一定期間、県内で医療従事することを条件に学生を募集する「地域枠」を創設。県も地域枠の学生らを対象に返済を免除する奨学金制度を創設するなど、養成段階からの定着を図っている。さらに12年からは県外の医師らにU・Iターンを積極的に呼びかけ、13年には医師・看護職員確保対策課を設置するなど対策を講じているが、効果はまだ限定的だ。

 そうした中で、魚沼地域の高度・救急医療の拠点になるとともに、地域医療を担う人材育成の拠点としても期待されているのが、昨年6月に開院した「新潟大地域医療教育センター・魚沼基幹病院」(南魚沼市)だ。基幹病院と周辺病院との連携を強化し、急性期など状況に応じて役割を分担。地域を支える仕組みは、高齢化社会の医療モデルとして県外からも注目を集めている。

 基幹病院で研修医をはじめとする人材育成が本格化するのは18年度から。内山聖院長は「流れはできている。今後地域枠の医師も入ってくるので、5年たてば軌道に乗るだろう」と期待を寄せる。

 布施院長は「基幹病院に高度医療と若い医師を集約し、総合診療医として地域に配分しながら地域全体で育てるモデルを作る必要がある」と指摘する。県立病院のネットワークを活用し、医師を派遣する仕組みの構築も有効だという。

 医師・看護職員確保対策課は「打てる手は打っている」とするが、布施院長は「まだまだできることはある」と強調。基幹病院を中心とした地域医療モデルの「新潟ブランド」としての発信や、卒業後に県外に出る医師らの「つなぎ留め」などの必要性を訴えている。【米江貴史】=つづく



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49752.html
オプジーボの薬価、現行ルールで引き下げへ- 厚労省が提案
2016年10月05日 17時00分 キャリアブレイン

 高額ながん治療薬「オプジーボ」(小野薬品工業)による公的医療保険への影響が懸念されている問題で、厚生労働省は5日、中央社会保険医療協議会の薬価専門部会で、年間販売額が予想を大きく上回った場合、薬価が最大半額になる現行のルールで薬価を特例的に引き下げることを提案した。年度内に決定する。【敦賀陽平】

 オプジーボをめぐっては、昨年末に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」が効能・効果に加わったことで、対象となる患者数が470人から数万人に増加。患者数が限定された希少疾患のため、高額な薬価が付いていたが、患者数の急増に伴い、薬剤費も大幅に伸びている。

 小野薬品工業は薬価収載時、ピーク時の売上高を31億円と見込んでいた。しかし、昨年度の売上高は212億円に達し、今年度は1260億円を見込んでいる。年間販売額が予想を大きく上回る場合、通常は2年に1度の薬価改定で見直されるが、オプジーボの適応拡大は昨年末だったため、秋に行う市場調査に間に合わず、今年4月の改定の対象から外れた。

 厚労省はこの日、市場調査が実施された昨年10月から今年3月までの間、効能などが追加された薬のうち、今年度の販売額が1000億円超で、当初の予測より10倍以上となる薬を引き下げの対象とすることを提案。来年度は通常の薬価改定が行われず、市場調査も実施されないため、同省では、予想販売額の提示など企業側に協力を求める方針だ。

■メーカー側の販売額の申告に懸念も
 厚労省の提案に対し、委員から大きな反対意見はなかった。日本医師会の松原謙二副会長は、「後から適切でないと分かれば、修正するのは当たり前だ」とした上で、「今回は特例中の特例として、正しい方向に持っていってほしい」と求めた。

 協会けんぽの吉森俊和理事は、「企業に予想販売額の提示を求める際は、一定の指標をつくるなど、納得感の得られる情報公開にすべきだ」と主張。また、健康保険組合連合会の幸野庄司理事は、「メーカーの自己申告と実績の間に乖離があった場合、何らかの調整が必要ではないか」と問題提起した。

 オプジーボをめぐっては、8月下旬に「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」に適応が広がり、現在、他の13種類のがんで治験などが進んでいる。先月末には、競合となるがん治療薬「キイトルーダ」(MSD)が製造販売承認を取得しており、委員からは、今後も同様の事態が起こらないよう、薬価を決めるルールの抜本的な見直しを求める声も上がった。

 同省の担当者は、「2018年度の改定に向け、今後、新たな見直しが必要にならないよう、しっかりと検討していきたい」と話した。

■GLの医療保険上の取り扱いは通知で
 厚労省では現在、高額な薬を適切に使用するためのガイドライン(GL)の策定作業を進めており、今年度はオプジーボと高脂血症治療薬「レパーサ」などが対象となる。この日の部会では、GLの医療保険上の取り扱いについて、厚労省が薬の使用法などの留意点を通知することを提案し、了承された。オプジーボに関しては、年内に最終案を作成する予定。



http://www.sankei.com/politics/news/161005/plt1610050010-n1.html
「オプジーボ」2段階で値下げ 29年度に最大25%
2016.10.5 07:35 産経ニュース

 厚生労働省は4日、優れた治療効果はあるものの、患者1人の薬代が年間約3500万円とされる新型がん治療薬「オプジーボ」の薬価について、平成29、30年度の2段階で値下げする方向で検討に入った。5日開催の中央社会保険医療協議会(中医協)に提案する。

 具体的には、まず29年4月に最大25%の薬価引き下げを想定。さらに30年4月に追加値下げを実施するが、下げ幅は中医協で検討する。

 薬価は国が定め、改定は原則2年に1度で次回は30年度。これまでの中医協の議論では、速やかに特例で改定して値下げを求める意見に対し、製薬業界は29年度の改定に反対を表明していた。

 厚労省は、予想以上に売れた高額新薬を値下げする既存のルールを29年度の特例改定に援用する考えだが、30年度改定までに薬価設定のルールを抜本的に見直す。

 オプジーボは日本発の新薬で26年発売。最初は皮膚がんの一種の悪性黒色腫に保険適用され、対象患者が470人と少ないことから薬価は100ミリグラムで約73万円と高額な設定となった。ところが昨年12月、肺がんにも効能を追加。保険適用の対象が1万5千人に拡大したのに薬価は見直されず、今年度の販売予測が1260億円に膨張。8月には腎臓のがんにも保険適用された。
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http://www.sankei.com/life/news/161005/lif1610050051-n1.html
オプジーボ値下げ 患者増加、類似薬にも影響、異例の措置
2016.10.5 21:21 産経ニュース

 がん治療薬「オプジーボ」の薬価について、厚生労働省は5日、最大25%引き下げることを中央社会保険医療協議会(中医協)の専門部会に提案した。部会では委員から「スピード感をもってやってもらいたい」と引き下げをせかす声も出た。日本発の画期的な新薬として期待されながら薬価引き下げを求める声が上がるのは、オプジーボの適応が今後も広がるとみられることや、オプジーボと同じメカニズムで働く新薬が登場し、高額な薬剤費が保険財政に与える影響がさらに懸念されるためだ。

 オプジーボは体重60キロの肺がんの患者が1年間使うと年3500万円かかる。小野薬品工業は、既に承認されている悪性黒色腫、肺がん、腎がんのほか、ホジキンリンパ腫と頭(とう)頸(けい)部がんについても、国内で承認申請を行っているが、現行制度では適応が拡大されて使用患者が増えても、薬価は改定されない。

 また、日本の薬価制度は既存の薬と似た効果を持つ類似薬の価格を既存薬に合わせるため、オプジーボの薬価は類似薬にも影響する。製薬企業「MSD」(千代田区)は9月28日、オプジーボの類似薬となる悪性黒色腫の新薬「キイトルーダ(一般名・ペムブロリズマブ)」の製造販売承認を取得したと発表。11月中に薬価が決まるとみられるが、オプジーボの価格はこの際に参考とされる。

 厚労省は「オプジーボの価格が下がれば、類似薬の価格も下がるだろう」としており、今後も登場する可能性がある類似薬の価格を抑えるには、オプジーボの価格を下げることが必要となる。



http://www.asahi.com/articles/ASJB54HNXJB5UTFK007.html
高額がん治療薬オプジーボ、最大25%値下げへ
生田大介
2016年10月5日20時53分 朝日新聞

 高額な新型がん治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省は薬価を緊急的に最大で25%引き下げる方向で調整に入った。オプジーボの値段は1人あたり年3500万円程度だが、利用者が急増。販売額に応じて薬価を下げる仕組みに基づき、来春までに値下げに踏み切る。

 販売額が想定より大幅に伸びた薬は販売額などに応じて最大25%か50%値下げする仕組みがある。厚労省は5日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の専門部会で、こうした考え方を適用する方針を提案。大きな異論はなかった。オプジーボの今年度の売上高は約1260億円の見込みで、厚労省内では最大25%の値下げ幅を適用する検討を進めている。

 オプジーボは皮膚がんの薬として承認され、年間470人程度の患者が使うと想定されていた。だが、昨年12月に一部の肺がんにも使えるようになり、対象患者が1万人以上に増加。保険が適用されるため、公費や保険料の負担が大きくなっている。薬価の改定は2年ごとで、次回は2018年度の予定だが、それを待たず例外的に値下げする。

 部会では、オプジーボと高脂血症治療薬「レパーサ」の使用対象を限定する方針を大筋で了承。専門性の高い医師がいるといった条件を満たす病院に限って投与を認め、対象を効果が見込める患者などに絞る。(生田大介)



http://getnews.jp/archives/1533125
薬や治療法の本当の実力を知るための指標「NNT」に注目
2016.10.05 16:00 NEWSポストセブン

 その薬を飲むか、その手術を受けるかで、生き方も、そして死に方も大きく変わる。問題は、それを判断する根拠が患者側に与えられていないことにある。自分で納得できる選択をするために、有益なデータがアメリカにあった。

 自分で薬や治療法の「本当の実力」を知るための指標として、注目を集めているのがNNT(Number Needed to Treat)、日本語で「治療必要数」と呼ばれる数値である。神戸学院大学教授の駒村和雄氏(循環器内科医)が解説する。

「NNTは、薬や手術の臨床試験の結果を用いて、“1人の病気の発症や死亡を防ぐのに、何人がその治療を受ける必要があったか”を表わす数字です。つまり、その治療で何人の命が救えたのか──その実数がわかる重要な指標です」

 2010年、米国の「根拠に基づく救急医療」を推進する医師グループにより設立されたインターネットサイト「the NNT」には、多くの治療法のNNTが公表され、世界中の医療関係者が閲覧している。そして同サイトには「逆」の数値も示されている。その治療法で「何人1人の割合で副作用が出るか」を表わすNNH(有害必要数: Number Needed to Harm)である。

 今回、本誌は医療経済ジャーナリストの室井一辰氏の協力のもと、「the NNT」に加え、国際論文データベース「NCBI Pubmed」から、NNTが記載されている論文を抽出して分析した。がんに関する「命が助かる確率」を公開する(以下、NNTは「○」、NNHは「×」として表記)。

【手術可能な胃がんにおける放射線治療】
 ○ 5年間で17人に1人は5年間の生存が確保。
 × 副作用として、大半の患者に白血球の減少が起こり、半数近くの患者に下痢など胃腸への副作用が起きる

 数値の算定法は、薬であれば被験者となる患者を「実薬を飲むグループ」と「偽薬を飲むグループ」に分けて比較検証される。

 例えば、それぞれのグループ100人を5年間追跡し、偽薬群では15人が死亡したのに対し、実薬群では死亡が5人に減ったとする。この場合、薬を服用することで10分の1(100人中10人)が死を回避したことになる。残りの10分の9は、「薬を飲んでも飲まなくても結果は変わらなかった」ことを意味する(「薬の効き目がなかった」という意味ではない)。

 手術や健診の場合も同様に、被験者を手術群と非手術群(薬による治療)、検診群と非検診群とに分けて比較検証し、数値を導き出す。室井氏が解説する。

「NNTは数値が小さいほど効果が大きいとみなされます。20台以下(20人に1人以上)なら、現在、医療分野で評価されている治療法の効果を考えると、有効であると考えられます。

 問題はNNTによる利益とNNHによる副作用をどう天秤に掛けるかです。胃がんの放射線治療でいえば、患者が白血球減少の副作用リスクを重いと考えるかどうかですが、私の考えでは、生存効果の高さをメリットとみなして推奨される治療法だと思います」

【肺がん治療で使用される抗がん剤「ベバシズマブ(商品名アバスチン)」】
 ○ 1年間で30人に1人が死亡を避けられる。6か月で6人に1人が死亡を回避できる。
 × 66人に1人が血小板減少症になり、47人に1人がタンパク尿を発症。15人に1人が高血圧になる。

 アバスチンは、昨年の売り上げが1000億円を超えた国内シェア1位の抗がん剤だ。

「死亡を先延ばしできる期間が短い割に、デメリットが多いといえます。特に、すでに受けている化学療法に追加する形で行なうと副作用の発症が多数報告される傾向にあり、治療を受けるかどうかは慎重な判断が求められます」(室井氏)

 アバスチンは大腸がんの治療でも用いられる。こちらは12人に1人は生存期間が延び、16人に1人が高血圧を起こすと報告されており、数値のうえでは胃がん治療よりメリットが期待できる結果といえる。

 NNTの数字はあくまで統計上の数値であり、絶対的なものではない。NNTの被験者に対する追跡期間の多くは5~8年程度で、ある一定期間の観察から導き出された数字だ。その後も追跡調査を継続すれば、数値が変動する可能性はある。

※週刊ポスト2016年10月14・21日号



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49736.html?src=topnewslink
日本でも薬用せっけん規制へ- 【あなたの健康百科】
2016年10月05日 15時00分 キャリアブレイン

 最近、米国でトリクロサンなど19種類の殺菌作用を有する成分が含まれる薬用せっけんの販売が禁止されることになったことを受け、日本でも同成分を含む製品が規制されることになった。厚生労働省は9月30日、米国で禁止されることになった19成分が含まれる薬用せっけんについて、これらを製造・販売する企業に対して1年以内に代替製品への切り替えることを求めると発表した。既に業界団体が会員の企業にこれらの成分を含有しない製品に切り替えるよう要請していたが、国としてもこの取り組みを促すとしている。

約800品目が承認、健康被害の報告なし

 19種類の成分(表)は殺菌作用があるとされ、固形せっけんや液体ハンドソープ、歯磨き粉などに使用されている。しかし、長期間の使用による抗菌薬耐性菌の発生や甲状腺および生殖ホルモンへの悪影響が指摘されていたことを受け、FDAが調査を実施。収集したデータを検証した結果、通常のせっけんによる手洗いと比べて感染症の予防に優れるとの科学的根拠はないことが分かったとして、1年以内に米国内での同成分が含まれる製品の販売は中止するか、同成分が含まれない製品に切り替えることを求める声明を9月2日に発表した。
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 これを受け、薬用せっけんなどを製造販売する企業の業界団体である日本化粧工業連合会と日本石鹸洗剤工業界は、同成分を含有しない製品への切り替えに取り組むよう会員企業に要請していた。厚生労働省は、この取り組みを促すために、製造販売企業に対して流通する製品の把握と、製品を1年以内に代替製品に切り替えるための承認申請を求めるとしている。

 なお、日本国内で承認された同成分を含有する薬用せっけんは、現在流通していない製品も含めて約800品目に上るが、これらの製品に関連した健康被害は報告されていないという。

(「あなたの健康百科」2016年10月5日配信)



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1005/mai_161005_2863196211.html
<滋賀県立大>患者役はスタントマン…看護演習で効果
毎日新聞10月5日(水)13時30分

 ◇転倒やまひ、リアル

 滋賀県立大人間看護学部(滋賀県彦根市)で、スタントマンを使った医療事故演習が効果を上げている。患者の体を支える作業を、時には実際に転倒させながら、できるだけリアルに体験させるのが狙い。きっかけは、交通安全教室のニュースで見た「はねられ役」スタントマンの演技だった。手心を加えないリアルな演習に学生たちから「こんなに人の体が重いとは思わなかった」との声が上がっている。注意力の向上が確認されており、同大は手応えを感じている。

 事故寸前の「ヒヤリハット」事案は、患者を移動させる時に最も多いことが知られている。ところが、従来の演習では学生が患者役となるため、体重が軽かったり、転倒を恐れて遠慮がちになったりと、実践的な体験ができないことが課題になっていた。実践的な方法を探していた約2年前、米田照美助教(基礎看護学)が、スタントマンを使って交通事故を再現するニュースをテレビで見た。「この人たちなら転倒しても大丈夫。演習に活用できるかもしれない」とひらめいた。アクション系芸能事務所「倉田プロモーション」(東京都)に相談し、昨年度から“出演”してもらっている。

 今年5月の演習は、4年生64人が受講。患者役のスタントマンがベッドから激しく転落する「演技」を披露すると、学生らは「ワーッ」と驚きの声を上げた。右半身まひのある患者をベッドから車いすに移動させる演習に全員で取り組むと、あまりの重さに悪戦苦闘。成功したのは1割ほどだった。

 金子萌さん(22)は、なんとか持ち上げたものの、そのまま動かせなくなり、バランスを崩して患者役の上にかぶさる形で派手に転倒した。「スタントマンさんに『大丈夫か?』と言われてしまいました。あまりに重くて……。練習が大切だと実感しました」と振り返った。

 演習の効果は徐々に出ている。脱げたスリッパなどの障害物、床の水、車いすのストッパーなど、注意が必要な8点のうち何点に気づいたかを演習前後に自己評価させたところ、約4点から約6点に上昇した。危険の予測、認知、対応力が高まっているという。米田助教は「臨床に少しでも近い状況で演習させることで怖い感覚を体験させ、慎重さを身につけさせたい」と話している。【福田隆】



https://www.m3.com/news/iryoishin/465053
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
財政審、薬価の期中改定や高齢者の負担増を求める
「スモールリスクは自助努力の余地を拡大」

2016年10月5日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 財務省の財政制度等審議会財政制度分科会は10月4日、2017年度予算編成への建議に盛り込む社会保障分野の「改革の方向性」を大筋で合意した。医療分野では高額薬剤の速やかな薬価改定やかかりつけ医以外を受診した場合の定額負担、「高額療養費制度」の高齢者優遇措置の見直しなどを求めた(資料は、財務省のホームページ)。改革項目の多くは、中央社会保険医療協議会や社会保障審議会で既に議論が始まっている内容だ。

 政府は社会保障費の自然増分を2016年度からの3年間で1兆5000億円(年5000億円)程度に抑える方針で、2017年度予算でも、厚生労働省の概算要求での6400億円から1400億円の削減を目指している。分科会後に会見した審議会長の吉川洋氏(立正大学経済学部教授)は「ビックリスクは共助で支える、スモールリスクはある程度以上の経済力を持つ人の自助努力の余地を広げるべきというのが財政審の基本的な考え方」と説明。スモールリスクの例示として風邪や軽度者向けの介護サービスを挙げた。

 中医協で議論が進む高額薬剤の薬価の見直し については、改革案の中で「2016年4月の薬価改定に対応が間に合わなかった高額薬剤について速やかに適正水準まで薬価改定を行うとともに、適正な使用に係るガイドラインの遵守を保険償還の条件とすべき」と要望した(『『オプジーボ、「緊急的な対応」で薬価引き下げか』などを参照)。日本医師会は、期中改定では診療報酬本体(技術料)へ財源の付け替えができないとして反対の姿勢を示している(『「医科技術料の割合、減少傾向」日医が医療費分析』を参照)。財務省高官は「『改定』という表現を使うかどうかは別だが、遅くても2017年4月に引き下げをしない理由がない」と話している。

 かかりつけ医の普及については、「かかりつけ医の普及や外来の機能分化は十分に進展していない。諸外国と比較して、我が国の外来受診頻度は高く、多くは少額受診。限られた医療資源の中で医療保険制度を維持していく観点からも、比較的軽微な受診について一定の追加負担は必要なのではないか」と提案した。

「かかりつけ医のイメージ」は下記のように記載。
◆他の医療機関を含めた受診状況等の把握、必要に応じた専門医療機関の紹介・連携、継続的かつ全人的な医療の提供(1)など、一定の要件を満たす診療所等(2)について、患者が「かかりつけ医」として指定(保険者に登録)。

 (1)については、総合診療医の養成・定着が進むまでの経過措置として、耳鼻科や眼科など特定の診療科については、あらかじめ「かかりつけ医」と相談の上、指定する他の医療機関での診療を可能とする(定額負担も免除)。 (2)では、特定疾病の有無・年齢要件は問わず、24時間対応等も求めないなど、診療報酬で評価される地域包括診療料等とは異なり、「かかりつけ医の要件は緩やかに設定」と提案している。

 かかりつけ以外を受診した場合の定額負担に金額についても、他の診療所を受診した場合は低額、病院はより高額で、規模に応じて金額を増やすことを求めている。

 「生活習慣病治療薬等の処方のあり方」では、「基本的には個々の患者ごとに医師が判断すべきものであるが、例えば、高血圧薬については、我が国では高価なARB系が多く処方されている」という一文を書き添えた上で、高血圧薬の価格表を提示。「生活習慣病治療薬等について処方ルールを設定すべき」と求めた。

 吉川氏は委員からの意見として「かかりつけ医制度の定着には質の向上が望まれ、そのためには健全な競争が必要。自由に選択する権利を担保する必要がある」「かかりつけ医を持たない場合はフランスのように自己負担割合を3割から4割に増やすなどの方法も考えられる」「国民全体で健康を保つためには、スポーツ医学も有効である。オリンピック選手 は、ドーピングの関係もあり薬を使わず健康を維持している。スポーツ医学の医師は3万人ぐらいいるので、こうした方にも地域医療に貢献していただくのがいいのでは」などと紹介した。

2017年度予算編成への建議に盛り込む医療分野の主な改革の方向性(案)
■ かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入
「かかりつけ医」を普及させつつ、外来の機能分化を進めていくため、一定の要件を満たす「かかりつけ医」以外を受診した場合の受診時定額負担(診療所は低額とし、病院は規模に応じてより高額を設定)を導入すべき。

■ 高額薬剤の薬価等のあり方(当面の対応)
4月の薬価改定に対応が間に合わなかった高額薬剤について速やかに適正水準まで薬価改定を行うとともに、適正な使用に係るガイドラインの遵守を保険償還の条件とすべき。

■ 高額薬剤の薬価等のあり方(費用対効果評価の導入等)
高額薬剤の創出や大幅な適応拡大など昨今の状況に対応するため、(1) 保険償還の対象とすることの可否の判断、保険償還額の決定及び薬価改定に際して、費用対効果評価を本格的に導入するとともに、(2)適応拡大等による大幅な医療費増加に適切に対応できるよう、薬価制度の見直しを速やかに検討すべき。

■ 生活習慣病治療薬等の処方のあり方
薬剤の適正使用の推進の観点から、生活習慣病治療薬等について処方ルールを設定すべき。

■ スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率のあり方
例えば第2類・第3類となっているものなど、長らく市販品として定着しているOTC医薬品に類似する医療用医薬品は、(1)保険給付の対象から外すこととするか、(2)保険給付として残すのであれば、OTC医薬品を購入した場合との負担のバランスの観点から、一定の追加的な自己負担を求めることとすべき。あわせて、医療用医薬品のうち安全性など一定の要件を満たすものは自動的に市販品として販売可能となるよう、スイッチOTC化のルールを明確化すべき。

■ 入院時の光熱水費相当額に係る負担の見直し
入院時生活療養費について、在宅療養等との公平性を確保する観点から、難病患者・小児慢性特定疾患患者等を除く全ての病床について、居住費(光熱水費相当)の負担を求めていくべき。

■ 高額療養費の見直し (負担限度額)
高齢者の高額療養費について、速やかに、外来特例を廃止するとともに、自己負担上限について、所得区分に応じて、現役と同水準とすべき。

■ 高額療養費の見直し (所得基準)
「現役並み所得」の判定方法について、現役世代との公平性の観点から、収入の多寡を適切に反映する仕組みとなるよう、速やかに見直すべき。

■ 後期高齢者の保険料軽減特例の見直し(低所得者)
制度本来の趣旨を踏まえ、均等割の軽減特例については、速やかに本則の水準に戻すべき。また、所得割の軽減特例については、速やかに廃止すべき。

■ 後期高齢者の保険料軽減特例の見直し(元被扶養者)
後期高齢者の保険料軽減特例(元被扶養者)については、負担の公平性を著しく損ねていることから、速やかに廃止すべき。

■ 金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みの医療保険への適用拡大
まずは、現行制度の下での取組として、入院時生活療養費等の負担能力の判定に際しても、補足給付と同様の仕組みを適用すべき。さらに、医療保険・介護保険における負担の在り方全般について、マイナンバーを活用して、所得のみならず、金融資産の保有状況も勘案して負担能力を判定するための具体的な制度設計について検討を進めていくべき。



https://www.m3.com/news/general/465131
広がる薬剤師の代行回答 - プロトコルで疑義照会対応
2016年10月5日 (水) 薬事日報

医師と協働、負担軽減に

 病院内の医師と事前に協議して作成したプロトコルに基づき、院外の保険薬局からの疑義照会について、薬剤部が医師に代わって回答する運用が広がってきている。処方日数の変更や規格変更、成分名が同一の銘柄変更など概ね共通する疑義内容について、薬剤部が医師に代わって保険薬局に直接回答することで、医師の負担軽減や薬剤師業務の効率化につながったとの報告が増えてきた。一部の疑義照会項目の薬剤師による代行回答をめぐっては賛否あるものの、プロトコルに基づく運用は大学病院から地域の基幹病院まで確実に広がってきており、今後も医師の負担軽減、薬剤師の業務効率化に向けたPBPMの取り組みに弾みがつきそうだ。

 東邦大学医療センター大森病院では、2010年から一包化の依頼について医師への疑義照会を不要としてきたが、昨年10月からは、成分名が同一の銘柄変更、貼付剤・軟膏の包装・規格変更など7項目の疑義照会に関して、薬剤師が代行回答する取り組みを開始している。

 昨年10月から今年3月までの疑義照会5440件、16年度改定のあった4月の疑義照会1033件を対象に、薬剤師による代行回答の評価を行った結果、薬剤師が判断して代行回答した疑義は1221件(18.9%)と約2割だった。内訳を見ると、一包化の依頼が555件(45.5%)と半数近くを占め、次いで別規格製剤がある場合の調整規格の変更が226件(18.5%)となっている。

 同院では、16年度改定の影響により、残薬確認に伴う疑義が増えていたが、患者の服薬アドヒアランスを医師が確認する必要性から、薬剤師の判断で代行回答を行っていない。ただ、医師の負担軽減のため、さらに対象項目の拡大を検討していく必要性があるとしている。

 国立病院機構宇都宮病院でも、昨年3月から院外の保険薬局からの疑義照会について共通プロトコルを作成し、処方日数、規格変更、残薬、一包化、外用薬の混合など6項目は、薬剤師が代行回答する運用を開始している。今年1月から3月までに問い合わせのあった疑義照会307件のうち114件(37.1%)と約4割近くを薬剤部が回答しており、疑義内容の内訳は処方日数が最も多く、次いで残薬調整、規格変更だった。共通プロトコルを導入することで、医師への疑義照会件数は1カ月で約58件減少しており、医師の負担軽減と共に、薬剤師業務の効率化につながっている成果が見られている。

 長野県立須坂病院では、今年6月から院内で承認されたプロトコルに基づき、院外の保険薬局から問い合わせのあった疑義照会のうち、一包化、粉砕などの典型的な項目については、薬剤師が代行回答する運用を開始。既に昨年12月から、保険薬局向けに患者の服薬状況などを薬剤科にFAXで情報提供するトレーシングレポートの活用を始めていたが、さらに一部の疑義照会項目について、保険薬局からの問い合わせを薬剤部で代行回答する取り組みを開始している。

 これにより、疑義照会時間が有意に短縮される効果が見られており、今後は問い合わせの多い残薬調整における処方日数調整のプロトコル作成に取り組んでいく予定という。

 総合相模更正病院は、昨年10月からプロトコルに基づき、院外薬局からの疑義照会について薬剤部で一部の項目を代行回答する運用を開始している。プロトコルの有効性を今年6月までに応需した保険薬局からの疑義照会によって検証した結果、今年6月までの疑義照会2427件のうち、薬剤部で代行回答したのは1370件と全体の56%に上っていた。

 さらに、東京医科歯科大学医学部附属病院でも、院外の保険薬局からの疑義照会に対応するためのプロトコル作成を試みており、規格・剤形の変更、一包化、処方箋の期限延長などの内容は、保険薬局から問い合わせがあった場合、薬剤部で代行回答を可能と結論づけた。調査期間となった今年3月から5月までの3カ月間において、薬剤師の判断で回答した疑義照会の割合は45%となり、今後、同院では作成したプロトコル案の実施を薬剤部から提案する予定という。



https://www.m3.com/news/general/465130
薬剤漏出、副作用が半数以上 - 抗癌剤の医療事故で報告書 日本医療機能評価機構
2016年10月5日 (水) 薬事日報

 日本医療機能評価機構は、抗癌剤に関連した医療事故を調査した報告書をまとめた。過去6年間の医療事故計250件のうち、「薬剤の血管外漏出・血管炎」や「投与中の状態の悪化(副作用等)」の事例報告が半数以上を占めた。また、ヒヤリハット事例は374件で、「薬剤の血管外漏出・血管炎」や「支持療法の間違い」が多いことが分かった。

 同機構は、抗癌剤が取り扱いに注意が必要なことや患者への影響が大きいことなどから、関連した医療事故が多く報告されているとし、医療事故については2010年1月~16年6月まで、ヒヤリハット事例については1~6月までの事例を対象に発生状況などを調査した。

 過去6年間の医療事故は250件で、そのうち「薬剤の血管外漏出・血管炎」が73件と最も多く、次いで「投与中の状態の悪化(副作用等)」が53件、「薬剤量の間違い(過剰)」が37件だった。発生時で見ると、「実施に伴う確認・観察」が135件、「処方」が48件、「実施」が33件の順となった。

 また、投与する抗癌剤の種類や量・期間・手順などを時系列で示した計画であるレジメンに関する事例は5件で、「薬剤量の間違い(過剰)」が3件、「投与日・日数の間違い」が2件だった。

 ヒヤリハット事例は374件で、そのうち「薬剤の血管外漏出・血管炎」が78件と最も多く、「支持療法の間違い」の50件、「無投与」の37件が続いた。発生時では、「実施」が155件で最も多く、「実施に伴う確認・観察」が104件、「処方」が35件だった。

 レジメンに関する事例は、電子カルテへの登録が投与当日にも完了しておらず、投与開始が遅れたという「その他」が1件だった。

 同機構では、抗癌剤に関する事例を継続的に収集し、医療安全情報などで注意喚起を行ってきた。今後も2回の報告書にわたって事故の背景などの分析を進めていく。



http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49873
ついに40兆円を突破!医療費増大というニッポンの大問題
8年連続過去最高を更新…

磯山 友幸 経済ジャーナリスト
2016.10.05  現代ビジネス-

企業の懐も直撃

医療費の増加が止まらない。厚生労働省の9月28日の発表によると、2014年度に国民が医療機関で治療を受けるのにかかった「国民医療費」の総額は40兆8071億円と前年度に比べて7461億円、率にして1.9%増えて、8年連続で過去最高となった。

医療費は健康保険などの保険料で48.7%、患者などの負担で12.5%が支払われているが、全体の33.8%に当たる15兆8500億円は国と地方の「公費」で賄われている。しかも公費負担は2014年度で国と地方を合わせて7461億円も増加しており、財政を圧迫する大きな要因になっている。

厚労省は「医療費適正化計画」などを打ち出し、医療費の抑制に努めているが、2015年度も概算をベースにした試算では42兆円を超える見通しで、医療費増加に歯止めがかかる気配はない。

医療費の増加が続いている背景には高齢化の進展がある。65歳未満の人が使った医療費は1人当たり17万9600円だったのに対し、70歳以上では1人当たり81万6800円と4.5倍もの開きがある。さらに70歳以上は1人当たりの金額は前年度に比べて0.1%の増加にとどまっているものの、人数の増加によって70歳以上の人が使った国民医療費の総額は2.9%も増加した。

薬局調剤医療費も65歳未満の総額は0.6%の増加にとどまったにもかかわらず、70歳以上では3.4%と大幅な増加になっている。これも1人あたりの増加よりも対象年齢層の増加の影響が大きい。今後も高齢者人口の増加は続く見通しで、医療費圧縮のメドが立たない大きな要因になっている。

医療費の増加は、公費負担として国や地方の財政にだけ影響を与えているわけではない。個人や企業の懐も直撃している。

医療費の財源のうち半分近い48.7%は医療保険や健康保険の負担だ。企業などが持つ健康保険組合の財政が悪化すれば、その穴埋めは企業(事業主)や社員である保険契約者(被保険者)が行うことになる。企業が供出金を増やしたり、保険契約者の保険料が引き上げられることになる。

そうでなくても足下の消費は低迷しているが、保険料負担が増えれば家計の可処分所得は圧迫される。医療費増加のツケは国だけでなく企業や家計にも及んでいる。

厚労省の資料によると、2014年度の国民所得(364兆円)に占める国民医療費の割合は11.20%。25年前の1989年度には6.15%だったので、5%ポイントも負担が増えたことになる。1998年度から2007年度は8%台で推移したが、2009年度には10%台に乗せ、2011年度以降は11%台が定着している。しかも毎年比率は上昇しているのだ。

年間3500万円の薬が月額8000円?

厚労省は高齢者の入院期間を短縮させることなどで、高齢者医療費の圧縮を進めてきた。1人当たり医療費の抑制にはつながったものの、それでも医療の高度化に伴って医療費単価は上昇。高齢者の1人当たり医療費をマイナスにすることには成功していない。

最近、注目されているのが地域ごとの1人当たり医療費に大きな格差があること。最も高いのが高知県で42万1700円、次いで長崎県がが39万6600円、鹿児島県が39万600円だ。一方で、最も低いのは埼玉県の27万8100円で、これに千葉県の27万9700円、神奈川県の28万5700円と続く。

この格差を縮めることによって全体の医療費を引き下げようという動きもあるが、もちろん、高齢者の比率が高い県ほど1人当たり医療費が高くなるわけで、そう簡単ではない。

最近では、高額な薬剤の使用増による医療費高騰も問題になっている。厚労省が9月中旬にまとめた2015年度の概算医療費では、調剤費が9.4%の伸びと、大きく増えた。その要因を厚労省は高額の薬剤を使用するケースが増えたためと分析している。

10月4日に開いた財政制度等審議会の分科会では、この高額薬剤問題が議論になった。中でも焦点になったのは、肺がんなどの治療に使われる「オプジーボ」という薬で、薬価を決めた段階での想定患者数を大幅に上回る利用があったことから調剤費の増加に結び付いたとされる。

オプジーボは、体重60キロの人で年間3500万円かかるとされる薬剤だが、自己負担に上限がある今の制度では70歳以上の低所得世帯ならば月額8000円で済む。その差額は保険料や公費負担で賄うことになるため、財政審で緊急に協議されることになったわけだ。

通常は薬価改定は2年に1度で、次回は2018年の春の予定だが、財務省は臨時で薬価の価格引き下げを求める方針という。他にも高額の薬剤があり、厚労省内には薬価基準の見直しを2年に1度から毎年にすべきだといった意見があるものの、医薬品業界の反対は根強く、簡単には解決しそうにない。

厚労省が始めた「かかりつけ薬局」制度の定着などで、処方されても飲まずに無駄になっている薬剤や、重複処方の昨年に取り組む。

服薬指導を徹底し、病気の重症化を防ぐことで、結果的に医療費の高額化を抑えるなどの取り組みも始まっているが、成果が出るには時間がかかりそうで、医療費の劇的な削減にはつながりそうにない。高齢化がさらに進む中で、増え続ける医療費の圧縮は一段と大きな課題になっている。



http://medg.jp/mt/?p=7045
Vol.220 「20世紀初頭におけるアメリカ医学教育発展の歴史」
医療ガバナンス学会 (2016年10月5日 06:00)
三浦 基

2016年10月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 自分は、進路についての選択を強いられた時に、アメリカの医学部の、四年間教養科目を学び、それから大学院教育として医学を学ぶ、教育システムを知り、興味を持った。そこで、なぜこのような仕組みなったか経緯を調べてみたくなった。
 拙文、ハフィントンポスト「医学の歴史」から引用すれば、(http://www.huffingtonpost.jp/motoi-miura/america_history_b_11422252.html)アメリカは、植民当初、医学校など皆無で、時間を重ねるごとに、キリスト教の聖職者などを中心にして医学校の創設が始まり、合わせて病院も建設された。また、南北戦争は医療技術の発展に拍車をかけるターニングポイントとなった。
 そして、20世紀の初頭に、「フレクスナーレポート」という、アブラハム・フレクスナーが行なった、全国的な医学部の教育の質に関する調査によって、教育水準が上がったという報告が存在する。それに対して、フレクスナーレポートは別の意図があったのではないかという主張も存在する。以下で後者の主張を具体的に考察する。
 フレクスナーレポート発行以前の初期の頃は、患者の希望に合わせて患者が最適な治療を選択していた。この状況は、鈴木七美著「出産の歴史人類学」の中で垣間見ることができる。同書によれば、フレクスナーレポート発行以前は、出産の際には、産科の医師を呼ぶか、助産師に立ち会ってもらうかが選択できたそうだ。

 しかし、次第に、医師のライセンス制への移行の機運や、医師会を通じて医療行為に対する価格が決定されるべきであるという機運が高まった。
 ところで、かの有名なロックフェラー財閥傘下のスタンダードオイルは、19世紀の後半から石油市場におけるその独占的地位に陰りが見え始めていた。というのは、その頃、再三再四、あらゆる市場において市場独占が問題視され、独占的機構を抑制する方向に持っていかれたのである。例えば、1890年のトラストを規制するシェーン法の制定がその最たる例である。
 この状況下で、スタンダードオイルも他の企業のように、1910年に連邦最高裁の判決によって、33の独立した企業に解体された。
そこで、ロックフェラー財団は医療の世界へ目を向けるのである。ロックフェラー財団は、一部の医学校が多額の授業料から得られる利益ばかりに目が行き、教育水準が低いという状況に目を付けた。そして、医学部の水準を上げるという名目で、カーネギー財団がフレクスナーに命じて国内の医学校の教育水準を示すフレクスナーレポートを発行した。

 また、カーネギー財団の理事長であるフレデリック=ゲイツと、ロックフェラー医学研究所の所長であるフレクスナーは兄弟であった。
 フレクスナーレポ―トの簡単な中身は以下である。医師は高度な大学院教育によってのみ養成されるべきで、科学に基づいて、石油に含まれる成分を分離させて取り出して製造した薬を用いて治療をする医学を教える学校のみ医科大学として認定するというものだった。また、同レポートは、石油から作られるコールタールによる治療も推奨した。しかし、このコールタールは発がん性の物質を含む大変危険なものであった。
 そして、フレクスナーレポート発行以後、基準を満たさない学校は廃校に追いやられた。1910年に155校あった医学校は、1920年には85校に減った。廃校に追いやられた学校のほとんどが、薬の投与によって病気を治すのではなく、カウンセリングなどによって治す代替治療を行う学校だった。

 以下で、フレクスナーレポートが各分野に対して与えた影響を述べたいと思う。一般財団法人日本ホメオパシー財団日本ホメオパシー医学協会の平成22年8月5日のホメオパシー新聞によれば、まず、科学的な薬による治療のみが医療であると認定されたことで、1900年に22校あったホメオパシーを教える医学校は1923年には2校に減少した。また、100以上あったホメオパシーを施す病院は同レポートを機に消滅した。加えて、1000を超す、ホメオパシー用の薬を販売する薬局も同様に衰退の一途をたどった。
 これらの事実は、科学的治療を施す医師達、つまりAMAが完全にアメリカ国内の医学を牛耳ったことを間接的に表す。
 また、前述の鈴木七美氏の著書によれば、産科における状況も変わる。AMAのキャンペーンによって、民間の助産師が一掃されて、妊婦は高額な費用を支払って産科医の立ち合いの下で出産を行う以外に選択肢がなくなり、患者が自由に治療を選択できなくなった。
 ロックフェラー財閥はどうであろうか。アメリカの経済誌Barron’sの1922年10月16日付の物に、1911年に解体されたスタンダードトラストの、解体後の系列会社4社(Standard oil of New Jersey, Standard Oil of New York, Standard Oil of Indiana, Standard Oil of California)の配当に回すことが可能な純利益が掲載してある。

 以下で、1913年から1918年までの各年の4社の純利益の合計を示す。1913年以下で、1913年から1918年までの各年の4社の純利益の合計を示す。1913年は、95978509ドル、1914年は、55842815ドル、1915年は、101964228ドル、1916年は149078134ドル、1917年は、156875179ドル、1918年は、124777997ドルである。多少の上下はあるものの、総じて純利益は上昇している。
 更に、ロックフェラー財団は、いわば自分たちの息がかかった研究機関が開発した製薬のプロモーションも行っていた。Walter Sneader著「Drug Discovery; A History」によれば、トリパルサミドという薬はロックフェラー財団が特許を有していたが、無償で製薬メーカーに製造できる権利を与えていたそうだ。

 また、崎谷博征著「医療ビジネスの闇」によると、後述の鎮痛剤、アスピリンはロックフェラー一族のメディアコントロールによって使用が促進されたそうである。ここで、注意したいのが石油の主要な成分は、ベンゼン、トルエン、キシレンの三つで、このうちのベンゼンからフェノールが合成され、フェノールからアスピリンの成分である、アセチルサリチル酸が合成されることである。
 もちろん、ロックフェラー一族のやり方に反対する者もいた。例えば、1910年にロックフェラー財団が連邦政府に対して、設立許可の申請を申し出た時のことである。
 連邦議会は、ロックフェラー財団はスタンダードオイルが富を保全する仕組みであるという忠告を当時の大統領であるタフトに行っている。結局、ロックフェラー財団は連邦政府に許可されることなく、その後ニューヨーク州議会で許可された。
 加えて、科学的な医学は対症療法を採用しており、製薬の投与によって即刻、症状が治まった。

 19世紀中期からの景気の拡大で、貧富の格差は拡大し、資本家たちは利潤を追い求めた。そして、その資本家にとっても、科学的療法は都合が良かった。
 余談だが、資本家が利益を求める反動から、しばしば資本家と労働者は対立した。例えば、ロックフェラー一族が所有するコロラド燃料株式会社では、格差に対する不満から9000人以上の労働者がストライキを起こした。それに対して、ロックフェラー一族は鎮圧部隊を送り込み、労働者やその家族30人以上を虐殺した。

 話をもとに戻すと、資本家達は利潤の追求をする中で、労働力の質の維持が重要になり、そのためには科学的な医学の存在を不可欠であるとみなしていた。結果、資本家たちは、フレクスナーレポートからの一連の騒動に賛成した。
また、前述の症状を即刻治める薬の代表格は、前述のアスピリンであった。同薬は、1897年にドイツのバイエル社の研究員であるホフマンによって開発された史上初の鎮痛剤である。第一次大戦後、商標を自由に使用することが認められて各国こぞって製造、使用した。ちなみに、アメリカでは、アスピリンの消費が増加した1920~1930年を「アスピリンエイジ」と呼んだ。
 以上で見てきたように、フレクスナーレポートは医学部教育の質の向上の他にも、様々な意図が含まれているということが見て取れた。個人的な意見としては、患者の中心ではなく、資本家や医師会の利益になるよう様々な方針が決定されていることに驚きを感じた。
 この、資本家や医師会が主役の、医学部教育も含めた広義の、「医療に関する活動」が時代を経て、どのように変化するか気になったので是非調べてみたい。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49756.html
新専門医制度、整備指針見直しへ- 研修受け入れ施設、来年春の公表目指す
2016年10月05日 23時00分 キャリアブレイン

 日本専門医機構の吉村博邦理事長は5日、理事会後に記者会見し、新専門医制度の「整備指針」の見直しに着手することを明らかにした。作業部会で来月中旬までに見直し案をまとめる。会見で山下英俊副理事長は、専門医を目指す医師を2018年度から受け入れる研修施設を来年春までに決め、公表したいとの考えを示した。【佐藤貴彦】

 整備指針は、新制度で専門医を養成する研修施設の基準などを示すもの。従来の制度では、学会がそれぞれ基準を設けて専門医を養成してきたが、新制度では同機構が第三者機関として統一の基準を示すことで、専門医の質の担保を図る。

 同機構は当初、来年度から統一の基準で養成をスタートさせる予定だったが、基準が厳し過ぎ、研修施設が都市部の大病院などに偏るといった懸念が医療界から示されたため、新制度の再設計を進めている。

 同日の理事会では、基準に基づいた研修施設の募集と一次審査を各学会に任せ、機構は二次審査を担当するといった制度の枠組みが了承された。会見で山下副理事長は、18年度から新制度をスタートさせるためには、年内に大まかな基準を定め、来年の早い時期に、各学会が研修施設を募集できるようにする必要があると指摘。「(来年の)春くらいまでに(研修施設を)準備できれば」と述べた。

 同機構が18年度からの養成開始を目指しているのは、内科や外科など19の基本的な診療領域の専門医。このうち総合診療領域については、委員会を立ち上げて、専門医の在り方などを検討することになっている。会見で吉村理事長は、同日の理事会で、委員の人選の案が了承されたことを明らかにし、検討作業を急ピッチで進める方針を示した。

 同機構はこの日、「専門医研修プログラムと地域医療にかかわる新たな検討委員会」の会合も開き、来年度からの専門医研修に新しい研修プログラムを導入する診療領域の関係学会からヒアリングを行った。

 新プログラムを導入するのは整形外科など6つの領域。吉村理事長は会見で、各領域の関係学会が、新プログラムの導入に合わせて、医師偏在といった地域医療への悪影響を防ぐ施策を十分に講じていることが確認できたと説明。今後、各領域の従来の研修施設と、来年度から研修を行う施設のリストをまとめ、各都道府県に情報提供するという。



https://www.m3.com/news/general/465135
エチゾラムとゾピクロンは30日を上限
2016年10月5日 (水) 薬局新聞

エチゾラムとゾピクロンは30日を上限 中医協 医療側等のニーズを踏まえ

 中央社会保険医療協議会は総会を開催し、新たに向精神薬に指定された内服薬2成分の投薬期間の上限を30日とすることを了承した。

 現在、向精神薬である内服薬については、投薬期間の上限が14日、30日、90日に規定されている。今回審議された「エチゾラム(商品名デパス)」及び「ゾピクロン(商品名アモバン)」の2物質に関して、医療現場での使用実態調査で30日以内の投薬が主流となっているほか、精神医療団体や製薬企業側から「現場に混乱をきたさないためにも上限を30日とすること」などが要望されていた。

 総会ではこれらの要素と治療における円滑な使用状況などを鑑みて、投薬期間の上限を30日とすることを承認した。



https://www.m3.com/news/general/465083?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161005&dcf_doctor=true&mc.l=181816932&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
町立病院職員、二審も有罪 北海道・美瑛の談合事件
2016年10月5日 (水) 共同通信社

 北海道美瑛町立病院での医療機器納入を巡り、官製談合防止法違反の罪に問われた同病院職員の矢野雅人(やの・まさひと)被告(49)=起訴休職中=の控訴審初公判で札幌高裁は4日、懲役1年、執行猶予3年とした一審旭川地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却する即日判決を言い渡した。

 高橋徹(たかはし・とおる)裁判長は、入札参加業者への卸売価格を調整させていた医療機器メーカーの男性社員の供述について「事実との整合性や具体性を備えた自然なもので、信用できる」と認定。「落札させるよう指示していない」とする弁護側の無罪主張を退けた。

 二審判決によると、矢野被告は磁気共鳴画像装置(MRI)の納入業者を決める指名競争入札に先立ち、医療機器メーカー「シーメンス・ジャパン」(東京)の男性社員に入札参加業者への卸売価格を調整させ、2011年4月28日の入札で意中の業者である「エム・イー器械」(北海道旭川市)に9648万円で落札させた。落札額は予定価格を6千円下回っていた。


  1. 2016/10/06(木) 05:41:52|
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