Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月1日 

http://r25.jp/it/00053032/
患者の体に負担をかけない“低侵襲治療”のカギ
医者の教育、内視鏡手術…「VR医療」当たり前に!?

2016.10.01 SAT R25

仮想現実を作り出す技術「VR」が生かされているのはエンタメ業界だけではない。人間の命を扱う医療の現場でも、導入され始めているという。VR技術によって、医療はどのように変化していくのか、日本VR医学会理事長の高橋隆さんに聞いた。

「VR技術は、治療や医師の教育・訓練に役立てることができます。そもそも医療の現場でのVRとは、いわゆる“仮想現実”ではなく、現実にあるものを映し出したり実現したりする技術を呼びます。たとえば、内視鏡手術はこれまで動物実験などでしか経験を積めませんでしたが、CTスキャンなどのデータをもとにVRで人体を立体化するシミュレーターができたことで、実践的な外科訓練ができるようになりました。国内でも広がり始めています」

●VRで治療はどう変わる?

さらにVRは教育だけでなく患者治療の場でも活用され始めているという。アメリカでは、戦争体験によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した患者にVR空間で再び戦争現場を経験させ、克服させる治療が行われている。再体験を重ねるごとに炎の映像や銃声などの刺激を増やすことで、徐々に戦争の状況に耐性をつけ、疾患を乗り越えていくというものだ。日本では、VRを用いた治療は行われていないのだろうか。

「外科治療においては、すでに国内で広がり始めています。ロボット支援手術では、VRの存在が欠かせません。これは、たとえば腹腔鏡下手術において、動作の制限や狭い術野を克服することが可能です。人間の代わりに手術を行うロボットアームを操る医師は、同じ手術室内ではありますが、遠隔で操作することになります。その際に内視鏡カメラが収める術野を、医師の眼前に3D画像で映し出す技術が用いられているのです」

VR技術の発達によって、医療も進化しているというわけだ。高橋さんは「今後の医療の流れのなかでも、VRの存在は重要」と話す。

「現在は“低侵襲治療”、患者さんの体になるべく負担をかけない治療が推奨されています。傷口を小さくし、入院期間を短くできる内視鏡手術はその一環です。口や膣から内視鏡や器具を入れる手術の研究が進んでいますが、医師にとってはますます術野が狭くなるため、体内を立体映像化できる技術がさらに必要になっていきます」

今後は内視鏡手術の最中に立体映像を映し出し、カメラや医療器具が体内のどの位置にいるか、どこを触っているかをより明確に把握できるようになるという。日本VR医学会と和歌山大学の共同研究では、腰痛を緩和するための内視鏡手術に特化したVRシミュレーターを開発中とのこと。医師だけでなく、患者自身も術前に体内の状態や手術法を立体映像で見ることができるため、納得して治療に臨むことができるのだ。

では、完成したら、すぐにでも最新技術は現場で使われるのだろうか。

「日本は薬事法の関係で、新たな技術や機器の申請に時間とお金がかかるという問題があります。開発が進んでも、現場に出るまでには少し時間がかかるでしょう。ただ、手術支援ロボットのように、健康保険が適用されれば一気に普及するという側面もあります。数年後にはVR医療も当然のものになるかもしれません」

医療の進化、患者の安心感につながる「VR医療」。僕らが高齢者になる頃には、想像もできないような発展を遂げていそうだ。

(有竹亮介/verb)



https://www.m3.com/news/iryoishin/463864
造影剤誤投与で有罪の医師、医業停止3カ月、医道審議会
詐欺罪のタレント女性医師は医業停止3年

2016年10月1日 (土) 高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省は9月30日、医道審議会医道分科会の答申を受け、医師、歯科医師合わせて30人(医師15人、歯科医師15人)の行政処分を決定した。国立国際医療研究センター病院での造影剤誤投与による患者死亡で業務上過失致死罪が確定した整形外科医は、医業停止3カ月だった。暴力団組長らによる診療報酬不正受給事件に絡み詐欺罪が確定したタレント女性医師は医業停止3年となった。厚労省からの諮問は計44人で残る14人は「厳重注意」だった。処分の発行は10月14日付。

 国立国際医療研究センター病院の整形外科医が、2014年4月に脊髄造影検査には禁忌の造影剤ウログラフインを誤投与し、78歳の女性が死亡、業務上過失致死罪に問われた刑事裁判は2016年7月に禁錮1年、執行猶予3年が確定した(『造影剤誤投与、「禁錮1年、執行猶予3年」確定』を参照)。行政処分は医業停止3カ月となった。厚労省医政局医事課は「個別の事例については説明できない」と話している。

 免許取消処分は1人で、従業員女性に健康診断名目でわいせつ行為をしたとして準強制わいせつ罪で、懲役2年、執行猶予3年が確定した男性医師。

 医業停止3年の医師は4人で、1人は暴力団組長らが関与した診療報酬不正受給事件で今年7月に詐欺罪で懲役3年、執行猶予4年が確定したタレント活動をしていた女性医師。群馬大学医学部附属病院に勤務していた男性医師は、元交際相手の女性の車を損壊、学内のネットワークを介し女性のメールを不正にアクセスし、不特定多数に性的な文章を送るなどの名誉棄損、女性の親族に対し郵送で「大恥をかかせてあげる」といった文章を送るなどの脅迫行為などをしたとして器物損壊、名誉棄損、脅迫などの罪で懲役3年執行猶予5年が確定している。残る2人はいずれも麻薬及び向精神薬取締法違反などで有罪となった医師。

 医業停止2年の医師は3人で、それぞれ美容医療に絡む医師法違反(懲役1年6カ月執行猶予3年罰金50万円)、救急外来などでの盗撮をしたとする迷惑行為防止条例違反(懲役6カ月執行猶予3年)、国家公務員共済組合病院での収賄(懲役1年6カ月執行猶予3年追徴263万5033円)の罪が確定している。

 医業停止1年の医師は1人で、他人のメールに不正にアクセスしたり、北海道大学病院内の男子トイレにわいせつ画像を差し置いたりするなどして不正アクセス禁止法違反、名誉棄損(懲役2年執行猶予3年)が確定している。

 信用棄損罪で罰金30万円が確定した医師は医業停止3カ月。自らが開発した認知症の改善に有効とする健康補助食品の競合食品の信用を棄損しようとして、自身のブログで「最近、偽物が続出しています。偽物は安全性、有効性が確認されていません」などと掲載し、虚偽の風説を流布させた。信用棄損での処分は初めてという。

 診療報酬の不正請求は医師1人、歯科医師10人で、いずれも医業停止3カ月となっている。

 医師免許の再免許申請が2件あったが、いずれも認められなかった。

【2016年9月30日の行政処分の内容】
人数      : 医師15人、歯科医師15人
処分期間
免許取消    :  医師1人
医業停止3年   : 医師4人、歯科医師1人
医業停止2年   : 医師3人、歯科医師0人
医業停止1年   : 医師1人、歯科医師2人
医業停止9カ月 : 医師1人、歯科医師0人
医業停止4カ月 : 医師0人、歯科医師2人
医業停止3カ月 : 医師4人、歯科医師10人
医業停止1カ月 : 医師1人、歯科医師0人
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
厳重注意    : 医師7人、歯科医師7人



https://www.m3.com/news/general/463874
若いがん患者「支援を」 診療拠点整備など提言 厚労省研究班
2016年10月1日 (土) 毎日新聞社

若いがん患者:「支援を」 診療拠点整備など提言 厚労省研究班

 思春期や若い世代のがん患者の実態調査を進めている厚生労働省の研究班(研究代表者=堀部敬三・名古屋医療センター臨床研究センター長)が30日、厚労省のがん対策推進協議会で、若いがん患者の相談支援や入院環境を整えた拠点の整備など対策の充実を提言した。

 同協議会は2017年度からの国のがん対策推進基本計画を検討しており、提言も参考にする見通し。

 この世代のがん患者は「AYA(アヤ、Adolescent and Young Adult)世代」と呼ばれ、10代半ばから30代が対象とされる。進学や就職、結婚、出産など人生の転機とがん治療が重なり、他世代とは異なる課題を抱える。

 研究班は15~39歳のがん患者や経験者らに実態調査を実施。その中間的な解析結果を踏まえて提言をまとめた。

 調査では、学業の継続や就労を望む声が多かったほか、交通費など治療に伴う支出への負担感も大きいことが分かった。また、AYA世代の患者ががん患者全体の4%程度とわずかで、医療機関一つ一つのAYA世代患者の診療経験が少ないことが理解の薄さや的確な支援の不足につながっている可能性がある。

 このため研究班は、AYA世代の診療数が比較的多い病院を「AYA診療拠点」とし、教育や仕事など幅広く相談できる窓口の設置を求めた。

 また、がん患者や経験者が互いに支え合う「ピアサポート」の取り組みを進めることも提案した。【下桐実雅子】

………………………………………………………………………………………………………

 ◇AYA世代のがん対策への提言

・診療数が多い病院を中心に診療拠点を整備。相談支援窓口や長期的な健康管理などの支援体制を作る
・診療拠点には、院内外の専門家による支援チームを組織し、多様なニーズに対応する
・国はITを活用した情報提供、ピアサポートの取り組みを進める事業をする
・国立がん研究センターがAYAの診療数や治療成績を集計、公表し、対策を検討する
・国は在宅療養での介護負担の軽減策を検討する
・AYA世代のニーズを、医療関係者が十分に認識することが第一歩で、医療者教育が重要



http://mainichi.jp/articles/20161002/k00/00m/020/050000c
がん治療薬
「オプジーボ」価格下げ提案 財務省

毎日新聞2016年10月1日 20時25分(最終更新 10月1日 20時25分)

 財務省が、高額な新しいタイプのがん治療薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の価格を特例的に引き下げるよう厚生労働省に求めることが1日、分かった。オプジーボは患者1人当たり年間約3500万円かかるとされるが、当初の想定より使用患者が急増。薬価引き下げで医療費の伸びを抑える狙いがある。

 4日に開かれる財政制度等審議会で提案する。公的保険の対象となる医薬品は、原則2年に1度価格の見直しを行っており、次回は2018年度。ただ、オプジーボは適用患者が増えており、今年度は1260億円以上の販売が見込まれている。高齢化が進み医療費の国費負担が10兆円を超える中、高額薬の使用者増が財政をさらに圧迫することが懸念されるため、通常の改定を待たずに臨時で引き下げるよう求める。

 政府は、16〜18年度に年金や医療などの伸びを年5000億円程度に抑える方針。財務省は、オプジーボの薬価引き下げを17年度の目標達成につなげたい考えだ。

 一方、厚労省も既に、市場規模の急拡大時などに臨時に薬価を見直す仕組みの導入を検討している。オプジーボも対象にする予定で、年末までに結論を出す見通し。

 オプジーボは免疫の働きを利用した新しい仕組みの治療薬。14年に患者数の少ない一部の皮膚がんで承認された結果、100ミリグラム約73万円という高額な薬価になった。当初見込まれていた使用者は約470人だったが、昨年12月に肺がんに保険対象が拡大したことで、16年度の使用者は1万5000人に急増する見通し。さらに今年9月には腎臓がんにも認められ、使用者は今後も増える可能性がある。【小倉祥徳】



http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201610/CK2016100102000154.html?ref=rank
【神奈川】
横浜市 臨時立ち入りへ 病院中毒死事件 今月中旬までに 管理態勢など確認

2016年10月1日 東京新聞

 横浜市神奈川区の大口病院で入院患者二人が中毒死した事件で、横浜市は三十日、十月中旬までに病院を臨時立ち入り検査する方針を明らかにした。市の対応の問題点を検証する第三者組織は、十一月に設立し一回目の会合を開く予定。 (志村彰太)
 市は七~八月、看護師のエプロンが切られたり、カルテがなくなるなどのトラブルを知らせるメールを三通受け取っていたが、年一回の定期立ち入り検査をした九月二日まで対応しなかった。検査時も事実関係を口頭で確認し、必要なら警察に相談するよう助言するのみだった。カルテの管理状況も調べたが、問題なしと結論づけ、紛失の有無を確認しなかった。
 臨時立ち入り検査は、通常の二倍近い十人ほどの人員で実施する。トラブルがあり、死亡した患者がいた四階の安全管理態勢について、病院職員への聞き取りを中心に調べる。問題があれば改善を指導する。
 第三者組織は弁護士や医療の専門家らで構成し、人数や人選はこれから詰める。情報提供を受けた後の対応、今後の患者や病院職員の安全確保を検証する。問題点と改善策を報告書にまとめるが、大貫義幸・市医療安全部長は「警察の捜査状況もあり、検証は長引くかもしれない」と話す。
 市医療安全課によると、院内トラブルなどの情報提供は年に数十件受け取る。ただ、病院に連絡して事実関係を確認するタイミングに決まりはないという。
 三十日に会見した林文子市長は、最初にメールを受け取った時点ですぐに事情を聴かなかったことを問題点に挙げ、「一つ一つ入っていくと病院への干渉になるとのためらいが職員にあったのだろうが、早く対応すべきだった。市長として責任を感じている」と語った。



http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20161001-OYS1T50004.html?from=ytop_main2
「Dr.コトー」後任決まる
2016年10月01日 読売新聞

 人気漫画「Dr.コトー診療所」のモデルとなった鹿児島県薩摩川内せんだい市・下甑しもこしき島の下甑手打てうち診療所長、瀬戸上健二郎さん(75)の後任に、鹿児島市の医師、内村龍一郎さん(52)が1日付で就任することがわかった。

 診療所は市の運営。瀬戸上さんは、40年近くにわたって島民の命と健康を守り続けてきた。昨秋に今年3月末の任期限りで退任する意向を示していたが、島民からの強い要請を受けて、4月以降も続投していた。

 ただ、退任の意向は変わらず、後任探しをしていた市が鹿児島、熊本両県の過疎地などで複数の医療機関に勤務した経験のある内村さんに打診し、受諾を得た。

 瀬戸上さんは1日付で診療所の相談役となり、当面は内村さんをサポートする。来春には退任する見通しという。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20161001-115999.php
近藤容疑者、業者側の納入機会増やす 磐城共立病院贈収賄事件
2016年10月01日 08時56分  福島民友ニュース

 いわき市立総合磐城共立病院の診療器具などの納入を巡る贈収賄事件で、県警に収賄の疑いで逮捕された同病院心臓血管外科主任部長で医師の近藤俊一容疑者(50)=同市=は入札を経ない随意契約や、贈賄の疑いで逮捕された福島、引地仁容疑者(57)の医療機器販売会社「アイビー」が取り扱う器具を使用する必要性を説明するなどして、同社からの納入機会を増やしていたとみられることが30日、捜査関係者への取材で分かった。関係者によると、近藤容疑者は緊急の手術などに際し、同社の取り扱う機器具を使用する機会があった。近藤容疑者は心臓血管外科が使用する器具の選定について実質的な決定権があったという。

 県警は近藤容疑者の院内での発言や行動を詳しく調べ、複数にわたるとみられる便宜供与の具体的な手口を調べるとともに、引地容疑者による近藤容疑者の私的出費への負担や接待が継続的に行われているとみられることから、近藤容疑者の便宜供与の方法や関連づけを進めている。



https://community.m3.com/v2/app/messages/news/2591356?pageNo=1&portalId=mailmag&mmp=RI160930&mc.l=180992963&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
逮捕医師への釈放求め署名活動始まる
高橋直純(m3.com編集部)
16/09/26

 自身が執刀した女性患者に対してわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪で8月25日に逮捕、9月14日に起訴された東京都内の男性医師(40)が現在も勾留されていることに対して、東京都足立区の柳原病院の同僚医師らが中心になって、早期釈放を求める署名活動を始めた。
 
 署名活動を行っているのは、問題となった手術で逮捕、起訴された男性医師とともに執刀した同病院の常勤医師などで、暫定的に「外科医師を守る会」(名称変更の可能性あり)を結成した。
 
 東京地裁は勾留理由開示公判で「罪証隠滅の疑い」があるとして、男性医師の勾留を認めている。署名用紙では「医師の長期に及ぶ身体拘束は、現場の医療に混乱を及ぼし、医師や医療関係者に不安を与え、医療の委縮につながるばかりか、多くの患者の生命や健康にさえ損害を及ぼす重大事態です。4回にわたる家宅捜索も済み、関係証人の取り調べも終わり、全ての証拠が集められ、証拠隠しや口裏合わせの余地はありません」と訴えている。
 
 起訴前に提出した 嘆願書で約1000筆の署名が集まっていることもあり、目標を5000筆とし、東京地裁に定期的に釈放請求とともに提出する。呼びかけ人として名前と肩書を出すことができる人も求めている。医師や医療従事者に限らず、広く募集している。署名用紙などについての問い合わせは柳原病院事務(03−3882−1928)。
 
 また「外科医師の早期釈放を求めます」 というネット署名活動も行っている。



http://mainichi.jp/articles/20161002/ddm/016/040/014000c
ドクター元ちゃん・がんになる
信頼関係高める場を=金沢赤十字病院副院長・西村元一

毎日新聞2016年10月2日 東京朝刊

医師と患者・家族の関係
 医師と患者・家族のコミュニケーションについて、今回も考えてみたいと思います。

 昔は病状や治療内容について記した説明用紙は手書きで、後から読み返すと何が書いてあるか分からないようなものがまかり通っていました。今は、あらかじめきちんと細かく内容が書かれたものが用意されており、その一部に「( )」が入っていて、患者の状態に応じてカッコの中を埋めて使う形になっています。

 一見すると、今のやり方が良いように思われ、それに疑問を感じない医師もいます。しかし、よく考えてみると、人間は機械ではなく一人一人に個性があり、一人として「すべて一緒」という人はいないはずです。それを同じような文章で説明するとなると、「個人」という存在を無視してしまっているようなことになります。

 例えば手術の承諾書で「手術における合併症でこういう可能性は〓%、この可能性は△%、そして死亡率は0・001%……」など全ての起きうる可能性を書く必要がありますが、本当にそれを見た患者の人たちは安心して手術を受けられるのでしょうか。「書いてあるからいい」「書いていないから悪い」ではなく、患者のことを考えて書いているかが重要だと思います。「そうであれば、患者一人一人に応じて説明用紙を作成すればいいのではないか」ということになりますが、実際は時間的にも労力的にも難しいと考えられます。では、どうすればいいのでしょうか。

 昔は医師と患者・家族の信頼関係が、もう少し深かったからこそ手書きの説明用紙でも良かったのだと思います。恐らく信頼関係が基礎にあり、患者の皆さんから自然と「おまかせします」という言葉が出ていたのでしょう。医師と患者とのコミュニケーションが完全だったかどうかは分かりませんが、今よりは両者が信頼関係で結ばれていたのではないかと思います。

 今は、「訴訟」ということが出てきたためか、両者の関係が非常にピリピリとした雰囲気になりがちです。何かがあった時に備えて、医療者側も防御態勢に入り、書類がどんどんと増えています。私も患者になって多くの書類を渡されましたが、かえって医療者と患者を遠ざけているような気にさえさせられました。

 また「医療はサービス業なのだから、患者を〇〇様と呼ぶのが当然である」という風潮が広がり、医師と患者・家族との間に一層高い壁ができ、信頼関係が薄れていっているように感じられます。

 前回紹介した、妻の病気の説明を受けたものの「医師の話は専門的な言葉ばかりで内容がよく分かりません。医師は忙しそうだし、そんなところで質問をするなんて絶対に無理です」と私の講演会で話した男性に、私は「患者や家族の皆さんが、分からないことは分からないと医師にきちんと伝えないと何も変わりませんよ」と答えました。

 もっと医師と患者がお互いの立場や気持ちを知ることができる機会や場所が必要なのではないでしょうか。

 ■人物略歴
にしむら・げんいち
 1958年金沢市生まれ。83年金沢大医学部卒。金沢大病院などを経て、2008年金沢赤十字病院第一外科部長、09年から現職を兼務。13年から、がん患者や医療者が集うグループ「がんとむきあう会」代表。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161001-OYTET50000/
ニュース・解説
患者と医療者の交流拠点作りに奔走するがん闘病の医師

2016年10月1日 読売新聞

  西村元一さん(58)

 副院長を務める金沢赤十字病院(金沢市)で抗がん剤治療を受けながら、「ムカムカするね」「じんわり発汗しとる」。看護師や薬剤師に副作用や吐き気止めの効果を実況中継する。

「患者と医療者のずれを減らすのが使命」

 「初体験の治療に楽しみを見いだすしかない。医師の自分が患者になって初めてわかった実感を伝え、患者と医療者のずれを減らすのが使命」

 消化器外科医として勤務中の昨年3月、肝臓に転移した胃がんが見つかり、「治療しなければ余命半年」と宣告された。新聞や雑誌で体験を発信し、誕生日の9月29日、初の著書を出版した。

 「通院しながら生活に不安を抱える患者は多い。患者と白衣を脱いだ医療者が同じ生活者として語り合い癒やされる場が必要」と、患者になる前から考えてきた。月3回、看護師の妻ら医療者仲間と市内の町家を借りて患者交流会を開く。常設の交流拠点を作るために全国で講演して寄付を募り、今月には完成する予定だ。

 「がんに限らずどんな患者も最後まで住み慣れた町で生きがいを持ち続けたいはず。そのための道筋を作るのが今の生きがいです」(ヨミドクター編集長 岩永直子)



http://mainichi.jp/articles/20161002/ddm/016/040/013000c
達医
症状の説明は具体的に 岩田誠・東京女子医大名誉教授(神経内科)

毎日新聞2016年10月2日 東京朝刊

 体の不調で代表的なのがめまいやしびれ、頭痛だ。特に高齢になると、恒常的にこれらの症状を感じている人も少なくない。岩田誠・東京女子医大名誉教授(神経内科)は「患者が訴える『めまい』『しびれ』『頭痛』は百人百様。医師も訴えを自分なりに解釈してしまうため、間違って伝わることも多い」と指摘する。知っているようで、意外と知らない、これらの症状の要点について聞いた。【聞き手・高野聡】

めまい 回るのは自分か周囲か
頭痛  遺伝や薬原因さまざま
しびれ 状態から発生源を分析

めまいの主な自覚症状と考えられる原因
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 目が回る症状を指す、と誰もが理解しているめまい。しかし回っているのが「自分」か「周囲」かでも考えられる原因は違う。

 「自分が回っているめまいはてんかんや片頭痛の前兆。一方、周囲が回っているのは、耳の奥にある内耳の病気であることが多い」と岩田さんは話す。

 内耳の病気による症状は「良性発作性頭位めまい」と呼ばれ、頭や体の傾きを感知する耳石器の異常によって起こる。慢性中耳炎などの影響で起きた場合を除けば、時間がたてば症状は消えるが、早く症状を抑える薬ベタヒスチン(商品名メリスロン)も使われる。

 また「ふらつき」や「雲の上を歩くような浮遊感」「立ちくらみ」も、めまいと表現される。

 岩田さんによれば、ふらつきの原因で多いのは、糖尿病による末梢(まっしょう)神経障害や頸椎(けいつい)症。姿勢は小脳と呼ばれる部位が制御している。足底が均等に圧力を感じているかどうかを感知し、小脳が補正するが、頸椎症や末梢神経障害で脊髄(せきずい)が圧迫されると補正できず、ふらつきが起きる。原因の病気の治療が必要だ。

 浮遊感はパソコン作業などで、首の後ろの筋肉を使いすぎると起こる。30分ごとに休憩したり、姿勢を改善したりして予防できる。はりや低周波電気刺激などの治療もある。

 浮遊感はパソコン作業などで、首の後ろの筋肉を使いすぎると起こる。30分ごとに休憩したり、姿勢を改善したりして予防できる。はりや低周波電気刺激などの治療もある。

 立ちくらみは、起立性調節障害などで起こる場合が多い。見逃されやすいのが食後低血圧だ。ご飯類など炭水化物を食べた後の血圧低下が原因のため、座敷などでの会食後に起こりやすい。岩田さんは「高齢者に多い。食後はゆっくり立ち上がるよう助言している」と話す。

頭痛の主な症状と頭痛の分類
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 頭痛の訴えも多様だ。「どこが痛いかではなく、いつ痛むか、どれだけ続くかを話してほしい」と岩田さんは助言する。

 国内患者数800万人と推計され、最も一般的な片頭痛は、不定期に起こる4時間から最長3日間の痛みが特徴だ。遺伝が関係すると考えられている。

 痛む場所は片側とは限らず、両側や後頭部もある。血管(動脈)の拡張によって、痛みを起こす物質が漏れ、炎症を起こす。広がった動脈が拍動すると周りの神経を引っ張るため痛みが続く。

 動脈の拡張が元に戻れば痛みは治まる。現在国内では拡張を抑えるトリプタン系の薬剤が5種類あり、医師の処方によって使える。

 一方で、市販の頭痛薬を常用する人も多い。市販薬は消炎鎮痛薬と呼ばれ、炎症を抑える働きがあるが、動脈の拡張は抑えられない。予防的に頭痛を抑えようと服用するために、薬物乱用頭痛で悩む人もいる。

 消炎鎮痛薬に含まれる成分の中でもカフェインは薬物乱用頭痛を起こしやすくする。カフェインには血管収縮作用があり、作用が切れると反作用として血管が拡張し、頭痛を起こす。そのため服用が頭痛を招くという悪循環に陥る。岩田さんは「頭痛の原因は1人1種類ではなく複数種類が重なっている場合が多い。市販薬の服用をやめれば薬物乱用頭痛は治る。やめた当初は苦しいが、『2日我慢すれば3日目からは楽になる』と説明している」と話す。

 また患者数は少ないが、毎日同時刻に起こり、30分から1時間続く群発頭痛がある。痛みが激しく、「目に焼けた鉄棒を突っ込まれたよう」などと表現される。遺伝要因ではなく、原因も不明だが、やはり片頭痛の治療薬が有効だ。

 一方で、頭痛が動脈瘤(りゅう)破裂や脳出血、脳梗塞(のうこうそく)などで起こるのはまれだ。岩田さんは「動脈瘤が破れたら、3分の1は亡くなる。脳出血では意識を失うので頭痛の自覚はない。頭痛が起きていれば、これらの病気を心配する必要はない」と話す。

 手足などが何も感じなくなった場合やびりびりする場合、多くの人は「しびれる」と表現する。それぞれ「感覚脱失」「異常感覚」と呼ばれる症状で、区別が必要だ。

 岩田さんは「何も感じられない症状が急に片側に起こったら、脳梗塞を疑う。一方、両側に起こったら脊髄炎や多発性硬化症などの脊髄の病気が考えられる」という。

 びりびりする感覚について、まず疑われるのが末梢神経障害だ。また片側の口の周りと同じ側の手に起きた場合は、脳梗塞や脳出血、片側の顔面と反対側の手足に同時に起きた場合は、脳の一部の延髄の病気が考えられるという。

 岩田さんは「しびれの状態から脳、脊髄、末梢神経のどこで病気が起こったのかを明らかにするのが大切。患者が症状をちゃんと説明できれば、MRI(磁気共鳴画像化装置)などの検査をしなくても的確な診断ができる」と話している。=次回は11月6日掲載

 達医には、毎日新聞出版が発行する医師向け医学情報誌「MMJ(毎日メディカルジャーナル)」で編集委員を務める専門医が毎回登場し、それぞれの専門分野の最新情報を分かりやすく伝えます。

 ■人物略歴
いわた・まこと
 1942年生まれ。67年東大医学部卒。パリ大医学部などに留学後、東大医学部助教授を経て、94年東京女子医大教授。2008年からメディカルクリニック柿の木坂(東京都目黒区)院長。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO07898210R01C16A0NN1000/
かかりつけ医以外の受診、少額の追加負担 財務省提言へ
2016/10/2 0:04日本経済新聞 電子版

 財務省は社会保障費の抑制に向けた独自の制度改正案をまとめた。外来患者がかかりつけ医以外を利用する場合に、医療費に少額の定額負担を上乗せする制度の導入が柱。医療費の月額上限は70歳以上の高齢者に認めている特例をなくし、現役世帯と同等の負担とする。40兆円超に膨らむ医療費に歯止めをかける狙いだ。

 4日に開く財政制度等審議会の分科会に年末までに決定する医療・介護の制度改正の提言案を示す。厚生労働省は概算要求時に自然増を6400億円と見積もっており、制度改正で約5000億円まで圧縮させる。

 政府は定期的に健康管理の相談を受けたり、薬を必要以上に処方したりすることを防ぐため、かかりつけ医での受診を推奨している。2011年にはすべての病院の受診時に100円程度の負担増を求める案が政府内で議論されたが、今回はかかりつけ医以外の病院の受診に限定する。かかりつけ医へ誘導する対策との色合いが濃い。

 患者が支払う追加負担分の扱いも病院側の取り分とせず、診療費の一部として組み込むべきだと提言する。現在、紹介状なしで大病院で受診すると5000円以上の追加負担がかかるが、同制度にも適用し、国の公費が圧縮できるようにする。

 月額負担の上限を定めた「高額療養費制度」は70歳未満に比べ70歳以上が低く抑えられている。財務省は年齢ではなく所得水準によって負担額を変えるべきだとの立場で、70歳以上でも現役世帯並みの負担とすべきだと提言する。

 介護分野では、加入者の平均年収など負担能力に応じて介護保険料(介護納付金)の負担額を決める「総報酬割」制度の導入を求める。現在は、人頭割りと呼ばれる加入者数に応じた配分となっている。軽度の要介護者が利用する掃除や洗濯といった生活援助についての負担の在り方も見直す。

  1. 2016/10/02(日) 05:53:49|
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