Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

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9月4日 

https://www.m3.com/news/general/455790
社会保障「上限」超す、17年度予算、厚労省概算要求 
2016年9月4日 (日) 毎日新聞社

 ◇増加5000億円まで 1400億円要削減

 厚生労働省の2017年度予算の概算要求は、過去最大規模の31兆1217億円と、30兆円台の要求は5年連続となった。高齢化が進むことによる社会保障費の自然増は6400億円と見込むが、財務省からは最終的な増加額を5000億円程度に抑えることが求められている。今後の予算編成での調整に注目が集まる。【野田武、阿部亮介】

 主要分野別にみると、待機児童の解消に向けた取り組みに1169億円、介護サービスの確保に2兆9907億円、年金制度の運営に11兆4067億円、医療・介護連携の推進に3兆482億円、医療保険制度の運営に11兆5795億円などを要求した。

 年末の予算編成に向けて焦点となるのが、少子高齢化の進展に伴って増加を続ける社会保障費の抑制だ。昨年6月に閣議決定した「骨太の方針」は、社会保障費の伸びを16~18年度で計1・5兆円に抑える「目安」が盛り込まれた。

 「目安ではなく実質的な上限だ」(与党厚労族議員)との指摘もあり、単純に割り算すると、各年度5000億円ずつに抑える必要がある。財務省が減額を求める根拠になっている。昨年の概算要求では約6700億円だった自然増の見込みが、最終的に4997億円に絞り込まれた。医療の公定価格である診療報酬改定率が、年末の塩崎恭久厚労相と麻生太郎財務相の交渉で、マイナス1・03%で決着したことが大きく寄与した結果だ。

 来年度予算では診療報酬改定など大きな制度改正がない。「目安」を超える1400億円を、どのように削減するのか。現在、社会保障審議会で介護保険法改正に向けた議論が進む。買い物などの生活援助サービスを保険対象から外すことや収入が高い大企業のサラリーマンなどの保険料負担を増やす「総報酬割り」の導入など、介護サービス抑制や負担増などで財源を捻出する可能性もある。

 ただし、厚労省幹部は「削減できなかった額が18年度に持ち越されることも想定している」と話す。その場合、18年度に予定されている診療報酬と介護報酬の同時改定や生活保護法改正などで、報酬切り下げや生活保護基準の見直しが選択肢として浮上し、いずれも国民へのしわ寄せが不可避となる。

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 厚労省の17年度予算の概算要求の主な項目を、介護、医療、子育てのテーマごとにまとめた。

 ◇認知症、本人から聞き取り

 政府は6月に閣議決定した「ニッポン1億総活躍プラン」で介護士の月給を1万円相当アップさせる方針を打ち出している。介護離職ゼロを目指す取り組みで、概算要求段階では所要額などは盛り込まれていないが、年末の予算折衝で具体的な制度設計が決まる見込みだ。

 地域包括支援センターでの相談体制も強化する。土日祝日も相談に応じられるようにしたり、スーパーなどでの臨時相談窓口を開催したりする市町村の取り組みを支援する。全国50カ所でのモデル事業のため1億9000万円を要求した。

 また、認知症患者のニーズを把握し、施策に反映させるため、認知症の本人を対象とした聞き取りを実施する。これまでは認知症患者を支える家族らのニーズに応じる施策が中心だった。17年度は、認知症患者に現在受けている介護や医療サービスの利用状況、行政に対する要望、身の回りの相談などを聞く会合を、全国94カ所で開く。そのため5500万円を要求した。

 ◇へき地から患者空輸、助成

 医療分野では、子どもを出産できる病院が少ない地域での受け入れ態勢改善を進める。

 新しく産科のクリニックを開設する場合や、産科が閉鎖されて長期間たっている病院が再開のために増改築したり医療機器をそろえたりする場合の費用について、国が半額補助する事業を始める。17年度は4億円を要求し、全国の8カ所程度での活用を想定する。

 医師不足によって高度な医療を受けることが難しい「へき地対策」も充実させる。へき地で暮らす患者が都市部の病院で専門的な治療を受ける必要がある場合に備えて、患者をヘリコプターや飛行機で搬送するチャーター事業を実施する自治体などに対して、国が費用の半額を助成する。

 また、末期のがん患者らが残された時間を穏やかに過ごすために提供される「終末期医療」の推進を目指し、国民や医療・介護関係者を対象とした意識調査を5年ぶりに実施する。

 ◇保育所入園予約制を促進

 保育所を使いやすくする施策として、子どもが1歳を迎えたら保育所に入れることを0歳のうちに確約できる「入園予約制」を、各地で導入する。

 一般に、保育所は年度替わりの4月に定員に達する。年度途中に育児休業が終わっても、その時点で空きがあることは少ない。このため、年度替わりに合わせて育休を切り上げる母親も多い。

 入園予約制は、母親の育休終了時期に合わせて保育所を利用できるよう、事前に入園を確約する仕組み。東京都品川区などが独自に実施している。厚労省は、各自治体がこうした仕組みを導入する際の費用の半額を負担することにしている。

 厚労省保育課の担当者は「母親が育休を途中で切り上げざるを得ない実態を踏まえた制度」と話す。

 また、待機児童の解消に向けて、保育士確保のため基本給の引き上げや、保育施設の設置を促進する自治体へのコーディネーター配置などを盛り込んだ。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160904-OYTET50008/
ニュース・解説
「精神指定医」不正疑惑、聖マリアンナ医大でさらに2人…大学「調査に限界」

2016年9月4日 読売新聞

 複数の医療機関の精神科医が「精神保健指定医」の資格を不正に取得した疑いがあり、関与した100人前後のうち、2人が川崎市の聖マリアンナ医大病院の医師(1人はすでに退職)だったことがわかった。

 同病院では昨年、組織的な不正取得により計23人の指定医が資格を取り消されており、国や大学側の当時の調査が不十分だった疑いが強い。厚生労働省が各医師から事情を聞くなど調査している。

 「調査に限界があり、新たに不正の疑いが出ていることは残念」。聖マリアンナ医大の幹部は8月下旬、読売新聞の取材に対し、こう話した。

 同病院では昨年4月、医師11人が実際には診察していない患者の症例を使い回し、虚偽の症例リポートを提出するなどして、資格を不正取得していたことが発覚。その後、リポートに署名していた指導医も含めて計23人が指定医の資格を取り消された。

 同大は昨年、学内に調査委員会を設置して調べたが、今回浮上した2人については、不正を確認できなかった。

 2人は当時の調査に対し、「リポートが手元に残っていない」などと回答。今回、新たに不正取得の疑いが出たため、現在も勤務している1人については、指定医の業務から外したという。

 今後、この2人の資格が取り消された場合、同病院で過去5年間に資格を取得した13人全員が不正を認定されることになる。同大幹部は「大学全体で意識改革を図り、再発防止に努めたい」と話している。

 厚労省の調査では、不正取得が疑われる医師と、それに関与した指導医が計100人前後に上る。中には、神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件で、逮捕された植松 聖さとし 容疑者(26)の強制入院措置に関わった指定医も含まれているという。

 ただ、容疑者の措置入院や措置解除の判断については、厚労省の有識者検討会が大きな問題はなかったとの認識でほぼ一致している。

 同省は、各医師の弁明を聞く手続きを進めており、早ければ月内にも審議会部会を開催する。部会で不正が認定されれば、同省が指定医の資格取り消しなどの処分を行う。

          ◇

精神保健指定医  重い精神障害で自傷他害の恐れがある患者を強制的に入院させる「措置入院」や入院解除、家族の同意だけで入院させる「医療保護入院」を判断できる精神科医。精神保健福祉法に基づいて厚生労働相から指定を受ける。人権を制限する難しい判断が求められるため、指定には、精神科医として3年以上の実務経験に加え、資格を持つ指導医のもとで統合失調症や依存症、認知症など8症例以上を診療したリポートの提出が必要となる。指定医は昨年7月時点で全国に1万4793人いる。


https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160904-OYTET50013/
ニュース・解説
不正疑惑の精神指定医「深刻なモラルの欠如」…診療報酬優遇制度も背景に

2016年9月4日 読売新聞

不正疑惑の精神指定医「深刻なモラルの欠如」…診療報酬優遇制度も背景に
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 100人規模の精神科医が「精神保健指定医」の資格を不正に取得した疑いが浮上した異例の事態。背景には何があったのか。

 厚労省は、指定医が資格を取得する際、多様な症例をリポートにして提出するよう義務付けている。診療の妥当性を判断するために、リポートは、1週間に4日以上診療した患者に限定され、同じ患者の同一期間のものは認めていない。不正がないよう、指導医には診療内容の指導やリポートへの署名も求めている。

 同省が今回問題視しているのは、診療に十分関わっていないのに、リポートを作成した疑いがある医師が多数いたことだ。所属する医師に不正取得の疑いが出ている中部地方の大学病院の精神科教授は、「同一の症例がないかをチェックすべきだったのに管理が甘かった。申し訳ない」と話す。

 同病院では、実際には指導していない指導医がリポートに署名することもあったといい、医師が本当に診療に当たったかを確認する態勢になかった。厚労省幹部は「指導医には、厳正なチェックを求めており、確認が不徹底だったと言わざるを得ない」と憤る。

 こうした背景には、精神科医にとって、指定医にしかできない業務が多くあるため、なるべく早く資格を取得したいという事情もあるという。

 また、病院側にとっては、強制入院を伴う診療態勢を組むには一定数の指定医が必要となるほか、診療報酬の優遇措置もあり、指定医は多いに越したことはない。例えば通院患者の初診で一定要件を満たせば、一般の精神科医より1・5倍高い診療報酬が設定され、指定医がいる病院へ報酬加算措置もあるため、経営面のメリットとなっている。

 今回の問題について、患者支援活動を続けるNPO法人「地域精神保健福祉機構」の島田豊彰専務理事は、「不正に資格を取得した指定医が、強制入院や身体拘束に関わっていたとすれば重大な問題だ。指定医の制度を一から見直すべきだ」と語る。

 地域医療への影響も懸念される。不正に関与した医師が多ければ、措置入院や医療保護入院の受け入れができなくなる病院が出てくる恐れがある。

 首都圏の自治体の担当者は、「地域の精神科救急の体制にも影響が出る可能性があり、心配だ」と話す。

 精神医療の現状に詳しい藤本哲也・中央大名誉教授は、「指定医は人権の制限に責任を持つ立場だけに、不正に資格を得たのであれば、深刻なモラルの欠如と言わざるを得ない。二度と起きないよう、審査を適切に行う態勢を作らなければいけない」と指摘している。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03189_03
第48回日本医学教育学会開催
週刊医学界新聞  第3189号 2016年09月05日

パネルディスカッションの模様 第48回日本医学教育学会大会(大会長=阪医大・大槻勝紀氏)が7月29~30日,「医学教育のグローバルスタンダードにおける大学の独自性」を主題に,阪医大(大阪府高槻市)にて開催された。本紙では,パネルディスカッション「プロフェッショナリズムの学習目標は医学教育を縦貫できるか?」(座長=名大・伴信太郎氏,JCHO横浜保土ヶ谷中央病院・後藤英司氏)の模様を報告する。
プロフェッショナリズム教育をどう縦貫させるか

 冒頭,同学会倫理・プロフェッショナリズム委員会の野村英樹氏(金沢大病院)が,本企画の趣旨説明を行った。現在,卒前教育では「医学教育モデル・コア・カリキュラム」(以下,コアカリ),医師臨床研修では「臨床研修の到達目標」(以下,到達目標)の改訂が進められている。また,専門研修では「プログラム整備基準」が見直し中であり,生涯教育においては「日本医師会生涯教育カリキュラム2016」が出された。こうした動向を受けて氏は,「この機会にプロフェッショナリズムの位置付けを医学教育の中で一貫したものにしたい」と議論の進展に期待を示した。

 文科省の佐々木昌弘氏は,2017年3月のコアカリ改訂に向けた進行状況について,プロフェッショナリズムを医師教育においていかに縦貫したものにし,なおかつグローバルスタンダードに対応できるかを念頭に議論していると説明した。国試出題基準との対応や医師として持つべき技能を中心に構成された2001年の策定時とは異なり,本改訂は,地域包括ケア推進や医師の地域偏在対策などの現状を踏まえた「社会に求められる医師像」を示す方向へとかじを切るものであり,重要な意味を持つとの見解を示した。

 コアカリと到達目標の改訂が同時期に進む今,これを「千載一遇のチャンス」と述べたのは,福井次矢氏(聖路加国際病院)。到達目標見直しの方針として,①1990年代以降の教育学で「コンピテンシー」と表現する概念に則り,②医師としてのキャリアの全段階における共通の到達目標作成の2点を掲げ,「現時点での案」として「医師としての基本的な価値観」4項目,「資質・能力」9項目を列挙した。プロフェッショナリズムについては,「知識・技術を含めるよりも,医師の行動の根底にある心構えや価値観としてとらえるのが定義上よい」と述べ,前記の4項目として示したという。氏は,「これらの項目は大学入学から生涯教育まで,医師キャリアの全期間に適応でき,各段階に応じて内容の深さを変えながら活用できる目標になる」と意義を語った。

 専門医の質向上については,日本専門医機構にて新専門医制度の設計に携わった池田康夫氏(早大)が発言した。医師の資質を含めた質の向上を目標に掲げた新制度では,「地域医療の経験を積むこと」や「リサーチマインドの涵養」を重視して盛り込んだという。質の良い専門医育成には良い指導医が必要との観点から,指導医の要件を明確化した点にも触れた。

 医師の生涯学習が幅広く効果的に行われるための支援体制に,日本医師会生涯教育制度がある。日医の羽鳥裕氏は,2016年4月に適用されたカリキュラムの改正概要を紹介。中でも83あるカリキュラムコードのうち,「医師のプロフェッショナリズム」を含むコード1~15の改訂を行い,新しい専門医制度の仕組みに円滑に対応できるようにした点を強調し,本制度の活用を呼び掛けた。

 総合討論では,「プロフェッショナリズム」の位置付けを「方向目標」でとらえてはどうかとの提言や,入学者選抜も「縦貫」の議論の対象に加えるべきとの意見が挙がった。


  1. 2016/09/05(月) 06:08:48|
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