Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

9月2日 

http://www.minpo.jp/news/detail/2016090234233
入院受け入れ停止へ 高田厚生病院 医師不足、収益減影響
2016/09/02 09:18 福島民報

 JA福島厚生連は平成31年度にも、会津美里町の高田厚生病院での入院患者受け入れを停止する方向で検討に入った。27年度末の病床数は199で稼働率は約6割に上っているが、医師不足や収益低下を背景に継続は難しくなると判断したもようだ。会津坂下町の坂下厚生総合病院の新築移転に合わせて実施する方針。外来診療は続ける。
 複数の関係者の話を総合すると、高田厚生病院での入院患者受け入れ停止に伴い、30年代前半に新築移転を目指している坂下厚生総合病院の病床数を増やす案を検討しているもようだ。坂下厚生総合病院の27年度末の病床数は177だが、入院患者数が減少しており、現状のままでも患者受け入れに支障はないとの見方もある。厚生連は今後の両病院の病床稼働率や収益状況、地元の意向などを踏まえて判断するとみられる。
 高田厚生病院は昭和23年に開設された。内科、心身医療科、外科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、泌尿器科の各診療科があり、「精神」「一般」「療養」の各病床を備えている。70年近くにわたり大沼郡周辺の地域医療の中核を担ってきたが、近年、医師不足で診療収入、収益とも減少している。17年度は約1800万円の黒字だったが、27年度は約1億6300万円の赤字となった。
 27年度の収益の内訳は外来診療と入院診療がおおむね半分ずつだが、収益の目標達成率は外来診療が99%なのに対し、入院診療は84%となっている。
 高田厚生病院の常勤医は5人で、入院患者の受け入れを増やそうとしても対応は難しい状況にある。全県的な医師不足の中、新たな診察医の確保も容易ではなく、入院診療の収益改善は困難と判断したもようだ。
 厚生連のある関係者は「苦渋の決断となる。大沼郡と河沼郡の地域医療事情を十分に踏まえて検討したい」と話した。

■坂下厚生などで対応か

 高田厚生病院が入院診療を停止した場合、会津美里町などの患者は坂下厚生総合病院や会津若松市の会津中央病院、竹田綜合病院、会津西病院など町外の医療機関が受け入れるようになると想定される。
 会津美里町の関係者は「具体的な話は聞いていない」とした上で、「高田厚生病院は長年にわたり町の医療の中核を担ってきた。今後の動きを注視していきたい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/455266?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160902&dcf_doctor=true&mc.l=175542410&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
新潟・女性医師過労死事案、担当弁護士の説明
最長で月251時間の残業時間

2016年9月2日 (金) 高橋直純(m3.com編集部)

 新潟市民病院で後期研修医として働いていた女性医師(死亡時37歳)が2016年1月に自殺したのは、長時間労働による過労死だったとして、遺族が8月17日、新潟労働基準監督署に労災申請した。遺族側代理人の齋藤裕弁護士(新潟合同法律事務所)に女性医師に勤務状況や自殺に至る過程などを聞いた。

 女性は医師ではない医療関係職として働いた後、「やはり医師になりたい」として医学部に入学。2013年3月に医師免許を取得し、同年4月から新潟県内の病院での初期臨床研修を行った。仕事ぶりも熱心で、評判も良かったという。当時は、犬の散歩に行くなどの時間的余裕もあった。

 2015年4月から新潟市民病院の外科系診療科で専門医取得のための後期研修を開始した。最長で残業時間が月251時間に達するなど、長時間勤務が常態化。同年秋ごろから同居する夫に対して、「眠れない」「気力が出ない」などと話すようになり、2016年1月25日(月曜日)に自殺した。

 自殺当日は休みとなっていたが、女性は勘違いで出勤したとみられ、昼頃には帰宅。夜になって一人で車で外出。新潟市内の山中で、車外にて低体温症で死亡しているところを探しに来た親族が発見した。遺書はなかったが、新潟県警は状況から自殺と判断した。遺族は2月頃から斎藤弁護士に相談。病院側に勤務記録の開示などを求めていた。

 斎藤弁護士によると、女性の所定の勤務時間は、1時間の休憩をはさみ午前8時半から午後5時まで。電子カルテの操作時間やセキュリティカードの入退室時間、車での通勤に使っていたETC記録、手術記録などから残業時間を算出したところ、最長で月251時間に達していた。自己申告の残業記録では月20-30時間程度だった。2015年5月には25回の手術を行い、そのうち半数は執刀医となっていたという。 当直は月2-4回だったが、帰宅が明け方近くになることもあった。

■ 斎藤弁護士が算出した1カ月当たりの残業時間

2015年 4月  156時間
     5月  191時間
     6月  233時間
     7月  207時間
     8月  251時間
     9月  216時間
     10月  177時間
     11月  123時間
     12月  176時間
2015年 1月  141時間 (※1月24日まで)


 2015年秋ごろから夫に対して、「眠れない」「気力がない」「疲れている」などと話すようになり、知人から入手したとみられる睡眠薬や精神安定剤を服用するようになっていた。2016年1月には夫に「病院に行きたくない」と訴えることもあった。病院や同僚が女性の精神状態や疲労を把握していたかどうかは明らかになっていない。パワハラなどがあったという証言は出ていないという。

 遺族は8月17日に新潟労働基準監督署に労災申請した。病院側に労災の証明を求めたが「証明できない」という回答だった。斎藤弁護士によると、労災の判定がでるまで1年ほどかかるのが通例。並行して研修医の労働実態などについて情報開示を求めていく。労基署の判断を待って病院側に損害賠償を求める民事訴訟も行う考え。

 遺族は「労働時間を把握していない病院の体制は無責任。事態を重く受け止められておらず、体質を変えてほしい」として、労災申請とともに17日に記者会見を開いた。今後は病院の勤務改善なども求めていくという。病院側はm3.com編集部の取材に対し「自殺した職員がいたのは事実だが、コメントはひかえたい」と話している。



https://www.m3.com/news/general/455337?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160902&dcf_doctor=true&mc.l=175542415&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
精神指定医100人不正疑い…「相模原」関連も
2016年9月2日 (金) 読売新聞

 全国の複数の医療機関の精神科医が、強制入院などの判断を行う「精神保健指定医」の資格を不正に取得していた疑いのあることが、厚生労働省の調査でわかった。

 不正取得が疑われる医師とその指導医は計100人前後に上り、神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件で、逮捕された容疑者の強制入院措置に関わった医師も含まれているという。

 同省は、各医師の弁明を聞く聴聞の手続きを進めており、早ければ月内にも、処分の是非を決める同省の審議会部会を開く。

 指定医を巡っては、昨年4月、聖マリアンナ医大病院(川崎市)で、11人が十分に治療に関わっていない患者を診療したと偽るなどして、資格を不正取得していたことが発覚。取得時に提出する症例リポートについて、複数の医師が同じ患者のものを使っていたが、厚労省の審査では見抜けなかった。このため、同省が過去5年間に申請された医師のリポートを調べていた。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H89_S6A900C1CC1000/
精神指定医、不正取得か 相模原事件の判断医も
数十人が疑い

2016/9/2 23:45日本経済新聞 電子版

 数十人の精神科医が、措置入院などの判断に必要な国家資格「精神保健指定医」を不正に取得していた疑いがあることが2日、厚生労働省の調査で分かった。指導医も含めると不正の関与者は約100人。相模原市の障害者施設殺傷事件で、逮捕された植松聖容疑者(26)の措置入院の手続きに関わった精神保健指定医の1人も含まれているという。

 厚労省は不正が疑われている医師の弁明を聞く聴聞を始めている。その後、有識者で構成する同省の審議会部会で処分の是非を検討する。

 厚労省によると、植松容疑者は2月19日、他人を害する恐れがあるとして緊急措置入院となった。「大麻精神病」などと診断されたため同22日に措置入院の手続きが取られ、3月2日に医師の判断に基づき退院した。

 一連の手続きには計4人の指定医が関与。うち1人が資格を不正取得した疑いがあるという。

 厚労省は合計23人の精神保健指定医が取り消し処分を受けた聖マリアンナ医科大病院(川崎市)の問題を受け、昨年6月から他の医療機関でも不正がなかったか2千人以上の精神保健指定医を対象に調査を進め、同病院以外でも数十人の精神科医が不正取得した疑いがあることが判明した。

 聖マリアンナ医大病院では同じ患者の同じ期間の症例を使い回したりしており、厚労省は過去5年分の申請時の書類を確認。カルテも取り寄せて調べたところ、治療にほとんど関わっていないとみられる事例が複数あったという。



https://www.m3.com/news/general/455287
富士吉田市立病院 診察拒否か市が調査
2016年9月2日 (金) 山梨日日新聞

 富士吉田市立病院(同市上吉田、樫本温院長)の歯科口腔外科が、特定の歯科開業医からの紹介で来院した患者の診察を拒否した可能性があるとして、同市が調査を始めたことが1日、分かった。富士吉田歯科医師会は同日までに、改善を求める要望書を堀内茂市長に提出した。

 要望書は、口腔外科が開設された2013年3月前後に、同歯科医師会に加盟する開業医と市立病院側の間でトラブルがあったと指摘。「開業医の紹介で市立病院を訪れた患者の診察が拒否されている」としている。

 同市によると、要望書の提出を受け、病院職員や同歯科医師会の関係者らから事情を聴いた。これまでの調査で、口腔外科の開設直後から一部の患者が診察を断られたケースがあったと確認。紹介した患者が診察を断られた開業医は複数いるという。

 樫本院長は取材に対し、「担当医師から(口腔外科)開設当初はトラブルのあった歯科医師から紹介を受けた患者を断ったことがあると聞いたが、現状では診察している」と説明。「今は同歯科医師会とも良好な関係と認識している」と述べた。

 山梨日日新聞の取材に対し、昨年9月に診察を断られたという同市上吉田の男性(65)は「『(紹介状を書いた)先生とは連携していないので診ることはできない』と言われた」と説明。山梨市内の病院で受診することになり、「市民が市立病院で診察してもらえないのはおかしい」と訴えた。

 関係者によると、歯科口腔外科の開設時に同歯科医師会と病院側で、開設の経緯や診察方法などについてトラブルがあったという。

 堀内市長は取材に対し「診療拒否があった可能性はある」とした上で、「事実ならば患者に謝罪しないとならない。調査をして実態を把握したい」と話した。



https://www.joetsutj.com/articles/45613739
新潟労災病院の外科が休診 医師の異動で今月から
2016年9月2日 (金) 18:09  上越タウンジャーナル

 新潟県上越市東雲町1の新潟労災病院は2016年9月1日から、外科の診療を休診している。医師の異動で外科医不在となったためで、同病院の澤野貴博事務局長は「通院されていた方々には大変申し訳ない。今後も医師確保に努めていきたい」と話している。

 同院に8月31日まで勤務していた二人の医師は、同市大道福田の上越総合病院に異動した。医師派遣元である新潟大が医師の集約化を図ったことが理由だ。

 新潟労災病院の外科は1958年6月に開設。前年度、外科には5人の医師が在籍していたが、本年度4月には3人となり、7月末で一人が異動した。8月1日から同月31日まで残った医師の二人体制だった。また、医師の減少とともに入院、外来患者の受け入れ数も減らしていくしかなかったという。休診を受け、医師が通院患者らに他の医療機関へ紹介状を出した。

 澤野事務局長は「(医師異動後の)医師の確保が難しく、休診となった。近隣住民の方々を中心に『残念』という声もいただいている。今後の見通しはまだ立たないが、常勤医師確保に努めたい」と話している。

 現在、同院は13診療科がある。長年、産科、小児科が休診しているのに続き、今年4月からは医師の異動で呼吸器外科も休診となっている。



http://blogos.com/article/189001/
【徹底解剖 日本の大組織】東大医学部vs.順天堂大学 学閥の壁はバカの壁
鳥集徹(ジャーナリスト)
文藝春秋SPECIAL 2016秋
2016年09月02日 07:27  BLOGOS

ナンバー内科・外科、医局講座制、大学純血主義……。おおくの弊害を生み出した「旧体制」は崩れつつあ

「第一、第二外科が連携せず、競争的関係で手術数を伸ばしていた」(毎日新聞2016年7月29日付)

 群馬大学医学部附属病院で、同一医師による肝胆膵(肝臓、胆道、膵臓)の手術を受けた患者が相次いで死亡していた問題で、学外有識者でつくる医療事故調査委員会は7月30日、群馬大学の学長に最終報告書を提出した。

 その中で指摘されたのが、昨年4月に統合されるまで、群馬大学病院では第一外科と第二外科の教室が消化器、呼吸器、乳腺などの手術を重複して行っていたことだった。問題となった肝胆膵がんも、二つの外科が独立して、競うように手術をしていたという。

 複数の診療科が同一の手術を重複して行っていると、当然、限られたスタッフが分散して、手術室や病室なども効率よく回せなくなり、診療体制が手薄になる。また、診療科間に壁があると、それぞれ独自の手術の手技や習慣ができて標準化されず、診療の質が低下する。こうしたことが、今回の問題が起こる背景の一つにあったと報告書は指摘している。

 企業などの組織運営に携わる人たちから見たら、このような極めて非効率な体制が放置されてきたことに、驚かれるかもしれない。だが、これが我が国の「ザ・医学部」なのだ。

 第一内科、第二内科、あるいは第一外科、第二外科といった名称を、医学界では「ナンバー内科」「ナンバー外科」と呼ぶ。実は、この名称が残っていること自体、群馬大学が旧弊な医学部組織を引きずっていることを物語っているのだ。

「医局講座制」の非効率

 このナンバー内科、ナンバー外科の起源は、東京大学医学部にある。

 ドイツの権威主義的な医学を手本とした明治政府は、1893(明治26)年に「医局講座制」を導入。これによって帝国大学(現・東京大学)医学部に20の講座ができ、16人の教授が誕生した。その中心を担ったのが、それぞれ第一〜第三まであったナンバー内科とナンバー外科だった。

 医局講座制とは、教授を筆頭に、助教授(現在は准教授)、講師、助手(現在は助教)、医員、大学院生、研修医、関連病院の医師らから組織される講座(教室)の構成員が、そのまま医学部附属病院の医局として、一つの診療科を担うシステムのことを指す。

 一般的に診療科は、内科なら「循環器内科」「呼吸器内科」「消化器内科」「内分泌代謝内科」、外科なら「心臓外科」「呼吸器外科」「胃食道外科」「肝胆膵外科」「大腸外科」といった専門分野ごとに分かれている。

 これらの専門分野を、第一外科が「心臓と呼吸器」、第二外科が「肝胆膵」、第三外科が「胃食道と大腸」といった具合に、分担して運営するのが当初の構想だったと思われる。

 ところが、講座の主宰者である教授が大きな権力を持ち、独立性が強くなったことで、講座どうしが互いに干渉せず、交流もしない組織文化が生まれた。第一外科が受け持つ心臓病の患者に胃の病気が見つかったとしても、第三外科と協力して治療するのではなく、すべて第一外科で診るという不文律があったのだ。

 さらには、教授が代替わりするたびに、カバーする専門分野が広がるケースもあった。呼吸器が専門だった教授の後釜に、消化器が専門の教授が就き、残った助教授や講師が、そのまま呼吸器を担うといったことがよくあった。こうして、ナンバー内科やナンバー外科の各講座がカバーする診療の範囲は、無節操に重複していった。

 この超非効率なシステムを各地の大学に移植していったのが、東京大学を筆頭とする「旧七帝大」だったのである。

医学界のピラミッド

 日本の医学界には厳然たるヒエラルキーがある。

 その頂点に立つのが「旧七帝大」だ。明治から昭和初期に「帝国大学」と称された七つの国立大学(東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学)は、医学界において事実上、研究者・教育者の養成機関としての役割を果たしてきた。

 一方、これに対抗してきたのが、「私立御三家」だ。明治期に設立された医学校に起源を持つ、慶應義塾大学医学部、日本医科大学、東京慈恵会医科大学の三校は、旧七帝大が研究重視なのに対し、臨床医を養成する目的で設立された。ただし、慶応大は、研究者・教育者養成機関としての性格も色濃く持っている。

 このピラミッドの下に来るのが、大正期に旧制医学専門学校から、大学令公布にともない医科大学に昇格した「旧制医科大学」だ。臨床医の養成を目的として設立された大学で、千葉大学、金沢大学、岡山大学、熊本大学などの地方の有力大学がこれにあたる。

 また、その下には「旧医専」がある。第二次世界大戦中に医師を増やすために設立されたり、戦後に大学に昇格したりした医学専門学校や女子医専がこれにあたる。信州大学、岐阜大学、三重大学など地方大学が中心で、群馬大学もこのグループだ。私立大学では、岩手医大、東京女子医大、昭和大、大阪医大、久留米大などが、このグループに入る。

 そして、ピラミッドの最下層にあたるのが、「新設大学」だ。高度経済成長にともない問題となった医療の地域格差を解消するため、1973年に田中角栄内閣が掲げた「一県一医大構想」のもと、各地方に新設された医科大学や医学部だ。

 国立では旭川医大、山形大、浜松医大、島根医大、香川医科大学(現・香川大)、琉球大などがこれにあたる。私立大も、この時期、各地に医学部が新設された。北里大、杏林大、帝京大、東海大、近畿大、福岡大などだ。

 これらのピラミッドの下層にあたる大学に、旧七帝大や慶応大などの有力校は、自分たちの「領地」を押さえるがごとく、教授陣を続々と送り込んでいった。そして派遣された教授らは、そこでも領地を広げるため、地域の基幹病院に医局員を送り込み、関連病院をつくっていった。

 ちなみに、この関連病院のことを、医師たちは「ジッツ」と呼ぶ。ドイツ語で「座る」を意味するジャルゴン(業界用語)だ。この言葉からも、教授ポストや関連病院の役職をめぐる争いに、椅子取りゲームや国取り合戦の感覚が強かったことがうかがえる。

 こうして、有力校出身の教授たちは、自分たちの母校のシステムをそのまま移植して、医学部の組織をつくっていったのだ。

診療科の壁

 だが、この医局講座制の弊害は、無視できないほど大きかった。

 たとえば、地域の病院で手術が必要な患者がいたとする。その病院では手に負えないとなると、紹介されるのは、主治医が所属する医局の大学病院か関連病院だった。しかも、医師が第一外科所属であれば、第二外科の医師のほうが手術は巧かったとしても、患者は第一外科に送られたのだ。

 第一外科と第二外科は交流がないので、同じ大学の隣どうしであるにもかかわらず、手術の手技や習慣が異なっていた。たとえ第二外科のほうが優れていたとしても、第一外科には第一外科のやり方があるので、それを採り入れることはなかったのだ。

 他にも、こうした「診療科の壁」があると、困ることが多かった。

 たとえば、進行肺がんの手術では、肺を切除するだけでなく、気管支や大動脈、横隔膜などの一部も切除する場合がある。こうした大きな手術を行うには、呼吸器外科医だけでなく、大血管の手術ができる心臓血管外科医や、気管支や血管を再建できる形成外科医などの協力が不可欠だ。しかし、診療科の壁があると、当然、こうした連携を必要とする治療はできない。隣の診療科の協力を仰げないから、勢い、自分たちでやってみようとする―。こんな恐ろしいことが起こりかねないわけだ。

 ちなみに、現在のがん治療は、外科だけでは成り立たなくなっている。内視鏡治療医、腫瘍内科医、放射線治療医、リハビリ医や理学療法士、各種認定看護師、精神腫瘍医、緩和ケア医等々の専門職の人たちが、一人の患者を多面的に支える「チーム医療」が不可欠なのだ。

 また、患者が高齢化して、持病が複数ある人も増えている。たとえば、糖尿病があると、術後に傷が治りにくく、感染症などの合併症も増える。したがって、事前に糖尿病の専門医に治療してもらってから、手術に臨む必要のある人が増えた。つまり、外科と内科の連携も不可欠なのだ。

 だが、診療科の壁があると、それができない。群馬大学では、大学病院ならではの総合力を生かしたチーム医療が果たして十分できているのだろうか。あのような事件があっただけに、非常に怪しいと思わざるを得ない。

今なお残る「ナンバー制」

 いずれにせよ、医局講座制では限界が見えていた。1990年代には、医師任せの医療である「パターナリズム(父権主義)」が否定され、欧米流の「患者本位の医療」を求める声が強くなった。この潮流の中で医局講座制も批判され、2000年代前後には、患者にもわかりやすい「臓器別」に講座を再編する動きが強まった。

 旧制度の象徴であった東京大学医学部も、1995年から講座の再編成を行い、ナンバー内科、ナンバー外科制を終わらせている。

 現在の東京大学医学部附属病院のホームページを見ると、内科は「総合」「循環器」「呼吸器」「消化器」「腎臓・内分泌」「糖尿病・代謝」等々、外科は「一般外科」「胃・食道」「大腸・肛門」「肝・胆・膵」「血管外科」「乳腺・内分泌外科」等々と並んでおり、一般の人でも、どの外来に行けばいいか、かなりわかりやすくなっている。

 他の旧七帝大もチェックしたところ、東北大学病院、京都大学病院、大阪大学病院で、ナンバー内科、ナンバー外科が廃止され、すべて臓器別に再編成されていることが確認できた。しかし、北海道大学、名古屋大学、九州大学では、いまだにナンバー内科、ナンバー外科が残っていた。

 たとえば九州大学病院のホームページを見ると、呼吸器外科、消化管外科、乳腺外科が二つずつある。教室が第一外科と第二外科に分かれているからだ。これでは患者は、どちらを受診するのが正解か、わからないだろう。

 ほんとうに馬鹿げたことだと思う。ナンバー内科、ナンバー外科が残っている大学のほうが診療の質が低いとは断言できないが、一部に「患者本位」でないところが残っているのは確かだ。群馬大学病院の事例は、決して例外とは言えないのだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/455269
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
男性医師Aと白橋被告、ホテルで38回の打ち合わせ
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第35回公判

2016年9月2日 (金) 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第35回公判が、9月1日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、KHS(Kyoto Heart Study)の研究当時、元京都府立医大教授の松原弘明氏の教室に所属し、事務局を務めていた男性医師Aの再尋問が行われた。引き続き、論文作成時の患者の群分け作業などへの関与を否定した。

 公訴事実に含まれる、バルサルタン(ディオバン)とCa拮抗薬の併用効果を調べた CCB論文の群分けについて、白橋伸雄被告は男性医師Aを含む研究者側の指示、男性医師Aや松原氏は、白橋被告が全て行い相談はなかったと証言しており、真っ向から対立している。白橋被告は群分けに必要な研究開始時(ベースライン)の併用薬情報がなく、経過観察中の薬剤情報も欠落があったため、医師の指示のもと「推定」で群分けをしたと説明している。

 弁護側尋問では、男性医師Aが100例以上登録しており、ベースラインの情報がないことなどを認識しており、この状況では論文の定義通りには群分けができないと分かっていたのでは、などと質問。男性医師Aは「白橋さんから説明を受けていない」「記憶にない」「当時は考えていなかった」などと答えた。

 またCAD(冠動脈疾患)論文 について、筆頭著者になっている医師からデータの不具合が指摘され、男性医師Aが白橋被告に修正を求めたが、「固定したデータは何があっても修正できない」として聞き入れられなかったことも明らかにした。

 白橋被告と男性医師Aら研究者グループは京都市内のホテルで打ち合わせをしていたが、その回数が38回に及んでいたことを白橋被告弁護人が指摘。サブ解析論文を作成していた2010年6-8月に集中していた。打ち合わせの内容について男性医師Aは「3分の2程度は白橋さんと2人きりだった」と証言した。

 また、論文に疑義が出され、大学や日本循環器学会、厚生労働省からのヒアリングが行われるようになった際の対応について、男性医師Aは松原氏と情報交換をしていたことを明らかにした。ただ、連絡をするのは松原氏だけで、「お前はどんなことを聞かれたのか」と尋ねられるというものだったという。途中から「この人は胡散臭い」と思うようになり、「もう電話してこないでください」と連絡を断ろうとしたと説明した。

 この日で、男性医師Aへの再尋問は終了した。検察側が進める不存在カルテの調査(『57例の「不存在」カルテが現存、検察が謝罪』を参照)は、当初8月中に終わるとしていたが、しばらく時間がかかると説明した。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49541.html?src=topnewslink
オプジーボの「期中改定」、反対が大勢- 日病協
2016年09月02日 21時00分 キャリアブレイン

 13団体でつくる「日本病院団体協議会」(日病協)は2日に代表者会議を開き、高額な薬剤費による医療保険財政への影響が懸念されている抗がん剤「オプジーボ」について、今後の対応を話し合った。中央社会保険医療協議会(中医協)の部会では、2018年春に迎える次の改定年度を待たない「期中改定」を含め、オプジーボの薬価の見直しを検討しているが、代表者会議では、期中改定に反対する意見が大勢を占めた。【敦賀陽平】


 終了後、記者会見した神野正博議長(日本社会医療法人協議会副会長)が明らかにした。この日の代表者会議では、18年春の改定で対応すべきとする声が多数を占める一方、一部の団体から期中改定に賛同する意見もあった。日病協では、全会一致で見解をまとめることになっているため、意見集約は見送られた。

 厚生労働省は、高額な薬剤に関するガイドライン(GL)を策定し、それを踏まえて保険収載を行う方向性を示している。現在、関係学会や医薬品医療機器総合機構(PMDA)などがGLの素案を検討しているが、議論は非公開で行われており、各団体からは透明性を懸念する声も上がった。

 神野議長は「病院団体として、きちんと監視・監査する必要がある」とした上で、GLの医療保険上の取り扱いについては、中医協の総会で最終決定することから、病院団体に所属する中医協委員を通じて、日病協としての見解を発信していく考えを示した。

■看護必要度の調査、7対1の7割超が回答

 会見ではまた、原澤茂副議長(全国公私病院連盟常務理事)が、春の診療報酬改定で大幅に見直された「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)に関する日病協の実態調査で、7対1病床全体の7割超に当たる約27万床について回答があったことを明らかにした。

 看護必要度は患者の重症度を測る指標で、今回の改定で項目の中身が大きく変わるとともに、7対1病棟に占める「重症者」の割合が「15%以上」から「25%以上」に引き上げとなった。これを満たせない病院(一部を除く)は10月以降、7対1病棟の診療報酬を受け取れなくなる。

 現在、7対1病床は一般病床の半数超を占める。看護必要度の見直しは病院経営への影響が大きいため、日病協では7月、各団体の会員病院を対象にした実態調査を行った経緯がある。

 原澤副議長が委員長を務める日病協の「診療報酬実務者会議」は先月、調査結果に関する中間取りまとめを行ったが、委員から「慎重に公表すべきだ」との声が上がったため、この日の代表者会議での公表は見送られた。

 診療報酬実務者会議では16日に最終報告案をまとめ、23日の代表者会議に示す方針だ。原澤副議長は、「実務者会議でもう一度精査をした上で、13団体共通の意見としてまとめたい」と語った。


  1. 2016/09/03(土) 05:52:02|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<9月3日  | ホーム | 9月1日 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する