Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

9月1日 

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG31H8M_R30C16A8CR8000/?n_cid=NMAIL001
医学論文11本に不正疑い 東大が予備調査
2016/8/31 20:00日本経済新聞 電子版

 東京大に所属する4つの研究グループによる医学系の研究論文に不正の疑いが浮上し、東大が予備調査を始めたことが31日までにわかった。東大は内容を精査したうえで、9月中にも本格的な調査に入るかどうかを決める。

 疑いが浮上しているのは、英の有力科学誌ネイチャーなどに掲載された計11本の研究論文。掲載されたグラフを解析したところ、意図的に加工した疑いがある不自然な点が見つかった。

 8月中旬に東大、文部科学省などに不正を指摘する告発文が届いて発覚した。東大の規定によると、予備調査を開始して原則1カ月以内に本調査に移行するかどうかを決めることになっている。



https://www.carenet.com/news/general/carenet/42529
医師への苦情の第1位は説明不足!? 患者が求めるコミュニケーションとは
ケアネット:2016/09/01

 患者の意思決定支援はどうあるべきかを患者視点から検討する「第2回SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)フォーラム2016『患者視点から考えるヘルスコミュニケーション』」1)が8月25日都内で開催され、3人の患者団体の代表2)3)4)が講演した。

 同フォーラムを主催した厚生労働行政推進調査事業費補助金「診療ガイドラインの担う新たな役割とその展望に関する研究」班の代表である中山 健夫氏(京都大学大学院 医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野 教授)は、診療ガイドラインは、最善の患者アウトカムを目指した推奨を提示することで、「患者と医療者の意思決定を支援する文書」であるという定義を紹介し、とくに不確実性の高い治療選択においてSDMが重要であることを強調した。

他の職種より医師への不満が断トツに多い理由とその改善策とは

 全国の患者からの電話相談事業を実施している認定NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML2)理事長の山口 育子氏によると、医師への不満は、例年相談内容の上位に入っており、全体の約25%を占めることが紹介された。これは看護師や薬剤師など他の医療職種に対する不満と比べて突出して多いという。

 山口氏は「ヘルスコミュニケーション改善のカギは“チーム医療”である」と考えている。患者は希望や意向を医師には正直に言いにくい、ということがしばしば見受けられるため、多様な職種が関わる中での患者の意思決定支援が望ましいことを説明した。

 また、相談内容を分析した結果、医師への不満の背景として、患者や家族が、薬の情報、リハビリテーション、日常生活の疑問、転院に関する問題など医療に関するあらゆる情報や支援などすべてを医師に期待する傾向があるため、このように不満が医師に集中する結果になっていると考えている。医療機関において、チーム医療体制は定着しつつあるが、患者に看護師や薬剤師の役割・専門性について質問しても答えに窮する現状があるという。医師以外の医療職種が何のために存在しているのか、患者に説明される機会はほとんどないため、ぜひそれぞれの医療職種の役割・専門性について患者に伝えてほしいと訴えた。

医師への苦情第1位は説明不足!? 原因は“日本版”インフォームドコンセント

 医師に対する不満や苦情の内容で最も多いのが、非常に基本的な情報に関して「説明を受けていない」というもの。そのような相談受けた際に、山口氏は、本当に説明がなかったのかどうか必ず丁寧に患者に確認するようにしている。すると、実際には手術や化学療法など大きな決断が必要となる場面では、「1時間ほど説明があった」などと判明することがよくあるそうだ。

 この食い違いの原因として考えられるのは、インフォームドコンセントが日本では単に「説明すること」に重きが置かれている点である。治療に関する意思決定が必要な際に多くの場合、患者は専門的な説明を、長い時間にわたり口頭で聞き続けるが、その内容すべてを記憶しておくことは困難である。実際にそのとき話を聞いていたとしても、理解ができていないと、後から「聞いていない」という訴えになってしまうのだ。高齢の患者が増加し、患者自身が説明を理解することが困難なケースも珍しくない中で、どのように必要な情報を共有するかは大きな課題であり、支援ツールの活用などが求められる。

医師から患者に「メモを取ってもよい」と伝えて

 患者は医師に対する遠慮や自身のプライドなどから、理解していなくてもうなずくことがしばしばあるという。よって、「うなずいたから理解している」と思うのは危険であり、患者自身に言語化してもらい、理解を確認することが大切である。また、口頭による説明には限界があるため、理解の補助として、メモや治療に関する資料などの活用も期待される。とくに、患者はメモを取ることが「医療者に対して失礼では」「やっかいな患者と思われるのでは」などと心配し、控えることがあるため、ぜひ医療者から「メモを取ってもよい」ことを患者に伝えてほしいと山口氏は述べた。

インフォームドコンセント、なぜこのタイミング?

 潰瘍性大腸炎患者の参加者からは、手術の具体的な説明が手術前日であったことに対する不満が紹介された。手術の前日は非常に緊張していたため、説明内容をほぼ理解できなかったという。「医療提供者側にもさまざまな事情はあると思うが、もっと前に説明してくれれば落ち着いて聞くことができ、理解できたと思う」と同参加者は述べた。

 これを受けて登壇者の認定NPO法人 健康と病の語り ディペックス・ジャパン3)理事・事務局長の佐藤 りか氏は、同団体が運営する患者体験談データベースではこのような患者自身の医療・健康にまつわる体験動画が閲覧できるため、ぜひ多くの医療者にも活用してほしいと述べた。

(ケアネット 後町 陽子)



https://www.carenet.com/news/journal/carenet/42532
製薬企業から医師への報酬、処方に有意に影響/BMJ
ケアネット:2016/09/01

 製薬企業から医師に支払われる、講演料やコンサルティング料などは、その地域で営業活動が展開されている経口抗凝固薬と非インスリン糖尿病治療薬の、処方日数の増加と結び付いていることが明らかにされた。同処方増は、報酬対象が非専門医よりも専門医の場合であったほうが、有意に大きかったという。米国・エール大学のWilliam Fleischman氏らが、米国306地域の病院医療圏(hospital referral region:HRR)を対象に断面調査を行った結果で、BMJ誌オンライン版2016年8月18日号で発表した。製薬企業から医師への報酬は処方に影響しないと考える医師が多いが、これまでその影響を調べた検討はほとんど行われていなかった。

病院医療圏306ヵ所を対象に調査

 研究グループは、2013~14年の米国高齢者向け公的医療保険メディケアパートDの処方記録(政府サイトで検索・入手可能)を基に、処方頻度の高い経口抗凝固薬と非インスリン糖尿病治療薬の2種について、製薬企業から医師への報酬と、各地域における処方との関連を分析した。対象地域は306の病院医療圏で、製薬企業から医師への報酬としては、講演料、コンサルティング料、謝礼金、贈答品、飲食費、旅費などを含んだ。調査対象は、対象期間中に地域における医師への報酬が100件以上報告されていた薬剤(marketed drugs)とした。

 主要評価項目は、医師が処方した経口抗凝固薬や非インスリン糖尿病治療薬の割合または市場占有率だった。

 306病院医療圏において、対象とした2種の処方薬は、医師62万3,886人により患者1,051万3,173人に4,594万9,454例処方されていた。

報酬が1回増ごとに、糖尿病治療薬の処方日数107日増加

 306病院医療圏において、経口抗凝固薬に関連して97万7,407件、総額6,102万6,140ドルの医師への報酬があった。非インスリン糖尿病治療薬では、178万7,884件、総額1億841万7,616ドルの報酬があった。

 病院医療圏における調査対象薬の市場占有率は、経口抗凝固薬が21.6%、非インスリン糖尿病治療薬12.6%だった。

 病院医療圏において、医師への報酬が1回(中央値13ドル、四分位範囲:10~18ドル)増えるごとに、経口抗凝固薬の処方日数は94日(95%信頼区間[CI]:76~112)、非インスリン糖尿病治療薬の処方日数は107日(同:89~125)、それぞれ増加が示された(いずれもp<0.001)。こうした増加は、報酬対象が非専門医よりも専門医の場合で有意に大きく、経口抗凝固薬の専門医 vs.非専門医の処方日数増は212 vs.100日、非インスリン糖尿病治療薬でも331 vs.114日だった(いずれもp<0.001)。

 また、非インスリン糖尿病治療薬の処方日数の増加について、報酬が飲食費であった場合は110日増であったのに対し、講演料・コンサルティング料の場合は484日増と有意な差が認められた(p<0.001)。

 なお、今回の検討について著者は、「医師への報酬と処方増との因果関係を示すものではなく、所見は一部の限られたものであると解釈するにとどめるべきであろう」としている。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
原著論文はこちら

Fleischman W, et al. BMJ. 2016;354:i4189.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=fleischman+brown+ross



http://news.mynavi.jp/news/2016/09/01/249/
お医者さんになるためには「方言」の勉強が必須!?
[2016/09/01] マイナビニュース

各地方にはそれぞれ独特の「方言」がありますよね。その中でも特にクセのある方言を使用することで知られている青森県。そんな地域で活躍するお医者さんは、医療の知識や技術だけでなく、方言の習得も必須なんだとか。今回はそんなお医者さんと方言の関係についてご紹介します。

■「どさ!」「ゆさ!」……青森県民の会話、あなたは理解できる?

青森県は、方言をよく使う地域の1つです。語尾が「だはんで」や「だっきゃ」だったり、驚くときには「わいは!」と声をあげたり……県外から訪れた人には、まるで何を言っているのかわからないほどです。
なかでも青森県津軽地方で使われている「津軽弁」は「日本で最も難しい方言」「フランス語に似ている」と言われ、長年青森県に住んだ人でなければ、聞き取ることがとても難しいほどです。特にお年寄りの話す方言は難しく、青森県民でも何を言っているのかわからないこともしばしば。
ちなみに、「どさ」は「どこへ行くの?」という意味で、「ゆさ」は「お風呂さ」という意味。
寒い地域ではできるだけ口を開かないよう、短くもごもごと話す方言がよく使われる、という通説もあるそうですが、いくらなんでもこれは短すぎる! と思わずツッコんでしまいたくなりますね。

■お医者さんの卵が、「方言」の勉強を!?

そんな青森県で、お年寄りなど方言の強い人と関わる仕事をする人にとって、津軽弁の習得は必須といっても過言ではありません。特に、命に関わる仕事であるお医者さんや看護師さん、薬剤師の人達にとって「津軽弁の理解」は必要不可欠だといえるでしょう。診察の際に津軽弁がわからなければ、病状や患者さんの悩みを理解することはできませんよね。
そのため青森県のとある大学では、お医者さんを目指す学生のために『医療用 津軽のことば』という、医療にまつわる津軽弁を学ぶためのテキストが配布されています。
テキストには「食べろ」「ください」「かゆい」といった全く異なる3つの意味がある、「け」という言葉や「内容はさまざまなものを含み、表現しつくすことは困難」と訳されている「ガッパどなる」という言葉など、約400もの言葉が収録されていて、津軽で医療を学ぶ学生のマストアイテムとなっているそうです。

■知識や技術だけでは太刀打ちできない! 地域で働くお医者さん

お医者さんは、医療にまつわる専門的な知識や技術を駆使し、患者さんに診察や処方を行うのが仕事です。そんな専門的な分野で活躍するお医者さんですが、地方で働く場合には、医療の専門的知識や技術だけでなく、その地域で使われている方言の習得も重要になるといえます。
現在、人口の約3分の1が65歳以上である青森県。病院を訪れる患者さんも、必然的にお年寄りが多くなります。方言が分からなければ、医療の知識や技術を使用することもままならなくなってしまうので、自分の働く地域で使われている方言の理解が、お医者さんにとって不可欠なのですね。
このようにただ単に人々の体の不調を治すだけでなく、地域の文化や言葉を理解し、その土地で生活する人に寄り添っていくことが、医療の現場で働く人にとっては重要なことなのです。
お医者さんや看護師さんなど、医療にまつわる職業に就きたいと思っている人は、まず自分の地域で話されている言葉や、自分が将来住むかもしれない地域の言葉を勉強してみるのもいいかもしれませんね。

【参照】
http://hirosaki.keizai.biz/headline/387/
http://www.ringodaigaku.com/blog/2010/11/post-190.html
http://news.livedoor.com/article/detail/11781063/
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2012np/



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0901504585/
小学生が模擬外科手術、本物の医療機器で体験〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.09.01 11:55

 小学生に医療への関心を高めてもらおうと、国際医療福祉大学三田病院(東京都港区)で20日、模擬手術などを体験するセミナーが開かれた。

 地元の小学5、6年生27人が参加。同病院の宮崎勝院長は冒頭、麻酔で痛みを抑えながら手術を初めて行った約150年前から、生体肝移植が可能になるまで進歩した外科医療の歩みを説明し、「外科は医療の中で大事な役割を担っている。その意義、おもしろさ、ちょっと大変なところを感じてほしい」と呼びかけた。

 模擬手術の体験では、手術用のガウン、手袋を身に着けた子どもたちが、実際の手術に使う医療機器で様々な手技に挑戦。超音波メスで鶏肉のかたまりを切り分けたり、内視鏡手術のトレーニング機器を用いて、モニターの映像を見ながらビーズを 鉗子かんし で挟んで移動させたりするなど、細かな作業に真剣な表情で取り組んだ。

 本物の医療機器を使った模擬手術を初めて体験したという小学5年の男子児童(11)は、「超音波メスで鶏肉がきれいに切れたのにはびっくりした。外科医は大変な仕事だけど、将来なってみたいと思った」と話していた。

(2016年9月1日 読売新聞)



https://www.m3.com/news/general/454851
人件費、出張旅費が不明瞭 国補助金で鳥取大医学部
大学 2016年9月1日 (木)配信共同通信社

 鳥取大医学部(鳥取県米子市)は31日、文部科学省と厚生労働省から交付された計約3億円の補助金の一部を目的外使用したとされる問題について記者会見し、人件費や出張旅費などが不明瞭との指摘を両省に受けていることを初めて認めた。

 また、内部通報を受けて7月に設置した大学の調査委員会を既に2回開催したとし、9月までに一定の結果報告を出す方針を明らかにした。

 鳥取大医学部には文科省が2013~16年度に「未来医療研究人材養成拠点形成事業」として約2億4千万円、厚労省が14~16年度に「医療機器開発推進研究事業」として約6千万円を交付。大学によると、うち人件費として文科省事業で約1億円、厚労省事業で約650万円が配分されている。文科省は目的外使用の有無を確認するため25日に調査。厚労省も大学に調査を要請している。

 会見で清水英治(しみず・えいじ)病院長は「調査委などの結果を待ち、必要があれば是正、改善を行う」と話した。



https://www.m3.com/news/general/454931
勤務医数 震災前より増 福医大定員増が奏功
地域 2016年9月1日 (木)配信福島民報

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後、一時大幅に減った県内の病院勤務医数は年々回復し、4月1日現在で震災前より87人多い2106人となった。県は福島医大の入学定員を増やすなど、以前からの医師確保策が成果を上げたとみている。一方、避難区域を抱える相双地方は回復傾向にあるが、医師数が減少したままで、県は同地方の医療機関に対する支援に力を入れる。

 県が30日までに震災以降の医療の復興状況を調べた。

 県内には平成23年3月1日時点で2019人の勤務医がいた。しかし、震災と原発事故後は相双地方を中心に病院の休止や医師の避難などが相次ぎ、24年4月1日時点では1954人と23年3月より65人少なくなった。その後は公的病院の多い県北、会津両地方などで増加。今年4月1日時点の勤務医数は前年同期比65人と大幅に増えた。

 震災前より県南、いわきは若干増え、南会津は同数となっている。一方、相双と県中両地方は震災前に比べ減少している。

 勤務医数が増え続けている要因について、県は20年度以降、福島医大の医学部入試の定員を毎年5~15人ずつ増やし、卒業後に県内の公的病院などで勤務することを入学の条件とする「地域枠」を設けたことが成果につながったとみている。各病院が被災地の医療を学べるなど研修医向けの教育課程を充実させたことも功を奏したと分析している。

■人材の受け皿づくり急務 相双地方、不足続く

 勤務医以外も含めた県内の医師数は全国平均を大きく下回っている。人口10万人当たりの医師数(26年末)を診療科別で見ると、小児科が10・7人(全国平均13・2人)、産婦人科が6・5人(同8・7人)と少ないのが実情だ。

 相双地方は24年4月から病院勤務医は毎年増え続けているが、震災前に120人いたのが今年4月で90人と2割以上減ったまま。病院数に対して不足する状態が続いている。病院数の多い地方で医師の定着が進む中、相双地方は元々あった16病院のうち少なくとも5病院がまだ再開しておらず、医療人材の受け皿づくりが急務となっている。

 県は30日の県議会各会派の政調会で、9月定例県議会に提出する一般会計補正予算案に、避難区域の医療機関の再開支援に向けた事業費など8億円を計上する方針を示した。県医療人材対策室は「来年3月までに居住制限、避難指示解除両区域が解除されれば、県内の医療需要は大きく変化するだろう。県民の健康を守るため、医療の復興に一層力を入れたい」としている。



https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=278959&comment_sub_id=0&category_id=256
子どもの用法用量明示 薬の添付文書、厚労省促す方針
2016/9/2 中国新聞

 医療用医薬品に関し、子どもへの用法・用量が示されていないケースが多い状況を受け、厚生労働省が来年度から、添付文書に用法・用量の目安や、安全に関する情報を記載するよう製薬企業に促すことが1日、分かった。製薬企業による臨床試験(治験)の多くは採算性の問題などから大人のみを対象とし、子どもの効果や安全性が確認された薬は非常に少ない。医師の判断で使う「適応外使用」が常態化しており、医療機関を通じて集めたデータを活用して安全性の確保を目指す。
 厚労省は既に、国立成育医療研究センター(東京)に「小児医療情報収集システム」を構築。約40医療機関から集めた約14万人分の小児患者に関する医薬品の投与量や投与方法、副作用などの情報をデータベース(DB)化している。
 同省は来年度、同センターに医師や薬剤師らによる検討会を設置。DBなどの医薬品の情報を分析した上で、子どもに投与する際の用法・用量などを添付文書に記載するよう製薬企業に促す方針だ。
 医薬産業政策研究所の調査によると、2003年4月~09年1月に発売された薬(207品目)のうち、添付文書に子どもの用法・用量が記載されていたのは3割にとどまっていた。また厚労省によると、多くの薬では添付文書に「小児に対する安全性が確立されていない」との文章が記されている。
 そのため医療現場では、海外での使用例や過去の経験などに基づき医師の裁量で使用しているのが実情という。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160901-OYTET50018/
ニュース・解説
病院の被災に備えて…災害医療情報システム導入が急務

2016年9月1日 読売新聞

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 医療救援チームが被災地の病院や避難所の状況を迅速に把握して活動するため、ICT(情報通信技術)を活用した災害医療情報システムの開発、普及が進められている。4月の熊本地震でも一部が活用され、一定の効果を上げた。しかし、地域によって対応に差があるなど課題もある。(編集委員 田村良彦、熊本支局 今村知寛)

■「病院の安否確認」

 「自分の病院が被災したと想定し、EMIS(広域災害救急医療情報システム)に入力してみましょう」

 宮崎県小林市で8月中旬に行われた災害医療研修会。県西部の病院や保健所、医師会、消防本部などの30人以上が参加し、パソコンを操作していた。病院側が建物、電気・水道、患者や職員の状況などを入力し、自治体側が各病院が機能しているか、支援が必要かなどを判断するシステムだ。

 過去の震災では職員が使い方を知らず、情報の伝達や対応が遅れたケースもあり、今回の研修会では「命を扱う病院施設の安否確認」の重要性を再確認した。同様の研修会は今年度、県内全域で行われる予定だ。

■熊本地震の被災地では

 「被災して入院患者らを避難させた病院の多くがEMISに登録されていなかった」。熊本地震の本震が起きた4月16日、熊本県 益城ましき 町に入った日本DMAT(災害派遣医療チーム)事務局の近藤 久禎ひさよし 次長は、こう振り返る。患者を避難させた11病院のうち8病院が未登録で、DMAT事務担当者らが急きょ登録し、情報を入力できるようにした。

 一方、登録済みだった熊本市民病院は、「建物倒壊の恐れ有り」と被災状況を入力し、数分後にはDMATから打ち返しがあったという。熊本県は「登録促進に向けて対応する」としているが、具体策は検討中だ。

■病院登録率に差

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 システムが機能するには、都道府県の加入と病院の登録が欠かせない。2011年の東日本大震災発生時、全国で宮崎、鹿児島、長崎など7県が未加入だった。その後、宮崎県が従来ある県の救急情報システムを活用して全病院で使えるようにするなど、今は全47都道府県が加入済みだ。

 ただ病院の登録率には差がある。国は東日本大震災後、全病院の登録を進めるよう通知したが、具体的な対応は都道府県に任されている。九州で最も登録率が低い福岡県(31%)は「病院数が多く、まずは救急病院を対象にしていた。ただ、熊本地震の事例もあり、年内に全病院を登録する予定だ」としている。           ◇

EMIS  1995年の阪神大震災を教訓に、96年から導入が始まった。インターネットを活用し、専用のホームページを介して情報の入力や閲覧を行う。システムを所有するNTTデータと、国や都道府県が利用契約を結び、医療機関を登録。2年前から避難所も登録できるようになった。費用負担は国が年間4700万円、都道府県が同500万円程度、医療機関に負担は生じない。

■熊本地震で新システム導入
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CリスクJSPEED患者数0831二筑後

 どんな病気や症状の患者がどれくらい発生しているのか――。熊本地震では、医療救護チームが診療した患者情報を毎日集計するシステム「J―SPEED」(災害時診療概況報告システム)が、初めて試験的に導入された。

 国際緊急援助隊の経験が豊富な産業医大(北九州市)の久保達彦講師が、2013年にフィリピンを襲った台風の際に使われたシステムを改良。該当項目をチェックする簡便な報告用紙を準備した。

 4月25日から運用を開始。医療救護チームが、診療した被災者の年齢や性別のほか、発熱や傷、ストレス症状の有無など約30項目をチェック。報告用紙はその日のうちに対策本部に集められ、データ入力が行われる仕組みだ。

 久保講師は「患者数や病気の種類の変化が可視化されることで、感染症や心のケアに迅速に対応できる。必要人員など適切な活動規模を判断する目安にもなる」と話す。

■3条件を整え、人材育成が重要

  小井土こいど 雄一・国立病院機構災害医療センター臨床研究部長の話

 「災害医療において、情報がなければ戦略が立てられない。EMISという情報ツール(手段)と、使える人が複数いること、衛星回線でつなげられることの、三つの条件を整える必要がある。研修などの人材育成も重要だ。J―SPEEDは、熊本地震での取り組みが大きな一歩になり、災害医療での標準になっていくことが期待される」



http://mainichi.jp/articles/20160901/ddl/k11/010/142000c
久喜市
補正予算案 栗橋病院に運営費 補助金4791万円 /埼玉

毎日新聞2016年9月1日 地方版 埼玉県

 久喜市は、社会福祉法人恩賜財団「済生会栗橋病院」(同市小右衛門)の運営補助金4791万円を計上した一般会計補正予算案を1日開会する9月定例市議会に提出する。可決されれば、市が病院の運営費を補助するのは初めてになる。

 市によると、地域医療の充実などを図る狙いがあり、重篤な救急患者に対応する「3次救急病院」を目指してほしいとの思いも込めている。

 市はこれまで、市内の競艇場外発売所「ボートピア栗橋」の収益の一部が入る基金から、同病院が備品を購入する際に5000万円を上限に半額を補助してきた。今回は「運営費」として施設修繕なども含めて支援する。

 同病院を巡っては、老朽化などを理由に病院の一部機能を加須市に移す計画が浮上し、今年3月、加須市長が病院長と「覚書」を結んだ。

 これに対し、久喜市側は「事前に何の相談もなかった」と反発。市議会が移転計画の白紙撤回を求める決議を採択し、市と市議会が6月、済生会本部や栗橋病院に出向き、計画についてただした。

 遠藤康弘・栗橋病院長は「病院の再整備に関する構想・計画案はまだ作っていない。病院が地域にどう貢献できるのか、医療の需給バランスや自治体の政策、地域の要望を踏まえて考えていく」としている。【栗原一郎】



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49414.html
断定的「医療無用論」と基本姿勢異なる- 持続可能な医療のために(11)
2016年09月01日 08時00分 キャリアブレイン

 米国発のChoosing Wisely(医療における「賢明な選択」)キャンペーンは、患者にとって望ましい医療について医師と患者との対話を促進することを目指しているが、同キャンペーンの日本国内での普及に尽力する一般財団法人東光会七条診療所(京都市)の小泉俊三所長は、Choosing Wiselyは一時期、行政用語として用いられた「医療費適正化」とは無縁であり、現代医療を断定的に全否定する医療無用論とも基本姿勢が異なると強調する。【君塚靖】

 Choosing Wiselyの源流をたどると、米国内科認証機構(ABIM=American Board of Internal Medicine)財団、米国内科学会(ACP=American College of Physicians)、内科学欧州連合学会が2002年に発表した「新千年紀プロフェッショナリズム医師憲章」にさかのぼる。それ以降、米国では毎年、ABIM財団主催のフォーラムが開催され、11年のテーマに、Choosing Wisely:The Responsibility of Physicians, Patients and the Health Care Community in Building a Sustainable System(持続可能な医療システムを構築するための医師、患者、医療界の責任)が取り上げられたのがきっかけである。

 小泉所長に聞いた。

 Choosing Wiselyは、患者中心の持続可能な医療システムをつくり上げるための医療職の取り組みですが、かつて使われた行政用語としての「医療費適正化」とは似て非なるもので、コスト削減を主眼にはしていません。また、現代医療を全否定する医療無用論とも、その基本的な姿勢を異にします。

 一部の医療無用論は、がん医療について欧米の臨床研究も引用し、EBM(Evidence based medicine)手法も積極的に援用して、医療の有効性の検証に言及しますが、いつの間にか論旨を微妙に変え、断定的な語り口で現代医療を切って捨てています。

 その断定的な語り口が一部で支持を得ている理由のようですが、現場の医療者と患者の対話を通じて意思決定を共有して、「賢明な選択」を目指すChoosing Wiselyキャンペーンとは、その基本姿勢を異にするものです。

 Choosing Wisely キャンペーンは、ABIM財団のフォーラムの中で、患者の益に結び付かない「過剰な医療」を回避しようという文脈で語られてきていることからも分かるように、患者の価値観を尊重し、患者にとって最も有益な医療を実現しようというもので、最近、紹介された「Values-Based Practice(VBP:価値に基づく診療)」と共通するところも少なくありません。

 これまで、Evidence-Practice Gap(エビデンスと臨床現場の隔たり)といえば、臨床的有用性、いわゆるエビデンスがあるのに実施すべき医療が実施されていないことを指していました。一方でChoosing Wiselyキャンペーンは、エビデンスがないのに実施されている「過剰な医療」に着目するという、医療技術評価論の立場からすると、患者に対して、Low Value Care(低価値な医療)が提供され続けてはいけないという警鐘の意味もあります。

 ただし、ここで気を付けなければいけないのは、最近、米国で用いられているHigh Value CareやLow Value Careなどの用語が、マイケル・ポーターをはじめとする医療経済学者が用いる図式(価値=アウトカム/費用・コスト)を下敷きにしていることです。もちろん、費用・コストには金銭的支出以外の不利益も含まれますが、どうしても短絡的に医療費と結び付けられる傾向があります。

■Choosing Wiselyキャンペーンの「5つのリスト」は進化するEBMの現在形

 Choosing Wisely キャンペーンは医療職のプロフェッショナリズムに基づいた活動ですが、一方では、今、お話ししたように、EBMと密接なつながりがあります。Choosing Wiselyキャンペーンが注目されたのは、米国で、専門学会に無駄な医療について「5つのリスト」の提出を求めたところ、ほぼすべての臨床系学会がこれに応じたためですが、この「5つのリスト」は有効性の証明されていない医療に関するエビデンス集そのものであり、進化するEBMの現在形そのものであると言えます。Choosing Wiselyキャンペーンを推し進めていくことが、現代医療のパラダイムシフトをもたらしたといわれるEBMの原点をいま一度、見詰め直すことにつながっています。

 EBMの先駆者であるDr. David Sackettは、EBMを説明する上で、 ▽臨床研究から得られた根拠 ▽患者・家族の思い(価値観) ▽臨床現場の個別状況(施設、機器、マンパワーのほか、医療者の経験や専門性などの臨床能力)―の3要素を挙げています。EBMを実践するためには、患者・家族の思い(価値観)を重要視すべきことを、Sackett自身が、最初から提唱していたことを、ここで再認識する必要があります。

 米国では、ABIMやACPのイニシアチブでChoosing Wiselyキャンペーンが始まりましたが、わが国でも医療界のリーダーが大所高所に立って、過剰医療の課題に言及し、その実態を直視する機運が医療界全体に広がることを期待しています。

 それには、わが国の実情を勘案しつつ、医療界全体が医療専門職能集団(プロフェッション)の立場から、学会横断的に無駄な医療に関するリストを公開するよう、各学会に呼び掛けるなどの取り組みが考えられます。また、診療ガイドラインの在り方としては、エビデンスがないのに実施されている無駄な診療行為についても積極的に情報発信し、有用性に関するエビデンスのない診療行為については、「○○は推奨しない」といった表現で注意喚起をすることも重要になってくると思います。

■Choosing Wiselyキャンペーンは現場の医師がリード

 Choosing Wiselyキャンペーンについての国内での取り組みは、14年5月に徳田安春・地域医療機能推進機構(JCHO)本部総合診療顧問監修の「あなたの医療、ほんとはやり過ぎ?―過ぎたるは猶及ばざるがごとしChoosing wisely in Japan ― Less is More 」(ジェネラリスト教育コンソーシアム vol. 5)が刊行され、同年11月に、医療の質・安全学会主催の「医療の質・安全国際フォーラム」で取り上げられたのが始まりですが、今年10月15日には、Choosing Wisely Canada 代表のLevinson教授(Toronto大学)をお招きして、Choosing Wisely Japanの発足を記念したキックオフセミナーを開催します。

 米国Choosing Wisely のリーダーであるABIM財団のWolfson教授も、以下の6点がキャンペーンの基本であることを強調されています。

1.(保険者/政府主導ではなく)臨床医主導。臨床医と患者との信頼構築に重要
2.キーメッセージは「ケアの質」と「害の予防」。「コスト削減」ではない
3.臨床医・患者間コミュニケーションが中心。患者や患者団体がキャンペーン企画・実施に関与する
4.キャンペーンから発信する推奨はエビデンスに基づき、継続的に検証する
5.多職種連携。可能な限り医師、看護師、薬剤師、そのほかの医療職を含む
6.透明性。推奨策定のプロセスは公にし、利益相反は明示する

 医療者と市民・患者との対話を促進し、意思決定の共有を実現することは、Choosing Wiselyキャンペーンの主眼ですが、これを実現するには、市民団体・消費者団体とのコラボレーションが欠かせません。また、国民を対象とした幅広い啓発活動を推進するには、医療ジャーナリズムやマスメディアの理解と関与が求められます。

 これと並行して、医療現場の意識改革を進めるためには、病院のリーダーのイニシアチブと共に、医学生や若手医師を対象とした教育も有効だと考えています。次世代の医師が臨床推論や臨床マネジメントに関する実践的な研修を通じて、Choosing Wiselyキャンペーンで強調している“Value”について考えるようになれば、おのずと医師・患者関係をはじめとする臨床現場の文化が変化していくと思います。

 さらに、薬剤師や看護師がこのキャンペーンに加われば、多職種連携により、患者との対話を、より一層推進することにもなると考えています。Choosing Wiselyキャンペーンには、大きなポテンシャルがあり、今後、わが国でも急速に普及することが期待されます。



http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=49364
県民交流会「メディぺチャ」から学ぶ- 持続可能な医療のために(10)
2016年08月18日 08時00分 キャリアブレイン

 米国発のChoosing Wiselyは、患者の価値観に基づく医療(VBM=Value based medicine)を実践する手段であるほか、医師と患者のコミュニケーションを深めるためのツールとしての役割がある。そこで、医療を受ける立場の県民から医療などに対する意見や要望を聞く場である「メディペチャ」を主催する福岡県医師会の堤康博副会長に、医師と患者の情報格差を縮めるための工夫や「かかりつけ医」の役割などについて聞いた。【君塚靖】

 メディペチャは、「医療=メディカル」について「ペチャクチャしゃべる」ことを意味する造語。同県医師会が主催する医師と県民が意見を交換するイベントだ。すでに13年の歴史を持つ。医療や医師会などに対して、意見や不満などを持つ県民にモニターとして参加してもらったり、公開イベントとして、県民公開講座を開催したりしている。

 堤副会長にインタビューした。

 14回目となる今年のモニター募集は終わり、会合が始まりました。メディペチャのモニターには原則、医療関係者は入れません。また、極端に偏った意見を持っていたり、個人攻撃を目的としたりする人の参加は、お断りしています。モニターになるためにはまず、書類選考のための作文を書いてもらっています。その中では、できるだけ不満を持っている人を選んでいます。実際にそのような人は扱いにくいのですが、そのような人を選ばないと意味がないからです。

 メディペチャは、県民向けの広報としてスタートしました。医師会の広報は、それ以前は1対「多」でした。例えば、研修会、講習会などがこれに当たります。これらは、確かに広くメッセージなどを訴えられますが、印象に残らないのが欠点です。つまり、一方向の情報提供は、十分な理解にはつながりにくいのです。

 そこで、少人数でじっくりと話ができないだろうかということで、メディペチャが始まりました。しかし、医師会の担当者が最初から出ていくと敷居が高くなり、話しづらいかもしれないということで、最初にモニターに集まってもらい、第三者が意見を集約、それに対して医師会が回答。それを受けてモニターから提案をしてもらっています。

 メディペチャを始めたころは、大変なストレスでした。いろいろな不満がぶつけられたからです。しかし、回を重ねるごとに、県民は何に疑問を持っていて、何に不満を持っているかなどが分かり、距離は一気に縮まってきた感じを持っています。不思議なもので、疑問や不満を思う存分に言った人は、その次に会ったときには、こちらの話を「聞く耳」を持ってくれるようになります。

■医師会の推進する「かかりつけ医」に質問も

 メディペチャでは、医師会が今、推し進めている「かかりつけ医」に関する質問もよく出てきます。

 「かかりつけ医はどのように見つけるのか」「何をもってかかりつけ医なのか」といったたぐいの質問です。これは地域によって、お答えの仕方を変えています。都会に住む人と、田舎に住む人とで状況が違うからです。

 厳密に言うと、患者さんの考える「かかりつけ医」の定義は多様で、1回でも受診すれば、「かかりつけ医」と考えることができます。「かかりつけ医」を持てば、病院選びに迷わなくなるなどと説明しています。ポイントとしては、▽自宅の近くで、いつでも受診できる医院の医師▽家族構成や周囲の環境、仕事内容など自分のことを知っている医師▽自分の性格に合った医師―などを挙げています。
 
 また、メディペチャの活動の一環で、県民公開講座を年2回開催しています。そこでは、専門家などによるシンポジウムをやっていますが、メディペチャの一部のモニターには、シンポジストとして参加してもらっています。医師会が、県民に話し掛けるだけではなく、モニターである県民が県民に話し掛ける効果を期待しています。メディペチャに倣って、石川県医師会では井戸端会議をもじって、「メディバタ」を開催しています。似たような取り組みが、全国に広がっています。

■根本には医療の不確実性と情報の非対称性

 以前から医療否定本が医療現場で混乱を生んでいたり、最近だと、週刊誌が「この治療を受けてはいけない」「この薬は飲んではいけない」といった特集記事を掲載して、話題になったりしています。

 これはインフォームド・コンセント(IC)の議論にも通ずるのですが、ICの後にインフォームド・チョイスやインフォームド・セレクトという流れになりました。ICは、医師が説明したことに、患者さんが同意することです。医師が提供したことに対して患者が積極的に選んでいくという意味で、インフォームド・チョイスになったわけですが、しかしながらある時期から、インフォームド・チョイスは患者さんにとって、負担が大きく、少し酷ではないかとの指摘も出てきて、再度ICに戻って来たりしています。

 医療では、治療などについて相談する相手は誰なのかという問題になります。それは、果たして週刊誌でいいのか、それをもって判断していいのかということです。医療には、特殊性があります。例えば、週刊誌に「ある手術は必要ない」と書いてあったとします。それにより本来、その手術が必要な人までも、手術をしなくなるかもしれません。

 つまり、医療とは自分の状態とか、症状に応じて、「かかりつけ医」と相談しながら、自分にとってよりよい治療方法などを模索していくものです。この作業をするために、「かかりつけ医」が必要なのです。

 根本には、医療の不確実性と情報の非対称性があります。スーパーで買い物をするときには、チラシにトマトや肉がいくらなどと値段が書いてあって、消費者は商品を選ぶことができます。しかし、難しい病名を言われて、何をすれば治るのかという話になったときや、治療費がいくらかかりますとかとなったときには、全然分からなくなります。それについて、週刊誌を読んで分かるわけがないのです。

 薬には常に、作用があれば、副作用があります。「かかりつけ医」は、処方した薬の作用を見ながら、その患者が高齢であるかどうかや、薬の効き方の男女差などの個別性に配慮したりします。治療を継続していく上では、「かかりつけ医」が非常に大事なのです。

 私も外来診療をしていて、患者さんからいろいろな質問を受けます。週刊誌にこう書いてあったとか、さまざまなことを聞かれます。そのときは、検査データなどを示しながら丁寧に答えるようにしています。副作用についても、人それぞれだということも説明しています。また、今、合っている薬をやめる方が、リスクが大きいことを説明したりしています。



http://diamond.jp/articles/-/100536
出口治明の提言:日本の優先順位【第147回】
実は医療費が多い国だった日本に「定年制の廃止」が必要な理由

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
2016年9月2日 ダイヤモンドオンライン

 僕は昨年8月に出版した「日本の未来を考えよう」の中で次のように書いた。「少ない医療費(≒G7の中では、医療費が最もかかるアメリカ、2番手であるフランス・ドイツ・カナダに次ぐ第3グループが日本・連合王国・イタリア)で世界一の長寿国を実現している日本は、これまでは非常に効率のいい医療制度を持っていた(P180)」と。

 ところが、8月4日に医療経済研究機構が公表した「OECD基準による日本の保健医療支出について」を読んでびっくりした。OECDの新基準(A system of Health Accounts 2011)に準拠して日本の保健医療支出を計算するとわが国の医療費はアメリカ、スイスに次いで世界第3位となり、G7の中ではむしろ医療費のかかる方の国になってしまっていたのである。

旧基準と新基準では6兆円もの開き

 まず、OECD35ヵ国の2014年度のデータを虚心坦懐に眺めてみよう。
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 これを1人当たり保健医療支出に置き換えると次の通りとなる。
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 わが国の2014年度の保健医療支出は旧基準でみると49兆2059億円だが、新基準でみると55兆3511億円と実に6兆円以上も上振れする。新基準と旧基準の主な差は、食事・入浴等のADL(Activities of daily living、日常生活動作)に関する介護サービスが計上されたこと等によるもので、先進国の中で最も高齢化が進んでいるわが国が直撃された形となっている。

 もっとも、諸外国が新基準に対してどのような対応を行ったかについてはまだ不明確なところもあるので、一喜一憂したり大袈裟に騒ぎ立てたりする必要はないだろう。ただG7の中で医療費の少ない国という思い込みだけは捨てたほうがいいと考える。新基準をベースに、わが国のこれからの医療制度の在り方を、一旦ゼロクリアして考え直すいい機会が与えられたと思えば、それでいいのではないか。

数字(データ)やファクトは更新されるもの

 今回のデータの洗い替えが示唆するものは何か。それは数字(データ)やファクト(事実)は常に更新されるものであるという、科学の世界ではごく当たり前の常識が改めて明らかにされたことではないか。1人として同じ人間がいないように、1つとして同じ国はない。OECDに加入している35ヵ国は全部ちがうのだ。ただ横並びで比較するために、さまざまな物差しをOECDは作成している。その物差しは常に新しくなっているので、それに伴って数字(データ)も変わってくるのは当たり前のことだ。数字(データ)やファクトが更新されるということは、科学の世界と同じようにより真実の姿に近づくことだと素直に考えればいいだろう。

 総合科学である歴史の世界でも全く同じことが言える。僕は秦の始皇帝の名前を「政」と習った。「史記」にそう書かれていたからである。しかし、昨年出版された「人間・始皇帝」(岩波新書)では始皇帝の名前に「正」の字を当てている。なぜか。始皇帝と同時代の木簡や竹簡が新しく発掘され、そこには「正」と書かれていたからである。このように、数字(データ)やファクトは常に更新されていくものなのだ。

定年制を廃止することによって健康寿命の延伸を

 新基準によって保健医療支出が6兆円も上振れしたのはADLに関する介護サービスが主因であることは前述した通りだが、では、どうしたらいいか。誰が考えてもADL(食事、更衣、移動、排泄、整容、入浴など)が自分で行える健康寿命を延伸する以外に方法はないと考える。

 健康寿命を延ばす方法を、3年ほど前に医師10人に尋ねたことがある。答えは異口同音に「働くこと」であった。そうであれば、わが国が採るべき政策は当欄で前にも述べたように、定年制の廃止以外にはない。

 人口ピラミッドが正常な姿をしている社会では「敬老原則」(≒たくさんの若者が働き少数の高齢者を支える)が基軸となるが、わが国のような超高齢社会(≒若者が高齢者を肩車する)になると敬老原則の継続はとうてい不可能となる。そういった社会では「年齢フリー原則」(≒年齢による差別をすべてなくし、貧窮者に給付を集中する)をベースとして社会のインフラを組み替えていく必要がある。高齢化の先進国、ヨーロッパ諸国が行ったように、「所得税から消費税への移行(高齢者にも負担してもらうには消費税がベスト)」、「マイナンバー制の実施(貧窮者を特定するため)」等がその骨格となろう。

 定年制の廃止も年齢フリー原則社会の1つの柱である。定年制を採っている先進国はどこにもない。グローバルな採用基準は、働きたいか(意欲)、職場に来られるか(体力)、パソコンが使えるか(スペック)の3点だけである。

 次に、定年制の廃止を政府が宣言すれば、ほとんどすべての企業は年功序列賃金を同一労働・同一賃金に移行させるであろう。これは政府の目指す方向と整合的である。

 第3に、団塊世代の退出に伴ってわが国の労働力は大幅な不足が見込まれており(2030年には現行に比べ労働力が実に800万人も不足すると推測されている)、この点でも定年制の廃止は整合的である。もちろん、このような労働力不足社会では、高齢者が若者の職を奪うような事態は一般論としては考えにくい。

 この他、定年制を廃止すれば、年金や医療等の社会保険制度も安定し(受け取る側から支払う側へ移行)、また年をとるまでにいくら貯蓄しなければならない等と悩む必要もなくなるだろう(こういった老後不安は定年制を前提とした考え方から生じている)。

 定年制を廃止したら、認知症になった従業員はどう処遇したら良いのか。心配は無用である。「年齢にかかわらず」認知症になった(≒仕事ができなくなった)従業員に退職してもらうのは、経営者の基本的な仕事の1つであるからだ。政府の英断が待たれるところである。


  1. 2016/09/02(金) 06:29:14|
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