Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月31日 

https://www.m3.com/news/general/454504
患者死亡で2千万円賠償へ 岐阜市民病院
2016年8月31日 (水) 共同通信社

 岐阜市民病院(岐阜市)で昨年12月、脳症の治療中、血糖値の確認を忘れたため糖尿病の合併症で患者が死亡する医療事故があり、岐阜市は30日、同市の70代女性の遺族に約2千万円の損害賠償を支払い、示談にする方針を発表した。

 同病院によると、女性が受けていた治療法は血糖値上昇などの副作用がある。女性は糖尿病を患っていたため、血糖値を毎日、確認する必要があったが、治療開始前の1度しか計測していなかった。主治医は病院側の聞き取りに「失念していた」と話したという。

 冨田栄一(とみた・えいいち)院長は「適切な処置を取っていれば防ぐことができた。再発防止に努める」と述べた。



http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20160831/201608310921_27945.shtml
薬大量投与、女性死亡 岐阜市民病院
2016年08月31日09:21 岐阜新聞

 岐阜市民病院は30日、昨年12月に脳症の70代女性患者に対し血糖値を確認せず大量のステロイドを投与したため、高浸透圧高血糖症候群で死亡する医療事故が起きたと発表した。患者が糖尿病であることを担当医が忘れていたことが原因。病院は全面的に過失を認め、遺族に賠償金2033万1479円を支払うことで示談した。

 同院によると、女性は意識障害で入院、発症率が極めて低い自己免疫疾患「橋本脳症」と診断された。昨年12月1日から点滴でステロイドを大量に投与したところ、9日後に脱水などの症状が現れ始め、12月11日に死亡した。ステロイド大量投与は、血糖値を上昇させる副作用がある。

 女性は糖尿病を抱えていたが、担当した内科の男性医師は血糖値の確認を一度も指示していなかった。

 冨田栄一院長は会見し、「(男性医師は)極めて珍しい病症に気を取られ、血糖値のモニタリングを失念してしまったようだ。チーム医療が機能せず、反省している」と陳謝した。

 市は損害賠償支払いに関する議案を9月2日開会の市議会に提出する。



http://www.asahi.com/articles/ASJ802Q34J80UBQU00D.html
ステロイドパルス療法中に患者死亡 岐阜市民病院
2016年8月31日08時14分 朝日新聞

 岐阜市民病院で昨年12月、ステロイドを短期間に大量投与する「パルス療法」を施した患者が死亡する医療事故があった。冨田栄一病院長らが30日に市役所で記者会見し、明らかにした。

 病院によると、昨年11月30日、当時70代後半の市内の女性が意識障害で緊急入院。免疫機能の異常を伴う「橋本脳症」と診断された。女性は急性期で死亡する危険もあったため、20代後半の男性主治医が同療法を採用。ステロイドの一種「糖質コルチコイド」を1日1千ミリ投与した。

 同療法は3日間投与し、4日間は安静にさせて1回とする。1回目の治療で改善傾向が見られ、2回目も同じ療法をとったが、途中で容体が急変。同療法の副作用で血糖値が急上昇し、脱水症状や血液の循環不全を伴う「高浸透圧高血糖症候群」を発症したため、12月11日に死亡した。

 患者は糖尿病を患っており、同療法をする際は通常、血糖値の確認をするという。しかし、患者の血糖値を計測したのは入院時のみで、それ以降は主治医も部長を含む上司も確認しなかったという。

 病院側は同療法をする際に必要な検査事項が確認できる電子カルテを導入するなど再発防止に努めるとしている。市は遺族への損害賠償金約2033万円を市議会9月定例会に出す補正予算案に盛り込んだ。



https://www.m3.com/news/general/454570
【宮城】<再生する地域医療>地域完結型の体制構築
2016年8月31日 (水 河北新報

 東日本大震災で被災した石巻市立病院(宮城県石巻市)がJR石巻駅前に移転新築され、9月1日診療を再開する。被災から約5年半、再建の指揮を執った伊勢秀雄病院長(67)に抱負を聞いた。

◎石巻市立病院9月再開/伊勢秀雄病院長に聞く

<複数疾患に対応>


 ―新病院の特徴は。

 「急性期から慢性期まで対応する。急性期に特化していた東日本大震災前より対象領域が広がる。石巻地域で切れ目のない医療を完結させたい」

 「石巻市医師会による在宅医療を支援する。患者が一時的に入院が必要になれば市立病院で受け入れ、治療して良くなれば再び在宅に戻る流れになる」

 ―診療科目は震災前の14から6に減った。

 「これまで臓器別に循環器科や消化器科などとしていたが、総合内科として患者全体を診る。高齢者は一つの疾患だけでなく複数の病気を持ち、その部分だけの対応では済まないことが多い」

 ―緩和ケア病棟の狙いは。

 「以前からがんの末期患者は入院していたが、緩和ケアと称するほどの態勢ではなかった。緩和ケアに限った病棟は石巻圏域で初めてで、地域で医療を完結できる体制を構築する」

 ―石巻赤十字病院とどう連携するのか。

 「競争ではなく、互いに補完する位置付け。赤十字病院は急性期対応で24時間の救急態勢を完備する。治療で快方に向かい、もう少し入院治療した方が社会復帰しやすい患者もいる。そうした患者を受け入れる」

<高い利便性確保>


 ―懸念する声がある新病院周辺の渋滞対策は。

 「救急車については、消防署が踏切の遮断時間も含めて詳細な情報を持っている。病院建設中も工事車両による渋滞が懸念されたが、大きな支障はなかった。再来院は予約制を取るので、うまく分散できるようにしたい。駅前はバスと電車が使え、高齢化を考えると立地は極めて良く、利便性が高いメリットがある」

 ―被災からの再開に5年半がかかった。

 「当事者としては長かった。被災者も同じ思いだと思う。ただ、通常、計画的に病院建設を進めても、3年半から4年はかかる。被災地にあって極端に遅いわけではなかったと思う。真価が問われるのはこれからで、良質の医療サービスを地域に提供していきたい」



https://www.m3.com/news/iryoishin/454627
医療保険オンライン資格確認、「地域ごと段階的導入を」
日本ユーザビリティ医療情報化推進協議会が政策提言

2016年8月31日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本ユーザビリティ医療情報化推進協議会(JUMP、理事長:森田朗・国立社会保障・人口問題研究所所長)の資格確認システム検証PJ委員会は8月31日に記者会見を開き、政策提言「オンライン資格確認システムの実現と普及に向けて~マイナンバーを用いた医療の実現~」を公表した。

 レセプトオンライン請求ネットワークを利用していない医療機関でも、オンライン資格確認システム対応できる方法を提案したほか、医療機関の窓口業務の負担軽減や患者の利便性向上のために地域単位でのオンライン資格確認の導入、被保険者にもオンライン化のメリットが生じるようなインセンティブの実現などを盛り込んでいる。近く内閣官房、総務省、厚生労働省、経済産業省など関係省庁に提出する予定。

 医療機関は、1カ月に1回資格確認を行うのが一般的だが、資格喪失などの場合、医療機関や保険者等の事務手続きが煩雑になる。同協議会が約2年前に行った試算では、オンライン資格確認システムの導入で、年間約256億円の事務負担の削減効果があるとされた。

 政策提言では、オンライン資格確認システムは、2016年1月から交付が始まった個人番号カード(マイナンバーカード)の公的個人認証の仕組みに被保険者証の機能を持たせ、レセプトオンライン請求ネットワークの活用を基本とするが、ネットワークを利用していない医療機関にも対応できるよう、オンデマンドVPNの活用など、幾つかの選択肢を提示。レセプト電子請求は2016年3月診療分で92.2%に上る。しかし、うちオンライン請求は約55.4%にとどまり、小規模施設などでは、オンライン請求代行事業者を利用するケースもあるため、実際にレセプトオンライン請求ネットワークに接続している医療機関等は、全体の半数よりも少ないと想定される。

 「地域ごとに段階的導入」を提言したのは、被保険者にとっては、地域の医療機関でオンライン資格確認への対応にばらつきがあると、個人番号カードと被保険者証の両方を持たなければならないからだ。地域ごとの導入で、被保険者側の個人番号カードへの移行が進むと期待され、医療機関にとっても個人番号カードと被保険者証の両方に対応しなくて済むようになれば窓口負担の軽減につながる。

 オンライン資格確認システムは、将来的には医療分野のさまざまな個人番号カードの活用の「入口」になるが、オンライン資格確認システムのみの時点では、被保険者は十分にメリットを享受できない。そのため被保険者の個人番号カードへの切り替えが進むよう、「インセンティブを実現するための具体的な施策については、有識者を交えた十分な議論を行い、国民にとって有益なものとなるような検討を行うことが必要」と提言している。

 そのほか、本政策提言では、オンライン資格確認で検討されているPINなし認証(暗証番号を用いない認証)への対応、被保険者の資格異動の際の運用面での対応方法、オンライン資格確認の適用範囲を生活保護受給者や小児医療費助成等の公的負担まで拡大することなども言及している。

 2015年6月に閣議決定した日本再興戦略では、「2017 年7月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整備し、個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とする」と明記。

 厚労省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」の2015年12月の報告書では、マイナンバーが目的外利用で書き写されないように配慮した上で、(1)支払基金および国保中央会を資格確認サービス機関とする、(2)支払基金は住民票コードと1対1対応を持つ「機関別符号」を取得する、(3)個人番号カードの公的個人認証の仕組みを用いる、(4)既存インフラであるレセプトオンライン請求のネットワークを活用する――などを提言し、「2018年4月以降、整備が整った保険医療機関等からテスト運用の機会を確保し、段階的に導入していく必要がある」と求めていた。2016年4月からは、保険者が保険給付や保険料徴収等に関する情報の収集や利用等に関する事務を、支払基金等に委託できる法律が施行された。

 森田理事長は、記者会見で昨今の医療分野のICT化の動向に触れ、自身が座長を務める厚労省「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」も近く報告書をまとめる予定であるなどと説明。「JUMPの活動を始めた数年前と比較して、隔世の感がある。医療番号制度を導入し、データに基づいた医療を進めていくことが我が国の医療にとって望ましいと考えて推進してきたが、ようやく最初の目標を達成できつつある」(森田理事長)。



http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20160831000059
亀岡市立病院4年連続赤字 改革案年度内策定へ印刷用画面を開く
【 2016年08月31日 11時58分 】 京都新聞

 亀岡市立病院(京都府亀岡市篠町)は、経営審議会を設置し、具体的な改革案の協議を始めた。国に提出する「新公立病院改革プラン」として本年度中にまとめる。病院側は、丹波2市1町の南丹医療圏で不足している回復期病床の増床や医師の確保などを課題に挙げた。

 京都府立医科大付属病院など近隣病院のトップや大学教授ら9人が委員を務め、会長に公立南丹病院の伏木信次総長を選んだ。

 市立病院は外来、入院とも患者数が減少傾向で、経常収支は15年度まで4年連続赤字となっている。南丹医療圏で回復期や高度急性期の病床が足りず、患者が京都市内の病院に流れているという。市が自主的な経営再建を促すため財政支援を縮小していることも影響している。

 玉井和夫病院長は、医師不足や恒常的赤字などを問題点に挙げ「市民のために今後もあり続けるための処方箋づくりの議論をお願いしたい」と求めた。

 病院側は、今後さらに進む高齢化を踏まえ、回復期病床を増やす必要性があると指摘した。黒字化に向けて収益性を高めるため病床利用率の向上を図る必要性も強調した。

 国が策定を求めている改革プランは全国の公立病院が対象で、地域における明確な役割や、経営に関する数値目標などを盛り込む必要がある。期間は2017年度から4年間。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/yamanaka/201609/548047.html
連載: 山中克郎の「八ヶ岳から吹く風」
医学生が体験する医療現場のリアル

2016/9/1 山中克郎(諏訪中央病院総合診療科)

 諏訪中央病院では年に数回、院外から指導医を招き臨床指導を受けてきた。今回初めての試みとして、若手医師が中心になり医学生のための勉強会「すわ塾」を開催した。

 すわ塾では、若手医師が指導医から学んだことを、医学生に伝授することが目標である。8月の週末に、諏訪湖湖畔にあるRAKO華乃井ホテルの会場に全国から医学生29人が集まり、5つのセッションを行った。企画リーダーはチーフレジデントの小澤廣記先生である。

諏訪中央病院名物勉強会「昼カンファ」を再現

 諏訪中央病院には月曜日から金曜日の11:45~13:15に「昼カンファ」と呼ばれる名物勉強会がある。教育的な症例(診断がまだついていないものも含む)を研修医または専攻医が提示し、病歴と身体所見だけで、鑑別診断をできるだけ絞り込む臨床推論トレーニングの場となっている。昼食を持って、医学生、研修医、専攻医、指導医が15人くらい図書室に集まる。その模様は日経メディカルのコラム「カンファで学ぶ診断推論」に紹介されている。


 今回は、医学生用の「昼カンファ」として5症例が準備された。内科スタッフが司会をし、参加の学生は5つのグループに分かれて診断推論の討議に参加した。症例の1つを紹介しよう。

 35歳、男性が頭痛を主訴に来院した。前日就寝するまではいつもと変わらなかった。受診日の午前7:30ごろ、頭痛で目が覚めた。頭全体が締めつけられるように痛かった。少し休んだが良くならなかったため救急車で来院した。

 呼吸器内科の谷直樹先生が司会をして、頭痛患者にどのような問診を行うべきかが検討された。突然発症の頭痛では2次性頭痛の除外が大切だ。このケースでは、くも膜下出血、脳出血、脳静脈洞血栓症、急性緑内障発作、下垂体卒中が鑑別診断として挙げられる。頭部CT検査を行うと下垂体に出血を起こしていることが明らかになった。最終診断は下垂体卒中だった。


めまい、呼吸苦、腹痛、しびれをテーマに身体診察を学ぶ

 身体診察を学ぶためのコーナーも設けた。めまい、呼吸苦、腹痛、しびれのブースを設置し、学生は4つのグループに分かれ、それぞれのブースを回りながら身体診察の方法を学んだ。問診情報から想起される鑑別診断をさらに絞り込むためには、必要な身体所見を狙って取ることが重要である。

 医学生に今回学んでほしかった疾患は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虫垂炎、脊椎神経根障害だった。内科、外科、整形外科のスタッフが医学生を前に診察の実演を行った。

Snap Diagnosis(一発診断)をグループ対抗で競い合う

 夕食を食べながらも研修は続いた。簡単な診察所見や画像所見から一発診断する知識をグループ対抗で、競い合った。われわれは計20問を準備。

 そのうちの1つは、「95歳入院患者の尿バックが紫色に着色している。診断は?」であった。2年次研修医の福岡翼先生の出題である。

 答えは、紫色採尿バック症候群である。

 腸管内のトリプトファンは腸内細菌の作用によりインドールに分解され、その後、肝臓でインジカンとなる。

 尿中に細菌が存在すると、インジカンをインジゴブルー(青色)とインジルビン(赤色)に分解するため、尿が紫色を呈する。

 慢性便秘や尿路感染が原因となる。尿バルーンは不要になったら直ちに抜去すべきである。


ナイト・セッションでは参加者から涙も…

 お酒を飲みながら、若手医師がステージで臨床への熱い思いを語るコーナーも設けた。「徹子の部屋」ならぬ「栄子の部屋」では、初期研修医・専攻医が診療での失敗談や患者・家族への熱い想いを光田栄子医師に語り、参加者の涙を誘った。

すわ家セッション

 まだまだセッションは続く。

 「すわ家セッション」と銘打ち、専攻医の小澤廣記先生の司会で以下に示すような症例が提示され、対応を皆で考えた。

 86歳女性。腰痛を主訴に救急車で来院した。受診の前日から腰痛を訴えていた。受診日の夕方、38℃台の発熱があり立ち上がれなくなった。既往歴に両側の変形性膝関節症があり、人工関節に置換されている。神経因性膀胱のため膀胱カテーテルを留置中である。

 バイタルサインは体温40.0℃、血圧123/107mmHg、心拍数117回/分 整、呼吸回数24回/分、SpO289%(室内気)。意識は清明であるが、かなり辛そうだ。

 身体診察では頭頸部、胸部、腹部、四肢に異常を認めないが、脊椎に圧痛を認めた。白血球は1万1710/μL(好中球94%)、CRP5.3mg/dLだった。MRI検査の結果、化膿性脊椎炎と診断し、抗菌薬を6週間投与する方針とした。

 この患者に対して、状態が安定したため自宅退院に向けて、入院1カ月後に多職種カンファレンスを行うこととなった。カンファレンスへの参加者は、同居の長男、ケースワーカー、病棟看護師、理学療法士、担当医である。今回、すわ塾に参加した医学生をこれらの役割に割り当て、職種・人物になりきった上で、どうすれば快適な退院生活が送れるかを話し合ってもらった。

 しかし問題はそこで終わらない。なんと退院後に訪問診療のために自宅に伺うと、「こんなことなら死んだほうがましだった」と患者から言われてしまうという設定とした。

 私たちの退院に向けての努力は無駄だったのだろうか。この状況をどのように考えるのか、次善策はあるかをグループで討議した。

 病院では医師主導の急性期医療が中心になる。しかし、回復期や維持期の医療にも目を向けることが大切である。回復期以降の医療には、多職種の連携や患者・家族のニーズをどのようにくみ取り、どう対応するかを考えていくことが重要となる。

 今回医学生を対象に医療の現場のリアルを2日間みっちりと感じてもらった。参加者がどのような医師に成長していってくれるか、とても楽しみだ。



http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/news.cgi?hi=20160831_1
【大船渡】2診療所医師の後任めど立たず 9月末で退任
(2016/08/31) 岩手日報

 9月末で所長の医師が退任する大船渡市三陸町の吉浜、綾里両診療所は、後任の確保に至っていない。

 市は引き続き医師の募集を続けるが、措置できない場合は暫定的に無償バスを増やし、他の診療所での受診や、市内開業医の応援で医療環境の維持に努める方針だ。

 両診療所は同じ医師が所長を務め、行き来しながら週5日勤務してきたが、3月になり、9月末での退任を申し出た。市はホームページや県国保団体連合会を通じた募集、県などへの協力要請、医師紹介サービス会社との契約、市出身医師の情報収集を進めたが、後任確保には至っていない。

 吉浜診療所は1日平均14人が利用し、訪問診療や往診が必要なのは2、3人。所長は障害者支援施設吉浜荘の嘱託医、吉浜小、中と吉浜子ども園の校医、園医を受託する。

 綾里診療所は1日平均14・2人が利用し、訪問診療・往診が必要なのは3、4人。他の病院から応援を受け、週に複数回、半日の診療とする。訪問診療は市内開業医に依頼する方向だ。



http://www.medwatch.jp/?p=10223
2025年の病床必要量が既存病床を大きく上回る地域、基準病床数の毎年確認などで対応―地域医療構想ワーキング(1)
2016年8月31日|医療・介護行政をウォッチ

 病床過剰地域ゆえに現段階で増床はできないが、「病床の必要量」(地域医療構想)が将来においても既存病床数を大きく上回るために「将来的に増床する必要がある」地域では、基準病床数を毎年設定することや、特別な事情に対応するための特例措置(医療法第30条の4第7項)で対応する―。

 こうした方向が、31日に開かれた「地域医療構想に関するワーキンググループ」(以下、ワーキング:「医療計画等の見直しに関する検討会」の下部組織)で固まりました(関連記事はこちら)。

 最終的には親会議である「医療計画等の見直しに関する検討会」に報告され、2018年度からの医療計画策定指針の中に規定することになります。

ここがポイント!
1 大阪や東京など都市部では、高齢化の進展で「病床の必要量」が大きくなる
2 一般病床の基準病床数、「医療資源投入量175点未満の患者」をどう考えるか


大阪や東京など都市部では、高齢化の進展で「病床の必要量」が大きくなる

 医療計画では、地域の病床数上限とも言える「基準病床数」を記載します。これを超える病床整備は事実上できません(保険指定がなされない)。

 一方、現在、各都道府県で策定が進められている地域医療構想では、2025年における医療ニーズに対応するための「病床の必要量」を定めます。高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能ごとにどれだけのベッド数が必要となるかを定めるものです。

 一部の都道府県では地域医療構想の策定が完了し、公表されていますが、その中で一見不思議な状況が発生しています。それは、大阪府が典型的ですが、「(1)病床の必要量」(大阪府では10万1471床)>「(2)既存病床数」(同9万2000床弱)>「(3)基準病床数」(同6万7263床)という状況です。

 (2)と(3)を見れば分かるように、既存病床数が基準病床数を超えている病床過剰地域であるため、大阪府では現在、増床はできません。一方で、(1)と(2)の比較で分かるように、2025年にかけて1万床程度の増床が必要となるのです。こうした減少は、今後、急速に高齢化が進むと考えられる都市部で生じる可能性が高く、実際に、東京都でもこうしたギャップが発生しています。

 では、こうした「増床したいのだが、できない」という事態に、どのように対応すべきなのでしょうか。厚生労働省は、31日のワーキングで、次の2つの方策で対応する考えを提示しています。

(a)高齢化の進展などに伴う医療需要の増加を毎年評価するなど、基準病床数を確認する

(b)医療法第30条の4第7項の「基準病床数算定時の特例措置」で対応する

 (a)は、いわば「基準病床数を毎年見直す」ということです。ただし、既存病床数のほうが病床の必要量よりも多い地域などでは、この見直しは意味をなしません。あくまで「病床の必要量が、基準病床数を大幅に上回る地域」が対象となります。

 (b)は、「▽急激な人口の増加▽特定の疾病の罹患者の異常増―等がある場合には、厚生労働大臣と協議の上、基準病床数を増やせる」という規定(医療法第30条の4第7項)を、上記の場合にも適用可能とするというものです。厚労省は「高齢化の進展は、同項の趣旨に合致する」と考えています。

 この2つ対応策をとる方向はワーキングでも受け入れられています。中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「基準病床数が、地域医療構想の実現を妨げることがあってはいけない。そこが最重要ポイントである」と述べており、(a)(b)の対応案は、まさにこの考えを踏まえたものと言えます。

 今後、親組織である「医療計画等の見直しに関する検討会」に議論の場を移すことになります。

 なお、医療費を支払う立場にある本多伸行構成員(健康保険組合連合会理事)は、「まず近隣県と連携し、不足する分をカバーできないかを検討するべきではないか」と提案しました。しかし、今村知明構成員(奈良県立医科大学医学部教授)は、「大阪でオーバーした患者の1割でも、隣県である奈良県で対応することになれば、奈良県の医療提供体制が崩壊(パンク)してしまう」と反論しています。

一般病床の基準病床数、「医療資源投入量175点未満の患者」をどう考えるか

 基準病床数の計算式は、現在のところ、下図のように設定されています。31日のワーキングでは、基準病床数の計算式を次のように見直す方向も固められました。7月29日の前回会合での議論を踏まえたものです。
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基準病床数の算定式

【一般病床】

(i)「性別・年齢階級別人口」は、従来どおり(医療計画策定時における公式統計(住民基本台帳、国勢調査)による夜間人口)とする

(ii)「性別・年齢階級別一般病床退院率」は従来どおりとする(長期療養のための病床でないため、入院率などは用いない)

(iii)「平均在院日数」については、地域差を適切に反映(例えば、すでに平均在院日数の短縮がかなり進んでいる地域では、その事情を汲むなど)するほか、「医療資源投入量の少ない患者」の取り扱いを検討する

(iv)「流出超過加算」については、「特に必要な場合に都道府県で調整する」仕組みとする

(v)「病床利用率」については、地域医療構想と同様に「一般では◯%」「療養では◆%」という硬いで全国一律のものとする。また都道府県が過剰病床を抑えることを可能とするために、利用率に「下限値」など「一定の範囲」を設定する

【療養病床】

(i)特別養護老人ホーム・老人保健施設分である「入所率」を削除し、あわせて「介護施設対応可能数」も削除する

(ii)在宅医療の整備状況が地域で異なることを踏まえ、「都道府県において、必要に応じて減ずる」こととする

(iii)介護療養などの移行先の議論を踏まえて、「将来的に他の病床などでの対応が見込まれる分」を必要に応じて見直す


 このうち(iii)の「医療資源投入量の少ない患者」の取り扱いとは、例えば「一般病床に入院する患者で、1日当たりの医療資源投入量が175点未満の患者は退院間近である」という場合に、退院支援をより積極的に進めることで平均在院日数のさらなる短縮を検討するといったイメージです(関連記事はこちら)。

 しかし、厚労省の現状の調査分析では「一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者像」がまだ明確になっていません(例えば抗がん剤治療で入院する患者のインターバル期間というケースも考えられ、この場合、退院促進は難しい)。なお、31日のワーキングでは相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)ら多くの構成員から「違和感がある」との指摘が出ています。

 なお、相澤構成員は「基準病床数について、一般病床と療養病床に区分して設定すべきではないか」と提案。厚労省医政局地域医療計画課の担当者も「将来的に検討していく必要がある」との考えを示しています。


 ワーキングでは、次回会合で議論の整理を行い、「基準病床数の計算式見直し」や「基準病床数と病床の必要量の関係」について、親組織「医療計画の見直し等に関する検討会」に報告します(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201609/20160901_43005.html
「医療過誤で失明」 秋田総合病院を提訴
2016年09月01日木曜日 河北新報

 秋田市の市立秋田総合病院に肺の治療で通院していた市内の50代の男性会社員が失明したのは、処方された薬の副作用の説明と対応が不十分だったためだとして、男性と妻が31日までに、病院を運営する地方独立行政法人市立秋田総合病院に約1億4000万円の損害賠償を求める訴えを秋田地裁に起こした。
 訴えによると、男性は2013年12月から同院の呼吸器内科に通院し、肺の治療を受けた。薬の処方で注意事項や副作用の説明はなく、毎日服用した。しかし、14年2月末ごろにパソコン画面が波打って見えるようになり、男性は担当医師に症状を訴えたが、医師は服用を止めるよう述べただけで特段の措置を取らなかった。男性は別の病院の眼科で治療を受けたが視力は低下し、15年1月末までに目が見えなくなった。
 原告の代理人は「薬の添付文書に重大な副作用として視力障害などが明記されているのに、医師は副作用の説明や症状の確認、早期対応を行わなかった」と主張している。
 病院総務課は「訴状が届いたばかりでコメントできない」と話した。



http://www.news24.jp/nnn/news890133367.html
鳥取大・医学部、国の補助金を目的外使用か
(鳥取県)

[ 9/1 1:49 NEWS24]

 鳥取大学医学部で、国の補助金の目的外使用の疑いが指摘されている問題で、大学が会見し、内部調査の結果次第では、補助金を返還する可能性を明らかにした。
 この問題は国立鳥取大学の医学部が、医療分野の人材を育成する目的で受給した国の補助金で雇った教職員が、本来の業務である大学院生らの教育に専念せず、企業との共同研究などに従事していたと内部告発があり、鳥取大学が調査しているもの。
 先月31日に鳥取大学付属病院の清水英治病院長らが会見し、「企業には大学院生が同行せずに、教職員だけで行ったこともあるが、研究テーマの準備だ」などと釈明し、認識のずれがあり、目的外使用には当たらないと主張した。
 その上で、学内の調査委員会の結論が、来月中にまとまると述べ、そして使い方が不適切とされれば補助金を国に返還する可能性を明らかにした。
 一方、補助金を支給した文部科学省からは、昨年度も目的外使用の疑いを指摘されながら、先週の定期調査でも再び「補助金は教育のみに使うよう」指示されていたこともわかった。



http://www.asahi.com/articles/ASJ805TCSJ80UTIL044.html
京都大元教授の物品納入汚職、懲役1年8カ月確定へ
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6年8月31日18時48分 朝日新聞

 京都大大学院薬学研究科の物品納入をめぐり、収賄罪に問われた京大元教授の辻本豪三被告(63)を懲役1年8カ月、追徴金約940万円とした昨年2月の二審・東京高裁判決が確定する。最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)が30日付の決定で、被告の上告を棄却した。

 一、二審判決によると、辻本被告は教授だった2007~11年、都内の医療機器販売会社(倒産)の元社長から、研究で使う物品の調達で便宜を図った謝礼として、クレジットカードの使用や新幹線の回数券などの形で約940万円分の賄賂を受け取った。



http://www.medwatch.jp/?p=10230
地域医療構想の調整会議、地域で中核となる病院の機能の明確化から始めてはどうか―地域医療構想ワーキング(2)
2016年8月31日|医療・介護行政をウォッチ

 地域医療構想を策定した後、地域の医療提供体制の機能分化・連携などを進めていくための議論を地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で進めていくが、その際、まず「医療機能の役割分担」の明確化を行い、次いで「機能分化・連携に向けた方策」の検討に入り、さらに「地域住民への啓発」に関する議論を行ってはどうか―。

 厚生労働省はこうした調整会議の進め方に関する一例を、31日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(「医療計画等の見直しに関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で紹介しました。(関連記事はこちら)

 都道府県などからの「調整会議をどのように進めればよいのか」といった問い合わせに答えるための一例ですが、構成員からは「表現を見直すべきである」という意見が相次いでいます。

ここがポイント!
1 「医療機能の役割分担の明確化」をした後、具体的な機能分化・連携を検討してはどうか
2 機能分化を進める際には、知事の権限行使も視野に入れるべき
3 病床機能報告の時期を勘案して、調整会議を定期的に開催することが必要


「医療機能の役割分担の明確化」をした後、具体的な機能分化・連携を検討してはどうか

 地域医療構想策定は策定がゴールではなく、2025年に向けてあるべき医療提供体制を構築することが最重要テーマとなります。そのため、構想策定後に幅広い関係者(診療に関する学識経験者の団体、その他の医療関係者、医療保険者など)で構成される調整会議を開き、構想実現に向けた議論を行っていくことが重要です。

 東京都や大阪府、青森県などすでに地域医療構想の策定を終えた都道府県がある中で、自治体からは「調整会議をどのように進めればよいのか」という問い合わせが厚労省に寄せられていると言います。このため、厚労省は31日のワーキングに「調整会議の進め方」に関する一例を提示しました。今年(2016年)3月にも、厚労省は調整会議の具体的な進め方を例示しており、さらに具体化したものと言えます。

 そこでは、調整会議の役割として(1)医療機能の役割分担(2)病床機能分化・連携に向けた方策の検討(3)地域住民への啓発―の3点をあげ、それぞれについて議論の内容や進め方を具体的に示しました。

 まず(1)の「医療機能の役割分担」を明確化することが重要です。この点について厚労省は、(a)公的医療機関などの役割の明確化(b)(a)以外の医療機関の役割の明確化(c)新規参入や増床を行う医療機関への対応(d)方向性を共有した上での機能分化・連携の推進―という進め方のイメージを示しました。

 (a)は「公立病院では、『新公立病院改革ガイドライン』に沿って各病院が2015・16年度に改革プランを策定するため、機能が明確になる」こと、「日赤病院や済生会病院などの公的病院は比較的大規模であり、地域で中心的な役割を果たす(地域の中核となる)ケースが多い」ことを踏まえて、まず「公的医療機関などの役割を優先的に明確化してはどうか」と提案したものです。

 しかし、「公的医療機関を優先」という表現について多くの構成員からは批判が相次ぎました。中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「構想区域の中心が公的病院であるという点に納得できない」とコメント。また相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)は「公的医療機関が民間病院の経営を圧迫するケースもある。公的・民間の双方が強調して地域医療提供体制を構築していくことが重要である。病院を設立母体別に考える手法は時代遅れではないか」と指摘しました。

 一方、今村知明構成員(奈良県立医科大学医学部教授)は、「医療崩壊が叫ばれ、これを再生するために公的病院は資源投入して急性期に特化するなどの体制整備を行ってきた。ここに来て『慢性期や回復期機能に移ってくれ』となると困ってしまう」と述べ、「公的医療機関を優先」という表現について、「公的医療機関について急性期から回復期・慢性期機能への移管を優先的に進める」と受け取られ兼ねないとの考えを述べています。

 この点、厚労省は前述のように「公立病院で先んじて機能が明確になる」「大規模な公的病院が地域医療の中核となっているケースがある(地域全体の機能を考える際には、まず核を定めるほうが進めやすい)」ことを勘案した提案であり、さらに「あくまで一例である」ことを説明しましたが、構成員は「自治体の担当者は、文面どおりに受け取り『公的病院中心になる』可能性が高い」として、表現の修正を求めています。

機能分化を進める際には、知事の権限行使も視野に入れるべき

 (1)の(a)は、前述のとおり表現は修正されますが、「地域の中核となる医療機関の機能を明確にする」という点が重要です。「幹や骨格を固める」というイメージと言えそうです。

 その上で、(b)の「他の医療機関の機能の明確化」を行います。そこでは、▽比較的規模の小さな医療機関と中核病院との連携を▽中核病院が担わない医療機能(例えば重症心身障害児への医療など) ▽近い将来、機能転換を考えている医療機関の方向性 ▽地域住民の希望―などを踏まえて、地域の医療機関がそれぞれどのような役割を担うのかを明確にし、それを関係者間で共有することになります。

 さらに、(c)の新規参入・増床医療機関に対しては、「今後必要となる医療機能を担ってほしい」と要請していくことが必要です。厚労省は、要請に当たって、「不足している機能を担うことを条件に新規参入や増床を認める」という知事の権限(医療法第7条第5項)を行使することも視野に入れるようアドバイスしています。

 このように機能を明確化した上で機能分化・連携を進めていきますが、その際には「進捗状況を毎年確認(病床機能報告)し、方向性と異なる医療機関に対しては『過剰な機能に対する転換について、公的医療機関に対しては中止を命令、民間医療機関に対しては中止を要請』する知事の権限(医療法第30条の15)を行使することも視野に入れる」ことを厚労省は求めています。

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地域医療構想を実現するために、都道府県知事には一定の権限が付与されており、厚労省はこれらを視野に入れるようアドバイスしている

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都道府県知事が権限を行使する場合には、事前に「勧告」を行うなど、慎重に判断することも重要である


病床機能報告の時期を勘案して、調整会議を定期的に開催することが必要

 (2)の機能分化・連携手法について厚労省は、▽整備すべき医療機器やマンパワー、地域連携パスに関わる関係者の役割などを明確化する ▽機器の共同利用や連携によるマンパワーの補填などを検討する ▽地域医療介護総合確保基金による財政支援―などを検討することが重要と指摘します。

 また(3)の住民への啓発については、▽調整会議の議事内容 ▽かかりつけ医を持つことなど、外来受診の方法▽専門的で、構想区域を超えて提供される医療の内容 ▽急性期から回復期、在宅復帰など各医療機関の役割分担―などを情報提供することを提案しています。

 このほか、▽調整会議は、病床機能報告の次期などを踏まえて定期的に開催する ▽新規参入医療機関や方向性の異なる医療機関が出現した場合には、都度開催する ▽構想区域を超えた連携が必要な事項については、合同会議などを開く―などの留意点も厚労省は示しました。


 既に述べたように、こうした流れなどは、あくまで「一例」であり、地域の実情に応じてさまざまな手法が可能です。例えば伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)は、「地域で不足している在宅医療をどのように充実していくか、という点から検討してもよい」とコメントしています。



http://forbesjapan.com/articles/detail/13422
薬価つり上げで製薬界炎上 エピペン問題に見る米医療制度の3課題
Matthew Herper , FORBES STAFF
2016/08/31 12:00 FORBES Japan

米国では先週から、急性アレルギー注射薬「エピペン」の価格を大幅に引き上げ続けた米製薬会社マイランに対する非難の声が続出している。だが、こうした医薬品の値上げは、米国の製薬業界では珍しいことではない。

多発性硬化症薬の「レビフ」や「アボネックス」の価格は2013年までの10年で600%増加。糖尿病患者が使用するインスリンの価格は02~13年の11年で3倍に、ノバルティスの画期的ながん治療薬「グリベック」の価格は2001年に登場してから現在までの15年間で3倍以上に増加した。広く用いられている抗精神病薬「エビリファイ」の価格は、2013年までの8年間で2倍以上になった。

1年前、元ヘッジファンド経営者のマーティン・シュクレリが原虫感染症治療薬「ダラプリム」の価格を50倍に引き上げて批判を浴びた際には、彼が業界にとって新参者だったことから、製薬各社は危機感を抱かなかった。だが、エピペン値上げ問題で渦中にあるマイランは、世界大手の製薬会社であり、さらにCEOのヘザー・ブレシュは上院議員の父を持つ元ロビイストという、筋金入りの業界人だ。

今回の問題によって、医療制度自体に内在する問題点が浮き彫りになったはずだ。以下に、米医療制度が直面する課題を3つ挙げ、それぞれの解決策を提案したい。

薬価に関する透明性の欠如

市場は通常、人々が商品の価格を把握していれば、より効率的なものになる。だが米国では、医薬品の実勢価格は公表されず、消費者が知ることができるのは定価のみだ。企業の医療保険プランや保険会社は、エクスプレス・スクリプツやCVSといった薬剤給付管理(PBM)会社による製薬会社との交渉を通じ、値引きを受けることができる。定価を支払っているのは、保険未加入の人のみだ。

集中砲火を浴びた製薬会社が最初に告白することの一つが、医薬品の平均実勢価格だ。マイランのブレシュCEOはCNBCテレビの番組で、定価では600ドル以上とされているエピペン2本入りセットについて、値引き後の実勢価格は275ドルだと明らかにしている。

実は、エピペンの値上げは、必ずしも利益に直結してはいかなった。マイランは2013年、エピペンの販売個数と定価の上昇によって理論上では29%の売上増を達成できるはずだったが、エバーコアISIのアナリスト、ウマル・ラファットによると、実際の増加幅は15%にとどまった。2015年には定価が31%値上げされ、販売個数も増加したにもかかわらず、売上は増加しなかった。その原因は「値引き」だった。

これは値上げを正当化する理由にならないが、PBM会社に対する払戻金を確保するために製薬会社に定価の値上げを強いる現在の制度には問題がある。もちろん、実勢価格を公表すれば、交渉はより難しくなるし、価格の下落につながる可能性もあるため、製薬会社はこれを避けたいのが本音だ。だが、製薬会社は覚悟を決め、実勢価格を公表するべきだ。価格公表を渋るのであれば、議会がそれを強制するべきだ。

FDAの危機感不足

米食品医薬品局(FDA)は現在、薬剤への認可を出すにあたって、その安全性や効能のみを吟味し、価格についての判断は下さない。これは一般的に言って良いことだ。安全で効能が大きい薬が「値段が高過ぎる」という理由で認可されなかったり、危険な薬剤が「安価だから」という理由で認可されたりするような事態は、誰も望まないだろう。

だが、価格が大幅に上昇している医薬品の代替となるジェネリック医薬品(後発薬)について、FDAが認可手続きを迅速化することは可能だ。FDAは既に、特定の薬剤が不足した際にこうした措置を取っており、過去には未認可の後発薬を国外から輸入したこともある。後発薬の迅速な認可や一時的な輸入措置が行われていれば、シュクレリによるダラプリム値上げ騒動もすぐに終息に向かっていたに違いない。

イスラエルの製薬会社テバは、エピペンのジェネリック版の認可申請をしている。一方でFDAは、サノフィによる類似製品の販売を中止させた。効能のない製品を認可するべきではないものの、FDAはマイランによるエピペン値上げを深刻に受け止め、こうした代替医薬品の認可を急ぐべきだ。

薬価交渉で蚊帳の外の米政府

医薬品の実勢価格の値上げ幅は、保険会社とPBM会社の影響力が徐々に強まっていることを背景に、既に減少に転じている。この影響力は残念ながら、保険会社が特定の医薬品への支払いを拒否するという形で行使されることが多い。被保険者は、医薬品の値下げと引き換えに、医薬品の選択肢の減少という代償を支払わなければいけない。

こうした交渉で蚊帳の外となっているのが、米政府の高齢者・障害者向け公的医療保障制度「メディケア」だ。もし多大な影響力を持つメディケアが薬価交渉に参加できるのであれば、製薬会社の価格設定に大きな影響を与えることが可能かもしれない。だがそのためには、メディケア側が「ノー」と言える必要があり、これは政治的な理由から難しいだろう。

政府に交渉力を与えるような仕組みを新たに構築することは可能かもしれない。例えば、大規模な国営基金を設立し、自由市場の法則が適用されなくなった医薬品の値下げ交渉と、メディケアや民間保険会社に対する医薬品転売を担わせる、という方法がある。私は信頼できる専門家らにこのアイデアを提案したが、彼らの意見は「うまくいくケースもあれば、いかないケースもあるだろう」とのことだった。それでも一考に値するアイデアだと、私は思う。

最終手段としては、医薬品の価格を法律で制限する方法もある。ただ、この方法のリスクは高い。製薬会社に支払われる金額が多ければ多いほど、革新的な新薬が多く生まれる。例えば、がん治療の分野では、薬価が急上昇するにつれ、製薬会社による新薬開発への投資が加熱し、遺伝子治療薬による免疫療法などの劇的な進歩につながっている。

私たちが金を支払うべきなのは、エピペンの宣伝や、マーティン・シュクレリの新会社設立の野望に対してではなく、本物のイノベーションに対してだ。米国では今、製薬会社に何を求めるのか、そして、医薬品にどれほどの対価を払うべきなのかを問う議論が必要とされている。



  1. 2016/09/01(木) 09:41:51|
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