Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月29日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49493.html?src=catelink
地域枠医学生への奨学金で30億円計上へ- 来年度概算要求で厚労省
2016年08月29日 20時00分 キャリアブレイン

 大学医学部の「地域枠」を活用する学生に奨学金を出す都道府県を支援する新規事業のため、厚生労働省は、来年度予算の概算要求で30億3600万円を計上する。医師の地域偏在対策が目的。偏在対策としては、「地域的な適正配置」に向けて医師の情報を管理するデータベースを構築するのに必要な予算なども要求する。【佐藤貴彦】

 地域枠は、卒業後にその地域で働くことなどを条件付けた医学部の定員枠。現在、医療提供体制の再編などを目的に創設された「地域医療介護総合確保基金」の一部が、地域枠の学生を対象とする奨学金制度の補助に使われている。

 新規事業で支援するのは、奨学金制度のうち、都道府県の「地域医療支援センター」による医師のキャリア形成支援と連携するもの。これにより、都道府県の医師確保対策を「強力に推進」するという。

 さらに、来年度の新規事業で、都道府県が医師確保対策を行うために必要な医師情報を一元的に管理するデータベースの構築を目指す。医師の研修先や勤務先、診療科といった情報の管理を想定している。要求額は900万円。

 そのほか、医師偏在の悪化を防ぐため、「専門医に関する新たな仕組みの構築に向けた取組」の予算の増額を求める。今年度当初予算と比べ75%増の3億3300万円を計上し、専門医の養成人数を調整する都道府県協議会の経費を増やすなどする方針だ。

■かかりつけ薬局推進、予算増額を要求

 一方、薬剤師・薬局の関係では、「患者のための薬局ビジョン」を推進するための予算の増額を要求する。

 同ビジョンは、すべての薬局を患者本位の「かかりつけ薬局」に再編するため、同省が昨年策定したもの。今年度当初予算では1億8000万円を計上してモデル事業を実施したが、来年度予算の概算要求には前年度比7%増の1億9300万円を計上。モデル事業を充実させるほか、同ビジョンの進ちょくを管理する仕組みを構築するという。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0829504548/
「医師逮捕は不当」病院が抗議文〔CBnews〕
警視庁に釈放など要望

CBnews | 2016.08.29 17:43

 東京都足立区の柳原病院は25日、非常勤で働く医師が準強制わいせつの疑いで警視庁に逮捕されたことを受け、釈放などを求める抗議文をホームページ上で公表した。抗議文では、「全身麻酔手術後患者の訴えのみを根拠とする不当な逮捕」と強く抗議している。

 警視庁によると、逮捕された非常勤医師(40)は今年5月、手術を受け麻酔からさめたばかりの30歳代の女性患者に対し、診察を装いわいせつな行為をした疑いが持たれている。逮捕された医師は容疑を否認している。

 一方、柳原病院では、女性患者に関係した職員らに対する聞き取り調査や現場検証などを実施。女性患者の供述については、「全身麻酔による手術後35分以内のことであり、その内容は、手術前の恐怖や不安と全身麻酔で行った手術後せん妄状態での幻覚や錯覚が織り交ざったものと確信する」とした。さらに、わいせつ行為があったとされる時、女性患者は4人の患者と同じ部屋にいた上、部屋には経過観察のため看護師が頻繁に訪れていたという。

 これらを踏まえ柳原病院では、「多くの目がある環境の中で供述の様な事が誰にも知られずに行われたとは考えられない」と結論付けた上で、警察当局に対し、謝罪と捜査の中止、逮捕された医師の釈放を求めている。

(2016年8月29日 ただ正芳・CBnews)



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0829/jc_160829_9956123500.html
「医師がわいせつ」は麻酔後の「せん妄」 病院が逮捕の警視庁に抗議の異例事態
J-CASTニュース8月29日(月)19時24分

病院がホームページ上で異例の声明

わいせつな行為をしたとして非常勤の男性外科医(40)を逮捕した警視庁に対し、病院側が不当逮捕だとホームページ上に異例の抗議文を載せた。30代女性患者の訴えだけを根拠にしていると批判しているが、警視庁は、J-CASTニュースの取材に対し、捜査中だとして回答を控えている。
「警視庁による当院非常勤医師逮捕の不当性について抗議する」。東京都足立区の柳原病院が2016年8月25日付で出したこんなタイトルの声明は、医療機関としては異例ともいえる断固たるものだ。


逮捕された医師「やっていません」

報道などによると、女性患者は5月10日昼過ぎに柳原病院で男性外科医による右乳腺腫瘍の摘出手術を受けた。しかし、手術後に全身麻酔で体の動かない女性に対し、外科医は診察を装って病室で着衣を脱がせ、左胸をなめるなどした疑いが持たれている。

女性の胸を見ながら自慰行為をしたり、再び病室に来てわいせつな行為をしたりしたと一部で報じられている。女性の体から外科医の唾液が検出されたともいう。女性は、外科医が6年ほど前から別のクリニックで担当医をしており、手術のため柳原病院に入院していた。

女性が相談した会社の上司が110番通報し、その後、女性が被害届を出していた。警視庁千住署では8月25日になって、外科医を準強制わいせつの疑いで逮捕した。メディアの中には、実名で報じているところもある。調べに対し、外科医は、「やっていません」と容疑を否認しているという。

これに対し、外科医が勤める柳原病院は、ホームページ上の声明で、職員らへの聞き取り調査や現場検証をした結果、わいせつ行為はなかったと結論づけた。


警視庁「捜査中なので、回答は控えたい」

声明では、女性患者は、4人部屋にいて、看護婦が頻繁に経過観察に来ており、多くの目があるため、知られずにわいせつ行為はできないと指摘した。行為があったとする手術後35分以内は、「手術前の恐怖や不安と全身麻酔で行った手術後せん妄状態での幻覚や錯覚が織り交ざったもの」と考えられるとしている。

「せん妄」とは、意識障害が起き、幻覚を見ることもある状態を指す。

病院では、被害届が出た後、こうした調査結果をもとに、7月7日に警察に捜査を中止するよう求める申入書を顧問弁護士名で出していた。今回の逮捕についても、警視庁に対し、謝罪や速やかな捜査中止、外科医の釈放を求め、「この様なことが許されれば、今後、施術医師が術後診察に病室を訪れることを躊躇う要因ともなり、正当な医療行為に制約を付すことになりかねない」と怒りを露わにしている。

ツイッター上などでは、医師らが今回の逮捕について議論を交わしており、麻酔薬では性的悪夢を見ることがあるとの指摘も多い。また、麻酔が切れた数日後もせん妄の症状が現れることがあるという。海外の研究論文なども紹介されており、本当にわいせつ行為だったのか疑問の声が続出している。

柳原病院では8月29日、女性はせん妄状態だったとしたことについて、「これまでの経験に基づき、論文を調べたうえで結論を出しています」とJ-CASTニュースの取材に説明した。警視庁からの回答はまだないという。

厚労省の安全対策課は、「麻酔薬すべてではないですが、種類によってはせん妄の副作用が報告されています」と取材に答えている。

警視庁の広報課では、「捜査に関する事項ですので、回答は控えさせていただきます」とだけコメントしている。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49477.html
国の医療費抑制策、現場にどう影響?- CBnewsが医師に調査
2016年08月29日 16時00分 キャリアブレイン

 医療費の伸びを抑えるための国の施策について、医師の約7割が自身の働く医療現場に影響を及ぼしていると感じていることが、CBnewsのアンケート調査で分かった。その一方で、約6割の医師が国の医療費抑制策に対して賛成の意思を示しており、国の厳しい“懐事情”をおもんばかり、収入減などにつながる抑制策もあえて受け入れるという、現場の医師の意識が垣間見える結果となった。

 CBnewsでは今月4日から12日にかけて、医師を対象に医療費に関するアンケート調査を実施。96人から有効回答を得た。

■医師の7割、「抑制策が現場に影響」

 国の医療費抑制策による自身の働く医療現場への影響を聞いたところ、「及ぼしていると思う」が68人(70.8%)で、「及ぼしていないと思う」が28人(29.2%)だった=グラフ1=。
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■独自で必要最小限の投薬などに取り組む人も

 現場への影響を感じている人に理由を尋ねたところ、「給与の削減」(30歳代男性)、「病院収支に影響が出ている」(40歳代男性)、「病院経営を直撃している」(50歳代女性)など、自身の収入や病院経営に影響しているとの回答が見られた。

 一方、影響を感じていない人からは、「小児科領域では少子化、予防の向上で高額な医療が必要になることがほとんどなくなっているから」(30歳代男性)、「できる範囲で診療を行っている」(50歳代男性)、「必要最小限の検査・投薬・処置に努めている」(70歳以上の男性)といった声があった。

■6割が医療費抑制策に賛意

 国の医療費抑制策に対する考えも聞いたところ、「賛成」が23人(24.0%)で、「どちらかというと賛成」は35人(36.5%)。一方、「どちらかというと反対」は24人(25.0%)、「反対」は14人(14.6%)だった=グラフ2=。
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■「萎縮した医療になる」などと懸念する声も

 国の医療費抑制策に賛同している人に理由を尋ねたところ、「際限なく増大する医療費の伸びを抑制することは必要不可欠であるから」(30歳代男性)、「お金に限りがあるから」(40歳代男性)、「皆保険を守るため」(60歳代男性)など、今後も国民皆保険制度を維持するために医療費の伸びを抑制せざるを得ないとする回答が見られた。

 一方、反対の意向を示している人の理由では、「本来行うべき医療行為や管理ができないから」(40歳代男性)、「萎縮した医療になる」(50歳代男性)、「必要な医療が提供できなくなる可能性があるから」(60歳代女性)など、医療費が抑制されることによって適切な医療が提供できなくなることを懸念する声が寄せられた。

※医療費が厳しく抑制される状況にあっても、患者のための医療を目指し、医師の待遇を守ろうとする病院や診療所は少なくありません。そうした職場への転職を目指される方は、ぜひキャリアブレインにお問い合わせください。先生方のご希望に沿った、お仕事を紹介いたします。
お問い合わせはこちら。
http://www.cabrain.net/contact/news_other/



http://news.livedoor.com/article/detail/11946090/
医師を困らせる“モンスターペイシェント” その実態とは?
2016年8月29日 7時0分 dot.(ドット)

 医師や看護師らに理不尽な要求をする“モンスターペイシェント(患者)”。暴力を振るう人などもいて、医療現場の悩みの一つだ。本誌は、困った患者の実態を医師向けの情報サイト「MedPeer(メドピア)」の運営会社の協力を得て、現役医師526人にアンケートした。

「暴言や無理難題など対応に苦慮する患者の診察経験がありますか」との質問に、過半数の268人が「ある」と答えた。勤務医の53%、開業医の43%。比率は、勤務医のほうが高かった。

 メドピア社長の石見陽・医師はこの結果を、「医院やクリニックが風邪や生活習慣病など日常的な病気を診るのに対し、勤務医の働く病院は重病の患者が多くて専門的な治療が必要とされる。患者の期待の大きさも違うのでしょう」と話す。

 回答で目立ったのは薬のトラブルで、21人が挙げた。千葉県の精神科医は患者に「依存性がなく、すぐ寝つける弱い睡眠薬が欲しい」と言われた。「すべてに一致する夢のような薬はありません」と処方しなかったという。奈良県の一般内科医は「睡眠薬を出せ」と威嚇され、警察を呼んだ。

 待ち時間やカルテの改ざん要求など診察に関するトラブルは7件ずつあった。

 中国地方の精神科医は「調子が悪いから来たのに、待たされて余計にイライラした。謝れ」と怒鳴られた。7時間も病院内に居座られ、医師が頭を下げて患者はようやく納得したが、「本当に不本意」と憤る。

 こうした患者の対応マニュアルを設ける医療機関も多い。マニュアルに沿い、警備員や警察を呼ぶなどしたケースも18件あった。

 大阪府の循環器内科医は「一度だけそういう経験がある」と打ち明ける。もめた患者は、夫婦だった。

 まず妻がスタッフとトラブルを起こした。後日、持病の薬を取りに来た夫も妻の話題を持ち出してキレ、「なんや、おまえは!」とつかみかかる始末。スタッフは警察を呼び、その後の対応を弁護士に任せた。

 関東地方の女性内科医は、個人の連絡先をしつこく聞かれた。断ると「24時間相談にのるのが医者だろ」と、ストーカーまがいの行為を受けた。九州地方の小児科医は「患者の依頼を渋ったら、一方的な批判をSNSで拡散された」という。

 前出の石見医師も、勤務医時代に経験した悲しい思いを忘れられないという。長期入院中のある高齢男性患者を看取ったときだ。

 心臓の筋肉がダメージを受け、血液が全身にまわらない重い症状。患者は血流が悪くなって持病の痔が悪化し、肛門の周囲に膿がたまった。石見医師は毎日、患者の妻と一緒に傷口を洗浄するなどの処置をしたが、最終的に感染症を起こして亡くなった。

「毎日、毎日、おしりを洗って、専門外の合併症も早期に発見して。全身を管理できていた実感がありました」(石見医師)

 結末は残念だった、これは現代医療の限界。そう思ったが、家族の思いは違っていたという。

「『先生、よく診てくれたけど、最後は対応が遅れましたよね』と言われました。人の死は大きな出来事です。最後は誰かのせいにしたくなる気持ちはわかりますが、その一言を聞いて悲しい思いをしたことは今でも覚えています」(同)

 人としての礼儀、何より“思いやり”がなければ、信頼関係を築けない。最後は人、なのである。

※週刊朝日 2016年9月2日号



http://www.asahi.com/articles/ASJ8R44BMJ8RULBJ00M.html
薬の誤用、6年間で24件 見た目が類似、医師ら混同
竹野内崇宏
2016年8月29日11時14分 朝日新聞

 見た目が似た薬を医師や薬剤師らが誤って使ったケースが2010年1月から今年3月までに計24件あったとする報告書を、日本医療機能評価機構がまとめた。機構は「名称をきちんと確認することが必要だ」と注意を呼びかけている。

 全国約1千の医療機関を対象にした医療事故情報の収集事業で報告された事例を分析した。患者自身が誤ったケースは除外した。

 報告書によると、24件の内訳は注射薬10件、内服薬6件、外用薬5件、その他3件だった。注射薬では薬剤を入れたガラスの容器(アンプル)の形が似ていたのが7件、内服薬では包装の外観が似ていたのが5件と目立った。

 取り違えが起きた場面は注射薬では9件が薬剤の準備中で、主にかかわっていたのは助産師・看護師が6件、医師が3件。内服薬は6件すべてが調剤中で、いずれも薬剤師がかかわっていた。

 24件のうち23件は患者に使われた。死亡例はなかったが、障害が残った可能性がある事例が3件あった。新たな治療が必要になった事例は11件だった。

 製薬業界はアンプルや内服薬の包装、外用薬の容器などにバーコードを表示する取り組みをしており、機構は、バーコードを薬剤の照合に使うことも医療機関に求めている。(竹野内崇宏)
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https://www.m3.com/news/iryoishin/434062
シリーズ: どうなる?「日本の未来の医療」
社会保障、「アクセス」犠牲で維持◆Vol.13
開業医の2割強は「どれも下げるべきではない」

2016年8月29日 (月) m3.com編集部

 低コストでフリーアクセス、さらに高いレベルを維持してきた日本の医療。しかし、医療需要の増加や医療技術の進歩などで、社会保障費は大幅に伸び続け、赤字の続く国家財政の下で社会保障費抑制への圧力は高まっている。「医療の質」「アクセス」「保険給付範囲」の3つを今後も維持し続けるのは、極めて困難だと言わざるを得ない。では、持続可能な医療制度とするために、この3つのうち、いずれかのレベルを犠牲にするとしたら、どれを選ぶべきか。医師509人(勤務医253人、開業医256人)に尋ねた(調査の詳細は『高齢者の保険診療に制限、過半数の医師が支持◆Vol.1』を参照)。

Q. 大きな岐路に立っている日本の保険診療。「保険給付範囲」、「アクセス」、「医療の質」のうち、どれかのレベルを下げる必要があるとすれば、どれを下げるべきだと考えますか(複数選択)。
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 勤務医、開業医、いずれも最も多かったのは、「アクセス」。勤務医の60.5%、開業医の46.1%が選んだ。『勤務医の8割、フリーアクセス制限もやむなし◆Vol.5』でも、医療費抑制のためには、大病院受診時の定額負担などのフリーアクセスの制限に賛同する意見が多かった。医師の労働環境や効率性の面からも、高度医療を扱う病院に軽症患者も受診できる状況は好ましくないという考えが多く、現在の日本の状況で、制限するのに最も抵抗が少ない選択肢と言えそうだ。

 次に多かったのは「保険給付範囲」でいずれも4割強が選んだ。『高齢者の保険診療に制限、過半数の医師が支持◆Vol.1』では、50%以上が保険診療の範囲を「年齢である程度制限すべき」と回答。『開業医はよりシビア、高額医薬品◆Vol.7』でも、開業医の53%が「画期性が高くても、高額な医薬品は保険収載すべきでない」との意見に賛同しており、国家財政の逼迫度合いによっては、「保険給付範囲」の見直されるのも遠い未来ではないかもしれない。

 一方、最も回答者数が少なかったのは「医療の質」。上記の2つを犠牲にしても、レベルを維持すべきとの意見が多数派だったが、勤務医の14.2%は、「医療の質」にも踏み込まざるを得ないと判断し、開業医も8.6%が選択した。「どれも下げるべきではない」を選んだのは、勤務医の11.9%、開業医の24.6%で、開業医の方が社会保障費の抑制のために医療レベルを下げることに批判的なようだ。



https://www.m3.com/news/general/453833
虚偽のカルテ作成か 医薬品不正販売容疑の医師
2016年8月29日 (月) 共同通信社

 処方箋がないのに医薬品を中国人観光客向けに販売していたとして、医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕された医師高山篤(たかやま・あつし)容疑者(47)が、診療所で患者約110人に医薬品を処方したとする虚偽のカルテを作成していたことが26日、警視庁組織犯罪対策1課への取材で分かった。

 組対1課によると、同法違反容疑で逮捕された医薬品卸売会社「美健ファーマシー」(東京都千代田区)の社長財間英信(ざいま・ひでのぶ)容疑者(49)らは、仲買人の男を通じ医薬品を横流ししていた。高山容疑者には報酬を支払い、同社から医薬品を仕入れたように装う虚偽の受領書を作成させていた。組対1課は、横流しが発覚しないようカルテを偽造したとみて調べている。

 組対1課によると、高山容疑者の東京都大田区の診療所から約110人分のカルテを押収。患者欄には架空の中国人や日本人の名前が記入してあった。実在する人物の名前もあったが、診察はしておらず無断で名前を使用していた。保険証を示す必要のない自由診療で診察し、医薬品を処方したように装っていた。



https://www.m3.com/news/general/453828
保健医療費、先進国3位に 日本、GDP比で11%超
2016年8月29日 (月) 共同通信社

 先進35カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)がこのほど公表したデータで、日本の国内総生産(GDP)に占める保健医療支出の割合が11%を超え、加盟国中3位になったことが分かった。

 2014年度から計算基準が変わり、介護保険サービスの費用が幅広く含まれたため以前より数値が大きくなり、順位も上がった。医療・介護費は高齢化や高額薬剤の登場などで今後も増加が予想され、対GDP比の水準はさらに上がっていく可能性がある。

 保健医療支出は公費や保険給付、自己負担の合計。新基準によると、日本は14年度に55兆3511億円で、対GDP比11・4%。米国、スイスに次ぐ3位で、スウェーデンやフランス、ドイツを上回った。15年度もOECDによる推計で11・2%と3位だった。

 以前の基準で計算されていた13年度は10・2%で8位だったため、大きく順位を上げた形だ。

 ただ、新基準でも1人当たりの費用は14年度約43万5千円で、順位は15位に下がる。日本のデータ提出機関である医療経済研究機構の担当者は「日本は高齢化が進んでいるため、対GDP比では順位が高くなるが、1人当たり費用を見ると、一定の抑制が効いているのではないか」としている。



https://www.m3.com/news/general/453842
継続支援、手探りの自治体 「患者監視」懸念根強く 措置入院制度見直し
2016年8月29日 (月) 共同通信社

 相模原の障害者施設殺傷事件で逮捕された植松聖(うえまつ・さとし)容疑者(26)は、2月に不穏な言動を理由に本人の同意を必要としない「措置入院」となっていたことから、厚生労働省は制度の運用見直しの検討を進める。退院後に医療や福祉が関わる体制は制度上なく、手探りで継続的な支援に取り組む自治体も。一方、国による見直しが患者の「監視」につながらないか懸念する声は根強い。

 ▽別の制度参考に

 措置入院の解除後、具体的にどういったフォローが望ましいのか。国立精神・神経医療研究センター病院の平林直次(ひらばやし・なおつぐ)医師は、重大な他害行為をした精神障害者に実施されている心神喪失者等医療観察法に基づく医療が参考になると指摘する。

 患者主体の治療プログラムに加え、保護観察所の社会復帰調整官が入院中から退院後も本人を見守り、関係機関による多職種のチームが社会復帰を支援。対象者は自分の病気を理解する疾病教育を受け、「調子が悪くなったら早めに受診する」といった危機管理のプランを本人も参加して作るため、退院後に自分で医療を継続できる。

 訪問看護やデイケアなどの支援もある。平林医師は「人材と予算が課題」としつつ、措置入院でも同様の仕組みが必要とした。

 ▽最終目標

 兵庫県は今春、措置入院中や、医療を中断する恐れのある患者をサポートする「継続支援チーム」を県内13の保健所に設置した。昨年3月に洲本市で男女5人が刺殺され、逮捕された男に措置入院の経験があったのを踏まえた。

 チームは県の担当者や精神保健指定医、保健師らで構成。入院中から患者や家族に面会して信頼関係をつくり、退院後も生活状況を聞いたり、相談に乗ったりする。

 県障害福祉課の津曲共和(つまがり・ともかず)課長は「監視するのではなく見守りながら、安心して生活できるようになるまで支援するのが最終目標」と話す。警察や行政、民生委員、障害福祉サービス事業者など複数の連絡会議も設置し、連携を密にしている。

 ただ「自治体によるこうした取り組みは珍しく、全国的には浸透していない」(厚労省幹部)のが現状だ。同省は都道府県と政令市を対象に、措置入院後のフォローの実情を把握する調査を実施。兵庫県などの事例も参考に、全国共通の枠組み導入を視野に検討を進め、今秋にも結論を取りまとめる。

 措置入院か任意入院かを問わず、退院後に地域で生活できるよう支援している医療機関も。千葉県旭市の旭中央病院は2004年から、退院後に住む場所がない人にグループホームやアパートを紹介。グループホームのスタッフや医師らも含め24時間体制で相談を受ける仕組みも整備した。

 神経精神科の青木勉(あおき・つとむ)主任部長は「職員の負担は増えたが、近所の方々の理解もあり、入院期間を短縮させる成果が出ている」と話す。

 ▽警戒感

 一方、国による制度見直しに対する警戒感は消えない。当事者支援に取り組むNPO法人「地域精神保健福祉機構」の桶谷肇(おけたに・はじめ)事務局長は「精神医療を犯罪予防の手段として使うことになれば問題で、精神障害者は危険な存在という考え方は差別そのもの」と警告。

 在宅患者への訪問看護や福祉サービスの充実を訴え「よくなりたいという本人の気持ちを、医療や福祉がサポートすることが重要だ」と語った。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201608/20160829_13022.html
【宮城】<再生する医療拠点>身近で安心 他院と連携 石巻市立病院9月再開
2016年8月29日 (月) 河北新報

 東日本大震災で被災した石巻市立病院(宮城県石巻市)が移転新築され、9月1日にJR石巻駅前で再開する。未曽有の災禍で疲弊した地域医療に力を与える新拠点のオープン。多くの人の期待が集まる。(石巻総局・鈴木拓也)

 「地域医療の再生にとって極めて大きな一歩を踏み出す日となる」

 10日に市立病院であった記念式典で、亀山紘市長は力強く宣言した。

 市立病院は内科や外科、リハビリテーション科など6診療科で構成し、外来患者は1日当たり約200人を想定。180床の入院ベッドを用意する。

 病院から約500メートル離れた災害公営住宅の無職男性(67)は「肺に持病があり、徒歩圏内に大病院ができるのは安心。公営住宅は年寄りが多く、みんな喜んでいる」と歓迎する。

<回復期受け入れ>

 市立病院再開を待ち望むのは市民だけではない。地域医療を支える他の病院も期待を寄せる。

 注目されるのは市立病院の新しい役割だ。社会生活に戻るための回復期の患者を受け入れるほか、痛みを和らげる緩和ケアも担う。震災を機に、急性期中心の医療から方向転換した。

 救急医療の核となる石巻赤十字病院地域医療連携課の佐々木功課長は「頼れる連携先が増えるのは大きなメリット」と言う。

 赤十字病院は464ある病床の稼働率が90%超の状態が続く。地域の救急患者の大半を受け入れるが、患者を一時的に治療した後、病床を確保できず、別の病院に入院してもらうケースも少なくない。

 症状が安定した患者を市立病院に引き受けてもらえれば改善が見込まれる。赤十字病院の石橋悟副院長は「入院が必要な患者を全て受け入れられないのはもどかしい。病床を確保できれば、より良い医療を提供できる」と語る。

<在宅患者も対応>

 市立病院の機能として、在宅患者への対応も加わる。介護や予防活動も含めた地域包括ケアにおける医療の中心的立場となる。

 団塊世代が75歳になる2025年を見据え、市内では地元の開業医らが先行して在宅医療に取り組む。

 石巻市医師会の千葉淳会長は「具体的な連携に向けた話し合いはこれからだが、市立病院には遠隔地診療の支援や在宅患者向けのバックアップ用ベッドの確保をお願いしたい」と将来像を描く。



http://www.asahi.com/articles/SDI201608265725.html
病院実習よりも大切なこと 医学生の皆さんへ
アピタル・高山義浩
2016年8月29日06時00分 朝日新聞

先日、非常勤講師をしている大学で講義をいたしました。年に1回だけなのですが、医学部3年生に地域医療についてお話しをしています。今年で10年目。毎回、率直にお話させていただいて、学生の皆さんも真剣に聞いてくださいます。で、今年は最後にこんなメッセージを送らせていただきました。伝わったでしょうか?

    ◇     ◇     ◇

これから皆さんも病院での臨床実習が始まることでしょう。なかには、早々に4年生から有名研修病院などを狙って、自主的に来られる方もいます。でも、あんまり早いうちから病院見学を重ねるのはオススメしませんよ。だって、広い視野を身に着けてほしいから・・・。

そもそも病院ってのは、閉じた「異様な空間」なんです。そこに対する探究心をもつのって変じゃないですか? それに、どうせ将来は病院漬けになって働くんです。だったら、学生時代ぐらいは、クラブ活動にのめりこんだり、いろんな国を旅してまわったり、青春のすべてを彼女にささげたり、そういう有意義なことに時間を使ったほうがいいですよ。

私が働いている沖縄県立中部病院は、そこそこ有名な教育病院でもありますので、休みともなると多くの学生さんが研修に来られます。でもね。空港から真っすぐに病院へ来て、研修が終わったら忙しそうに帰ってゆく学生さんたちを見ていると、なんだか私は残念な気持ちになるのですよ。

こんなに豊かな自然があって、そこに育まれる文化があって、ゆっくりと歳を重ねるオジイやオバアがいるのに、病院で医者の話しか聞かないで帰るの? 大丈夫か? 正気なのか? そうやって地域の声を聞かないでいると、そのうち本当に聞こえなくなっちゃうぞ! 分かるかなぁ。

どうしても医療現場が見たいのなら、皆さんぐらいの学年のうちは、海外の現場を訪れてみませんか? 皆さんが医師として活躍する時代は、良かれ悪しかれ激動の時代です。地域医療を守り抜くため、不断の改革を続けていかなければならないでしょう。変わり続けることこそが「真の保守」となる時代です。村社会において、内向きの視線だけでは改革はできません。様々な、ときに極端な現場を見ておくことは、皆さんの直観力を高めるかもしれません。

たとえば私の学生時代・・・、訪れてよかったなと思い返すのは、インドにあるマザーテレサが設立した施設「死を待つ人々の家」、タイでエイズ患者が互いに支え合っていたホスピス「ワット・プラパットナンプー」、カンボジアで僧侶が安楽死を行っていた「ワット・ソムロンアンデス」、ネパールの「トリブバン大学教育病院」における小児科研修など。20年も前のことですから、もはや参考になるかどうかわかりません。でも、いろんな研修機会がアジアにあることを、ネットで検索すれば見つけることができるはずです。

ただし、こういう施設で活動するとしても、全旅程の3分の1程度にしてくださいね。残りの3分の2は地域を楽しく旅行すること。悲しい部分をばかりを見ようとするのではなく、その国の素敵なところを発見する気持ちを忘れないこと。

もちろん、海外ばかりが学生らしい活動地ではありませんね。路上生活者の夜回り支援活動とか、外国人のための無料医療相談会とか、心身障がい者への旅行随行とか、いや別にそういうディープな活動じゃなくても、地域の自治会活動だっていいんです。

実習に来ている医学生の方々とお付き合いしながら、私が「学生のうちに身に着けてほしいな」って思うのは、社会的な弱者の状況を五感でイメージできるようになること、そこに独自の問題意識と解決のイメージを抱けること、それを正確な言葉で表現できるようになること・・・。

こういうことって、地域を知らずして言語化できるはずがありません。なぜって? そりゃ、弱者が「弱者」であることを規定しているのって、地域との関係性においてに他ならないからですよ。

これらは私の一方的な「期待」ではあります。でも、もし医療に関心をもって「探究」したいのであれば、こんな学生ならではのことに、まずは挑戦してほしいなって思います。がんばってくださいね。

(アピタル・高山義浩)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49473.html
遠隔診療「実績つくり、事例発信が必要」- 医師4人が都内でセミナー
2016年08月29日 17時00分 キャリアブレイン

 インターネットなどを使った遠隔による医療相談や診療に取り組む4人の医師が28日、東京都内で開催されたセミナーで一堂に会し、遠隔診療の可能性や課題などに関して意見交換をした。セミナーの中のシンポジウムで遠隔診療を普及させる方法について、医療法人社団ナイズの白岡亮平理事長は、「実績をつくり、遠隔診療のメリットを明らかにして、事例を発信していくことが必要」と述べた。【君塚靖】


 このセミナー「Realtime Healthtech Seminar-遠隔医療の"今"をつかみ"未来"をつくる」は、医師専門コミュニティーサイト「MedPeer」を運営するメドピア株式会社(石見陽代表取締役)が中心になり、遠隔医療相談・診療に取り組む医師に参加を呼び掛ける形で実現した。メドピアの子会社であるメディプラットは、オンライン医療相談プラットフォーム「firstcall」のサービスを開始しており、ナイズが運営するキャプスクリニック代官山などでは、白岡理事長が代表を務めるメディカルフィットネスラボラトリー株式会社が開発した遠隔診療システム「Dr.365」を導入している。

 また、株式会社メドレーはオンライン通院システム「CLINICS」を開発。現在、全国で提携医療機関を増やしている。このほか、株式会社Kids Publicの橋本直也代表取締役は、今年5月末に「小児科オンライン」で、ネットを通じた医療相談を開始し、企業には従業員への福利厚生、自治体には住民サービスとして導入してもらえるよう働き掛けている。

 セミナーでは前半の講演会で、それぞれのネットなどを通じた遠隔医療相談・診療への取り組みが紹介された。その中では、遠隔診療についての理解がまだ深まっていないことや、診療報酬上の手当てが十分でないことなどが課題になるとの意見が出された。

 後半のシンポジウムでは、講演会で指摘された遠隔医療相談・診療のメリットや課題などを踏まえて、どのように普及させていくかがテーマになった。メドレーの豊田剛一郎代表取締役医師は「遠隔診療が価値あるもので患者にとって利益があるならば、診療報酬上の手当ても変わってくるだろうから、ひたすらいいシステムをつくり、多くの人に伝えるしかない」と語った。

■「医療相談」と「診療」の違いも議論に

 シンポジウムでは、医療相談と診療の違いも議論になった。Kids Publicの橋本代表取締役は、「(医療相談をしていて)診断と処方はしないようにしている。診療との違いの中で、やってはいけない『ダメ』なことは分かっている」と述べた。

 一方、ナイズの白岡理事長は「医療相談と診療の違い、定義については、誰が最終判断をしたかだと考えている。医療相談の場合は、医師がアドバイスをしても、相談を受けた側が判断をすることになり、診療は、それを医師がしたことになり、そこが線引きになる」との見解を示した。

 これについて、メドレーの豊田代表取締役医師は「メドレー社内では、医療相談と診療を線引きしないとサービスとしてぼやけるので、一般論を伝えるのが医療相談で、個人のテーラーメイドの情報をベースに判断したものが診療に当たるとしている」と説明した。



http://diamond.jp/articles/-/100258
DOL特別レポート
群馬大学病院の事故でわかる日本医療の大問題

勝村久司
2016年8月30日 ダイヤモンド オンライン

かつむら・ひさし
1961年生まれ。京都教育大学理学科卒業。1990年、陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害などの市民運動に取り組む。厚生労働省の「医療安全対策検討ワーキンググループ」や「中央社会保険医療協議会」、日本医療機能評価機構の産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任。群馬大学附属病院の医療事故調査委員にも就任した。著書に『ぼくの星の王子さまへ』(幻冬舎文庫)、共著書に『どうなる!どうする?医療事故調査制度』(さいろ社)など。

群馬大学医学部附属病院の腹腔鏡手術等による医療事故の報告書が7月末に公表された。日本では相変わらず手術や投薬のミスなどによる医療事故の報道が絶えない。患者側の医療不信も根強く残っている。そこで、DOL編集部では、かつて陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害の再発防止に向けた市民運動に取り組む勝村久司氏に、本件に関して執筆を依頼した。同氏は厚生労働省の「医療安全対策検討ワーキンググループ」や「中央社会保険医療協議会」、日本医療機能評価機構の産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任。群馬大学附属病院の医療事故調査委員も務めている。

実は2度目の調査報告書だった
群馬大学病院の医療事故


 2016年7月30日、群馬大学医学部附属病院で手術後に患者が相次いで死亡した医療事故の調査報告書が公表され、大きく報道されました。

 実は、一連の事故は2014年夏から発覚しており、翌年には1度、事故調査報告書がまとめられていました。したがって、今回公表されたものは、やり直しをした2度目の事故調査報告書だったのです。

 これまでの経緯は次の通りです。

 同病院は、2010年12月から2014年6月までの間に確認された92例の腹腔鏡下肝切除術のうち、58例が保険適用外の疑いがあり、そのうちの8例が術後4ヵ月以内に亡くなっていたとして、2014年夏に最初の事故調査委員会を立ち上げました。

 その委員会には、5名の外部委員が含まれているとされていましたが、そのうちの4名は、最初の会議に出席を依頼されたのみで、それ以降は会議に呼ばれておらず、実質的に議論に参加できていませんでした。しかも、参加を続けた残りの1名は、病院の顧問弁護士であり、とても外部委員と呼べるものではありませんでした。さらに、2015年3月にまとめられた報告書の内容を遺族に説明する際に、病院側が勝手に加筆した箇所があったことがわかるなど、事故調査のあり方自体が大きく批判され、信頼性が揺らぐこととなったのです。

 そのため、大学は、2015年8月末に、完全に外部委員だけからなる新たな事故調査委員会を設置し、調査をやり直すことを決めました。新たな委員会は6名で構成され、筆者も委員の一人となりました。

 この委員会は、1度目の委員会が対象とした腹腔鏡下肝切除術死亡8事例に加え、開腹肝切除術死亡10事例を併せた18事例の事故を対象にしました。そもそも、群馬大学の腹腔鏡による手術の事故は、千葉県立がんセンターで腹腔鏡の手術事故が多発したことがきっかけで発覚したものであり、全国的に腹腔鏡の手術の安全性が問われる事態でしたが、加えて、群馬大学では、腹腔鏡ではない通常の開腹手術でも死亡事例が相次いでいたことが発覚したための対象の拡大でした。

病院主導の事故調査では再発防止は困難
群大の事故は日本の医療界全体の問題


 群馬大学の1度目の医療事故調査の例でもわかるように、病院側が主導している医療事故調査では、健全に原因を分析し、本気で再発防止につなげることは困難です。そのため、きちんとした医療事故調査がなされてこなかった日本の医療は、新たな技術である腹腔鏡による手術だけでなく、従来から行われていた開腹手術でさえ、長年にわたり、その質や安全性を吟味することが十分にされてこなかった可能性があります。

 すなわち、今回の一連の事故は、群馬大学の中の特異で個性的な原因を探るというよりは、日本の医療界全体に横たわる原因を探るものでもあったのです。

 その一つに「インフォームド・コンセント」の問題があります。

 1度目の事故調査報告書では、調査対象とした腹腔鏡手術後の死亡例8例全てにおいて、それぞれ、「手術前のインフォームド・コンセントにおいて,代替治療の選択肢,合併症や死亡率の具体的データが示された記録がないことから,不十分な説明であったと判断した。」と記載されました。そして、その記載に対して、担当した主治医は以下のような反論文を出しました。

「インフォームド・コンセントについては、群大病院の指針に則って1時間以上かけて行っていた。診療録に記載していなかったことについては、反省している。手術説明同意書では、「予定術式」「病名」「入院期間及び手術日」「術式」「合併症」「説明医師氏名」「患者氏名」「立会人住所・氏名」を記載し、「手術説明図」も使っていたことから、「簡単な術式」「合併症」しか記載されていないとする報告書の指摘は正しくない。」

 それだけに、2度目の報告書では、インフォームド・コンセントの問題は、重要な論点の一つでした。

 実際には、手術日の前日などに主治医が主張するような説明がされていたようです。しかし、「1時間以上」というのは言い過ぎではないか、インフォームド・コンセントの際には看護師も同席するべきだが、ほとんどされていなかったのではないか、カルテに記載がないものをやったと認めてよいのか、などの指摘もされてしかるべきものでした。

 ただ、2度目の報告書では、そのようなレベルの問題ではなく、「そもそも、本来なされるべきインフォームド・コンセント説明、適切な方法、適切なタイミングでなされていなかったことが問題である」という主旨の記載になりました。

インフォームド・コンセントの意味
日本では勘違いの医療者も多い


 そもそも、インフォームド・コンセントとは何でしょうか。

 日本では、単に「説明と同意」と訳されがちなために、手術等の内容の説明をして同意文書にサインをしてもらう、という行為だと勘違いしている医療者も少なくないようです。しかし、これでは、世界中で、「医療の重要な原則」とされているインフォームド・コンセントの主旨が全く反映されていません。

 そのような中で、2011年に日本内科学会が作成した「研修カリキュラム」の「医療倫理のポイント」にインフォームド・コンセントについて記載された内容は、非常に適切な内容になっています。です。

 まず、次のように定義されています。

「インフォームド・コンセントとは、意思決定能力(判断能力、治療同意判断能力などともいう)を備えた患者が、誰からも強制されていない状況下で、十分な情報の開示と医師の奨励を受け、それらを理解したうえで、医師の奨励する診療計画に賛成し,医師に当該行為を患者に行うことを許可することである。」

 さらに、看護的観点からは、「インフォームド・コンセントにおいて看護師は、患者と医療専門職が協同し患者にとって最善の選択と決定がなされるために、患者のアドボケート(擁護者)として、重要な役割を果たす。まず、医療が提供される際に患者の人権が侵害されることを防ぐ、権利擁護者としての役割がある。そして、患者が自分自身の価値観やライフスタイルによって、自分のニーズに即した選択が出来るように支援する。患者の自己決定の支援者としての役割もある。さらに、患者の尊厳を守り、最善の選択が出来るように支援し、患者の決定を尊重するという役割も課されている。医師から患者に伝えられた情報の詳細や、その情報を受けた患者の反応を知る為に、看護師は可能な限り情報を伝えられる場や意思決定がなされる場に居合わせることも忘れてはいけない。」と記載されています。

手術前日のインフォームド・コンセント
それでは患者が十分に検討できない


 群馬大学のインフォームド・コンセントの問題が、もし、「手術の前日に、1時間以上かけて行われていて、看護師が同席しており、その旨がカルテにも記載されていた」ならば良かったのでしょうか。それでは、全く的外れです。

 手術のために入院をして、様々な検査をして、「明日いよいよ手術だ」という日に改めて手術の説明を受けてサインをしたとしても、それはインフォームド・コンセントではありません。患者は、もはや「明日よろしくお願いします」としか言えない状況です。

 本当のインフォームド・コンセントは、手術ならば、入院をする前の、外来で手術を選択するか否かを検討するタイミングで行われるべきです。また、そこでは、即時に判断を求めるのではなく、十分な検討時間も患者に与えられるべきです。

 手術の適応があるか、つまり、患者ごとの手術のメリットとデメリットをきちんと比較検討すること、また、手術以外にどのような選択肢があるか、をしっかりと提示し、それぞれの患者ごとのメリットとデメリットを比較し検討すること、そのためには、個々の患者の病状をきちんと共有することと、それぞれの治療法のそれまでの一般的な予後の情報だけでなく、その医療機関やその医師ごとの、これまでの実績も伝えられるべきです。

 そのため、患者や家族も含めた複数の医療者間のチームで検討することが不可欠です。

 ところが群馬大学の一連の事故でも、紹介医や執刀医の間のやりとりだけで実質、治療方針が決められてしまっていることが多く、「その患者に手術の適応があったのか」、「必要だったのか」、「他の選択肢の方が良いのではないか」ということを、患者と共に十分に検討するという過程が経られていません。実際に、「手術の適応がなかった」、つまり「手術をするべきではなかった」と考えられる事例もあり、病院側が、手術数を増やすことを強く意識していたのではないかという指摘もされています。このことが「インフォームド・コンセントがなされていなかった」ということの本質です。

 また、群馬大学の一連の事故の遺族の多くは、術後に合併症が生じ、死亡に至るまでの間に、その間の病状や様態、そこからの治療方針の選択などについても、十分な説明を受けることができなかった、という思いを持っています。

 つまり、患者にとって本当に必要なインフォームド・コンセントのタイミングは、手術ならば、今の日本の医療界で定着している手術の前日等ではなく、治療方針を決める段階、すなわち外来時などに手術を選択するかどうかを決めるときと、術後の合併症の発症時なのです。

 このタイミングのずれが、健全なインフォームド・コンセントがなされていない原因の一つだと思います。

日本で繰り返される医療事故を見れば
共通点があることがわかる


 本来ならば、医療事故と呼ばれるものは、大きく二つに分けることができるはずです。

 一つは、「インフォームド・コンセントの内容が間違っていた」、すなわち、示した選択肢に間違いがあった。治療方針が間違っていた、というような予定していた計画に間違いがあったという医療事故です。その人がその治療の適応とはならない何らかの検査データを見落としていた、等のケースもこれに当てはまります。

 もう一つは、「インフォームド・コンセントの内容通りにできなかった」という医療事故です。例えば、誤って切るべきではないところを切ってしまった、投与するクスリを間違えた、等のように、予定していた計画通りに実施できなかったというものです。

 その上で、日本で繰り返されている医療事故を改めて見てみると共通点があることがわかります。

 群馬大学の一連の事故と同様に大きく報道された、東京女子医大の小児に禁忌のプロポフォールが大量に投与されて死亡していた医療事故でも、投与の事実が、全く患者側に伝えられていませんでした。同様の投与や事故は全国で起こっているのではないか、という危惧もされています。

 また、日本の代表的な医療事故である、不必要な陣痛促進剤(子宮収縮剤・子宮収縮薬)が妊婦の知らない間に過剰に使用されて、子どもが重度の脳性麻痺等になってしまう事故も同じです。

 半世紀にわたり、妊婦の知らない間に過剰に投与されるなどして事故が繰り返されてきており、今も日本の出産の半数近くで使用されているといわれている陣痛促進剤ですが、1974年から日本母性保護医協会(現在の日本産婦人科医会)が全国の産科医に対して再三注意喚起をしてきました。そのうちの1990年1月に発行されたものには下記のような記述があります。

 『・・・当会の行っている妊産婦死亡調査でも死亡原因の中で子宮収縮剤使用後の子宮破裂、弛緩出血の占める比率は高い。また羊水栓塞による死亡例の中で子宮収縮剤を使用した症例が多いのも事実である。(略)訴訟になった例や母体死亡例では子宮収縮剤を用いて分娩を誘発ないし促進している症例が多い。(略)それら症例の中では誘発や促進の適応が不明なものが少なくない。(略)医療施設側の事情によって計画分娩(※筆者注:子宮収縮剤などを使用して出産の日時をコントロールすること)を行うことはトラブルのもとであり、決してすべきものではない。(略)誘発は妊婦および児の利益のために行うという立場を忘れてはならない。・・・』

 この記述からは、薬を使う必要のない母親に、知らない間に薬を使って、事故が繰り返されていることがわかります。

 被害者たちの市民運動により、2010年6月から、この薬の添付文書には、『患者に本剤を用いた分娩誘発、微弱陣痛の治療の必要性及び危険性を十分説明し、同意を得てから本剤を使用すること』と明記されましたが、出産時の事故で重度の脳性まひになった事例の原因分析をしている産科医療補償制度の「再発防止に関する報告書」によると、陣痛促進剤を使用する際に文書で同意を取っているのは、いまだに事故事例の3分の1程度にとどまっています。

日本では医療事故の議論の前に
医療現場から「医療犯罪」をなくすべき

 日本で大きく報道されているこれらの医療事故は、全て、インフォームド・コンセントがなされていない中で起こった事故です。したがって、本来の2種類の医療事故のどちらにもあてはまらず、欧米では、「医療犯罪」として分類されるものなのです。

 本来の医療事故調査は「インフォームド・コンセントの内容に間違いはなかったか」「インフォームド・コンセントの内容通りに医療はなされたのか」を分析するものですが、日本の医療事故調査の現状は、いまだに、「インフォームド・コンセントがなされていない」という大問題を指摘しているという段階なのです。

 日本ではまず、医療者が患者のために誠実に対応しても起こる医療事故の議論をする前に、日本の医療現場から医療犯罪の類をなくしていくことが求められているのです。


  1. 2016/08/30(火) 05:41:17|
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