Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月27日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/434061?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160826&dcf_doctor=true&mc.l=174205743&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: どうなる?「日本の未来の医療」
医学部定員、「現状維持」と「削減」で二分◆Vol.12
「時代に合わせた定員を」「増員で状況改善は無理」

2016年8月26日 (金) m3.com編集部

 2007年度に7625人だった医学部定員は、2016年度に9262人にまで増えた。医学部定員増と人口減少などの影響で、日本の10万人当たりの医師数は、10年後にOECD平均を上回るとの推計が出た。今後、医療需要の減少も見込まれており、医学部定員を削減すべきという意見も出ている。一方で、女性医師の増加やキャリアパスの多様化、地域・診療科の偏在が解消していないことから、医学部定員数を削減すべきではないという見方もある。

 医師509人(勤務医253人、開業医256人)に、今後10年間の医学部定員のあり方について尋ねた(調査の詳細は『高齢者の保険診療に制限、過半数の医師が支持◆Vol.1』を参照)。

Q. 今後10年間の医学部定員をどうすべきとお考えですか。
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 勤務医は43.4%が「現状を維持すべき」と回答。開業医は49.0%が「削減すべき」を選んだ。「さらに増員すべき」は勤務医の5.1%、開業医の3.2%が選択するにとどまり、「現状維持」あるいは「削減」で意見が二分する結果となった。医師不足で過重労働が問題となっている勤務医にとっては、医師数の確保が重要との見方が強い一方で、経営者でもある開業医にとっては、患者の取り合いの発生などへの警戒感が強いのかもしれない。

 「その他」の意見を紹介する。

・増員だけでは、状況は、改善されない。【50代開業医】
・その時代に合わせた定員にすればいいだけでは?【60代以上開業医】
・女医を減らす。私も女医だが、結婚や子育てで実働にならない女医が多すぎる。医者と結婚するために医学部に入るような女医はいらない。【50代勤務医】
・OECDの医師数の計算と日本で臨床医の数とは合わない。臨床医をきちんと数えて比較すべきだ。【50代開業医】
・もっと民間資源を活用する方法はあるはずである。NPO等を活用して、医療の知識や選択の可能性についての民間に対する啓発などがあれば、市民も無駄な医療を受けないだろうし、また医療者が、その説明に時間を取られることも減少すると思われる。【60代以上勤務医】
・医師数の問題ではなく、医師を補助する業務人員の確保が大切。ナースプラクティショナーやPAの創設。【50代勤務医】
・急性期病院で、2交代もしくは3交代の医師確保ができるまで、24時間の医療が十分できる量を確保。【60代以上勤務医】



https://www.m3.com/news/iryoishin/453270?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160827&dcf_doctor=true&mc.l=174420423
シリーズ: 医師不足への処方せん
2017年4月に医学部新設へ、国際医療福祉大学
文科省大学設置審が答申、640床の附属病院も新設

2016年8月26日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 文部科学省の大学設置・学校法人審査会は8月26日、2017年度からの千葉県成田市にける国際医療福祉大学の医学部新設を、7つの留意事項を付して答申した(資料は、文科省のホームページ)。答申を受け、8月31日に文科相が設置認可する予定。医学部入学定員は140人、うち20人は留学生枠。2016年4月の東北医科薬科大学に続き、2年連続で医学部が新設されることになる(『東北医科薬科大学、一期生100人が入学』を参照)。

 国際医療福祉大学は26日、「広く門戸を開き、これまでにない新しい世界水準の医学教育を行う」との声明を公表している。2020年には医学部校舎のある成田キャンパス近くに640床規模の医学部附属病院「国際医療福祉大学成田病院」を新設し、「感染症国際研究センター」なども設置予定だ。「医学部生の臨床実習で活用するほか、2020年後の東京オリンピックも見据え、国際都市・成田における質の高い医療とサービスの提供を目指す」(同大)。

 千葉県成田市は、国家戦略特区に指定され、2015年11月27日の国家戦略特区諮問会議で、同特区での医学部新設が了承された(『国際医療福祉大学、「明治以来の医学教育を変える」』などを参照)。これに対し、日本医師会、日本医学会、全国医学部長病院長会議などはこれまで再三にわたり、医学部新設には異議を唱えており、この7月にも3者の連名で、大学設置審に対し、慎重な検討を求める文書を提出していた(『成田医学部、「将来に禍根を残さないよう判断を」』を参照)。


 国際医療福祉大学は、既に成田キャンパスに、2016年4月から看護学部などを開設、2016年1月には医学部校舎の起工式を行った(『『世界的な医学部』新設へ、成田で起工式』を参照)。同起工式の席上で、学校法人理事長の高木邦格氏は、「医学部では地域医療に貢献し、また海外の医療教育でも貢献できる総合診療力を持った医師の育成を目指す。教員のレベルも日本で最高水準にしたい」との抱負を述べていた。2016年3月に、文科省に対し、医学部の設置認可申請を行った。

 答申に当たっての留意事項として、まず同大医学部が特徴とする海外での臨床実習について、その質を確保するほか、実習先はアジア諸国だけでなく、欧米諸国も確保することが求められた。そのほかの留意事項は、(1)人体の生理機能を理解するためにシミュレーターを利用するだけでなく、生理学、生化学、分子生物学など、基礎医学に関する実習を充実、(2)全ての留学生が将来母国のリーダーとして活躍できるよう、母国の政府機関等の推薦を受けていない私費留学生を含め、卒後の進路の支援体制を充実、(3)附属病院の財政における不測事態への対応など、リスク管理の一層の強化、(4)認可後に収納予定である補助金(千葉県、成田市)が収納されたら、その旨を報告――などだ。

 同大によると、医学部の特徴は、以下の通り。

(1) 国際標準を上回る医学教育を通じて、高い総合診療能力を身に付けた医療人材の養成
(2) 1年次から医学に関する大多数の科目で英語による講義を実施
(3) 定員140人のうち20人は東南アジアを中心とした留学生を受け入れ、将来母国の医療分野のリーダーとなり得る人材を育成
(4) 学術協定を締結している世界16の国・地域、約30の大学・機関・病院のうち、12の機関での海外臨床実習をする
(5) 4つの附属病院や多くの大学関連施設で臨床実習を実施
(6) キャンパス内に設置する5000m2を超える世界最大級の「医学教育シミュレーションセンター」における充実した実践教育を実施
(7) 私立大学の医学部で最も安い6年間で1850万円の学費設定に加え、さまざまな奨学金や学士ローンを用意



https://www.m3.com/news/general/453456?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160827&dcf_doctor=true&mc.l=174420424
わいせつ容疑医師、勤務先病院が不当逮捕と抗議の声明
2016年8月27日 (土) 高橋直純(m3.com編集部)

 警視庁が手術後の麻酔が残る女性患者に診察を装ってわいせつな行為をしたとして男性医師を準強制わいせつ容疑で逮捕した問題で、医療法人財団健和会柳原病院(東京都足立区)は8月25日、「警視庁による当院非常勤医師逮捕の不当性について抗議する」と題した事務長名での声明を同病院のウェブサイト に掲載した。「(被害女性は)手術後せん妄状態での幻覚や錯覚が織り交ざったものと確信する。今回の不当逮捕に強く抗議する」と主張している。

 報道や病院側の説明によると、女性(30歳代)は2016年5月10日、柳原病院で右乳腺腫瘍摘出手術を受けた。女性は男性医師が勤務する別のクリニックの外来患者で、手術のために柳原病院に1泊予定で入院した。手術終了直後の午後4時ごろ、4人部屋の病床で術後の診察に訪れた男性医師にわいせつな行為をされたとして、友人を通じて警察に通報した。同日中に警視庁千住署員が訪れ、男性医師と面談。病院も直ちに男性医師に関係した職員より手術前から通報に至る間の状況について聞き取りや病室とベッドの位置、ベッド高さ等現場検証を行った。6月9日に女性の求めに基づき、全診療記録を同署に提出。7月7日には内部調査や顧問弁護士名での「捜査を速やかに終了するよう求める」申入書も提出した。一方で、報道によると、女性は被害届を提出している。7月7日以降、警察からの問い合わせがない中で、8月25日に準強制わいせつ容疑で逮捕となった。男性医師は容疑を否認しているという。

 病院側は、女性が5月11日、27日の術後診察を外来で受診し、半年後の経過観察の診療予約も行っていると説明。女性の説明は「全身麻酔による手術後35分以内のことであり、その内容は、手術前の恐怖や不安と全身麻酔で行った手術後せん妄状態での幻覚や錯覚が織り交ざったものと確信する」と主張している。また、当時の状況として、4人部屋が満室で、看護師も頻繁に訪れ、「供述の様なことが誰にも知られず行われたとは考えられない」としている。

 不当逮捕であるとして強く抗議しており、「このようなことが許されれば、今後、施術医師が術後診察に病室を訪れることをためらう要因ともなり、正当な医療行為に制約を付すことになりかねない」と訴えている。また、男性医師に逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れはないとして、早期の釈放を求めている。

G3註:通常の診療行為を犯罪とすり替えた警察の暴挙との疑いを感じる



https://community.m3.com/v2/app/messages/2575686?pageNo=1&portalId=mailmag&mmp=RI160826&mc.l=174417257&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
抗議文
http://yanagihara.kenwa.or.jp/statement.html
警視庁による当院非常勤医師逮捕の不当性について抗議する
PROTEST ABOUT THE UNFAIRNESS OF THE ARREST

み な さ ま へ

 8月25日の一部報道につきまして、患者はじめ関係者のみなさまには大変ご心配をおかけ致しております。こちらに当院の見解を発表致しました。引き続きみなさまのご期待にお応えできるよう、いっそう力を尽くす所存でございますので、ご支援ご協力をお願い申し上げます。


関係者各位
2016年8月25日15時45分
医療法人財団健和会
柳原病院院長 石川 晋介

1. 当院非常勤医師逮捕について
  2016年8月25日、警視庁により当院非常勤医師が逮捕されたとの報道がされ、その後当院はその事実を確認した。この逮捕は全身麻酔手術後患者の訴えのみを根拠とする警視庁による不当な逮捕である。

2. 経過
  2016年5月10日、16時頃、当院1泊入院予定で右乳腺腫瘍摘出手術を実施したA氏が、手術終了直後に4人部屋の病床にて、術後診察に訪れたB非常勤医師からわいせつな行為をされたとして、友人を通じて警察通報した。なお、A氏はB医師が勤務するCクリニックのB医師が担当する外来患者で、手術のために当院に入院した。同日、通報により千住警察署員が来院し、当院は患者本人や他の入院患者の症状に配慮しながら、求めに応じてA氏との面談のために場所を提供し、当該病床にも案内をした。
  当院は直ちにA氏に関係した職員より手術前から通報に至る間の状況について聞き取りや病室とベッドの位置、ベッド高さ等現場検証を行った。また、6月9日には、A氏申請に基づいて全診療記録を警察署へ持参した。7月7日には、当院内部調査による時系列事象や現場検証実施の記録及びそれらの検討からわいせつな行為はなく、捜査を速やかに終了するよう求める申入書を当院顧問弁護士名で提出した。その際警察は、A氏身体からの採取物から物証があったと明言することはなく、当院にこれ以上の捜査協力を要請する根拠も理由も示せなかった。7月7日以降千住警察からは一切の問合せもないまま、8月25日突然の逮捕となった。

3. 当院の見解
  当院は詳しく院内調査を実施し、顧問弁護士と相談しながら院内調査の概要を示すとともに、警察の要請に対して対応してきた。また、A氏自身は5月11日、27日の術後診察を当院外来で受診し、半年後の経過観察の診療予約も行っている。
  当院の調査でA氏の術後の供述は、全身麻酔による手術後35分以内のことであり、その内容は、手術前の恐怖や不安と全身麻酔で行った手術後せん妄状態での幻覚や錯覚が織り交ざったものと確信する。さらにA氏は満床在室の4人部屋におり、術後の経過観察に看護師が頻回に訪床する病床にいた。多くの目がある環境の中でA氏の供述の様な事が誰にも知られず行われたとは考えられない。この様に当院として医学的、客観的に状況や経緯を検討し、その調査結果を警察に提示したにもかかわらず、警察は「A氏の証言に信憑性がある」と判断して非常勤医師の逮捕にまで踏み込んだのである。この様なことが許されれば、今後、施術医師が術後診察に病室を訪れることを躊躇う要因ともなり、正当な医療行為に制約を付すことになりかねない。
  当院は、今回の不当逮捕に強く抗議する。警察は、手術後せん妄状態時の患者証言に信憑性があるとして明確な証拠も示さず、準強制わいせつによる逮捕にまで踏み込んだものである。しかし、逮捕の要件であるところの、逃亡のおそれ、証拠隠しのおそれなどの事由は、B医師にはない。多数の患者の健康をあずかる医師を逮捕し勾留することは、自白強要を目的とするものと言わざるを得ない。この警察のやり方は不当であり、この間の冤罪事件での捜査手法や人権蹂躙に対してなんら反省もない態度だと考える。さらに警察のこうした横暴が、医療現場に混乱を与え、患者、利用者、職員やその家族に不安を招いた事を、当院は厳しく糾弾するとともに、警察当局に謝罪を求め、この様な強引で不当な捜査を直ちに止め、B医師を速やかに釈放するよう求めるものである。

以上



https://www.m3.com/news/general/453232?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160827&dcf_doctor=true&mc.l=174420425
銚子市立病院念書問題、医師宿舎不正 市議会提出、告発を地検受理
2016年8月26日 (金) 毎日新聞/千葉

 銚子市立病院の医師宿舎を巡って不正な念書が作成された問題で、同市議会は、野平匡邦前市長と市立病院再生機構(精算手続き中)の元職員2人について地方自治法違反(証人出頭拒否)容疑で告発状を千葉地検に提出し4日付で受理されたことを明らかにした。また、野平前市長から告発の正当性などに関する質問が7月に寄せられ、書面で回答したと説明した。

 告発状によると、3人は昨年11月から今年5月、市議会調査特別委員会(百条委)が複数回にわたり出頭要請したにもかかわらず、出頭を拒んだとされる。市議会は5月に3人を告発する議案を賛成多数で可決していた。【近藤卓資】



https://www.m3.com/news/iryoishin/451994
シリーズ: 指導監査と処分
保険医の人権を守れ!指導大綱・監査要綱の改正案
健保法改正研究会が公表、「集団的個別指導」廃止も提案

2016年8月27日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 医師や弁護士の有志らで組織する「健康保険法改正研究会」は、保険診療に関する指導と監査を手続き上で分離したり、レセプトが高点数の医療機関をターゲットとする「集団的個別指導」の廃止、保険医の人権擁護の視点から適正な手続きを踏んで指導・監査を行うことなどを盛り込んだ、健康保険法、指導大綱・監査要綱の改正案をまとめた。8月21日に福岡市で開催した第5回シンポジウムで公表した。今後、これらの案を厚生労働省や国会議員などに働きかけていく予定(資料は、同研究会のホームページ)。


 健保法改正研究会の共同代表で弁護士の井上清成氏は、m3.com編集部の取材に対し、昨今の指導や監査をめぐる動向を踏まえ、「指導大綱、監査要綱、または健康保険法自体を改正する動きが、来年度くらいを目指して進むのではないか、と推測されるようになってきた。これが実現すれば、久々の大幅な改正になる。このタイミングで、本研究会がこれまで考えてきたことをまとめ、改正案を提示する目的で、約1年前から研究会内で議論していた」と経緯を説明。

 その上で、井上氏は次のように述べ、行政の恣意性などを排除するためにルールを明確化、保険医の人権にも配慮し、指導・監査が適切に行われる体系を目指すのが改正案提案の狙いだと説明する。「 今の個別指導は、教育的指導ではなく、監査に似ていて、不正・不当の疑いのあるものをふるい分けているイメージが拭えない。比喩的に言えば、刑事事件には、強制捜査と任意捜査があるが、監査は強制捜査、個別指導は任意捜査に例えることもできる。しかし、個別指導は、教育的指導を行うのが目的であるはずであり、集団指導と同列のものとし、個別指導と監査を分離すべき。この考えに立てば、集団指導と個別指導を行えば十分であり、中途半端な集団的個別指導も廃止した方がいい」。

 指導大綱、監査要綱は1995年の大幅改正以降、微修正は行われてきたものの、基本は変わっていない。指導・監査をめぐる問題は絶えず、指導・監査を苦にした医師の自殺、東京高裁判決で指導・監査後の保険指定・登録の取消処分が違法とされたケースなどがある(『自殺した開業医遺族、鳥取県東部医師会と調停へ』、『国が上告断念、「保険取消は違法」が確定』などを参照)。

 同研究会は2012年2月に発足、こうした現状を問題視し、指導・監査の改善を求め、さまざまな活動を行ってきた(『人権侵害の指導・監査、現場から改善を!』などを参照)。日本弁護士連合会も2014年8月に、保険医等の人権擁護の立場から、「健康保険法等に基づく指導・監査制度の改善に関する意見書」を公表した(『日弁連の意見書、「歴史的な意義は大」』を参照)。

 国会でも指導・監査の問題が再三取り上げられているほか、井上氏が「昨今の指導、監査をめぐる動向」として挙げる一つが、今年3月22日付けの保険医療機関に対する個別指導の実施通知で、「個別指導の運用において、少し改善が進んできたこと」(井上氏)。個別指導では、実施直前にカルテを大量に準備することが医療機関の負担になっていたが、2016年度は、(1)個別指導の実施通知は、「3週間前」から「4週間前」に前倒し、(2)個別指導に用いる患者名通知は、「指導4日前に15人分、残る15人分は前日」から「指導1週間前に20人分、残る10人分は前日」――に変更された。

 改正案は、健康保険法、指導大綱・監査要綱を合わせ、●ページに上る。改正のコンセプトや方向性を示すだけではなく、健康保険法の改正条文、指導大綱、監査要綱の改正案として具体的に提示したのが特徴。その骨子は以下の通り。

健康保険法、指導大綱・監査要綱の改正案(健保法改正研究会による)
1. 指導と監査の体系上の分離
 現状では、指導を中断して、監査に移るケースがあるため、「個別指導の連絡が来ると、保険医は恐怖感を抱く。それを払拭することが必要」(井上氏)。指導はあくまで「指導」とし、診療報酬の返還や保険医指定の取消などの不利益処分を伴う「監査」と峻別する。
(1) 指導は、従来通り、地方厚生局長が実施、監査の主体は厚生労働大臣の直轄に変更
 同じ主体が指導と監査を実施すると両者が連動するために、切り離す。「指導を実施する側が、監査に移行するか否かを判断するのではなく、監査を実施する側が判断すべきもの」(井上氏)。
(2) 指導・監査の根拠法令の分離
 指導大綱・監査要綱(厚労省局長通知)に基づいていた法体系を改め、指導は健康保険法・療養担当規則・指導告示とし、監査は健康保険法・監査規則(厚労省令)とする。「現在は、通知レベルのため、パブリックコメントを求めることなく、指導大綱・監査要綱を定めることができ、国会によるコントロールも効かない。このため指導・監査の根拠を省令以上にする」(井上氏)。
(3) 指導と監査の関連を遮断
 個別指導の措置から「要監査」を削除し、指導と監査を峻別する。監査開始の要件も限定して、監査の独自性を明確化する。
(4) 指導の充実
 レセプトが高点数(例えば、診療所の場合は診療科別に上位8%)を理由に行う、集団的個別指導を廃止して、集団指導と個別指導の二本立てにして、指導を充実させる。「定期的に全医療機関を対象に、定期的に実施してもいいのではないか」(井上氏)。

2. 法律による行政の原理の強化
(1) 健康保険法に憲法の趣旨を充填
 憲法第25条の生存権およびその趣旨を敷えんした国民皆保険制、国民の受療権と保険医の診療権の趣旨を、健康保険法に明示して充填する。
(2) 法段階をグレードアップ
 「1-(2)」のように、法段階をグレードアップして、法律による行政の原理を強化する。
(3) 一般的法原理である比例原則を導入
 監査後の行政上の措置は、「取消処分」「戒告」「注意」の3段階。違反行為の程度を問わず、保険医指定等の「取消処分」の場合は、一律5年。これを改めるため、一般的な法原理である比例原則を監査後の措置にも明示的に導入する。

3. 日弁連の意見書等の意見を実現
(1) 弁護士選任権の明記
 現行は運用上で認められているにすぎない保険医療機関や保険医による弁護士選任権を、法令に明記する。
(2) 日弁連意見書の指摘事項を導入
 保険医等の適正な手続的処遇を受ける権利を保障するため、「患者調査の適正手続化」「録音・録画の法定」「結果や記録の開示の法定」「選定理由の開示」「中断手続の適正化」などを導入。



https://www.m3.com/news/iryoishin/453479
シリーズ: 真価問われる専門医改革
「総合診療専門医」目指す専攻医、研修施設を支援
プライマリ・ケア連合学会、都内で説明会開催

2016年8月27日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本プライマリ・ケア連合学会は8月27日、都内で「総合診療専門研修プログラムの延期に関する説明会」を開催し、日本専門医機構が2017年度から開始予定だった「総合診療専門医」を目指す医師および研修施設をサポートすることを改めて説明した。同学会は、総合診療専門研修プログラムには申請しても、同学会の家庭医療専門研修プログラムには申請・登録がない研修施設に対し、特別措置を講じることを8月9日に公表していた(『「家庭医療専門医」の新規養成、2017年度も継続』を参照)。


 9月12日まで、「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」への追加申請の受付を行っており、12日の締め切りまで書類が全て整わなくても、申請の意思表示を12日までに行い、その後に書類を早急に提出すれば、対応は可能だという。

 説明会の冒頭であいさつした同学会理事長の丸山泉氏は、出席者の多くを占めた研修責任者に向けて、「この道に、医療人としての一生をささげようとしている若い医師たちの目を摘まないようがんばってもらいたい」と呼びかけ、日本専門医機構が8月5日の理事会で、(1)総合診療専門医を目指す医師については、暫定的な措置として、日本プライマリ・ケア連合学会の現行の家庭医療専門医の研修を受講することを勧める、(2)研修医には、何らの瑕疵はないことから、今後、不利益にならないよう何らかの措置を講じる――との合意が得られていると説明(『「新専門研修プログラム」、2017年度は併用含め6領域』を参照)。

 新専門医制度で19番目の基本領域の専門医として位置付けられる総合診療専門医は、他の18の領域とは異なり、担当学会がなく、日本専門医機構が主体となり、運営する予定だった。総合診療専門医の専門研修プログラムは、「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」をベースに作られており、新制度が延期になった今、総合診療専門医を目指す医師たちの受け皿が、「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」になるのは自然の流れだった。「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」として登録済みは311プログラム。一方、総合診療専門研修プログラムについては、398が日本専門医機構の1次審査を通っており、「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」として登録されていないプログラムは、少なくとも87ある。


 同学会副理事長の草場鉄周氏は、「総合診療専門研修プログラムの基準をクリアしていれば、家庭医療専門研修プログラムはおおむねクリアできる」と説明、両者は類似点が多いものの、大きな違い指導医の要件であり、注意を促した。

 参加者からは、「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」の登録を受けていない研修施設の責任者から、同プログラムを運営するための手続きや指導医要件など、細部にわたる質問が相次いだ。

 それに加えて多かったのが、総合診療専門医の将来像と、家庭医療専門医の在り方だ。2017年度から「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」の研修を開始した専攻医について、草場氏は、研修修了までの3年間は同プログラムで研修を行うことになり、家庭医療専門医の取得時あるいは更新時になるかなどは未定としたものの、「日本専門医機構は、2017年度から研修開始の専攻医について、きちんと対応すると宣言している」と説明、学会認定から同機構認定の専門医への移行は確実に行われるとの見通しを示した。

 家庭医療専門医を取得した医師についても、何らかの条件をクリアすれば更新などの時点で、総合診療専門医に移行するなど、「家庭医療専門医は、5、10年のスパンで総合診療専門医に統合されていくイメージで議論していた」(草場氏)。

 参加者からは、新専門医制度の「1年延期」で、どこまで議論が立ち返るのかについての質問も出た。草場氏は、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の2013年4月の報告書で、総合診療専門医が19番目の基本領域に位置付けられたことに触れ、「そこまでひっくり返されることはないと思っている」と述べ、総合診療専門医の立ち上げに向け、学会としてもできるだけ支援していくと説明した。

 そのほか参加者からは、総合診療専門研修プログラムのみを申請している施設からは、日本専門医機構からの連絡はない上に、日本プライマリ・ケア連合学会の会員がいなければ同学会からの連絡は来ないことから、情報不足に陥っている現状のほか、「総合診療専門研修プログラムの1次審査を終え、2次審査を待っていたところで、梯子を外された。今回の対応(日本プライマリ・ケア連合学会の特別措置)には感謝している」などの声が上がった。新専門医制度が2017年度から研修を始める予定の医師だけでなく、専攻医を受け入れる研修施設の指導医たちにも大きな影響が及んでいることが浮き彫りになった。

 日本プライマリ・ケア連合学会は8月28日にも同様の説明会を開催するほか、ホームページ上で、草場氏の説明場面の動画、「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」についてのQ&Aを掲載し、関係者への周知と理解に努める。

 「指導医」資格などで特別措置
 草場氏は、日本専門医機構の総合診療専門医に関する委員会の委員長は、同機構の新理事長に就任した吉村博邦氏自身が務め、9月から10月には新たな体制での総合診療に関する協議が始まる予定であり、(1)総合診療に関連する定員、(2)ダブルボード、(3)サブスペシャルティ――の検討が行われる見込みだとした。

 新専門医制度の「1年延期」で、総合診療専門医については「さまざまな影響を受けている」と草場氏は述べ、(1)専門研修プログラムは2次審査待ちの状態、(2)特任指導医講習会は7月から開始、8月末まで5回実施されたものの、9月以降、2017年3月まで9回開催予定だったが、実施されるかは不明、(3)特任指導医になるためのレポートは、9月末が提出期限だが、制度延期に伴って何らかの処置がなされる可能性は高い、(4)プログラム統括責任者講習会は今年秋頃を予定されていたが、当面延期の公算――など、不確定要因が多い現状を説明。

 一方で、草場氏は日本プライマリ・ケア連合学会として、日本専門医機構の理事会決定を根拠に、総合診療専門研修プログラムのみを申請している研修施設が、「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」に新規申請できるようにするなど、特別措置を講じていくとした。

 「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」を運用するには、学会の認定指導医あるいは家庭医療専門医資格保持者で、学会が実施する指導医講習会の受講が必要。一方で、総合診療専門研修プログラムにおいては、日本専門医機構が実施する総合診療特任指導医講習会を行い、「暫定指導医」を養成する計画だった。特別措置として、総合診療特任指導医講習会を受講し、同機構のレポート審査修了者、あるいは学会が求める「詳細事例報告書」を提出した者でも可能とし、2017年度から5年間は学会認定の「暫定指導医資格」を付与する。

 参加者からは、総合診療特任指導医講習会の対象人数が限られ受講できなかったり、9月以降の開催予定が未定であることに不安、不満の声が上がった。草場氏は、9月12日までの「家庭医療専門研修プログラム(Ver2.0)」の新規申請の時点では、「講習会受講の見込み」などを記載し、2017年3月までに受講等すれば対応は可能であるとしたほか、専門医機構の講習会を受けられなかった場合には、学会として開催していくなど、指導医講習会を希望する人が全て受講できるよう最善を尽くす方針を説明した。

 「時代を変えることは並大抵ではない」
 前述のように、19の基本領域の中で、担当学会がないのは、総合診療専門医のみ。同専門研修プログラムには、日本プライマリ・ケア連合学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本救急医学会、日本医師会など、多岐にわたる学会等が関係する。

 「本学会としては、受け身で実施してきたが、それが果たしてよかったのかとは思う」と丸山理事長が述べた通り、日本プライマリ・ケア連合学会は、他の基本領域の学会とは異なり、日本専門医機構の社員にも入っていないために、積極的な働きかけはしにくい状況にあった。「時代を変えることは、並大抵のことではない。新参者が入っていく際には、慎重にならなければいけない。ただし、一緒に進む人が増えれば力になっていく」(丸山理事長)。

 参加者からは、「総合診療専門医だけは担当する学会がない」という関係が続く限り、欲求不満、困惑などを抱えるため、日本プライマリ・ケア連合学会が社員になるなどの対応が必要との声も上がった。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160827-OYTET50000/
医療事故遺族を「遺賊」…医療安全学会代議員が講演
2016年8月27日 読売新聞

 医療事故の遺族を「遺賊」と表現した学会講演が波紋を呼んでいる。参加者らの指摘を受けた日本医療安全学会は、「発言は不適切」とする声明を学会のサイトに公開した。こうした表現について、遺族らは「医療事故被害者への偏見につながる」と懸念している。


 関係者によると、問題の発言があったのは、同学会が今年3月に東京都内で開いた学術集会の講演。登壇した男性は「遺賊が求めているのは金と、医師・看護師への処罰であって、原因究明や再発防止は関係ない」などと話し、スライドにも同様の表現があったという。

学会、「不適切であり、容認しない」と声明文をサイトに掲載

 「賊」は犯罪者を思わせる表現だとして、複数の参加者が発言内容を問題視。指摘を受けた会員有志が今月、対応を求める文書を同学会の理事長に提出した。学会は理事会で協議し、発言に対し、「社会へ貢献する民主的な良識の学術団体としては不適切であり、容認しない」とする声明文を26日、サイトに掲載した。

 発言したとされる男性は取材に対し、「いわゆるモンスターペイシェント(理不尽な要求を繰り返す患者)を指したもので、現実にそういう人はいる。不適切な発言とは思っていない」と話した。学会のサイトによると、男性は代議員として名を連ねている。

 医療事故の遺族で、患者と医療者の対話を促すNPO法人「架け橋」副理事長の川田綾子さんは講演の場に居合わせたといい、「医療事故の遺族を面白おかしく表現した言葉に場が笑いに包まれ、ショックでいたたまれなかった。学術的な場で使われる表現として疑問に思う」と話している。



https://www.m3.com/news/general/453475
30センチの器具取り残す 70代の卵巣など摘出手術、茅ケ崎市立病院
2016年8月28日 (日) 毎日新聞社

茅ケ崎市立病院:30センチの器具取り残す 70代の卵巣など摘出手術 /神奈川

 茅ケ崎市立病院(同市本村、仙賀裕病院長)は26日、今月4日に卵巣などの摘出手術を受けた同市の70代の女性患者の腹部に長さ約30センチのステンレス製手術器具を取り残していたと発表した。手術から約3週間たった24日、退院した患者が腹痛で再来院した際にレントゲンを撮って取り残しが判明。再手術で器具を取り出した。

 同病院によると、女性患者は卵巣に水などの液体がたまる卵巣のう腫と診断され、卵巣や子宮などを摘出する手術を受けた。手術は20代の男性医師が主に行い、60代の男性医師が助手を務めて指導していた。取り残した器具は手術中に腸を押さえるステンレス製の「腸圧定ヘラ」で幅約4センチ、長さ約30センチ、厚さ数ミリ、重さ175グラム。病院は「手術中は腸の上に置いておくだけで看護師らが押さえることはなく、手術した2人の医師も『どちらかが取り除いた』と思って腹部を閉じたのではないかと推測される」としている。

 女性患者は11日に退院したが、24日の再来院で器具の取り残しが分かった際、再度の開腹手術をすると腸閉塞(へいそく)を併発していることも判明し、小腸の一部(約70センチ)とこの器具を摘出した。女性は入院中だが、順調に回復しているという。

 同病院は「完全な人為ミス。患者と家族に精神的、身体的負担をかけたことをおわびします」と謝罪している。今後は、手術中に器具の数のチェック回数を増やすなどして再発防止に努めたいとしている。【渡辺明博】


  1. 2016/08/28(日) 05:31:28|
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