Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月28日 

http://www.news-kushiro.jp/news/20160728/201607282.html
常勤医の不在長期化、釧路刑務支所
2016年07月28日 釧路新聞

  帯広刑務所釧路刑務支所(鈴木君彦支所長)は2011年から5年間、常勤医が不在の状態が続いている。15年に国家公務員である矯正医官と、民間医師との兼業をしやすくする矯正医官特例法が施行されて以降も、地元で名乗りを上げる医師はいない。地方の医師不足が、塀の中にも及んでいる。



http://www.asahi.com/articles/SDI201607212500.html?iref=com_apitop
「支援体制充実を」 医療事故調 横倉日医会長にきく(下)
林敦彦
2016年7月28日06時00分 朝日新聞

日本医師会長に迫る(下) 編集長インタビュー

 患者の予期しない死亡例を対象に原因究明と再発防止を図る「医療事故調査制度」が昨秋に始まりました。患者や家族たちの信頼を得るため、医療者側がこの制度にどう向き合っていくのか、注目が集まっています。今後の取り組みのほか、健康を維持していく方法、医療報道に期待することなどについて、日本医師会長の横倉義武さんに聞きました。(「上」から続く)


【質問】(診療科)偏在の話で、外科などが減ってきたというのは過去の医療事故も影響していますが、「医療事故調査制度」(スライド1参照)がはじまって約9カ月たちました。ただ6月までの届け出数は285件と、当初の年間千数百件程度という予測からは大幅に下回っています。事故が起きてからまず院内調査を行う際の支援団体として各地の医師会も入っていますが、どの程度浸透していますか?

 これはかなり(医師会にも)浸透してきています。(届け出)数が十分ではないという話がありましたが、当初の予測が高すぎたんですね。予測もつかない死亡というのはそうそうたくさんあるわけではないので。やはりもし急に患者さんが亡くなったら、担当の医師や病院の管理者はやはり一番悩むんです。そこで医師会がサポートして、院内調査の仕組みをつくる。その院内調査の仕組みをつくるときのメンバーをしっかりと医師会のほうで、あっせんしていくと。また解剖とかAI(死亡時画像診断)とかが必要な場合、そういう解剖のできる医療機関やAIができる医療機関と連携をとるとか。そういうサポートを、いまそれぞれの医師会にやっていただいているところです。


【質問】以前、医療安全の学会で、(初期対応の段階から福岡県医師会が関わり、事故調査の要否の判断も含めて支援する)福岡の取り組みが報告されていました。

 「福岡方式」というのは、わたしがちょうど福岡県医師会にいたときに、いまの(県医師会の)上野道雄副会長といっしょにつくりました。なぜ(患者が)お亡くなりになったかということをしっかり原因を追及して、そういうことが予測、防止できるものについては、しっかり防止できる体制をどうつくるかということがこの(事故調査制度をつくった)目的です。結果的にご家族に納得していただけるような道をこれでつくっていこうということです。


【質問】ただ実際に、届け出の件数が少ない要因のひとつとして、「予期せぬ死」というのをどうとらえるかについて、医療機関ごとのとらえ方がまちまちで、結果的にばらつきがあるという指摘がありますが。

 まあ、それもあるでしょう。それをできるだけ解消していくために、ある程度の(報告)数が出てくると、だいたいこういうときは届ける必要がありますよと。これはそうじゃありませんよ、と。区分けができます。そういう症例を積み重ねるということが大事になってくるでしょう。


【質問】福岡とか、茨城とか、地域によってやっているところはありますが、(調査できる)医師があまりいないところで医療事故が起きたときはどうしますか?

 そういうところに対しては、やはり県(医師会)から支援に入るということが必要になってきます。そこは中央の日本医師会と連携しながらということになります。


【質問】ただ医療事故がおきると、患者・遺族と医療者との間で溝ができてしまいます。

 そう、できます。そういうところをメディエイターみたいに、間をとりもっていこうというそういう研修も、医師会でやっているところです。


【質問】どうしても、医師と患者の間には、医療情報の非対称性(医師と患者の間で、それぞれが持っている情報や内容について格差があること)という課題があるといわれます。いろんな情報がある中で、(患者自身が)医療情報の真偽を見極める「医療リテラシー」をどう高めていきますか。

 日本医師会もいろいろとホームページを通じてさまざまな情報提供をして、その都度、国民にどういうことに注意してくださいということをやっています。医療情報というのはある意味、かなり情報提供をしてもわかりにくい部分がどうしても残るんです。私は「かかりつけ医」を国民のみなさんにもっていただきたいというのは、そういう医療情報を含めて、自分がわからないところを、そのかかりつけ医が通訳して、翻訳をするということが重要(だから)なんです。ですので、「かかりつけ医」をもちましょうということをずっと強く主張しているんです。


【質問】それで病気になる前に、健康をどう維持していくかということが、大事になるわけですが、ご自身の健康をどう管理していますか?

 わたしもいま東京でほぼ単身赴任の状態ですので、一番大事にしているのが運動と食事のバランスです。どうしても運動不足になりがちですので、毎朝のラジオ体操と、それとできるだけ歩く機会を増やすということをしています。


【質問】(横倉さんは)大学時代にラグビーをやっていたので、そういう健康管理の意識は高いのでは?ただなかなか運動しよう、散歩しようと、わかってはいるけど、実現できていないという人たちに対する啓発は?

 健康寿命を伸ばしましょう、と。特に中高年になってくると、足の力が弱ってくるというか。いわゆるロコモティブシンドローム(スライド2参照)といわれる状態がひどくなると、虚弱(という意味の)のフレイル(高齢になって筋力や活力が衰えた段階)という状態になるので、ロコモ体操というものを、これはラジオ体操でもいいわけですが、そういうものを普及していくことが必要でしょう。

 ただ、病気は早期発見、早期治療なんですよね。多くの場合、普通は栄養をとって休んで休養するということでだいたい解決するんです。国民に必要な医療、介護というのは、高齢化社会になってくるとでてきます。それぞれの住んでおられる地域でしっかり提供できる体制を地域でつくっていくと。まあ一番初めに戻りますけれども、医療による地域作りということが重要になってきます。


【質問】(アピタルの)新しい編集長になりまして、より信頼性の高い情報をわかりやすく伝えるということをモットーにやっているんですが、いま横倉さんからみて、メディアにこういう情報発信をしてほしいとか、あるいはこういうことがもっとあったらいいと考えられていることはありますか?

 基本的な健康を維持する方法とか、あくまで「基本」ですね。医療においても、いわゆるコモンディジーズという日常的にみられるような病気はこういうもんだよと。そういうときはかかりつけ医でこうしてもらいましょうとか。そういう基本の話をしっかり国民に知っていただきたいと思います。どうしてもマスコミの習いとしては、きわめて特殊なケースを尊重しやすいでしょう。あまり特殊なケースばっかり報道すると、特殊な場合でも、全国どこでもそれができると思われるとまた困るわけです。だから、一般的な医療というのはこういうもんだということを国民に理解していただきたい。そして、医療側と受け手の国民側の医療不信という状態を解消していくと。医療というのはお互いの信頼関係の上で成り立つと思いますので、ぜひそういうふうなお願いをしたいです。(インタビュー日は7月14日)


《経歴》 よこくら・よしたけ 1944年福岡県生まれ。1969年久留米大医学部卒業後、外科医に。1980年から同大医学部講師。97年4月からヨコクラ病院(福岡県みやま市)理事長。06年から福岡県医師会会長。10年に日本医師会副会長。12年4月の日本医師会長選で「親民主(当時)」系の候補らを破り、初当選。16年6月に3選。



http://www.sankei.com/affairs/news/160728/afr1607280031-n1.html
【相模原19人刺殺】
措置入院見直しを検討 厚労省

2016.7.28 22:16 産経ニュース

 安倍晋三首相は28日、相模原市の障害者施設で入居者19人が刺殺された事件を受けて、関係閣僚会議を官邸で開き、再発防止などを指示した。会議には塩崎恭久厚生労働相、河野太郎国家公安委員長らが出席した。安倍首相は「必要な対策を早急に検討し、できるところから速やかに実行に移していくよう指示する」と述べた。

 逮捕された植松聖(さとし)容疑者(26)は今年2月に措置入院し、尿から大麻の陽性反応が出ていたが、「他人に害をなす恐れがなくなった」として3月に退院していた。措置入院は、指定医1人の診断で退院が可能で、その後のケアに関する法律や制度はない。

 厚労省は28日、措置入院の制度や運用を見直すため、近く有識者会議を設置する方向で調整を始めた。退院後にも治療を継続する仕組み作りが軸となるとみられる。

 同省は調査チームを作って、入退院に関わった医師らから聞き取りを行うほか、措置解除後の植松容疑者の行動、自治体と警察などの連携が十分だったかも検証。措置解除の判断方法も含め、必要に応じて法改正やガイドラインの作成を検討する。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0297858.html
入院判断に人権問題 措置入院制度 道内医療関係者が懸念
07/28 07:00 北海道新聞

 道内の精神医療関係者からも、措置入院制度強化への懸念や、退院後の継続支援の充実を求める声が上がっている。

 「事件により、措置入院の判断基準の引き下げ議論が起きるのではないか。人権上、判断には慎重さが必要だ」。措置入院の判断に携わる札幌市南区の精神科病院の医師は懸念する。

 道によると、道内で2014年度、措置入院した患者は延べ57人と、過去10年で最少だった。警察や家族などからの申請数延べ1289件の4・4%。道障がい者保健福祉課は「人の自由を制限するため、厳格な判断が求められる」と説明する。

 国が精神医療について、長期入院ではなく、地域での支援を重視する方針に転換しており、全国的にも患者数は減少、入院は短縮傾向にある。札幌市によると、入院期間は一般的に長くて3カ月程度という。

 一方で、退院後の継続的な観察の難しさを指摘する声もある。札幌市障がい福祉課は「退院後は福祉施設への入居や、就労支援などを勧めている」とするが、「本人や家族が希望しなければ、その後の関与は難しい」と打ち明ける。道都大の上原正希准教授(社会福祉学)は「病院、行政、警察が情報共有して退院後も見守る必要がある」と指摘する。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0728504267/
准看護師、その存在意義は?〔CBnews〕
准看協会長と日医常任理事に問う

CBnews | 2016.07.28 18:10

 団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、国は医療機関の病床機能を分化することにより、限られた資源で効率的に医療を提供できる体制の整備を進めている。当然、各職種の役割にも変化が求められるが、中でも注目されるのは、看護の重要な担い手と期待されている准看護師(准看)の立ち位置と役割だ。高齢化する社会での准看の存在意義とは―。日本准看護師連絡協議会(准看協)の滝田浩一会長と日本医師会(日医)の釜萢敏常任理事に話を聞いた。

看護師と准看で「機能分化」の推進を―滝田会長

―滝田会長は、准看として今も患者のケアに当たられているそうですね。

 はい。東京都内にある精神科の単科病院で看護助手として働き始め、その後に准看の資格を取って30年以上経ちます。

 准看は14年現在で約34万人が就労しており、看護職全体の2割超を占めています。しかし、准看の資格を取るための学校や養成所の数は、カリキュラムの見直しや補助金の減額などによって減少傾向にあります。これに伴って、試験の受験者や合格者も減っています。こうした状況の中で、今後も准看を新たに養成していくには、その役割や重要性をアピールするなど、発言力を強める必要があります。

―准看について、新たに養成すべきではないといった意見も一部で根強くあります。

 国は、25年に約200万人の看護職が必要になると推計しています。14年時点の看護職の数は約160万人です。仮に今後、毎年3万人ずつ看護を担う人材が増えたとしても、25年には約7万人足りなくなる見通しです。

 准看を新たに養成しなくなれば、看護人材の不足に拍車がかかることは明らかです。従って、「新規の養成をやめるべき」という意見は、決して受け入れられません。

―では、将来のニーズに対応するために看護の提供体制は、どうあるべきですか。

 看護師と准看の働く場所のすみ分けを、より明確にすべきです。つまり、大規模な病院や大学病院などは主に看護師が担い、中小病院や診療所、介護施設などは主に准看が担うといった「機能分化」のさらなる推進です。このすみ分けがもっと明確になれば、限られた人材でも将来の看護ニーズに対応できるのではないでしょうか。

准看のスキルアップに向けて研修体制の構築に注力

―准看協が四病院団体協議会と日医の支援を受け、発足したのは昨年11月でしたが、設立当初から「生涯教育研修体制の確立などを通じ、全国レベルで准看のさらなる能力向上」を掲げています。関係者の中には「准看も看護師と同じように患者をさまざまな視点で捉える全人的な看護をできるようになるべき」と指摘する人もいますが。

 その指摘はもっともだと思います。例えば、精神科単科病院で長い間働いている准看は、精神科の看護について非常に詳しくなりますが、身体的な看護の知識や技能が乏しい場合が少なくありません。准看も所属する診療科以外の看護の知識などを身につける必要があります。

 ただ、これまで准看を主な対象とした研修の機会があまりなかったため、准看が体系的に教育を受けるのが難しかったのも事実です。ですから、准看協は特に准看向けの研修体制の構築に力を入れます。研修の内容については今後、会員から意見を聞いた上で、それぞれがスキルアップできるような仕組みにするつもりです。

 准看協ではまた、准看の社会的地位の向上や、看護師を目指すためのサポートなどにも取り組む予定です。

会員数、来年5月までに5万人に

―准看協では、准看を対象に会員を募集しています。目標人数を教えてください。

 准看協は、会員に対して再就職や看護師学校への進学に関する情報提供も行いますので、こうした会員のメリットや活動内容などを積極的に発信し、まずは来年の5月までに会員を約5万人に増やしたいと思っています。

 ただ、会員を増やすことだけが目標ではありません。准看が活躍する場をきちんと確保しながら、一人ひとりが誇りを持って働けるような環境をつくるのが、われわれの使命です。

准看制度、「今後も存続する」―日医・釜萢常任理事

 「今後、特に在宅医療や介護現場などで、准看は大きな『戦力』になるでしょう」―。超高齢社会における准看の重要性を、こう強調する日医の釜萢常任理事に准看養成課程の意義や課題などについて聞いた。

―准看の養成制度について、どのように考えていますか。

 看護職を希望する全ての人が、3年課程、ましてや大学へ進めるわけではありません。准看の養成課程は、看護師の養成課程よりも履修時間が短いことから、例えば働きながら資格の取得を希望する人にとって、非常に有用です。

 25年に向けて看護の需要が増えると予想されるので、看護職への門戸は広く開かれるべきです。そのために、准看の新たな養成は今後も続ける必要があります。

―その養成の在り方などについては、長い間、「保留」という形になっているように思いますが。

 「保留」というのは、1996年に厚生省(当時)の「准看護婦問題調査検討会」が公表した報告書で、「21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める」と提言されたことを指して言っているのだと思います。しかし、日医としては、「保留」の状態にあるとは全く考えていません。

 その後の98年に同省の「准看護婦の資質の向上に関する検討会」と「准看護婦の移行教育に関する検討会」が設置され、准看課程のカリキュラムの見直しなど、教育内容を向上させるための取り組みがなされました。また、10年以上の実務経験がある准看が看護師になるための2年課程(通信制)が2004年度からスタートしました。これらは、いずれも准看の養成制度の存続を前提に行われたからです。もちろん、今後も存続すると思っています。

課題は専任教員や実習施設の確保など

―准看を新たに養成する上で、どのような課題がありますか。また、日医は今後、どのような形で准看協にかかわる予定ですか。

 学校や養成所における専任教員と実習施設の確保が非常に難しいのが実情です。また、准看の養成に対する補助金の削減などによって、学校や養成所の運営は厳しく、その数は減少の一途をたどっていることも問題です。今後も養成所が運営できるよう、日医は国や自治体に対して、補助金の確保を要望していきます。

 准看協は、活動の柱に准看を対象にした研修体制の構築を掲げています。その研修が全国で開催されるよう、日医は各地域の医師会に対して、看護師等養成所を研修会場として提供いただくよう働きかける方針です。

(2016年7月28日 松村秀士・CBnews)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49288.html
拠点病院の緩和ケア、質の評価方法確立へ- 厚労省検討会
2016年07月28日 18時00分 キャリアブレイン

 厚生労働省の「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」は27日の会合で、がん診療連携拠点病院(拠点病院)が実施する患者の身体的・精神的な苦痛を和らげる緩和ケアについて、統一した質の評価方法を確立する方針で一致した。拠点病院における緩和ケアの質の向上につなげる狙いがある。【松村秀士】

 厚労省によると、既に全ての拠点病院で緩和ケアチームや緩和ケア外来といった専門的な緩和ケアを提供する体制が整っている。ただ、緩和ケアチームや緩和ケア外来の診療件数は病院ごとに差があることに加え、緩和ケアの質の評価方法を確立することが課題とされていた。

 このため、厚労省はこの日の会合で、「拠点病院における緩和ケアの質の評価方法を確立すべきではないか」と提案。また、拠点病院で患者が抱える苦痛や要望などを把握するスクリーニングをする人員の不足や、有効な対応方法が確立されていない場合があることから、スクリーニングを実施するための人員確保や対応方法などに関するマニュアルの作成に取り組む必要性も強調した。

 さらに厚労省は、拠点病院に設置されている緩和ケアセンターは、人員不足や院内での役割の認識が共有されていないことなどによって、十分に機能していないケースが少なくないと指摘。その上で、同センターでの人員確保や、同センターの役割の明確化や院内周知などを担うジェネラルマネージャーの評価などに取り組むべきとした。

 これらの提案について、特に反対意見はなく、検討会として概ね合意した。ただ、服部政治委員(がん研有明病院がん疼痛治療科部長)は、同センターについて、「どのように機能しているかという質を見る方法を検討することが必要」と指摘。道永麻里委員(日本医師会常任理事)も「院内で役割の認識が共有されていないのは問題。なぜそうなっているかを検証する必要がある」とした。

 このほか、「スクリーニングや緩和ケアセンターに関して、実地調査をして現場の声を聞いた上で議論するべき」(池永昌之・淀川キリスト教病院緩和医療内科主任部長)といった声も上がった。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0728504260/
大阪府立2病院、4診療科で「裏口座」に1280万円...内部調査で新たに判明〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.07.28 13:10

 大阪府立急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)と府立母子保健総合医療センター(和泉市)の4診療科で、産科や小児科の救急医療を充実させるために自治体から振り込まれた協力金約1280万円を、幹部名義などの四つの「裏口座」にプールしていたことがわかった。運営する地方独立行政法人・府立病院機構は「不適切な会計処理だった」として関係職員を処分する方針。

 今年3月、急性期・総合医療センターの救急診療科で、自治体から支払われた救急救命士への指導料が、病院会計外の四つの個人口座にプールされていることが発覚。同機構が調べたところ、入金された約6800万円のうち約910万円が、職員の懇親会費などに流用されており、院長(当時)らを懲戒処分にした。その後、運営する5病院で、同じような事例がないか調査していた。

 関係者によると、今回、急性期・総合医療センターの産婦人科、小児科と、母子保健総合医療センターの産科、新生児科で、新たに会計外の口座が四つ見つかった。

 口座は各科の担当部長名や診療科名で開設され、確認できた過去10年分で、急性期・総合医療センターは約470万円、母子保健総合医療センターは約810万円の入金があった。

 原資は、府と大阪、堺両市が2001年度に創設した「周産期緊急医療体制確保事業」で支払われた協力金。妊婦や新生児の救急搬送の受け入れ実績に応じ、府と両市から、府医師会を通じて口座に振り込まれていた。

 支出は部長判断で行われていたが、医療機器の購入など診療科の運営経費に充てられ、私的流用や飲食などの不適正支出はなかったとしている。同機構は今後、病院会計で管理するよう改める。

 急性期・総合医療センターは府内有数の基幹総合病院。母子保健総合医療センターは周産期や小児の高度な専門医療を行っている。

(2016年7月28日 読売新聞)



http://www.sankei.com/west/news/160728/wst1607280012-n1.html
補助金計1280万円を幹部名義口座にプール、大阪府立2病院で不適切会計 厳重注意処分へ2016.7.28 08:39 産経ニュース

 大阪府立の2つの病院が、正規の会計を通さずに府からの補助金計約1280万円を幹部名義の個人口座にプールしていたことが27日、府関係者への取材で分かった。病院を運営する地方独立行政法人の府立病院機構は会計処理が適切でなかったとして、両病院の幹部らを厳重注意処分にする方針。

 補助金は周産期医療の体制整備のため、府が府医師会を通じて支払う公金。機構が運営する5つの府立病院について、平成18年~28年の会計処理を調査したところ、急性期・総合医療センター(大阪市)と母子保健総合医療センター(和泉市)で不適切な処理が発覚した。

 ただ、プールされた補助金はいずれも業務に必要な経費に使われ、機構は支出に問題はなかったと判断した。

 今年3月に急性期・総合医療センターの幹部らが、救急隊員への指導料として大阪市などから支払われた委託金を複数の口座にプールしていたことが発覚。約910万円を懇親会費の補助などに流用していた。機構がこの問題の発覚後、他にも不適切な会計処理がないか調査していた。



http://www.asahi.com/articles/ASJ7X24VKJ7XUBQU002.html
高額薬、価格引き下げへ 中医協で議論開始
生田大介、竹野内崇宏
2016年7月28日07時01分 朝日新聞

 高騰する薬代が将来の医療保険財政を圧迫しかねないことから、厚生労働省は27日、2年に1度の改定を待たずに値下げする仕組みづくりの検討を始めた。利用者が急激に増えた高額な薬が対象。まず、1人あたり年約3500万円かかる新型のがん治療薬「オプジーボ」の値下げを年内に決める方針だ。
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■使用量減らす指針作りも

 27日の中央社会保険医療協議会(中医協)。高額な薬の販売が相次いでいる現状について、厚労省は「従来の仕組みでは対策を講じているとは言えない。薬価の抜本的な見直しを行ってはどうか」と提案した。

 高額な薬でも安全性や有効性が認められれば保険が適用され、患者の自己負担は1~3割ですむ。さらに自己負担の上限を一定に抑える「高額療養費制度」があるため、保険からの支出は増え続けている。

 そこで厚労省が値下げの新たな仕組みの対象とするのは、有効性が広がって販売量の急増が見込まれる薬だ。値段だけでなく、使用量を減らして副作用のリスクを軽減させるため、病院や医師向けの最適使用推進ガイドライン(指針)づくりに向けた考え方も提示。薬ごとに各分野の学会などと協議し、薬が使える患者や医師・医療機関の基準を決めていくと説明した。

 中医協の委員からは「目の前に患者がいて、助けられるのに使えないことがないように」との懸念も出た。ただ、大きな異論はなく、「国民皆保険を壊さないようにしないといけない」という意見が主流だった。薬剤費高騰への危機感は共有されている。

■価格高騰、背景に開発コスト

 薬が高額になるのは製薬技術の発展が背景にある。

 肺がん治療薬「イレッサ」の薬代は平均的な男性患者で月約20万円かかる。がん細胞内の物質を狙い撃ちにする「分子標的型」で、従来の薬より高額になる。オプジーボはさらに進化させたもので、がんに働きを抑えられた免疫を再活性化し、がんを攻撃させる「新型」だ。生物由来で製造工程が複雑なバイオ医薬品の一種で、開発コストが高く、薬代は月300万円を超える。

 もともとオプジーボは皮膚がんの薬として承認され、年470人程度の患者が使うと想定されていた。だが、昨年12月に患者数が数万人規模の肺がんの一種にも使えるようになった。8月には腎細胞がんにも認められる可能性がある。27日には頭頸(けい)部がんにも使用の承認申請があった。

 高齢化に伴い、日本の医療費は2014年度で40兆円と、10年前の1・3倍になった。その間、薬局調剤費の割合は全体の13%から18%へと伸びた。さらにオプジーボなど主に病院内で使われる高額薬の費用も押し上げることになる。医療費の5割弱は保険料で、4割弱は公費で負担する。医療費の増加は将来的に保険料の引き上げや増税につながるため、抑制は急務となっている。



http://www.medwatch.jp/?p=9840
診療報酬の地域加算対象地域をさらに一部追加、7月請求分まで差額請求を認める―厚労省
2016年7月28日|2016診療報酬改定ウォッチ

 診療報酬の地域加算(入院基本料・特定入院料・短期滞在手術等基本料2の加算)の対象地域を再度訂正する。これに伴い、すでに行われているレセプトについては「地域差加算分の差額請求」を行うことを認める―。

 厚生労働省は、27日の事務連絡「平成28年度診療報酬改定関連通知の一部訂正及び一部変更について」の中で、このような点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

5級地に奈良県平群町、6級地に群馬県明和町などを追加

 「A218 地域加算」は、医療経費の地域差を是正するために入院基本料・特定入院料・短期滞在手術等基本料2について、地域区分に応じて18点(1級地)-3点(7級地)を加算するものです。

 具体的な地域区分は「人事院規則9-49第2条に規定する地域」(1級地-7級地)と、「人事院規則で定める地域に準じる地域」(1級地-7級地)として設定されています。

 厚労省は「人事院規則で定める地域に準じる地域」(1級地-7級地)について6月にも訂正を行いましたが、今般、さらに次のような訂正を行いました。

【5級地】(9点の加算):奈良県平群町を追加

【6級地】(5点の加算):群馬県明和町、千葉県香取市、京都府和束町・笠置町、奈良県三郷町を追加(また茨城県大洗市となっていたところを大洗町に訂正)

【7級地】(3点の加算):茨城県潮来市、群馬県みどり市・板倉町、神奈川県箱根町、富山県南砺市、石川県津幡町、山梨県早川町・南部町・身延町・富士河口湖町、長野県大鹿村・飯田市、岐阜県高山市・御嵩町、静岡県湖西市、三重県菰野町、京都府南山城村、奈良県曽爾村、岡山県備前市、山口県岩国市を追加

 また、「今年(2016年)3月31日に地域加算の対象地域であったが、4月1日以降には該当しなくなった地域については、2018年3月31日までの間に限り、7級地とみなす」という経過措置がありますが、ここから群馬県板倉町を除外しています。

 今回の訂正で対象地域に追加された地域では、既に行われた「今年(2016年)4月分・5月分・6月分の地域加算」、および8月に行う「7月分の地域加算」について、「差額請求」を行うことが可能であることも明らかにしています。

 また、下表のように地域加算の区分が変更された地域がありますが、これらの地域では2016年7月診療分までは変更前、8月診療分以降からは変更後の級地により請求することが明確にされました。
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http://mainichi.jp/articles/20160728/ddr/041/040/005000c
高額薬
適正使用指針 厚労省作成へ 医療費抑制図る

毎日新聞2016年7月28日 北海道朝刊

 厚生労働省は27日、中央社会保険医療協議会(中医協)で、画期的な効果があるものの高額な薬剤の適正使用を進めるため、対象患者の要件などを定める指針を作成する方針を示した。また、発売後に薬を使える病気が広がり対象患者が増えた際は、直ちに薬価を下げる仕組みの検討も始める。厚労省は、これらの取り組みによって医療費の抑制を目指す。【細川貴代、高野聡】


 指針では、投与できる患者の基準を定め、副作用に対応できる医療機関や医師に限定して使用を認める方針。指針に従わなかった場合は、公的医療保険を適用できない仕組みも検討する。まず新しい仕組みのがん治療薬「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」と、高脂血症治療薬「レパーサ(同エボロクマブ)」など4剤について、今年度中に学会などとともに指針を作成する。

 小野薬品工業によると、7月13日までにオプジーボ使用後に計3983件(うち死亡129件、投与患者計8544人)の副作用が報告された。同社は、要件に合わない医療施設や医師に供給していないが、使用を認めていない保険適用外の免疫療法との併用で死亡例が明らかになっている。このような施設は、オプジーボを海外から個人輸入しているとされ、学会などは注意を呼び掛ける。

 また、オプジーボの投与前に効果がある患者を選ぶ指標はまだ見つかっていない。このため投与患者を絞り込む基準作りは容易ではなく、指針の限界を指摘する声も出ている。

 厚労省はさらに、現在は2年に1度の薬価改定について、医療保険が適用される病気が増えて、市場規模が急拡大した場合は即座に薬価を見直す仕組みも検討する。この検討対象もオプジーボだ。オプジーボは、2014年に患者数が少ない皮膚がんで承認された結果、1人当たり年間3500万円という高額な薬価になった。しかし、昨年12月に患者数の多い肺がんに適用が広がり、医療財政への影響が指摘されるようになっている。



http://mainichi.jp/articles/20160728/ddm/002/040/106000c
がん大国白書
第2部 検証・基本法10年/6 登録データ活用課題

毎日新聞2016年7月28日 東京朝刊

 「死亡率の改善度合いをみても、他県から引き離されていく感が強い」
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 がんによる死亡率が11年連続で全国ワーストの青森県。県がん・生活習慣病対策課の担当者は危機感を隠さない。最近10年で全国平均の死亡率は13・4ポイント下がったが、青森県の低下は5・2ポイント。中でも40〜50代の働き盛りの人の死亡率が高い。

 県が弘前大に分析を委託したところ、がんになる人の割合は全国平均並み、がん検診の受診率は全国平均よりも高かった。一方、がんが見つかったときに早期がんの人が全国平均より少なく、がん検診が早期発見に結びついていない問題点が浮かんだ。分析に使ったのは、都道府県ががんと診断された人の診療情報を収集する「地域がん登録」のデータだ。担当者は「以前から、(青森の人は)受診が遅いという医師の感覚はあったようだが、データとして裏付けられた」と話す。県は、早期発見の増加を目指し、がん検診の実態を検証することを決めた。

 今年1月、がん登録推進法が施行され、「全国がん登録」が始まった。がん登録とは、がんと診断された全患者を対象に、がんの種類、発見の経緯、進行度、治療内容、医療機関名、死亡日などを集め、地域のがんの特徴や必要な対策を統計的に明らかにする仕組みだ。海外では、がん登録を活用したがん対策によって死亡率の低減が図られている。

 2006年に成立したがん対策基本法は、がん登録に関する条文を盛り込めなかった。個人情報の取り扱いをめぐり議論がまとまらなかったためだ。その後、患者団体や医学会からの要望が相次ぎ、ようやく国レベルの仕組みを定める推進法ができ、国内全ての病院と一部の診療所が、都道府県を通じて国に患者の診療情報を提出することを義務付けた。

 国立がん研究センターは今年6月、国の制度に先行して実施してきた地域がん登録のデータを使い、都道府県ごとに新たにがんと診断された患者数(12年)を発表した。全都道府県の比較は初の試み。胃がんは東北や日本海側で目立ち、太平洋側は少なかった。こうした地域差は全国のデータ比較によって明らかになり、対策につなげることが可能になる。

 がん登録の政策への活用に取り組むのが、1962年から地域がん登録を続ける大阪府だ。大阪府は、03年までがん死亡率が全国ワーストだった。このため、全国最低レベルのがん検診受診率のアップを目指し、府がん登録のデータを分析した結果、重点的に受診勧奨する対象者を ▽胃・大腸・肺がん=60〜69歳▽乳がん=50〜69歳 ▽子宮頸(けい)がん=25〜44歳−−と決めた。

 大阪府立成人病センター・がん予防情報センターの伊藤ゆり主任研究員らが、府がん登録と国勢調査のデータを合わせて分析すると、低収入世帯の多い地域の住民ほど、がん生存率が低いという傾向も見えてきたという。いまだに肺、肝臓、胃がんの死亡率が高いこともあり、伊藤研究員は「大阪府のがん対策はまだ十分とは言えない面もあり、全国がん登録のデータを加えれば、より効果的な対策に取り組める。データをいかに活用するかが今後の課題だ」と話す。=つづく



https://www.m3.com/news/general/445336
新市立伊勢総合病院の建設費 17億増の131億円見込み 市議から批判が噴出
2016年7月28日 (木) 伊勢新聞

【伊勢】市立伊勢総合病院(伊勢市楠部町)の建て替えで、市は二十七日の市議会教育民生委員会で概算額が百三十一億四千万円になると報告した。市が施工予定業者に示した契約目標額の百十四億円から十七億四千万円の増額となり、市議から「金額の開きがあまりに大きく、了承できない」と批判が出た。

 新病院建設推進課の成川誠課長は、東日本大震災の復興や東京五輪の影響で資材や人件費が上がり続け、「市場で取引される実勢価格と国などが示す労務単価や資財単価に開きができ、見積額に差が生じた」と説明。

 一方、国の耐震基準を満たしていないため、「安全性を確保するため新病院は早期に建てていくべき」と述べた。同院は平成三十年五月の開院を目指しているが、市は遅れる見通しを示している。

 建設工事費は平成二十五年三月の基本計画発表時に示した七十億八千七百万円から上がり続けている。今回は市が基本設計段階で示した百十四億円に対し、施工予定業者の大手ゼネコン「清水建設」(東京)が見積額として百四十五億八千万円を提示した。市は工事内容を見直し、十四億四千万円削減した。

 品川幸久市議は設計業務をした安井建築設計名古屋事務所の参考人招致を提案し、了承された。基本設計を百十四億円とした根拠について説明を求める。早ければ八月に招く。



https://www.m3.com/news/general/445341
「手術ミスで障害」 800万円の賠償請求 小田原市は棄却求める
2016年7月28日 (木) 神奈川新聞

 小田原市は27日、市立病院で骨折した右腕の手術を受けた市外に住む女性(90)が手術ミスで後遺障害を負ったとして、市に800万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。21日に第1回口頭弁論が開かれ、市は女性の請求棄却を求める答弁書を提出したという。

 市立病院によると、女性は昨年2月に転倒して右手首と右肘を骨折し、同3月に同病院で手術を受けた。その際、執刀医が神経の一部をメスで損傷し、5本の指が動かしづらい機能障害などが残った。

 女性は今年1月、約1500万円の損害賠償を求める催告書を市立病院に送付。これに対し、市は過去に同じ場所を骨折した影響で通常とは異なる場所に神経が通っていたことから、「神経の損傷は予見しえない事故で、賠償責任を負う理由はない」と書面で回答。女性は5月27日、東京地裁に提訴した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/445042
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
高額薬剤、使用医師の要件をガイドラインで規定
オプジーボが対象、「期中改定」には警戒感も

2016年7月27日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は7月27日、抗PD-1抗体製剤のオプジーボ(一般名ニボルブマブ)について、薬価に係る特例的な対応を検討するとともに、最適な投与対象となる患者の選択基準と、適切に使用できる医師・医療機関等の要件を盛り込んだ「最適使用推進ガイドライン」を策定し、医療保険上の取り扱いを検討する方針を決定した。具体的な内容は、中医協薬価専門部会で審議し、今年内を目途に一定の結論を得る予定。さらに2018年度の薬価制度改正をにらみ、効能・効果等の追加で大幅に市場規模が拡大したり、市場規模が極めて大きな薬剤への対応(以下、高額薬剤)の検討も進める(資料は、厚生労働省のホームページ))。

 診療側と支払側ともに、これらの方針を了承。ただし、診療側から幾つかの指摘が挙がった。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「これまでの中医協における議論を反映した、いい案」と評価しつつ、薬事承認から保険収載までの流れを一体的に行う必要性から、「最適使用推進ガイドライン」は、薬事承認を担当する医薬・生活衛生局だけでなく、保険局と連携して策定すべきと主張。同時に、適正使用という視点は必要なものの、ガイドライン策定が、医師の裁量権や保険給付範囲の縮小につながらないように留意するよう釘を刺した。

 「最適使用推進ガイドライン」の医療保険上の取り扱いは、今後の検討課題だが、中医協総会後のブリーフィングで、厚労省保険局医療課は、「ガイドラインを基に、保険診療上の留意事項通知を出すのであれば、医療保険上、一定の効力を持つ」と説明、ガイドラインを遵守しなければ、添付文書通りの処方であっても、レセプト査定される場合もあり得ることを示唆した。

 さらに、オプジーボの「薬価に係る特例的な対応」の一案として、2年に一度の薬価改定以外の「期中改定」が想定されるが、中川氏はこの点にも警戒感を示した。消費増税が先送りされるなど、医療費の財源確保には今後厳しさが予想されるとし、「薬価改定財源は、診療報酬改定財源に本来充当すべきという方針に変化はないか」と質した。過去数回の診療報酬改定では、必ずしも充当されなかった経緯を踏まえての発言だ。

 厚労省保険局長の鈴木康裕氏は、「約8兆円の薬剤費のうち、相当額は医療機関において使われており、全く医療機関に戻さないままでは、医療機関にマイナスの影響がある。その部分を考えてどう対応すべきか、全ての薬価改定財源を(診療報酬改定財源に)戻すべきかなどについては、いろいろな議論があるが、今まで一定程度戻してきたことは間違いない」と返答。

 中川氏は、通常の薬価改定財源が、診療報酬改定の財源として確実に充当される仕組みがあれば、「期中改定」も理解できるが、その担保がなければ、「非常にリスキー」とし、慎重な検討が必要だとした。

 オプジーボ、2016年度薬価改定で「再算定」に該当せず

 オプジーボは、2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫を適応として薬価収載、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌にも適応が広がり、市場が大幅に拡大した。市場が一定以上拡大した医薬品に対しては、「再算定」を2年ごとの薬価改定を実施してきたが、効能・効果の追加のタイミングなどによっては、再算定を受けるまでの期間が2年を超えるケースがあり、問題になっていた。その例が、オプジーボで、2016年度改定では再算定の対象基準には該当していなかった(『「年間販売額1500億円超」のソバルディなど4成分』を参照)。

 オプジーボの販売元である小野薬品工業が今年4月に発表した2017年3月期の売上高は、前期の6倍に当たる1260億円。悪性黒色腫と非小細胞肺癌以外にも、適応拡大の治験が進んでいる。

 オプジーボ以外にも抗体医薬品など、単価が高く、市場規模の極めて大きな薬剤の上市が想定されることから、高額薬剤の薬価の在り方が、これまで再三にわたり中医協で問題になっていた(『高額新薬「適応拡大なら期中改定も」、日医・中川副会長』、『高額薬剤、「皆保険の危機要素」と支払側』などを参照)。

 最適使用推進ガイドライン、2016年度試行的に作成

 高額薬剤への対応は二段階で進める。オプジーボへの「当面の対応」と、2018年度の薬価制度改正を目指した対応だ。

 いずれもカギとなるのが、「最適使用推進ガイドライン」の策定。新規作用機序医薬品を対象とし、2016年度は試行的に、オプジーボおよびその類薬、家族性高コレステロール血症などに適応を持つ、抗PCSK9抗体製剤「レパーサ」(一般名エボロクマブ)および類薬を対象とする。今後、個別医薬品ごとに、薬事承認に併せて策定するが、オーファンドラックは対象外とする方針。

 ガイドラインには、(1)対象医薬品の使用が最適だと考えられる患者の選択基準、(2)対象医薬品を適切に使用できる医師・医療機関等の要件――などを盛り込む。「その分野で専門性が高い医師、副作用が出た場合にすぐに対応できる医療機関の要件を規定するほか、作用機序から考えて、その薬を必要とし、安全にマネジメントができる患者を選定する」(厚労省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長の磯部総一郎氏)。厚労省の依頼で、関係学会とPMDAが策定し、ガイドライン策定後も、市販後に得られたデータに基づき必要に応じて改訂していく。

 さらに今後、次期薬価制度改革に向けて、薬価の在り方全般について、以下の2つの論点を検討する、「論点は多岐にわたるので至急に検討を始めるが、結果として全般的な在り方として反映させることができるのは、2018年度改定」(厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏)。日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、途中経過を把握するために、「中間的な取りまとめというスケジュール感があった方がいいのではないか」と求めた。

 下記の「2」で、「医薬品の特性やこれまでの治療に係る費用との比較等を踏まえた対応」には、例えばC型肝炎治療薬のソバルディ(一般名ソホスブビル)のように、完治を目指す薬の場合、治療中の薬剤費は高額でも、「生涯医療費」という観点から安価で済む可能性があり、その視点も含まれる。

 高額薬剤の薬価制度改革に向けた取り組み

1.効能追加等による大幅な市場規模拡大への対応
 現状の薬価制度では、このような効能・効果の追加や用法・用量の拡大により大幅に市場規模が拡大するような事態は想定しておらず、そもそも類似薬効比較方式および原価計算方から成る薬価制度について、このような事態に対応し得る制度を構築する必要がある 。
2.市場規模の極めて大きな薬剤へ対応
 さらに、効能・効果の追加より市場が大幅に拡大した薬剤のみならず、薬価収載当初より、市場規模の極めて大きな薬剤も含め、国民皆保険の維持とイノベーショ ンの推進両立も踏まえ、次のような点についても検討を加える 必要がある 。

・医薬・生活衛局と保険の連携下、医薬品の最適使用を推進し、薬剤に係る給付の適正化を図る仕組みを構築
・ 費用対効果評価の試行的導入検討結を踏まえた薬価算定の仕組みに加え、単に市場規模を考慮するだけでなく、医薬品の特性やこれまでの治療に係る費用との比較等を踏まえた対応

 「薬事承認から保険収載」を一体的に

 27日の中医協では、議論になったのが、「最適使用推進ガイドライン」の在り方。

 中川氏は「最適使用推進ガイドライン」の策定プロセスについて、「医薬・生活衛生局だけで作る仕組みを変えなければいけない」と指摘し、あくまで保険局と密接な連携をしながら策定すべきと主張。併せて薬の薬事承認と「最適使用推進ガイドライン」の関係を質した。

 磯辺課長は、「最適使用推進ガイドライン」は、いったんは承認審査の担当部局で確定させ、その上で中医協に諮り、追加すべき意見等があれば、それをガイドラインに反映させて確定するという流れになるとした。薬事承認との関係については、薬事承認された範囲内で、どんな医療機関で、どんな医師が使うべきか、さらには投与対象となる患者の選択基準を決めるのが、ガイドラインという位置付けになると説明。

 しかし、中川氏は、医療経済的な視点も踏まえて、薬事承認の在り方までも含めて議論すべきとし、薬事承認と「最適使用推進ガイドライン」を別々ではなく、薬事承認、ガイドライン策定、保険収載という一連の手順を一体的に進めていく必要性を強調した。併せて、中川氏は、「しっかりとしたガイドラインを策定し、本当に必要な患者に必要な薬が使えるようにしていくことが必要だが、肝に銘じなければいけないのは、保険給付範囲の縮小につながることのないようにすること」と釘を刺した。

 「最適使用推進ガイドライン」と保険の関係は?

 「最適使用推進ガイドライン」の医療保険制度上の取り扱いのイメージを質したのは、日本医師会常任理事の松本純一氏。

 中山薬剤管理官は、今後の検討課題であるとしたものの、「最適使用推進ガイドライン」が保険給付と関係する場合には、留意事項通知を出すことになるとした。

 一方、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏からは、「いくら立派なガイドラインを策定しても、医師の判断で左右されるなら、意味はない。支払基金が審査の査定の際に使える客観的なものであるべき」との主張が挙がった。

 これに反論したのが、中川氏。「ガイドラインを策定する場合でも、医師の裁量権は絶対に担保しなければいけない。個々の患者の状態と医師の裁量権を踏まえて審査するのが、本当の医療の審査ではないか」と指摘し、ガイドラインの必要性は認めつつも、それに基づく一律な審査をけん制した。「ガイドラインは、逸脱した医療が行われないように、という道しるべ。医師の裁量権は、医学的に正当な理由があれば使えるという意味」であると説明し、理解を求めた。

 そのほか、日医副会長の松原謙二氏からは、オプジーボが悪性黒色腫の適応で保険収載された2014年9月の時点では、予測投与患者数は年間470人、予想販売金額は31億円で、これらの予測と、開発費用や特許期間などを踏まえて薬価が設定されたとし、「予測投与患者数が拡大した時点でも、少ない患者数で決めた薬価が適用されること自体、おかしい」との声も上がった。中山薬剤管理官は、小野薬品工業の発表では、予測投与患者数は約1万5000人に上ると説明した。


  1. 2016/07/29(金) 05:47:36|
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