Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月26日 

https://www.m3.com/news/general/444643
JA埼玉厚生連が破産 負債65億円…設備投資重く、医師確保が困難
2016年7月26日 (火) 埼玉新聞

 帝国データバンク大宮支店は25日、総合病院経営の埼玉県厚生農業協同組合連合会(熊谷市、JA埼玉厚生連=代表清算人五月女直樹氏)が22日に東京地裁に破産を申請し、同日付で破産手続き開始決定を受けたと発表した。負債は約65億3300万円。

 1934年12月創業の医療利用組合病院が前身で、48年10月に農協系の病院として設立。かつては熊谷総合病院と幸手総合病院の2病院を経営し、地域の中核的な病院としての役割を果たしていた。2011年に幸手総合病院を閉鎖し、新たに久喜総合病院を開業。13年には熊谷総合病院の設備を拡充するなど、業容拡大に努めた。

 しかし、設備投資負担が重く、医師の確保も困難となり、次第に業績が悪化。14年3月期は年収入高約110億円を確保したものの、約14億8600万円の最終赤字に陥った。再建の見通しが立たなくなり、両病院の売却を決定。16年6月30日には総会の決議により解散し、清算手続きを進めていた。

 熊谷総合病院は社会医療法人北斗(北海道帯広市)が経営支援し、新たに設立された医療法人熊谷総合病院が運営。久喜総合病院は一般社団法人巨樹の会(佐賀県武雄市)へ売却した。

 帝国データバンク大宮支店は「両病院ともに新体制下での運営がスタートしており、地域医療に影響が出ることはない」とみている。



https://www.m3.com/news/general/444642
【埼玉】医師ら許可なく宿直、県循環器・呼吸器病センター 医師や看護師不足
2016年7月26日 (火) 埼玉新聞

 県病院局は25日、県立循環器・呼吸器病センター(熊谷市)で、熊谷労働基準監督署の許可がないまま、医師や看護師らが夜間、休祝日の当直(宿直・日直)勤務をしていたと発表した。

 同局は「医師や看護師不足が根本的な原因」とした上で、「地域の模範病院となるべき県立病院として申し訳ない。医療サービスを低下させることはできず、医療行為を禁止されているわけではないので、医師確保を進めながら勤務時間の工夫、整備などで対応していきたい」と話している。

 同局によると、千葉県立病院で労基署の許可がないまま、医師らが当直勤務をしていたことが発覚したことを受け、22日から25日まで同センターなど県立4病院の実態を調査。県立がんセンター(伊奈町)など3病院は労基署の許可を得ていたという。

 県立循環器・呼吸器病センターでは開院当初の1994年5月に労基署の許可を受けたが、2014年3月に許可書が不明になったため、再申請したが認められなかったという。以後、不許可のまま現在も当直勤務などが行われている。

 病院局は要因について、「医師らの通常勤務と宿直勤務の境目が明確ではなく、時間のかかるカテーテル治療など救急患者への対応を宿日直勤務の医師が行う頻度が高いことが考えられる」としている。不許可になっていたことも、病院局内で問題共有されていなかった可能性があるという。

 現在、当直は医師4人、看護師2人など11人体制で対応している。25日現在、労基署からの指導はないものの、同局は「労基署とも協議しながら方策を講じていきたい」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/444618
シリーズ: 真価問われる専門医改革
新専門医制の延期、「日医の主張が認められ評価」- 横倉義武・日医会長に聞く
課題は山積、2018年度に向けて迅速な議論が必要

2016年7月26日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 7月25日、2017年度から開始予定だった新専門医制度は、19の基本診療領域の全てにおいて実施を見送られることが正式に決定した(『2017年度の専門医養成の方針、8月上旬までに集約』を参照)。同制度による地域医療への影響は昨年辺りから懸念する声が出ていたが、制度見直しの議論につながった直接的なきっかけは2016年2月に行われた日本医師会の会見だ(『新専門医制度、「延期も視野」と日医会長』を参照)。会長の横倉義武氏に、この決定の受け止め方をお聞きした(2016年7月25日にインタビュー)。

――2017年度からの実施を1年延期したこの決定について、どう受け止められておられるのでしょうか。


 日本医師会は、一度立ち止まり、広く関係者の意見を聞いた上で、地域医療を崩壊させることがないように、十分に配慮した専門医研修を始めるべきと主張してまいりました。この主張が認められた形になったことは、一定の評価をしたいと考えております。

 しかし、地域医療への配慮など解決すべき課題が山積しています。1年先延ばしになりましたが、議論の上、結論を得るまでには1年もないことから、迅速な議論を行うよう、日本専門医機構に求めていきます。

 また日本専門医機構は、「2017年度から研修を始める専攻医が不利にならないように配慮する」という方針なので、その辺りは、確実に実施されることが必要だと考えています。日本医師会としても、特に若手医師が不安を抱かず、専門医研修に取り組めるよう、機構をしっかりとサポートしていきます。

――19の基本診療領域のうち、「総合診療専門医だけは担当学会がない」とされ、その扱いがいまだ流動的です。どうすべきだとお考えですか。

 総合診療専門医については、しっかりと議論を行うべきです。総合診療専門医はあくまで学問的な面から評価したもので、今後も地域医療を守るのは、かかりつけ医です。

 なお、日本医師会では、今年度から「日医かかりつけ医機能研修制度」を開始いたしました。将来、総合診療専門医となった先生方も、地域医療を実践する際には、本研修制度を受講していただきたいと考えています。

――そもそも今回の動きは、今年2月に、日医が延期も視野に検討する、と会見したのが発端だったと思います。特に、専門医制度については昨年夏以降、地域医療への懸念が出ていましたが、なぜこの2月のタイミングで会見したのでしょうか。改めてお聞かせください。

 新しい専門医の仕組みについては、内科以外の診療領域で指導医数、症例数の少ない医療機関における研修を軽視する傾向が見られたことから、2015年12月に専門研修プログラムの作成に関する「新しい専門医の仕組み―地域医療を守るための提言―」として、記者会見を行いました(『新専門医研修、「指導医不在でも一定要件下で認めるべき」』を参照)。

 これは地域の医療が崩壊することのないよう、専門研修の理念を十分に確認し、指導医が在籍していない診療所や過疎地の病院等における研修を一定の要件の下で認めることを明確にしたプログラムを作成してほしいとの思いから取りまとめたものです。日本専門医機構も各学会がプログラムを提出にするあたり、そのように指示しているとうかがっていましたが、機構ではその担保ができていない状況でした。

 その後、厚生労働省から今年1月に通知が出されたものの、都道府県、大学、病院、医師会などの関係者が協議、連携の機能が十分ではありませんでした。

 このような状況において、各地域から不安の声が多く挙がっていたことから、日本医師会としては、まず地域の取り組みを先行して行うべきと考え、2月17日の会見を行いました。

――今後、どんな条件をクリアすれば、2018年度からの新専門医制度の開始が可能になるとお考えでしょうか。

 医療は国民のためにあるものなので、国民に不利益とならないようにすることが大前提です。まずは急激な医療提供体制の変更が行われることのないよう、都道府県の協議会の了解を得ながら慎重に進めることが必要です。

 また、専門医の更新に当たっては、地域医療で活躍している医師の更新に過度な負担を書けないようにすることも大切です。



https://www.m3.com/news/general/444292
東京女子医大 過量投薬 副作用、過去に周知 厚労省関連団体
2016年7月26日 (火) 毎日新聞社

 東京女子医科大病院で2014年に抗てんかん薬「ラミクタール」(一般名ラモトリギン)を過量投与された女性が重い副作用で死亡した問題で、薬の副作用情報を集める医薬品医療機器総合機構(PMDA)や関連学会が当時、ラミクタールの用法・用量の順守を重ねて呼び掛けていたことが分かった。死亡した事例と同じ薬の組み合わせには特に細かい説明があり、専門家は「副作用の危険が高いことは、よく知られていた」と指摘する。

 脳腫瘍の手術経験があった女性は13年12月から同病院の処方で抗てんかん薬「デパケンR」を服用。14年8月にけいれん発作を起こした後、追加でラミクタールを短期間で薬効を高めるためとして本来の16倍に当たる200ミリグラム連日投与された。

 08年12月に発売されたラミクタールは、当初から添付文書で、女性が発症したのと同じ「中毒性表皮壊死(えし)症」の恐れを警告。薬の組み合わせに応じて1日当たり12・5~50ミリグラムの少量から投与を始めるよう求め、用法・用量を超えた投与は危険が高まると指摘していた。しかし重い皮膚障害の報告が厚生労働省やPMDAに相次ぎ、用法・用量の逸脱が確認できたケースは11年11月までに152例に上った。

 そこでPMDAは12年1月、「医薬品適正使用のお願い」の文書を作成し、医療従事者に用法・用量の順守を要望。1日最大投与量を超えないことに加え、デパケンとの併用時は投与開始2週間、連日ではなく1日おきの投与にするよう改めて求めた。日本てんかん学会も10年6月に公表した新しい抗てんかん薬の治療ガイドラインの中で、ラミクタールについて「特にVPA(デパケン)併用例でリスクが高い」と記載。組み合わせに留意し、用法・用量を守ることが大切と指摘した。

 厚労省が指定する、てんかん治療拠点病院のベテラン医師は「デパケンを使っているとラミクタールの代謝が遅くなり、血中濃度が高まる。早く効くからと患者が望んだとしても、添付文書を逸脱した投与をすべきではない」と解説する。【桐野耕一】



https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/07/26/131059475
医学生研修会でへき地医療の現場体感
7月26日 大分合同新聞 夕刊

 医学生に地域医療の現状を学んでもらう研修会が始まり、医師の卵たちは26日、県内の漁村や山村のへき地診療所で実習を積んだ。地方で活躍する医師を育てようと県が2004年度から毎年、実施している。学生たちは、さまざまな疾患に対応して住民の命を支える医師の姿を通し、進路について考えを深めた。
 本年度は、自治医科大の県内出身者と大分大学医学部の地域枠で入学した1~5年生計65人が参加している。地域枠は奨学金を貸与する代わりに卒業後の7~9年間は地域医療に携わってもらう制度で、県と大分大が07年度から設けた。参加者のうち1班の23人は25日から、2班の42人は8月17日から、それぞれ2泊3日の日程で県内のへき地診療所やへき地医療拠点病院で診療を見学し、往診に同行する。
 佐伯市米水津の市米水津診療所(伊藤祐司所長)では、渡辺淳平さん(23)=大分大4年=と鈴木皓介さん(20)=同3年=が研修を受けた。伊藤所長や非常勤の伊藤威之(たけし)医師は患者と笑顔で対応し「地域の特性や一人一人の暮らし、その人らしさを大事にしながら医療に当たってほしい」と2人に伝えた。
 渡辺さんは「幅広い知識、臨床経験が必要だと痛感した。地域の人から頼りにされる医師になりたい」。鈴木さんは「観察力やコミュニケーション能力も磨かないといけない。とても勉強になった」と述べた。
 県医療政策課によると、県内の医師は3054人。人口10万人当たりでは260・8人と全国平均(233・6人)を上回ってはいる。医療圏別で見ると、東部(別府、杵築、国東各市と姫島村、日出町)と中部(大分、臼杵、津久見、由布各市)に医師の約8割が集中し、南部、豊肥、西部、北部は全国平均を下回っている。
 広瀬高博課長は「研修会を通じ、地域を支える医師が一人でも多く育ってほしい」と話している。



http://mainichi.jp/articles/20160726/ddl/k06/040/041000c
米沢こころの病院
来年6月開院 名称が決まる /山形

毎日新聞2016年7月26日 地方版

 南陽市の社会医療法人「公徳会」(佐藤忠宏理事長)が米沢市に建設する精神科新病院の名称が「米沢こころの病院」となることが25日、分かった。公徳会が運営する佐藤病院(南陽市)などの職員から名称を募集し、決定したという。公徳会は近く県に病院開設などを申請する。

 同日の米沢市臨時議会で市立病院の精神科閉鎖に伴って病床を廃止する議案と、公徳会への用地売却の議案がいずれも可決された。

 新病院は、公徳会が企業立地向け団地「米沢オフィス・アルカディア」の約1万3000平方メートルの敷地に鉄骨2階建てを建設する計画。8月に着工し、来年5月に完成、同6月に開院の予定。病床数は108床で、医師・看護師など従業員数は約80人となる見通し。

 また、市は公徳会への支援策について、市の企業立地助成金制度を参考に土地譲渡代金(1億4377万円)の3割を目安に、来年度予算案に計上する考え。【佐藤良一】



http://mainichi.jp/articles/20160726/ddl/k01/040/241000c
松前町立松前病院の院長辞職 独法化巡り町と対立 住民、医療体制維持に不安 /北海道
毎日新聞2016年7月26日 地方版 北海道

 松前町が、町立松前病院を巡って揺れている。地域医療の先進的な取り組みで注目されてきたが、その中心だった院長が今月末で辞職し、他の医師1人も退職を決めた。住民からは、医療体制が維持できるか不安の声が上がっている。最大の原因は、独立行政法人化を求める院長と慎重な町側の溝が埋まらなかったこと。人口減少に直面し厳しい運営を迫られている地方の公営病院改革の難しさが浮かび上がった。【遠藤修平】

新たなスタイル
 松前病院は1990年11月、道から町に移管された。一般病床が100床で職員約140人。松前、福島両町の地域医療の拠点病院となっており、入院・外来の他、介護施設への訪問診療、夜間救急、休日当番医も担っている。

 2005年に就任した木村真司院長は、医師が少ない地域での新たなスタイルとして、専門科にこだわらずにさまざまな症状の患者を診る「全科診療」制度を導入。医師給与見直しと研修体制の充実 ▽隣町への無料送迎バス運行 ▽透析医療の提供−−なども手掛けてきた。

 松前病院の取り組みは地域医療を志す医学生や研修医の間で人気が高く、15年は全国から60人を受け入れた。この人材が人手が少ない中での“即戦力”にもなっている。

戸惑いの声も
 地方交付税の増額もあって09年以降は単年度黒字が続く松前病院だが、施設は築38年と老朽化しており、町人口がこの10年で約2500人減るなど厳しい環境にも直面している。

 木村院長は一層の改革を進めるため、病院の独法化を目指した。「より機動的な経営をするのが目的。薬剤師の給与水準を民間に近づけて人手を確保しやすくし、大型医療機器の導入も可能になる」と説明する。

 ただこの動きに、病院の内外から戸惑いの声が上がった。

 木村院長の提案を受け、町は昨年6月に行政改革室を設置し11月から町議会の調査特別委員会を4回開催。しかし町や議会では慎重な意見が根強く、来年度からの独法化のリミットとされる6月中に結論が出なかった。

 伊藤幸司・町議長は「現状でも必要な措置はできるし、法人化されれば公務員でなくなる職員は強い不安を抱えている。性急な改革は混乱を招くだけ。町の規模に見合った町立病院を目指すべきだ」と強調する。

医師大幅減に
 石山英雄町長が病院職員の意識調査を実施する意向を示したことが最終的な引き金となり、木村院長は6月7日に辞表を提出。石山町長は慰留したが、今月31日付での退職が決まった。

 常勤医7人のうち、木村院長と他の医師1人も退職することになり、後期研修医1人も9月で病院を離れる。研修医受け入れも停止する方針。新たな医師確保のめどは立っておらず、病院は24時間救急対応や施設訪問などの診療方針の見直しについて8月中に結論を出す。病院関係者は「残る医師の負担が増えれば、さらなる離職を招く」と危機感を募らせる。

 地元住民有志でつくる「地域医療を見守る会」は今月9日、この病院問題でシンポジウムを開催した。250人が出席し、立ち見がでるほど。ぜんそくで通院するという男性(75)は「病院は生活に欠かせない。院長にも残ってもらいたいのだが」とため息をついた。

 病院経営のあり方を巡る考え方の違いから生じた混乱について、地域医療に詳しい城西大の伊関友伸教授(行政学)は「病院の取り組みや黒字化の実績が適正に評価されていない。町や住民は当事者意識を持ち、病院や医師の現状を理解して支えるべきだ」と指摘。見守る会の樋口幸男代表は「医療サービスが低下すれば、高齢者を中心に人口流出が加速するのではないか」と懸念を示した。



http://www.medwatch.jp/?p=9813
新専門医制度、18基本領域について地域医療への配慮状況を9月上旬までにチェック―日本専門医機構
2016年7月26日|医療・介護行政をウォッチ

 新専門医制度の一斉スタートは2018年度からとし、来年度(2017年度)は各学会の責任で専門医を養成する。ただし、専門医養成プログラムが医師偏在を助長するものとなっていないか、8月いっぱいから9月上旬にかけてチェックし、都道府県の協議会や社会保障審議会などに報告する―。

 25日に開かれた日本専門医機構の社員総会で、こういった方針が了承されました。

 機構の山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は、「既存プログラムと暫定プログラムとに2分することはできないので、基本的に18領域のすべてについて地域医療への配慮がなされているかチェックすることになる」「2018年までの1年間で、暫定プログラムの定員などについて検証していく」とコメントしています。

ここがポイント!
1 社員総会でも「2018年の新制度一斉スタート」を了承
2 2018年までの1年間で定員などを検証、さらに動かしながら制度を改善


社員総会でも「2018年の新制度一斉スタート」を了承

 日本専門医機構では、新専門医制度の18基本領域について新プログラムが医師偏在を助長するものとなっていないかをチェック。その結果、定員が専攻医の2-3倍となっていることから大都市集中の可能性が高いことがわかり、20日の理事会で以下の方針を固めました。25日の社員総会でも、この方針が了承されています(関連記事はこちらとこちら)。

(1)ここは一度立ち止まって、国民や地域の方々の懸念を払拭できるよう、機構と学会が連携して問題点を改善し、2018年を目途に一斉にスタートできることを目指す

(2)2017年度については、研修医や国民の混乱を回避するために、基本18領域については各学会に責任をもって制度を運営してもらう

(3)総合診療領域については、現状では機構で制度設計を行っており既存の学会はないが、2017年の正式な実施は差し控える。ただし、研修医の混乱を回避するため、新たな方策を考え、暫定的な措置について早急に検討する

(4)各学会に対しては、機構から、▽可能であれば、既存の専門研修プログラムを用いること、▽暫定プログラムを用いる場合には、専攻医が都会に集中しないよう、例えば基幹施設と連携施設との関係の再検討、指導医の基準の柔軟な運用などにより専門研修を実施していた施設が引き続き専門研修を行える工夫、また、例えば、都市部の専攻医の定員を過去の実績の1.2倍程度に抑える等、様々なオプションがあると思われるので、各学会で工夫して頂くこと、などを要請する

 吉村博邦新理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)は、(4)の地域医療への配慮について、 ▽どのような対応をとるのかを7月中(遅くとも8月上旬まで)に学会から機構に報告してもらう ▽報告内容を精査し、8月いっぱいから9月上旬までに機構と学会の間で話し合いを行う ▽具体的な対応方法が固まった後、都道府県の協議会に報告する―といスケジュールも明らかにしました。必要があれば、社会保障審議会・医療部会や四病院団体協議会にも報告するとしています。

 また山下副理事長は、例えば暫定プログラムの中にも、医学の発展を踏まえて既存プログラムの学術部分のみを追加したものなどがあり、既存プログラムと暫定プログラムを峻別することはできず、基本的に18領域すべてのプログラムについて医師偏在を助長するものとなっていないか確認する考えを述べています。

2018年までの1年間で定員などを検証、さらに動かしながら制度を改善

 社員総会では、「内科や外科、がん領域などでは基本領域とサブスペシャリティ領域に重なりがある。早期からサブスペシャリティ領域の研修が行えるようにすべき」「総合診療専門医のキャリアパス構築を急ぐべき」など、さまざまな意見が出されたことも吉村理事長から報告されました。

 また専門医の更新について、すでに一部の領域では機構と学会との連名による更新が始まっています。この点について機構では「広告可能な専門医資格となるよう、厚生労働省と早急に協議する」考えも松原謙二副理事長(日本医師会副会長)から明らかにされました。

 こうした指摘も踏まえて、機構では今後の1年間で課題解決に向けた議論を行っていきます。吉村理事長は、「専攻医の身分保障」や「専門医制度のあるべき姿」についても議論していく考えを強調しています。専門医制度のあるべき姿については、9月にも機構内に新たな検討の場を設置し、2-3年ほどかけて議論していく模様です。

 この点について山下副理事長は、「現在、『専門医のあるべき姿』と『専門医制度のあるべき姿』が混同されている。前者については、各学会が『専門医にはどのような知識・技術が必要か』を責任を持って検討している。一方で、地域医療への配慮など制度的な課題について機構で十分に議論していく。機構と学会との連携と役割分担をしていく」考えを改めて説明。さらに「2018年までの1年間であらゆる課題を解決することはできない。暫定プログラムの検証、たとえば専攻医定員などの検証などが行えると思う。新制度を動かしながら、理想的な形に近づけていくことになろう」とコメントしています(関連記事はこちら)。



http://www.zaikei.co.jp/article/20160726/318573.html
病院での待ち時間軽減や自動チェックイン、2016年中にも実現
2016年7月26日 07:49 財経新聞
記事提供元:エコノミックニュース

 高齢者人口の増加に伴い医療機関の利用者も増加し、長い待ち時間が課題となっている。@nifty何でも調査団によるアンケート調査では、病院の待ち時間の限界を「1時間」とする人が全体の44%という結果になった。なかには30分以内しか待てない人も30%おり、待たされることでストレスを感じている人がいかに多いかうかがえる。こうした中待ち時間減少など、病院での患者の負担を軽減するサービスが「国際モダンホスピタルショウ2016」(7月13~15日、東京ビッグサイト)に集まった。

 「通院コンシェルジュ(仮称)」を出展した富士通は、このサービスにて患者の通院時のさまざまな負荷の軽減を実現する。外来受付に設置したビーコンに患者が近づくと、スマートフォンから自動受付が行なわれる。これにより受付に並ぶ時間と手間がなくなる。各診療部門の受付にはQRコードリーダーを設置し、スマートフォンに表示される患者ID情報入りQRコードをかざすことで受診受付が完了する。スマートフォンに院内表示板と連携した診察順が通知されるため、病院の待合室で待つ必要がなくなる。次回の予約状況もスマートフォンから可能だ。富士通は同サービスを2016年中に提供開始する意向だ。

 革新的なサービスとしては「Pepper」を活用したロボット連携問診システムも展示された。病院での年齢や発熱や主な症状といった問診には意外に時間がかかるが、Pepperの提示する質問に答えることで問診を効率化する。入力された回答を医療データベースと照合し、症状に合わせた質問に移る。これによって問診時間の最適化だけでなく、優先度の高い患者を検知して医師やスタッフに通知したり、症状の見落とし防止にも期待できるという。同システムを開発するシャンティは、今年秋には10の医療機関にてテストした後、17年春にはサービス提供開始したい考え。

 病院での待ち時間を最適化し、患者の負荷を軽減するだけでなくサービスの質の向上が期待できるサービスは、医療機関や患者双方にとってメリットが大きく早急な実用化と普及が望まれる。(編集担当:久保田雄城)



http://www.medwatch.jp/?p=9798
2018年度の診療報酬改定、医療・介護連携をさらに推進―鈴木保険局長インタビュー(1)
2016年7月26日|GHCをウォッチ

 6月末の厚生労働省人事異動で、技術総括審議官であった鈴木康裕氏が保険局長に就任されました。診療報酬・介護報酬の同時改定であった2014年度改定では、総指揮を取り、社会保障・税一体改革に向けた診療報酬からのアプローチについて筋道をつけられました。6年後となる次期2018年度改定に向けて、どのようなお考えをお持ちなのか、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)代表取締役社長の渡辺幸子が、詳しく伺いました。鈴木保険局長とGHC渡辺は東京大学 医療政策人材養成講座5期生で同じ研究班グループでした。

 メディ・ウォッチでは2回にわたって鈴木保険局長のお話をお伝えします。前編となる今回は、鈴木保険局長の就任に当たっての抱負、注目される2018年度の次期診療報酬改定に向けた大きな考え方についてお伝えしましょう。鈴木保険局長は、「高齢者の医療と介護は本質的に不可分」であることを強調し、次期改定でも医療・介護連携をより推進していく考えを述べています。

ここがポイント!
1 医療者を含め、国民全員が「今のままではダメだ」と認識してほしい
2 薬剤収入は医療機関の人件費や改修費の原資でもある、薬価引き下げ分の取扱いが重要
3 高齢者の医療・介護は本質的に不可分、医療と介護の組み合わせが将来の重要テーマ


医療者を含め、国民全員が「今のままではダメだ」と認識してほしい

渡辺:外口元保険局長以来、お2人目の「技官である保険局長」にご就任されました。医療保険については、とかく「財政」を中心とした議論が行われますが、根底にある「医療」「医学」を忘れた議論はできないと思います。医療・医療の専門家という立場から、どのように医療保険制度の改革に取り組んで行かれるのか、お考え・抱負をお聞かせください。

鈴木氏:私は、医療について提供体制と保険制度は「車の両輪」と考えています。厚生労働省の局で言えば医政局と保険局がそれぞれを所管していますが、医療提供体制も医療保険も、法律・財政だけの論理で動いているわけではなく、同時に、「医療として何が必要か、患者にとって何が必要か」という視点も必要で、どちらかに医師・MDが絡むことが必要ではないでしょうか。自然科学をバックグラウンドにしている人間からすると、エビデンスやロジック、もちろんそれだけではいけませんが、これらも大事にしたいと考えています。

 私は、2012年度の診療報酬改定を担当しました。その際にも強く感じたのですが、かつての高度成長の時代には「上がった利潤をどう分け合うか」という議論でしたが、今は言わば「負をどう分け合うか」という時代です。その点に鑑みると、公平感が重要です。つまり「一部の人だけに負のしわ寄せが行く」という事態は避けなければいけません。

 さらに予測可能性も重要です。「明日から収入が半分になります」となったのでは医療現場はとてもではないが耐えられない。しかし、例えば「20年後に、あなたの病院ではこういった患者が3割減ると考えられます。それまでに人の雇用や体制などを見直してください」となれば、何とか対応できるのではないでしょうか。

 どういった選択肢をとってももちろん厳しいのですが、「今のままではダメだ」ということを国民全員に分かっていただくことが重要です。

薬剤収入は医療機関の人件費や改修費の原資でもある、薬価引き下げ分の取扱いが重要

渡辺:2018年度は診療報酬と介護報酬の同時改定となり、あわせて新たな医療計画や介護保険事業計画もスタートするなど大きな改定になると予想されます。前回2012年度の同時改定で医療課長として総指揮を取られた当時の鈴木医療課長と迫井企画官のお二人が、それぞれ保険局長と医療課長に就任され、同時改定に向けて「完璧な布陣」が整えられたと感じています。

 一方、消費増税の先送りによって2018年度改定では財源確保が非常に難しくなると思われ、困難な舵取りが予想されます。

 また以前から鈴木保険局長は同時改定を三段跳びになぞらえて、「2012年度が『ホップ』、2018年度が『ステップ』、2024年度が『ジャンプ』になる」とお話されておられます。これらを踏まえて、2018年度改定に向けて、どのような構想をお持ちなのでしょうか。

鈴木氏:ご指摘のとおり、2018年度には診療報酬・介護報酬の同時改定、医療計画・介護保険事業(支援)計画のスタートがあります。さらに、国民健康保険の都道府県化もスタートするため、私は「惑星直列」と呼んでいます。こうしたいろいろな大きな動きがあり、2025年を前にドラスティックなパラダイムシフトが起きる、あるいはその準備のために起こさないといけないのではないかと考えています。

 しかし、英国のようにすべての病院が公的施設であれば人員の縮小や配置転換などを大胆に実行することができますが、日本では民間病院が7割を占めており、そうした大胆な改革を一度に行うことは非常に難しいのです。

 現在、各都道府県で地域医療構想の策定を進めていただいています。人口動態や患者の疾病構造から「高度急性期は何床、急性期は何床必要になる」という数字は出せますが、問題は、それをどう実現していくかです。1県に医科大学が1つだけしかないような地域では、医科大学が中心的な役割を担って、「この病院には周産期中心の役割を担ってもらおう、この病院にはがん医療を中心に診てもらおう」というやり方が可能かもしれませんが、多くの都道府県では、地域医療構想の実現には相当苦労されると予想しています。

 その際、同様の機能を担う急性期病院が数多くある地域では、例えば熊本県のようにうまく役割分担ができれば良いのですが、そう簡単ではないでしょう。

渡辺:少し気が早いですが2018年度の改定内容について伺いたいと思います。先ほども申しましたが、消費増税が先送りされ、財源確保が厳しい中では、メリハリの効いた資源配分(点数配分)が重要になってくると考えます。医療の現状、局長のこれまでのご経験を踏まえて、「特にここに手厚くすべきではないか」とお考えの重点分野などはあるのでしょうか?

鈴木氏:新たな財源確保、つまり改定率は医療経済実態調査の結果に大きく影響されますし、また政治的に決着する部分も少なくありません。

 事務方である我々がまずしなければいけないのは、「薬価の引き下げ分をどのように分配するか」という点を考えることでしょう。2012年度改定では、薬価の引き下げで生まれた6000億円ほどの財源をすべて医科・歯科・調剤の本体報酬の見直しに充てることができました。しかし、翌2014年度改定では、消費増税改定とセットであったため、薬価の引き下げ分はほとんど消費増税対応に充てざるを得ませんでした。これは医療機関などにとってみれば、表面的には増収ではありますが、実質的にはその分は消費増税による支出増に消えてしまうものです。このため、特に病院を中心に収支が悪化してしまいました。

 薬剤にかかる医療機関の収入は、当然、医師や看護師などスタッフの人件費、建物や設備の改修費、機器の購入費などにも充てられています。医療機関で購入している薬価の引き下げ分を診療報酬本体の改定財源に充てなければ、こうした人件費や改修費などに充てる財源を単純に取り上げることになってしまいます。この点は財務省ともしっかり議論しなければいけないと考えています。

高齢者の医療・介護は本質的に不可分、医療と介護の組み合わせが将来の重要テーマ

渡辺:次期改定は同時改定ということもあり、これまで以上に「医療・介護連携」の推進が重視されると予想しています。前回の改定から連携が進んだ部分、まだ不十分な部分など、さまざまあると思いますが、「医療・介護連携を進めるために、ここにテコ入れすべきではないか」とお考えの部分などあれば、お教えください。

鈴木氏:極めて重要なテーマです。とても細かい部分の話をすれば、例えば「特別養護老人ホームでの看取りをどう考えていくのか」「老人保健施設では薬剤費が報酬に包括されているので薬剤使用に厳しい制限があると指摘されており、これをどう考えるのか」といったテーマがあります。

 しかし、より本質的な問題として、「本来、高齢者の医療と介護は完全には分けられない」という課題があります。医療を必要とする高齢者は、介護も必要としていることが少なくありません。現在は、そうした高齢者に対して、「介護の中の医療部分」を介護事業所・施設がみており、「医療の中の介護部分」を病院やクリニックがみています。しかし、もう少しうまい組み合わせ方があるのではないかと考えています。2018年度の次期改定で実現できるかどうかは分かりませんが、「切れ目のない医療・介護サービスの提供」を実現するために、将来に向けて工夫が必要になってきます。

 また医療機能の分化・連携は、放っておいてうまくいくものではありません。ある分野に特化する場合には、やむを得ず切り捨てなければいけない部分が出てくるでしょうし、資本投下も必要になってきます。そこは、例えば診療報酬などできちんと面倒を見なければいけないと思っています。

 さらに私は、最後に重要になるのは「在宅医療」ではないかと考えています。地域医療構想では、高度急性期・急性期の病床から回復期・慢性期の病床への移行を促すとともに、慢性期入院患者の一定数を在宅に復帰させることになっています。しかし、現在入院している患者を何もせずに在宅に復帰させることは難しいでしょう。

 ばらばらに居住している患者に在宅医療を提供するとなれば、スタッフの移動だけで大きなコストがかかります。物理的な距離が遠い地方では特にそうでしょう。

 そのため、例えばサービス付き高齢者向け住宅などをきちんと整備し、そこで効率的な在宅医療を提供するということを考えなければいけません。もっとも、制度設計を少し間違えれば、不適切な事例も発生してしまうので、十分な検討が必要です。

渡辺:我々がコンサルティングをする中では、「医療側にはまだ介護との連携に関する意識が低い。介護側は逆に敷居の高さを感じている」という実態があるように感じますが。

鈴木氏:「自分自身の事業を進めるために、その先を考える」という構造にしなければ難しいと考えます。例えば平均在院日数の要件設定(例えば7対1病棟では現在18日以内)などを進めていくと、単に退院させるだけではダメで、「退院後の生活や在宅医療・介護をしっかり考えなければいけない」という具合に意識が変わって行かざるを得ません。このように「インセンティブの構造」を変えていく必要があると思います。

 また医師の教育過程の見直しも必要になってくるのではないでしょうか。私が医学生の頃はもちろんですが、今でも医学部の教育において介護や在宅医療にそれほど時間をさいているとは思えません。これから高齢者がますます増えていきますので、医師が必要とされる場面も高齢者ケアにシフトして来ていますが、それに医学教育がマッチしていないのかもしれません。その点も、今後、検討していく必要があります。

(後編に続きます)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49260.html
臨床試験専用の病床、施設基準を緩和へ- 厚労省が省令改正案
2016年07月26日 11時00分 キャリアブレイン

 厚生労働省は、健康な人を被験者とする臨床試験の病床を設ける際、患者1人当たりの病室面積を医療法で定める最低の水準と同じ程度に緩和する省令改正案をまとめた。構造改革特区の規制の特例措置の一環。従来に比べて狭い面積で病室の確保ができるため、病床利用率が限界に近い病院でも、臨床試験専用の病床を設けやすくなる。【新井哉】

 対象となるのは、第I相臨床試験の専用病床。臨床試験を行う病院では現在、患者1人当たりの病室面積は原則「6.4平方メートル以上」となっているが、省令改正案では被験者2人以上を入院させる場合、診療所(最小)と同等の「4.3平方メートル以上」と約3割縮小。両側に居室がある場合の廊下の幅も、「2.1メートル以上」から「1.6メートル以上」にする。

 第I相臨床試験の専用病床については、車いすなどを使用しない健康な人が被験者であっても、患者と同じ基準で病室を用意する必要があった。このため、医学部のある大学や自治体などから基準の緩和を求める声が出ていた。

 国家戦略特別会議でも横浜市が提案事業の中で、臨床研究症例数を増やして研究成果を迅速に実用化することを視野に入れ、この専用病床の施設基準の緩和を要望。同市は基準の緩和が決まり次第、市立大附属病院(金沢区)の敷地内にある次世代臨床研究センターに専用病床を整備する方針を掲げていた。

 基準の緩和によって、被験者を集めやすいが整備コストが高い都心部で、専用病床の整備がしやすくなることに加え、病院内の病室以外の施設を小規模な改築などで、専用病床として活用することが可能になる。厚労省は、省令改正案のパブリックコメントの募集を8月20日まで行っている。9月上旬までに省令を公布する予定。



http://mainichi.jp/articles/20160727/ddm/016/040/027000c
新専門医制度
1年先送り 「身内」反発で混迷 人材育成、対策は急務

毎日新聞2016年7月27日 東京朝刊

 医療の質の向上や医師の新たなキャリア形成を目的に来年4月から始まる予定だった「新専門医制度」が、導入まで1年を切って、2018年4月からに1年先送りされることが決まった。医療界主体で進めてきたはずの改革に、日本医師会など主要な医師・病院団体が待ったをかけたためだ。どんな制度で、何が問題になったのか。【有田浩子】

 「拙速に始めれば研修医にも地域にも混乱が生じる」。今月20日、新制度下で専門医の認定を担う「日本専門医機構」の吉村博邦理事長(北里大名誉教授)は、制度開始の1年延期を表明した。「身内」である医療界の反発が主因だったが、吉村氏は「医療の質の担保と同時に、地域医療に十分配慮し、国民に対して適切な医療ができるような新しい専門医制度をぜひ作っていきたい」と合意形成への意欲を示した。

 日本では医師や医療機関が、診療する分野を基本的に自由に名乗ることが認められている。医療の高度化に伴い専門領域が細分化する中、学会の数も増え、それぞれが独自の認定制度を設けたことで、今や100種類以上の「専門医」が乱立。質のばらつきや信頼性の低下が指摘されてきた。

 これを是正しようと、厚生労働省の有識者会議は13年4月、中立的な第三者機関が統一した基準で専門医を認定するよう提言。内科、外科などに、初期診療(プライマリーケア)を担う総合診療医を加えた基本的な19の診療分野でまず研修して認定を受け、さらに専門性の高い分野に進んで研修するという2段階式の制度案をまとめた。

 ここで言う「専門医」とは、いわゆる「神の手」と呼ばれるような卓越した技量の持ち主ではなく、「患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」のことだ。17年度から養成を開始し、20年度から認定が始まるとのスケジュールも決まり、14年5月には第三者機関の日本専門医機構が設立された。

 雲行きが怪しくなってきたのは昨年、同機構の指針に基づき、一定以上の指導医が確保できる基幹病院が複数の連携病院と組んだ研修プログラムを公表し始めた頃から。指導医数や症例数などの基準が厳しく、基幹病院が都市部の大学病院に集中したため、関係団体や地方自治体から「医師の都市偏在に拍車がかかる」と懸念が出るようになり、今年2月の社会保障審議会医療部会では制度への批判が相次いだ。

 厚労省は3月に議論を整理するための専門家委員会を新たに設置したが、日本医師会や日本病院会は導入時期などの見直しを求める意見書を発表。これに塩崎恭久厚労相が「真摯(しんし)に受け止める」と異例の談話を出したことで、延期の流れが強まった。機構は理事長が任期満了で交代した6月末から、理事に知事や患者団体代表が加わって再検討し、1年先送りの結論に至った。

 機構は今後、プログラムの基準を見直し、指導医の人員基準の要件などを緩和する。また、専門医研修に入る医師が9000人弱なのに対し、約2倍の1万8000〜1万9000人の募集定員が設定されていたため、偏在をなくすための割り振りを検討していく。

 日本医大武蔵小杉病院の勝俣範之教授(腫瘍内科医)は「内科、外科など基本的な診療分野を学んだあとに、専門的な分野を研修するというのが世界のプロを育てるスタンダード。日本は数十年も遅れていた。各論の課題はあるだろうが、前に進めるべきだ」と話す。

 専門医の信頼性を高め、地域医療の中心になる総合診療医を育成することは、国民の利益にもなる。「プロフェッショナル・オートノミー(専門家による自律)」を前提に議論してきただけに、医療界による早急な制度構築が望まれる。

キャリア形成に悩みも

 新専門医制度の研修を受けることになる若手医師たちは、1年延期をどう見ているのか。「ほっとした」との声が漏れる一方、自身のキャリア形成について悩む姿も浮かぶ。

 医師国家試験に昨年合格し、今は初期臨床研修2年目の福島県南相馬市立総合病院の山本佳奈さん(27)は、来年度から新制度の1期生になるはずだった。だが、産科にも泌尿器科にも興味があり、今から専門を一つに選ばねばならないのは困ると感じていたという。

 専門医の取得は法律上義務ではないが、取得しないことへの将来不安が医師の間には強い。山本さんは「来年度は自分の責任で十分経験を積ませてくれる病院を探し、胸を張って『これができる』というものを持ちたい。大学の医局人事や都合に振り回されたくない」と話す。

 同病院の麻酔科医、森田麻里子さん(28)も、新制度には懐疑的だ。「国民の医療ニーズに応えるには、先端医学を学ぶ医師、地域で住民の健康管理に当たる医師など、さまざまなキャリアを持つ医師が必要。国民が求める医療について、もう一度議論してほしい」。医師偏在を助長しない地域医療への配慮は「研修プログラムの要件緩和や、地域を回る期間を少し長くするといった付け焼き刃的な修正で、済ませてほしくない」と訴える。

 初期臨床研修医の教育を担当する仙台厚生病院の遠藤希之(まれゆき)・医学教育支援室室長(50)は、新制度が医師たちのキャリアパス(職務経歴)や身分保障にどう影響するかが明確に示されていない点を懸念する。例えば女性医師の場合、第1段階の基本的な分野を経て、さらに高度な領域に進むと、認定を受けるのは30代半ばになり、結婚や出産の時期と重なる。遠藤氏は「高度な領域の研修期間などを早くはっきりさせるべきだ」と指摘する。

 患者と医療者の協働を目指す認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」の山口育子理事長は「細かい領域を名乗る専門医の乱立が問題だったのに、解決されていない。準備不足で先送りは当然だが、医師の地域偏在を起こさないようにできるのか」と不安を漏らす。

基本的な19の診療分野
 内科、外科、総合診療、皮膚科、産婦人科、耳鼻咽喉(いんこう)科、脳神経外科、麻酔科、小児科、精神科、整形外科、眼科、泌尿器科、放射線科、救急科、リハビリテーション科、形成外科、病理、臨床検査



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54420/Default.aspx
厚労省 オプジーボに薬価上の「特例的な対応」検討 最適使用推進GL概要も中医協に提示
2016/07/27 03:52 ミクスオンライン

厚生労働省はきょう7月27日午前に開かれる中医協総会に、抗がん剤・オプジーボに端を発した高額薬剤問題についての当面の対応として、薬価上の「特例的な対応」と、最適使用を進めるための「最適使用推進ガイドライン策定」を2本柱とした施策を提示する。年内を目途に一定の結論を得る方針。オプジーボに代表される効能追加等で大規模な市場拡大がなされた薬剤をめぐっては、診療側が「医薬品の効能・効果が変更された場合、その時点で薬価を見直す仕組みを作るべき」などと主張してきたが、期中改定も視野に入れた検討がなされることとなりそうだ。薬価制度改革の抜本的な見直しを視野に入れた議論が進められることになる。


◎最適使用推進ガイドライン 患者、医師・施設基準明確化 オプジーボとレパーサの類薬も対象に

高額薬剤の当面の対応としては、①薬価にかかわる特例的な対応、②最適使用推進のための取り扱い――を行うことが検討される。

オプジーボについては、「2016年度薬価改定における再算定の検討に間に合わなかった薬剤であって、効能・効果等の拡大により大幅に市場が拡大したもの」と明記し、特例的な対応を検討する考えだ。

最適使用推進については、厚労省の依頼に基づき、PMDAと学会が、新規作用機序医薬品の最適な使用を進める「最適使用推進ガイドライン」を策定する方針。ガイドラインは、対象医薬品の使用が最適だと考えられる患者の選択基準、適切に使用できる医師・医療機関などの要件を明確化する。策定されたガイドラインに該当しない場合の使用などは、保険上算定できないことも視野に、ガイドラインの保険上の取り扱いは中医協で議論する。2016年度は、オプジーボと高コレステロール血症治療薬・レパーサの2剤と、その類薬を対象に策定することが検討されている。


◎薬価制度の抜本的な改革を視野

薬価制度については、抗体医薬などの高額薬剤が登場する中で、効能・効果の追加や用法・用量の拡大で大幅に市場が拡大する薬剤が登場してきたと説明。こうした中で、市場拡大から再算定までの期間が2年を超える場合もあり、「国民皆保険の維持の観点から、従来の仕組みである薬価改定時における再算定では、必ずしも十分対応を講じているとは言えず、このような点について今後検討する必要がある」とした。

具体的には、①効能追加等による大幅な市場拡大への対応、②市場規模のきわめて大きな薬剤への対応――をあげた。市場規模のきわめて大きな薬剤は、効能追加などだけでなく、収載当初から市場規模が大きいことが予想される医薬品も対象とする考えで、”最適使用”の推進に加え、「費用対効果評価の試行的導入の検討結果を踏まえた薬価算定の仕組みに加え、単に、市場規模を考慮するだけでなく、医薬品の特性やこれまでの治療にかかわる費用との比較等を踏まえた対応」をあげた。論点を踏まえ、8月以降の中医協薬価専門部会で議論が本格化することになる。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201607/547646.html
「薬を減らして窓口負担増」に患者は納得するか
2016/7/27 友吉 由紀子=編集委員

表1 医師の減薬への取り組みを評価した「薬剤総合評価調整管理料」
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 高齢患者を中心とした多剤投与や残薬問題を解消しようと、2016年度診療報酬改定では、「減薬」に対する評価として、外来・在宅患者を対象に「薬剤総合評価調整管理料」が新設された(表1)。

 6種類以上の内服薬を処方していた患者で、そのうち2種類以上を減らした場合に月1回250点を算定できる。処方内容の調整に当たり、他の医療機関や薬局に照会や情報提供を行った場合、さらに連携管理加算50点もプラスできる。

 厚生労働省保険局医療課では、「薬を減らすには患者に十分な説明が必要で、処方技術なども必要。そうした面を“評価”した加算なので、開業医が減薬を考えるきっかけとなってくれればと思っている」と説明する。

 ところが、開業医の反応はいまひとつだ。山一ビル内科クリニック(東京都足立区)は、循環器や呼吸器疾患などが専門の医師3人で1日に約200人の患者を診ているが、「薬剤総合評価調整管理料」については4月から1件も算定していないという。

「患者は1円でも安い医療機関へ流れる」
 院長の有野亨氏は、「250点の加算は、確かに診療所側にとって魅力的な点数。しかし、『薬の数が減りましたから……』と患者に説明しても、『窓口負担が750円(3割負担の場合)も高くなる』と言ったら、患者は納得してくれないだろう」と話す。

 減薬して同管理料を算定すると、その際の窓口負担は高くなるが、その後は薬剤費負担は安くなり、多剤投与による有害事象の発生も防げるなど、患者にとってメリットも少なくない。しかし、そうしたことを周知し、患者の理解を得るのは容易ではない。

 「この周辺地域では、患者は“1円でも安い医療機関”へ流れる傾向がある。地域包括診療料をはじめ、次々と厚労省は目玉の点数を出してくるが、患者の負担増になることを考えると、こうした数百点の加算の算定は難しい」と有野氏は訴える。

 働く世代の患者が多い山本亜希メンタルクリニック(東京都千代田区)の山本亜希院長は、4月から減薬に積極的に取り組もうと、新設の「薬剤総合評価調整管理料」に関する説明文を待合ロビーに掲示。自身のブログでも、減薬によって自己負担額が750円(3割負担)アップする可能性があることを伝え、患者の理解を求めた。

 「5月に初めて3人の患者に同加算を算定したが、算定するには患者への周知と丁寧な説明が必要で、とても手間が掛かった。説明しても、急に窓口負担が増えたことに戸惑いを見せる患者が多かった」と山本氏。

早くも絵に描いた餅に?
 大阪府保険医協会が4月20日に行ったアンケート(回答数108医療機関)でも、約9割が「薬剤総合評価調整管理料を算定していない」と回答。算定しない理由は「患者に説明できない」が最も多かったという。

 しかし高齢化に伴う多剤投与の問題は深刻化している。厚労省の2015年調査によると、2疾病以上の慢性疾患を有する高齢者の内服薬数は平均約6剤で、複数の医療機関から合計10種類以上を投薬されている患者も少なくないという。高齢者では、6剤以上の投薬で有害事象の発生が高くなるとの報告もある(秋下雅弘:高齢期の生活習慣病に対する薬物療法、長寿科学研究振興財団平成24年度業績集「高齢期における生活習慣病」2013:191-7.)。

 「『できるだけ少ない薬での治療』という方向性は、今後の診療報酬改定において、さらに明確に打ち出されていくだろう」。在宅診療を行う中で減薬に取り組んできた在宅療養支援診療所の医療法人至高会・たかせクリニック(東京都大田区)院長の高瀬義昌氏もこうにらむ。

 とはいえ、患者に納得してもらえないような高点数の管理料では「絵に描いた餅」となってしまう。減薬に対する評価方法については、次回以降の診療報酬改定で何らかの見直しが必要となりそうだ。
 



http://www.medwatch.jp/?p=9822
将来的に看護配置でなく、重症者の受け入れ状況に着目した診療報酬に―鈴木保険局長インタビュー(2)
2016年7月27日|GHCをウォッチ

 お伝えしているように、GHC代表取締役社長の渡辺幸子が厚生労働省保険局の鈴木康裕局長を表敬訪問。2018年度の次期診療報酬改定を中心に、山積する課題に対する対策やお考えを詳しく伺いました(前編の記事はこちら)。鈴木保険局長とGHC渡辺は東京大学 医療政策人材養成講座5期生で同じ研究班グループでした。

 後編となる今回は、2018年度の次期診療報酬に向けた鈴木保険局長のお考えを詳しくお伝えします。将来的に看護配置ではなく、重症患者をどれだけ受け入れ、どのような治療・ケアを行ったかに着目した診療報酬体系にすべきとのお考えや、アウトカム評価、超高額薬剤の取扱いなどについてご見解を伺うことができました。


ここがポイント!
1 病棟看護師も定期的に数か月程度、訪問看護ステーションで研修を受けてはどうか
2 根源的には、看護配置でなく「どれだけ重症患者を診たか」で報酬が決まるべき
3 アウトカム評価、総論は皆賛成するが、指標設定になると難しい議論になる
4 審査の基準を見える化し、審査システムだけでなく電子レセプトにも搭載できないか


病棟看護師も定期的に数か月程度、訪問看護ステーションで研修を受けてはどうか

渡辺:先の2016年度診療報酬改定では、退院支援加算1が新設され、施設基準に「過去1年間の介護連携指導料が病床数の15%あるいは10%以上」という要件が設けられました。このような要件設定は非常に効果的だと感じています。このように看護師とケアマネジャーをはじめとした介護職との連携が非常に重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか?

鈴木氏:おっしゃるとおりだと思います。看護師はもっとも患者さんに接する時間の長い医療スタッフです。

 私の個人的な見解ですが、病棟の看護師も、何年かに1度、数か月程度の期間、訪問看護に携わったほうが良いのではないかと考えています。

 これまで訪問看護ステーションからの訪問看護療養費は引き上げてきましたが、病院・クリニックからの訪問看護については報酬が低く設定されていました。これは、訪問看護ステーションの発展も目指したもので、確かに訪問看護ステーションの事業所数は増えたのですが、個々の事業所の規模は残念ながらあまり大きくなっていません(2014年度の介護サービス施設・事業所調査では常勤換算の総従業者数が平均で6.3人)。これではオンコール負担などが大きく、バーンアウト(燃え尽き)してしまうでしょう。

 病院や病院附属の訪問看護ステーションでは、多くの看護師をプールしています。そこから適任者を選任し、あるいは定期的な研修者を、市中の訪問看護ステーションに派遣すれば、在宅医療の経験も積めますし、訪問看護ステーションにとっても新しい医療知識を吸収する機会が増えます。訪問看護ステーションと病院が連携することが不可欠であろうと考えています。

根源的には、看護配置でなく「どれだけ重症患者を診たか」で報酬が決まるべき

渡辺:局長が医療課長として総指揮をとられた2012年度改定から病院・病床の機能分化、とりわけ「7対1」病床数の適正化が大きなテーマになっていると思います。今回改定で注目された看護必要度の大幅な見直しも、このテーマに沿うものと考えますが、「もう少し踏み込むべきだったのではないか」「7対1病床数の適正化につながらず甘いのではないか」といった厳しい指摘もあるようです。次期改定ではどのような点に着目されるお考えでしょうか。

鈴木氏:7対1看護は、かつての1.4対1看護に相当しますから、病棟看護師はとても多く配置されています。7対1入院基本料は、2006年度の診療報酬改定で新設されましたが、当時の医療課長は中央社会保険医療協議会で「7対1の病床数は2万床程度になる」と答弁しています。このように「看護の手間が非常に多くかかる患者を多く受け入れている」一部の病院を対象として、極めて高い点数を設定しました。しかし、これが多くの病院から看護師を吸い上げることになってしまい、現在の7対1病床数は38万床にも達しようかという状況です。

 今回の2016年度改定で導入した「病棟群単位の入院基本料」の状況や、Hファイルに基づく看護必要度の内容などをきちんと分析して最適配分を考え、メリハリのついた看護配置を実現する必要があります。個人的には、点数設定も少し高すぎるかもしれないと感じています。

 また、根源的には「看護師配置で診療報酬の高低が決まる」という現在の仕組みはおかしいという指摘が増えています。どういった状態の患者を受け入れ、どういったケアを行っているのかに着目した診療報酬とすべき、ということでしょう。

 「7対1」はストラクチャーの1要素に過ぎません。将来的には「重症患者の受け入れが多い病院が、高い診療報酬を得られる」形にすべきです。今回の2016年度改定で看護必要度の見直しを行いましたが、将来に向けた移行過程の1つと考えることもできると思います。

 中医協では、支払側もこの点についてご意見を述べられており、少しずつこうした方向にシフトするための検討をしていく必要があるのではないでしょうか。


渡辺:最近の診療報酬改定では、生活習慣病対策にも力を入れておられます。主治医機能を評価する「地域包括診療料」などが設定されましたが、届出・算定状況は芳しくないようです。クリニックの報酬体系について、どのようにお考えでしょうか。

鈴木氏:高脂血症、高血圧、糖尿病の患者が増加しており、重症の患者もいます。ただし、多くの数値異常にとどまっている患者については、最初の鑑別診断や治療方針の決定、半年に1回程度の精密チェックは確実に実施しなければいけませんが、2、3週間に一度の定常的なフォローアップについて、「何か異常のあったとき」以外は、最新のテクノロジーを使って、医師にも患者にも負担の少ない方法で実施できないかという意見もあります。

 このように慢性疾患の管理のあり方を修正し、その分、在宅医療であったり、地方の病院でたいへんな部分を助けてもらうことで、医師の偏在も多少緩和されるという見方もあります。


アウトカム評価、総論は皆賛成するが、指標設定になると難しい議論になる

渡辺:GHCでは、かねてより「医療の価値」向上を目指して、全国の病院のコンサルティングを行っています。「医療の価値」を上げるための手法の1つとして「アウトカムに基づいた診療報酬」が考えられると思います。この点について、お考えをお聞かせください。

鈴木氏:「医療の質を上げるためにはアウトカムを評価してほしい」という総論にはどなたからも異論は出ません。しかし、どういう指標を設定しようかという各論になってくると、とたんに話が難しくなります。

 例えば医薬品、C型肝炎治療薬のハーボニー錠では完治が見込めるということで、「将来の肝硬変、肝がんを防止できるので、この程度の高額な薬価を設定しても医療費の適正化に繋がる」という計算ができます。また、外科医療についても、ある程度成功・非成功が判断しやすいので、比較的このようなアウトカム評価や費用対効果評価を導入しやすいと思います。

 しかし、内科は難しい点がありますね。特に疾病管理の長期的な評価は難しい。糖尿病の患者について、「最終的に失明の防止をできたどうか」という指標で評価するとなると、時間的な距離があまりに遠くなります。ただし、例えば同じく糖尿病患者について、「こういった指導を行った結果、一定期間HbA1cの数値悪化させなかった」というサロゲートマーカーで評価することは検討の余地があるかもしれません。

 なお、現在、費用対効果の議論が進んでいますが、「薬価を下げる」ためにやっているという誤解があるようです。私は評価の結果「価格を上げる」という措置も必要だと思います。そうでなければメリハリをつけることができません。透明性のあるルールで費用対効果をきちんと評価していきます。ただし、それが不適切なビジネスを誘発しないように注意もしなければいけません。費用対効果評価を悪用し、例えば「意図的に希少な疾病の治療薬として高い薬価を設定し、その後に患者数の多い疾患に適応拡大して暴利を得る」という事態は避けなければいけません。


渡辺:抗がん剤のオプジーボやC型肝炎治療薬のハーボニーなど、超高額薬剤のあり方が今後、極めて重要な課題になると思います。優れた医薬品の開発・保険適用は国民のために進めるべきですが、一方で医療保険制度の維持という側面も無視することはできません。この点、どのように考えていくべきなのでしょうか。

鈴木氏:現在、厚労省内で議論を行っており、医薬・生活衛生局では「どういった患者に対して、どういう要件を満たした医療施設の、どういう資格をもった医師のみが処方・投与できる」というガイドラインを作成してはどうかという検討を行おうとしています。ただし、いくつか課題もあり、「ガイドラインと添付文書がどのように違うのか」などを明確にする必要がまずあります。こうしたガイドラインが作成された場合には、保険局側は留意事項通知に落とし、「こういった場合ではなければ償還(保険請求)できない」とすることについて中医協でご議論していただくことになるでしょう。

 一方で、値付、つまり薬価の問題もあります。先ほども少し述べましたが、例えば希少疾病治療薬的な取扱いとして高めの薬価が設定されたとします。現在の薬価制度では、(薬価制度改革の)期中であれば、後に適応が拡大、つまり対象患者数が増えても高額な薬価が維持されます。もちろん、直後の薬価改定で引き下げられることになりますが、「最長で2年間、高額な薬価を維持したままでよいのか」という指摘もあります。この点にも、何らかの答えを出さなければいけません。中医協で慎重に議論していただきます。

審査の基準を見える化し、審査システムだけでなく電子レセプトにも搭載できないか

渡辺:診療報酬以外にも、「介護療養病床の新たな移行先」や「審査基準の統一」「レセプト・健診などのビッグデータの活用」など保険局には重要課題が数多くあると思います。とりわけ「審査基準の統一」は、GHCがコンサルティングを行う上でもクライアントから指摘される部分であり、全国の医療機関が注目していると考えます。現時点での局長の率直なお考えをお聞かせいただければと思います。

鈴木氏:ご指摘のように「審査基準の統一・効率化」という問題と、「ビッグデータの活用」という問題があります。

 前者については、社会保険診療報酬支払基金の支部(都道府県)間での格差、さらに同じ都道府県であっても支払基金と国民健康保険団体連合会との間での格差という問題があると指摘され、現在、「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」で議論が勧められています。やはり、患者名や所属する医療保険(健康保険や国民健康保険かなど)をブラインドして(隠して)、同じ症例について支払基金と国保連に請求して、合理的な範囲を超えて判断が違ってしまうのは良くありません。

 審査のルールをきちんと見える化して、「ここまでは合理的な違いとして判断が異なることは認められます。しかし、ここからは同じでなければいけません」というルールを明確にすべきでしょう。さらに、ここはまだま私の個人的な考えなのですが、その合意されたルールを電子カルテや電子レセプトのシステムに載せられないかと考えています。これが実現できれば、医療機関における入力の時点で「これは認められない」ことが明確になります。そのまま請求することはないでしょうから、審査や返戻などの手間もなくなり、無駄が減ります。さらにデータの精度が向上しますから、ビッグデータとして活用できる幅もさらに広がるでしょう。こうした取り組みが進められないかと考えています。

渡辺:今後のますますのご活躍を期待しております。本日は、誠にありがとうございました。



http://mainichi.jp/articles/20160727/ddm/016/040/028000c
新専門医制度
1年先送り 葛西龍樹・福島県立医大教授(家庭医療学専攻)の話

毎日新聞2016年7月27日 東京朝刊

努力と覚悟で変革を
 新専門医制度の議論には三つの問題があると考える。(1)標準化された研修プログラムで専門医の質を担保する重要性への認識が乏しい(2)制度の問題と医師の地域偏在の問題がごちゃまぜになっている(3)制度設計が国民不在で議論されてきた−−ことだ。新制度には総合診療専門医の育成が盛り込まれた。本格的な専門教育によってプライマリーケアを整備するという、医療制度のあり方が根本的に変わる取り組みだ。関係者はかなりの努力と覚悟を持って変革を断行すべきだ。


  1. 2016/07/27(水) 05:55:33|
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