Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月15日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/431632
シリーズ: m3.com全国医学部長・学長アンケート
新専門医制度、「臨床能力は向上する」は4割◆Vol.7
全国の医学部長、医科大学長を対象にアンケート実施

2016年7月15日 (金) 成相通子(m3.com編集部)

全国医学部長・学長アンケート

 2017年度に開始する予定だった新専門医制度は、地方の医療提供体制を悪化させるとの懸念や、日本専門医機構のガバナンスに対する批判などが続出。全面実施は見送られ、同機構のガバナンスは一新された。そもそも、制度改革の目的の一つは「専門医の臨床能力の向上」。新専門医制度の実施で、臨床能力は向上すると考えられるのか。医学部長・学長に尋ねた。

Q. 2017年度開始予定の新専門医制度についてお尋ねします。新制度では、専門医を取得している医師の臨床能力の向上につながるとお考えでしょうか。
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全国医学部長・学長アンケート

 最初の質問は、「向上する」「現状と変わらない」「低下する」「分からない」の4つの選択肢から1つを選んでもらった。「向上する」と回答したのが最多で、4割強に当たる11人。「現状と変わらない」と回答したのは5人。「低下する」を選んだのは、東京医科歯科大学医学部長の江石義信氏だけで、「分からない」が8人だった。

Q. 新専門医制度が医師の臨床能力に与える影響について、お考えがあればお聞かせください。

 新専門医制度が医師の臨床能力に与える影響については、自由回答でコメントを求めた。「向上する」を選んだ回答者のコメントでは、大学を主体としたプログラム編成によって、専門医の質の担保や標準化を期待する声が多かった。一方で、「専門医の能力の均点化は達成できると思いますが、全体的な能力を高めるかどうかは分かりません」(岩手医科大学医学部長 佐藤洋一氏)という冷静な意見もあった。「現状と変わらない」や「分からない」を選んだ回答者でも、専門医を取得する時期が遅れることへの懸念や、地域医療への悪影響といった弊害を警戒する声が強く、新専門医制度に懐疑的な意見も多かった。

 以下、「新専門医制度が医師の臨床能力に与える影響」についてのコメントを、最初の質問の選択肢とともに紹介する。

【向上する】
* 専門医の能力の均てん化は達成できると思いますが、全体的な能力を高めるかどうかは分かりません。(岩手医科大学医学部長 佐藤洋一氏)
* 新専門医制度の中では研究についても言及されています。今までのような市中病院の研修で研修を終わらせる制度は間違っています。技術のことしか頭にない不良医師を大量生産してきた制度よりは少なくともマシだと思います。(福島県立医科大学医学部長 鈴谷達夫氏)
* 一定のプログラムに基づいた研修と評価が行われるため、医師の臨床能力が標準化され、質保証される。患者さんからも一人ひとりの医師の臨床能力が見えやすくなる。(埼玉医科大学学長・医学部長 別所正美氏)
* 各診療科の専門プログラムが明示され、新専門医機構の評価が入ることで、臨床能力が一定レベルまで保たれるため向上すると考えます。(昭和大学医学部長 久光正氏)
* 専門医の基準が明確になり、その能力維持のための教育や研修制度が充実すれば、医師の臨床能力向上に役立つ制度になると考える。(富山大学医学部長 北島勲氏)
* 卒後2年間の初期研修が開始されて10年以上が経過し、若手医師の臨床能力が低下していることが指摘されてきました。原因として、初期研修の内容が見学や非侵襲的な診療に制限されているために、経験不足に陥っているものと考えられます。いわゆる、多彩な分野を広く研修するという前提のもとで、浅く表面的な経験に偏重することとなっています。その結果として、初期研修中のいずれの経験も、患者の生命やQOLに直結する実臨床の水準には届いておらず、役に立たないという声をよく聞きます。これより、自らのキャリアパスに必要な領域全体を網羅しつつ、時間をかけて実臨床レベルまで追求できる新専門医制度は、若手医師の臨床能力の向上に寄与するものと考えられます。また専門研修の施設間における均質化も進み、我が国の医師全体としての臨床能力も亢進するものと思われます。(福井大学医学部附属病院 副病院長(教育・研究担当)中本 安成氏)
* 大学は伝統的に専門医を養成してきたので、そのノウハウを持っていると考えられてきた。しかし、学会や大学によってかなりのばらつきがあった。新専門医制度により、各学会や大学が専門医のコンピテンシーを明確にし、それを達成するベースとなる研修プログラムを作成した。これにより専門医の質は向上するだろう。また、社会に対してこのような価値で専門医を養成していると示すことができ、説明責任も果たせるものと考えている。(近畿大学医学部長 伊木雅之氏)
* 今回始まろうとしている新専門医制度は、日本脳神経外科学会の制度をモデルとしています。制度の内容を充実することにより優れた医師を養成できることは日本脳神経外科学会が証明しています。このためには、学会のスタッフが自ら汗をかく必要があります。この制度の充実により一定の質を保つことができます。(大阪市立大学医学部長 大畑建治氏)
* 一定レベルの医療が行える保証を与えられるが、それが目標となり、診療報酬にも大きな影響を与えるものと推測する。(鹿児島大学医学部長 佐野輝氏)
* 指導者の配置に十分な資源が投入されれば臨床能力は向上する。もし指導者への配慮がなければ、我が国の医療は衰退する。(匿名)
 

【変わらない】
* 基本的には、日本眼科学会のこれまでの専門医制度による育成と同じと考えます。(山形大学医学部長 山下英俊氏)
* 専門医を取得する時期が遅れるため、国民の医療にとってマイナスであると考えます。(岐阜大学医学部長 湊口信也氏)
* 内科では内科全般の研修を行うことになり、それなりに総合内科医としての能力は高まるとは思われるが、それがサブスペシャルティの専門医の能力に生かされるかどうかは疑問である。現状と変わらないと思われる。その取得年齢がより遅くなるのも問題である。さらに大学院へ進む臨床医が減少する、あるいは研究者としてのスタートが遅くなることも心配である。制度に反対しているわけではないが、運用を考える必要がある。内科以外に関してはよく分からない。(島根大学医学部長 山口修平氏)
 

【分からない】
* 新専門医制度は医師の臨床能力を上げる可能性があるという想定で作られているため、それなりの効果はあると思われる。しかし、臨床能力を習得する過程はその人の能力に応じてそれぞれであるため、必ずしも全ての医師に当てはまるものではないと思う。能力の高い医師にとっては、専門性の高い診療に入る時期が遅くなるため、かえって弊害となる場合もあると思われる。(旭川医科大学学長 吉田晃敏氏)
* 新専門医制度が当初の目的に沿って実現されれば医師の臨床能力向上につながると思うが、さまざまな社会的要請を盛り込むほど、制度の教育機能がおろそかにされる恐れがある。(東京慈恵会医科大学学長 松藤千弥氏)
* 研修プログラムを充実させることにより、臨床能力は向上すると思われる。(聖マリアンナ医科大学医学部長 加藤智啓氏)
* 地方の病院の医師不足が再来する。(信州大学医学部長 池田修一氏)
* 長期的にはただの資格ではなく、真の意味での高度な専門医が育つことにつながるのではないでしょうか?その結果として、general physicianとの棲み分けが明確化するのではないでしょうか?(愛知医科大学医学部長 岡田尚志郎氏)
* 内科系はともかく、外科系には3年間で350例の症例数が求められており、その点では外科系の専門医の臨床能力はアップすることが予想されます。しかし、過去3年間の症例数を基準にして各科に専門医の数が割り当てられるため、東京大学、京都大学、大阪大学などマンモス校には有利で、単科の医科大学ではその数が減らされることになり、私学においては死活問題であると考えます。(大阪医科大学学長 大槻勝紀氏)
* 基礎医学出身なので混沌とした現状を理解しようとしている状態である。臨床能力に与える影響についてはコメントできない。(兵庫医科大学学長 野口光一氏)
* 客観的な評価につながると考えられる一方で、時代の要求に応えられるための流動性の確保が必要である。また、地域の需要にかい離した医師偏在につながるといった危惧は残っている。(産業医科大学学長 東敏昭氏)



http://www.medwatch.jp/?p=9695
2018年度からの医療計画、CT・MRIの配置状況や安全確保状況なども考慮―厚労省・医療計画検討会(2)
2016年7月15日 | 医療・介護行政をウォッチ


 2018年度からの第7次医療計画を策定するに当たっては、CTやMRIといった機器の配置状況や安全確保の状況、さらに医師確保策についても十分に検討するべきではないか―。

 15日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」では、厚生労働省からこういった論点が提示されました(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1  CTの43%、MRIの33%はクリニックに配置されているが、保守点検状況は不明
2  医師確保目標の設定に当たり、「医師の年齢」なども考慮する必要がある


CTの43%、MRIの33%はクリニックに配置されているが、保守点検状況は不明

 我が国では先進諸国に比べて、CT・MRIの配置が際立って多いというデータがあります。さらに、厚労省の分析によれば「CT・MRIの配置が多くなると、CT・MRI撮影患者が増える」という、いわば供給が需要を生んでいるかのような状況も分かっています。

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人口当たりのCT・MRI台数が増えると、CT・MRI撮影を受けた患者数も増える傾向にある(供給が需要を生んでいる可能性)
 一方で、CT・MRIが極めて多く配置されている地域では、必ずしも効率的な稼働がなされていないことも分かりました。

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CT・MRI保有台数の多い地域(高知県や鹿児島県など)では、月当たりの撮影患者数が少なく、「非効率的な運用」となっている可能性がある

 今後の医療提供体制を考える際には、高額な医療機器の適正配置も重要な視点となるため、厚労省は次期医療計画の策定に当たっては「CT・MRIなどの配置状況把握」を行い、例えば共同利用の推進などを推進したい考えです。

 またCT・MRIがどこに配置されているのかを詳しく見てみると、CTの57%、MRIの67%は病院に設置されています。これらの保守点検状況を見ると、例えばマルチスライスCTや1.5テスラ以上のMRIなど高度機器では、適切に実施されている状況が分かりました。ただし、シングルスライスCTや1.5テスラ未満のMRIなどでは、保守点検が適切に実施されていない病院も散見されます。
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CTの保有状況を見ると、57%が病院、43%がクリニックという状況で、より高度なマルチスライス機器は病院の保有割合が大きい
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MRIの保有状況を見ると、67%が病院、33%がクリニックという状況で、より高度な1.5テスラ以上の機器は病院の保有割合が大きい
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より高度なCT・MRIについては、ほぼすべてで保守点検が実施されている、クリニックの保守点検状況は不明である

 また、逆に考えるとCTの43%、MRIの33%はクリニックにありことになりますが、保守点検の実施状況は明らかになっていません。仮に保守点検が適切に行われていないとなれば、医療安全上、極めて問題があると考えざるを得ません。

 このため厚労省は、医療計画の策定に当たって「機器の保守点検も含めた安全管理の取り組み状況」も考慮する必要があると考えているようです。


 この点について多くの構成員から「CT・MRIではなく、医療費に与えるインパクトが大きく、安全性の確保も重要となるPETや重粒子線治療機器の状況を把握すべきではないか」との指摘が出されましたが、厚労省は、これらに関する詳細なデータを把握しておらず、今後どのように内部で検討するのかが注目されまし。

医師確保目標の設定に当たり、「医師の年齢」なども考慮する必要がある

 後者の「医師確保」については、現在、次のような課題があることが厚労省から示されました(関連記事はこちら)。

▽医師充足地域と不足地域の格差が拡大している(偏在が進んでいる)

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▽臨床医が少ない地域では、65歳以上の高齢医師の割合が高く、逆に40歳未満の若手医師の割合が低い(時間の経過とともに医師不足が極めて深刻になる)
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臨床医が少ない地域では、高齢医師の割合が高い(赤で囲った部分)
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臨床医が少ない地域では、若手医師の割合も低い(赤で囲った部分)

▽都道府県によって、どの診療科で医師が充足し、どの診療科で不足しているかはさまざまである
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都道府県によって、医師不足状況(どの診療科で不足しているのかなど)はかなり異なっている
 こうした状況を踏まえて、厚労省は、医療計画野菜かで医師確保対策などを検討するにあたって、▽どのような範囲で目標値を定めるか(都道府県単位か、2次医療圏単位か) ▽どのような領域で目標値を立てるか(診療科か、5事業か) ▽どのような点に考慮して目標値を定めるか(人口、面積、医師の年齢構成など)―といった論点を提示。

 さらに目標値達成に向けて、▽都道府県にどのような権限を付与するか ▽地域医療支援センターの役割をどう強化するか ▽国と都道府県の役割分担をどう考えるか―といった論点も示しています。

 この点に関連して田中構成員は、「クリニックの医師の年齢構成」も重要な視点であると指摘します。地方ではクリニックが重要な医療提供体制です。しかし、その開設者は高齢の医師であることが多く、後継者がいない場合には閉院となってしまいます。そうした場合、病院に入院する患者が増加すると考えられるため、今後この点を十分に考慮する必要があるというのです。



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2016/0715503815/
家庭医そんそんの「対話」のススメへ戻る
【其の四】海外の家庭医の診察室「構造」に学ぶ

2016.07.15 Medical Tribune

 今回は、海外の家庭医の診察室を紹介し、診察室の構造と患者-医療者間のコミュニケーションについて考えてみたいと思います。

 2012年の統計によると、オランダでは医師全体の約40%、イギリスでは約30%を家庭医が占めています。患者が最初に受診するのは家庭医が圧倒的に多いため、欧州や北米の家庭医は、ありとあらゆる日常的な健康問題に対応できるようにトレーニングを受けています。乳幼児から高齢者にわたり、急性・慢性疾患やメンタルヘルス、性に特有の問題、緩和・終末期ケアまでを扱う家庭医は、幅広い状況に対応するために知識や技術だけでなく、高いコミュニケーション能力が求められます。では、コミュニケーションの観点から見た、海外の家庭医の診察室をのぞいてみましょう。

「患者中心」の構造になっている家庭医の診察室

 筆者が2年前に訪問したオランダの家庭医の診察室を見てみましょう。室内は一般のオフィスのような雰囲気であり、明るくリラックスできる空間構造になっています。患者(と家族)は、医師と対面するような位置に座ります。ちなみに完全個室であり、他の部屋に声が漏れる心配はありません。同じ部屋の中に診察台も備えており、身体診察や処置が必要になればすぐに実施できるようになっています(写真)。

 この空間構造から見えてくることは、患者のプライバシーが完全に保たれる構造になっていること、またくつろげる雰囲気をつくり、患者と医療者が十分なコミュニケーションが取れるように配慮されているということです。診察室のレイアウトでは、大きな窓から入る明るい日光や、広々とした空間(しかしプライバシーは保持される)、患者と医師が同じ目線となるような椅子などに留意してください。日本のクリニックでも完全個室制の診察室が増えてきましたが、まだ部屋の後ろが空いていてカーテンで遮られているだけ、というところは多いと思います。背後から看護師などが患者の様子をうかがったり、医師と連絡を取ったりするには便利なわけです。しかし、欧米では完全個室が基本であり、部屋にはドアが1つしかないというところが多いようです。 以前、米国サンフランシスコ郊外の家庭医のクリニックを見学に行ったときも、診察室は全て個室でした。しかも、患者がまず診察室に待機して、そこに医師が入室して面接が始まります。その患者の診察が終わったら、次の患者が待機している部屋へ医師が移動するというシステムです。患者を中心にして、医師の方が動くという方式になっているのです。

「悪い知らせ(bad news)」を伝えるときは、場の設定が非常に重要

「悪い知らせ(bad news)」とは、「患者の将来への見通しを根底から否定的に変えてしまう知らせ」と定義されており、予後不良な疾患の告知、治療の中止を伝えることなどが含まれます。家庭医にとって、がんの告知や終末期の方針を伝える場面など、患者に悪い知らせを伝えるコミュニケーションは日常茶飯事です。オランダでは安楽死が法制化されており、安楽死に携わる家庭医もいます。このような場面での、医師のコミュニケーションの在り方の中で、最も重要なのが「サポーティブな場の設定」です。すなわち、プライバシーが保たれた落ち着いた環境や、伝えるタイミングを図ることがそれに当たります。カーテンだけで遮られている外来診察室は、そのような悪い知らせを伝える場には適していません。もともと声が漏れる心配のない完全個室の診察室であれば、別の部屋を準備する必要はありません。

パノプティコン型の診察室から患者中心の診察室へ

 もう1つ、診察室の構造を医療社会学的に考察すると面白い特徴があります。典型的な病院の外来診察室の構造を下図に示します。

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(辻内琢也, 田中乙菜編著:生活習慣病の人間科学Ⅱ. 三和書籍 2012,p50)

 横並びの診察室の後ろが基本的に開放されているのは、管理者が一目で全体を見渡すことができるような構造になっているからです。このような構造をフランスの思想家M・フーコーは「パノプティコン(一望監視装置)」と呼びました。

 パノプティコンとは、監獄の一種で、真ん中に配置された監視塔から円形に配置されたすべての監獄の囚人が一目で見渡せる構造のことを指します。フーコーはこのような一望監視装置が、工場・兵舎・学校・監獄・病院などに共通して見られる構造だと指摘し、空間的・時間的に人々の行動が監視され、統制されるという近代社会の象徴とみなしました。

【まとめ】患者を監視・統制しない患者中心の診察室に学ぼう

 完全個室型の診察室の誕生は、このようなパノプティコン型(一望監視施設)の診察室の構造を脱し、患者の行動を監視したり統制したりしない、患者中心の医療へのシフトの1つと考えることができるでしょう。このように「患者中心」を徹底した海外の診察室の空間構造に、日本の家庭医も学ぶところが大きいと思います。

孫 大輔  (そん・だいすけ)
東京大学医学教育国際研究センター講師。2000年,東京大学医学部卒業。医学博士。看護学博士。日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医。腎臓内科医,総合診療(家庭医療)医として勤務した後,2012年から現職。医学部4年生を中心に臨床診断学や医療コミュニケーション教育に従事する一方,ヘルスコミュニケーション,医学教育学をテーマに研究も行う。「家庭医」としても診療を続ける。2010年に市民・患者と医療者が健康や医療についてフラットに対話できるカフェ型ヘルスコミュニケーションを実践する「みんくるカフェ」(みんくるプロデュース代表に就任)を設立。養成したファシリテーターによる活動が全国展開している。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49209.html
医療事故調「忌憚のない調査が信頼に」- 日医委員会が最終答申
2016年07月15日 15時30分 キャリアブレイン

 日本医師会(日医)の医療安全対策委員会は、昨年10月にスタートした医療事故調査制度について、国民の信頼を高めるには、医療関係者が1つひとつの事例に対して真摯に向き合い、忌憚のない調査を繰り返すことが重要だなどとする最終答申を取りまとめた。この最終答申は、13日に開かれた日医の記者会見で公表された。【君塚靖】

 この最終答申は、2014年10月に日医の横倉義武会長から「医療事故調査制度において医師会が果たすべき役割」について検討するよう諮問を受け、医療安全対策委員会が議論してきたものだ。制度開始前に中間答申を公表していたが、開始後の医療現場の実情などを踏まえ、横倉会長に再度、答申をした。

 最終答申で、今後の課題は制度の趣旨の周知・理解だとしている。この課題を挙げた理由については、制度開始後の日医をはじめとする、医療事故が起きた医療機関をサポートする医療事故調査等支援団体(支援団体)への相談の大半が、医療事故調査・支援センター(センター)に報告すべきかどうかであるほか、センターに報告された事例の多くが、遺族からの苦情が端緒と考えられるからだとしている。

 これらの医療現場の実情を考慮して最終答申では、「われわれ医療関係者が1つひとつの事例に対して真摯に向き合い、忌憚のない調査を繰り返すことが、本制度と医療への国民の信頼を高めることに繋がる途である」と強調している。

 この制度で、医療事故の起きた医療機関はセンターに報告した上で、院内調査を開始、報告書を作成する。これについて最終答申では、院内事故調査委員会の独立性と客観性を保つためには、院外専門委員の参加は不可欠で、報告書を院内委員が単独で作成することは、制度の趣旨から避けるべきだと指摘している。

 さらに、支援団体から紹介された院外専門委員が院内調査に参加する際には、院内事故調査委員会に、制度の趣旨を分かりやすく伝えることが重要だとしている。このため、同委員会の冒頭に、「制度の目的は病態の究明で、個人の責任追及ではない」「院外専門委員と医療機関が協力して事実を確かめる」などと明言することを促し、信頼関係の構築に心掛けるよう求めている。



https://news.nifty.com/article/item/neta/dime-175830/
医師が学生時代の基礎医学で最も役に立ったと思う科目は
2016年07月15日 06時00分  @DIME アットダイム

 医師7万人以上が参加する医師専用サイトを運営するメドピア株式会社は、会員医師を対象に「学生時代の基礎医学のなかで、もっとも役立った科目」についてのアンケートを実施し、以下のとおり結果を取りまとめた。調査の結果、「学生時代の基礎医学のなかで、もっとも役立った科目は何ですか?」という質問をしたところ、3648件の回答が寄せられた。

そんな回答の中では「解剖学」と回答した医師が最も多く、47.7%と半数近くを占めた。画像解析や手術の理解に欠かせない知識という意見が多く、「解剖学は今もう一度実習したい」「今も解剖の教科書を開くことが多い」といったコメントがみられた。

?「生理学」と答えた人は16.2%。「正常生理がわからないと病態生理もわからない」「一般内科疾患の病態理解のために役立っている」というコメントがあり、特に循環器系、呼吸器系、神経系などの分野で重視されている。「病理学」と答えた人は9.9%で、「癌を扱うので、病理は必須」「病気のメカニズムを理解するのに役に立つ」といった声があった。
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◎回答コメント(回答一部を抜粋)

■「解剖学」 1,740件

・解剖学実習が一番印象深く、今でも知識として非常に役に立っております。(40代、整形外科・スポーツ医学)
・神経内科をやっているので、解剖学が日常診療で役に立っています。(30代、神経内科)
・もちろん解剖学です。これを知らないと何も始まらないのが臨床も含めた医学でしょう。(50代、循環器内科)
・何といっても、学生時代から全く変わらないのは系統解剖学だけです。他は全く変わってしまいました。(50代、呼吸器外科)
・やはり解剖学でしょう。レントゲン読影や穿刺の部位や血管の走行を知らないと話になりません。(60代、一般内科)
・患者さんの体にメスを入れる外科医にとって、解剖学は基本と思います。(50代、整形外科・スポーツ医学)
・人体を実際に解剖していくことに知識以外の価値があったように思います。(50代、一般内科)
・ダントツで解剖学。外科系には必須の知識である。(30代、耳鼻咽喉科)
・教科書の勉強だけではどうにもならないのが解剖学です。生理、生化学などは後からいくらでも補えますが、系統解剖のチャンスは一生のうちただ1回だけ。(50代、一般内科)
・やはり解剖学です。一番臨床に直結していますし、今でも本を見ることが多いです。(40代、耳鼻咽喉科)
・臨床医(外科医)となった今、最も受けたい授業、講義は解剖学です。(40代、循環器外科)
・手術するためには基本ですから。医師になってから眼窩、涙道について解剖実習にもう一度参加させてもらいました。(50代、眼科)

■「生理学」 591件

・基本全部ですが、中でも圧倒的に生理学。今でも時々医科生理学展望を読みます。(40代、麻酔科)
・病態生理学、臨床薬理学を考えつつ治療方針を検討するために、生理学の理解は欠かせないように思います。(40代、一般内科)
・呼吸機能や心電図、筋電図の理解に必要です。(50代、一般内科)
・正常がどうであるか分からないと、病気かどうかが分からないので。(40代、神経内科)
・基礎医学はどれでも役立っていますが、一番というと、今は糖尿病をやっているので、生理学ですかね。(50代、一般内科)
・内科医として、症状や病態を理解・推理するときに一番役にたっていると思います。(50代、総合診療)
・特に、呼吸器系とか循環器系を理解する上で、役立つと思う。(50代、一般内科)
・精神科ですので脳神経の生理学が役立ってます。(50代、精神科)
・患者に病気全般説明する際、基本についてわかりやすく説明しようとすると生理学の教科書が役に立つ。(40代、精神科)
・身体の中で何が起きているかを理解するためには病態生理が欠かせず、その基礎は生理学です。(50代、産婦人科)

■「病理学」 361件

・物事を考える筋道を学べたという点では、病理学が一番ではないかと思います。(40代、精神科)
・消化器内科では組織診断が重要ですので。(40代、消化器内科)
・乳がんを扱うため、病理学の基礎がないとやっていけません。(40代、一般外科)
・血液内科では病理が非常に役立ちます。(50代、血液内科)
・皮膚病理学で役に立っている。(50代、皮膚科)
・病因論や形態病理との結びつきで病気の理解が容易になりました。(50代、呼吸器内科)
・総て役に立っていますが、敢えて一つと言われれば、病態生理を系統的に考える際に、病理学が有用です。(60代、産婦人科)
・内視鏡の組織を自身で見ることがあり、病理の知識は重要です。(30代、消化器内科)

■「薬理学」 223件

・内科医として、薬の作用を分子レベルで捉える癖がついた。新薬が出ても、作用が良く理解できる。(40代、一般内科)
・患者さんの満足は、診断学より治療学に長けている方を好む方が多いのではないかと私は信じております。これらの中で直接治療にもっとも結び付くのは薬理学だと思っています。(40代、総合診療)
・精神神経薬理学が大事だと思っています。(30代、精神科)
・薬で治療する部分が大きいので。(40代、精神科)
・薬剤の効能の基礎を理解出来ていれば、臨床での処方の使い分けが出来るようになります。(40代、麻酔科)
・日頃使う薬剤が限られるため、他科の薬剤はこの頃の知識が役に立ちます。(30代、産婦人科)

■「生化学」 121件

・代謝、新薬の理解をするためには、必要です。(50代、呼吸器外科)
・糖尿病専門医には生化学は常に必要です。(70代、代謝・内分泌科)
・代謝系を専門とするのでどうしても経路の記憶が役立っています。(30代、代謝・内分泌科)
・脂質の代謝など臨床に直結しており、当時の教科書をいまだに手放せません。(50代、小児科)

■「免疫学」 113件

・呼吸器アレルギーを専門にしたので、役立ってます。(40代、一般内科)
・小児科では免疫学の知識が欠かせません。(40代、小児科)
・感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍のいずれにも大切な学問です。(40代、一般内科)
・風邪だろうと癌だろうと免疫の話は必ず患者さんにするので、一般の方にも分り易く簡単に話せる程度の知識があると便利。(40代、一般外科)

■「微生物学」 80件

・結局、感染症患者がいちばん多いです。(60代、眼科)
・日常臨床では感染症に対応することがしばしばなので、基本を勉強しておいたことは良かったような気がします。(30代、膠原病科)
・感染症専門医としては、やはり微生物学になります。(60代、小児科)
・外科をやっているので解剖学も役立っていますが、最も当時の知識を使っているのは微生物学だと思います。(30代、呼吸器外科)

■「組織学」 51件
・組織は皮膚科では重要です。(30代、皮膚科)
・全部重要ですが、病理医として正常構造の理解が必要なので。(20代、病理)
・ミクロの解剖学は各種疾患の理解に役立ちます。(50代、一般内科)

■「その他」 368件

・上記すべてにおいてです。しかし医学部の授業では役に立たないことも山ほどあります。重要なのは医師になってからの経験です。(40代、総合診療)
・どれも必要だとは思いますが、現在も役立っていると言える科目はないような気がします。(40代、精神科)
・公衆衛生学、特に疫学です。(50代、健診・予防医学)・役に立ったか、と言われると、基礎よりやはり各科の臨床医学がものすごく役に立っているので、基礎はもう頭の中に残っていません。

※調査方法
期間:2014年9月19日~2014年9月25日
有効回答:3648人(回答者はすべて、医師専門サイトMedPeerに会員登録をする医師)



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201607/20160715_43038.html
下腹部痛の診断ミスで死亡 遺族ら提訴
2016年07月15日金曜日 河北新報 秋田

 下腹部痛を訴えて秋田県横手市立横手病院を受診した秋田県南部の40代女性が死亡したのは医療ミスが原因だとして、女性の夫らが14日までに、市に約1億900万円の損害賠償を求める訴えを秋田地裁に起こした。
 訴状によると、女性は2014年6月、下腹部痛などから消化器内科を受診し、腸閉塞(へいそく)と診断された。女性は痛みを訴えて入退院を繰り返し、月経との関連を主張したが医師は子宮内膜症の可能性を考慮しなかった。女性が同年8月に死亡した後、秋田大病院で行った病理解剖の結果、死因は回腸子宮内膜症による敗血症性ショックと判明した。
 女性の夫は「子宮内膜症を念頭に置いて鑑別診断していれば妻は迅速に手術を受けられ、死亡することはなかった」と医師らの注意義務違反を主張している。
 同病院は「担当者が不在でコメントできない」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/441947
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
白橋被告「医師と製薬会社は上下関係」
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第32回公判

2016年7月15日 (金) 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第32回公判が、7月14日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、白橋伸雄被告は「医師と製薬会社は対等ではなく、顧客と納入先で上下関係」と話した。

 公判も終盤に入り、検察側、白橋被告人弁側の白橋被告への質問も、解析用データやエンドポイント委員会判定用資料の作成過程など、細部の確認に力点が置かれた。本件が対象とする、バルサルタンの効果をサブ解析したCCB論文では、「研究期間中のCCBの使用期間が12カ月を超える場合」を投与群にすると定義されているが、白橋被告はこれまでの公判で、薬剤データがないことから「推定」で作成したと証言している。検察側は改めて群分けのやり方について質問。白橋被告は「(事務局を務めた)男性医師Aも私も、細かい推定法が全部把握できず、場合によって分けていた」と説明した。

 白橋被告の弁護人は、本研究は「ITT(Intetion to Treet)解析」と呼ばれるプロトコール逸脱例も解析対象に含める考え方を採用していると確認した上で、「もともと1年以上観察される予定でCCB投与群とされた症例が、仮に結果として50日しか観察されなくても、そのことによって群を変えるわけではないか」、「結果として投薬基準に合致しなくても、投与群が変えられるというものではないという理解でいいか」と質問。白橋被告は「そうです」と答えた。

 白橋被告弁護人は、製薬会社の社員と医師の関係についても質問。白橋被告は「対等ではなく、顧客と納入先で上下関係」と答え、KHS(Kyoto Heart Study)ではノバ社MRが多くの雑用を指示され、MRではない白橋被告も手紙のドラフト作成や郵送作業を依頼されたと話した。

 また、KHSのデータクリーニングなどのメンテナンス業務は、本来は事務局である医師やデーターマネジャーがするべきだったと説明。元京都府立医科大学教授の松原弘明氏からデータ管理をしていないことについて叱責された時には、「データメンテナンスの仕事は事務局がやることになっていた。私がやれるはずはなく、データを管理している人がやるべき。試験が終わってから、やっていないと私に怒る神経が分からなかった」と述べた。白橋被告が統計解析に関与した東京慈恵会医科大学の「JIKEI HEART Study」(JHS)でもデータ管理は行っていないと説明した。

 男性医師Aの再尋問について協議。白橋被告側弁護人は、男性医師Aは検察側証人であることや、必要性がないなどと反対したが、辻川裁判長は「聞くことが検察側の有利になるとは限らない。大事なところは確認したい」と説明。再尋問の後に、改めて被告人質問の時間を確保することを提案し、次回の公判で正式に採用を決定する方針を示した。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201607/20160715_13022.html
看護師の地元定着へ 病院+大学+高校連携
2016年07月15日金曜日 河北新報

 看護師の地元定着に向け、仙台大(宮城県柴田町)とみやぎ県南中核病院(宮城県大河原町)、白石高(宮城県白石市)の3者が14日、連携協定を結んだ。県内で最も看護師が不足している地域にあって、看護師を確保するのが狙いだ。
 協定により、仙台大は、白石高の看護科、専攻科で計5年学んだ修了生の編入学を受け入れる。大学卒業後に中核病院で看護師として一定期間勤めることを条件に、大学の授業料年約100万円を免除する。
 修了生には幅広い分野を学んで学位を取得できる利点があり、養護教諭の免許を得る道も開ける。中核病院は、大学の教育現場への医師派遣も検討する。
 人口10万人当たりの正看護師数を県内8カ所の保健所管内別でみると、仙南は509.7人で最も少ない=表=。地域的に仙台圏への通勤者が多いことも一因になっているとみられる。仙台大であった調印式で、中核病院の内藤広郎院長は「看護師不足で現場はずっと困っている。協定を医療人の『地産地消』につなげたい」と話す。
 仙台大の阿部芳吉学長は「大学生活で人間性がさらに育成される。研究や部活動も新たな発見の材料になる」と編入の意義を強調。白石高の田村至校長は「卒業生の進路が広がる。生徒のいろいろな希望がかなえられればいい」と期待した。
 白石高にある県内の高校で唯一の看護科は定員40人。2年間の専攻科を含めた5年一貫教育で正看護師の資格を得られる。卒業後の進路では県外就職も多い。昨年度の修了生38人の内訳でみると、進学2人、県内就職23人に対し、県外就職は13人に上った。
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http://mainichi.jp/articles/20160716/ddm/041/040/084000c
医療ミス訴訟
病院側に賠償命令

毎日新聞2016年7月16日 東京朝刊

 愛知県豊明市の藤田保健衛生大病院で2009年、食道がんの手術を受けた同県に住む男性が、手術後の点滴で必要な栄養が不足し脳に障害が残ったとして、病院を運営する「藤田学園」(同市)に約1億6000万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁(朝日貴浩裁判長)は15日、約1億2000万円の支払いを命じた。朝日裁判長は判決理由で「点滴で必要な栄養が男性に投与されなかったことと、脳の後遺症には因果関係がある」と判断した。



http://www.asahi.com/articles/ASJ7H243HJ7HUBQU001.html
高齢者の医療費負担、上限引き上げ議論スタート 厚労省
生田大介2016年7月15日08時03分

 厚生労働省は14日、膨らみ続ける医療費を抑制する議論を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で始めた。70歳以上が支払う毎月の医療費の上限をどこまで引き上げるのかが最大の焦点。年末に結論がまとまれば、2017年度以降に実施していく。

 この日の部会では、委員の望月篤・経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長が「高額療養費制度は、世代間の公平性の観点からも早急に見直すべきだ」と指摘。1カ月あたりの医療費のうち上限を超えた自己負担分を払い戻す高額療養費制度の見直しを求めた。

 現行では、医療費が月100万円の場合、70歳以上なら現役並みの所得があっても入院費のうち月約8万7千円を超えた分は払い戻される。外来では約4万4千円が上限だ。一方、70歳未満は住民税非課税の低所得者は約3万5千円で、それ以外は所得に応じて約5万8千~約25万4千円を負担する。

 2013年度の医療費の総額は約40兆円で、10年前の1・3倍になった。高額療養費は13年度で約2兆2千億円で、10年前の1・7倍と伸びている。技術の進歩で高額な医薬品が増えた影響などもあり、部会では日本医師会の松原謙二副会長が「高齢者が不安にならないように配慮して欲しい」と求めた。

 今後、入院した際に使う光熱水費について患者の自己負担を拡大したり、市販薬に転用された薬は病院で処方されても自己負担を引き上げたりすることなども議論していく。(生田大介)

■医療で負担増が検討される項目

・高額療養費制度の見直し(70歳以上の負担上限額の引き上げ)
・かかりつけ医以外を受診した場合、新たな自己負担の導入
・入院時の光熱水費の患者負担を拡大
・金融資産を多く持つ患者の負担の引き上げ
・市販される薬は、病院で処方されても自己負担を引き上げ



https://www.m3.com/news/iryoishin/441946?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160715&dcf_doctor=true&mc.l=167524923&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 医師不足への処方せん
大学の研修医の採用実績、過去最低の40.5%
医学部定員増効果で採用数は過去最多の8622人

2016年7月15日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は7月14日、2016年度の臨床研修医の採用実績を公表、医学部定員増の効果もあり、2年連続で過去最多を更新、8622人に上ったものの、「大学離れ」は止まらず、大学病院の採用割合は全体の40.5%(2015年度41.7%)と過去最低を更新したことが明らかになった(資料は、厚労省のホームページ)。臨床研修制度の開始前の2003年度は72.5%と大半が大学病院で研修しており、開始直後の2004年度の55.8%との比較でも、15.3ポイントも減少した。

 地域別に見ると、大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く道県の採用割合は、57.4%(2015年度56.4%)で過去最高。臨床研修制度のマッチングでは、大都市部の募集定員を抑える仕組みが導入されており、一定の効果が出ている(『臨床研修、京都の募集定員だけ「補正」』を参照)。

 2016年度の採用実績は8622人で、2015年度の8244人よりも378人増加した。2010年度の医学部入学定員は、2009年度比で360人増であり、2016年度の採用実績には2009年度以前の入学者が含まれる。8266人の内訳は、臨床研修病院 5127人(対前年度比319人増)、大学病院3495人(対前年度比59人増)で、臨床研修病院の伸びは大きい。大学病院の採用割合は、2004年度の臨床研修必修化以降、ほぼ一貫して低下しており、2004年度は55.8%だったが、2010年度は46.4%、直近でも、2014年度42.8%、2015年度41.7%、2016年度40.5%と漸減している。

 臨床研修制度については、研修医が大都市部に集中しやすいとの指摘があったことから、2010年度から都道府県別の募集定員を設定、2015年度からさらにその計算式を見直すなど、地域差是正の方策が講じられている。6都府県の採用割合は、2003年度は51.3%だったが、2004年度は47.8%、その後はほぼ横ばいが続き、2010年度も47.8%だったが、直近では2014年度44.4%、2015年度43.6%、2016年度42.6%と低下傾向にある。

 2015年度比で採用実績が増えた上位5県は、以下の通り。秋田県35.5%増(62人→84人)、広島県29.9%増(134人→174人)、佐賀県27.5%(51人→65人)、和歌山県24.4%増(82人→102人)、奈良県20.0%増(85人→102人)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/442105
「医師の目標値」、地域別に医療計画で設定へ
診療科別、医師の年齢構成なども加味し検討

2016年7月16日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働書の「地域医療計画の見直し等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の第3回が7月15日に開催され、第2回会議に続き、2018年度からの第7次医療計画の作成指針等の見直しについて議論した(資料は、厚労省のホームページ)。基準病床数、医療機器の配置、医師確保の目標値の設定やその対策などが論点だ。

 医師数の目標値は、第7次医療計画から新たに盛り込まれる。厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」の5月の中間取りまとめで、「都道府県が策定する医療計画において、医師数が不足する診療科・地域等について、確保すべき医師数の目標値を設定し、専門医等の定員の調整を行えるようにする」と提案された(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。

 都道府県別か、2次医療圏別か、診療科別に設定するかなどが論点。同検討会では、医師需給に関する将来推計を実施していることから、それをベースに都道府県別の目標値を設定したり、検討に当たっては開業医別と勤務医別、開業医の高齢化が進んでいることから年齢構成も加味すべきと提案された。新専門医制度で19番目の基本診療領域に位置付けられる総合診療専門医の目標値を設定すべきとの意見もあった。

 また医師確保対策については、各都道府県の地域医療支援センターの役割強化が課題だが、同センターが機能していないとの指摘が相次ぎ、まず現状での成功例を基に、強化すべき機能を検討すべきとの意見が上がった。

 検討に当たって、厚労省は幾つかの興味深いデータを提示。都道府県別の人口10万人対医師数の上位5県と下位5県の平均値は増加傾向にあるものの、平均値の差は、1990年は98.4人だったが、2014年は124.8人と大きくなり、地域偏在は拡大していることが分かる。人口10万人対医師数を都道府県別に経年的に順位付けすると、「上位6県」(京都、東京、徳島、高知、福岡、鳥取)と「下位3県」(千葉、茨城、埼玉)は、データが提示された1990年以降、固定化している。さらに医師不足の地域であっても、千葉県は総医師数は少ないが、救急科医師数は全国平均を上回るなど、診療科による相違がある現状も示された。

 基準病床数については、その計算式の平均在院日数を、各地域の医療提供体制を踏まえて設定すべきとの意見が出た。急性期病床が多い、あるいは回復期病床が多いなど、2次医療圏によって一般病床の構成が異なるからだ。また現在各地域で策定が進む地域医療構想との整合性を図る必要性も指摘された。本検討会の「地域医療構想に関するワーキンググループ」でまず議論し、その上で双方でやり取りしながら検討を進める。

 医療機器については、日本のCTやMRIが多さが問題とされるが、「設置台数だけでなく、それがもらしたアウトカムを評価すべき」との指摘ほか、CT等だけでなく、重粒子線治療装置など、今後の日本の医療に影響が大きいと想定される機器等を分析すべきとの意見が出た。

医療提供体制が変化し、医療技術も進歩する中、医療計画策定も難しさを増している。

基準病床数制度、4つの論点

 15日の議論で最も活発だったのは、基準病床数制度をめぐる議論。その論点は4つ。第一が、基準病床数を算定する計画期間をどう考えるかだ。医療計画の計画期間は、介護保険事業計画の計画期間が6年であることを踏まえ、両改定が同時策定となる2018年度から現行の5年から6年に変更される。介護保険事業計画は中間年に見直すことから、基準病床数にも同様の考え方を取り入れるかどうかが論点だ。

 日本病院会副会長の相澤孝夫氏は、2016年度の診療報酬改定で、7対1入院基本料の施設基準が厳しくなり、今後、平均在院日数の短縮が想定される一方、地域包括ケア病棟入院料の算定病床が今後増えることが予想されるなど、「ここ1、2年でかなりの激変が起きる」とし、「6年は長すぎるので、中間年の3年でぜひ一度、立ち止まって見直すことをしてもらいたい」と求めた。

 第二と第三は、基準病床数の算定式における平均在院日数と病床利用率の取り扱い。平均在院日数については短縮を見込み、「地方ブロックごとの年間の平均在院日数に0.9を乗じる」ことになっている。

 相澤氏は、人口10万人当たりの回復期リハビリテーション病棟入院料の病床が最も多い高知県と一番少ない茨城県では約4倍の開きがある上、一般病床の中には、7対1入院基本料の算定病床や回復期リハビリ病棟入院料の算定病床など、平均在院日数が大きく異なる病床が混在していることから、「一般病床という括りで、平均在院日数を出すのがいいのか」と問題提起、各地域の病床構成のデータがない中で、平均在院日数の取り扱いを議論するのは「危険」と指摘した。さらに大阪府を例に挙げ、前々回の医療計画策定時では病床過剰地域が多かったが、前回の見直しで多くが病床不足に転じたことから、「計算式がもともとおかしいのではないか。この点も含めて検討した方がいい」とも指摘した。

 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏からも、地域の医療提供体制によって一般病床の平均在院日数は変わり得るとし、平均在院日数の経年変化の見込みを全国一律にするか、地域の状況を考慮するかなどについては、各地域の医療提供体制に関するデータがないと議論は難しいとした。

 第三の病床利用率については、病床利用率は直近のデータを用いることになっているが、近年低下傾向にあり、今後どのデータを用いるかが課題。第四が、「流出超過加算」の取り扱い。これは医療計画が1985年に制度化された時点では、医療資源が十分になく、他の地域に患者が流出している実態を踏まえ、設定された加算だ。現状では、全国平均で9割以上の患者が居住する都道府県で入院医療を受けていることから、廃止も視野に入れ、検討される見通し。

 基準病床数制度について追加の論点を提示したのが、慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏。療養病床の基準病床数の計算式では、「介護施設対応可能数」を差し引く。この計算式が導入されたのは、2000年度に介護保険制度が創設された時点であることを踏まえ、今は当時と比べ、在宅医療も進んだ一方、介護施設は全て長期療養対応ではなく、在宅復帰型の介護老人保健施設もあるなど、介護提供体制が変わったことから、「介護保険制度ができた当時の考え方をそのまま計算式に残すのは時代錯誤」と問題視した。

 全日本病院協会会長の西澤寛俊氏は、地域医療構想との関係を質した。同構想では、高度急性期、急性期、回復期、慢性期と病床機能を分けて、2025年の必要病床数を推計することから、「地域医療構想と関係ない基準病床数はあり得ない。医療計画の基準病床数は、地域医療構想を基礎としながら、それを邪魔しないような形で、随時変えられるような柔軟性を持って策定することが必要」とし、「地域医療構想がまとまれば、基準病床数は不要になるのでは」との考えも示した。

「CT、MRIのみの計画」、意味ない?

 医療計画上、医療機器の関連では、CTとMRIの設置状況や安全確保状況などが記載される。都道府県別では、人口当たりのCT利用患者数は最大1.8倍、MRI利用患者数は最大2.1倍の開きがある上、「人口当たりのCT、MRIの患者数と、人口当たりのCT、MRIの台数には、それぞれ正の相関関係が認められる」ことが、厚労省の問題意識。OECD平均値と比較して、日本の台数は、CTは4.1倍、MRIは3.3倍だ。

 この問題提起に対し、手厳しく批判したのは、田中氏。日本のCT等の多さは、「30年前から言われていたこと」と述べ、「CTの多さが、日本の医療にどのくらいの問題が生じているのか。大してない」と述べ、重粒子線治療装置など、今後の日本の医療に影響が大きいと想定される医療機器について分析すべきと主張。

 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏も、田中氏の意見を支持。また医療計画は、ストラクチャー、プロセス、アウトカムの各指標から現状等を把握すべきとされているため、CT等で疾患の早期発見につながっているとし、多くの命を救っているという「アウトカム」で評価すべきと提案。さらにCT等の設置台数の国際比較は、社会保障制度が全く異なる中で意味がないと指摘した。西澤氏も、「ストラクチャーだけを切り出しても意味がない」と述べ、伊藤氏の意見を支持した。

 これに対し、健康保険組合連合会理事の本多伸行氏からは、医療保険財政が厳しい中で、都道府県別に見ると、設置台数に差がある現状を踏まえ、「今後は、共同利用も考えてもらいたい。あるいは設置台数の地域差の縮小に向けた目標の設置や具体的施策を検討してもらいたい」と求める声も上がった。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏は、CT等の検査について、「かなりの医療機関が不採算でやっている。不採算のところでは、保守には費用をかけないことが懸念される」と述べ、不採算でも各医療機関に導入すべきなのかという経営的な視点からの検討も必要だとした。

医師確保、「地域医療支援センター機能せず」との批判

 医師数については、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」の5月の中間取りまとめで、「都道府県が策定する医療計画において、医師数が不足する診療科・地域等について、確保すべき医師数の目標値を設定し、専門医等の定員の調整を行えるようにする」と提案された(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。

 論点は二つ。第一は、医師確保の目標値についての考え方。都道府県別か2次医療圏別か、診療科別か、目標値設定地域の人口や面積、医師の年齢構成などをどう考慮するかなどが検討課題だ。第二は、医師確保の具体的施策。都道府県が対策に取り組むに当たり必要な権限、地域医療支援センターの役割強化、都道府県と国の役割分担などが論点になる。

 第一の論点について、相澤氏は、「医療従事者の需給に関する検討会」では、地域医療構想に基づいて、全国の医師需給を将来推計していることから、これを基に都道府県別の推計を出すことを提案。さらに病院勤務医と開業医を分けて考えることも必要だとした。

 本多氏は、新専門医制度において新たに誕生する総合診療専門医について言及。今後の高齢社会において総合診療専門医は地域の医療の窓口として機能するとし、目標値に入れることを求めた。

 田中氏は、現在の医師数だけでなく、将来の医師数を考える場合、医師の高齢化、特に山間地域などの診療所の高齢化も問題になるとし、この辺りも検討の視点に加えるべきとした。

 第二の論点について、岩手県保健福祉部副部長の野原勝氏は、医師の地域偏在が拡大している現状を踏まえ、「地域医療支援センターだけでは対応できない問題」と述べたほか、医師確保や専門医の調整などにおいて、都道府県に役割を期待するのであれば、一定の法的な権限が必要だとした。

 もっとも、地域医療支援センターについては、批判的な意見が相次いだ。西澤氏は、「地域医療支援センターがなかなかうまく機能していない」と指摘。同センターは、2011年度以降、45都道府県で、合計3306人の医師のあっせん・派遣等の実績がある(2015年7月時点)。長期か、あるいは短期の派遣かなど、地域医療支援センターについての検討に当たって、詳細なデータを求めた。

 山口氏も、「県によっては、計画を立てても派遣できる医師がいない」など、地域医療支援センターの現状を問題視、どんな地域でどのような方法であればうまく機能するのか、実態把握をした上で、センターの役割強化の議論を進めるべきとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/441785
シリーズ: 社会保障審議会
高額療養費の見直し、「現役世代の納得」の視点必要
医療保険部会、「骨太方針2016」実現に向け議論

2016年7月14日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は7月14日の会議で、「骨太方針2016」などに盛り込まれた、医療関連の改革の具体化に向けた議論を開始した。14日の議題は、高額療養費制度、後期高齢者の窓口負担、データヘルス計画の3つ(資料は、厚労省のホームページ)。

 高額療養費制度については、70歳以上と70歳未満では自己負担の限度額に差があることから、負担の公平性や「支える側」の現役世代の納得感などの視点から、一定の見直しが必要との意見が多かった。同制度については、2016年末までに結論を得て、必要な措置を講じることが求められている。後期高齢者の窓口負担に関しては、2018年度末までに結論を出す予定で、高額療養費制度と同様に、負担の公平性から見直す必要性が指摘された。

 データヘルス計画は、健康寿命の延伸と医療費の適正化を目指し、2015年度から各保険者で実施されている各種の保健事業。協会けんぽ(全国健康保険協会)や健康保険組合では、ほぼ100%近く計画を策定済み。保健事業の実施は支持する意見が多く、国民皆保険の堅持のためには、保健事業に財源を充てることが重要との指摘も出た。

 6月2日に閣議決定された「骨太方針2016」には、さまざまな医療に関する改革項目が盛り込まれており、今後、14日の会議で取り上げなかった項目についても順次議論を進める(『医師偏在、「実効性のある対策」で解消』を参照)。

 14日の会議では、協会けんぽと健康保険組合の財政状況も説明された。協会けんぽは、近年は黒字基調だが、保険料率の引き上げと標準報酬月額のアップがその理由。ただし、医療費の伸び率が賃金の伸び率を上回っているほか、義務的経費に占める高齢者医療への拠出負担割合が39.9%になり、重い負担が問題になっている。健保組合も、2014年度決算は7年ぶりに黒字だったが、保険料率の引き上げが主因であり、協会けんぽと同様に、高齢者医療への拠出負担割合が重く、義務的経費に47.3%を占める。

高額療養費、70歳以上と70歳未満で差

 2015年6月の「骨太方針2015」で、「医療保険における高額療養費制度や後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する」と打ち出された。12月の「経済・財政再生計画改革工程表」で、高額療養費制度については、2016年末までに結論を得て、速やかに必要な措置を講じるとされ、後期高齢者の窓口負担の在り方に関しては、2018年度までの「集中改革期間」中に結論を得るとされた。「骨太方針2016」で、「改革工程表に沿って着実に改革を実行していく」と明記。

 高額療養費制度とは、医療機関での窓口負担が一定の限度額に達した場合、それを超える部分は医療保険から支給する制度。所得や年齢などに応じて、限度額は異なる。70歳未満と70歳以上では異なるほか、70歳以上については、世帯合算の外来と入院の限度額のほか、個人単位で外来のみの限度額が設定されるなど、より負担が軽減される仕組みになっている。

 高額療養費制度の見直しを求めた一人が、日経連社会保障委員会医療・介護改革部会長の望月篤氏。消費税率の10%への引き上げが延期されたことを踏まえ、国民皆保険を持続可能とするためには、「遅滞なく改革を実施していくことが必要」と指摘。その上で、「70歳未満と70歳以上では、限度額が大きく異なる。世代間の公平性を担保するため、70歳以上の限度額は70歳未満に合わせるべき。また70歳以上の外来の頻回受診を増長していると考えられることから、外来の限度額設定は廃止すべき」とし、法改正ではなく、政令レベルでの改正が可能なことから、2017年度から速やかに実施すべきと提案。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏も、消費税率の10%の引き上げが延長されたため、高齢者医療への公費負担拡充が容易ではなくなったことから、「我々としては失望している」と述べ、「高齢者の医療を国民全体で支えるのは共通認識」であることは認め、「現役世代が納得した上で、支えていくという姿勢の具体化をぜひとも前向きに検討してもらいたい」と要望した。

 連合副事務局長の新谷信幸氏も、支える側から見た時に、高齢者医療制度に対する被用者保険の拠出金の負担が重く、今後も増加が予想されることから、「持続可能な制度とするためにも、現役世代が納得という視点を入れてもらいたい」と述べたほか、現役世代の保険料ではなく、消費税などの公費負担の拡大も検討すべきとした。

 そのほかの委員も、生活保護世帯が増えるなど、一口に高齢者と言っても負担能力には開きがあり、低所得者への配慮は必要としたものの、高額療養費制度の見直しへの反対意見はなかった。

 国民健康保険中央会理事長の原勝則氏からは、国保では2018年度に財政運営が市町村から都道府県に変わる国保制度改革に向けてシステム開発を進めていることを踏まえ、高額療養費制度の見直しは、システム開発に影響するとの指摘も上がった。高額療養費制度を見直す場合、「システム開発の時間に配慮し、早期の決定をお願いしたい」と求めた。また、後期高齢者の保険料負担の軽減措置が、2017年度から激変緩和措置の検討を前提に廃止されることを踏まえ、保険料と窓口負担の負担増の両方を合わせて検討する必要性も指摘された。

 高齢者の窓口負担は、70歳未満は3割だが、70~74歳は2割(2014年4月から70歳に達した者から段階的に1割から2割に変更。現役並み所得3割)、75歳以上は1割(現役並み所得3割)となっている。「現役世代の公平性を担保するためにも、一定の原則2割負担として導入することが必要」(望月氏)などの声が上がった。

「保健事業にこそ財源を」

 データヘルス計画は、保険者の事業の一つに位置付けられる。レセプトや健診データなどを用いて、保健事業の課題を抽出、例えば、糖尿病性腎症重症化予防事業など、保健事業を実施し、健康寿命の延伸と医療費の適正化を目指す計画。第1期が2015年度から2017年度の3年間、第2期が2018年度からの2012年度までの5年間。2015年9月現在のデータヘルス計画の作成状況は、健保組合・協会けんぽの99.6%、後期広域組合の100%だったが、国保では82.8%とやや低かった。

 白川氏は、「これほど大掛かりに、加入者に対する保健事業をやっているのは、世界に類はない」とし、保険者として実施する義務はあるものの、費用も人件費もかかることから、「保健事業に財源を充てることが、国民皆保険を守っていくためには最重要ではないか」と指摘した。

 新谷氏は、職域のがん対策について言及。胃癌、肺癌、大腸癌、子宮頚癌、乳癌の検診率は高いが、膵臓癌など難治性癌、希少癌に対するがん対策がいまだ不十分であると指摘、取り組みを強化することが必要だとした。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長で、多久市長の横尾俊彦氏は、がん検診の受診率などを高める必要性から、国民への啓発活動の重要性を強調。中学生や高校生などを対象に、健康への関心を高めるため、検診の重要性などに関する教育も実施すべきとした。そのほか、被用者と扶養者の別を問わず、がん検診も含め、保健事業を効果的・効率的に実施できるよう、職域の保険者と市町村の間で情報共有する必要性も指摘された。



  1. 2016/07/16(土) 08:53:48|
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