Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月10日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/440264?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160710&dcf_doctor=true&mc.l=166664600
シリーズ: 真価問われる専門医改革
総合診療専門医、「合意あれば開始可能」-吉村博邦・日本専門医機構理事長に聞く◆Vol.2
研修プログラム制は柔軟性を持たせ運用

2016年7月9日 (土) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――新専門医制度については、専門医制度を標準化するための「専門医制度整備指針」や「領域別プログラム整備基準」がリジッドに運用され、フレキシビリティーに欠けるとの批判があります。

 日本専門医機構は、(2013年4月に報告書をまとめた)厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書を基にスタートしています。この検討会は、オールジャパンで、約1年半もかけて議論しており、この議論を繰り返すことはしません。また「専門医制度整備指針」は、機構の前身の日本専門医制・評価認定機構が策定したものを改編して作成しており、これらをベースに、新専門医制度が構築されています。

 新専門医制度には、二つの特徴があり、一つは研修プログラム制を採用すること。今までも研修カリキュラムを作成していましたが、それらのカリキュラムをどこの施設で、いつまでに研修するかまでは決めていなかった学会がほとんどです。

 もう一つは、「研修施設群」を作り、研修に取り組む点です。従来は基幹施設でも、あるいはそれ以外の施設でも、単独での研修が可能でした。新専門医制度では、研修の質を担保するために、基幹病院を決め、中小病院などは基幹施設として連携して研修することが求められます。

 しかし、今言われたように、あまりにもリジッドにやりすぎたために問題が生じた。研修の質を保ちながら、フレキシビリティーを持ってやりましょう、ということです。


日本専門医機構理事長の吉村博邦氏自身は、呼吸器外科などの専門医資格を持つ。
――どのくらいフレキシビリティーを持たせるべきとお考えでしょうか。例えば、各学会、現場の医師からは、専門医資格取得のための単位取得が、学術集会や総会の一部の教育講演に限られるなどの不満が出ています。本来なら学術集会、総会は、一般演題も含めた研さんの場であるにもかかわらず、その障害になっているとの批判があります。

 何を単位取得の対象として認めるか、あるいは認めないかという議論は、学会と協同で決めていくこと。その辺りも、少数の意見で決めるのではなく、まず理事会で議論することが重要です。

 研修プログラムは、3年が基本ですが、場合によっては4年、5年かかる研修プログラムでも認めることなども検討課題です。

――ところで、そもそもなぜ基本診療領域は今の19領域なのでしょうか。厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」でもその議論はありませんでした。社会系学会でも、専門医を作る動きがあります。今回を機に、基本診療領域とは何かという根本から見直すことはあり得るのでしょうか。

 今回はそれはないと思います。ただ、サブスペシャルティについてはまだ決めていません。内科専門医や外科専門医のサブスペシャルティと、例えば最近登場している疾患別の専門医とはやはり位置付けが異なるなど、この辺りをどう整理するかは課題です。

――厚労省の社会保障審議会医療部会「専門医養成の在り方に関する専門委員会」では、「基本診療領域とサブスペシャルティの関係が分からない状況では、キャリアを選択するのは難しい。医師のキャリアパスの全体像を決めてから、新専門医制度を始めるべきではないか」といった議論がありました。

 それはその通りだと思います。例えば、総合診療専門医を取得した後、消化器などの専門医を取得する場合、内科専門医を再度取得するのが必要なのかどうか。(2014年5月の日本専門医機構の設立からの)この2年間に検討しなければいけなかった問題です。今後、理事会、あるいは委員会を作り、議論を尽くすことが重要です。

――総合診療専門医についてはいかがでしょうか。先生は日本専門医機構で当初検討されていました(『総合診療専門医の医師像を決定 - 吉村博邦・北里大学名誉教授に聞く』を参照)。

 総合診療専門医の専門研修プログラムの1次審査は、日本プライマリ・ケア連合学会も入った日本専門医機構内の委員会で審査を行い、終えています。2次審査の体制も同じです。総合診療専門医の専門研修プログラムは、399人。定員が1612人です。大規模のプログラムなどについて定員を削減するなどの調整を行えば、900人くらいまで絞ることが可能です。そのほか、専門研修プログラムを申請したものの、取りやめる意向の病院もあるようです。

 総合診療専門医については、中小や診療所が基幹施設になっているプログラムもあり、新専門医制度によってむしろ医師の地域偏在解消につながる可能性があります。もし了解が得られれば、2017年度からスタートできる準備は整っています。

――総合診療専門医については、指導医の養成のため、今夏、「特任指導医養成ワークショップ」が開催されました。

 総合診療専門医については、指導医も少ないのが現状です。総合診療専門医スタートへの合意を得つつ、進めていきたいと思います。

――最後に改めてお聞きしますが、なぜここまで新専門医制度が混乱してしまったのか、この辺りはどう考えですか。

 私は、2014年5月の日本専門医機構の理事でもありました。新しい機構の体制を見ていただければ、何が問題だったのかは分かるかと思います。前の執行部も一生懸命にやっていたのは事実ですが、ガバナンスが少し欠けていた面があり、意思決定のプロセスが不透明、説明責任が果たされていない、情報が十分に行きわたっていないなどの指摘があります。それから、新専門医制度の開始で、医師の地域偏在が加速するのではないか、という懸念も提起されました。

――昨夏、領域別の「専門研修プログラム整備基準」ができた段階で、地域医療への影響はある程度、予想できなかったのでしょうか。昨夏の時点で、病院団体などから問題視する声が上がっていました(『新専門医制度、「大学医局」復権の懸念 - 末永裕之・日病副会長に聞く』を参照)。せめて半年前くらいに、仕切り直しができなかったのか、その辺りはどうお考えですか。

 確かに、そうした指摘があるのは事実です。社保審の医療部会では、新しい執行体制を見守る意向です(『新専門医制度、機構や学会の対応「見守る」』を参照)。新執行部24人(7月6日時点)のうち、再任は4人です。執行部は刷新され、繰り返しになりますが、今後は各学会と協同し、地域医療にも配慮しながら、十分に議論を尽くして取り組んでいきます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/440627?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160710&dcf_doctor=true&mc.l=166664604
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”、医療機関から初のセンター調査依頼
事故報告、相談件数、院内事故調査報告は横ばい

2016年7月10日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医療安全調査機構は7月8日、医療事故調査制度の6月1カ月間の実績を公表、医療事故調査・支援センターへの事故調査依頼が2件あり、うち1件は医療機関からの初めての調査依頼だったことを明らかにした(資料は、同機構のホームページ)。もう1件は遺族からの依頼。

 センター調査の依頼は、2015年10月以来、累計で4件。医療機関からの依頼は6月の1件、残る3件は遺族からの依頼だ。センター調査は、医療事故調査制度で定義される医療事故として報告された事案が対象。医療機関の管理者と遺族のいずれからも依頼は可能。これら4件が、院内事故調査の終了前か後かについては、公表されていない。

 6月の医療事故報告の受付件数は34件で、2015年10月からの9カ月間の累計は285件。ここ数カ月はほぼ30件で推移している(『医療事故、5月のセンター報告は30件』などを参照)。相談件数は131件で、累計は1381件。5月の109件よりは増加しているが、直近半年間の平均は130件強でほぼ同レベルの水準に落ち着いている。院内事故調査を終え、その結果が医療事故調査・支援センターに報告されたのは14件で、累計92件。

 9カ月間の累計で見ると、285件の内訳は、病院262件、診療所23件。診療科別では、最も多いのが外科46件、内科42件が続き、以下、整形外科30件、消化器科25件、循環器内科21件、産婦人科18件など。

 地域別では、多い順に、関東信越123件、九州45件、近畿42件、東海北陸34件、中国四国20件、北海道11件、東北10件。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20160710-OYT1T50037.html
酒気帯び逮捕の医師、患者危篤で病院向かう途中
2016年07月10日 14時27分 読売新聞

 対馬南署は9日、長崎県対馬病院の医師の男(59)(対馬市厳原町)を道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕した。

 発表によると、男は同日午前2時10分頃、対馬市厳原町の国道382号で、酒気を帯びて軽乗用車を運転した疑い。検問で停止しなかったため、パトカーで追走。飲酒検知をしたところ、基準値を超えるアルコール分が検出された。

 同病院を運営する一部事務組合・県病院企業団によると、男は受け持ちの患者が危篤になったとの連絡を受け、約10キロ離れた宿舎から車で病院に向かっていた。対馬で放射線治療ができる唯一の医師といい、県庁で記者会見した同企業団の白川誠・総務部長は「離島で放射線治療ができなくなると、患者の負担が大きくなる」と険しい表情で語った。



http://mainichi.jp/articles/20160710/ddl/k03/040/029000c
損賠提訴
医療過誤で賠償、県が棄却求める 地裁・第1回弁論 /岩手

毎日新聞2016年7月10日 地方版 岩手県

 県立二戸病院で手術を受けた県内の70代の男性が多臓器不全で死亡したのは、同病院が適切な処置を怠ったためなどとして、妻が約4183万円の損害賠償を県に求めて盛岡地裁に提訴した。県側は8日、同地裁(小川理津子裁判長)の第1回弁論で請求棄却を求めた。

 訴状によると、男性は2013年9月、同病院で食道がんの手術を受けた。執刀医から「手術は成功した」と報告されたが、術後から腹痛や発熱、全身のむくみが続き、14年2月に死亡した。妻側は、同病院が多臓器不全の原因である細菌性腹膜炎と腹腔(ふくこう)内のうようを発症させ、症状を改善させずに悪化させたとしている。

 県側は「通常『手術は成功した』と説明することはなく、『予定通りの手術になった』などの表現を用いた」と反論。妻側が主張する病院の過失などについても争う姿勢を示した。【藤井朋子】



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03182_03
【寄稿】住民主体で医学生を育てる
徳島大学の地域医療実習の取り組みから

谷 憲治(徳島大学大学院医歯薬学研究部総合診療医学分野 特任教授)
第3182号 2016年7月11日 週刊医学界新聞

 徳島大に2007年10月,県の寄附講座として地域医療教育を担当する講座「地域医療学分野(現・総合診療医学分野)」が開講し,翌2008年には地域医療実習が本学医学部の教育カリキュラムに必修科目として導入された。実習地として選択されたのは,当講座の活動拠点となっている県立海部病院が所在する県南部の海部郡である。

 地域医療実習は,医学科5年生に1年間かけて行う臨床実習クリニカル・クラークシップの中に位置付けられ,医学生は10~12人ずつ1週間,海部病院の宿泊施設に泊まり込んで地域のさまざまな施設を訪問することになる。

医師不足に危機感を抱いた県,大学,そして地域住民たち

 実習施設としては,郡内で最も規模の大きい海部病院(110床)をはじめ,町立の小規模病院,有床・無床診療所,離島診療所,介護施設を含む。地域医療実習をカリキュラムに導入するに当たっては,長崎大,自治医大,島根大を訪問して,そのノウハウを教えていただいた。

 寄附講座の開講当時,海部病院は極めて深刻な医師不足に陥っていた。2004年に導入された新医師臨床研修制度の影響を受け,同院の医師数は18人から9人に減少し,特に9人いた内科医が一時期2人だけとなり,土曜日の救急患者の受け入れを休止せざるを得ない状況になっていた。その対策の一環として県は大学に寄附講座を設置し,海部病院の診療支援を求めた経緯がある。

 医師不足の対策に乗り出したのは,県や大学だけではない。2008年11月,自分たちの住む地域の医療環境が厳しい状態に陥っていることを知った住民たちが立ち上がり,「地域医療を守る会」を発足させた。住民らは,医師の通勤を便利にするためにJR四国に通勤列車の増便を要望したり,勤務医の労務環境の改善やコンビニ受診対策を住民に訴える寸劇を行ったりして,地域医療を立て直すべく啓発活動に取り組んだ。病院医療スタッフへの手作り弁当の差し入れや,2月には手作りバレンタインチョコのプレゼントなど,思いやりあふれる取り組みも行われた。

地域に入るからこそ得られる体験と患者の声

 医師不足の課題を抱える海部の地で開始された地域医療実習は,医学生と住民との接点を生む役割を果たすこととなった。地域医療実習は,大学病院内での実習とは異なり,地域全体が実習現場となるからだ。高度医療を担う大学病院では,難病や診断・治療に難渋している患者さんを担当し,家族や住居から切り離された特殊な環境とも言える病棟が実習現場となる。それに対して地域医療実習では,病院や診療所に受診してくる通院の患者さんの担当が主体であり,さらには訪問診療にも同行して,患者さんの生活環境の中にこちらから入っていくこともある。地域医療実習を計画していく上で,住民の協力は不可欠なのだ。

 ではどのような内容の実習を行っているのか。まず,外来患者さんと1対1で過ごす「エスコート実習」では,外来での待ち時間から一緒に行動する。そのため,患者さんの視点から病院受診の様子を見る貴重な機会となる。患者さんからも「待ち時間の間,楽しく過ごせた」「若い学生から元気をもらった」という声が多く寄せられている。

 また,採血業務も担当する。市中の大病院では,患者さんから採血の同意をもらうことが難しい場合もあるが,海部病院では実に8~9割の患者さんから了承が得られる。採血が終わると「痛くなかったよ」という褒め言葉をいただいたり,「いい医者になれよ!」と激励を受けたりすることもある。このように,この地に住む多くの患者さんから医学生の実習に快く協力をいただける背景には,前述の住民組織「地域医療を守る会」の理解と支援が大きい。

実習報告会の開催は町内放送で呼び掛けが

 そして実習最終日の午後には医学生による実習報告会が開催される。報告会には海部病院の院長,看護局長および事務局長の他,「地域医療を守る会」の代表の方たちをはじめ,地域住民も大勢参加する(写真❶)。開催当日にはなんと,実習報告会の案内が町内放送で9時と13時の2回にわたり呼び掛けられる。農作業や漁業の仕事の手を止めて,そのままの服装で参加してくれる住民もいる。

 報告会では,医学生たちは実習内容だけでなく,海部ならではの地域の魅力や,自分たちの将来に役立つであろう学びの内容を住民たちに伝える。さらに,医療面や環境面において,「こう改善されれば若い医師がさらに集まるのではないか」といった率直な意見も述べられ,医学生と住民の間に白熱した議論が起こる。「地域医療を守る会」の住民の中には,医学生たちの意見をこれからの活動に生かすべく,熱心にメモを取る姿も見られる。医学生と触れ合うことは,住民たちにとって「地域の医師確保は医学生を育てていくことから始まるのだ」という認識を持つ機会になっている。

 実習の指導者として感じるのは,地域医療実習は,医学生だけでなく地域住民にとっても学びがあるということだ。医学生にとっては,地域密着型の医療を経験することで,地域住民の温かさや自然環境の良さ,地域における医師の存在感の大きさを知るなど,後の医師のキャリア形成にプラスに作用する要素は多い。その一方で,この地で医師として勤務するには,医師の専門性維持の問題,学会・研究会への参加のしにくさ,子どもの教育環境についての不安など,対策の難しいマイナス面があることも,医学生との議論によって住民には理解されつつある。

生まれた地に戻ってくるウミガメのように

 最近住民たちは,医学生に対しこのように訴える。「医師になって海部のことを思い出したとき,いつでも戻ってきて」「そして1年,2年だけでもここでしっかり地域医療を勉強してくれたらいい」と。そして住民らは,「ずっといてくれとは言わない」と口々に強調する。

 医学生に対する住民たちのこうした呼び掛けは,「ウェルかめ構想」と呼ばれる。ウミガメの産卵で有名な海部の地を舞台に,2009~10年にかけて放送されたNHKの朝の連続テレビ小説『ウェルかめ』にかけて名付けられた。海部の浜に産み落とされた卵から誕生したウミガメの赤ちゃんは,大海で成長した後も生まれた浜を記憶しており,母親になったときに再び産卵に戻ってくる。海部の地で学んだ「医師の卵」の成長と,いつか地元に戻ってくることへの願いを込めたこの構想は,医学生と住民との間で繰り返しなされた議論の中から生まれた(写真❷)。



 2016年5月現在,海部病院の常勤医師数は12人となり,特に内科・総合診療科医師が7人にまで回復し,土曜日の救急受け入れも再開された。この4月からは,医学生時代に海部で地域医療実習を受けた卒後5年目の医師が常勤医として初めて勤務しており,来年も2人目,3人目が予定されている。住民たちの「ウェルかめ構想」がいよいよ実を結び始めている。 

 地域医療実習の主役は医学生と住民である。「住民が医学生を育てる」。これが地域医療を守る一つのキーワードではないだろうか。


たに・けんじ氏
1982年徳島大医学部卒。徳島大病院第三内科で研修後,高知市立市民病院,徳島県立三好病院,徳島大病院に勤務。95年米国立フレデリック癌研究所留学。2000年徳島大医学部分子制御内科学助教授,07年10月同大大学院地域医療学分野特任教授を経て,10年4月より現職。



http://www.kobe-np.co.jp/news/hokuban/201607/0009272470.shtml
気分はお医者さん 家族連れら手術体験 加西病院
2016/7/11 05:30神戸新聞NEXT

 「ホスピタルフェア」が9日、兵庫県加西市北条町横尾1の市立加西病院であった。家族連れら多くの市民が訪れ、電気メスの体験や白衣を着ての記念撮影などを楽しんでいた。

 地域に根差した病院を目指し、同フェア実行委員会が主催して13回目。血圧や血糖などを測る健康チェックコーナーには、多くの中高年世代が詰めかけ、中でも動脈硬化度測定は人気を集めた。

 腹腔(ふくくう)鏡手術の疑似体験コーナーでは、参加者が手術で実際に使った器具を用いて、モニター画面を見ながら箱の中にある菓子をつかんだ。記念撮影では、子どもが看護服を着て医師や看護師の姿になりきって笑顔で写真に納まっていた。

 鶏肉に電気メスを当てる体験をした男児(7)=同市北条町北条=は「難しかったけど、お医者さんになれた気がして楽しかった」と話していた。(河尻 悟)



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03182_02
【interview】
内科と総合診療,どちらを選ぶ?

週刊医学界新聞   第3182号 2016年07月11日

 内科専門医および総合診療専門医の魅力や研修プログラムの特徴は?研修医の不安の声に学会としてどう応えるか? 日本内科学会の横山氏,日本プライマリ・ケア連合学会の草場氏に聞いた。

内科医の活躍の場はさらに拡大していく

横山 彰仁(高知大学医学部附属病院 病院長/日本内科学会 認定医制度審議会会長)

――内科専門医制度改革の経緯から教えてください。

横山 複数の疾患を有する患者が増える超高齢社会において,ジェネラルな素養を持つ内科医がますます求められること,また6~8年の研修を要する現行の総合内科専門医を1階とするのは厳しすぎること,以上2点から内科専門医制度を再構築する必要が生じました。卒後5年の研修としたのは,専門医機構から各基本領域3年以上の研修が課せられており,制度上,標準化されているためです。

――認定内科医に関しては,かねてから問題点も指摘されてきました。

横山 新医師臨床研修制度導入の際,初期研修の2年間を認定内科医の研修期間に組み入れたことで,資格取得に必要な研修期間は従来(36か月)の半分(初期研修6か月+内科12か月)になりました。研修の場も専門科に偏ったり,併存症を主とした提出サマリーが散見されるなど,ジェネラルな研修には不十分でした。

――ただ,内科専門医取得後にサブスペシャルティ研修2~3年は「長すぎる」という声も,研修医から聞かれます。

横山 しかし実際にデータを取ってみると,卒後7年目までにサブスペシャルティ専門医を取得しているのは男性で1~2割,女性で2~3割です。おそらく,専門医の取得時期が個々人の判断に委ねられていたからでしょう。新制度はプログラム制ですから,修了年限のうちに専門医を取得できるよう,指導医が専攻医をサポートする義務が生じます。むしろ,専門医の取得時期が早まるかもしれません。

 もちろん,キャリアパスの個別性に配慮は必要です。現在は,所定の修了要件を満たすことを条件に,内科とサブスペシャルティの並行研修を認めるなどの弾力的な運用を関連学会と共に検討しているところです。

――臓器別専門病棟のローテーションを繰り返すだけにならないでしょうか。

横山 従来の反省から「主病名で主担当医として経験を積む」カリキュラムの整備にこだわりました。内科学会で開発した専攻医登録評価システム(Web版研修手帳)を用いて症例登録・評価を行うことで,研修状況が可視化されます。初期研修の延長のような“お客さま扱い”の研修にならない仕組みをめざしています。

 また,従来の大病院単独研修を見直し,参加施設数が1194から2875(基幹施設523+連携施設1266+特別連携施設1086)へと2.4倍になりました。新たに参加する施設の大半は200床以下の中小病院となる見込みです。これらの病院はジェネラルな内科研修には最適な場となります。

――専門医取得のハードルが上がり,内科を敬遠する研修医も出てくるかもしれません。

横山 従来の総合内科専門医ほどの高いハードルを設定しているわけではありません。認定内科医と総合内科専門医の中間ぐらいと考えてください。認定医資格と比べれば確かに研修期間は延びますが,国民の視点でみれば,質の高い医療の提供のために一定の研修期間が必要なのは当然のことです。

 それにもともと認定内科医は,広告可能な専門医資格ではなく,内科学会内部の資格にすぎません。標榜できる内科専門医という意味では,総合内科専門医と比べると研修期間が短縮されたとも考えられるわけです。また,最短でのサブスペシャルティ専門医取得を視野に入れた専攻医への配慮も,進めていきたいと思います。

――新・内科専門医にどのような役割が求められるでしょうか。

横山 内科学会では①地域医療における内科領域の診療医(かかりつけ医),②内科系初期救急医療の専門医,③病院での総合内科の専門医,④総合内科的視点を持ったサブスペシャリスト,の4つを想定しています。内科は臨床医学の基盤であり,内科専門医の活躍の場は今後ますます広がっていくはずです。研修医の皆さんには,ぜひ内科医の道をめざしてもらいたいです。

*内科学会Webサイトでは,専門医制度に関する直近の見解を随時掲載中。

総合診療のパイオニアとして未来をリードしてほしい

草場 鉄周(北海道家庭医療学センター理事長/日本プライマリ・ケア連合学会副理事長)

――総合診療の到達目標にはコンピテンシーが示され,他領域とは全く異なるコンセプトです。

草場 総合診療の専門性は,経験した疾患の数だけでは測れないのです。例えば肝硬変の患者さんに対してエビデンスに即した標準的な治療を行うことはもちろんですが,その人の生活背景を掘り下げ,他職種とも連携しながら解決策を図る。あるいは,アルコール依存症予防のためのアプローチを検討し,行政・医師会と連携して地域で活動する。こうした専門性を発揮する上で重視されるのが,「6つのコアコンピテンシー」の獲得です。総合診療の研修においては,常にこれらの能力の獲得を意識して研修を行い,さまざまな方法で評価していくことになります。

――評価についても他領域と比べてユニークです。

草場 評価の3本柱は,研修手帳,振り返りセッション,ポートフォリオとなります。研修手帳は他領域でも同じように使われているとは思うのですが,経験すべき疾患・病態や手技・処置等を含む研修目標を網羅したもので,3年間を通じて研修実績を記録します。

 振り返りセッションは,研修の進捗に合わせて指導医と定期的に行うもので,研修の自己評価に加えて,気付きや感情を言語化し,新たな目標を設定して研修手帳に記録します。それに加えてポートフォリオです。専攻医がコンピテンシーを獲得できたと感じられる症例を抽出して,それに対する省察を言語化する。単に「症例を経験した」というレベルではなく,コアコンピテンシーの達成の評価を行う。きちんと言葉で表現できる。そこまでチェックして修了となります。

――今後の中・長期的展望として,専門医養成数の目標はありますか。

草場 正直なところ,数に関しては明確な目標を定めていません。今回の専門医制度改革の本来の趣旨は専門医の質を担保することなのに,量の拡大を前提にすると質を保つことが難しくなってしまいます。もちろん,現状の家庭医療専門医制度では1学年170人程度ですから,それよりは増えてほしいという願望はあります。しかし,専攻医の数がやたら多くなれば,指導体制が追いつかない事態もあり得るわけです。まずは,総合診療専門医をめざす専攻医に「この領域に入って本当によかった」と満足してもらえる研修を提供することが,私たちの責務だと考えています。そうやって専門医を徐々に増やしていけば指導体制も成熟しますから,いまの段階で焦らないことが大事だろうと思っています。

――どのような人が総合診療医に向いていると言えるでしょうか。

草場 総合診療医は,診察室で診療するだけでなく,訪問診療を行うこともあれば,地域住民とかかわる機会も多くなります。そうやって多方面で活動してみたい人は,総合診療医に親和性が高いと思います。患者さんとのコミュニケーションを大事にしたい,患者さんの生活や家族に関心を持ってかかわりたいという人も向いているでしょう。逆に,特定の手技でナンバーワンになりたい,サイエンスとしての医学を追究したいという人は向かないかもしれません。

――入院医療を内包した総合診療のコンセプトは,国際的にもユニークです。

草場 諸外国の総合診療は,診療所ベースになっていますよね。ただ,日本の場合は中小病院の数が非常に多く,病棟・外来・在宅など多様なフィールドで医師が活躍している現実があります。これも日本独自の総合診療の在り方として肯定した上で,入院医療も違和感なく取り入れました。そこが面白いかもしれませんね。地域の中小病院では総合診療医のニーズが高いですし,病院勤務医として生涯働き続ける総合診療医もたくさん出てきてほしいと願っています。

――新設の専門医ということで,研修医としては不安もあるかもしれません。

草場 不安でしょうね。でもだからこそ,新制度の第1期の総合診療専門医はパイオニアとして注目されるし,医療界,さらには一般国民からの期待も高い。日本の未来をリードしていく立場になるわけで,実にやりがいがあるでしょう。

 リスクは確かにあるけれども,そのぶん得られるリターンも大きいはずです。勇気を出して,総合診療医をめざしてほしい。私たちのような,制度がない時代から総合診療の道を選んだ人間が,総力を挙げてサポートしていきます。



http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/07/11/18130/?rt=nocnt
特集◎「高額薬剤が国を滅ぼす」は本当か《1》
なぜ画期的な新薬が非難されている?

2016/7/11 加藤 勇治=日経メディカル

 たった1つの抗癌剤に年間1兆7500億円が必要となり、医療保険財政が破綻する──。今年4月の財政制度等審議会で、そんな試算を日本赤十字社医療センター化学療法科部長の國頭英夫氏が明らかにしたところ、メディアで大きく取り上げられ話題になった。今後、画期的な新薬に次々と高い薬価が付けられていくならば、国民皆保険は崩壊しかねない。「高額薬剤亡国論」は現実となるのか、それとも回避のシナリオが存在するのか。高額薬剤問題の行方を追った。

 日本の研究成果を応用した抗癌剤ニボルマブは、癌による免疫系の抑制を解除するという新しい機序で、幅広い癌に高い効果を示し注目されている。その一方で、高額な薬価が、薬剤費の膨張を引き起こすのではないかと危惧されている。

 たった1剤で年間1兆7500億円が必要になると指摘された薬剤とは、新しいタイプの抗癌剤であるニボルマブ(商品名オプジーボ)だ。

 我が国で発見された分子を標的とした抗体医薬で、2014年7月に世界に先駆けて日本で、悪性黒色腫を適応症として承認された。その頃は日本で得られた成果を活用した点や、新しい機序の抗癌剤の登場に対する期待が広く話題に上っていたが、2015年12月に進行非小細胞肺癌に適応を拡大したことで風向きが変わった。國頭氏が1兆7500億円という試算を初めて学会で指摘した時期と重なる。なぜ期待の新薬が批判されることになったのだろうか。

癌の免疫回避能を解除

 そもそもニボルマブは、何が画期的なのか。

 ニボルマブの標的は、京都大学で1992年に発見されたPD-1という分子だ。このPD-1はT細胞に発現しており、別の細胞が発現するPD-L1という分子がPD-1に結合すると、「攻撃するな」という指令が伝わる。自己と異物を見分けるための正常な免疫抑制系の仕組みだ。しかし、一部の癌細胞は、この仕組みを悪用していることが明らかになった(図1)。

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図1 PD-1、PD-L1分子の役割と免疫チェックポイント阻害薬の作用機序

 そこで開発されたのが、PD-1に結合してPD-L1との結合を邪魔する抗体であるニボルマブ。免疫の仕組みに作用することから「次世代の免疫療法」といわれるほか、免疫チェックポイント阻害薬と総称される。


九州大呼吸器内科の中西洋一氏は「ニボルマブは、臨床試験で対照薬に比べて圧倒的な勝ちをおさめて承認された」と振り返る。

 九州大学呼吸器内科学分野教授の中西洋一氏は、「悪性黒色腫や腎癌など一部の癌で免疫療法は一定の効果を示してきたが、肺癌ではほとんど効果が示されず、免疫療法が効くとは誰も想像していなかった」と振り返る。

 近年、非小細胞肺癌では、細胞が癌化する原因となるドライバー遺伝子変異の存在が次々と明らかになり、その遺伝子変異を標的とする抗癌剤が登場してきた。そのおかげで予後の改善が進んでいる。

 しかし、ドライバー遺伝子変異が認められるのは、非小細胞肺癌の中でも、非喫煙者で若年の女性であることが多く、「高齢で喫煙者に多い、いわばタバコ肺癌の予後改善はほとんど進んでいなかった」(中西氏)。

 そこに登場したニボルマブは、対照薬と比較して生存期間を延長することを臨床試験で証明した。体内で癌が増殖する仕組みの1つに免疫抑制系の悪用があり、それを解除してやれば癌細胞を死滅させられることが示されたのだ。

 その後、タバコ肺癌ほど効くと期待されるデータも出てきた。さらに一部の患者ではあるが、治療が有効な期間がかなり長くなると期待される知見が得られている。一般的な抗癌剤や最新の分子標的薬でも有効なのは3カ月から1年程度。しかし、ニボルマブでは1年、2年と病勢をコントロールできる患者がいることが明らかになってきた。しかも、長期に観察していけば、もっと長くコントロールできると期待されている。進行癌患者の長期生存や治癒が視野に入ってきたのだ。

用法・用量に「落とし穴」

 ニボルマブが初めて承認された際の適応症は、既存治療に抵抗性となった悪性黒色腫。原価や営業利益などに薬剤の画期性に対する加算(《2》参照)が60%上乗せされ、付いた薬価は20mg15万200円、100mg72万9848円。体重1kg当たり2mgを3週間間隔で投与するため、体重60kgの患者で1日当たりの薬価は4万1907円となる。

 実は、近年承認された抗癌剤の1日当たりの薬価を算出してみると、およそ2万5000円から3万円の範囲にある(表1)。ニボルマブは画期的加算が付いたことで1日薬価が他より高くなったものの、加算前の1日薬価は、最近の他の抗癌剤とほぼ同等。悪性黒色腫のピーク時予想患者数は470人で、売上高予想も31億円にすぎなかった(図2)。

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表1 2010年以降に薬価収載された高額な医薬品のうち主なもの(編集部まとめ)
(クリックで拡大)

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図2 ニボルマブの適応拡大に伴う売上高予想

ニボルマブが初めて承認されたときの適応症は化学療法既治療の悪性黒色腫で、用法・用量は体重1kg当たり2mgを3週間間隔で投与するものだった。2016年7月時点で、悪性黒色腫は未治療例にも使用可能で、この場合、体重1kg当たり3mgを2週間間隔の用法・用量になっている。非小細胞肺癌に対する1次治療からの使用についてはエビデンスがなく、2次治療での使用のみ。(*クリックすると拡大表示します)

 しかし、2015年12月に肺癌に適応拡大したことで事情は大きく変わった。肺癌患者は年間13万人で、うち進行非小細胞肺癌で1次治療を受ける患者は5万人とされる。ニボルマブの肺癌に対する用法・用量は体重1kg当たり3mgを2週間隔投与だ。悪性黒色腫では日本での開発が先行していたため、用法・用量はより安全性を見込んだ設定だった。しかし、肺癌は米国を中心とした国際共同試験で検証された。その際に用法・用量が、体格の違いをはじめとする医学的理由や企業戦略などから変更されたようだ。

 この用法・用量だと、1日薬価は9万5046円と2.2倍に跳ね上がる。現行の薬価制度では、適応拡大時に薬価を見直すルールはない。その結果、國頭氏によると、1次治療を受ける進行非小細胞肺癌患者5万人がニボルマブを使う計算となり、年間1兆7500億円が必要になるというわけだ。

 これに対し、製造販売を手掛ける小野薬品工業によれば、ニボルマブの現在の適応から、想定対象者は2次治療を受けるうちの半数である1万5000人。全員が1年間投与するわけではなく、平均6カ月と想定されており、2016年度の売上高予想は肺癌で1220億円だ。ただしこれは、あくまで2016年度に新規に処方を開始する患者数に基づく予想。仮に1次治療から使用可能になったり、効果が持続すれば投与期間は長くなり、結果として売上高も拡大すると予想される。

類似薬が続々登場の見込み

 こうした高額薬剤問題はニボルマブに限らない。今後、類似薬が次々と登場してくるからだ。

 その筆頭は同じく抗PD-1抗体であるペムブロリズマブで、国内では悪性黒色腫と非小細胞肺癌の適応で承認申請済み。胃癌の適応症については厚労省の「先駆け審査指定制度」の対象となっており、近く承認されると見込まれる。他にも免疫チェックポイント阻害薬は何剤も開発が進められており、適応症も膀胱癌や肝細胞癌、頭頸部癌などに広がっている。ニボルマブの類似薬となれば、これに近い薬価が付くのが現在の制度だ。このカテゴリーの薬剤だけで使われる金額はかなり大きくなると予想される。

 こうした問題は、抗癌剤に限らない。関節リウマチに対して続々と登場している生物学的製剤は、1日薬価では3000~5000円程度だが、治療期間が長期にわたることから結局、薬剤費は高額になる。最近は、重症喘息に対する抗体医薬の開発が数多く進んでおり、さらに適応症が尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー疾患全般にまで広がると見込まれている。

 癌やアレルギー性疾患、自己免疫疾患などの難治性疾患に対して高い有効性が期待できる薬剤の登場は、患者ひいては社会にとっての福音であることは間違いない。しかし、こうした疾患は患者が多く増加傾向にもあるだけに、薬剤費の高騰という悩みは深い。手をこまぬいていては、薬剤費の膨張が医療保険財政を圧迫することが避けられない。


  1. 2016/07/11(月) 06:17:17|
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