Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月9日 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201607/20160709_13019.html
<新石巻市立病院>9月1日開院へ準備急ピッチ
2016年07月09日土曜日 河北新報

 東日本大震災で被災した石巻市立病院がJR石巻駅前に移転新築され、9月1日の開院に向け医療機器の搬入などが急ピッチで進められている。南浜地区にあった旧市立病院は津波で機能が停止したため、市は内陸に約2キロ移し中心部で地域医療の再生を期す。
 新市立病院は鉄骨一部鉄筋7階、延べ床面積約2万4000平方メートル。2014年10月に着工、7月1日に市に引き渡された。
 津波浸水域のため1階は駐車場とし、2階以上に病院機能を配置。1階と2階の間に免震層を設け、災害に強い構造にした。屋上にはヘリポートを整備した。
 建設費は137億円。当初は概算で70億円の想定だったが、復興需要による資材高騰などで2倍近くに膨らんだ。
 診療科は内科、外科、整形外科、放射線診断科、麻酔科、リハビリテーション科の6科で、病床は180床(一般140床、療養40床)。医師は目標の20人を確保するめどが立った。急性期医療や、症状が重い2次救急患者を一部受け入れる「1.5次救急」などの役割を担う。
 8月10日に開院記念式典を行い、翌11日に市民向け内覧会を開く。市病院局の阿部雅幸事務部長は「7月中に大きな機材を搬入し、8月に医療スタッフの動きを確認する。万全の態勢で開院を迎えたい」と話す。



http://www.asahi.com/articles/SDI201607081316.html
2025年問題を乗り切る地域包括ケアシステムの行方(下)
岩崎賢一
2016年7月9日06時15分 朝日新聞

太田秀樹医師(医療法人アスムス理事長、一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)

 東京や大阪など大都市圏のベッドタウンは今、高齢者人口の急増の一方、高齢者に対応する医療や介護の提供が追いつかないと言われています。団塊世代が75歳以上になる2025年問題を乗り越えるために、厚生労働省は、市区町村が主体となる地域包括ケアシステムの整備を推進していますが、どうすればベッドタウンでも破綻せずに地域包括ケアシステムが機能していくのでしょうか。全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長の太田秀樹医師に、現状と解決策について聞いてみました。(アピタル編集部)


■地域包括ケアシステムが機能しやすい人口規模

【質問】地域包括ケアシステムがうまく機能する自治体の規模は、人口でいうとどれぐらいの規模でしょうか。

【太田医師】比較的人口が小さい村、町、市、現場の印象からは8万人ぐらいまでがいいと感じています。例えば、人口5万人の3分1が高齢者になっても、15000人ぐらいです。要介護状態になるのは、200までいかないので、だいたい3000人以下でしょう。この3000人をどうみるかは、医療や介護、自治体のスタッフの中に、それぞれリーダーシップを発揮して取り組む人が1人か2人いればなんとかなります。人口2万人なら3人に1人が高齢者だとしても6000人ほどです。200が要介護だとすると1200人。その町で仮に年間100人が亡くなるとしても、特別養護老人ホームが看取りまで面倒をみると解決してしまいます。小さい町になるほどやる気のある専門職がいると解決策はたやすいと思います。一方、人口が30万人、40万人になると非常に解決しづらいと思います。ただし、県庁所在地や政令指定都市は役所のスタッフや社会資源が充実しています。そういう自治体と、人口が減ってきて疲弊している地方都市では状況が違います。また、東京はまったく違います。東京は、人とのつながりが煩わしいと考える人も多く住んでいるからです。一方、私のクリニックがある栃木県のような地域は、農業を中心とした豊かなコミュニティーがあって、人と人とのつながりがあります。こういう地域の市民は、在宅医療に期待しています。

【質問】では、人口が10万人を超えるような大きい都市で、地域包括ケアシステムを機能させていくためには、どうしたらいいのでしょうか。

【太田医師】物理的に人口規模だけで課題を分析しきれないのは、平成の大合併で基礎自治体はほぼ半分になっていることです。いわゆる文化圏の異なる2つの自治体が合併してるいうこともあります。したがって、コミュニティー単位での解決を模索することが現実的でしょう。生活圏域での解決です。中学校区などを一つのユニットとして本気で取り組むということではないでしょうか。

 そして、住民の意識にもポイントがあります。喜怒哀楽を共有できるような絆でむすばれれていることが重要で、単なる「エリア」としてとらえないことです。


■終末期医療の姿をいかに早く変えるか

【質問】埼玉、千葉、多摩、神奈川といった東京のベッドタウンには、高度経済成長時代に一戸建ての住宅を建てて暮らしている人たちが多くいます。そのため、一気に高齢化していき、そういう団地では高齢化率が4割に達しているところもあります。しかし、医療や介護といった社会的資源が少ないと言われています。

【太田医師】高度経済成長時代に移住してきた人が多い東京近郊の地域は、今後、ものすごい勢いで高齢化していくことは認識されていると思います。自治体もかなり本気で考えています。

 私が考える乗り切る手段の一つは、終末期医療の考え方を変えていくことだと思います。例えば、高齢で口から食べられなくなって衰弱した人に、どこまで人工栄養を使って治療をしていくのか。排泄介護にもかかわる問題です。終末期医療の変化に社会が合意すれば劇的に介護が変わると思います。私は、例えば入浴介助などの機械化できるところは機械化すればいいと思います。

【質問】太田さんの人工栄養に対する考え方を、もう少しわかりやすく説明してください。

【太田医師】回復の期待があれば、当然、チューブで栄養を送る医療を行います。診断がついて、原因が分かって、チューブで栄養を送って体力をつけて、それから手術をしていきましょうとか、成長していく子どもとかは人工栄養を行うことはいいと思います。しかし、例えば、認知症の高齢者の場合、最終的には食べるものが分からなくなり、食べられなくなって、口に食物を入れても飲み込まなくなって衰弱して亡くなっていきます。私は、チューブで栄養を送ることは回復が前提だと思いますし、年をとって自分で栄養が取れなくなることは、自然の摂理だと思います。


■尊厳ある生活が守られるから尊厳ある死が迎えられる

【質問】在宅看取り率は、自宅と老人ホームなど施設を含めても全国平均で200程度です。一方、6割近い人が自宅で最期を迎えたいという希望を持っているといいます。在宅看取り率を3割、4割に挙げていく方法はありますか。

【太田医師】神奈川県横須賀市のように、わずか数年で在宅看取り率を高めた自治体もあります。医師会と市ががっちり取り組んでいるからです。

 私は、自宅で死ななくてもいいと思います。将来、独居になる高齢者が増えるので、自宅で最期を迎えることが無理になる場合もでてきます。グループホームでも老人ホームでもいいと思います。大事なのは、尊厳ある生活が守れるかという点だと思います。尊厳ある生活が守られる場で看取られることが大切だと思いますし、提供される施設のケアのあり方が大切です。施設の中には、救急搬送ばかりしているところもあります。元気な患者ばかりを往診している医師には、病気の患者を往診するように変わってもらうしかありません。

 これらは、終末期医療に対する国民の期待が変われば相当変わっていきます。


【質問】「終末期医療に対する国民の期待が変われば相当変わる」ということを具体的に説明してください。

【太田医師】ダメな終末期医療のパターンは、3つあります。本人はどこにも行きたくないといって家にいるのに、見かねたヘルパーなどが救急車呼んで搬送されてしまうケースです。搬送されたら、病院の医師は救命しないといけません。2つめは、「うちの施設は最期まで看ています」という情緒的な介護スタッフがあつまっている施設です。施設で看取られた人の中には、例えば脱水で亡くなったのではというケースもあるからです。つまり、適切な医療が介入していない、あるべき医療が介入していないということです。助かる人は助けるのが基本です。1本の点滴で元気になるならやるべきです。3つめは、入所者が突然亡くなってしまったという施設です。「1週間前からおしっこがでていないんじゃないの」と尋ねると、「あつ、そうかもしれませんね」「担当者がいないからわかりません」と、施設の職員が答えるような施設です。丁寧にケアしているといれば、人が死ぬことをある程度予測できます。ケアのレベルが低すぎるということです。

 このダメな3つの終末期があることが、今の問題だと思います。本人がどういう最期を迎えたいのか、自分の意思を家族など誰かに伝えておかないといけません。そして家族は本人の意向をくむこと。尊厳ある暮らしを支える質の高いケアを前提として、初めて尊厳ある死があるのです。


■ベッドタウンでは自分たちで解決する努力を

【質問】2025年問題で厳しい老後を迎える大都市圏のベッドタウンは、どうすればいいのでしょうか。

【太田医師】解決は難しいですが、住民たちが自分たちの問題と感じて、自分たちで解決しようという強力な絆がある地域はすでに動き出しています。例えば、自分の家を開放してグループリビングにしたり、シェアハウスにしたりとかしています。お上に頼るだけでなく、自分で解決しようとする積極的な行動にでないとどうしようもありません。

 生産年齢人口の減少のため、若い世代に医療や介護を手厚く援助してもらおうと考えても、現在の社会は、わずか3人が1人の高齢者を支えている騎馬戦型社会です。

 一般的には、こよみの年齢をもとに高齢者としていますが、加齢により生物学的な個体差はますます顕在化し、85歳を超えてもなお自立した暮らしができる人がいる一方、70歳でも介護サービスを必要とする人がいます。もちろんすでに65歳で命を落としている人もいます。だから、世代間で解決するいわゆる「互助機能」についても真剣に模索するべきですし、仮に認知症になっても、徘徊が散歩に変わる地域であれば、安心して暮らし続けることができます。市民が現状を正しく理解し、地域の文化を変えるぐらいの気概をもって取り組まねばならないということでしょうか。

 そして、市区町村といった基礎自治体は、公益性、公共性の高い団体として信頼が厚いわけですから、地域の社会資源をつなぐ役割を果たすことです。また、ソーシャルキャピタルとしてしっかり機能するように働きかけねばなりません。さらに介護事業者は社会問題を解決する民間企業であるという自覚を持つことが重要で、高齢者をビジネスの対象として営利を追求するだけでは、健全な超高齢社会を作り上げることはできません。

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太田秀樹医師
医療法人アスムス理事長(http://asmss.jp/gai.html別ウインドウで開きます)
一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長(http://www.zaitakuiryo.or.jp/index.html別ウインドウで開きます)
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 次回は、急激な高齢化で医療や介護の需要にサービス供給が追いつかないとみられている大都市圏のベッドタウンについて、地域包括ケアシステムをどう考えて構築していけばいいのか、聞いてみました。



http://mainichi.jp/articles/20160709/ddl/k10/040/109000c
群馬大付属病院
再び医療事故、病院長が謝罪 /群馬

毎日新聞2016年7月9日 地方版 群馬県

 群馬大医学部付属病院(前橋市)が8日公表した整形外科での医療事故について、田村遵一病院長は記者会見で「新たな医療事故が起こり申し訳ない。引き続き医療安全体制の強化を図りたい」と謝罪した。患者に対し「補償も含めて誠実に対応したい」と述べた。【尾崎修二】



http://www.sankei.com/region/news/160709/rgn1607090024-n1.html
群大病院また医療ミス 50代男性、右手足ほとんど動かず
2016.7.9 07:08 産経ニュース

 群馬大病院は8日、県内の50代男性が、同病院整形外科で頸椎(けいつい)の手術を受けた後、神経障害が生じる医療事故があったと発表した。

 同病院によると、男性には再手術が行われたが、現在も右手足はほとんど動かず、人工呼吸管理も必要な状態で、症状改善は1年ほど経過をみる必要があるという。

 男性は変形した首の骨が神経を圧迫、筋力低下や歩行困難になる頚髄症で、昨年11月、同病院で金属製の棒状器具を使い骨を固定する手術を受けたが、その場所がずれて脊髄の神経を圧迫、神経障害が生じた。

 同病院は今年3月、外部委員2人の協力で事故調査委員会を実施。手術では、X線の透視以外にもモニタリングの機能を使って観察すべきだったことや、体形など患者個別のリスクにかかる部分の説明が不十分だったことなどを挙げた。

 田村遵一病院長は「新たな医療事故が起こり、非常に申し訳ない。患者や家族に対し、誠実に対応していきたい」と謝罪した。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG08H6R_Z00C16A7CR0000/
患者の予期せぬ死亡、6月は34件 医療事故調査制度
2016/7/9 11:41 日本経済新聞

 患者の予期せぬ死亡を対象とした医療事故調査制度で、第三者機関の日本医療安全調査機構(東京・港)は9日までに、6月に医療機関から「院内調査」が必要として届け出があった事案は、前月より4件多い34件だったと発表した。昨年10月の制度開始後、9カ月間の合計は285件となった。

 医療機関が院内調査を行い、同機構に調査結果を報告した件数は、6月が14件だった。累計では92件となった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/440263
シリーズ: 真価問われる専門医改革
新専門医制度の構築、「機構と学会が協同で」 -吉村博邦・日本専門医機構理事長に聞く◆Vol.1
議論を尽くし、学会や国民のコンセンサス得る

2016年7月8日 (金) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構の新執行部が7月4日、発足した(『日本専門医機構の理事長、吉村・北里大名誉教授が就任』を参照)。理事長に就任したのは、地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授の吉村博邦氏。日本専門医機構の前身の時代から、専門医制度の検討に関わってきた経験を持つ。

 地域医療に影響する懸念から、2017年度からの全面的な実施は見送られたが、いまだ今後の方向性が見えない新専門医制度をどのように舵取りしていく意向なのか――。吉村氏にお聞きした(2016年7月6日にインタビュー。計2回の連載)。

――まず日本専門医機構の理事長に選任された率直な思いをお聞かせください。

 本当に驚きました。日本専門医機構は、専門医の養成と認定を行う組織であり、専門医制度は医療提供体制にもかかわる大変重要な問題です。非常に重責で、私に務まるのかとも思っておりますが、精一杯努力します。

 今後の運営に当たっては、日本専門医機構のガバナンスの確立、基本的な姿勢・方針の確認、地域医療の確保・偏在対策という三つが重要だと思っています。

 ガバナンスの問題ですが、まず重要なのは、理事会でしっかりと議論を尽くすことです。専門医制度は、プロフェッショナルオートノミーに基づくものであり、社会、あるいは国からも、専門職能集団が自律的に運営することが期待されています。理事会の一部の意見だけでなく、幅広く医療界のコンセンサスを得ながら、議論を進めることが必要です。加えて財務、総務、広報の各委員会の見直し、充実も重要です。

 基本的な姿勢・方針としては、日本専門医機構と、各領域の学会が協同して専門医制度を構築することが重要だと考えています。理事会が意思決定機関であり、各学会の代表などが入る社員総会はその決定内容を報告する場という位置付けでした。このため従前の運営については、「学会ではなく、日本専門医機構が全て主導し決定して、決定したことに対しては従ってください」という姿勢であったと、指摘されることがありました。

 地域医療の確保・偏在対策については、都市部の研修プログラムの募集定員が多ければ、都市部に専攻医が集中する可能性があるので、そうならないように、日本専門医機構は募集定員は過去3年間の採用実績の1.1倍にするよう求めてきました。ただ、それに限らず、いろいろなアイデアがあると思います。

――2017年度からの専門医制度をどのように運営するかが、直近の課題です。

 スケジュールとしては、7月11日(月)に理事会を開催します。何を検討するかですが、日本専門医機構の現状と課題について、理事の皆さんに共通認識を持ってもらうことが第一。第二は、機構の基本的な姿勢や役割の確認です。

 今お話した通り、学会と協同して取り組むことが大前提。これまで各学会が運営してきた専門医制度を尊重し、それを生かしながら、いかに日本専門医機構と学会が役割分担をしていくかという視点が重要です。機構が全てを運営するのではなく、各学会の専門医制度を標準化するための調整役を果たす。その上で、公の資格として、認証する。さらに今後の医療提供体制を検討するために、専攻医や専門医の地域分布などを把握するためのデータベースを構築する。これら3つが、機構の主たる役割になってくるのではないでしょうか。

――1回の理事会で、それらの方針は決まるのでしょうか。

 決まるか決まらないかは別として、とにかく理事の皆さんの意見をお聞きすることが重要です。塩崎恭久厚労相は6月の談話で、プロフェッショナルオートノミーを尊重するとし、「国は当面意見を言わず、新しい体制を見守る」というスタンスです(『塩崎厚労相、新専門医制度への「懸念」理解』を参照)。日本医師会と四病院団体協議会も6月の声明で、「一度立ち止まって」考えるよう、求めています(『「学会専門医の維持を」、日医・四病協緊急会見』を参照)。

 日本専門医機構の今までの理事は、各基本診療領域(学会)から出ている理事ではなく、オールジャパンの体制には必ずしもなっていませんでした。これに対し、新理事は、学識経験者、一般の方なども含めたオールジャパンの体制ですので、そこで議論を尽くしていきます。

――新専門医制度については、さまざまな関係者から成る「検討の場」の設置が求められています。日本専門医機構の理事会がその場になるのか、あるいは新たに何らかに会議体を設けるのでしょうか。

 各ステークホルダーが入り、オールジャパンの体制なので、理事会は間違いなく一つの検討の場です。ここでまず議論を尽くす。一定の結論が出れば、基本診療領域の学会から成る「基本領域連携委員会」をなるべく早く開催する。さらに社員総会を開催し、了承が得られれば、それを各地域の協議会、あるいは厚労省の社会保障審議会医療部会などに諮る。理解が得られれば進めることができ、異論が出れば、もう一度、検討し直す。このようなやり取りを想定しています。「日本専門医機構が、こう決めたから」と言って、進めてしまうと問題が生じてくる懸念があります。

――先生は7月4日の理事長就任後の会見で、「一斉に始める」旨の発言をしています。

 「一斉に始める」というのは、基本診療領域の学会について、「本学会は来年4月から、機構と一緒に実施します」「本学会は1年先になります」「新しい専門研修プログラムは用いますが、学会主体でやります」などと意見が出揃い、各学会の方向が決まるという意味として理解してほしいと思います。「一部の学会だけは、方針が決まらない」といった事態は避けたい。

――それを決める目途はいつでしょうか。

 8月にずれ込むかもしれませんが、できれば7月中に、とは思っています。

――既に、2017年度については学会独自の実施を決めているケースもあります。一方で、日本専門医機構と一緒に実施する場合は、どんなやり方が想定されるのでしょうか。専門研修プログラムの審査などはどうなるのでしょうか。

 日本専門医機構が認定する専門医制度をどのように位置付けるか、機構と学会の役割をどう分担していくかは、まさに今後の検討課題です。いろいろなやり方はあるでしょうが、学会独自で方針を決めるのではなく、機構と学会が話し合い、地域医療への影響も検討しながら、「このような基準で専門医制度をやります」という合意を得て進めていくことが、「一緒にやる」という意味だと思います。これまでは、日本専門医機構が、一方的に決め、それに従わないと認めないという姿勢が、関係者のストレスになっていたとも指摘されています。

 各基本診療領域の専門研修プログラムに関する1次審査を終えたのは、19領域を合わせて2877、募集定員は約1万9000人です。さらに各学会とも募集定員の調整に努力しているので、定員は現段階ではより少なくなっています。ただ、日本専門医機構と学会が一緒にやる場合でも、時間的に2次審査を行う余裕はなく、1次審査したものを理事会で承認するなどの形になるのでしょう。

 専門医の認定証には、学会が独自でやる場合には学会の名前が、学会と日本専門医機構が一緒にやる場合には、両者の名前が入ることになるのだと思います。

 もっとも、2017年度から専門研修を始めたからと言って、すぐに認定するわけではありません。最初は学会独自で開始しても、後からそれを機構が追認する場合もあり得るでしょう。リジッドに考えなくても、いろいろな方法があると思うのです。

――日本専門医機構と学会が一緒にやる場合、研修医登録のデータベースを使うことが前提なのでしょうか。
 その辺りも今後の検討課題です。

――日本専門医機構と学会の役割分担ですが、機構が大きな組織としてやるのか、あるいは学会が主体でそれを支援するようなやり方なのか、という点についても今後の検討課題だと思います。いずれにせよ、最終的に第三者機関として日本専門医機構が認定する専門医制度は必要だとお考えでしょうか。

 はい。各領域の専門医制度を標準化して、それを公の資格とするためには必要だと考えています。



http://biz-journal.jp/2016/07/post_15836.html
連載 宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」
最も高い「がん消失」率のがん治療薬誕生!抗がん剤よりはるかに効く!根治切除不能でも治療

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士
2016.07.10 Business Journal

 日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで命を落とすといわれています。日本人の死因トップであるがんの治療は、主に3大治療といわれる外科的手術、放射線治療、そして化学療法(抗がん剤治療)によって行われています。
 しかし、このがん治療が大きく変わる可能性が出てきたのです。日本の医療体系を覆してしまうかもしれない薬の名前は「オプジーボ」(一般名:ニボルマブ)といいます。がん細胞によってブレーキをかけられていた免疫細胞を解放し、自分の免疫力を使ってがん細胞を攻撃する新たな免疫治療薬(免疫チェックポイント阻害薬)としてオプジーボが承認されたのです。
 世界に先駆けて免疫チェックポイント阻害薬を実用化したのは、関西の中堅製薬会社である小野薬品工業です。
 本連載では、オプジーボに関して効果や副作用などを細かく検証してみたいと思います。今回は、オプジーボが誕生するまでの流れをみてみます。

オプジーボががんに効く仕組み

 2012年、「オプジーボが従来の抗がん剤と比べ、極めて有効」という論文が臨床医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載され、「過去30年で試みられたがん免疫療法で、最も高い奏効率(がん消失、または一定割合以上縮小した人の割合)」と称されました。この論文は、国際的な経済新聞である「ウォール・ストリート・ジャーナル」などでも大きく取り上げられ、世界的な革命技術として13年には米科学誌サイエンスがその年の画期的な研究に与える「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー」のトップを飾りました。
 14年9月に台湾・台北市で開かれた「唐奨」の授賞式で、オプジーボの生みの親である本庶佑(ほんじょたすく)京都大学客員教授が表彰されました。唐奨は「東洋のノーベル賞」ともいわれている権威ある賞です。免疫学の第一人者である本庶氏のグループが、がんと戦う免疫機能を高める上でカギを握る「PD-1分子」を発見したことが評価されての受賞でした。
 この分子が、オプジーボを生み出したのです。オプジーボは、米医薬品会社のブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)と小野薬品が共同開発した薬です。日本では、小野薬品が世界に先駆けて14年7月、根治切除不能な悪性メラノーマの治療薬としてオプジーボの製造販売承認を取得しています。これにより、オプジーボは世界で初めて承認を取得した免疫チェックポイント阻害薬となったのです。今や米メルク、スイスのロシュなど世界の製薬大手もこの仕組みを使った免疫薬の開発を加速させています。

 がん細胞やウイルスなどと戦う免疫細胞は、攻撃を仕掛ける「アクセル」の役目と、相手が敵か味方かを判断して攻撃を抑える「ブレーキ」の役目があります。がん細胞は、免疫細胞から攻撃を受けそうになると、逆に免疫細胞のブレーキを働かせて自分を攻撃してこないようにしてしまうのです。オプジーボは、このブレーキが働かないようにして免疫細胞に本来の力を発揮させてがん細胞への攻撃を再開させるのです。
 もう少し詳しくそのブレーキがかかる仕組みを説明しましょう。
 免疫チェックポイントは、本来免疫の暴走を防ぐ仕組みのことで、これをがん細胞は悪用しているのです。がん細胞の表面にある「PD-L1」というタンパク質が、免疫細胞表面の「PD-1」というタンパク質をつかみます。するとPD-1をつかまれた免疫細胞はマヒして動けなくなり、がん細胞を攻撃できなくなるのです。オプジーボはPD-1をあらかじめブロックして、がん細胞のPD-L1がつかもうとしても、つかめないようにする薬なのです。

オプジーボ誕生までの紆余曲折

 オプジーボの開発は1992年に遡ります。本庶氏のグループは未知の分子を見つけ、PD-1と名付けました。その働きを突き止めるためPD-1を人工的に失わせたマウスに、関節炎や腎炎など、免疫が過剰に働くと起きる症状が現れることを確認し、99年にはPD-1が免疫抑制に関わっている仕組みを解明しました。
 本庶氏らは2002年、これらの成果を論文にまとめ「いずれ、がん治療はこの免疫療法が主流になるはずだ」と期待を膨らませましたが、論文はほとんど報道されなかったのです。
 薬の開発も、思うようには進みませんでした。開発を依頼した製薬会社はどこも前向きには捉えてくれませんでした。当時も、免疫システムを使うがん免疫療法は3大治療に並ぶ「第4の治療法」と期待されていましたが、大半は成功せず実現は夢物語といわれていたのです。
 逆風の中、本庶氏の恩師である京都大学早石修教授(当時)と付き合いのあった大阪の小野薬品が理解を示し、共同開発が始まったのです。
 しかし、まだ試練が続きます。薬をつくるには、PD-1分子の働きを邪魔する「抗体」が必要でしたが、小野薬品には抗体をつくる技術がありませんでした。抗体技術のある国内の会社13社に打診しましたが、すべてから断られてしまいます。
 国内では協力者が見つからなかったので海外に打診し、米メダレックスが抗体をつくってくれることになったのです。メダレックスは、がん免疫に取り組んでいた会社で、PD-1にも強い興味を持ってくれたのです。後に世界初のがん免疫薬「ヤーボイ」も創製されました。11年には、メダレックスがBMSに買収され、小野薬品とBMSのチームができあがりました。
 こうして、米ベンチャー企業との提携で抗体を入手することができ、オプジーボは誕生したのです。

日本発の新薬に世界が注目

 しかし、ヒトでの臨床試験もかなり苦労したようです。実際の治療薬候補が完成し治験が始まったのは06年ですが、前述のとおりがん免疫療法自体が信頼されていなかったので、がん専門病院に臨床試験を頼んでも積極的には使ってもらえなかったのです。
 病院には、臨床試験中の抗がん剤が山ほどあり、オプジーボを積極的に使おうというところがなかったのは仕方がない状況でした。しかし、長い時間をかけ少しずつ患者さんの登録が実現していきました。すると、オプジーボは劇的な効果を示したのです。こうなると、医師の中でオプジーボの優先順位が最も上になりました。そこから臨床試験も加速度的に進み、オプジーボが実用化されるに至ったのです。
 免疫をつかさどるPD-1がつくり出す分子を「チェックポイント(関門役)」に見立て、オプジーボは免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれます。
 小野薬品には血流改善薬「オパルモン」とアレルギー性疾患治療薬「オノン」の2つの主要薬がありますが、特許切れや後発薬の攻勢もあるなか、オプジーボ効果で小野薬品の市場評価は急速に高まっています。株価も今年に入って急騰しています。
「今後、数年でオプジーボのロイヤルティーだけでも年数百億円は堅い」「オプジーボは単独の薬で20年には予想売上高が83億ドル(約1兆200億円)に達し、世界3位になる」との分析もあります。
 がんの新たな治療法の扉を開け、超高額の薬価を叩き出したオプジーボ。日本発の免疫チェックポイント阻害薬に世界の目が注がれています。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)

●宇多川久美子 薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)など著書多数。


  1. 2016/07/10(日) 07:10:43|
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