Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月7日 

http://webronza.asahi.com/national/articles/2016070400001.html
テーマ塀の中の医師不足をどう解消するか
深刻化する刑務所の医師不足
解消のため、派遣される医師にインセンティブを与える制度を

日向正光
2016年07月05日 朝日新聞 WebRonza

 一般社会では医療崩壊・医師不足が叫ばれて久しいが、それに劣らず矯正施設の医師不足問題も深刻である。全国の刑務所や少年刑務所などの矯正施設には医師を配置することになっているが、インターネットで刑務所医師の募集案内をみると平成28年6月現在、全国に8つある矯正管区のうち広島矯正管区以外の約40カ所の矯正施設で医師募集が行われている。

 その中を見ると約3000人を収容できる東京拘置所や府中刑務所などの大規模施設をはじめ、医療刑務所や複数の少年院や医療少年院なども医師募集がかかっている。しかし、医師が充足される様子は一向にない。なぜこれほどまでに矯正施設に医師が赴任しなくなってしまったのであろうか。

医師不足の原因の1つに新臨床研修制度

 矯正施設の医師不足の原因の1つとして平成16年4月から施行された新臨床研修制度が挙げられる。これまでの臨床研修制度は医師免許を取得後、主に自分の出身大学または自分の出身地に近い大学の医局等に所属することにより、医局関連の単一診療科のストレート研修が行われていた。私のように臨床研修指定病院の1つである虎の門病院等で複数の診療科を研修するローテート研修を行うことも認められていたが、当時ローテート研修を選択する医師は少数派であった。

 ところが、地域医療との接点が少なく、専門の診療科に偏った研修が行われ「病気を診るが、人を診ない」と評されたり、研修医の処遇が不十分でアルバイトをせざるを得ず、研修に専念できない状況があったり、研修内容や研修成果の評価が十分に行われてこなかった。

大学で研修する医師が大きく減少、刑務所派遣の医師も引き上げに

 以上の理由からプライマリケア(病気の初期診療)の基本的な診療能力を修得するとともに、アルバイトをせずに研修に専念できる環境を整備する目的などから、卒後目指す進路に関係なく2年間は内科・外科などの複数の診療科を回るローテート研修を義務づけることになった。このシステムが開始されたことにより全国で研修医の争奪戦となり、多くの民間病院も募集を開始したため研修医の半数以上が大学病院以外に流れ、大学で研修する医師が大きく減少することとなった。

 そこで研修医を当てにしていた医局が人員不足に陥り、やむなく関連病院に派遣していた医師を引き揚げたことで、地方や僻地(へきち)の病院が医師不足になってしまったのである。そして新制度以前は大学院生や無給医局員の受け入れ先として機能していた刑務所も、同様に医師を引き上げられてしまい、医師不足に陥ってしまったという訳である。福島刑務所も新制度が始まる前までは大学の皮膚科と精神科の医局が常勤医師の派遣をしていたのだが、同時に医師派遣を終了することになった。おそらく、他の刑務所でも同じ時期に同様の問題が起こっていたはずである。

受刑者が患者という特赦な状況もネックに

 また、患者が全て受刑者という特殊な状況もネックになっている。一般社会と比べて医師・患者間の信頼関係を結びにくく、治療がうまくいっても感謝されることが少なくない上に、治療に難渋すると罵声を浴びせられるなど暴言や暴力、訴訟に巻き込まれる可能性も否定はできない。実際に私も暴言を吐かれ、医療訴訟にも3件巻き込まれている(全て原告側の一審敗訴ではあるが)。

 また受刑者である患者の訴えが真実かどうか、その訴えにある背景には何があるか等、医療以外のことにも配慮する必要がある。残念ながら、受刑者の多くは、詐病また症状を誇張している可能性が高く、本人の訴えと身体所見や客観的な事実が乖離している場合が少なくない。

 さらに職員にも「また詐病ではないか」という先入観が生まれやすく、職場のモチベーションを維持するのが困難である。しかし、そういった多くの詐病や症状を誇張した患者の中に埋もれて、本物の重症患者が隠れていることがあるため、刑務所で医療をすることは一般社会以上に気を遣い、慎重で適切な判断が必要になるので非常に大変である。

 さらに、刑務所で医師として働くためには、これまでの診療のスタイルを根本から変えなくてはならない。病院ならすぐにオーダーできる内視鏡やCT・MRIなどは医療刑務所などの一部の刑務所を除いて一般の刑務所にはまずない。それらの検査のために外部病院に受刑者を搬送するとなると公用車を用意して刑務官3人を同伴させなければならない。さらに入院治療となると刑務官が3交代で1日9人の配置が必要な上に、受刑者は無保険のため莫大な医療費を刑務所が負担しなければならないことになる。

 よって、受刑者の病状だけでなくそのような人的、時間的、経済的コストを考慮しても検査を行う緊急性・必要性があるのかどうかを常に検討しなければならないのだ。万一、詐病を見抜けず外部病院に搬送して興奮・暴力沙汰になったり、また逃走されたりしたら刑務官たちの信用を失うどころか、当該病院から以後全ての受刑者の診療は一切受けつけられなくなってしまうことになる。刑務所の近くに病院はいくつもあってもすぐに搬送できない様々な事情があるため、刑務所は医療に関して常に「陸の孤島」なのである。

 刑務所での診療は自分の問診や診察などの技術とわずかな検査機器、あとはこれまで経験した症例の質と数、そして「何となくおかしい」といった自分の勘だけが頼りである。自分のプライマリケアの診療能力が試される場所であると同時に、 ・・・続きを読む(要会員契約)
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http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49157.html
新専門医制度、一部の学会に“離脱”の動き- 「現行制度で行う」と表明
2016年07月07日 19時00分 キャリアブレイン

 来年度から始まる予定の新専門医制度をめぐり、一部の学会が“離脱”の動きを強めている。新制度の第三者機関として日本専門医機構(機構)が準備を進めてきたが、医療界から医師の地域偏在を悪化させるとの懸念が相次ぎ、制度の再検討が求められているためだ。新たに設置される「検討の場」での議論を踏まえるとし、新制度を導入するかどうかの判断を“保留”する学会に加え、来年度の研修は「現行制度で行う」とし、新制度ではなく従来の方法での実施を表明する学会も出てきた。【新井哉】


 日本皮膚科学会は6日、同学会認定専門医の研修施設の指導医らに対し、来年度の研修は、現行の制度で行う方針を示した。来年度の研修医(専攻医)の募集については「従来通り各施設で行う」と説明。2018年度以降の募集と研修は「機構の新体制と協議を行い、検討する」とした。

 日本脳神経外科学会も同日、専門医制度に関する声明を出した。「本年度中に機構がどこまで制度整備可能か明確でない」とした上で、「揺らぐ制度に中途半端に移行することは研修医、専攻医、専攻医教育現場、地域医療の混乱を引き起こす」との懸念を示し、来年度は「従来通り学会の研修プログラムによる専攻医募集を行う」とした。

 日本眼科学会も「新専門医制度への対応について」と題した見解をホームページに掲載。来年度の専攻医の専門研修は「学会独自に運用する」とし、各基幹研修施設の定員数は「専門研修プログラムの第一次審査で地域医療に配慮し全国調整をした専攻医の定員数とする」とした。また、中・小規模の連携研修施設や認定研修施設でも一定の研修が行えるように「施設要件、専門研修指導医要件などは量的、質的ともに本学会独自に柔軟な形で対応する」との方針も示した。

 当面は判断を“保留”する学会もある。日本産科婦人科学会は、新設される検討の場で集中的に協議し、理解が得られれば、来年度から新制度による研修を開始するとの立場だ。ただ、検討の場での結論に時間がかかり、新制度を開始できる見通しが立たない場合、来年度に関しては「7月末をめどに現制度で研修を実施する判断をする」と説明。日本内科学会も同様の立場で、見通しが立たない場合は、従来通りの方法で研修を行う判断をするとしている。



http://www.asahi.com/articles/SDI201607061185.html
多すぎる薬による不適切処方への対処法
 アピタル・渡辺千鶴
2016年7月7日16時42分 朝日新聞

 年齢を重ねるほど生活習慣病など何かしらの病気を抱えるようになります。通院治療すると、どうしても服用する薬の数が増えてしまいます。しかし、患者や家族からすると、「そんなに飲む必要があるのだろうか」「体に害を及ぼすことはないだろうか」という相互作用などへの不安もあります。薬の数を減らせたらいいと思っている人は少なくありません。このような場合、どうすればよいのでしょうか。(アピタル編集部)

 「78歳になるうちの母は、高血圧症に糖尿病を患ってコレステロール値も高いから、すでに5種類の薬を飲んでいるのよ。この間はめまいがすると言って耳鼻咽喉(いんこう)科を受診したら、さらに2種類の薬が処方されて、結局、毎日飲んでいる薬が7種類になっちゃったのよ!」

 こういう話はよく聞きます。高齢になると複数の病気を併せ持つため、それぞれの症状に応じて受診しているうちに、薬の数がだんだん増えていきます。

 2014年のデータをもとに厚生労働省が調べたところ、60代後半の人が処方される薬は平均3.5剤ですが、70代後半になると4剤になり、85歳以上では5剤になるという具合に、年齢を重ねるにつれて処方されている薬の数は多くなっていました。さらに2つ以上の慢性疾患を抱えている高齢者は平均6剤の薬を飲んでおり、認知機能が低下して自分では薬の服用や管理が難しくなっている認知症の高齢者にも、6剤以上の薬が処方されていました。

 こうして服用する薬の数が多くなるのに伴い、相互作用も出やすくなります。東京大学病院老年科に1995年~2010年の間に入院した高齢者を対象に投薬数と相互作用などの関係を調べた研究(2012年)では6剤以上の薬を飲んでいる患者さんだと相互作用などの問題が特に起こってくることが明らかになっています。そして、薬の相互作用で起こった症状に対応するために新しい薬が追加されて薬の数がさらに増えるといった悪循環にも陥りやすいのです。


■「自分が必要とする薬を選んで飲む」自衛策はキケン

 このように「必要以上にたくさんの薬を飲んでいて、薬によって相互作用など体に害を及ぼす症状が起こっていること」を医学的には「ポリファーマシー」と呼んでいます。このポリファーマシーについて、ようやく最近になって薬剤師や内科医を中心に関心を持たれるようになりましたが、以前から高齢者の中にはたくさんの薬を飲むことを心配して自衛策をとる人もいました。すなわちそれは「自分が必要とする薬だけを選んで飲む」という行為です。

 しかし、薬を飲むことを勝手に中止すると症状が悪化したり、思わぬ合併症を引き起こしたりすることもあるため、この自衛策はとても危険です。そもそも高齢者の場合は、この薬が自分の病気や症状にとって必要かどうかというよりも、薬のかたち(錠剤、カプセル剤、粉薬、シロップ剤など)が飲みやすいかどうかを優先する人が多いといった話を内科医から聞いたことがあります。いずれにせよ、自己判断で薬を選んで飲むことはやめましょう。

●日本薬剤師会「高齢者と薬」
 http://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2008/01/3_kusuri.pdf 


■かかりつけ薬局を1カ所に決め「お薬手帳」は必ず持つこと

 では、高齢者が自分ですぐにできるポリファーマシー対策とはなんでしょうか。まず薬をもらうかかりつけ薬局を1カ所に決めて「お薬手帳」を必ず持つことです。これにより内科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、歯科など、いろいろな診療科でもらう薬を一元的に管理できます。そして、お薬手帳は診察券や保険証とともにいつも持ち歩き、薬局の薬剤師にはもちろんのこと、診察してくれた医師にも必ず見せるようにしましょう。この対応で同じような薬効を持つ薬の重複投与を避けられる可能性が高くなります。余談ですが、生活習慣病など慢性疾患の治療薬をもらうために定期的に同じ薬局を利用する場合、お薬手帳を提示したほうが薬の調剤料などの自己負担金が安くなります。

 また、5~6種類以上の薬剤を服用している高齢者は2016年4月に創設された「かかりつけ薬剤師」制度を利用するとさらに安心です。かかりつけ薬剤師は、医師が処方する医薬品だけでなく、市販薬、サプリメント、健康食品などを含め、高齢者がふだんから服用しているすべての薬について一元的かつ継続的に管理し、各診療科の主治医とも連携しながら高齢者が必要な薬を安心して飲めるように24時間態勢でサポートしてくれます。

 日頃、薬局を利用する中で信頼できる薬剤師に出会ったときに「かかりつけ薬剤師」になってもらうとよいでしょう。この制度は利用者の同意が必要となるため、書面で契約することになります。また、利用者がかかりつけ薬剤師を自由に選べる制度なので、いったん契約を結んでも途中で薬剤師を変更することも可能です。なお、利用にあたっては1割負担の人は1回あたり70円、2割負担の人は140円、3割負担の人は210円の自己負担金がかかります。

●メディカル玉手箱「本当に頼りになる薬局の見分け方」
 http://www.asahi.com/articles/SDI201603221908.html


■高齢者が入院したときは薬を減らせるチャンス!

 2016年4月から医療機関でポリファーマシー対策を行った場合、診療報酬(医療保険から医療機関に支払われる治療費)が適用されるようになったので、この対策に取り組む病院や診療所も増えています。病院の場合は入院患者を対象とすることが多く、入院したとき、病棟で働いている薬剤師が手術や入院治療に備えて家で飲んでいたすべての薬をきれいに整理してくれます。その際、ポリファーマシーの観点から薬の内容をチェックし、必要のない薬を服用していると判断したら主治医と相談して減らしてくれることがあります。

 つまり、高齢者が入院したときは薬を減らせるチャンスなのです。診療報酬では6種類以上の内服薬を4週間以上飲んでいる人が対象となりますが、処方されている薬の数が多くて気になる人は、薬剤師が服薬指導で病室に回ってきたときにぜひ相談してみましょう。そして入院中にポリファーマシー対策をしてもらったら、家に帰ってからも継続できるように診療所のかかりつけ医にお薬手帳を見せて退院時の処方内容を知らせておくことが大切です。

 また、通院患者の場合も入院患者と同様に6種類以上の内服薬を4週間以上飲んでいる人が診療報酬の対象となりますので、この条件にあてはまる人は主治医やかかりつけ医に一度相談してみるのもよいでしょう。病院の中には「ポリファーマシー外来」を設置しているところも出始めています。なお、診療報酬が適用された場合、患者が支払う自己負担金は入院・外来ともに1割負担の人で250円(入院/退院時に1回、外来/月1回)、2割負担の人で500円(同)、3割負担の人で750円(同)になります。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49156.html
在宅酸素療法の引火事故、昨年以降8人死亡- 厚労省が注意喚起
2016年07月07日 17時00分 キャリアブレイン

 厚生労働省は7日までに、在宅で主に肺の病気の治療に使う「酸素濃縮装置」などの使用中に引火したとみられる火災について、昨年から今年にかけて計9件発生し、患者8人が死亡したことを明らかにした。「酸素は燃焼を助ける性質が強いガスで、火を近づけると大変危険」とし、たばこなど火気の取り扱いに注意を払うよう呼び掛けている。【新井哉】

 厚労省によると、2003年以降、日本産業・医療ガス協会が事例を集計しており、火災は今年6月末時点で61件あり、計58人の患者が死亡した。これまでは喫煙や漏電などが疑われるケースが少なくなかったが、昨年2月以降発生した9件のうち、喫煙が原因と疑われた1件を除き、いずれも原因が不明となっている。

 酸素濃縮装置は、室内の空気を取り込んで圧縮し、酸素を管で患者に送る仕組み。慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺結核の後遺症など、呼吸が困難になる疾患の患者が在宅で生活するために使われている。

 同協会によると、国内の在宅酸素療法の患者数は、推計で約16万人。厚労省は注意事項を記載したパンフレットを作成しており、装置の使用中は周囲2メートル以内に、火の付いたたばこやストーブ、ガスコンロを置かないことに加え、「患者はもちろん、その周りの人も酸素吸入中は、絶対にたばこを吸わないで」と注意を促している。



https://www.m3.com/news/general/439828
開業医30%、産前休めず 出産後すぐに働く人も
2016年7月7日 (木) 共同通信社

 全国保険医団体連合会(保団連)は6日、会員の女性開業医のうち、30%弱が出産前に一切休めず、約80%が産後8週間の休暇を取得できていないとのアンケート結果を公表した。出産後に休まずに働いた人もいた。

 労働基準法は、事業主は従業員から休暇の求めがあれば出産前6週間、産後は原則として8週間は従業員を働かせてはいけない。事業主の開業医はこの休暇の対象外で、代わりの医師の確保なども難しく産前産後も休めない場合が多いという。

 調査は昨年7~9月に実施。開業後出産した35歳以上の医科、歯科の女性医師123人、出産数210件の休暇取得状況をまとめた。産前休暇0日は全体の27・1%、1~10日は26・2%で、30日以下が83・8%だった。産後休暇0日だったのは4・3%。30日以下は71・0%で、8週間に満たない50日以下が76・2%に上った。

 保団連は今後、代わりの医師の紹介システムや、休む間の経済保障の仕組み創設などを厚生労働省に要請する。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/1000research/201607/547505.html
連載: 医師1000人に聞きました
医師3404人に聞く「揺れる新専門医制度、どうすべき?」
医師の半数が「従来の学会主導」を支持
「第三者認定による新制度への移行」を支持は3割弱

2016/7/8 大滝 隆行=日経メディカル

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図1 新専門医制度の今後について、どう思いますか。(n=3404)

 医師偏在を助長するとして再考を求める声が高まり、全面実施が見送られつつある新専門医制度。2017年度以降の後期研修について、第三者機関(日本専門医機構)の認定に基づく制度に移行するか、従来の学会主導の制度のままでいくかの決定は各学会に委ねられることになった(関連記事:新制度で始めるか否かは学会次第)。

 地域医療の第一線で若い医師を指導する立場の医師たちは、専門医制度の今後についてどう思っているのだろうか。Webアンケートで聞いてみた。アンケートでは次の4つの選択肢を用意し、自身の考えに近いものを1つだけ選んでもらった。

(1)当初の予定通り、2017年度から19の基本領域全てで新制度を始めるべき
(2)第三者認定による新制度を行うべきだが開始時期は各学会の判断で構わない
(3)従来の学会主導の制度のままでよい
(4)関心はない

 回答した3404人の医師のうち、50.2%の医師が「従来の学会主導の制度のままでよい」と考えていることが分かった(図1)。一方、「当初の予定通り、2017年度から19の基本領域全てで新制度を始めるべき」との考えを支持した医師は9.6%にすぎず、「第三者認定による新制度を行うべきだが開始時期は各学会の判断で構わない」とした17.3%を合わせて、第三者機関の認定に基づく新制度への移行を望む医師は3割弱にとどまった。

 もう1つの設問は、「新専門医制度は医師のプロフェッショナルオートノミーを前提とした制度であるが、来年度(2017年度)の方針がこの時期になっても定まらない状況について、医師としてどう思うか」。自由記述の中から主な意見を次ページに示す。
 
●来年度、後期研修に進む2年次初期研修医が気の毒

・実際に研修を始める立場だとつらいかも。制度に振りまわされている人たちはかわいそう。とりあえず開始し、後期研修には影響がないようにしてほしい。(40代勤務医、一般内科)

・正直困っています。新制度だと既にエントリーが終わっている予定でした。これから数施設の見学、試験となると現病院での調整が難しいです。(40代勤務医)

・来年度が専門医更新の年に当たっているので、正直困ります。(40代勤務医、小児科)

・2016年度に研修医2年目の者です。新専門医制度初年度に該当する予定となっていた年次のため経過を注視しておりました。制度によって大きく影響を受ける者のことも考えて、決断を早期にしていただきたい。(30代勤務医)

・制度を決める人たちにとっては開始を2017年にするか2018年以降にするかの問題ですが、2017年に初期研修を終える人たちにとっては大きな問題で、えらく迷惑がかかっています。この混乱自体が医療に悪影響を与えるので、ともかく早く方針を決定すべきです。(40代勤務医、呼吸器外科)

・来年度の新入局員がどうなるのか分からないので非常に困っている。自分としては新専門医制度は不要であると思っている。(40代勤務医、消化器内科)

●今になって変更するのはおかしい

・新制度に向けて準備してきた医療機関もあるのに、何の対応も考えてこなかった病院の意見を取り入れて、なし崩し的に見送られることになるのは残念。(30代勤務医、整形外科)

・日本専門医機構側にも問題はあると思いますが、後出しじゃんけん的に意見する側にも問題はないのか?と思います。いろいろ準備するのに苦労したのでやるならやってほしいです。(40代勤務医、一般内科)


・新専門医制度の検討はすでに1999年から22学会で行われ、専門医機構へは日本医学会、日本医師会、医学部長病院長会議、四病院団体協議会が加わり検討を重ねてきたものである。自分たちが決めたことをいまさら最後の最後でひっくり返そうとすることに、大きな自己矛盾を感じる。問題点はもっと早くから分かっていたはずである。新プログラムの制度が各団体上層部の高齢者には理解困難だったのであろうが、理解しようとする気もなかったのは容易に想像がつく。2年目研修医がひたすらかわいそうである。(40代勤務医、消化器内科)

・そもそも学会主導での専門医制度に問題があるとして始めようとした新専門医制度のはずが、結局はその制度設計やカリキュラム作り、試験など、全て各学会が主体となって作成している。ケチをつけられた学会としてのプライドはないのかと疑いたくなる。新たに作るのであれば、学会は手を貸さずに専門医機構が独自に作ればよいし、学会は広告など国のお墨付きに左右されず独自路線を貫くべき。(40代勤務医、放射線科)

・今更何をか言わんやというのが正直なところです。再考を求めるというのなら、なぜもっと早くから声を大にして言わなかったのか、関係団体もずるいように思えてなりません。結局、末端の医師だけが振り回されていますし、ましてやこれから専門医を取得しようとする若い医師にどのように説明すればいいのかと思ってしまいます。新制度はいろいろと不備もありますが、ここまで来た以上動き出すしかないのではないかと思います。(50代勤務医、精神科)

●現行の新専門医制度なら中止する方がいい

・現状の制度では、大学病院での研修が必須になっているところが多くなり、新たな医局囲い込み制度に思えてしまう。本当によき専門医が育成できるのかどうか疑問である。独立型の市中研修病院や、徳州会・民医連などの反主流的な民間組織の衰退を目指しているように思える。(40代勤務医、リハビリテーション科)

・新専門医制度は医師のプロフェッショナルオートノミーと言っておきながら、まったく一般病院の勤務医の自律的な制度になっておらず、あからさまに医局制度を復活させたい人たちだけのための制度になっている。くだらないことは時間の無駄であるのでやめたほうがよい。(50代勤務医)

・日本人は議論が下手。つまり空気を読んで自分の意見を率直に話すということがないから、後で異論が出てきて収拾がつかなくなる。本来は第三者機関による新制度でやるのがいいと思うが、得体の知れない役人的な人が先行して制度を決めてしまったように思う。(60代勤務医、一般内科)

・本来の目的が揺らいでいる。このようになることはある程度わかっていたはずなのに、振り回される方はたまったもんではない。新専門医制度や日本専門医機構を設立する段階で反対しておいてほしかった。(50代勤務医、代謝・内分泌内科)

・病院では、プログラムのために相当の時間を費やしています。良い制度ができるとは思えない。中止してもらいたい。(50代勤務医、総合診療科)

・お役所仕事の究極像。国がどういう医療ビジョンを描き、どのような医師を育てたいのか明確に見えない。単なる社会保障費高騰のなかで、非専門医の切り捨てによる質の向上を狙っているだけなら、もってのほかである。(50代勤務医、麻酔科)

・来年の方針がこの時期になっても決まらないのは、日本医師会や厚労省から横槍が入って、医師のプロフェッショナルオートノミーによる専門医制度を運営できていないからだ。(50代勤務医、心臓血管外科)

・全ての専門医が、大学教授によって決められている現実がある。もう少し、現場の病院代表、開業医代表、若手医師代表などから成る専門医制度検討委員会が各学会に必要。全ての利害が大学教授に流れているように見える。真に医師の未来を考えているとは思えない。(40代勤務医、一般内科)

・初期研修制度と比較して、新専門医制度では、ビジョンも予算も人員も情熱もすべて不足しているように思います。諸外国と比べ、各学会組織が貧弱で、実質的に各大学医局に依存して実質的な実務をこなし、プロフェッショナルオートノミーと言いながら、日本医師会は役員の構成や事業内容が開業医中心とした利益団体としての性格が強く、役員も勲章ほしさのおざなりな活動であり、ロビー活動もままならない状況と思われます。日本医師会も保険医協会も実質的に政党の下請け団体に他なりません。(60代勤務医、小児科)

・日本医師会が地域医療の問題を理由に、専門医制度の開始に反対したり、自らが地域偏在の解消を担うなどというのは筋違い。各学会が自信をもって、地域医療も十分考慮した仕組みをもって即刻開始すべし。(60代勤務医、代謝・内分泌内科)

●延期してもっと議論を尽くすべき

・突然2017年より実施予定としたことが良くないのでは……。2020年とか時間的余裕を持たせれば問題がなかったのではないかと思います。(50代開業医、一般内科)

・予定通り、医師主体で決めてよいが、日本医師会は医師全体の声を代表していない(開業医の利益を代表)し、専門医の養成・教育にもほとんど関与していないので、発言を控えるべき。国は、はっきりとインセンティブを認めるべき。誰でも、どこでも、どの医療機関を受診するか、勝手に選択できる、現在の無制限アクセスをやめることが大前提。それらの条件が担保されるなら、医師以外の自治体代表者・保険支払い側・医療を受ける側の方の意見を参考にしてよいと思う。(40代勤務医、小児科)

・理想と現実の乖離が大きすぎる。色々な意見をくみ上げて試行期間を設けるべき。(40代勤務医、消化器内科)

・利害関係が対立していて本質が見失われているのだと思う。地域医療がどうこうと言ったところで、今以上に地域医療が悪化するとは思えない。(60代勤務医、リハビリテーション科)

・利権が絡むことだし、そう簡単にはまとまらないでしょう。そんなことより保険点数で優遇されるのなら専門医維持にも意味があるのですが。(50代勤務医、整形外科)

・臨床現場の現状と専門医制度のギャップがあり過ぎる。医師個人のレベルアップが本来の目的と思うが、それ以外の要素に問題あり(病院のレベル、医師個人のレベル、一般社会受けなどに利用される:患者の利益につながらないケースがあり得る)。(60代その他、一般内科)

・本質が忘れ去られて非常に下らない議論になりさがった。(40代勤務医、眼科)

・卒後から小規模病院でへき地の地域を守る仕事をしてきて、専門医を取る条件さえも満たせずに来た医師にとっては、専門医って「何が専門医だ。偉そうにもの言って……」としか感じていません。方針が決まろうが決まらなかろうが関係ありません。(50代勤務医、一般内科)

調査概要 日経メディカル Onlineの医師会員を対象にオンラインアンケートを実施。期間は2016年6月28日~7月5日。有効回答数は3404人。年代の内訳は、20歳代64人(1.9%)、30歳代550人(16.2%)、40歳代981人(28.8%)、50歳代1280人(37.6%)、60歳代480人(14.1%)、70歳以上47人(1.4%)。


  1. 2016/07/08(金) 05:35:05|
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