Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月5日 

http://www.huffingtonpost.jp/kaoru-kawai/healthcare-die_b_10800424.html
勤務医の約6割が「過労死」の危機ーブラック化する医療現場ー
河合薫 (健康社会学者、気象予報士)
投稿日: 2016年07月05日 10時37分 JST ハフィントンポスト

「せがれが過重労働とパワハラで、体調を壊してしまいましてね。......真面目にやってきたのに、かわいそうで。『人の命は何よりも重い』と教育されてきたけど、医者の命だけは軽く扱われているんです」

この男性の息子は、某病院の勤務医の34歳。昨年、電車の中で意識を失い、病院に搬送。
現在、自宅で療養している。

男性によれば、息子さんは当直のあとも、通常の勤務を行うのが日常茶飯事。連続36時間勤務したあとも、「勉強しないと、新しい知識がアップデートされない」と自宅で勉強していたという。

職場では、上司の医師からのパワハラもあり、患者の家族からは、理不尽な要求を突きつけれることも多かった。

他の病院の勤務日でいなかったことに、腹をたてた家族から、
「なんで担当医がいない。これじゃ、家族には親の病気の状態がどうなっているかわからないじゃないか!勝手な治療は許さん。医者を呼べ!」とクレームをつけられ、その後もことあるごとにクレームを言われたそうだ。

「退院するときにいないと、不機嫌になる家族も多い。私たちの世代は、『お医者さま』でしたけど、今は『患者さま』。医者は24時間365日働いて当たり前とでも思っているんでしょうか。 もっと私も息子のストレスをどうにかしてあげられればよかったんでしょうけど、彼が極限状態まで追いつめられていることに気付いてあげられなかった。かわいそうなことしてしまったな、と反省しています」

 
男性はこう言って肩を落とした。病院も、上司の医師も、患者の家族も......、すべて加害者。そして、息子の状態に気付いてあげられなかった自分への怒りも、お父さんを苦しめているようだった。

今は落ち着いてきて、ゆっくりと回復に向かっているそうだが、生気を失った息子が、このまま生きる力を失ってしまうのではないかと、目を離すのが心配な時期もあったと語っていた。

滅多に報じられることがないのだが、実は医師の過労自殺は、一般の労働者より多い。

ただ、これは日本に限ったことではなく、米国では一般の労働者の4倍ほど高く、デンマークでも、医師の自殺は、看護師や教員など他の20以上の職種に比べて高いとの調査結果がある。

"自死"という選択は、健康問題、経済問題、勤務問題など、いくつかの要因が絡み合った結果である場合がほとんどだが、医師のケースでは、長時間労働と、周囲からの要求の過度な高さ(責任の重さ、高い技術など)からうつになり、それが引き金になると考えられている。
 
その傾向は研修医のときが最も顕著で、ある調査では研修開始から1~2カ月後、4割近くが抑うつ状態にあることがわかっている。
 
また、外科などの体力、精神力ともにタフな分野を希望する学生は年々低下。過酷な労働条件に加え、医療事故⇒裁判⇒逮捕 となる危険性もあり、若手は避ける傾向が強い。勤務医となった後も、耐えられずに辞め、開業する医師も多いとされているのだ。

そもそも勤務医の労働時間は年齢や性別で大きな差があり、20代後半の男性勤務医で、1週間の平均勤務時間(滞在時間)が約75時間であるのに対し、50代では過労死ラインを下回り、週60時間弱。女性の医師は、男性よりも勤務時間が短く、20代で70時間弱、40歳代で約57時間。
 
医師の長時間勤務が常態化している背景には、医師不足、深夜勤務、36協定などの要因があるが、若い勤務医は、金銭的な理由、医局からの指示、さらには、不足している専門科の病院からの要請で、複数の勤務先で働く人が多く、非常勤の女性医師の増加が、男性医師の負担をより増やしたとの指摘もある。

奇しくも先日、長崎市の長崎みなとメディカルセンター市民病院に勤務していた男性医師(当時33歳)が2014年に死亡したのは過重労働が原因として、妻ら遺族3人が病院に約3億7000万円の損害賠償を求め提訴した。

男性は14年4月に同病院に採用され、心臓血管内科医師として勤務。毎月100時間を超える時間外勤務が続き、同12月に自宅で心肺停止の状態で見つかった。死因は著しい疲労の蓄積による、内因性の心臓死だった。

医療ニュースサイトm3.comが行った調査でも、勤務医の半数を超える56%が、「過労死の危険性を感じたことがある」と答えている。

医者の命だけは軽い――。

この言葉を聞いて、「そうだよ。そのとおりだよ」などと言う人は、いないはずだ。

だが、人の命を預かる「責任」の重さ、過労死ラインを超える長時間労働、深夜勤務、患者や家族との人間関係......。そのすべてが、医師たちを追いつめる。
 
人間が持つ、「疲れる→休む→回復する」という「回復のサイクル」が機能しない環境が、何をもたらすか? 

質の低下とミス。らくそうな職場を選ぶ若者が増え、ストレスの多い外科医はますます人材不足に陥り、ヒヤリハットをもたらすリスクが高まり、大きな事故につながっていく。

いつの時代も、どこの世界でも、そのしわ寄せは末端の労働者に来る。それは翻って"私"たちの問題として、ふりかかってくるのである。

厚生労働省は今年3月、2040年に「医師」が1.8万~4.1万人過剰になるという推測を明らかにし、医学部の定員を削減を進める方針を示しているが、高齢化社会、核家族化、共働き世帯の増加......、などなど、さまざまな社会構造の変化がクモの巣のごとく絡まっている状態を紐解かずして、「数字」だけで議論を進めるのは得策ではない。
  
たとえば、病院経営のプロとなる人材を「医学部の中で育てる」という発想への転換を、是非とも議論してもらいたい。

医療や労務制度に関する深い知識を有し、さらには、人間の心身への影響を心理や社会学の観点から理解できる医療マネジメント層が増えれば、"現場"も変わるはずだ。

以前、医薬関係の講演会に呼んでいただいたときに、千葉大の医学部が、大学病院と看護学部、薬学部と連携して、講義や研修を行っていると聞いた。学生時代から横とつながれば、専門外の理解も深まるし、知識も自ずと増える。人的ネットワークも育まれ、"つながり"がもたらす利点も多い。

私は...、医師というのは、医療現場が考えている以上に、患者や家族にとって大きな存在だと考えている。

そのつまり、なんというか、やっぱり患者にとっても家族にとっても、お医者さんって全てで。先生の何気ない言葉や表情に一喜一憂するのですよ。

個人的な話だが、昨年旅立った私の父親は、「お医者さま」の言葉を、何よりも頼りにしていた。

「○○先生から運動していいって言われた!」「○○先生が"血液検査の結果も良好!"って言ってた」「○○先生から"順調ですね!"って言われた」などなど、入院中も通院しているときも、先生の言葉に父は勇気をもらっていた。

医師は聖職ではない。でも、「残された命」に、光を与えてくれる存在なのだ。

(河合薫の健康社会学 yahoo newsより転載)



http://gihyo.jp/book/pickup/2016/0040
曲がり角に来ている日本の医療。「家庭医学」がより重要な概念に
2016年7月5日 技術評論社

増大し続ける我が国の医療費 10年後には50兆円を超える

2014年度の我が国の医療費総額はついに40兆円を突破しました。中でも目立つのは高齢者の医療費の増加です。75歳以上の高齢者の年間医療費は1人当たり平均で約93万円。75歳未満は約21万円なので,じつに4倍以上となっています。

高齢化だけでなく医療の高度化も医療費の増大に拍車をかける要因となります。たとえばがん治療に有効とされる陽子線治療は,1回あたり300万円。話題となったC型肝炎の新薬は1錠8万円という高額です。また今後進展が期待される再生医療など医学の進歩は,一方で医療費の増大につながるという指摘もあります。

厚生労働省の試算によれば日本の医療費総額は2025年に52兆円に達する見込み(図1)。国としても医療費削減に取り組まざるをえず,GDPの縮小と相まって国民負担のさらなる増加が避けられない状況です。

図1 日本の医療費の推移
図1 日本の医療費の推移

医療費削減のための大きなポイントが病気になる前の予防です。癌,心疾患や脳血管障害といった三大疾病も,メタボリックなど生活習慣から悪化することが知れられていますが,逆に言うならば生活習慣を改めることで,これらの病気を未然に防ぐことが十分可能なのです。

「予防医学」が根付くために必要なのが,一人ひとりの健康や医療・医学に対する知識と理解です。20万人以上の医師が登録しているという日本最大の医療専門サイトm3.comによる2015年の調査では,医師と患者の意識の差が明らかになりました。「日本の医療の問題点は?」という質問に対し医師側のトップが「患者の理解不足」(48.5%)だったのに対し,患者側は「診療の待ち時間が長い」(52.1%)でトップ。ちなみに「患者の理解不足」は患者側が20.2%,「診療の待ち時間が長い」は医師側は25.6%と,両者のギャップが大きいことも特徴。

その他に両者のギャップが大きかったものには,「医療機関選択の際の情報が少ない」(医師側9.9%,患者側30.4%),「病気に関する正確な情報が得られにくい」(医師側6.7%,患者側26.1%)などが挙げられています(図2)。総じて言えることは,医療知識・情報とその理解において,医師と患者の間で大きなギャップがあるということです。

図2 日本の医療の問題点
図2 日本の医療の問題点
出展:厚生労働省資料
医師の側からは気軽に医療機関を利用しすぎるという「コンビニ受診」が多いという意見が強く,受診患者の増大が診療の待ち時間の長さとその不満にもつながっていると考えられます。

予防医学の重要性と,日本の医療と医師の現状を鑑みると,おのずから浮かび上がるのが国民一人一人の医療と医学に対する知識と理解が不可欠であるということ。医師に頼りすぎず,自らの健康を自分で守るという視点と姿勢が必要であること。

ITと通信環境の変化が 家庭医学を大きく変える!

必然的に「家庭医学」という概念がクローズアップされてきます。個々人,家族単位で自分たちの健康に対する意識を高め,情報と知識を蓄える。イザというときの対処や対応を身につける──。

これまでは「家庭医学」というと本来の医学や医療の付属物という感覚が強く,軽く考えられがちでしたが,今後はさまざまな状況や環境の変化から,むしろ重要なヘルスケアの概念として取り上げられていくことになると考えます。

インターネットや通信環境の拡充と発達が,これらの展開をより迅速かつ広範にしていくことは容易に考えられます。実際,スマホのアプリには日本全国の病院や医師の検索ができたり,応急処置の方法が即座に分かるアプリ,薬の種類や飲み方から食事&カロリー管理ができるアプリなど,実に様々なアプリが無料で利用できる環境が整っています。

健康と医療・医学に対する意識の大きな変化と,それを促すITなど通信&情報環境というインフラの拡充が,「家庭医学」という概念を大きく変えていく可能性を秘めているのです。



http://univ-journal.jp/8429/
東北大学が、世界で初めて高齢者医療の漢方薬ガイドライン作成
大学ジャーナルオンライン編集部
2016年7月5日

 東北大学病院漢方内科の高山真准教授らのグループが、日本老年学会が作成した「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の漢方薬治療の章をまとめた。高齢者向け漢方薬ガイドラインの作成は世界で初めてという。

 東北大学によると、高山准教授らは主に後期高齢者や病弱な高齢者が使用する漢方薬について、英文と和文検索でヒットした503件の論文を詳細に調べ、内容を吟味して57件の論文を抽出。これに最近の論文を加えた計64件の論文の研究内容を評価、高齢者に有用な漢方薬のリストを作った。
それと同時に、厚生労働省から出された使用上の注意にこれまでの知見を加え、高齢者が漢方薬を使用する際に注意すべき生薬のリストも付け加えている。

 ガイドライン中には、抑肝散は認知症に伴う行動、心理症状のうち、幻覚や妄想、昼夜逆転などに有効だが、食欲減退やうつには効果がないことや、甘草は低カリウム血症、附子は不整脈、血圧低下を引き起こす毒性を本来有することなどが記載されている。

 中国を起源とする漢方薬治療は経験医学と呼ばれ、診療の根拠に乏しいと長く考えられてきた。20世紀に入って漢方薬の効果について臨床研究が進むようになり、現在ではかかりつけ医の94%以上が漢方薬を処方しているとされるが、診療ガイドラインは作成されていなかった。

 ガイドラインは、漢方薬を専門としない医師が高齢者に漢方薬を処方する際の情報源として活用できる。研究チームは正しい情報に基づいた漢方薬使用が広がることを期待している。研究結果は英文医学誌「国際的な老人病学と老年学」に掲載された。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0705503975/
運営混乱の専門医機構、新理事長に吉村氏「一定の方向性を出したい」〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.07.05 10:30

 来春にスタート予定の新しい専門医制度の運営を巡る問題で、日本専門医機構は4日、地域医療振興協会顧問の吉村博邦氏を新たな理事長に選んだ。

 吉村氏は、日本医師会などが、大病院に医師が集中して地域医療の現場が混乱するなどとし、制度開始の延期を求めた点について、「患者代表や県知事らも加えた新たな理事会で、今月中に一定の方向性を出したい」と述べた。

 吉村氏は呼吸器外科が専門で、北里大学医学部長などを歴任。同問題では、運営が混乱し、前理事長が先月27日に辞任していた。

(2016年7月5日 読売新聞)



https://www.m3.com/news/iryoishin/439012?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160705&dcf_doctor=true&mc.l=165888240&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 真価問われる専門医改革
日本専門医機構の理事長、吉村・北里大名誉教授が就任
「できれば一斉にスタートしたい」、7月中に方向性固める

2016年7月4日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

新理事長の吉村博邦氏。
 日本専門医機構の理事会が7月4日に開催され、理事長には吉村博邦氏(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)、副理事長には、松原謙二氏(日本医師会副会長)と山下英俊氏(山形大学医学部長、眼科教授)が選任され、新執行部が発足した。6月27日の理事決定の段階では、理事は24人、日本医学会連合の推薦理事枠2人のうち、1人は未定だった。同連合は、新たな理事候補の推薦を検討していたが、意見がまとまらなかったためか、4日の理事会への理事候補の推薦は見送った。

 吉村理事長は、理事会後の会見で、専門医を目指す研修2年目の医師らの不安がないように、また地域医療への影響がないように、という方針を明示。その上で、「今月中には方向性を出せればいいと思っている」と述べ、時期は示さなかったものの、「できるだけ一斉にスタートすることを期待する」とコメントした。これまで検討されてきた新専門医制度をめぐる問題点を整理し、修正すべき点は修正し、どんな専門医制度で、いつであればスタートできるかを今後、検討していくことになる見通し。専門医制度の見直しを、完全にとん挫させる事態だけは避けたい意向が伺えた。

 新専門医制度をめぐっては、塩崎恭久厚労相が6月の談話で、「一度立ち止まって、検討の場を設け、地域医療への影響などについて、集中的な精査を早急に行う」ことを求めていた。この「検討の場」をどのように設けるかを早急に議論し、関係学会の意見も聞きつつ精査を行い、理事会で方針を決定、7月中に開催予定の社員総会で、一定の方向性を示す予定。

 さらに吉村理事長は、日本専門医機構のガバナンスの立て直しも急務だとし、財務、総務、広報の各委員会のあり方を見直す予定で、今後、情報公開にも務めていく方針。そのほか機構内の各種委員会についても、「委員長などの変更はあり得る」(吉村理事長)。

 6月に日本専門医機構は、2017年度からの19の基本領域の新制度への全面移行を見送り、2017年度の専門医養成のあり方は、各学会に委ねられている(『新専門医制度、2017年度の全面実施見送りへ』を参照)。既に学会独自での実施を決めている学会もある一方、専攻医数が多く、地域医療への影響も大きい日本内科学会、日本外科学会はいずれも、7月末を目途に判断するとしている(『内科学会、「新専門医は7月末を目途に判断」』、『外科学会、「新専門医は7月末を目途に判断」』を参照)。


 吉村氏、総合診療専門医の検討に尽力
 日本専門医機構は6月27日の社員総会で新理事を決定、前理事長の池田康夫氏らは退任、新理事24人のうち、再任は4人で、大幅に理事が入れ替わった(『日本専門医機構、24人の新理事決定、医学会連合枠は1人未定』を参照)。

 4日の理事会で、理事長、副理事長は、定款に基づき理事の互選で決定した。吉村氏、松原氏、山下氏以外には、推薦が上がらなかった。吉村氏は、旧執行部でも理事を務め、総合診療専門医などの検討に携わっていた(『総合診療専門医の医師像を決定 - 吉村博邦・北里大学名誉教授に聞く』を参照)。

 「ダッチロールが続いた」
 会見の冒頭、吉村理事長は、専門医制度について、「専門医の養成だけでなく、医療提供体制にかかわる重要な問題」と説明。「ダッチロールが続き、着地点が見えない状態。できるだけ正常な運営に戻したい」と述べ、新専門医制度については、医師の地域偏在の加速、日本専門医機構のガバナンスなどの面で、問題が指摘されているとの認識を示した。

 吉村理事長は、塩崎厚労相の談話や、日本医師会と四病院団体協議会の声明などを引用し、一度立ち止まり、精査をすることが求められているとし、今後は理事会などで十分にディスカッションし、その結果を迅速に情報発信していく方針を示した。「理事会には、医療界の各ステークホルダーから推薦された人のほか、有識者などが入っており、オールジャパンの体制」(吉村理事長)。同時に、各基本診療領域の学会と、日本専門医機構との役割分担も明確にする。

 塩崎厚労相などが言う、「検討の場」のあり方は今後の検討課題としたものの、新専門医制度については、「医師の偏在が加速し、地域医療が崩壊する」との指摘があることを踏まえ、各学会から地域医療に支障を来さない取り組みについて提案し、検討を重ねるとした。「大臣の談話は非常に重い。それに基づいて検討し、談話に応えられる体制をどう作っていくかが課題」「約8000人の研修医に不安を与えないためにも、今月中には方向性を出せればいいと思っている。できるだけ一斉にスタートすることを期待している」と吉村氏は述べた。

 「期限を決めるのではなく、ディスカッションする」
 会見には松原氏、山下氏の両副理事長も同席。松原氏は理事会の議論について、(1)専門医を目指す研修医に不安がないようにしてもらいたい、(2)新専門医制度は、少しフレキシビリティーが足りないので、工夫が必要、(3)サブスペシャルティの問題が決まっていないので、今後の方針を決めにくい――といった意見が出たと説明。

 山下副理事長は、「一度立ち止まって考えるとされている。そのあり方を相談するのが、ファーストプライオリティー」と述べ、前述のように2017年度の専門医養成については、日本専門医機構が、各学会に検討を求めていることがベースになっていると説明。「いろいろな議論の中で、シンクロナイズができるなら、すればいい。期限を決めるのではなく、ディスカッションするということ」(山下副理事長)。

 山下副理事長によると、今の新専門医制度をめぐる動きについて、理事会では論点整理を求める意見が出たという。「より良い専門医を養成するという点ではブレてはいない。しかし、その方法論が非常に難しい」と述べ、専攻医は、初期研修医とは異なり、既に地域で活躍している医師であることから、地域医療を担いながら、いかに専門医養成を進めるか、「ものすごく工夫が必要」(山下副理事長)。



http://www.medwatch.jp/?p=9529
新専門医制度、各学会がそろって同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい―日本専門医機構・吉村新理事長
2016年7月5日|医療・介護行政をウォッチ

 お伝えしているとおり、日本専門医機構(機構)は4日の理事会で吉村博邦新理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)を選任。吉村新理事長は、理事会後に記者会見を開き、「7月中に一定の方向性を出す」「できれば各学会がそろって同じ土俵でスタートすることが望ましい」などの考えを述べています(関連記事はこちら)。

 また山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は、「質の高い専門医の養成という点にブレはなく、養成の方法論について皆で工夫していく必要がある」との見解を強調しています。

ここがポイント!
1 専攻医の不安払拭に向け、7月中に一定の方向性を示す
2 関係者が一度立ち止まって議論、「できれば同時スタートが望ましい」と吉村理事長
3 「質の高い専門医養成」の考えにブレはない、方法論では相当の工夫が必要
専攻医の不安払拭に向け、7月中に一定の方向性を示す

 吉村理事長はまず、理事会には医療関係者だけでなく、患者・市民・自治体の首長も参画しており「オールジャパン体制となった」ことを強調。その上で、「機構のガバナンス確立」を新体制の下で行うことを強く宣言しています。

 ところで機構に対しては、日本医師会と四病院団体協議会が連名で「一度立ち止まり、検討の場で医師偏在が深刻化しないかを精査し、懸念の残るプラグラムについては2017年度からの開始延期を行う」ことなどを盛り込んだ要望を行っています(関連記事はこちら)。

 この点について吉村理事長は、「偏在を深刻化させないことが何よりのポイントであり、これから、理事・学会から偏在対策について具体的に理事会に提案してもらう。それをもとにを理事会で議論し、また学会とも連携しながら『案』をまとめ、7月中に社員総会に諮って、一定の方向性を出す」との考えを述べています。また9000人ほどいる初期研修2年目の医師の間には、「制度がどうなるのか」について大きな不安があります。吉村理事長は7月中にメッセージを示すことで、こうした不安を払拭したい考えです。

関係者が一度立ち止まって議論、「できれば同時スタートが望ましい」と吉村理事長

 また理事会でどのような結論が出るのかについては、▽各学会が独自で実施する▽18の基本診療領域の学会がそろって実施する―などさまざまなオプションがあると見通したものの、「バラバラではなく、できれば同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい」との見解を述べています。

 この点について山下副理事長は、「そもそも機構からは『各学会でどうすべきかを考えてほしい』と伝えており、それを反故にして、機構が期限などを設定するわけではない。しかし、一度立ち止まって、来春どのようにスタートするのか、いろいろなオプションがある中で、皆で議論しましょうという考えである」と補足しています。

 なお日医・四病協の要望では「地域医療」「公衆衛生」「地方自治」「患者・国民」の代表による幅広い視点も大幅に加えた『検討の場』「検討の場」を早急に設置することとされています。この点について吉村理事長は、「新たな『検討の場』を設置する」のか、あるいは「新理事会を『検討の場』とするのか」、明確なコメントはしていません。ただし、理事会には、「公衆衛生」の代表が参画していないことから、これをどう捉えるのか、今後、早急に詰めることになります。

「質の高い専門医養成」の考えにブレはない、方法論では相当の工夫が必要

 ところで、山下副理事長は、新専門医制度の議論については「論点を整理する必要がある」と強調します。

 まず質の高い専門医を養成するという基本的な考えには「まったくブレがない」ことを山下副理事長は指摘。専門医は、「ある基本診療領域の疾病などについて、すべて理解し、きちんと患者に説明できる医師」とされており、専門医が何を理解しておかなければならないか(つまり、これが養成プログラムである)は、当該診療領域の学会しかわかりません。各学会は、質の高い専門医を養成するために「厳格な養成プログラム」を作成しており、これはそもそもの基本的な考え方に沿った本来の動きと言え、異論はないでしょう。

 一方で、山下副理事長は、「養成の方法論」に相当の工夫が必要であり、これを早急に議論していくことが重要であると説明します。専門医を目指す医師(主に初期研修2年目の医師)は実際に医療現場(病院など)に従事しており、医師が日本全国に十分に配置されていない状況の下では、そうした日本の医療を支えている医師が一斉に患者の目の前からいなくなっては困るのです。山下副理事長は、「教育(専門医研修)を受けながら、日本の医療にも貢献してもらう必要がある。これには工夫がものすごく必要であり、地域・診療科の偏在について議論できる場をつくろうということで新理事には有識者にも参画してもらった。さらに議論の内容がきちんと社会に伝わるようにしたい」と、今後の動きについて強調しました。

 「偏在を恐れて、養成プログラムのハードルを下げる」ことは本末転倒であり、それ以外に偏在を是正(少なくとも助長させない)するにはどのような方法があるのかを早急に検討していくことが必要と言えそうです。」

 こうした点に関連し吉村理事長は、機構のガバナンスを確立するために、財務・広報・総務などの重要委員会を早急に立ち上げ、理事会の決定事項をPRしていく考えも述べています。



https://www.m3.com/clinical/journal/16593
小児外科医、供給過剰の見通し
2016年7月5日 (火) 小児科疾患一般外科疾患
Ricketts TC et al. Future Supply of Pediatric Surgeons: Analytical Study of the Current and Projected Supply of Pediatric Surgeons in the Context of a Rapidly Changing Process for Specialty and Subspecialty Training. Ann Surg. 2016 Jun 8. [Epub ahead of print]

 米国のFutureDocs医師供給モデルを用いて、小児外科医の今後の需給を検討。可能性が高い2通りのシナリオで、小児外科医の供給は2030年まで小児患者人口の増加を上回るペースで急速に拡大すると予測された。専門研修を受けた小児外科医の急速な増加により、技術の維持に必要な複雑な症例の確保が困難になる可能性が示唆された。

【原文を読む】
Annals of Surgery
http://journals.lww.com/annalsofsurgery/Abstract/publishahead/Future_Supply_of_Pediatric_Surgeons__Analytical.96588.aspx



http://www.cnn.co.jp/usa/35085370.html
7月に病院に行くべきでない理由は? 米研修医の経験
2016.07.05 Tue posted at 13:34 JST  CNN NEWS

研修医が入る7月は病院に行くべきではない?
(CNN) 米国で研修医を受け入れている病院では、7月は医療ミスによる死亡率がほかの月に比べて10%増える――内科学術誌に掲載された2011年の調査結果は、関係者の間で「ジュライ・エフェクト」と呼ばれている。
これはインターンや研修医が新たに入ってくることに起因すると考えられている。医療系の大学を6月に卒業した学生は一般的に、7月から研修医として病院で勤務を始め、患者の診療や医学的判断にかかわるようになる。
大学で4年間、医学を学んだアントニー・ヤン氏もそんな1人だった。「実用的な医学の知識は何もなく、白衣を着てはいたものの、ポケットには知識の欠如を補うためのマニュアルを詰め込んでいた。そのマニュアルがなければ、自分も『ジュライ・エフェクト』の一員になっていただろう」と振り返る。
ヤン氏は初めての当直勤務の当日、1人の患者の容体が急変し、看護師から判断を求められる事態に直面した。心臓モニターを見ると、死に直結しかねない心室細動という不整脈を起こしていることが分かった。
「先生、どうすれば?」と看護師に尋ねられ、「頭が真っ白になった。何の考えも浮かばなかった」というヤン氏。ポケットからマニュアルを取り出して「心室細動」を調べると、電気的除細動、いわゆる電気ショックを与えるという療法が記載されていた。
電圧を調整して電極を患者の胸に当て、「離れて!」と指示したところで、看護師が「ストップ」と叫んだ。

看護師はヤン氏の手をつかむと、電極を動かして患者の胸の別の場所に当てさせた。あと1秒遅かったら、患者の肝臓に電気ショックを与えてしまうところだった。
ヤン氏はもう1度「離れて」と指示し、除細動ボタンを押した。
患者は軽いけいれんを起こし、心臓モニターの数値は一時的に乱れて止まった。しばらくすると、新しい鼓動が現れ、やがて心拍は正常に戻った。
患者は助かった。
間もなく数人の研修医が駆けつけてヤン氏と交代。控室に戻ったヤン氏は、医学書を取り出して夜が明けるまで読み続けたという。
「医師でもプロになるためには学習や研修を必要とする。インターンは新人であって、熟練のベテランではない。経験には時間を要する。7月に病院に行く羽目になった場合は、新人インターンに忍耐と尊敬を持って接してほしい。そして彼らが自分のやっていることを分かっているかどうか、看護師に確認するように」。ヤン氏はそうアドバイスしている。

※この記事は2011年に最初に出稿されたものです。



http://mainichi.jp/articles/20160705/org/00m/040/023000c
SUNDAY LIBRARY
三浦 天紗子・評『フリーランス女医が教える 「名医」と「迷医」の見分け方』

2016年7月5日 毎日新聞

医療現場の内幕がわかれば医者選びも変わるはずs
◆『フリーランス女医が教える 「名医」と「迷医」の見分け方』筒井冨美・著(宝島社/税抜き1000円)

 「私、失敗しないので」は、人気テレビドラマシリーズ「ドクターX」のヒロイン大門未知子(米倉涼子)の名ゼリフ。腕利きのフリーランス外科医である未知子もカッコいいが、その片腕のようなフリーランス麻酔科医・城之内博美(内田有紀)も存在感があった。本書の著者は、そのフリーランス麻酔科医をリアルにやっている女医である。

 医療崩壊が叫ばれて久しい。中でも医師不足は深刻だ。人口千人あたりの医師数を示す臨床医密度は、OECD(経済協力開発機構)加盟国で日本はほぼ最下位。2004年から始まった「新医師臨床研修制度」、つまり、医大を卒業しても2年間は研修医としてあちこちの科を回る制度のせいで、研修医はマンパワーとして機能しておらず、厳しい勤務医の労働環境を嫌って、研修を終えた若手が大学病院に戻らない。しかも、ひと昔前なら大学病院の出世コースに乗っていた有能な勤務医までもが、人間的な就労環境を求めてフリー転身をはかり始めた。結果として、有名な大病院や大学病院の弱体化は進んでおり、いまや知名度の高い病院だからといって安心して診断や治療をまかせられる保証はない。

 トピックは他に、フリーランス医師が増えてきた背景や、医療ドラマのウソ・ホント、研究者の立場から見たSTAP騒動、医療の現場から考える日本の労働問題など多岐にわたる。

 著者はたとえ話がうまくて、毒舌で、内幕モノの刺激が満載。だが、表現こそ下世話でも、本当の医師の実力を見分けるのは出身大学の偏差値ではないこと、一般向けの著作が多すぎる大学病院常勤医は要注意など、名医や有益な病院選びのポイントについては根拠とともに明示している。現場を知る医師ならではの指摘に目からウロコ。

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三浦天紗子(みうら・あさこ)
 1964年、東京都生まれ。ライター、ブックカウンセラー。ブックレビュー、ウーマンズヘルスなどの記事を執筆。主な著書に『そろそろ産まなきゃ 出産タイムリミット直前調査』『震災離婚』など

<サンデー毎日 2016年7月17日号より>



https://www.m3.com/news/general/438976
【宮崎】へき地医療 医師偏在 解消程遠く 実効性ある仕組み必要
2016年7月5日 (火) 宮崎日日新聞

 「一番の負担は医者が足りないこと。着任した20年前から変わらない」。諸塚村の地域医療を支える諸塚診療所の黒木重三郎医師(86)は実情を語る。同診療所の常勤医は、黒木医師と県が派遣する医師の2人。宮崎大や村外病院からの非常勤医の応援を受け、救急や入院患者の受け入れ体制をなんとか維持している。黒木医師は平日の外来診療に加え、月10日ある当直もこなす。「診療所と心中するしかない」と冗談交じりに話しつつも、思いは切実だ。

 同村出身の黒木医師は、福岡県粕屋町で開業。医師不足に悩む村からの依頼を受けて古里への奉公を決意し、66歳で帰郷した。3年間だけのつもりだったが、県の医師がいつ引き揚げてしまうか分からない中、辞められなかったという。

 「地域医療は熱意のある医者じゃないと務まらない。そういう医師の養成、確保を国が政策的に位置付けないと、へき地の状況はいつまでたっても同じ」と力を込める。

 医師不足を招いた一因とされるのが、2004年度から始まった新臨床研修制度。新人医師が研修先を選べるようになると、最新医療設備がそろう都会の病院に集中するようになった。大学病院による公立病院への医師派遣機能は低下し、自治体の担当者らは医師確保に奔走している。

 「以前は大学病院に要請すれば希望通りになるのが当たり前だったが、状況が変わった」と語るのは、高千穂町立病院の江藤良一事務長。町長や議長、院長らが年2回、熊本大や宮崎大などの医学部医局を訪れ、医師派遣を直接要請している。

 同病院は内科や外科、小児科など10診療科があり、常勤医は11人。不足分を熊本大や宮崎大、済生会熊本病院などからの非常勤医延べ11人が支えている。熊本地震直後、熊本県からの医師が来られなくなり、眼科、泌尿器科、循環器科、皮膚科は1、2週間休診に追い込まれた。大規模災害という事情に住民の理解もあり混乱はなかったが、非常勤医はいつ引き揚げられてもおかしくないという現実を突き付けられた。

 「すべての医師が2、3年、地域医療を経験するような実効性を持ったシステムを構築すべきだ」と訴える江藤事務長。「ある程度の強制力を持った仕組みをつくらないと医師の偏在は解消されない」と国の対応に注目している。

【メモ】
 新臨床研修制度で、新人医師は研修先に民間病院を志向するようになり、大学病院が人手不足に。結果、地方の医師不足が加速したとされる。全国大学病院の研修医採用比率は2003年度は72.5%だったが、15年度は41.7%だった。



https://www.m3.com/news/general/438973
医学生が北海道留萌市で「特訓」 問診、診断に挑戦 指導医と実習
2016年7月5日 (火)  北海道新聞

 【留萌】医学生が実際に患者を診療する実践型臨床実習「闘魂外来in留萌」が2日、留萌市立病院で開かれた。札幌医大、旭川医大、香川大学医学部の学生12人が、指導医の見守る中、問診から治療方針の決定までに挑んだ。

 闘魂外来は、NHK番組「総合診療医ドクターG」に出演中の地域医療機能推進機構本部(東京)顧問、徳田安春医師(52)が「診療見学だけでなく、学生が主体となる世界標準の医学教育を」と2012年から各地で実施。道内は徳田医師の講演が縁で同病院で行われ、昨年に続き2回目。

 学生は同病院の研修医らとともに3班に分かれ、外来患者3人と入院患者3人を診療した。このうち血圧の高さを訴える外来患者を診察した班は、問診後、血液検査などを行う傍ら、指導医とともに、可能性のある診断名や治療方針を検討。再度の問診で体重の増減などを丁寧に聞いた上で、検査結果を踏まえ、大きな問題はないと診断し、生活習慣の見直しを助言した。

 診療を受けた留萌市の地方公務員岡本直也さん(39)は「じっくり診療してくれて頼もしかった」。診療した札医大5年の三好由季乃さん(25)は「参加者のレベルが高く、良い刺激を受けた。もっと勉強して地域で信頼される医者になりたい」と決意を口にした。

 昨年は旭医大生として参加し、現在は同病院で研修医として働く久保成彦(あきひこ)さん(44)は「診察での新しい見方に気づく場面もあり、今年も参加してよかった」。同病院の村松博士院長は「留萌の医師や看護師にとっても基本に立ち返ることができ、勉強になる。来年も開催したい」と話した。


  1. 2016/07/06(水) 06:25:57|
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