Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月29日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/437515
シリーズ: 日医代議員会
医学部の一時的定員増、「元に戻す」
第138回日医臨時代議員会、今村副会長

2016年6月29日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 6月26日の第138回日本医師会臨時代議員会で、副会長の今村聡氏は、現在の医師不足地域への配慮もしつつ、「一時的に増員した医学部定員」を、元に戻すよう求めていく方針を示した。医学部の入学定員は2008年度以降、増加に転じ、2016年度までに1637人分増え、9262人に達した。このうち993人分が臨時定員増に当たる。厚生労働省の社会保障審議会「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で、2019年度までは現行の9262人を最低でも維持する方針が決まったが、日医はそれ以降については定員減を求めていく構えだ(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。

 医師の偏在是正対策については、自由標榜制や自由開業制の見直しなど「規制的な手法」も検討されるものの、今村副会長は、プロフェッショナルオートノミーと地域の実情に基づく必要性を強調、地域の医師会が中心となり、さまざまな取り組みを実施することが大前提になるとした。一例として、日医が全国医学部長病院長会議との2015年12月の緊急提言で掲げた「医師キャリア支援センター(仮称)」の活用などを挙げた(『医師のキャリア形成、大学が生涯にわたり支援』を参照)。

 さらに偏在是正対策として、2017年度政府概算要求に対する日医の要望書の中で、医師の異動・キャリアパスを追跡できるよう、医師届出票の見直しも、要請していると説明した。2018年度実施の「医師・歯科医師・薬剤師調査」において、医籍番号で名寄せができたり、勤務先の変更を把握できるようにするなど、届出票の変更やシステム改修を求めているという。

 東京「開業医数は頭打ち、既に厳しい生存競争」
 医師需給分科会などの動向を踏まえ、医師の需給について質問したのは、北海道代議員の小熊豊氏と東京都代議員の橋本雄幸氏。人口当たりの医師数に大きく差がある両地域からの質問は対照的で、小熊氏は医師数増、橋本氏は医師の偏在対策の重要性をそれぞれ訴えた。

 小熊氏は、現行の病床当たり、外来患者当たりの医師数を基に推計した、医師需給分科会の「中間取りまとめ」における医師の需給推計の妥当性を問い、現状で十分な医療を担保されているとは思えないとし、今後の人口構成の変化、医療技術、医療内容の進歩などを考えると、「安易に医師の養成数を削減すべきではない」とした。さらに同分科会で策定予定の「新たな医療の在り方を踏まえた医師の働き方ビジョン(仮称)」、医師の偏在是正のための規制的な手法、自由標榜制、自由開業制対する制限などについての日医の考え方を質した。

 一方、橋本氏は、東京都心部では、「どの診療科も、開業医数は既に頭打ちの傾向が見られ、実際厳しい生存競争が起きている」と指摘。医師の診療科・地域偏在対策が重要であり、日医がこれまで以上に積極的に情報や意見を発信すべきとした。さらに、偏在の基にある医師の「自由に選択できる権利」がいつまでも担保されるものではないとしたほか、塩崎恭久厚労相の5月11日の経済財政諮問会議における「医師に対する規制を含めた偏在是正の検討」という言葉を引用し、医師の拒絶反応が予想されるものの、公費を使う医療制度である以上、プロフェッショナルオートノミーの一環として医師会はこの問題解決に先鞭を付けていくべきと提言した。

 2030年、25歳の132人に1人が医師
 これらの質問に対し、今村副会長は、医師需給分科会の「中間取りまとめ」については、現在ではなく将来の医師需給と偏在対策を議論しており、「具体的な時期は別として、近い将来、医師の需給が逆転し、マクロ的には医師過剰となる推計」と説明。2015年に日医が実施した調査でも、必要医師数は現状医師数の約1.1倍、今の医学部定員増加分を加味すれば、2025年には医師数が約1.3倍になると推計している。今後は人口の高齢化や減少に伴い、高密度の医療ニーズは減少、その一方、幅広く患者を診るかかりつけ医の養成、多職種連携が進めば、必要医師数にも影響が出てくるとした。

 医師一人を養成するには、時間と費用がかかる上、25歳人口のうち医師になるのは1975年には512人に1人だったが、2030年には132人に1人と推計される。社会の各分野で高度専門人材を養成する必要性、さらに2008年度以降、医学部定員は1637人分増えたことから、一時的に増員した医学部定員を元に戻すよう求めていくとした。併せて医師の需要推計は、100%正しいとは限らず、さまざまな要素が変化する中、定期的に検証し、需給推計を見直すことも要望していく方針。

 医師の偏在是正、プロフェッショナルオートノミーが基本
 医師の偏在是正に関しては、「中間取りまとめ」では14項目の対策が盛り込まれ、日医と全国医学部長病院長会議との2015年12月の緊急提言、フリーランス医師への対応、税制、女性医師支援、チーム医療の推進など、日医が以前から問題提起、あるいは要望した内容が多数含まれているとした。

 これらの対策の実施でも、医師の偏在が続く場合に限り、「自由標榜制や自由開業制の見直し、保険医の配置・定数の設定を含めて検討する」とされたことに理解を求めた。この場合でも、プロフェッショナルオートノミーと地域の実情を踏まえる必要があるとし、地域の医師会が中心となり、取り組むべきと主張。2015年12月の緊急提言の根幹は、大学医学部と都道府県医師会が中心となり、地域で医師を育てていくものであり、その実現を図っていくことにあるという。

 「中間取りまとめ」の中で、「臨床研修制度において、募集定員の配分等に対する都道府県の権限を一層強化する」となっている点について、日医が厚労省社会保障審議会医療部会で質したところ、「知事だけの権限というわけではなく、関係者の意見を聞いた上で行われる」旨の回答を得たことを説明。

 そのほか、偏在是正対策の関連では、新専門医制度についても触れ、専門研修プログラム作成や研修病院群の設定においては、医師会、大学、病院団体、行政が参加する都道府県の協議会で了承を得ることを強く要望しているとした。

 さらに「新たな医療の在り方を踏まえた医師の働き方ビジョン(仮称)」については、「塩崎厚労相の強い考えで盛り込まれた」と説明。その前提として、医師の働き方や勤務状況などの全国調査を行い、「科学的に判断する」とされている点を指摘、「中間取りまとめ」には、チーム医療の推進やキャリア形成支援など医師の働き方や勤務状況に関わる対策も盛り込まれており、これらの主張と大きく矛盾するものではないとし、調査結果を踏まえて議論に臨んでいくとした。

 「規制的手法」、反対意見根強く
 関連で質問した愛知県代議員の加藤寿彦氏は、「自由標榜制と自由開業制は、医師としての根幹にかかわるものであり、絶対に譲ってはならない」と主張し、愛知県の事情について次のように説明。「愛知県で、名古屋市と名古屋市以外を比較すると、名古屋市の方が標榜している科目数が少ない傾向にある。開業している先生方はいろいろ考えて標榜しているのだろう。これこそがプロフェッショナルオートノミーであり、市場を考えているということ。開業を考えている勤務医に、こうした情報を伝えていくことが重要」。

 東京都代議員の森久保雅道氏は、「非常に今問題なのは、高額な斡旋料を取っている医師の紹介業者の問題。また後継者がいなかったり、開業希望があってもどこで開業したらいいかが分からない場合もある。都道府県、郡市区医師会などが関わり、細かな情報を提供できるシステムを日医に作ってもらいたい」と要望。今村副会長は、紹介業者の問題は認識しているとし、各業者がどこにどのような医師を紹介しているかなどを把握する仕組みが必要だとした。

 そのほか、鹿児島県医師会の池田琢哉氏からは、医学部定員の「地域枠」の卒業生について、県単位ではなく、医療圏単位で地域定着策を図る必要性も挙がった。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49091.html
四病協、各団体を専門医機構の社員に- 全日病会長「理事も各団体から」
2016年06月29日 21時00分 キャリアブレイン

 四病院団体協議会(四病協)は29日、4つの病院団体がそれぞれ日本専門医機構(機構)の社員になる方針で一致した。同日に記者会見した全日本病院協会(全日病)の西澤寛俊会長が明らかにした。社員になるために申請する時期は決めていないという。【佐藤貴彦】


 機構は、新しい専門医制度で学会に代わって専門医を認定する中立的な第三者機関として2014年に設立された。四病協を代表して、日本病院会(日病)の堺常雄会長が社員になっている。

 会見で西澤会長は、四病協を構成する日病と全日病、日本医療法人協会、日本精神科病院協会(日精協)が「それぞれ日本を代表する病院団体だ」と指摘し、すべての団体が社員になる必要性を強調した。

 また、「個人的な考えだが、4つの団体からそれぞれ、代表者が(機構の理事として)出るのが当然だと思う」とも述べた。一方で、機構の設立時からの理事の任期が満了した今月27日、新しい理事候補者として選定された24人の中に、神野正博・全日病副会長と森隆夫・日精協常務理事が含まれることから、当面は2人が四病協の意見を機構の理事会に反映させる役割を担うことになるとした。

■控除対象外消費税、超過額還付を求める方向に

 西澤会長は、同日の四病協の総合部会で、来年度の税制改正に向けた要望をおおむねまとめたことも明らかにした。社会保険診療への消費税が非課税であるために生じている控除対象外消費税の対策としては、非課税の扱いが続く場合に、診療報酬による補てん分を超えて医療機関が負担した分を還付する税制上の措置を講じるよう求めるという。

 西澤会長は、「四病協はもともと、課税への転換を要望している」と指摘。その上で、超過額を還付する措置を設けることは「課税方式とほぼ同じ」との認識を示した。

 超過額を還付する措置については、日本医師会の医業税制検討委員会が今年3月、来年度の税制改正に向け、医療界が一体となって求めるべき制度だと提言している。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/toyoda/201606/547342.html
連載: 豊田剛一郎の「明日の医療の話を聞こう」
包交車もドレーンも要らなくなりました

東京女子医科大学病院病院長・泌尿器科主任教授 田邉一成氏×豊田剛一郎
2016/6/30 日経メディカル

 泌尿器科のエキスパートとして腎臓移植やロボット支援手術を始め、新しい取り組みをいくつも進めている田邉氏。今は病院長として新しい発想を病院経営に持ち込もうとしている。田邉氏はどんな将来を見据えているのだろう。


たなべ かずなり
〇1982年九州大学医学部卒業、同年九州大学泌尿器科入局、84年東京女子医科大学腎臓病総合医療センター入局後、南大和病院、戸田中央総合病院を経て91年から米クリーブランド・クリニック泌尿器科リサーチフェロー。93年から東京女子医科大学に戻り、2006年同大泌尿器科主任教授・診療部長。2010年から同大病院副院長(診療支援部門担当)、2015年から同大病院院長。同大医療安全・危機管理担当理事も兼務する。これまでに1000例以上の腎移植経験を持ち、現在も月15件以上の腎移植を行っている。

田邉 よく学生さんにも話をするのですが、今はすべてのことがすごい勢いで変わっていく時代になりました。私が医者になった30年前は、論文を書いてフェデックスで送っても、最終的に雑誌になるのは1年後でした。本文を3部用意して、写真も3部付けて。最近の方には考えられないでしょうね。だから、学会発表を聞くという方法はともかく、論文で新しい知識に接することができるのは、その知見が得られてから1年以上後だというのは当たり前でした。

 ところが今は、良くない論文だったら2、3日でリジェクトだし、掲載が決まったら1カ月後にはオンラインサイトに掲載されます。ということは、知識の集積は10倍の速さです。単なる加算ではなく、指数関数的に増えていると言っていいでしょう。人間の持っている体内時計というか時間感覚が、知識の集積速度に追いついていけない状況になっているのではないでしょうか。

豊田 人が追い付けなくなった。

田邉 そう。そして、産業革命は機械で肉体労働を置き換えたけれど、今度は頭脳労働さえも人工知能(AI)で置き換えようとしています。

 私たちが実際手術をしていてよく感じるんですが、私が医者になったとき、ロボットで手術するなんて考えもしませんでした。血管があったら糸で結わえて切るというのが当たり前の手技だった。それがこの10年間ぐらいで、挟んで焼いたら切れるようになった。初めてそんな装置が出てくると聞いたときには、「そんなことはできっこないよ」と思っていたら、あれよあれよという間に置き換わっていきました。米国で初めて手術支援ロボットのプロトタイプを見たときも、「何でこんなもので手術するんだろう。手の方がよっぽどうまくできるのに」って思っていました。でも、今は機械の方がはるかに細かい作業ができることが示されていて、こういった現実を受け入れなきゃいけないと感じています。

 最近、外科医が減っているとか足りないと言われているけれど、全然心配していません。昔は手術というと開腹していて、しかも開腹手術はいろいろ手間が掛かるんです。術後にはときに出血したり、感染が起こることがあります。手術はだいたい4人ぐらい入りますよね。術者、第1助手、第2助手、そして鈎引きが入ることもありましたよね。

豊田 はい。私もやっていました。

田邉 ところが、今の私の手術の3分の1はロボット支援手術なんです。手術は1人でやっています。実際には患者の横に1人助手はいますけど、早晩この助手もいらなくなって、助手役のロボットに指示を出すようになるのではないかと思います。しかも、人がやるよりよっぽど安全にやってくれるんじゃないかと。それだけ手術に人は要らなくなる。

 そして手術も週6~7件近くやっています。ロボット支援腎臓部分切除術を行った患者は術後3日で退院します。術後だって、我々の病棟へ行ったら分かりますが、包交車がないんです。

豊田 包交車というと、交換用の包帯や消毒薬を乗せた台車のことですね。

田邉 そう。術後の傷を消毒するためのセットが乗っている、アレ。それが無いんですよ。

豊田 そうか。傷が無いからですね。

田邉 大きな傷がないんです。ロボット支援腹腔鏡手術であれば小さな孔しか開いてない。さらに、小さな傷口は接着剤で塞いでしまっている。私が5年前に手術支援ロボットの研修で米国に行ったときに、とても衝撃的な光景を見たんです。たぶんルール違反なんだろうけど、da Vinciのコンソール覗いて手術をしながらコーラを飲んでいました。麻酔している人に至っては、麻酔がかかったら、お菓子を食べ始めるんだよね。食べながら麻酔管理している。「いやいや、これはすごいね」と言ったら、「だって、切開創はあんな小さなものなんだから感染しようがないじゃないか」って。確かに、それはそうだなと。包交車って感染を広げる原因になりかねないし、しかも包交車を準備するために看護師にかなりの労力を裂かせているから、必要なくなれば看護師の仕事をもっと患者に向けることができる。

豊田 開腹手術だったら大問題になります。でも、腹腔鏡、つまりロボットのアームを挿入するだけの小さな切開創ならばほとんど創感染は起こらないんですね。

田邉 10年前に私が教授になったときと比べて、今は2倍の手術を行っています。でも、外科医の人数はほとんど増えていません。しかも、病棟の看護師も増えてない。ベッド数も増えてない。

 腹腔鏡手術、内視鏡手術、ロボット支援手術へと全面的に切り替えていったからです。また、外科手術後と言えばドレーンを入れていましたが、1年間、ドレーンの効果についてデータを集め、何も起こらなければ、この慣習的に入れているドレーンをやめてしまおうという考え方を採用するなど、効率化を進めてきました。

 ドレーンが入っているだけで看護師の仕事って増えてしまう。ドレーンからわずか3mLしか出てなくても、看護師はその3mLを抜いて注射器で測ってカルテに3mLと書くわけです。さらに、ドレーンが入っていればもし出血しても分かると思っていたのですが、実際には分からないんです。ひどく出血しても血液が固まってしまうから出てこないことも少なくない。それがまた判断を間違わせる。何回かそういうことが起こって、場合によってはドレーンというのは百害あって一利ないなと思うようになりました。消化管の手術をした場合は、切除してつないだところに入れておかないと、万が一内容物が漏れたときに大変なことになるからドレーンは必要です。でもドレーンの8割はいらないと思うようになってきた。

 こうして少しずつ仕事の量を減らしていくと、1つの仕事で3%あるいは5%の削減でしかなくても、10の改善策を積み重なれば大きな削減効果がある。そうすると、あまり人を増やさなくても手術件数は増やせられると気がついたのです。我々医師がより多くのことをやろうと思ったら、周りのスタッフが付いてこられなければダメなんですが、そういう改善を積み重ねていけばできるようになる。

豊田 現場にはただ慣例的にやってきただけのものがあるので、検証し、省いて行かれたんですね。

田邉 そう。でも、今はさらに変化が激しくなっていると思います。

 例えば、循環器系だと、20年前は心筋梗塞と言えば開胸手術が当たり前だったのですが、ステントが登場したら、ほとんどの症例でステントが選ばれるようになった。そして外科医より循環器内科医が忙しくなった。

 そして今は循環器内科医が、「このステント手術はオレにしかできない」って言ってるようなこともありますが、将来はロボットの方が絶対に上手くできるようになるんじゃないかなと思います。ステント治療は画像を見ながらカテーテルを使って病変までステントを持っていって、そこで広げるわけですが、シンプルに言うと、やっていることはステントを前後、そしてせいぜい回転させているだけで、何か特殊な動きをしているわけではない。

 もし何万人分のデータが蓄積して、そのデータを人工知能(AI)が活用すると、レントゲンを撮影しながら、カテーテルがこの角度になったらこの角度でこういう力を掛ければ入っていく、ということができるようになるのではないかと思います。人は一切関わらずにね。今、術者はそれを経験的に知っていて施術しているけれど、経験がデータになれば人工知能だって同じことができるようになるんじゃないかな。

豊田 なるほど。人工知能が学習できるように、施術の全てをデータ化できるようにして、それを何万人分と蓄積すれば人工知能が施術できるようになると。

田邉 そう。いろいろなことが簡単に別のもので置き換えられてしまう時代だと思います。抗癌剤のニボルマブだってそうですよ。患者の何割かに限られるかもしれないけれど、治癒するかもしれないと期待できる効果を発揮する。肺癌は予後が悪い、手術しなければいけない、でも助からないと考えられてきましたが、突然、こういう薬が出てくるわけです。

 さらに言うならば、我々は今、ロボットを使って手術しているけど、10年後もこれを使っているのかなと思うんですよ。例えばロボット支援手術は今、前立腺癌で最も良く使われています。しかし、前立腺癌はもともと悪性度の低い腫瘍で、いずれ薬剤や放射線療法で完全にコントロールできる時代になるのではないかと思います。

 私が学生に対して話をするとき、よく言うのですが、「君たち、駅の改札に人が立っているところを見たことないでしょう」と。学生は「見たことない」って言います。先生も見たことないかな?

豊田 私はぎりぎり見たことがあります。改札で駅員が切符を切っていました。

田邉 あれ、よく考えると、例えば新宿駅に3カ所出口があります、1カ所に10人以上立っていて、たぶん3交代とかしていただろうと考えると、ものすごい人数が関わっていた。それが今やゼロです。

豊田 はい。全部機械に置き換わりました。

田邉 そうでしょう。ほかにも、画像診断を考えてみてください。コンピューターや人工知能の一番得意なのはパターン認識です。少々個人差があったって、判断するためのデータさえ与えておけば人工知能は90%以上間違いなく対応できるようになると思います。そうすると画像が出来上がった瞬間に見落としなく確実に診断ができる。なおかつ、この所見が出たときの疾患のパーセンテージはこれくらい、と正確に出てくるようになりますよね。その人工知能が出してきた診断をもとに決断する人間は必要だけれど、それ以外の部分は人工知能に置き換わる可能性がある。

 そういう研究が推進される要素の1つは医師の偏在じゃないかな。今は医師が偏在していて、人を送れ、とか大学作れ、って言っているけれど、水を下から上へ流すようなことは難しいと思う。それよりもこういう新しい技術を使って前向きに取り組んだ方がいい。

 病院そのものも大幅に変えなければいけないと思っています。日本の病室って大部屋が多く、人権を完璧に無視していますからね。何でか分かります?

豊田 患者さんとの会話が別の患者さんに筒抜けになっているからですか。

田邉 それはプライバシーの問題です。もちろんプライバシーの問題も大事です。話したくないこと、聞かれたくないこともあるしね。

 でも決定的にいけないのは、排泄行為を大部屋でさせていることです。

豊田 カーテンがあるにせよということですよね。

田邉 カーテンなんてあって無いに等しい。これだけ個人情報が重要視されているのであれば、病院はすべて個室にしなければならないと思います。

 ほかにも、ノロウイルスの患者が知らないうちに入院していたり、あるいは感染を知らないで見舞いに来た場合、大部屋だと簡単に拡がりますね。そうすると「あそこの病院が院内感染を起こしたぞ」なんて非難されることになります。

 これは言いがかりだろうと思うんです。そもそも病院の造り方が間違えていることに原因があるわけですから。こういう部分をきちんと変えていかないと、本来あるべき医療にならないんじゃないかな。

豊田 なるほど。そもそも根本が間違っていると。

田邉 そう。技術は進歩が続き、10年後なんて正直どうなっているか分からない。新規抗癌剤が登場して進行癌の治療を大きく変えるかもしれない。C型肝炎に対する新しい抗ウイルス薬だって同じで、ほとんどの患者の体内からウイルスを除去できます。消化器内科や消化器外科の仕事を大きく変えてしまうと思うんですよ。

 だから物事の進歩がすごく速くて、今後のことは非常に予測しにくいけれど、せめて数年先をなんとか想像し、これぐらいの変化が来るだろうということは予想して準備しておかないといけないと思います。私の専門は腎移植ですが、今取り組んでいるのは、移植後の免疫抑制薬をどうこうするのではなく、根本的に免疫寛容が成立するような方法の研究です。この研究を始める頃、免疫抑制薬はかなり進歩するだろうなとは想像した。そして実際に効果がよくなり、生着率も高まった。でも服用し続けなければいけないことには変わりがない。次元の違うことに取り組まなきゃと思ってやってきて、最近ようやくまともなデータが出始めました。

豊田 なるほど。

田邉 当大学は今度新しい病院を建てるんです、外科病棟を。まだ検討中で、実現できるかどうかは分かりませんが、可能な限り個室にしたいし、手術室なんかも造り込まずにいきたい。手術にしか使えない部屋にはしない方がいいと思っています。重粒子線照射装置も、今までは非常に大きな設備が必要だったけれど、今はずいぶん小さくなっている。田舎にしか作れなかった設備が都会の中でも作ることができるようになる。これも技術の進歩ですよね。そういったことを見越しながら病院をデザインしていかないといけないと思います。

 個室にすることによって人権を守ってプライバシーを守って、もう絶対にそちらの方がいいわけです。でも負の面としてはコストが掛かるだの、様子を見るのに手間がかかるとか言われます。

 でもね、考えてみてください。全部個室にする。個室にするんだったら、室内にトイレをつくっても室内でトイレを区切る壁やドアは必要ない。用を足すときには部屋全体が個室トイレになるわけだからね。余分なバリアがないから転倒リスクなども下がる。配管も壁から出ている必要は無い。壁から出ているからベッドの向きが固定されちゃって、例えば突然呼吸が止まってしまって挿管するとき、ベッドを動かさなければいけない。でも配管を上に持って行けば室内でベッドをどう置いても問題ない。

 個室にトイレがあることがなぜ大事かって、汚物をその場で流せることですよ。今は汚物をビニール袋にいれて廊下を行ったり来たりしている。それで院内感染対策って言ったってね。トイレがあれば洗面台もあるからその場で手が洗える。看護師が毎日毎日何度も何度もアルコールで手を消毒して、それは酷いものだよね。病院として従業員のこともちゃんと考えないと。病院から大事にされてないのに、患者を大事にできないよ。余裕を持たせることで患者にも丁寧に接することができる。そのためにも新しい技術を取り入れるし、昔からこうだったなんて思考停止はするべきではないんじゃないかな。

 昔は手術が開腹で、居室に帰ってきたら、「出血しています」とか言われてすぐ戻ったりしてね。それは仕方がなかったわけですよ、開腹しているわけですからね。でも、ロボット支援手術は出血することも少ないし、創感染もない。外科手術が大きく変わってきていることをベースに院内も変えていく必要があるよね。

豊田 変えていけるでしょうか?

田邉 外科医は職能集団だからね。確かになかなか変えたがらない。良い例が、腹腔鏡手術を始めたのは良性疾患を診ている人たちからだったということだね。癌を診療している人はやはり遅かった。

 ただ、それも変わっていくと思う。実際、うちの入局4年目の若手は、もう開腹で行う前立腺癌の手術を見たことがない。ロボット支援手術が当たり前になってきて、万が一、必要になったら開腹するってことになっているけれど、開腹手術なんてできないと思います。見たことさえないんだから。

 一方で、電気メスが当たり前になって出血に簡単に対処できるようになった。また、腹腔鏡手術になって、炭酸ガスで気腹するようになったから圧力がかかっているので血管を切っても血が出にくい。さらに組織接着シートが出てきて、貼り付けたら終わり。緊急で開腹に変更しなければならないケースがどんどん減ってきているわけです。

豊田 医療は、一方で不幸な歴史を積み重ねてきたところもあると思うんですが、技術の進歩でミスや事故も減っていくと考えていいのでしょうか。

田邉 間違いないと思います。しかもだんだん人が関わることが少なくなっていく。今は、私が医者になる頃に習った知識の何十倍と習っている。これから数年で知識は何百倍になっていくでしょう。人の頭でできる範囲を超えていく気がするんです。

 SpO2だってネットにつながっていれば、紙に記録するまでもなく、瞬時にデータベースに登録されます。メモを取っていると間違えることってありますよね。

豊田 あります。何だ、この熱発は?って聞いてみると、「あ、間違えました」なんてことがよくあります。

田邉 そうでしょう。心拍とか呼吸数とかも全部機械が測定してそのままデータとして登録されるようになりますよ。

 例えば、赤外線カメラを病室に設置する。今、患者が室内のどこにいるかなんてすぐに分かる。赤外線カメラだから体温だってわかる。ベッドじゃないところに転がっているとかも分かります。プライバシーの問題があるけど、室内のどこにいるか、ぐらいな情報にすれば問題ない。人工知能が発達していけば、どういう動きをし始めたら転倒する、とかも予測できるようになる。だって、空港で絶え間なく歩いている人を瞬時に体温測定しているじゃないですか。技術は既にそんなレベルに来ているわけですよ。

 今は昼夜関係なく、2時間に1回見回っていて、それでも残念ながら気が付いたら呼吸が止まってしまっている患者がいたりする。今の体制で完璧を求めようと思ったって、だいたい無理なんですよ。

 全部個室にするなんてコストがかかりすぎる、とよく言われるけれど、個室にするからこそできることがあって、それができれば別のコストが削減できる可能性があります。一気に全てを変えるには、まだ技術を評価しなければ踏み切れないこともあるけれど、5年後、10年後を考えると、技術は進歩しますから。でも、病院の建物そのものは長く使うわけだから、10年経って変えたいと思っても変えられない。

豊田 面白いですね。そういう将来が見えてきた一方で、人間は何をすべきでしょうか。

田邉 私が医局員に言っているのは、毎年3%でもいいから前年より何か良くしてくれ、ってことです。去年の死亡率が10%だったら9%でいいから改善してほしいと。そのために何か努力してほしいってね。人工知能の最終コマンドって、「今の自分よりも少しだけ良いものを作れ」ということらしいですね。少しでもいいから改善点を見つけて進歩し続けるってことだけど、人間だって同じだと思います。むしろ人間だからこそ難しいことを言ったって分からないから、ともかく前より何か少しでも改善するように、ってことが重要なんじゃないかな。あとは、患者さんのために何を求められているか、何が必要とされているのかを考えていかなければいけません。

【インタビューを終えて】da Vinci手術が最も行われている泌尿器科の先生ならではの、人工知能やロボットなどが医療にもたらす未来のお話を伺うことができました。また、排泄行為を同じ部屋で行う大部屋制への問題提起。医療では当然のように思われていますが、人権を著しく損なう行為であるとともに、病院を変えようとしてこなかった不作為に気付かされました。今後病院の個室化は避けられない流れになると思いますが、そのためにも技術の発達により効果的、効率的にマネージメントしていく工夫が求められるのだと思います。東京女子医科大学は近年様々なことで話題になりましたが、だからこそ新しいことも積極的に取り入れながら変化していこうとされているのだろうなという印象も受けました。(豊田)



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/dispute/201606/547346.html?bpnet
連載: 判例に学ぶ 医療トラブル回避術
判例解説●東京地裁07年7月12日判決
遺族が担当医をドクハラで提訴するも棄却

田邉 昇=医師・弁護士(中村・平井・田邉法律事務所)
2016/6/29 日経メディカル

 糖尿病患者が入院中に死亡しました。遺族は、適切な治療を怠った病院の過失のほか、患者に対するドクターハラスメント(ドクハラ)を訴えましたが、裁判所は普段の患者と医師の関係などを総合的に検討し、遺族の訴えを全て棄却しました。

事件の概要
 1922年生まれの女性患者は69年ころから糖尿病に罹患し、77年以降、A病院に通院・入院しながら糖尿病性足壊疽や糖尿病性腎症、甲状腺機能低下症、心不全などを治療していた。2000年11月、糖尿病性足壊疽の治療のためA病院に入院し、右足指切除の手術を受けた。

 01年11月9日、A病院を受診した際に浮腫が認められて入院。10日から呼吸状態の安定を図るため酸素投与も始めた。さらに、血糖コントロールが悪かったのでB医師がインスリン投与量を増やしたが、その際に患者は「いつもいつも言ってるじゃない。インスリン増やせばいいってもんじゃないのよ」と訴えた。

 同月16日の朝、患者は担当看護師に「転んだ」と報告したが、看護師が何度か転倒について尋ねると、「転んでいない」と主張した。低血糖症状を疑った医師や看護師が頻回の血糖値測定を勧めると、患者は「血糖値ばかりあなたたちは見てるのよ。その値で甘いのを飲ませたりインスリンの量を変えたりとやり方がおかしいわよ」と反論し、拒否した。

 19日13時ころ、失神して倒れている患者を発見。C医師は頭部CTを撮ったが、脳内出血などはなかった。12誘導心電図も行ったが正常だった。これらからC医師は、失神の原因が心臓や脳にある可能性は低く、起立性低血圧ではないかと考えた。

 B医師は同日夕方に病室を訪れ、病室料金を減額していることや、病室の環境に不満があり、アメニティーの高い病院に入りたいのなら転院した方がよいことなどを話したところ、患者は不快な表情をした。

 20日早朝、体重測定時の患者はふらつきが著明で、21日20時ころには、在宅酸素療法の適応を検討するため酸素をいったん中止し、血液ガスを測った。結果、在宅酸素療法の適応が認められた。ところが、22日の4時40分ころ、患者は心停止状態で発見され、蘇生措置を行ったものの7時53分に死亡が確認された。

 これに対して患者の遺族は、A病院には強化インスリン療法や適切な呼吸管理などを怠った過失があること、B医師が患者の不安をあおる言動(ドクターハラスメント)をして精神的苦痛を与えた不法行為があること――などを主張して提訴した。

 具体的には遺族は、一過性脳虚血発作(TIA)からの脳梗塞あるいは急性心筋梗塞(AMI)で患者は死亡したと主張。患者が入院中に転倒や失神をしたのはTIAの症状だったのだから、頸部血管雑音の確認、エコーなどによる頸動脈病変の確認、CTやMRI検査をすべきだったと訴えた。加えて、強化インスリン療法、甲状腺機能低下の治療、アスピリンの投与(抗血栓療法)、適切な水分・呼吸管理などをしていれば死亡は避けられたと主張した。

 仮に死亡原因がAMIだったとしても、患者の糖尿病の進行からTIAの診断もできたこと、失神が起立性低血圧により生じたのであれば、血圧低下に伴う虚血性心疾患のリスクを認識すべきだったことなどを訴えた。

 さらにB医師の発言について、足壊疽による右足指切除術を受ける患者に対し、「親からもらった体もとうとう切断だな」と言ったほか、自身の指を使って切断部位や方法を示し、患者にストレスを与えたとした。患者が失神した01年11月19日には、「看護婦にわがままを言うな」「病室の料金をまけさせるようなことはするな」などと、強い口調で言ったと主張した。

 一方でA病院は、死因はTIAではなく心臓突然死の可能性が高いと主張。また、失神は糖尿病による起立性低血圧が原因と訴えた。原告が主張する強化インスリン療法の実施義務については、患者のコンプライアンス上の問題や低血糖リスクから適応がなく、転倒リスクなどから抗凝固療法の実施も不適切だったとした。

 ドクターハラスメントに関しては、B医師が患者への手術の説明時に、「身体髪膚これを父母に授く」と発言した点は認めた。ただ、足壊疽による足指の切断は再発し、下肢の上の方まで及ぶ例が多いので、「これ以上自分の身体を傷付けないよう治療に真摯に取り組んでいきましょう」という趣旨で他意はないとした。病室料金などの患者への説明も、経済的な面から減額していることを伝えたにすぎず、遺族が言うような発言はしていないと主張した。

判決
 裁判所は以下のように判断し、遺族の訴えを全て棄却した。

 死因に関しては、局所神経症状を欠くことなどから患者にTIAの症状はなく、失神は起立性低血圧が要因なので、A病院の主張通り心臓突然死の可能性が高いとした。

 強化インスリン療法の実施義務もあったとはいえないとした。その理由として、患者に同療法を理解させ血糖値測定やインスリン注射を適切に行うことが期待できなかったこと、無自覚性低血糖の危険がある上、低血糖時に適切に対応する能力が患者にないことがうかがえる点を挙げた。抗凝固療法の実施義務も転倒リスクなどから否定した。

 ドクターハラスメントに関しても、患者の気分を害した点や、転院を促す趣旨に受け取られる点に不適切な面があることは認めたが、遺族の主張に主観的評価が混じっていることがうかがわれるほか、B医師への尋問や本件の全証拠を検討しても遺族の主張を事実とするに足りる的確な証拠はないとした。その上で、患者としての受忍限度を超える違法なものとまではいえないとした。

 さらに、「医師の患者への発言については、その発言がされた環境ないし背景、その発言の全体としての意図、当該患者の性格や置かれた状況、相互の信頼関係の程度などの諸事情を総合考慮して評価されるべきで、医師が患者に対し不快の念を抱かせるような発言をした場合でも、それだけで直ちに違法ということはできない」と判示した(東京地裁07年7月12日判決)。

解説
 本件は、原告側が主張する死因や治療の過失の有無などに関しては、遺族の協力医の都合のよい意見の下に、無理に理屈付けした感があります。さらに、コンプライアンスの悪い糖尿病患者の治療は難しいことを考えれば、上述の経過をたどったのはやむを得ず、裁判所の判断も適切だったと思います。

 もう1つの焦点の「ドクターハラスメント」という言葉は、外科医の故・土屋繁裕氏が2000年ころ名付けたのが始まりで、セクシャルハラスメントと同様、裁判でも使用されることがあります。つまらない言葉を作り出したものです。最近ではモンスターペイシェントの方が話題で、モンスターとはよく言ったもので、こうした相手に抵抗したくてもできないのが、現在の医師の置かれた立場でしょう。

 ドクターハラスメントに関する他の判例には、東京地裁08年10月6日判決があります。忌わしいものに接するように顔を背けて診察したとして、患者側が損害賠償を求めました(請求は棄却)。また、東京地裁07年10月18日判決では、一般人がインターネット上の電子掲示板で「ドクターハラスメントをしている医師」と誹謗中傷した事例について、プロバイダー責任制限法に基づき、発信者の情報の開示請求を認めました。

 今回の判例は、医師の患者への対応が不法行為として賠償対象になる場合があることは認めており、「その発言がされた環境ないし背景、その発言の全体としての意図、当該患者の性格や置かれた状況、相互の信頼関係の程度などの諸事情を総合考慮して評価されるべき」としています。ただ、本件では医師の方が患者の発言に傷付いているのではないでしょうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/436881
シリーズ: 日医代議員会
「保険医は医師会員であるという方向に」、日医組織強化策
第138回日医臨時代議員会、横倉会長

2016年6月29日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 6月26日の第138回日本医師会臨時代議員会で、横倉義武会長は日医の組織強化のため「保険診療をするには医師会員であるという方向性に持っていきたい」とし、保険医講習会に医師会研修に充てていくよう厚生労働省と議論を進めていると説明した。

 石川県代議員の上田博氏は、医師会のさらなる組織強化の方策について質問。2014年度は医師数31万1205人に対し、日医会員数は16万6121人で、組織率は53.4%、勤務医では38.6%(2012年)に留まると指摘した。2010年度以降、日医のA1会員(病院・診療所の開設者、管理者及びそれに準ずる会員、年会費12万6000円)は年間8000人超が「卒業する」状況にあり、「近い将来、日医の組織率は過半数を割り込み、医師を代表する唯一無二の団体とは言い難い危機的状況すら危慎される」との危機感を示した。

 横倉会長は「地域医療を支えるために組織力強化が不可欠であるとの思いから、会務運営の強化を柱に掲げてきた」と説明し、研修医の会費無料化などの取り組みを紹介。また、入退会や異動の際の手続きの簡便化のため、都道府県医師会との相互利用、電子認証センターとの更なる連携に向けて会員情報システムの再構築を進めていると説明した。

 一方で、郡市区等医師会の会員のうち、約2万7000人が日医には未入会であったり、郡市区医師会でも退会者数が新規加入者数を上回っていたりする状況があるという現状を踏まえ、「本来的には全ての郡市区医師会員は都道府県、日医の会員でなければならない。日医まで加入をしてもらうことが組織強化の一歩になると考える」と述べた。

 会場からは「この問題は何回も同じように出てくる。問題の一つは医師会のアイデンティティがはっきりしないこと。地区によっては勤務医が入りにくい雰囲気を作っている。(そういった雰囲気を)やめさせるのか、実際に移す行動を示してほしい」との指摘が出た。横倉会長は「医師会は職能団体であるから全ての医師が所属することが望ましい。地域で同じ医療に携わる医師は顔が見える関係作りが大事」と答えた上で、勤務医の受け皿作りの一環として、保険医の資格と医師会の研修を連動させる枠組みを検討していると説明。これは、「保険医療機関は指定更新時(通常6年)に集団指導を受ける規定になっている。医師会が行う研修会も集団指導と見なし、合わせて保険医の指定更新時にも医師会の研修を受けることを要件にできないかなど、厚生労働省と相談したいと考えている」(日医事務局)という意味だ。

 会場からは、さらに「保険医登録と更新が、日本医師会でできるようになれば解決するように思う」という声も上がった。

 その他、会員を対象にした日本医師会医師賠償責任保険制度は「当事者本人が表に立たなくて済む良い仕組みだが、民間保険と比較すると、同窓会、学会を通じて入った方が安いという状況になっている」とし、改善を求める声も寄せられた。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2016062902000132.html
医師乗せ病院から救急現場へ ドクターカー 7割が「休眠」
2016年6月29日 東京新聞

 医師が消防の要請を受けて救急現場にいち早く駆けつけて患者を治療する「ドクターカー」。一分一秒を争う現場での役割が最近、注目されているが、車を保有する病院の七割で、実際にはほとんど出動していない「休眠状態」にあることが、学会の調査で明らかになった。救急医療の専門家は「もっと救える命があるはずだ」と運用改善を求めている。 (柚木まり)



https://www.m3.com/news/iryoishin/437325
シリーズ: 日医代議員会
医師資格証、申請数が5300枚を突破
第128回日医臨時代議員会、石川常任理事

2016年6月29日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 6月26日の第138回日本医師会臨時代議員会で、常任理事の石川広己氏は、日医が発行する医師資格証について、総申請数が5300を超えたことを報告した。

 滋賀県代議員の猪飼剛氏の質問に答えた。石川常任理事は2016年度の診療報酬改定で新設された「電子的診療情報提供料」「検査・画像情報提供加算」を「ITに対する報酬ができたということで画期的だと考える」と評価。電子的なやり取りには医師資格証などの電子認証が必要となる。4、5月だけで2000件の新規申請があり、総申請数は5300件を超えるなど急速に需要が増えていると報告した(『医師資格証の発行数が急増、診療報酬改定で』、『医師資格証、日医会員は年会費無料化』を参照)。

 一方で「ITに対する一定の知識が必要であり簡単に実施できない」という指摘も多いとして、安価に利用できる「医療介護専用ネットワーク」の構築を国に対して働きかけていると説明した。石川常任理事は「さまざまな環境が整い、医師資格証普及の好機ととらえている。医師会の組織強化としても有用なツール。日医主導のもと、より良い医療IT環境を作っていきたい」と述べた。

 関連の質問として、「診察室にコンピューターがない先生も多い。ITを強調するのではなく、資格証として面を強調することがいいのでは」という声が上がった。石川常任理事は、「厚生労働省の免許室に、医師資格証は、医師免許証と同等、準ずるものであるという通知を出してもらうよう働き掛けている」と説明した。



https://www.m3.com/news/general/437265
子宮頸がんワクチン 研究不正疑いで信州大が調査委
2016年6月29日 (水) 毎日新聞社

 子宮頸(けい)がんワクチン接種後の健康被害を訴える女性らを診療している、厚生労働省研究班代表の池田修一・信州大教授(脳神経内科)が、3月に発表した研究内容について、不正を疑う通報があり、同大は27日、学内規定に基づく調査委員会を設置する方針を決めた。

 池田教授らの研究班は、免疫機能が自分の体を攻撃する「自己免疫疾患」を起こしやすいよう遺伝子操作を行ったマウスに、子宮頸がんワクチンと他のワクチンを打ち、反応を調べた。

 発表では、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳組織にのみ、自分の体を攻撃してしまう抗体が沈着していたと説明した。しかし、外部の医療関係者らから詳しい実験データの開示を求める声や、実験自体への疑義が上がっていた。

 調査委はまず、予備調査を実施し、必要に応じて、過半数を外部有識者で構成する組織で本調査を行う方針という。池田教授は現在、副学長、医学部長を務めている。【中村好見】



https://www.m3.com/news/iryoishin/437478
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
白橋被告と事務局医師、法廷で直接対決へ
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第30回公判

2016年6月29日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第30回公判が6月28日に東京地裁で開かれ、辻川靖夫裁判長は白橋伸雄被告と主張が大きく異なる男性医師Aについて、再度の出廷を求めることを提案した。

 これまでの公判で事務局を務めた男性医師Aや京都府立医大元教授の松原弘明氏は、白橋氏が、Kyoto Heart Study(KHS)研究を主導していたと証言。一方で白橋氏は医師が主導し、解析を手伝っただけと主張しており、両者の言い分は大きく食い違っている。辻川裁判長はこの日の公判の最後、白橋被告と男性医師Aで主張が異なる点が多いとし「2人いるところで大事な点を聞いた方がいいのでは」と提案。ノバ社弁護人は「やっていただいて結構」と即答。白橋被告の弁護人と検察官は判断に時間を求めた。

「KHSでは40人程度のスタッフ必要」
 この日の午後は、ノバ社で治験を担当している臨床開発統括部の男性部長が証人として出廷。男性部長は30件以上の治験に関わり、ノバ社の前身の日本チバガイギー社時代には、白橋被告と同じ部署だった時期もある。薬剤師資格を持ち、ノバ社の依頼で改ざんがあったとされる45症例を検討した報告書を作成した。

 弁護側の尋問に応える形で、web入力データでは「TAA(胸部大動脈瘤)」で「その他イベント」として登録されていたが、解析用データでは「急性大動脈解離」に変更されている症例について、カルテの記載などから「エンドポイント委員会でイベントとして判定された可能性がある。TAA54ミリは重症で、実質的にイベントとして判定することもある」などと証言した。

 一般的な治験の進め方についても説明し、医師主導臨床試験と治験では求める水準が違うとした上で、KHSのような3000人規模のイベント判定試験を「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)」並みに行うには、データレビューに2-3人、データマネジャーに4-5人、医療機関に訪問するモニターに30人程度が必要と説明。必要な人員がいないことで、不正やミスが入る余地が増えると述べた。

 KHSでは一部の病院で登録症例のカルテが見つかっていない。治験ではカルテがない場合は解析対象に含むことはないとし、京都府立医大病院では登録310症例のうち、47症例でカルテが見つかっていないことについて、「異常な数字だと思う」と話した。

数値の変遷「入力ミスがあったと思う」
 午前中にあった白橋被告への検察側質問では、引き続きCCB論文の作成過程を追及。論文に記載されている「ハザード比」「95%信頼区間(CI)」「P値」に関連して、白橋被告が男性医師Aや松原氏に送った10通のメールを示しながら、数値が変遷していった過程を尋ねた。白橋被告は「今考えると入力ミスがあったのかと思う。変更した理由はあるのだろうが分かりません」などと答えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/432276
シリーズ: 今どきの「U35ドクター」2016
2035年の医療、若手医師の半数が「悪化」と予想◆Vol.16
医師の給与水準は55%が「悪化」と回答

2016年6月29日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 20年後、つまり「2035年の医療」は、現状と比べてどうなっていると思いますか。
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 「2025年問題」とは、団塊の全世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になる超高齢化社会の到来を差すが、さらにその10年後、今のU35世代が第一線で活躍し、各組織の要職を占める時期に当たる「2035年」の医療状況について尋ねた。現状と比べて、「悪くなっている」が41%、「とても悪くなっている」が5%で、ほぼ半数が悪化すると予想。「変わらない」が31%、「とても良くなっている」が2%、「良くなっている」が21%だった。

Q 20年後、つまり「2035年の医師の給与水準」は、現状と比べてどうなるとと思いますか。
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 同じく2035年の医師の給与水準については、「悪くなっている」が49%、「とても悪くなっている」が6%で、過半数が悪化すると予想していた。医療状況全体より、給与水準が悪化するという意見が大勢だった。


  1. 2016/06/30(木) 05:44:09|
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