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6月28日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/437194?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160628&mc.l=164819168&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
元東大教授、研究費詐欺で懲役3年の実刑、東京地裁
科研費等2188万円を不正受給、「巧妙な犯行」

2016年6月28日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 東京地裁(稗田雅洋裁判長)は6月28日、元東京大学政策ビジョン研究センター教授で、医師の秋山昌範氏が、東大と岡山大学から、合計2188万4400円の研究費を不正受給したとして詐欺罪に問われた裁判で、懲役3年の実刑判決を言い渡した。秋山氏側は、即日保釈申請するとともに、控訴する方針。

 検察は懲役5年を求刑、一方、秋山氏は2015年3月の初公判時から一貫して無罪を主張していた(『「研究費不正、欺罔行為に当たらず」、弁護側最終弁論』、『元東大教授、「重大な詐欺」で懲役5年求刑』を参照)。秋山氏は2013年7月に逮捕され、666日間勾留されていたことから、400日が懲役期間から引かれる。

 東京地裁は、「東大教授の地位にあることなどを利用して、犯行に及んでいる。厚生労働科学研究費補助金(科研費)等の支払いは、研究者が発注業務内容や発注者の選定、発注金額の決定などを適正に行うことを前提としている。しかし、本件の各犯行は、研究者への信頼を逆手に取り、悪用した巧妙な犯行。対象の研究期間が3カ年にわたり、不正受給の金額も多額」などと指摘。秋山氏が実質的に経営していたIT会社である株式会社ARIの代表者であった妻に多額の報酬が支払われ、私的利益のために用いられたことも認められるとした。

 一方で、本件の科研費等は、秋山氏が開発を進めていたエクスカリバーというシステム開発などに充てられ、私的な利益だけでなく、研究の継続という目的もあったと考えられるとしたほか、「研究者としての信頼を失うなど、社会的制裁を既に受けている」と認めた。しかし、最終的には、自己の正当性を主張するばかりで反省の態度が認められないことから、犯罪の悪質性、結果の重大性を踏まえ、「実刑に処する」とした。

 検察は、2009年度の長寿医療研究委託事業の委託費(以下、委託費)と、2009年度から2011年度の科研費について、秋山氏は、パストラルコンピューターシステム株式会社(PCSK)をはじめIT関連の関係会社計6社と共謀して、業務を行った事実はないにもかかわらず、あるように装って内容虚偽の納品書と請求書を発注、東京大学から1894万4400円、岡山大学から294万円、計2188万4400円を不正受給したことが詐欺罪に当たると主張。

 東京地裁の判決は、この主張を全面的に受け入れた内容だ。関係会社の代表者らの証言を「十分に信用できる」とし、一方で、秋山氏の主張は信用できないとした。科研費等を受注した関係会社について、「外形上の受注業者」とみなし、実際の業務は再委託先のARIが実施していたことが詐欺罪に当たるとした。秋山氏は、関係会社は契約業務だけでなく、プロダクトマネジャーとして研究業務等もARIと一緒に行い、報告書を研究の成果物として納品しており、研究実態があると主張していたが、裁判所はその納品物自体、秋山氏が既存の知識や既に入手済みの資料などを基に作成した体裁を整えたものにすぎないとした。

 判決後、主任弁護人の弘中惇一郎氏は、「委託費や科研費であっても、民法上の受託契約である以上、再委託は可能。しかし、これらが公的な研究費であるという理由で、再委託を認めないのは、乱暴な法律理論」と問題視した。

 科研費の公的性格を強調
 委託費と科研費を東大や岡山大から受注していたのは、関係会社6社であり、それを再委託する形で、秋山氏が実質的に経営をしていたARIが報告書作成などの業務を行っていた。

 これらの事実について、検察側は、関係会社について、「いずれも業務を受注して行う意思がなく、実際に業務も行っていない」と指摘。にもかかわらず、秋山氏が、見積書、納品書、契約書などの契約関係の書類のほか、ARIに作成させた報告書を成果物として、両大学に提出させ、各関係会社が、業務を受注して行ったように見せかけ、研究費等を請求していたことが、欺罔行為に当たると主張していた。

 これに対し、弁護側は最終弁論などで、科研費等の受注は、民法上の請負契約であり、下請けを用いることは差し支えないことが原則であると指摘。その上で、法令等において受注名義人と業務担当者の同一性を確保すべき規定がなく、各大学でも同一性を確保する実務が行われていないなどの理由から、「実際に、研究の業務を行うのが誰かという点は、財産的処分行為の判断の基礎となるような重要な事項に当たらない」と主張。「詐欺罪は成立せず、また可罰的違法性もない」と述べ、無罪を主張していた。

 これらの主張に対し、東京地裁判決は、科研費が公的な性格を有すると判断したのが、特徴と言える。科研費等については、経理の透明化が求められるとし、「補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律」なども引用し、目的外使用、空発注、利益相反取引などの不正経理・不正支出は許されないとした。

 さらに東大、岡山大の経理担当者による、「受注業者が外形上の受注者にすぎず、実際に業務を行った業者とは異なるような場合には、支払いを行うことはできない」などの証言を引用。受注した業務を再委託などをする場合は、研究の納品物などの責任の所在が不明確となる上、中間マージンが発生することから、不必要な再委託等の防止は、公費の適正な支出を確保する上で重要とした。そのため、科研費等の受注先と、実際に業務を実施した主体が誰であるかを確認することは重要であり、それを欺き、ARIの名前を隠し、報告書などを提出してその対価を請求していたことは、詐欺罪における欺罔行為に当たると判断した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/436883
シリーズ: 日医代議員会
医師偏在解消、「規制」でなく医師会主導で
第138回日医臨時代議員会、横倉会長

2016年6月28日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、6月26日の第138回日医臨時代議員会で、医療制度改革の議論で、「医師の偏在解消のために「規制的」な施策が検討されていることについて、「都道府県知事の強権発動ではなく、プロフェッショナルオートノミーに基づくものでなければならない」などと主張し、医師会の組織力を強化した上で、医師会が主導的に医師の偏在解消に取り組んでいく方針を示した(『「医師不足地域の勤務が院長の要件」、日医』などを参照)。

 また横倉氏は、日医が目指す医療提供体制として、かかりつけ医機能を担う地域の中小病院や診療所を中心とした体制を掲げ、その構築に向け、郡市区医師会や都道府県医師会が関わっていく重要性を強調。日医はその制度設計を担当するという役割分担で取り組む。

 医療、介護にわたる各種の制度改革が進む中で、横断的に関係しているのは医師会であるとし、各種改革の整合性が取れるようにするには、「医師会という存在なくしてはあり得ず、医師会が主体的にこの解決を担っていくことが必要」と横倉会長は述べ、医師会の重要性を強調した。

 「日本医師会が描くこれからの医療提供体制の在り方と、都道府県医師会の果たすべき役割について」とのテーマで質問したのは、福岡県代議員の瀬戸裕司氏。瀬戸氏は、「国はまさに管理医療に舵を切った」と指摘。その例として、「骨太の方針2016」(素案)の段階では、「医療従事者の需要見通し、地域傭在対策等について検討を進め、本年内に取りまとめを行う」「特に医師について、地域医療構想などを踏まえ、実効性のある規制的手法も含めた地域偏在。診療科偏在対策を検討する」と記載されたほか、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で、「保険医の定数を地域別、診療科別に規制」といった議論がされている点などを挙げた。さらに各種の制度改革が進む中で、必ずしも地域医療構想との整合性が図られているとは言えない現状も問題視した。

 郡市区、都道府県の医師会、日医で役割分担

 横倉氏はまず日医が目指す医療提供体制として、「住民にとって身近で頼りになる、かかりつけ医機能を担う地域の中小病院や診療所を中心とした、地域の医療連携」を掲げた。その中で、郡市区医師会は、休日夜間の対応や学校医、予防接種といった地域保健活動を支援していくことが求められるとしたほか、各医療機関は、地域医療構想から将来の医療ニーズを把握し、また地域包括ケアシステムにおけるそれぞれの役割を認識して柔軟に機能を選択していくことが大事であるとした。

 その上で、医療提供体制の構築に当たっての各医師会の役割についても説明。各地域のかかりつけ医を中心とした医療提供体制作りは郡市区医師会、都道府県全体を見ながら各地域の実情を医療計画に反映するのが都道府県医師会、各地域から上がってきた問題提起や提案を基に制度設計にかかわると同時に、かかりつけ医機能の研修プログラムの提供など、全国的な役割を担っていくのが、日本医師会という分担になる。

 「横の調整」を医師会に期待

 「医療改革にはさまざまな事項があり、地域医療構想との整合性を図るべきなのに、別個に議論されている」という問題提起については、日医として審議会や検討会に役員を委員として送り込んでいるとし、事前に対応方針を検討し、横倉会長自らが指示を出すなどして対応していると説明。

 病院や診療所、在宅や介護の担い手、さらには大学や研究機関に至るまで、「医療に関わる全てを網羅した組織は医師会以外にはない」とし、「各種の改革の整合性を図るには、医師会という存在なくしてはあり得ず、医師会が主体的にこの解決を担っていくことが必要」と各医師会に働きかけた。

 医師需給分科会、「医師偏在対策が主要課題」

 横倉会長は、医師の偏在問題についても説明。地域医療支援センターは、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会の5月末の中間取りまとめで、2015年12月の日医と全国医学部長病院長会議の緊急提言に基づいて、医師のキャリア形成支援の機能が追加されることになった( 『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。「新たな専門医の仕組みにおける(関係者の)協議の場も、都道府県単位であり、都道府県医師会も主体的な役割を担うことが重要」(横倉会長)。

 さらに、医師需給分科会など、さまざまな場で指摘されることの多い「医師偏在解消のための規制」についても、「都道府県知事の強権発動ではなく、プロフェッショナルオートノミーに基づくものでなければならない。そのためにも医師会の組織力を強化した上で、医師会のコントロールの下で実施されることが大前提」と説明した。医師需給分科会は、今年末に最終取りまとめを行う予定であり、医師偏在対策が主要課題になるとし、横倉会長は、「医師会がプロフェッショナルオートノミーを発揮して、医療提供体制の構築と、医師偏在の解消ができるように制度設計をし、日医から提案していく」との方針を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/437145
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
「これでは群分けできない」、論文の群分けを否定
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第28-29回公判

2016年6月28日 (火) 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第29回公判が、6月27日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、白橋伸雄被告は本件の対象となる、Kyoto Heart Study(KHS)のサブ解析に当たるCCB(カルシウム拮抗薬)論文について、群分けの基準は「(論文中の定義では)群分けはできない。後付けでこういう文言になった」と証言した。検察側は恣意的な群分けによって、CCB投与群でイベント発症数を少なくする意図があったのではと追及。白橋被告は否定した。

「群分けの定義、よく分からない」

 この日の公判でも、検察側が本件対象のCCB論文の作成過程について追及していった。検察側がCCB論文中に記載のある「研究期間中のCCBの使用期間が12カ月を超える場合」を、投与群として群分けをしたのかと確認すると、白橋被告は「そうではないと思う。パターンに分けて推定したが、よく分からない。12カ月はこの研究の最低観察期間で、本当に12カ月でカウントしたかは私は分からない」などと説明。辻川裁判長や検察官が何度も群分けについて質問したが、白橋被告は詳細は記憶にないと繰り返した。

 辻川裁判長が「自身でやったのだから記憶しておいてほしいですが」と呼びかけると、「私の頭が悪いからかもしれませんが、もともと併用薬情報が全くなくムリムリだった上で、ムリムリの群分けで、かなり苦労はしたのだが…」と釈明した。論文記載の定義については「事後に決めたもので、KHSのスタディグループの後付けだと思う。(論文の定義と実際の群分け作業が一致するかは)私には断定できない。これでは群分けはできないと思う」

CCB投与群有利になるように群分け?

 KHSでは症例登録時点の併用薬データがなく、試験期間中の併用薬情報も試験の途中から収集するようにしたため、CCB論文では、論文の基礎となる併用薬情報について、「推定」で作成したと証言されている(『併用薬剤の使用状況は「推定」、KHS』を参照)。検察側がCCB投与群とされた129症例では、登録データ上ではCCB投与について全く記載がなかったと指摘すると、白橋被告は「推定を使っており、当然、そういうことケースもあると思う」と説明。どのように推定したのかについては「より診療に近い形で推定した」。記載がない症例は非投与群にすべきだったのではという指摘には、「(事務局を務めた)男性医師Aは『治療薬なしで治療することはあり得ない』として推定するしかない」となったという。

 さらに、検察側は数値を示しながら「バルサルタン群ではイベントがあるものをCCB投与群から非投与群に移動させたように見える。一方で、非ARB群ではイベントなしの症例をCCB非投与群から投与群に移動させて、CCB投与群を有利にさせたように見える。CCB投与群を有利にするように群分けをいじったことはあるか」と質問。白橋被告は「ありません」。検察側は「では、偶然か」と重ねると、「群分けが寄与しているかどうかは分かりませんとしか答えられない」と述べた。

KHSデータは2012年に消去

 証拠として採用されている各種データは、白橋被告の自宅から押収されたUSBメモリ内の削除されたフォルダを復元して得られたもの。白橋被告はKHSに携わった当時、コンパクトフラッシュを記憶媒体として使っており、「USBメモリは他人のデータのやり取りに使った可能性が高い」としつつ、「何の用途か分からない」と説明した。白橋被告が解析に使ったデータやパソコンは、一連の疑義が指摘され始めた2012年にはKHS事務局の男性医師Aに全てのデータを預けた上で、消去したという。

「解析用データはありました」

 検察側は復元された「event_analyasis.xls」「event_analysis.STA」というデータファイルが、KHS主論文作成時に図表の作成に使われたと主張している。これらのデータと論文中のカプランマイヤー図などと一致しているものもある。検察側はこれらのデータを解析に使ったかと質問すると、白橋被告は「違うと思う」と証言。どのデータで解析をしたのかと問われると「解析用データを使っていたと思っていたが、それ以外は分からない」。解析に使った「統一的なデータ」があったと主張した。

 検察側が統一的データは本当にあるのかと尋ねると、「データがないとおっしゃるのか。データはありました」と反論した。

 検察側は「KHS_DATALAST.xsl」と題するファイルの「EVENT元データ」シートについても質問。2症例を例示し、イベント報告されていない登録症例が「脳卒中」「急性心筋梗塞」となっていた点を尋ねると、「男性医師Aからもらった確定イベントデータにあった記載と置き換えたのだと思う」と説明。Web入力データのイベント報告票と異なる点について疑問を思わなかったかという質問に対しては「あまり考えていなかった」とし、男性医師Aや京都府立医大元教授の松原弘明氏に確認することもなかったという。

 6月27日午前中、および6月9日にあった第28回公判では、第27回に続きノバ社所属の医師への証人尋問が行われ、検察側がノバ社医師が作成した報告書(『検察側指摘以外にも改ざん症例、ノバ社の分析』を参照)について細かく確認していった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/432275
シリーズ: 今どきの「U35ドクター」2016
情報収集、「対面」が主流◆Vol.15
SNS活用は56%、仕事での利用は少数派

2016年6月28日 (火) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 日常の情報収集、学習手段として、どのようなものがありますか。【3つまで】
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日常の情報収集手段では、「学会、院外の研究会・勉強会」(60%)、「医学ジャーナルや医学書」 (59%)、「同僚との情報交換」(46%)が上位を占め、依然として対面の情報交換が主流だった(上位3つまで選択)。

Q facebookやTwitterなどのSNSを活用していますか。
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 FacebookやTwitterを例示してSNSの利用状況を尋ねたところ、「プライベートのみで活用」と「活用していない」がそれぞれ44%で並んだ。「仕事とプライベートの両方で活用」は10%、「仕事のみで活用」は2%だった。2013年の調査は『「Facebook」「twitter」使ってる?◆Vol.7』』を参照。



https://www.m3.com/news/general/437215
院外処方箋の全面発行中止 - 門前中心分業に「メリット感じず」 関西医大総合医療センター
2016年6月28日 (火) 薬事日報

 関西医科大学総合医療センター(守口市、477床)は5月6日の新本館開院に伴って、院外処方箋の全面発行を中止し、外来患者の調剤を原則院内で行う方針に改めた。患者の費用負担を軽減し、1カ所で薬を受け取れることで利便性を向上させて、病院の全体的な評価を高めることが目的だ。約16年間全面発行を続けてきたが、そのメリットを十分に感じられなかったという。ただ、方針の無理強いはせず、希望する患者らには院外発行を続ける。100%に近かった院外発行率は現在40%台半ばで推移している。

 同センターは建物の老朽化に伴い、隣接する大学施設跡地を活用して新本館を開院すると共に、院外処方箋の全面発行を中止。関西医科大学附属滝井病院という名称も、現在の名称に改めた。本紙の取材に応じた同センター院長の岩坂壽二氏は、院内調剤に戻した理由について「まず、患者さんの費用面の負担を軽減したかった。また、外に行かなくても1カ所で薬をもらえることによって、患者さんの利便性は高まる」と語る。

 院外処方箋の全面発行には「メリットを感じられなかったというのが16年ほどやった上での印象」。国の方針に沿って実施したものの「患者サービスが低下するということになれば、何をしているのか分からない」と話す。全面発行を続けるより院内に戻した方が患者サービスは向上すると見込み、それによって病院の評価を高めたいという。

 2000年の全面発行開始当初は門前に薬局は1軒しかなく、大阪府薬剤師会の協力を得てFAXコーナーを設置。かかりつけ薬局の事前登録を推進し、院外処方箋の7~8割は広域の薬局に分散した。「後になって考えると当時は理想的な分業形態だった」(同センター薬剤部長富田浩氏)

 現在は、京阪電車滝井駅と同センターを結ぶ100mにも満たない道路沿いなどに7軒の薬局が林立している。「昔は花屋もレストランもケーキ屋もあったが、町の景観が変わってしまった」と岩坂氏。「門前の薬局は夜間や休日には店を閉め、日用雑貨などもあまり置いていない。あれだけたくさんある薬局が住民の役に立ってない。何のためにあるのか」と嘆く。門前薬局に対する不満が年々強まっていたという。

外来用に11人雇用‐短期的には支出増に

 こうした背景から同センターは全面発行の中止に踏み切った。処方箋送信専用FAX2台のみを配置し、大阪府薬のFAXコーナーは廃止。病棟業務には引き続き力を入れるため、外来調剤要員として新たに薬剤師を11人増やし40人体制にしたほか、SPDを導入し業務の効率化を図った。調剤エリアを広く設け、必要なシステムを購入。1階の会計窓口近くには、最大で同時に8人の患者に対応できる「お薬渡し窓口」を設置した。

 患者には、院内で薬を渡す方針を周知している。その上で医師は必要に応じて診察時に患者の意向を聞き、電子カルテ上で院内か院外かを選択する。新規患者の初期設定は院内。再診患者では前回の設定が踏襲される。

 院外処方箋の発行枚数は1日約700枚。以前は100%に近かった院外発行率は40%台半ばになった。現状ではまだ全てが院内に切り替わってはいない。患者の希望で院外発行を継続したり、採用薬がない場合には医師が自ら院外を選択したりすることもある。また、新本館開院前から通院する患者では院外発行が標準設定になっており、医師が患者に聞くのを忘れて、そのまま院外が継続される場合もある。

 「院内の比率を急激に伸ばす気はない。じわじわ伸びていけばいい。その方が安いし便利だと思ったら院内にしてもらったらいいし、院外が便利だと思えばそうしてもらったらいい」と岩坂氏は語る。

 院内に切り替えた患者からは、処方オーダ後、最短20~30分で薬を受け取れるため、「会計を終え窓口に来るともう薬ができていると喜んでいただけるケースが少なくない」(富田氏)。入院中の経過を知っている薬剤師が外来移行後に窓口で対応できたことも「よかった」という。

 病院経営面から見ると、院内に50%台半ばしか戻っていない現在は、人件費など支出の増加分が収入の増加分を上回り収益には貢献していない。院内に戻すのは「冒険だしリスクの方が大きい。人件費は増え、場所も必要。外来対応用にシステムも増やした。短期的な収支を考えると従来通り院外発行を続けていた方が安全。だが、それでは1歩伸びた病院にはなれない。ここ数年、病院の黒字化を果たしたからこそ踏み切ることができた」と岩坂氏は話している。



https://www.m3.com/news/general/437255
日本専門医機構、池田康夫理事長が辞任
2016年6月28日 (火) 読売新聞

 来春から始まる予定の新しい専門医制度の運営を担う日本専門医機構の池田康夫理事長が27日、辞任した。

 新理事長は、同日の社員総会で決まった新理事24人の中から、7月4日に開かれる理事会で選ばれる予定。

 専門医は学会ごとに認定してきたが、質のばらつきや乱立が指摘されており、統一して認定するため同機構が発足。養成の中心となる医療機関を治療件数などに基づいて選ぶ方向で準備が進んでいた。

 これに対し、日本医師会や病院団体が、大病院に医師が集中すれば、地域医療の現場が混乱するとして、開始の延期などを求めていた。



https://www.m3.com/news/general/437239
【埼玉】栗橋病院 計画の白紙撤回、久喜市長ら要請行動 県済生会などに
2016年6月28日 (火) 毎日新聞社

栗橋病院:計画の白紙撤回、久喜市長ら要請行動 県済生会などに /埼玉

 済生会栗橋病院(久喜市)が機能の一部を加須市に移す計画を進めていることに対し、久喜市議会が白紙撤回を求める請願と決議を全会一致で採択したことを受け、田中暄二市長と柿沼繁男議長、峯義夫栗橋地区長ら17人が20、21日、済生会本部や同病院などに出向き、議決内容を伝えて計画の白紙撤回を要請した。

 この計画では、3月に加須市長と栗橋病院長との間で覚書が結ばれている。

 久喜市によると、今回の要請に済生会側は「移転計画は本部に上がっていない」「具体的な計画内容は決まってない」と説明。済生会本部の炭谷茂理事長は「(議会の)議決書を重く受け止める」とし、久喜市や住民と協議を重ねる意向を示したという。

 また、県済生会の原澤茂支部長は「この件は県済生会支部の理事会に議案として取り上げておらず、何も決まっていない。(一部移転は)地元の理解を得る必要があり、拙速に進める必要はない」と述べ、県済生会支部会長の上田清司知事は「支部理事会に諮ることなく『覚書』が結ばれており、仕切り直しが必要」としたうえで「地域医療圏での合意を得るべきだ」との考えを示したという。

 要請行動に対応した遠藤康弘・栗橋病院長は「栗橋病院の再整備に関する構想・計画案はまだ作っていない。病院が地域にどうのように貢献できるのか、医療の需給バランス、自治体の政策、地域の要望などを踏まえ、今後考えていく」と答えた。【栗原一郎】



https://www.m3.com/news/iryoishin/437292
シリーズ: 日医代議員会
「医療費抑制ありき、地域差の画一的縮小認めず」
第138回日医臨時代議員会、中川副会長

2016年6月28日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 6月26日の第138回日本医師会臨時代議員で、副会長の中川俊男氏は、第1期の医療費適正化計画では、当初の見込みよりも0.2兆円過大に抑制され、その主な要因は診療報酬自体の抑制であると問題視。同時に、医療費適正化計画は、地域住民の健康への意識を高めたりするなどの点では意味があるものの、「医療費抑制ありき」であってはならず、「医療提供体制をゆがめるような目標設定は今後も絶対に認めない」との方針を示した。

 また現在、各都道府県で策定が進む地域医療構想は、医療費の効率化を狙う医療費適正化計画とは、「次元が異なる」と説明。第3期の医療費適正化計画の基本方針策定では、医療費の地域差縮小も検討されているが、「入院、外来ともに医療費の地域差を画一的に縮小することは認めていない」と主張。

 さらに中川副会長は、公的医療保険の持続可能性を高めるため、また地域包括ケアシステムの実現に向け、必要な財源確保に取り組むと同時に、医療制度の改革案を提言していく方針を示した。

 「医療費、0.2兆円過大に抑制」

 医療費適正化計画について質問したのは、兵庫県代議員の空地顕一氏。医療費適正化計画は、2008年度から5年を1期としてスタート。現在は第2期の4年目に当たる。特定健診・特定保健指導、平均在院日数の短縮、後発医薬品の使用促進などを通じて、医療費を抑制するのが狙い。

 空知氏は、第2期の最終年度の2017年度には1兆円以上の抑制が見込まれるとの予測などを挙げ、これまでの影響を踏まえて第3期の計画を立てるべきとし、(1)医療費適正化計画に対する日医の評価、(2)地域医療構想との整合性――を質した上で、「医療費の圧縮ではなく、あるべき医療提供体制などを念頭に置いた独自の対案を提案すべき」とし、日医執行部の考えを求めた。

 中川副会長は、(1)について、特定健診は国民の健康長寿の延伸が目的であり、医療費削減目標にすることは本末転倒であり、平均在院日数については、「患者のQOL向上や退院後の受け皿整備を伴って、自然に収れんしていくべきもの」とし、無理な短縮は限界に達していると問題視。そもそも医療費適正化計画の平均在院日数は、介護療養病床を除く全病床の平均であるため、「平均在院日数の長い医療療養病床や精神病床を削減しようとする意図が見え隠れする」と指摘した。

 第1期医療費適正化計画の効果についても、次のように説明。「適正化による削減を0.9兆円と見込んでいたが、実績は適正化しなかった場合の見込みを1.1兆円下回った。計画当初の2008年度の医療費を34.5兆円と見込んでおり、これが実際には4000億円少なかったことも考慮する必要はあるが、0.2兆円過大に抑制されている。その主な要因は診療報酬自体の抑制であったと認識している」。

 医療費の地域差の画一的縮小は認めず

 (2)については、まず地域医療構想をめぐる議論を説明。「財政当局は、地域医療構想も医療費適正化計画と同様に医療費抑制のツールにしようとしたものの、日医は審議会などでの議論を通じでその思惑を徹底的に排除し、将来の医療需要としての患者数を見据え、不足している医療機能を手当てする仕組みに修正した。そのため医療資源の充実が必要なケースもある」(中川副会長)。日医としては、入院、外来ともに医療費の地域差を画一的に縮小することは認めていないとし、地域差の要因、背景については、地域での丁寧な協議を重ねつつ、地域医師会主導で課題を掘り下げていくプロセスが重要だとした。

 今後の医療提供体制に向けた提案については、「医療費の伸びの機械的な圧縮が、医療提供体制の崩壊につながることは小泉内閣時代に痛切に経験した」とし、「医療・福祉は、成長率や経済波及効果が高く、公共事業に近い水準にある」と説明。「医療・福祉の活力を高めることなくして、一億総活躍、地方創生もあり得ない」と述べ、医療の重要性を強調した。

 その上で、公的医療保険の持続可能性を高めるために、「生涯保健事業の体系化による健康寿命の延伸、糖尿病のハイリスク群への早期介入による透析導入患者の減少、高額な薬剤の薬価算定ルールの見直しなどが急務であり、地域包括ケアシステムを実現するために、かかりつけ医を中心とした切れ目のない医療・介護の提供が不可欠」と指摘。その実現に向け、必要な財源と医療制度改革案の提言に取り組んでいくとした。高額な薬剤の薬価算定ルールについては、本臨時代議員会の別の答弁でも言及している(『高額医薬品の薬価、「中医協の判断機能、飛躍的に強化」』を参照)。

 関連で質問した、愛知県代議員の藤井康彰氏は、「医療は今後需要が増え、成長産業であるという考え方採るべき」と指摘し、国の方針として延ばしていくよう働きかけが必要とした。中川副会長は、「我々の主張と全く同じ。景気の下支えとしては、医療は最大の分野」と答えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/436928
シリーズ: 真価問われる専門医改革
日本麻酔科学会、2017年度は現行の専門医制継続
理事長名の声明、プログラムは新制度用を応用

2016年6月27日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本麻酔科学会は6月27日、2017年度も、2015年度から実施している現在の専門医制度を実施するという、理事長の外須美夫氏の声明を公表した(資料は、同学会のホームページ)。研修に当たっては、2017年度開始予定だった日本専門医機構による新専門医制度に向けて準備を進めてきた、「専門研修プログラム」として1次審査に提出したものを応用、専攻医の募集は同機構のWebサイトを用いず、従来通り各プログラムごとに行い、その名簿を各学会に報告する。

 2017年度から開始予定だった新専門医制度は、全面実施が見送られ、対応は各学会に判断が委ねられていた(『新専門医制度、2017年度の全面実施見送りへ』を参照)。

 日本麻酔科学会は、1999年に認定制度の改訂を行い、2011年の公益社団法人化を機に専門医制度の見直しを進め、2015年度からは、18の基本領域の一つとして「専門医制度整備指針」を参考に見直しを行った専門医制度を実施している。なお、日本専門医機構は6月27日に新理事が決定する予定で、同学会では「2018年度以降の制度設計に対する抜本的見直しや、これまで準備したプラットフォームの変更もあり得る状況」と留保している。

【日本麻酔科学会の2017年度の専門医制度への対応方針】
1.2015年4月から開始している本学会の現専門医制度を2017年度以降も引き継ぐ。
2.専門研修プログラムは1次審査に提出したプログラムを応用する。
3.専攻医登録は専門医機構のWebサイトを利用せず、従来通り各プログラムごとに専攻医募集を行い、名簿を本学会へ報告する。※日程の詳細は学会HPで公開する。
4.地域医療への影響を考慮して専門研修プログラムの定員枠や施設要件および専門研修指導医要件は柔軟に運用する。
5.大学病院や基幹病院だけではなく地域の中小規模の研修連携施設においても一定の研修が実施され、麻酔医療の量的質的偏在が少しでも解消されるように努める。
6.麻酔科専門医更新については、2018年度までは現制度での更新とし、2019年度から順次日本専門医機構更新基準で行うという計画に現時点で変更はない。
7.専門医更新のための講習、実績等についてはすでに取得した単位は維持され、今後の講習計画等も継続して行う。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49082.html
日病会長、専門委機構の新執行部に期待感- 四病協の各団体が機構の社員に
2016年06月28日 21時00分 キャリアブレイン

 日本病院会(日病)の堺常雄会長は28日の定例記者会見で、来月始動する「日本専門医機構」(機構)の新執行部に対して、これまでの取り組みを踏まえて活動すれば、新専門医制度をめぐる混乱を収束させることができると期待感を示した。【佐藤貴彦】

 新専門医制度は、中立的な第三者機関がすべての診療領域の専門医を認定するもので、学会がそれぞれ専門医を認定する従来の仕組みと比べ、専門医の質の高さが保証されるなどと期待されている。

 機構は新制度の第三者機関として、内科や外科などの基本領域の専門医の養成を来年度から始める方向で準備を進めてきたが、医療界から医師の地域偏在を悪化させるといった懸念が相次いで示されたことから、再検討が求められている。

 こうした中で機構の理事の任期が27日で満了になり、同日の機構の社員総会で、次の理事候補者24人が了承された。新執行部による理事会は来月4日に開かれる予定で、今後の動向が注目を集めている。

 28日の会見で堺会長は、新執行部がこれまでに浮上した問題に優先順位を付け、解決に向けて取り組めば「ある程度の道筋はできる」との認識を表明。また、新制度の関係者として、学会や厚生労働省、各都道府県に設置された専門医養成に関する協議会などを挙げ、混乱の収束を目指して機構が関係者を主導する役割を果たしていくべきだと指摘した。

 さらに、各地の医療機関が、新制度に対応した専門医の養成プログラムを既に用意していることから、そうしたプログラムをチェックする部署を機構の内部に設けるなどして関係者の意見の一致に向けた調整を行えば、一部の領域で来年度から新制度を開始できるとの考えも示した。

 また堺会長は、機構の問題点として、意思決定プロセスなどの見えにくさを挙げる声があると指摘。新執行部に対して「透明性を担保していただきたい」と注文を付けた。財政基盤が弱いとの指摘もあるとし、解決策の一つとして、社員の増加による会費収入アップを挙げた。その上で、現在は「四病院団体協議会」を構成する4つの病院団体のうち、日病の堺会長のみが社員になっているが、それ以外の3団体も「社員になろうではないかということを考えている」と述べた。

■副会長に宮崎・前常任理事が就任

 また堺会長は、常任理事だった宮崎瑞穂・前橋赤十字病院名誉院長が、22日の理事会で日病の副会長に選任されたことを明らかにした。全国公私病院連盟の会長に就任して日病の副会長職を退いた今泉暢登志・福岡赤十字病院名誉院長の後任で、任期は来年5月に予定される定期社員総会まで。



http://www.medwatch.jp/?p=9437
新専門医制度、日本専門医機構の新体制下での諸課題解決に期待―日病・堺会長
2016年6月28日|医療・介護行政をウォッチ

 7月頭に日本専門医機構の新執行部(理事長、副理事長)が固まる。そこでガバナンスの問題や意思決定プロセスの透明化、事務局の体制整備、養成プログラムのチェックなどといった諸課題を解決していくことで、新専門医制度の道筋が見えてくるのではない―。

 混迷している新専門医制度について、日本病院会の堺常雄会長は28日の定例記者会見でこのように見通しました。

ここがポイント!
1 事務局体制を強化し、日本専門医機構の意思決定プロセスの「見える化」が重要
2 専門医の定員、「厚労省が上から定める」のでは現場の納得が得られない可能性も
 事務局体制を強化し、日本専門医機構の意思決定プロセスの「見える化」が重要

 新専門医制度は、第三者機関(日本専門医機構)が「専門医養成プログラムの認証」と「専門医の認定」を統一的な基準で行うことで、より質の高い医療提供体制の構築を目指す仕組みです。

 来年(2017年)4月から新専門医の養成がスタートする予定ですが、「専門医の養成プログラムのハードルが厳しく、研修施設は大学病院などに偏っており、地域・診療科における医師偏在を助長してしまう」「専門医の認定や養成プログラムの認証を行う日本専門医機構には、ガバナンスなどさまざまな点で問題が多い」との強い指摘があり、混迷しています(関連記事はこちらとこちら)。

 そうした中で、日本専門医機構は7月頭に新理事長・副理事長を選任し、新体制を整えます。この点について堺会長は、新体制の下で現在指摘されている日本専門医機構の課題(ガバナンスに問題がある、意思決定プロセスが見えにくい、事務局の体制が弱い、など)に優先順位をつけた上で対処することで、新専門医制度に「ある程度の道筋ができると思う」と見通しました。堺会長は、そのために「意思決定の見える化」「事務局体制の整備」を早急に行う必要があるとも強調しています。

 また、堺会長は新専門医をとりまくステークホルダーとして(1)日本専門医機構(2)学会(3)厚生労働省(4)専門医のあり方等に関する専門委員会(社会保障審議会医療部会の下部組織)(5)都道府県に設置されている協議会―の5者がいると指摘。その上で、「日本専門医機構がステークホルダーとのコンセンサスを得ながら、主導的役割を果たして、養成プログラムのチェックなどを進められれば、総合診療専門医を除く18の基本領域すべてで新専門医の養成をストップし、従来の専門医制度を継続する、ということにはならないのではないか」との見解も示しています。

専門医の定員、「厚労省が上から定める」のでは現場の納得が得られない可能性も

 ところで、日本病院会も加盟する四病院団体協議会と日本医師会は7日に、連名で▽地域医療、公衆衛生、地方自治、患者・国民の代表による幅広い視点も大幅に加えた『検討の場』を設けて、その検討結果を尊重する▽『検討の場』において医師偏在が深刻化しないか集中的に精査し、懸念が残るプログラムについては2017年度からの開始を延期し、現行の学会専門医の仕組みを維持する―ことなどを柱とする提言を日本専門医機構に行っています。

 この提言を重視すれば、検討の場の議論で(A)懸念が生じない領域は2017年度から新制度(B)懸念が残る領域は2017年度も現行制度―で専門医の養成を行うことになります。

 この点について堺会長は、「来年(2017年)4月から新制度での養成を開始するところから逆算すると、少なくとも7月いっぱいには『検討の場』を立ち上げる必要がある」と述べるにとどめています。

 『検討の場』では、各養成プログラムに「地域偏在が生じないか」「研修施設の偏りはないか」などを精査することになります。この点、「すでに養成プログラムの多くは日本専門医機構に提出されているため、精査にはそれほど時間はかからないのではないか」との見方もありますが、一方で「都道府県に設置される協議会での検証も必要であろうから、それを待つことになると一定の時間が必要になるのではないか」と見る向きもあります。日本専門医機構の新執行部の判断に注目が集まります。

 また、専門医のあり方等に関する専門委員会では、「地域別・診療領域別の専攻医定員」を設けてはどうかとの議論もなされています。この点について堺会長は、「定員枠の設定は、厚労省が上から決めるのでは、医療現場の納得が得られないであろう」と見通し、プロフェッショナル・オートノミーを重視(もちろん国の関与とのバランスもとって)することの重要性を指摘しています。

 またなお堺会長は、23日・24日の両日に盛岡市で開催された日本病院学会(関連記事はこちら)での新専門医制度をめぐるシンポジウンムの議論も総括し、「専攻医の身分保障」「指導医をはじめとする現場へのインセンティブ」「指導医側の準備(初期臨床研修では病院団体などが指導医研修を実施)」といった点も、今後の課題になると紹介しました。


 なお今泉暢登志副会長が、全国公私病院連盟の会長に就任することに伴い、日本病院会の副会長職を退任。新たに前橋赤十字病院の宮崎瑞穂名誉院長が、副会長職に就任しています。



http://mainichi.jp/articles/20160628/ddn/012/040/048000c
子宮頸がんワクチン
研究不正疑いで信州大が調査委

毎日新聞2016年6月28日 大阪朝刊

 子宮頸(けい)がんワクチン接種後の健康被害を訴える女性らを診療している、厚生労働省研究班代表の池田修一・信州大教授(脳神経内科)が、3月に発表した研究内容について、不正を疑う通報があり、同大は27日、学内規定に基づく調査委員会を設置する方針を決めた。

 池田教授らの研究班は、免疫機能が自分の体を攻撃する「自己免疫疾患」を起こしやすいよう遺伝子操作を行ったマウスに、子宮頸がんワクチンと他のワクチンを打ち、反応を調べた。
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 発表では、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳組織にのみ、自分の体を攻撃してしまう抗体が沈着していたと説明した。しかし、外部の医療関係者らから詳しい実験データの開示を求める声や、実験自体への疑義が上がっていた。

 調査委はまず、予備調査を実施し、必要に応じて、過半数を外部有識者で構成する組織で本調査を行う方針という。池田教授は現在、副学長、医学部長を務めている。【中村好見】



http://mainichi.jp/articles/20160629/k00/00m/040/083000c
6年3カ月間で228件 死亡例20件
毎日新聞2016年6月28日 21時13分(最終更新 6月28日 22時15分)

 国内で起きた医療事故情報を収集する公益財団法人・日本医療機能評価機構(東京都)は28日、抗がん剤に関する事故が6年3カ月間で228件に上ったとの調査結果を公表した。平均すると1カ月に3件程度になる。患者の死亡例は20件、障害の残る可能性の高い例は26件で、全体の2割が重大な事故だった。抗がん剤はがんの有効な治療法だが、使い方を誤った時のリスクは高く、同機構は医療関係者らは注意を呼びかけている。

 調査は2010年から現在の方法で統計を取り始め、今年3月までの6年3カ月間の結果をまとめた。

 最も多かったのは「血管外への漏れ」(68件)で、副作用など患者の容体悪化53件 ▽過剰投与34件 ▽投与日・日数間違い11件 ▽薬の種類の間違い10件 ▽患者の間違い6件−−などと続く。

 半数以上の128件は看護師などの投与に伴うミスだったが、医師の処方の誤りも41件あった。個別のケースでは、薬剤師が暗算したことによる薬の濃度の間違いや、治療計画作成時の薬剤師の数値入力ミスなどが起きていた。【野田武】


  1. 2016/06/29(水) 05:28:06|
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