Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月27日 

http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/06/27/09.html
病院の譲渡や機能移転…久喜の医療考えるシンポ 市民240人が参加
2016年6月27日(月) 埼玉新聞

 経営不振による久喜総合病院(久喜市上早見)の経営譲渡や、済生会栗橋病院(同市小右衛門)の一部機能移転など、課題を抱える同市の地域医療を考えようと、市民団体「久喜地域の医療を考える会」は26日、同市伊坂の栗橋文化会館でシンポジウムを開催し、市民ら約240人が参加した。

 シンポジウムの前半は、同会代表世話人でNPO法人医療制度研究会副理事長の本田宏医師が、医師不足や医師の過酷な労働環境、長期入院になるほど点数が減る日本の診療報酬制度などについて解説。栗橋病院・前院長補佐の本田医師は「栗橋病院に地域救急センターが開設した時、救急専門医は0人だった」と明かし、「人口10万人に対する医師数は埼玉県が全国最下位で、高齢者増加率は1位。埼玉にこそ、医学部をつくる権利と義務がある」と強調した。

 後半では、家族が救急車で市内の病院に運ばれた市民や久喜総合病院の誘致をした市民、久喜市議2人が登壇。本田医師が司会を務めた。

 市議らは栗橋病院の一部機能移転に関し、補助金や関係機関の動きなどを説明し、「久喜市は栗橋病院の運営にもっとお金をかけるべきだった。病院が老朽化する中、加須市は病院の資金援助などに積極的だった」と振り返った。来場者からは「加須市の医療も考える必要がある」という意見も挙がり、登壇者らも病院の移転による地域間のあつれきに苦渋の表情を浮かべた。

 本田医師は「医療は全て政治。医師が増えない要因の一つに財務省と厚労省の力関係があり、国には医師を増やせば医療費が増えるという考え方がある。目の前にいる医療従事者に文句をつけるだけでは医療は良くならない。日本の問題として長期的に考えて」と訴えた。

 栗橋病院の移転に関しては、久喜市議会が今月20日、移転計画の白紙撤回を求める決議を全会一致で、幸手市議会も24日、同院の現行存続を求める決議を賛成多数で可決している。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49052.html
淘汰の時代、生き残る病院の見極め方- 医師・キャリア考(3)
2016年06月27日 08時00分 キャリアブレイン

 医師の転職支援事業を行っている株式会社キャリアブレインとのタイアップ企画、「医師・キャリア考」。第3回は生き残る病院の条件についてです。
 
 病院の閉鎖は、実はそれほど珍しい話ではありません。例えば2003年から14年までに629カ所の病院がなくなっていますし、13年から14年の1年間に限っても47カ所が閉鎖しています。ちなみに03年時点の病院数は9122カ所。03年から14年の間には、おおよそ100カ所のうち6カ所から7カ所の割合で病院が閉鎖していたわけです。

 もはや、病院も淘汰の波を避けられない時代に突入したと言えるでしょう。しかも、昨今の制度改正は、淘汰の波をますます荒く、激しいものに変えつつあります。

 1人ひとりの医師がキャリアを考える上で、安定した職場を選べるかどうかは、とても大切な要素です。ならば、この厳しい環境の中で10年後も病院が生き残るには、どんな条件が必要なのでしょうか―。まずは病院が閉鎖に至る理由から見直し、考えてみましょう。

■病院廃業理由のトップは人材不足

 当たり前のことですが、病院閉鎖の直接の原因は収益減です。
 収益減の大きな理由として誰もが思い浮かべるのは診療報酬改定に伴う減収でしょう。ところが、実際は人材不足こそが最大の理由となっているのです。

 一般的には、医師1人につき1億円の売り上げが上がるといわれています。大まかな平均値ですが、何らかの理由で医師が退職すると、病院の売り上げはそれだけ減ることになります。医師の退職後、すぐに別の医師を雇用することは難しく、医師以外にその売り上げを上げることはできないため、病院経営には大きな打撃となります。

 さらに、その医師が退職したことによる業務負担が、働いているスタッフにのし掛かってくるため、退職者が続く事態にもなりかねません。

■ポイント1:人材の確保対策は行っているか?

 人材不足は病院閉鎖に直結する極めて重いリスクと言えるでしょう。それだけに、その対策を講じているかどうかが、生き残る病院を見極めるための重要なポイントです。

 人材確保対策は、人材採用と退職防止の2つの観点があります。
 人材採用の対策としては、経営トップが自分のつてを使って常に情報を収集したり、採用のための経費を確保して業者を使ったりということが挙げられます。

 退職防止の対策としては、残業時間の短縮や勤務日数の短縮等について取り組みを行っているかがポイントになります。当直や外来などの業務に対しては、スポット勤務の医師で対応するなど、常勤医師の勤務時間に配慮した対策を取っているかを見極めた方がよいかと思います。

■ポイント2:病院が特色を出せているか?

 もう一つのポイントとして挙げられるのが、病院が特色を出せているかどうかです。

 国は病院の機能分化を進めています。同じ医療圏の中に似たような機能の病院が複数存在すると圏内の患者の奪い合いになり、どこかが廃業に追い込まれますが、それぞれが特定の分野に特化していれば、無益な患者の奪い合いは避けられるからです。

 その病院が存在する医療圏内で、どのようなポジションにある施設なのかが一目で理解できる病院は生き残れる病院と言えるでしょう。

 特色の有無を判断するには、病院の科目ごとの常勤医師数をチェックしてみましょう。多くの場合、院長の専門科目と常勤医師数が多い科目は一致します。もし違う場合は、その理由を調べてみる方がいいかもしれません。

■ポイント3:経営者の年齢と後継者

 最後のポイントが、経営者の年齢と後継者です。
 実は、経営者が突然不在になり、病院が閉鎖されるということも少なくありません。

 06年に厚生労働省が行ったアンケートによると、医療法人の理事長・院長の6割以上が60代、3割が70代以上です。経営者が高齢であることは、病院閉鎖のリスクになり得ます。その場合、後継者の有無が非常に重要な問題です。

 直接、理事長・院長に「後継者はいらっしゃいますか?」とは聞けませんが、ご年齢を伺った後にご子息のお話などをすると、この辺の事情を聞くことができるかもしれません。
 
後継者が決まっている場合でも、その方の専門分野が病院の今後の方向性に大きくかかわってくるため、自分のキャリアを考える上での参考情報になるはずです。

 いかがでしょうか?

 これまで述べたような内容に、今の勤務先が当てはまるのではないか?と不安になられた先生、または、今転職を考えていたけれども転職先候補の施設の情報を詳しく知りたいと思われる先生、一度お気軽にキャリアブレインまでご相談ください。客観的な視点で、先生のキャリアに関する最適な提案をいたします。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49070.html
専門医機構の役員候補者24人を了承- 来月4日に理事長選出へ
2016年06月27日 22時00分 キャリアブレイン

 来年春の開始に向けて混迷が続く新たな専門医制度について、研修プログラムの認定などを行う「日本専門医機構」(機構)は27日に開いた社員総会で、任期満了に伴う役員の改選を行い、理事24人の候補者案を了承した。今後、候補者から承諾書の提出を受け、正式決定する。機構は来月4日の理事会で、新しい理事長と副理事長を決める。【敦賀陽平】

 機構は5月下旬、日本医師会(日医)や病院団体の役員ら10人による「役員候補者選考委員会」(委員長=中川俊男・日医副会長)を設置し、候補者の人選を進めてきた。この日は、中川委員長が候補者案について説明後、社員総会で審議し了承を得た。

 今回選ばれた24人のうち、再任は4人しかいないため、これまでの事業を継続できるのかを懸念する声もあったが、中川委員長は「新任の役員は専門医制度に精通している」として理解を求めた。

 選考委では当初、25人の候補者案を検討していたが、日本医学会連合から推薦のあった候補者1人に対して、委員から「新しい執行部の体制に相応しくない」などと反対の声が上がり、全会一致を得られなかったため、候補者から外れた。

 機構の役員選任規定では、同連合から2人の候補者を選出することになっており、社員総会では、同連合から改めて候補者1人を推薦してもらうかどうか審議し、最終的に同連合の高久史麿会長が機構の理事会に対して、新たな候補者案を提出することになった。

24人の候補者は次の通り。
 ▽吉村博邦 ・地域医療振興協会顧問/北里大名誉教授(再任)
 ▽松原謙二 ・日医副会長
 ▽羽鳥 裕 ・同常任理事
 ▽山下英俊 ・山形大教授
 ▽稲垣暢也 ・京大医学部附属病院教授
 ▽神野正博 ・全日本病院協会副会長
 ▽森 隆夫 ・日本精神科病院協会常務理事
 ▽渡辺 毅 ・福島労災病院長(再任)
 ▽北川昌伸 ・東京医科歯科大大学院教授/日本病理学会常任理事
 ▽神庭重信 ・九大大学院教授/日本精神神経学会副理事長
 ▽國土典宏 ・東大医学部附属病院教授/日本外科学会前理事長
 ▽岩本幸英 ・九大大学院教授
 ▽市川智彦 ・千葉大大学院教授
 ▽木村壮介 ・日本医療安全調査機構常務理事/国立国際医療研究センター病院名誉院長(再任)
 ▽桐野高明 ・東大名誉教授/元国立病院機構理事長(再任)
 ▽井戸敏三 ・兵庫県知事
 ▽遠藤久夫 ・学習院大教授
 ▽小林誠一郎 ・岩手医科大副学長
 ▽寺野 彰 ・獨協学園理事長/獨協医科大名誉学長/日本私立医科大協会長
 ▽豊田郁子 ・新葛飾病院セーフティーマネージャー/医療安全対策室主任
 ▽花井十伍 ・連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員
 ▽邊見公雄 ・全国自治体病院協議会長
 ▽本田 浩 ・日本医学放射線学会理事長/九大大学院教授
 ▽柳田素子 ・京大大学院教授



http://www.nikkei.com/article/DGXKZO04143600Y6A620C1EA1000/
社説・春秋
新専門医制度の不安を拭え

2016/6/28 日本経済新聞

 内科、外科など各分野の専門医の質を上げるため、2017年度から新たな医師研修制度の導入が予定される。ところが研修のために医師が都市部に集まり、地方の医師不足が加速するとの懸念は根強い。導入延期を求める声も出るなど混乱が広がっている。

 地方の医師不足が叫ばれ始めて久しい。さらに悪化するようでは、安心して暮らすことができない地域が増え、政府の方針である「地方創生」にも逆行するだろう。新制度は不安の種をしっかりと取り除いてから始めてほしい。

 医師は免許取得後に基本的な診療能力を身に付けるため、2年間の初期臨床研修を受ける必要がある。その後、各分野の専門医資格を取得することが多い。ただ現在の専門医は各分野の学会が独自に認定している。中には学会に出席していれば比較的簡単に認定される場合もあり、専門医の質のばらつきが問題になっていた。

 このため、学会など医療関係者が集まって第三者機関「日本専門医機構」を設立し、この機関が統一的に専門医を認定する新制度を始めることにした。認定されるためには、主に大学病院などの大病院で研修を受ける必要がある。

 ただこの仕組みだと地方で働く医師が一定期間、都市部の大病院に異動してしまうという弊害が予想される。そのまま都市部に定着もしかねない。ベテラン指導医も都市部に集中する恐れがある。

 病院団体や日本医師会、地方自治体などは日本専門医機構に対し、拙速な新制度導入を避け、地域医療に支障が出ないように制度を見直すよう求め始めた。

 専門医の質の向上は必要だが、関係者の意見が対立していては患者も不安だ。新制度は医療界の自主的な仕組みとなる予定だが、混乱が続くようなら、政府が介入するのもやむを得ないだろう。

 医療界はいま一度、各団体の利害得失を超えて患者のために何が必要かを考え、力を合わせて地方でも質の高い専門医が活躍できる制度をつくってほしい。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49071.html
池田氏、新専門医制度の仕組み「できた」- 任期終え、次の執行部にエール
2016年06月27日 23時00分 キャリアブレイン

 27日の「日本専門医機構」(機構)の社員総会で任期を終えた池田康夫・前理事長は、社員総会後に記者会見を開き、新しい専門医制度の「プラットフォーム」となる仕組みづくりに努め、「かなりしっかりしたものができた」と振り返った。【佐藤貴彦】

 機構は、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書を受けて、新しい専門医制度で各診療領域の養成プログラムの認定などを行う第三者機関として2014年5月に設立された。機構の前身の「日本専門医制評価・認定機構」で理事長を務めた池田氏は、機構の初代理事長に就任し、新制度による専門医の養成を来年度からスタートさせる方向で準備を進めてきた。

 ただ、日本医師会と4つの病院団体が今月7日、新制度に対して、医師の偏在を強めて地域の医療現場に大きな混乱をもたらすといった懸念を表明。新制度について再検討するよう求めていたが、池田氏の任期は検討結果を得る前に満了となった。

 機構内での新役員の選定に先立ち、池田氏は再選を辞退する考えを表明していた。その理由について27日の会見で池田氏は、任期中に新制度の「プラットフォーム」が出来上がり、今後は浮上した問題を解決しながら実行に移すフェーズに移る必要があるためだと説明。「新しい執行体制で、早く実施に移してほしい」と述べた。

 また池田氏は、「(次の執行部には)スピード感を持って議論してもらわないと、国民の期待に応えられない」と強調。新制度の実現に向けて「エールを送りたい」とも話した。

 後任の理事長は、この日の社員総会で了承された新役員候補24人の中から、7月4日の理事会で決まる見通し。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48919.html
日医・横倉会長×徳田医師対談- 持続可能な医療のために(4)
2016年06月27日 14時00分 キャリアブレイン

 昨年6月、塩崎恭久厚生労働相の指示で20年後の保健医療のあるべき姿を示した「保健医療2035」を取りまとめた懇談会のメンバーの一人である徳田安春・地域医療機能推進機構(JCHO)本部総合診療顧問と、同懇談会にアドバイザーとして参加した日本医師会(日医)の横倉義武会長の対談が実現。米国発のChoosing Wisely(賢く選択しよう)キャンペーンを日本で主導する徳田顧問と、「かかりつけ医」を推進する横倉会長が1年ぶりに再会した。【君塚靖】

【特集「Choosing Wisely」持続可能な医療のために】
Choosing Wiselyは医療肯定(2016/05/26)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48680.html
医療現場のChoosing Wisely(2016/06/02)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48792.html
若手医師のChoosing Wisely(2016/06/09)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48806.html

 保健医療2035には「世界各国で急速に広がっているChoosing Wiselyの取り組み、すなわち検査や治療の選択において必要性を的確に吟味し、無駄を控えるように推奨するなどの専門医学会等による自律的な取り組みを進める」ことが盛り込まれたほか、かかりつけ医について、「身近な医師が患者の状態や価値観も踏まえて、適切な医療を円滑に受けられるようサポートする『ゲートオープナー』機能を確立する」と明記された。

 対談は日医の会長室で行われた。徳田顧問は会長室に入るや否や、自身が編集に携わった書籍「日本の高価値医療(High Value Care in Japan)」を横倉会長に手渡した。横倉会長から、「いったい誰のためのValueですか」と尋ねられると、徳田顧問は何のためらいも見せずに「患者さんのValueです」と言い切った。

 横倉会長 保健医療2035の懇談会は、40代前後のメンバーが中心でした。2035年に活躍する人が中心であったことはとてもよかったと思います。本来、長期的な政策立案・決定を、高齢の方が決めてしまってはいけません。その意味で懇談会メンバーの構成が素晴らしかったと思います。それに、よくある用意された資料を行政の担当者が説明するだけの役所の会議と、まったく違っていました。

 保健医療2035に、かかりつけ医のゲートオープナー機能の確立が盛り込まれたのは評価しています。かかりつけ医は、健康を守るところから、お亡くなりになるところまで患者さんに寄り添うのが一番の役割です。医療に限らず患者さんの生き方までをカバーするのが、かかりつけ医です。それを推進するのがわれわれ日医なのだと考えています。

 徳田顧問 懇談会では、まさしく将来の保健医療のあるべき姿について、ゼロからのブレインストーミングで議論を始めました。経験の浅い私たちが短期間で報告書をまとめられたのは、横倉会長をはじめとしたアドバイザーからの適切な指導や強いサポートがあったからだと思っています。しかも、報告書は世界的に有名な医学雑誌「ランセット」にも掲載されました。(下記リンク)
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(15)61135-7/abstract

 Choosing Wiselyキャンペーンは、米国の内科専門医を認定する米国内科認証機構財団が12年に呼び掛けて始まったのですが、その底流には、プロフェッショナリズムがあります。このキャンペーンは一気に広がり、現在20カ国程度にまで広がっています。

 私たちも2年ほど前から、このキャンペーンに取り組んでいます。Choosing Wiselyが保健医療2035に盛り込まれたので、これを日本でうねりにしたいと思っています。若手の医師に、このメッセージを伝えるだけでなく、患者さん向けの健康教育の中でも伝えていきたいです。

 横倉会長 米国発のChoosing Wiselyについては、最初の論文を読みましたが、いい取り組みだと思う一方で、医療提供者側にとっては、どんな影響があるのか、いい方向なのか、それとも大変な方向なのか、どっちに転ぶのかと考えたこともありました。
 
 かかりつけ医には、Choosing Wiselyで患者さんが賢明な選択をするのをサポートする役割もあります。何かの病気にかかったとして、それに対してどの検査をして、どの治療をするのか、医療にはいろいろな選択肢があります。その中で、かかりつけ医が、「これが適切ですよ」と助言をするのが大事です。

 Choosing Wiselyのベースには、プロフェッショナリズムがあるとのことですが、私が日医会長に就任して最初に取り組んだのが、日医のあり方を明確にする綱領の作成でした。この綱領の前文には、「医師としての高い倫理観と使命感を礎に、人間の尊厳が大切にされる社会の実現を目指します」と明記されています。まさに医師のプロフェッショナリズムです。

 一方、Choosing Wisely を推進する中で、気を付けなくてはいけないのは、過小な医療にならないようにすることだと思っています。医師として十分に注意をしなくてはいけません。「この範囲の検査で済む」と思っていたら、それ以外の診断が出てくる場合もあります。私は「過不足ない医療」という表現を使っていますが、過剰医療になってはいけませんが、不足した医療でもいけないのです。若い人への教育では、この辺りが重要になってきます。

 徳田顧問 横倉会長の助言の通り、患者さんのアウトカムをよくするのが、Valueですので、Choosing Wiselyで医療がシュリンクしてはいけません。適切な医療を患者さんのValueを考えて提供するという意味において、決して医療否定でもなく、医療費のコストだけを考えることでもありません。Choosing Wiselyと、日医綱領にあるプロフェッショナリズムは一致していると考えています。

 横倉会長 4月28日の経済財政諮問会議に提出した、「持続可能な社会のために」と題した資料の中に、取り組みの具体例として、「症状や患者特性に応じてコスト意識を持った処方を診療ガイドラインに掲載する等学会活動の支援」を挙げました。

 社会保障の中の医療費は、経済が右肩上がりを続けているならば拡大していっていいのかもしれませんが、現状はそうはいきません。その中で、国民皆保険は、次の世代に引き継がなくてはいけません。「適切な医療」というのは、質も量も適切でなくてはなりません。さらにコストも頭に入れておかなくてはなりません。そこで、経済財政諮問会議に、医療側から提言できる分野や項目を一覧表にして示しました。(下記リンク)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/committee/280428/shiryou3.pdf

 徳田顧問 この内容を拝見して、ともかく価値の高い医療(High Value Care)を具体的に示されていることに感動しています。糖尿病、人工透析、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などを挙げられていますが、いったん重症化してしまったら、患者さん本人もつらくて、医療費も増大しますし、国民の負担も増えます。これらを予防するのは非常に意味のあることです。患者さんのため、さらには社会のために、学会が一丸となって取り組んでいくことが重要だと思います。

 横倉会長 今、抗がん剤や高脂血症治療薬などで、極めて高い薬が次々と出てきています。以前からある薬でも、コレステロール値を下げることができる患者にまで、その高額な薬を投薬することがあってはいけないと思うのです。

 これから医師は、コストを考えながら処方する必要があります。これにより、患者さんも余計な負担が増えないので助かります。生活習慣病薬の中で、高脂血症薬、高血圧薬といった薬では、選択次第で相当コストを下げることができるところがあります。医師は、患者さんに治療の成果を含めて、「適切な治療をやっていきましょう」と助言する必要があります。学会は、標準治療のガイドラインを策定していますので、その中でコストを考えた治療法や処方例集といったものをつくってほしいと働き掛けています。

 徳田顧問 横倉会長が学会や私たちのボランティア活動を支援してくださっているのは、非常に心強く感じます。私は総合診療医という立場で高齢の患者さんを診るケースが多く、1つだけでなく2つも3つもの疾患を持っていたりして、従来の学会ガイドラインを当てはめると、処方する薬の数が増えて、最終的にポリファーマシー(多剤処方)になってしまいます。それを考えると、ガイドラインも人間の立場に立ったバランス感覚が必要になると思います。

 Choosing Wiselyキャンペーンには、将来の医療を担う若手の医師が熱心に取り組んでいます。各地で自発的に勉強会を立ち上げて、医療システムや医療政策、医療経済を学んでいます。患者さん教育も重要との認識から、医学生という立場でも何かできるかもしれないというグループも行動を起こし始めています。

 医学生の活動には、私もコラボレーションをしています。これからは、医師会の先輩方と一緒に将来の医療を支える「かかりつけ医」の土台をつくっていきたいので、ぜひとも協力をお願いいたします。
 
 横倉会長 医学生や若手医師には、大いに期待しています。若い時の臨床経験は後々に影響してきます。若い時から、適切な医療とは何かを考えることは必要です。自分が医学生や若い医師の時は、医師会は、ものすごく遠い存在でした。

 医師会を理解していただく意味でも、若い人たちと行動することは、大賛成です。日医としても、医学生や若手医師との交流会やイベントをもっと開催していきたいと思います。

 世界各国ごとに医療制度などに違いはあれ、医療の本質はまったく同じです。「病める人を医師が診て、健康に戻す」というのがわれわれの技・業なので、そういう意味では他の国と違いはありません。そこで、各国と同じようなChoosing Wiselyという思想をしっかりつくっていただけるとありがたいですね。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49064.html
適正な医療費「現場がイニシアチブ」- 日医・横倉会長が所信表明
2016年06月27日 11時00分 キャリアブレイン

 日本医師会(日医)の横倉義武会長は26日に開かれた臨時代議員会で、3期目の所信を表明した。この中で、持続可能な社会保障制度や国民皆保険の維持に向けた適正な医療費への取り組みついて、「財務省をはじめとする官僚の主導ではなく、医療現場を担うわれわれがイニシアチブをとっていく」と述べた。【君塚靖】

 横倉会長は、最近の高額な医薬品、医療機器の保険収載を例に挙げ、「患者や医療者の思いに沿いながら、中医協(中央社会保険医療協議会)の判断を高めていかなければならない」と指摘。このほか、新たなルールやガイドラインをつくり、費用対効果にも見合った適切な処方や使用に努める必要があると強調した。

 また、終末期医療の在り方については、「何が患者のための最善の医療であるかを考え、患者の尊厳、生活の質をより重視した対応が考慮されるべき」とした上で、医療関係者のみならず、宗教家や法曹界などの関係者を交え、国民と共に考えていくことが重要だとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/432212
シリーズ: 今どきの「U35ドクター」2016
若手医師、ワークライフバランス重視の傾向◆Vol.14
現実には長時間労働ほぼ変わらず

医師調査 2016年6月27日 (月)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 仕事とプライベートにかける時間について、理想と現実の比率を教えてください。
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 仕事とプライベートの時間の割合の「理想」を尋ねたところ、最多が「7:3」で、次が「6:4」、「5:5」と続き、2013年の調査と同じ順番だった。しかし、内訳を見ると、「7:3」では2013年の31%から27%に減少する一方、「6:4」では20%から24%に、「5:5」は17%から23%に増加していた。ワークライフバランスを重視する傾向が強まっているようだ。
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 もっとも、「現実」では、2016年の最多は31%の「8:2」だった。2013年は「9:1」と「8:2」がともに27%で最多だった。「7:3」は20%から16%に減少しており長時間労働は変わらないが、わずかに改善傾向にあった。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0627503879/
「診療GL専門家だけでつくる時代は終わった」
日本プライマリ・ケア連合学会で東京北医療センター・南郷栄秀氏が講演

学会レポート | 2016.06.27 07:05 Medical Tribune

 医療現場では欠かせないさまざまな診療ガイドライン(GL)。従来は海外から「輸入(翻訳版)」されたものや経験豊かな専門医らのコンセンサスに基づくものなどが主流だったが、近年はエビデンスを網羅したものが重要視される。しかし、東京北医療センター総合診療科の南郷栄秀氏によると、現在、診療GLは大きな転換点を迎えており、総合診療医においては診療GLを「評価」 「利用」 「作成」する3つの役割があるという。第7回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(6月11〜12日、会長=台東区立台東病院管理者・山田隆司氏)のシンポジウム「いまこそ総合診療医が必要になるガイドライン」に登壇した同氏がその手法を指南。中でも作成に関して、同氏は「専門家だけでつくる時代は終わった」と述べ、積極的な参画を呼びかけた。

評価ツールとしてAGREEⅡの活用を

 南郷氏はまず、「診療GLは、その推奨に従うものではなく、エビデンスに基づいて(医療者が診療内容を)判断するための方法を導き出すもの」と説明。そのためには診療GLの内容が正しいか否かを判断する必要がある。そこで同氏は、1つ目のポイントとして、「診療GLをうのみにせず、評価できるようになろう」と述べた。

 診療GLの作成形式を評価ツールとして同氏が紹介したのがAGREEⅡ(Appraisal of Guidelines for Research & Evaluation Ⅱ)。現在、日本医療機能評価機構では翻訳版を作成中で、「対象と目的」 「利害関係者の参加」 「作成の厳密さ」 「提示の明確さ」 「適用可能性」 「編集の独立性」の6領域に計23の評価項目で構成される(表)。

表. AGREEⅡの項目(日本語訳 試行版 ver.01)
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(AGREEⅡ日本語訳 試行版 ver.01、日本医療機能評価機構EBM医療情報部)

 一方、わが国の診療GLの作成においては、かつて作成方法の主流であった専門家らの「コンセンサスGL」から、エビデンスレベルの高いものを反映させた「Minds診療ガイドライン作成の手引き2007(Minds 2007)」、そして2年前からは「同2014(Minds 2014)/GRADEシステム」へと変遷を遂げており(図)、同氏によると、現在は診療GLの大きな転換期であるという。

図. 診療GLの変遷
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(南郷栄秀氏提供)

 GRADEシステムの大きな特徴は「システマチックレビューが行われていること」 「アウトカム中心主義であること」 「エビデンス総体の質(確実性)を評価していること」の3点であり、Minds 2014はこれを改変したものである。ただし、現時点ではMinds 2014/GRADEシステム以前のMinds 2007に基づいてつくられた診療GLがほとんどであるため、前述のAGREEⅡを活用して、診療GLのユーザーである医師や医療関係者がその内容について評価をすることが望ましいという。なお、医科分野として初めてのMinds 2014/GRADEシステムを用いた国産診療GLである「ARDS(急性呼吸窮迫症候群)診療GL2016」が来月(7月)に発刊されるという。

批判的に吟味する目と診療GL作成への参画を

 次いで2つ目のポイントとして、南郷氏は実際の診療GLの使いこなし方についても解説。同氏は、とりわけ研修医が行いがちな例として、「『推奨』のみを読んでそのまま診療を行ってしまうが、それはやめるべき」と述べた。推奨の根拠となる「解説」にも目を通し、「システマチックレビューが行われているかや他にエビデンスはないかを自分で判断したり探したりすることが必要だが、少しトレーニングが必要だ」と続け、批判的に吟味する目を持つよう促した。

 その上で、「(たとえその診療GLが)信頼できるからといって、海外の推奨をそのまま(日本の臨床現場で)使っていいのか」と問いかけた。「それはだめだ」と断りつつ、「海外と日本では、人々の価値観、人生観、宗教観や好みが違う。また、英国のように低コストで診療GLをつくる国もあれば、米国のように訴訟大国という社会背景のある国もある」とその理由を説明。「だからこそ、わが国独自の診療GLが必要になってくるのだ」と力説した。

 さらに同氏は、3つ目のポイントとして、「診療GLをつくれるようになろう」と呼びかけた。専門家だけが作成に携わるイメージが強いが、「診療GLのパネル会議には、判断に関わるあらゆるステークホルダー(利害関係者)の参画が必要。もはや専門家だけで診療GLをつくる時代は終わった」と断言し、「(診療GLは)ありがたくもらうものではない、われわれが作成の場に入って行かなければならない」と意識改革を求め、講演を締めくくった。

(松浦 庸夫)



http://mainichi.jp/articles/20160628/ddm/041/040/058000c
子宮頸がんワクチン
研究巡り調査委設置へ

毎日新聞2016年6月28日 東京朝刊

 子宮頸(けい)がんワクチン接種後の健康被害を訴える女性らを診療している、厚生労働省研究班代表の池田修一・信州大教授(脳神経内科)が、3月に発表した研究内容について、不正を疑う通報があり、同大は27日、学内規定に基づく調査委員会を設置する方針を決めた。

 池田教授らの研究班は、免疫機能が自分の体を攻撃する「自己免疫疾患」を起こしやすいよう遺伝子操作を行ったマウスに、子宮頸がんワクチンと他のワクチンを打ち、反応を調べた。

 発表では、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳組織にのみ、自分の体を攻撃してしまう抗体が沈着していたと説明した。しかし、外部の医療関係者らから詳しい実験データの開示を求める声や、実験自体への疑義が上がっていた。

 調査委はまず、予備調査を実施し、必要に応じて、過半数を外部有識者で構成する組織で本調査を行う方針という。



http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/index.html
社説
医療事故調査  遺族の立場から改善を

[京都新聞 2016年06月27日掲載]

 医療に関連した予期しない患者の死亡を対象にした医療事故調査制度について、厚生労働省が運用改善に乗り出した。まず届け出や院内調査実施の基準を統一して運用するための連絡協議会の設置を決めた。情報を共有して判断のばらつきを防ぐねらいだ。
 昨年10月にスタートした調査制度は、診察や手術などで予期しない死亡事案や死産が起きた場合、医療機関は、第三者機関「日本医療安全調査機構」に届け出て、院内調査を行い、遺族に調査結果を報告するよう義務付けている。遺族が納得できない時は機構に再調査を要請できる。約18万カ所の病院や診療所、助産所が対象だ。
 今年5月までの8カ月間の届け出は251件で、院内調査結果が提出されたのは78件。制度開始前に、機構は届け出を年間千~2千件とみており、予想を大幅に下回る結果となっている。
 その理由の一つが、届け出の基準だ。制度を盛り込んだ改正医療法は「医療に起因すると疑われる死亡で、管理者が予期しなかったもの」と規定するが、「予期しない」点などの判断は医療機関側に委ねられ、医療団体ごとの指針にもばらつきがある。
 機構への相談は半年で約千件あったが、そのうち半分は届け出の判断や手続きに関するものだったといい、現場の戸惑いがうかがえる。明確で統一的な基準は欠かせない。遺族にとっても分かりやすい基準づくりが求められよう。同様に、院内調査の内容についても標準化しなければならない。
 さらに、医療機関側には、医療ミスとして訴訟を提起されることへの警戒感が強く、遺族への対応が不十分という指摘がある。制度では遺族への調査結果の報告は必須だが、調査中に遺族の話を聞くことや報告書を渡すことは義務付けておらず、難解な専門用語ばかりの説明に、遺族が不信を募らせるケースもあるという。
 厚労省は、機構側が、調査実施などに関する遺族の要望を医療機関側に伝えるシステムも新たに導入し、医療機関の管理者には届け出や調査の判断に漏れがないよう、院内の全死亡例を把握する体制づくりを求めた。
 1990年代以降、大学病院などで相次いだ医療事故が、制度創設のきっかけになったことを忘れてはなるまい。医療への信頼を高めることこそ重要だ。遺族の要望に応じる形で院内調査を始める仕組みも検討する必要がある。さらに制度改善を進めてほしい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/436827
シリーズ: 日医代議員会
高額医薬品の薬価、「中医協の判断機能、飛躍的に強化」
第128回日医代議員会、中川副会長

2016年6月27日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

 6月26日の第138回日本医師会臨時代議員会で、副会長の中川俊男氏は、年間売上が1000億円を超すような高額医薬品の医療保険財政への影響を懸念、中央社会保険医療協議会の判断機能を飛躍的に強化し、薬事承認から薬価基準収載までの期間や、効能追加した医薬品の薬価の在り方など、薬価基準収載ルールの見直しをするよう、厚生労働省に働きかけていく方針を表明した。併せて適正使用ガイドラインなどを整備し、「高い専門性を持った医師が適切な処方をすることが不可欠」と述べ、医薬品を使用する医師の側への対応も求められるとした。

 さらに中川副会長は、高額医薬品はひとくくりにはできず、重篤な疾患の治癒を目指す薬、延命効果を期待する薬、生活習慣病治療薬などに分けられるとし、薬の種類や目的によって今後の対応方針を検討する必要性も強調した。


 高額医薬品について代表質問したのは、岡山県代議員の石川紘氏。石川氏は、中川氏が4月13日の中央社会保険医療協議会で、(1)薬事承認においても医療経済的な視点からの審査を導入すべき、(2)事実上の薬事承認=保険収載となっている構図を見直すべき――の2点を問題提起したことなどに触れ、「医は仁術なり」から「医は高額医薬品なり」の風潮にシフトしつつあるとの懸念から、日医の対応を質した(『高額新薬「適応拡大なら期中改定も」、日医・中川副会長』を参照)。

 関連質問が相次いだほか、個人質問でも「持続可能な国民皆保険を安定的に維持するための対策は待ったなし」(埼玉県代議員の廣澤信作氏)と提起されるなど、高額医薬品の問題は、臨時代議員会の中でも関心の高いテーマだった。

 「薬価を下げるのか、薬の適応を絞るのか、あるいは保険の適用外とするのか」と選択肢を挙げて尋ねたのが、 関連質問した栃木県代議員の小沼一郎氏。

 中川副会長は、以下のように回答した。「薬価を下げることはもちろん、医薬品によっては適応も絞るべきだと考えているが、医薬品を保険外にすることは考えていない。保険財政を揺るがす可能性は十分にあるが、保険財政を立て直す手段はまだまだある。公費を増やし、保険料率を公平化するなどの手段で兆円単位の財源が確保できる。これらをやり尽くしても財政がもたないという時に、初めて保険外という可能性がある。まだ打つ手がある段階で、日医としては薬を保険外にすることは全く考えていない」。

 高額医薬品への対応、診療側と支払側の意見一致

 中川氏はまず、C型肝炎治療薬のソバルディ錠(一般名ソホスブビル)とその類似薬のハーボニー配合錠(同レジパスビル アセトン付加物・ソホスブビル)、悪性黒色腫や進行・再発の非小細胞肺がんに適応が広がる抗PD-1抗体、オブジーボ(同ニボルマブ)などを挙げ、「必要とする医療を、誰もが公平に受けられる社会づくりのためにも、安全性・有効性が確認された新しい医薬品が速やかに保険収載されることは、患者のみならず医療関係者の全てが望んでいる」と前置きしつつ、薬剤が高額な点が問題であるとし、年間売上が1000億円を上回る高額医薬品が次々と販売されることが予想されると懸念。

 薬剤費の適正化が急務であるとし、国民皆保険の財政を揺るがす高額な薬価のあり方について中医協の判断機能を飛躍的に高める必要性を指摘した。中川副会長は、石川氏の指摘のように、今年4月13日の中医協で「薬事承認後から、遅くても90日以内に薬価基準に収載となるルールの見直しに早急に着手すべき」と求めたことを紹介。さらに、「効能追加により、対象患者数が拡大する場合にも、いち早く対応できるような薬価制度も必要」とした。これらは中医協で、診療側だけでなく、支払側とも一致した意見であると説明。

 高額医薬品、薬の種類や目的別の対応が必要
 さらに中川副会長は、医薬品のイノベーションを評価しつつ、費用対効果評価等も取り入れ、医療保険財政の持続性を担保できる合理的なルールを作って行く必要があるとした。

 高額医薬品をひとくくりにするのではなく、薬の種類や目的によって分類すべきとの考えも示した。例えば、ソバルディ錠やハーボニー配合錠など、重篤な疾患の治癒を目指す薬については、従来の治療による生涯医療費との比較を含めて議論すべきとし、オプジーボのように延命効果を期待する薬は、終末期医療のあり方も含め国民とともに丁寧な議論を行うことが必要だとした。また高コレステロール血症治療薬「レパーサ」のような生活習慣病治療薬は、従来の医薬品では対応できない範囲に限定すべきといった議論を詳細に尽くすべきと主張。

 高額医薬品をめぐっては、「保険財政的に混合診療も議論の俎上に上がるかもしれない」とも指摘。しかし、「有効性・安全性が認められた医薬品が、必要な患者に保険診療として提供されることを最大限に求めて続けていかなければいけない」と強調し、混合診療を拡大するような方向に議論を誘導すべきではないとした。

 中川副会長は、倫理面を含めた日医の対応方針にも触れた。「医学の進歩によってもたらされた画期的な新薬は、国民が待ち望んでいたもの。今後とも本当に必要な患者に、公平・平等に薬剤が使用されることを切望する」との前提を述べた上で、特に高額な医薬品については、「適正使用のガイドラインを整備し、高い専門性を持った医師が適切な処方をすることが不可欠」と医師の理解を求めた。患者に適切に処方されるよう、処方のあり方などについて生涯教育を通じて示して行くことも日医の役割だという。

 「公的医療保険による国民皆保険を堅持するという大局観を持って、適切な薬事承認の仕組み、適正な薬価を決定する仕組みの構築に全力で取り組み、厚生労働省に働きかけていく」と答弁を結んだ。

 「今すぐできることから着手」
 栃木県代議員の小沼氏は関連質問で、オプジーボの製造販売が日本のメーカーであることから、「海外で利益を稼いだ場合に、その利益が日本に還元される仕組みになっているのか」と質問。

 中川副会長は、「私は中医協で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の時から、日本のメーカーであっても、海外で利益を上げて、日本国民に還元すべきといってきたが、しかし、日本のメーカーであっても、グローバルメガファーマ化しており、国籍がない状態。ここをどう突破するか。営利企業である製薬メーカーと、我々非営利の医療機関が公的医療保険の下でどのようにすみ分け、バランスを取るか、その戦いだと思っている」と回答。

 大阪府代議員の高井康之氏は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が発効した場合、薬の知的財産の特許の保護を理由に、海外のメーカーから高い薬価を突き付けられることを懸念。中川副会長は、TPPに限らず、海外、特にアメリカからの圧力は強いと説明。「薬事承認から90日以内に薬価基準収載する仕組みは、1986年のMOSS協議によって導入された」とし、TPPの有無に関わらず、薬価の問題については、日医として継続して強く主張していくとした。

 京都府代議員の安達秀樹氏は、高額医薬品は非常に大きな問題であることから、「費用対効果評価の議論を中医協の一分科会としてやってくのは限界ではないか。もう少し大きな国家的組織として対応していくべきではないか」と提案。

 中川副会長は、「今すぐできることから着手したいと考えている」と回答。薬事承認の際に、市場規模や医療経済性の議論は全くなく、薬についての評価だけで薬事承認する仕組みをすぐ見直すことを要求しているとし、「それは本来のやり方ではないかもしれないが、そこまで追い詰められている。レパーサ(エボロクマブ)が、家族性高コレステロール血症以外にも認められたのは、薬事承認の時点で経済性の議論がなかったからではないか」と問題視した。



https://www.m3.com/news/general/436841
遺族ら、医師に説明要求へ 群大手術死、会結成
2016年6月27日 (月) 共同通信社

 群馬大病院で男性医師(退職)の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、一部の遺族らが26日、遺族会を結成し、群馬県高崎市で初会合を開いた。遺族らは男性医師に直接説明を要求することや「応答次第では刑事処分や行政処分を求めることも検討する」ことを決めた。

 遺族会には11人の患者の遺族が参加。会合後、記者会見した40代の女性遺族は「同じ思いをした人が集まることで、一致団結して病院に発信できる」と述べた。

 また会見に同席した被害対策弁護団によると、群馬大が設置した第三者調査委員会の最終報告書について「7月中に群馬大学長へ提出される予定」との文書が病院側から遺族らに届いた。個々の患者に関わる部分は遺族の同意を得た後に公表するとの内容だったという。

 群馬大病院では2014年、男性医師の腹腔(ふくくう)鏡手術や開腹手術を受けた患者18人の死亡が判明。その後の病院の調査でさらに12人の死亡も明らかになった。

 第三者委も、07~14年度に同病院で術後に死亡した患者50人の検証を日本外科学会に委託するなどして調査を進めている。


  1. 2016/06/28(火) 05:42:34|
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