Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月26日 

http://www.asahi.com/articles/ASJ6T5DBLJ6TUTFK008.html
日本医師会長に横倉氏が3選 選挙戦制す 前回は無投票
2016年6月25日18時42分 朝日新聞

 任期満了に伴う日本医師会(日医)の会長選が25日にあり、現職の横倉義武氏(71)が日医常任理事の石井正三氏(65)を破り、3選を果たした。任期は2年間。横倉氏は記者会見で「健康寿命を延ばし、医薬品はコストを考えて効率性のある医療提供を考えていく必要がある」と語った。

 横倉氏は福岡市出身。2012年に自民党とのパイプを強調して旧民主党と近い前会長を破って初当選した。前回14年の会長選は無投票。今回は横倉氏が317票、石井氏が41票だった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/436483?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160625&dcf_doctor=true&mc.l=164438762
シリーズ: 日医代議員会
横倉日医会長、大差で当選、3期目始動
「難しい環境下こそ一致団結を」、副会長は現職3人

2016年6月25日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会定例代議員会で任期満了に伴う役員選挙が6月25日に行われ、現職会長の横倉義武氏は、有効投票数363票のうち、317票を獲得して、3期目の当選を果たした。前期で日医常任理事を務めた石井正三氏は41票で、大差で敗れた。白票5票、無効票はなかった。横倉氏は71歳、2012年から日医会長を務める。

 副会長3人、常任理事10人、理事15人、監事3人、裁定委員11人は定数通りの立候補者しかおらず、信任を得た。いずれも任期は同日から、2018年6月に開催予定の定例代議員会までの2年。

 副会長の3人は現職で、中川俊男氏、今村聡氏、松原謙二氏。常任理事は7人が現職で、3人が新人(『日医役員選挙、会長選は横倉氏と石井氏の一騎打ち』を参照)。いずれも横倉氏がキャビネットとして挙げていたメンバーだ(『「全医師が結集する組織に」、横倉日医会長が3期目目指す』を参照)。

 横倉氏は、「大変難しい医療環境の中での日本医師会の執行であり、全員が一致団結して、しっかりと対応していくことで、国民の皆様に適切な医療を提供できる環境作りにまい進していく」と決意を新たにした。

 役員選挙後の記者会見では、前日24日にイギリスが国民投票でEU離脱を決めたことに触れ、「状況が昨日から変わってきている」との認識を示し、「経済や社会が混乱している時こそ、セーフティーネットとしての社会保障、特に必要な時に安心して医療を受けられるという国民皆保険をしっかりと堅持していかなければいけない」と気を引き締めた。「財源をどう手当てできるかだが、この参院選をしっかり戦って、国民が医療を重要視していることを政府に知ってもらう。それを力にして対応していきたい」と述べ、7月10日に投開票される参院選の重要性を強調した。

 今回の会長選は、横倉会長と石井氏の一騎打ちだった。石井氏が41票を獲得したことについては、選挙後の記者会見で、「真摯に受け止めなければいけない批判票」と捉え、その認識を踏まえながら、今後の会務を遂行していくと答えた。

 「医療再興に向けた新たな一歩」

 横倉会長および3人の副会長は、役員選挙後、記者会見を開き、最初にあいさつした横倉会長は、まずこれまでの会長職としての仕事を振り返った。「『継続と改革』『地域から国へ』というスローガンを掲げて、会長に就任してから、4年が過ぎた。この間、さまざまな社会の変化を実感しながら、また多くの会員の支援を受けながら、会務にまい進してきた。国民の医療の安全に資する政策か、公的な皆保険を堅持できるか、という二つの判断基準を基に、政府から示される政策について、是々非々で対応してきた。国民とともに歩む専門家集団として、常に高い見識を持って会務に当たってきた」。

 今後直面する政策課題の一つとして、地域包括ケアや地域医療構想を挙げ、「地域の住民に必要な医療や介護をどのように提供するかという観点が大事。地域医療構想が病床削減や医療費抑制の手段に用いられることがあってはならない」と釘を刺した。さらに地域のかかりつけ医を中心とした医療提供体制の構築が重要であるとし、「その体制作りを担うのが医師会の役割。時代の趨勢に合わせたその時々に必要なエビデンスやアイデアは、全て医療現場にある。だからこそ、医師会が先頭に立って持続可能な社会保障制度を確立していくことが重要」(横倉会長)。

 さらに「私は変わらず持ち続けている夢がある」と横倉会長は続けた。「夢」とは、「国民の健康寿命を世界トップレベルにまで押し上げてきた日本の医療システムを、世界が経験したことがない高齢社会を安心へと導くモデルとし、世界に発信していくことで、世界の人々の幸福の実現に貢献したい」ということだ。

 横倉会長は、今回の会長選挙に立候補するに当たって、(1)“かかりつけ医”を中心としたまちづくり、(2)人材育成の視点にたった人づくり、(3)医療政策をリードし続ける組織作り――という基本方針を掲げ、「アクション」「バランス」「チャレンジ」という三つの基本姿勢で臨むと表明。これらをベースに「医療再興に向けた新たな一歩を踏み出したい」と述べ、あいさつを終えた。

 記者会見では3人の副会長も、それぞれ決意を新たにした。

◆日医副会長:中川俊男氏
 私は特に、消費税率の引き上げが延期された中で、一定の必要な財源を確保することが日本医師会の使命だと思っている。一つの大きな柱は、税率8%の満年度の消費増税財源の使い方に関して、(社会保障と税の)一体改革のルールをしっかり守ること。「1対4」に分けて、(社会保障の)充実分と維持分に分けた時の使い方が、当初のルールとは少し違うのではないかという点も質しながら、しっかりと次の同時改定に向けた財源確保をやってきたい。もちろん、「薬価改定の財源は診療報酬本体に充てるという旗は降ろすべきではない」と継続して主張していく。

◆日医副会長:今村聡氏
 まずは直近に控えている参院選では、自見はなこ候補の当選に向かって全力を尽くしたい。具体的な担当については、会長の指示の下に、全てに努力していくが、従来、税制については担当してきたので、消費税をはじめとした税制の課題に取り組む。日本医師会の組織強化、さらに会長から話があったように、健康寿命の延伸ということで、生涯保健事業に尽力していきたい。

◆日医副会長:松原謙二氏
 横倉先生の指導の下、全ての医師が一丸となって、誰もが十分によい医療を受けられる国民皆保険制度を守っていきたい。さらに地域の医療を充実させ、国民の皆さんが幸福に暮らせるように、また健康を保つように、医師会として努力していきたい。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14667683630519
中核病院整備部を設置 筑西市、道の駅整備課も
2016年6月25日(土) 茨城新聞

筑西市議会は定例会最終日の24日、市が追加提案した市行政組織条例の一部改正案を全会一致で可決した。市は企画部の中核病院建設推進課を中核病院整備部に、道の駅推進室を企画部から土木部に移管した上で道の駅整備課に、それぞれ昇格させる。施行は7月1日。

市総務部によると、中核病院整備部には中核病院整備課を設け、7人の職員を配置。病院施設や駐車場整備といったハード面担当の建設グループと、医師確保や運営主体となる独立行政法人立ち上げなどソフト面を担当する業務グループに分ける。道の駅整備課は担当職員3人を配置する。

筑西・桜川両市が進める新中核病院建設計画は、これまでに整備の指針となる基本構想や基本計画が策定され、5月に施工予定業者が決定している。市は計画段階から建設段階に移行するに当たり、2018年10月の開院に向けて時間的な制約がある中で、整備部門を独立させて、計画推進のスピードを上げる必要があると判断した。

20年度開業を目指して進めている道の駅建設計画は、3月末までに基本構想・基本計画を策定。設置場所を国道50号の川澄南交差点南西側とし、延べ床面積は2820平方メートル、敷地内に収穫体験ができる農園を設置することなどを盛り込んでいる。

本年度は施設の基本設計を策定する予定で、土木部へ移管することで、国交省などの道路行政との一層の連携強化を図って業務を推進する。   (溝口正則)



http://mainichi.jp/articles/20160625/ddl/k02/100/053000c
弘前大
元教授、論文撤回 データ疑義 佐藤学長が共著者 /青森

毎日新聞2016年6月25日 地方版

 弘前大の佐藤敬学長(66)が米医師会雑誌などに共著者として発表した英文論文3編がデータの妥当性への疑義などから撤回されたことが24日までに分かった。佐藤学長は毎日新聞の取材に、「筆頭著者の依頼で英文の書き直しに協力したが、オーサーシップ(論文著者資格)の観点から共著者に加わるべきでなく、責任を感じている」と語った。

 佐藤学長によると、3論文は「高齢者の骨粗しょう症に対する葉酸の効用」などの内容で2005年に発表された。筆頭著者は同大で佐藤学長の2年後輩の研究者で、00年11月〜03年3月に同僚教授だった。同大退職後、福岡県の病院に移り、副院長時代に論文を作成した。

 論文には、佐藤学長がデータ収集や解析を担当したと記載されていたが、実際に行ったのは英文の校閲などだったという。同誌は今年5月19日、「データの妥当性に疑念があり、オーサーシップも不適切」としてホームページで懸念を表明。その後、同誌から「筆頭著者が論文を取り下げると言っている。同意するか」と佐藤学長に問い合わせがあり、同意した。3論文は6月3日、撤回された。

 佐藤学長は「英文校閲もそれなりの作業量だったが、全体ではせいぜい10%程度の関与。オーサーシップから言えば名を連ねるべきでなかった。当時は迷いながらも共著者の表記に同意した」と苦い表情を浮かべた。佐藤学長はこれまで百数十本の英文論文を発表したが、撤回は初めてという。

 オーサーシップを巡っては、STAP細胞問題で小保方晴子・元理化学研究所研究員が学位論文を取り消されるなどして社会的関心を集め、文部科学省が14年8月、研究不正に関するガイドラインを発表した。佐藤学長は「ガイドラインは、『著者が論文の全てに関わっていないと著者表記はダメ』と、オーサーシップのあり方を明確にしており、本学では研究不正への対応を直ちに徹底してきた」と力説する。

 一方、今回の問題で同大研究推進部は佐藤学長から聞き取りをしたが、「ガイドラインに基づいた書面での告発が行われていない」などとして調査をしない方針だ。佐藤学長は「自分として(この問題への)対応は時間をもらい、冷静なタイミングで考えてみたい」と締めくくった。【松山彦蔵】



http://mainichi.jp/articles/20160625/k00/00m/040/159000c
日本医学会
「奇形」の言い換え検討 「形態異常」が有力

毎日新聞2016年6月25日 08時00分(最終更新 6月25日 12時16分)

 医療現場で使われてきた「奇形」という医学用語について、日本医学会(高久史麿会長)が言い換えの検討を始めることが分かった。日本小児科学会の用語委員会が患者・家族の尊厳を傷つける恐れがある言葉として同学会に見直しを提案した。言い換え候補には「形態異常(異状)」が挙がっている。日本医学会は今年度内の決定を目指すという。

 日本小児科学会の用語委員会委員長を務める森内浩幸・長崎大教授によると、「奇形」という用語は、基礎医学分野でヒトの初期発生段階での形態異常を起こす病気を指す。小児科や形成外科の医療現場では病名として使われ、患者や家族が「心情を傷つける表現だ」と見直しを求めていた。「先天性心奇形」を「先天性心疾患」とする言い換えが実現した症例もある。

 一方、言い換えの候補となっている「形態異常」は、「奇形」だけではなく「変形」「変成」「欠損」など他の概念も含む表現として医学界で使われており、「正確性に欠ける」との批判もある。そもそも「言い換えただけでは差別は解消しない」という意見も出ている。

 今後、日本小児科学会が関係学会とともに日本医学会へ変更を求め、今年12月に開く日本医学会の用語管理委員会での議論を経て、日本医学会として今年度内の決定を目指す。森内教授は「患者の心情に配慮して表現を変えた『認知症』や『統合失調症』のように、医学的な正確性も担保できる表現に改めたい」と話す。【高野聡】



https://www.m3.com/news/iryoishin/436270
シリーズ: 真価問われる専門医改革
新専門医制度、「新しい判断も大事」との意見も
日本病院学会、「専門医制度が目指す方向」テーマにシンポ

2016年6月24日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 盛岡市で開催された第66回日本病院学会で6月24日、シンポジウム「専門医制度が目指す方向」が企画され、座長を務めた日病常任理事の中佳一氏が、「日本専門医機構では新たな役員が選出され、新たな出発をしようとしている。大きな転換点の中で開かれるシンポジウム」とあいさつ。

 いまだ2017年度からの専門医制度の先行きが不透明な中で開かれた本シンポジウム。「一度立ち止まって」「準備ができたところから新制度に移行」などのほか、「新しい判断も大事」との発言も出るなど、立場や見方によって、新専門医制度の是非や今後の方向性などに相違があることが浮き彫りになった。ただし、ある程度、意見が一致した点もある。それは、総合診療専門医の養成は早く進めるべきとの方針だ。

 「もし非常に無理があれば、立ち止まって延期することも止むを得ないと思うが、私自身は成熟した議論ができれば、実施できると信じている」。こう述べたのは、日本専門医機構理事長の池田康夫氏。地域医療への影響などさまざまな問題が指摘されている新専門医制度について、議論の必要性は認めたものの、準備ができた基本診療領域から新専門医制度に移行するよう期待を込めた。

 一方で、座長の中氏は、四病院団体協議会と日本医師会が、6月7日に記者会見を開き、日本専門医機構と18の基本診療領域の学会に対し、「地域医療の崩壊を防ぐことを最優先し、一度立ち止まり、専門医を目指す医師の意見を聞く」などを求めた懸念を表明したことを説明、「『一度立ち止まって』という言葉は、医療界における流行語大賞の一つになるかもしれない」とコメント(『「学会専門医の維持を」、日医・四病協緊急会見』を参照)。

 NPO法人卒後臨床研修評価機構専務理事の岩崎栄氏も、「プロフェッショナルオートノミーは、プロフェッショナルフリーダムではない」と釘を刺し、専門医養成に当たって学会主導を排除する日本専門医機構の枠組みは評価したものの、患者・国民や医療者への情報伝達、説明が不十分だったと指摘。「準備不足であり、少し時間をかけて、議論を巻き返すのではなく、議論を新たに展開していく必要があるのではないか」とし、「新しい制度であるので、やはり一斉スタートがいい。その意味からすると、延期もやむを得ないと思っている」との見解を述べた。

 「総合診療専門医の意義」をテーマに講演したのは、独立行政法人労働者健康安全機構理事長の有賀徹氏。日本専門医機構副理事長として総合診療専門医の検討に関わってきた立場も踏まえ、高齢社会を迎え、総合診療専門医に対するニーズが高まっているとし、「多少のぎくしゃくがあったとしても、来年の春くらいからは始めたい」と述べた。池田氏も、「地域医療を担当する医師の養成が狙い。地域医療の問題が議論された今だからこそ、ぜひ4月から総合診療専門医の養成を始めてもらいたい」と述べた。

 フロアから発言した全国自治体病院協議会会長の邊見公雄氏も、「立ち止まって考えることは大事」としつつ、「総合診療専門医の問題は、多少切り分けて、できるだけ早くやってもらいたい」とコメント。さらに、安倍晋三首相が消費増税延期を表明した6月1日の記者会見における「新しい判断」との言葉を引用し、邊見氏は「それと同様に、『新しい判断』も大事かもしれない」と述べると、会場から拍手が起こった。

 そのほかフロアからは、患者・国民、専攻医だけでなく、指導医も専門医制度のステークホルダーであるという意見が上がり、「現場の指導医は、専門医制度について全然理解していない。指導医にもっと情報を与えてもらいたい」と求めた。また、「現状のまま学会主導の専門医を養成していく限り、診療科偏在は解消しない」とし、臨床を目指す全ての医師が基本診療領域の専門医取得を目指す枠組みであれば、一般社団法人である今の日本専門医機構では難しく、国の関与の必要性を指摘する意見も出た。

 2017年度から開始予定だった新専門医制度について、地域医療への影響を懸念する声が特に強くなってきたのは、昨年の後半から。問題提起してきた一人が、シンポジウムで指定発言した、日本病院会副会長の末永裕之氏(『新専門医制度、「大学医局」復権の懸念 - 末永裕之・日病副会長に聞く』を参照)。末永氏は、医師の地域や診療科の偏在が懸念される問題以外にも、幾つかの問題があると説明。その一つは、新専門医制度の基幹病院が、大学病院、大規模病院に限定される点だ。「基幹病院への手挙げを、大学が阻止する動きもあった。専門研修プログラムの多様性が失われるほか、研修開始時に“入局強制”で、医局回帰となる懸念があった」。そのほか、「専門医更新では実績評価が重んじられ、中小病院の医師や開業医の専門医の更新が困難になる。この点が一番、医師会が反対する理由だろう」と末永氏。専攻医の身分保障やサブスペシャルティについては未整備な点も問題だとした。

 池田氏は、本シンポジウムでも「私自身は、2年間の任期の間に、新しい専門医制度のプラットフォーム作りに、ある程度尽力できた。新しい理事は辞退させていただく」と述べ、この6月末で退任することを説明(『池田理事長、「新理事に推薦されても辞退」』を参照)。日本専門医機構の新執行部は、6月27日に開かれる日本専門医機構の社員総会で決定する予定だ(『日本専門医機構、新執行部24人の理事候補者決定』を参照)。

 末永氏は、シンポジムの最後に、「専門医制度により、地域医療の崩壊が加速するという意見が非常に強く出てきて、この問題が政治マタ―になってしまった。こうした中で、新しい体制がスターする」と述べ、日病として地域医療が悪化しないよう、発言していく方針を示した。


 新専門医制、三つの選択肢

 約1時間半にわたったシンポジムは、池田氏、有賀氏、岩崎氏の順に講演し、その後、ディスカッションを行い、最後に末永氏が指定発言する展開だった。

 ディスカッションでは、座長の中氏が単刀直入に、3人の演者に「来年4月から新専門医制度に全面的に移行するか、部分的に試行すべきか、あるいは延期すべきか。これら三つのどれを選択するか。またその場合の判断基準は何か。今後解決していくべき課題は何か」と質問。それに対する回答の骨子は以下の通り。

 私はこの2年間、目標を来年4月として準備をしてきた。2年目の研修医にとっては関心事であり、彼らのためにも4月に予定通り始めたいと準備をしてきたが、ここに来て地域医療についていろいろいな議論が出てきており、そこについては、一度ここで検証作業をしなければいけないことは明らか。全ての領域で検証作業をもう一度してもらう。これは学会の立場で進めているところもある。地域医療の立場の方にも入ってきてもらい、検討の場を早急に作らなければいけない。私自身は、その検討を、社会保障審議会 (専門医養成の在り方に関する専門委員会)でやると思っていたが、厚労省は検討の場を作る作業はあまりしないとのことで、「新しい専門医機構の執行部の中で、議論をしてはどうか」とのニュアンスに変わってきた。いずれにせよ、どんな形で検討の場を設けるかについて早急に議論しなければいけない。あまり時間をかけずに、準備ができたところは、始めてもらいたい。

 なお、18の基本診療領域については、学会がある程度、主導している。各学会が質の高い専門医を養成するため、それぞれの学会がハードルを上げた。質がいいものを求めたために、地域医療の問題が出てきた。ただし、領域によって状況が違う。救急と産科は、かなり地域医療にコミットしている。検討の場で議論を始めてもらいたい。ただし、総合診療専門医は、もともと一つの学会にコミットしているのではなく、幾つかの団体が議論してきた。地域医療を担当する医師の養成が狙いなので、地域医療の問題が議論された今だからこそ、むしろぜひ4月から総合診療専門医は始めてもらいたい。

(日本専門医機構の)新しい執行部に対しては、我々が作ってきた新専門医制度のプラットフォームをどのように実施していけば、若い医師、患者のためにいい制度になるか、という視点で議論してもらい、実施の方向でやはり考えていただきたい。もし非常に無理があれば、立ち止まって延期することも止むを得ないと思うが、私自身は成熟した議論ができれば、実施できると信じている。

 総論的には池田氏と同じだが、総合診療専門医については、将来の医療提供体制により良い影響を残していきたいという立場からすると、多少のぎくしゃくがあったとしても、来年の春くらいから始めたい。何も全員が、競馬と同様に「各馬一斉にスタート」という形を取らなくても、例えば来年の春は総合診療専門医から始める。救急についても、その議論を見ていると、「地域医療への影響云々」という議論にはあまりならない。(総合診療専門医以外の)18の基本診療領域については、それぞれ別個に検討し、うまく行きそうなら始めるという話だ。

 全般的に準備不足であり、日本専門医機構よりもむしろ、(現場の)私どもの方が準備に間に合わなかった。ようやく出発しようとした段階で、(新専門医制度の内容が)ようやく分かり始めた。少し時間をかけて、議論を巻き返すのではなく、議論を新たに展開していく必要があるのではないか。その意味からすると、「延期もやむを得ない」と思っている。「煮詰まったところから」という話もあるが、せっかく新しい制度であるので、やはり一斉スタートがいい。あまりにも従来のように学会主導にならないように、日本専門医機構が毅然とした立場でやる。毅然とするためにも、もう少し情報を公開が必要。説明等がある程度浸透した段階で一斉にスタートすべきだろう。

 総合診療専門医については、やはり早くスタートしてもらいたいという立場だが、総合診療専門研修の特任指導医講習会を始めようとした矢先に、講習会の要件に齟齬が見付かるなど、いろいろな準備不足も明らかになってきた。この点を考えると、総合診療専門医についても、もう一度、立ち止まって考え直す時間が欲しいが、さほど時間はかからないだろう。周知徹底をしながら、特に総合診療専門医については、地域の住民に分かってもらう必要がある。早急に進めることが可能であれば、4月というスタートもあり得るだろう。

 「全般的には、もう一度、立ち止まる」。どれくらい立ち止まる必要があるかは、各学会により違うだろう。学会ではなく、日本専門医機構が中心となってやることが、プロフェッショナルオートノミー。新理事長の下に、新しい体制で作り上げる機構の中で、立ち止まるのか、立ち止まることができないのか、現場の話を聞きながら進めていく必要がある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/436497
シリーズ: 真価問われる専門医改革
日本産科婦人科学会、「専攻医の募集開始を」
「募集定員の制限、産婦人科医療の崩壊を招く」

2016年6月25日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本産科婦人科学会理事長の藤井知行氏は6月25日の記者会見で、2017年度以降も新制度、もしくは現制度に関わらず、専門医制度を維持することから、「今まで以上に初期研修2年目の医師の勧誘をお願いしたい」と呼びかけるとともに、専攻医の募集定員の制限も行わない方針を示した。

 専門医制度をめぐっては、新制度に移行するか否かで揺れているものの、現時点で専攻医の募集を開始して問題ないという。同学会は23日付で、新専門医制度に向けて準備をしてきたものの、「しかるべく設置される検討の場」において、新専門医制度を開始できる見通しが得られない場合、7月末を目途に現制度で実施する判断をするとの声明を公表していた(資料は、日本産科婦人科学会のホームページ)。

 藤井理事長は、産婦人科のなり手が不足している現状を踏まえ、「事前に募集定員を設定することは、産婦人科では全く適しておらず、考えていない。定員を設けることで、かえって産婦人科は崩壊する」と危機感を強め、募集定員の設定には強く反対するとした。同学会では年間500人の新規入会者を目標としているが、2014年度は368人、2015年度は367人と目標には達していない。「人数が少ない中で、とにかく産婦人科領域に入ってもらい、そこから地方にローテーションしてもらうことで、かえって地域間格差が縮小すると考えている」(藤井理事長)。

 産婦人科領域、新専門医制度で地域偏在は解消へ

 藤井理事長は会見でまず、「新専門医制を来年度から実施するのか否かなどをめぐって、混乱が生じている。初期研修の若い先生が心配している。それに対して、学会としての方針を早く明らかにすべきと考えた」と、この時期に声明を出した経緯を説明。

 募集開始を呼びかけたのは、新専門医制度あるいは現行制度のいずれであっても、研修を行う施設にとっては、専攻医を募集すること自体には変わりはないからだ。日本産科婦人科学会には、前述のように産婦人科を目指す医師が不足しているという危機感がある。ただし、現行制度のまま実施する場合、新たな専門研修プログラムを用いるか否かなどの詳細は、検討が必要だという。

 新専門医制度をめぐっては、医師の地域偏在が拡大するとの懸念があるが、藤井理事長は「それは内科など、人数の多い領域の話ではないか。産婦人科について言えば、新専門医制度によって、地域偏在は解消に向かう」と説明。新専門医制度では、基幹施設と連携施設が研修施設群を構成する。現行では都市部の大病院などでは、1施設で専門医研修を完結させるケースがあるが、新専門医制度ではこうした大病院から地方の連携施設に専攻医が行くことになるからだ。

 地域偏在の拡大を防ぐため、都市部の病院の募集定員を設定することに対しても、日本産科婦人科学会は反対の方針。藤井理事長は、若手医師の都会志向を指摘し、「都会の病院の産婦人科の募集定員を絞ると、地方の産婦人科に行くのではなく、都会の他科に行ってしまう。産婦人科では、主として都会の大学が採用して、周辺地域に医師を派遣していることで成り立っている。都会の募集定員を制限すると、その余力がなくなってしまう」と理解を求めた。


  1. 2016/06/26(日) 05:37:46|
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