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6月23日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/434117?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160623&dcf_doctor=true&mc.l=164118224&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 医療裁判の判決詳報
帝王切開で死亡、遺族の請求認めた「高裁の判断」◆Vol.2
判決詳報、「医師のミスなければ、妊婦救命できた」

2016年6月23日 (木)配信 成相通子(m3.com編集部)

 東京高裁で5月26日、2008年に静岡厚生病院(静岡市)で帝王切開手術を受けた後に死亡した妊婦(当時24歳)の遺族が、病院を運営する「JA静岡厚生連」と手術をした医師3人に損害賠償を請求した訴訟の控訴審判決があり、富田善範裁判長は、死因との因果関係を認めなかった一審を取り消し、病院側に約7490万円の支払いを命じた。病院側は6月10日までに最高裁に上告した。控訴審判決で認定された事実と判断を2回に分けてについて詳報する(認定事実は『帝王切開で死亡、遺族の請求認めた「高裁の判断」◆Vol.1』を参照)。

■死因について

 午前9時半の時点で、妊婦はショックに陥ったが、遺族はそのショックは出血性ショックで、適切な治療が行われていれば、救命可能であったことを前提に、医師らに過失があったと主張。医師らは、本件ショックは母体内に羊水成分が流入して発生した全身性のアナフィラキシーショックであり、手術の時点で妊婦を救命することは不可能だったと主張し、結果回避不可能性が無かったとして、遺族の過失主張を争っている。

■裁判所が認定した事実

 裁判所が認定した事実では、妊婦は午前7時20分ごろ、病院に到着した時点で、出血性疾患である常位胎盤早期剥離を発症していたこと、遅くとも午後0時10分ごろの段階では、重篤な産科DICを発症したこと、常位胎盤早期剥離によって、胎盤が子宮壁から剥離すると、剥離面から出血が起こり、産科DICを発症しやすく、常位胎盤早期剥離は産科DICを来す原因の最多であること(約50%)、産科DICは重篤化すると非可逆性になり、生命の危険を生じさせられることが認められる。

 妊婦は常位胎盤早期剥離を発症し、これによって遅くとも午後0時10分ごろまでに重篤な産科DICを発症し、これによって死亡したことが認められる。

 「出血性ショックの可能性」
 以下の事情から、本件ショックが出血性ショックであったことがうかがわれる。(1)妊婦は午前7時20分ごろに病院に到着した時点までに、常位胎盤早期剥離を発症しており、この段階で蒼白や冷汗という出血に伴うショック症状を示す所見が既に認められた、(2)手術開始時からショックに陥った午前9時半までの間に吸引分だけで1200mlの出血があった、(3)吸引分とは別に午前9時26分の胎盤娩出時に、大量の凝血塊が切開創から溢れ出し、その量は手で何度かわしづかみできるほどの量で、医師AとCが次々と除去するほどだった、(4)来院時に既に出血に伴うショックの所見があり、午前8時50分ごろから頻脈であったことからすると、手術開始までに体内で相当程度の出血が有ったことがうかがえる、(5)血圧は午前9時半にショックに陥った後、輸液には反応しなかった一方で、午前10時半に実施されたRCC2単位の輸血には直ちに反応し、いったんは収縮期血圧が90を上回る状態になった、(6)常位胎盤早期剥離の発症前の循環血液量は5742mlと推定されるところ、手術開始時から終了時までに確認されただけでも3438mlの出血があった、(7)一般に循環血液量の30%を超える出血があると、収縮期血圧の低下をもたらし、出血性ショックを生じさせるとされていること、死亡後、妊婦の臓器に著名な貧血が認められた――。

 医師らの主張は信じ難い
 午前9時半の出血量は、診療録上は吸引分1200g、ガーゼ分289gの合計1489gである。これに対し、午前9時26分に胎盤挽出時には大量の凝血塊が出ていた。医師らは、その大量の凝血塊の量が、上記ガーゼ289 gに含まれていると主張するが、そのような大量の凝血塊が全部ガーゼに吸収されていたとは、にわかには信用し難く、午前9時半ごろの出血量は1489gにとどまらず、もっと多かった可能性があると考えられる。

 出血性ショックの可能性は高いが、断定は困難
 他方において、午前9時半までに妊婦に対して合計1350mlの輸液が投与されており、このうち循環血液量を維持する効果があるとされているヘスパンダーだけでも1000mlが投与されており、循環血液量の確保には役立っていたと考えられる。また、午前9時半までの段階で、妊婦に1489mlを超えてどの程度の出血が生じていたかについては、医師らが経時的な出血量の把握をしておらず、結局のところ不明であるという事情も認められる。

 事情を考慮すると、出血性ショックであった可能性が高いと言うべきではあるが、そのように断定することは困難であると言わざるを得ない。

■ショックは羊水塞栓症によるアナフィラキシーショックか

 医師らの主張では、本件ショックは、羊水成分の体内流入による全身性のアナフィラキシーショックであり、急激な血管透過性亢進により、発症10分後までに最大50%もの血漿成分が血管外に漏出したとしている。

 警察からの嘱託を受けた鑑定医の鑑定結果によると、(1) 妊婦の肺組織をサイトケラチンで免疫染色した際、血管内に染色された細胞が確認された、(2) 血漿中の亜鉛コプロフィリンを測定したところ、高値を示したこと――に基づき、死因を羊水塞栓症と推定しており、地裁で証言した医師Dも同様の意見を述べる。

 羊水塞栓症の臨床上の診断基準によると、本件は分娩後12時間以内に発症しており、分娩後2時間以内の原因不明の大量出血(1500ml)以上があり、DICが発症しているから、羊水塞栓症が発症した可能性があると考えられる。

 羊水塞栓症は、一般的には、その臨床症状から心肺虚脱型とDIC先行型の2類型に分けられる。証人医師Dも、羊水塞栓症の成因として、(1)羊水、胎児細胞、絨毛細胞などの固形物が肺動脈に塞栓することによって、心肺虚脱を起こすタイプ、(2)母体循環に流入した羊水がアナフィラキシー用反応を起こすタイプ――の2種類があり、臨床症状の特徴として、前者は呼吸困難、胸痛、意識消失などと突然発症することが多く、後者は初発症状に胸腔苦悶、呼吸困難などの症状を示すことは少なく、DICの進行が早いのが特徴であると述べた上で、本件ショックは羊水塞栓症のアナフィラキシー様反応による全身性の血管攣縮によって生じたショックの可能性が高いとする。

 しかし、妊婦が羊水塞栓症を発症していたとしても、本件において、アナフィラキシーよう反応による全身性の血管攣縮が生じたことについては、以下の通り疑問がある。

 皮下浮腫があった証拠がない
 証人医師Dは、その証言で、全身性のアナフィラキシーが生じて、血管透過性が非常に亢進した根拠として、妊婦に皮下浮腫が生じたことが疑われる旨を述べるが、この点は、死体解剖においても指摘されておらず、午前11時過ぎに撮影されたCT画像に写っている皮下組織も脂肪であるにすぎない。妊婦に生じるべき浮腫について、手術終了時に至るまでに医師らが誰も気づいておらず、妊婦の全身に皮下浮腫が生じたことをうかがわせる証拠は全くない。

 アナフィラキシーの典型的症状がない
 アナフィラキシーショックの典型的症状としては、呼吸困難、皮膚症状、および粘膜症状が挙げられ、特に皮膚症状は、80%以上の症例で認められるとされるが、妊婦にはいずれの症状も認められていない。なお、上記の通り、皮膚所見が発現する前に急激な循環虚脱やショックを呈することもあるから、皮膚所見がないからと言って直ちにアナフィラキシーを除外することはできないとされているが、少なくともアナフィラキシーショクの典型的症状が無かったとは言える。

 仮に、アナフィラキシーショックが生じたとすれば、急速に血漿成分が血管外に移行することになるので、血圧が輸液に反応してもおかしくないが、妊婦の血圧は輸液にはほとんど反応しておらず、逆に午前10時半ごろに実施された2単位のRCC投与によって直ちに血圧が反応し、収縮期血圧が90を上回る状態にまで回復している上、妊婦の血圧低下の状況は、午前9時半ごろに急激に低下に転じたというものではなく、午前9時ごろから麻酔の影響もあって、低下を開始した血圧が、徐々に低下を続けて、本件ショックに至ったというものであり、頻脈についても、午前8時50分ごろから100を上回る状態が継続していたものである。そうすると、これらの症状経過によれば、午前9時23分の人工破膜によると考えられる、羊水への暴露により、アナフィラキシーショックが生じたとは考えにくいと言わざるを得ない。

 「痙攣様の動き」の意味
 医師らは、妊婦のアナフィラキシーショックは、発症10分後までに、循環血液量の50%までが血管外に漏出するようなものであると主張するが、妊婦は胎児娩出後に胎児の死亡を確認した小児科医が胎児と共に退出した後の段階で、医師Bと会話することも可能な状態であり、苦悶を訴えた様子もなかった。午前9時45分ころから午前10時ころにかけて、医師Bは妊婦に手を挙げるような動きや歯を食いしばるような動き等の痙攣様の動きを認識したものの、その動きは、妊婦の腹部付近で、子宮切開創の縫合方をしていた医師Aと医師Cも気づかない程度のものであり、医師Bが医師Aと医師Cに対して、妊婦の動きを直ちに伝えることがなかったことからすると、医師らが主張するような急激なアナフィラキシーショックは起きたことは直ちに採用しがたい。

 「子宮の大きさ」とアナフィラキシー
 医師らは、午前11時過ぎに撮影されたCT画像で、子宮の巨大化、腹部大血管が虚脱しているという所見は、急激な全身にわたる血管攣縮、血管透過性亢進、浮腫が生じた、すなわち激烈な全身性のアナフィラキシーショックが生じたということでなければ説明がつかないと主張する。しかし、胎盤娩出後の妊婦の子宮は収縮不良の状態であり、医師らも温存するかどうか検討を要する状態で、上記CT画像の子宮の大きさは縦20センチ、横14センチ程度であり、医師らが羊水塞栓症の子宮の例として示す子宮の大きさ(縦約30センチ、横約20センチ)よりは明らかに小さい。子宮に浮腫が認められるからと言って、全身性のアナフィラキシーが生じていたことの根拠となるものではない。

■死因の結論

 本件において、妊婦に羊水塞栓症が発生した可能性はあるものの、本件ショックがアナフィラキシーショックであり、全身性の血管攣縮によるものであるとするには、それを示す症状が乏しく、直ちにこれを認めることはできない。そうすると、仮に羊水塞栓症が生じていたとしても、それは重篤なDICの原因の一つとして考え得るにすぎない。

妊婦は常位胎盤早期剥離によって、最終的に産科DICを発症し、そのことが主たる原因となって死亡したことが認められる。本件ショックについては、出血性ショックの可能性が高いとは言えるが、そのように断定することまではできない。また、羊水塞栓症が発症し、そのことが重篤なDICの原因の一つとなった可能性も否定できないが、妊婦に羊水塞栓症による救命困難なアナフィラキシーショックが生じたことについては、妊婦に生じた症状とは整合しないので、これを認められない。

■それぞれの争点

争点1 上位胎盤剥離発症時における産科DIC防止に関する過失の有無

 4点を当時の一般的水準と認定
 2008年4月当時、一般的な産科医にとって、(1) 常位胎盤早期剥離の中でも、胎児死亡例が極めてDICを伴いやすい、(2) 産科DICは重篤化すると非可逆的になり、生命が危険となることから、治療は時期を失することなく、行われる必要がある、(3)常位胎盤早期剥離を発症した場合には、母体予後の観点からは産科DICの程度が問題となるため、より早期に産科DIC診断を行うために、産科DICスコアを用いた状態の把握を行い、母体に産科DICを認める場合には可及的速やかにDIC治療を開始すべき――は、臨床医学の実践における医療水準となっていたと認められる。

 産科DICに進展可能性、高かった
 手術が開始された午前9時15分の段階で、産科DICスコアは9点(常位胎盤早期剥離・胎児死亡:5点、冷汗:1点、蒼白:1点、脈拍100以上:1点、出血時間5以上:1点)であり、本件ショックが生じた午前9時半の段階では、10点(プラス、血圧90以下:1点)だったので、産科DICに進展する可能性が高いと言える状態だった。

 産科DICスコアをカウントせず、注意義務違反
 医師らは、遅くとも手術前には、常位胎盤早期剥離を発症しており、しかも胎児が死亡している可能性があることを認識していたので、産科DICスコアを経時的にカウントして、早期に産科DICの診断を行い、必要に応じて、産科DICへの対応を行うべきだった。しかし、医師らは、手術当日、産科DICスコアのカウントを全く行わず、産科DICの確定診断に向けた血液検査なども実施しなかったものであり、上記の注意義務に違反したと認められる。

争点2と争点3 産科DICおよびショックに対する治療に関する過失の有無と出血量チェックと輸血に関する過失の有無

 産科ショックの治療の水
 2008年4月当時、(1)産科ショックは産科DICを発症しやすいから、ショックが疑われる場合には、タイミングを失することなく対応することが肝要である、(2)一般に血液消失量の肉眼的評価は過小になるので、SIにより評価するのが望ましく、SIは2.0が2000g以上の血液喪失を考え、1.0以上で輸液、輸血を考えるべきである、(3)産科ショックの臨床症状、所見として、皮膚蒼白、Hct低下、中心静脈圧低下が見られるときは、循環血液量の減少によるショックを疑う、(4)産科ショックの治療としては、ショックの原因となる疾患に対する治療と全身管理を併せて行い、全身管理としては、「気道の確保、酸素投与」「血管の確保および輸液」「輸血」、「血圧の監視」「尿量の監視」「薬物療法(副腎皮質ホルモンの大量投与)を行うこと」、このうち輸液および輸血について、循環血液量の20~50%の出血が有った場合には、尿酸(酢酸)加リンゲル液とともに、RCCが適応とされ、50%を超える出血があった場合には、RCC及び、膠質液、アルブミン製剤が適応とされていることは、臨床医学の実践における医療水準となっていた――と認められる。

 SIによる把握は一般的か
 医師らは2008年4月当時、産科の臨床医学において、SIを用いてショック状態を把握することは一般的ではなかった旨を主張する。しかし、SIが1.5を超え、産科DCIスコアが8点を超えたら、直ちに輸血を開始するという産科出血ガイドライン は、本件手術以前に公表されていなかったとしても、手術以前に公表された一般的な医学文献(日産婦東京地方部会誌第59巻第2号、今日の治療指針2006年版)で、産科出血および産科ショックの症候として、一般に血液消失量の肉眼的評価は過小になるので、SIが推奨されており、産科ショックの対応として、循環血液量の20%を超える出血があった場合には、輸血の適応があることが指摘されていたのであるから、医師らの主張は採用できない。

 午前9時半に輸血を始めるべきだった
 妊婦のSIは、午前9時15分以降、1を超え、午前9時45分には2を超えるような状態であったこと、妊婦は来院時から蒼白で、午前8時25分に採決された血液検査で、Hctの低下が認められ、午前9時30分には、本件ショックに陥った。医師らは、遅くとも手術前からSIによる評価を行って、遅くとも本件ショックが発生した午前9時半の時点では速やかに輸血を始めるべきであったし、抗ショックの治療を実施すべきだった。

 しかし、医師Aの指示にも関わらず、病院はFFP10単位の発注を行わず、そもそも手術が開始されてから終了するまでの間、病院内には医師が必要と判断した輸血用のFFPが存在しない状態だった。そればかりでなく、医師らは妊婦の出血量の把握を行わず、実際に行われた輸血の量も、のちに把握された出血量である3438mlからみて、極端に少ないRCC4 単位、FFP2 単位で、副腎皮質ホルモンの投与等の抗ショック療法も行わなかった。医師らには、出血量チェックと輸血に関する過失、ショックに対する治療に関する過失が認められる。

争点4弛緩出血への対応に関する過失の有無

 以下のことが認められる。(1)午前9時26分ごろに、医師らによって子宮が体外に出された際、子宮は全体に柔らかく、表面色も早期胎盤剥離時の色を呈していたが、子宮からの強出血はなく、子宮の大きさが一般と比べて大きくなっていたわけではなかった、(2)医師らは、子宮収縮は不良であるものの、輪状マッサージで子宮の収縮がやや良好であったことから、子宮温存可能と判断した、(3)その後、医師らは、午前10時前までの間に子宮の切開創を縫合し、妊婦の体内に戻したが、その間の子宮から一定の出血はあったが、子宮の巨大化や、浮腫になっていることは確認できなかった、(4)医師らは、閉腹が終了する午前10時45分ごろまで、妊婦の子宮が巨大化しているという認識はなかった――だ。

 医師らには、産科DICスコアを経時的にカウントして、早期に産科DICの診断を行い、必要に応じて産科DICへの対応を行うべき義務違反はあったものの、これとは別に弛緩出血への対応に関する過失はあったとまで、言うことはできない。

争点5 転送義務違反の有無について

 病院は、手術当時、産婦人科を含む合計14の診療科を有する病床数265の病院で、「妊産婦緊急搬送入院加算」の基準も満たした病院で、妊婦に生じた産科DICに対しては病院で適切な治療を行うことが可能な体制を有していたと認められるため、転送義務に違反した過失は認められない。

争点6.医師らによる期待権侵害の有無

 過失と死亡との相当因果関係の有無
 妊婦は常位胎盤早期剥離を契機とする産科DICが主たる原因となって死亡したと認めるのが相当で、医師らの過失(常位胎盤早期剥離発症時における産科DIC防止に関する過失、ショックに対する治療に関する過失、出血量チェックおよび輸血に関する過失)がなかったならば、妊婦は適時に輸血等の抗ショック治療を受け、産科DIC対策が行われて救命できたものと認められる。

 したがって、過失と死亡結果との間には、因果関係があるものと認められ、医師らには、死亡結果に付き、共同不法行為が成立する。

 妊婦に羊水塞栓症が発症した可能性はあるものの、症状経過を踏まえると、仮に発症していても、急激に心肺虚脱をもたらす臨床症状を示すものではなく、DIC先行型羊水塞栓症(子宮型羊水塞栓症)で、全身性のアナフィラキシーショックを伴うものではなかったと考えられる。(1)証人医師Dも論文で述べるとおり、適切な産科DIC対策が行われた場合に、その予後が悪いとは言えない、(2)文献(2006年Lancet、Michael S.Kramer著、1999年Obstetrics & Gynecology、William M. Gilbert著、2004年日産婦関東連会誌、2009年日本産婦人科・新生児血液学会誌、証人医師Dの論文など)によれば、羊水塞栓症の母体死亡率について、根拠のはっきりしている調査結果では、手術当時でも20~30%程度であったと認められるが、この数値には、急激に心肺虚脱をもたらす臨床症状を占める症例も含まれており、妊婦に発症した可能性があるのが、予後の比較的良いとされるDIC先行型羊水塞栓症であった――からすれば、適切な治療が行われた場合に救命できなかったとは認めることができない。

 ICUでないと救命は不可能か
 医師らは、羊水塞栓症の救命事例は、そのほとんどがICUによる管理・治療が行われていたもので、ICUのない病院では救命することは不可能であったと主張するが、DIC先行型羊水塞栓症の救命事例のほとんどがICUによるものと裏付ける証拠はなく、主張は採用できない。妊婦に羊水塞栓症が発症していた可能性があることは、上記認定を左右するものではない。

争点7.妊婦とその家族の損害

 葬儀費用150万円、死亡慰謝料2400万円、遺失利益4260万円、胎児死亡と過失の因果関係は認められず、胎児死亡慰謝料は認めない。弁護士費用は計680万円。



https://www.m3.com/news/general/435826
病院・診療所別の院外処方率も70%超え
2016年6月23日 (木) 薬局新聞

病院・診療所別の院外処方率も70%超え安定推移 厚労省・平成27年度社会医療診療行為別統計

 院外処方率は病院・診療所別に見ても安定的に70%を超えたことが厚労省の「平成27年社会医療診療行為別統計」からわかった。日本薬剤師会が調査している分業率の進捗状況においても全国平均70%を超えており、医薬分業は本格的に7割の時代が到来したと言えそうだ。

 統計は医科の診療行為の内容や薬局での調剤行為の内容、薬剤の使用状況を明らかにし、医療保険行政の基礎資料として作成されている。昨年6月に提出されたレセプト情報を集計対象とした。

 院外処方の状況をみると、病院・診療所の総数で72.7%となっており、前年の71.8%から0.9ポイント増加した。病院は76.3%で前年の75.4%から0.9ポイント増加し、診療所は71.6%で前年の70.6%から1ポイント増えた。

 薬局調剤の1件当たり点数は1120.7点で前年の1094.6点から26.1点、2.4%増加した。受付1回当たり点数は894.8点で、前年の855.4点から39.4点、4.6%増加している。調剤行為別受付1回当たり点数では薬剤料が672.6点(構成割合75.2%)で最も高く、次いで調剤技術料182.0点(同20.3%)、薬学管理料38.6点(同4.3%)。

 一般医療と後期医療別にみた調剤行為の状況では、薬局調剤1件当たり点数は一般977.9点、後期1501.0点となっており、一般医療と後期医療とで大きな差が生じていることが浮き彫りとなった。受付1回当たり点数でも一般798.3点、後期1131.9点で、年齢が高くなるにつれて受付1回当たり点数は高くなった。

 1件当たり薬剤種類数は院内3.53、院外3.81で院外の方が若干多い傾向が示された。年齢階級別では院内・院外ともに75歳以上が最も多く、それぞれ4.40、4.70となった。院内・院外別にみた主な薬効分類別にみた薬剤の使用状況では、入院は「腫瘍用薬」が13.4%で最も多く、「抗生物質製剤」13.3%、「中枢神経系用薬」13.2%などとなっている。院内では「循環器官用薬」17.0%、「その他代謝性医薬品」12.9%、「腫瘍用薬」11.0%となった。院外は「循環器官用薬」20.3%がトップで「中枢神経系用薬」14.0%、「その他代謝性医薬品」12.0%と、院内・院外で大きな違いは生じなかった。

 薬剤点数に占める後発医薬品の点数割合をみると、総数13.9%、院内13.9%、院外14.0%で、薬剤種類数に占める後発品種類の割合では総数54.5%、院内50.4%、院外55.9%という傾向になっており、院外処方の方が後発品を使用していることが示されている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/435889
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
DPC、次期改定に向けた検討方針固まる
2016年度改定の入院への影響、2年に分けて調査

2016年6月23日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は6月22日、DPCの今後の検討課題と、「入院医療等の調査・評価分科会」が行う今後の調査方針などについて了承した(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 DPCについては、次回の2018年度診療報酬改定に向けて、調整係数が廃止されることからその対応のほか、IからIII群の医療機関群別の基礎係数、DPC病院の機能を評価する機能評価係数IIなどが検討課題。さらにDPC検討ワーキンググループにて、診断群分類の見直しなども検討する。

 「入院医療等の調査・評価分科会」は、2016年度診療報酬改定の影響を評価するため、2016年度と2017年度の2カ年に分けて調査を実施する。2016年度は、一般病棟入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」や地域包括ケア病棟入院料の包括範囲の見直し、療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響などを調査、2017年度も「重症度、医療・看護必要度」のほか、1年間の経過措置が設けられている項目を含めて調査する。2016年度は、今年10月には調査票原案を作成、11月から12月に調査を実施、来年3月の調査結果の報告を目指す。


6月22日の中医協は、先進医療などについても議論(『肝細胞癌への陽子線・重粒子線治療、「先進医療B」』を参照)。
 「医療機関群そのものの在り方、検討を」万代氏
 中医協総会の二つの議題は、総会に先立ち開催された基本問題小委員会において議論された。DPCについて、次期改定に向けた検討課題として、厚労省が「基礎係数(医療機関群のあり方)」(II群の選定要件についてなど)」と挙げた点に対し、注文を付けたのが、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏。

 DPCの医療機関群は、I群(大学病院本院)、II群(大学病院本院に準じる病院)、III群(それ以外の病院)に分けられる。万代氏は、改定のたびにII群とIII群を行き来する病院が一定程度あることから、「II群に限らず、医療機関群そのものの在り方もベースに置きながら、弾力的な考えで検討してもらいたい」と求めた。

 総会の議論では、全日本病院協会副会長の猪口雄二氏から、「DPCの機能評価係数IIは複雑で、各病院にとってなぜこの係数になるのかが分からない。各病院が目指すべき方向が分かりやすくなるような係数設定が必要」との意見も上がった。

 「現場の状況把握できる調査を」万代氏
 「入院医療等の調査・評価分科会」が実施する調査について、日本医師会常任理事の松本純一氏は、「療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響」は、2016年度のみの調査になっていたことから、「最初の1年目と2年目は若干違ってくる。できれば2年連続で実施してもらいたい」と要望。

 万代氏は、調査票の詳細設計について、「2016年度改定は、今後の医療提供体制の構築に向けてかなり大きな変革だったと認識している。現場の病院も、変化を伴う運営を余儀なされる。現場の状況を確実にあぶり出せる調査項目をお願いしたい」と求め、同分科会の審議経過も中医協に適宜報告することも必要だとした。

 「地域医療構想、報酬で誘導されず」中川氏
 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、調査の詳細よりも、基本的な考え方を指摘。地域医療構想や第7次医療計画が進み、介護報酬改定と同時になることから、「次期改定は非常に重要」とし、特に病床機能分化を進める上で、「重症度、医療・看護必要度が設定されている病棟については、その病床機能に見合った患者が入院しているか」、「介護施設との連携も機能しているか」などの視点からの検証が必要だとした。さらに、平均在院日数、在宅復帰率のほか、「今まで7対1入院基本料の議論に偏っていたが、10対1、13対1、15対1などの議論も必要」と求めた。そのほか地域包括ケア病棟入院料については手術や麻酔が包括外になった影響、療養病棟については、2017年度末で設置期限を迎える介護療養病床と医療療養病床(看護人員配置が25対1のもの)などの検討も求めた。

 これに反論したのが、日本医師会副会長の中川俊男氏。「地域医療構想は、診療報酬で誘導されるものではない」と指摘。幸野氏が、「基本的には病院自らが(病床機能を)判断することであり、病床削減のツールでないことも分かっているが、報酬で後押しすることが必要ではないか」と返すと、中川氏は「地域医療構想と診療報酬との整合性が唯一あるとすれば、どの病床機能を選択している病棟であっても、採算が取れる診療報酬を設定すべきということ。それ以上でもそれ以下でもない」と重ねて反論した。万代氏も、「その一点に尽きる。同様の理解だ」と述べ、中川氏の意見を支持した。

 入院医療調査、回収率も議論に
 入院医療関係の調査における回収率について言及したのが、全国健康保険協会理事の吉森俊和氏。2014年度調査では36.5%、2015年度調査では40.7%だった。「次期改定に向けた重要な調査。しかし、回収率が40%前後で、重要なエビデンスを検証できるのか」と疑問を呈した。「個人的には100%近くにしてもらいたい。調査は、協力ではなく、義務化にしてもらいたい」と述べ、回収の方法や調査対象医療機関の全面的な協力が必要だとした。

 万代氏は、医療機関は多忙な中で回答しているとし、「40%は評価すべき数字。調査に回答する大変さをぜひ現場に立ち合って見てもらいたい」と返した。

 調査の回収率は、中医協総会でも議論になり、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏は、「マンパワーが少ない医療機関が回答していなければ、バイアスがかかる」と懸念し、長期的には医療機関にとって不利益になることもあり得るとし、「この程度の数字でも全体を反映しているのか」と問いかけた。

 厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、より正確な情報が得られるよう調査を設計していくとし、「バイアスが危惧されるものは、可能な限り、排除していく。中医協で実施する調査以外に、既存の調査も併せて議論していく」と回答した。



https://www.m3.com/news/general/435849
福山市民病院が「尾道」に医師派遣 7月から、常勤の内科医不足受け
2016年6月23日 (木) 中国新聞

 福山市民病院は22日、常勤の内科医が不足している尾道市民病院に、7月から週1回、医師1人を派遣すると発表した。外来診療を支援し、備後圏域の医療態勢を強化する。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54291/Default.aspx
厚労省・武田医薬局長 高額薬剤問題は最大のテーマ「治療アクセスや新薬開発への配慮も必要」
2016/06/24 03:52 ミクスOnline

厚生労働省医薬・生活衛生局の武田 俊彦局長は6月23日、日本病院学会(岩手県盛岡市)の開会式で挨拶し、高額薬剤問題が医薬・生活衛生局として取り組む最大のテーマであるとの認識を示した。抗がん剤・オプジーボに端を発した高額薬剤問題をめぐっては、現在、薬価引き下げに加え、使用できる医師や施設を限定する“使用の最適化”推進が検討されている。こうした施策による医療費、薬剤費の適正化を見据えるが、武田局長は、検討に際し、「患者が必要な治療を受けられる治療アクセスの確保や、患者が待ち望む画期的新薬がこれからも開発されるような配慮も必要だ」と述べ、最適化とイノベーション推進の両立を視野に入れた施策の立案に取り組む考えを示した。

武田局長は、高齢化、人口減少が進む中で、高額薬剤問題が医療制度の持続可能性を脅かす存在であると指摘。局長就任後、「何がテーマであるべきか、日夜考え続けている。どうしても取り組まなければならいのは、高額薬剤の適正使用の問題だ」と述べた。


◎局横断的な施策立案で医療費適正化に取り組む

武田局長は、「社会保障の問題は、今や国全体で考えるべきテーマとなってきた」との見方を示し、「厚生労働省においても、局ごとに考えるのではなく、局横断的に考え実効性ある対策を打ち出していくことこそが使命ではないかと思う」と述べた。

高額薬剤問題をめぐっては、医薬・生活衛生局と保険局との連携により、新薬の承認段階から薬価収載まで一貫した最適化使用の施策立案が求められている。武田局長は、「薬は添付文書のみ、保険は療養担当規則のみ、ということではなく、いかに様々な行政分野を組み合わせ、政策効果を最大限に発揮できるか」と他局との連携を見据えた施策立案の重要性を強調した。


その上で、「医薬局としても、医療全体の解決に向けて関係各局と有機的に連携し、国民にとって最適な医療の実現、イノベーションや医療の質向上を通じた医療費の適正化など、効果的な施策を打ち出していきたい」と意欲をみせた。



http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20160624/2366049
栃木県内4病院、自治医大と連携 「臨床センター」設置し学ぶ機会確保へ
6月24日 朝刊 下野新聞

 自治医大と県内の4病院は7月2日に、若手医師が地域医療の現場で学べる「地域臨床教育センター」を4病院に設置することを決めた。将来的に、大学病院が集中治療などに対応する高度急性期医療に専念することを見越し、若手医師が生活習慣病など慢性疾患への対応を地域で学べる機会を確保する。隣県の茨城県では筑波大が同様のシステムを取り入れている。

 センターを設置するのは、新小山市民病院(小山市)、地域医療機能推進機構(JCHO)うつのみや病院(宇都宮市)、とちぎメディカルセンターしもつが(栃木市)、芳賀赤十字病院(真岡市)の4病院。

 主な対象は、医師免許を取得したばかりの初期研修医と、診療科ごとの専門性を高める後期研修医。指導役の医師は、各病院の寄付を原資に、同大が専任講師を採用し派遣する。また各病院に在籍している経験豊富な医師も、同大臨床教授として若手指導に当たる。


  1. 2016/06/24(金) 05:49:10|
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