Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月3日 

https://www.m3.com/news/general/430315
益城町最大の病院 患者のため院長決意の再開
2016年6月3日 (金) 熊本日日新聞

 熊本地震で被災した益城町の東熊本病院が1日、永田壮一院長(64)の診療を約1カ月半ぶりに再開し、町内の17医療機関の最後に患者の姿が戻ってきた。地震発生後、町の医療チームの統括責任者も務めた院長は「町の復興はこれからだが、地域に安心を与えるのがかかりつけ医の使命だ」と決意を新たにしている。

 「いつも診てもらっていた院長先生に診てもらえるとやっぱり安心」。1日、診療を再開した永田院長に診てもらった同町広崎の元自衛官手塚勇さん(80)はうれしそう。永田院長も「診療は医師の生きがいだ」と、なじみ顔との再会に笑顔があふれた。

 同病院は病床数52の町内最大の医療機関。4月16日午前1時25分、前震による停電のため、入院患者の町外への転院作業を始めた直後、2度目の震度7に襲われた。まだ院内に残っていた患者約30人を急いで避難させたが、病院前に敷いたブルーシートに寝たきりの高齢者らが横たわり、“野戦病院”さながらの様相となった。

 前震で損傷しなかった鉄筋4階と軽量鉄骨3階建ての建物は、一部の地盤が50~60センチも沈下。玄関部分には大きな亀裂ができた。近くの駐車場で仮眠中だった永田院長は「ここで病院を続けるのは無理だ」と病院前に立ち尽くした。

 夜が明けると、町内の被災は前震時からさらに拡大。自院で診察できないもどかしさを抱えながら、上益城郡医師会長として上益城圏域災害医療調整本部長に就任、日本医師会災害医療チーム(JMAT)とともに、エコノミークラス症候群の予防などに奔走した。

 そのJMATを5月末で見送り、医療のバトンを受け取ったばかりだが、5月からは週1回、町内の医療機関の情報交換もスタートさせ、「地震をきっかけに、結束は強まった」と話す。

 今後は仮設住宅暮らしで出歩きづらい高齢者らの在宅医療が課題だと指摘。「全医療機関が患者の情報を共有し、自宅に居ながら総合病院に入院しているような包括的なケアが必要になる」と強調する。

 病院は、安全が確認できた部分で何とか再開にこぎ着けたが、全7科中で内科のみ。病院の建て替えも検討しているが、地盤の調査や事業計画など将来の展望はまだ描けていない。それでも「かかりつけ医の使命は住民に安心感を与えることだと、地震であらためて実感した。まずはわれわれがしっかり復興することで、地域を支え続けたい」と力を込めた。(岩崎健示)


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 


http://digital.asahi.com/articles/ASJ5Z3TZ8J5ZPLPB005.html?rm=273
高知)馬路村で「家庭医道場」開催
根岸敦生
2016年6月4日03時00分 朝日新聞

 医師や看護師を目指す学生が地域医療を考える「家庭医道場」が今年も開かれた。今回の舞台は馬路村。高知大医学部教授の指導の下、村の暮らしぶりを実際に見て回った。「かかりつけの先生」に必要なものは何か。学生たちは将来のあり方に思いを深めた。

 家庭医道場は年2回、県西部の梼原町と県東部の馬路村で開かれている。19回目の開催で、馬路村では9回目となる。

 5月28、29両日開かれた今回は医師や看護師を目指す学生40人が参加。28日は馬路診療所の見学、役場や馬路温泉、馬路小学校で暮らしの様子を見て回り、村での子育てや福祉を学んだ。田植えも経験した。

 29日は医師、看護師らの講演を聞いた。家庭医道場のテーマは人気のテレビ番組にちなんで「Youは何しに?」。高知大医学部教授の阿波谷敏英さん(50)は「将来、家庭医療にも携わる学生が『何のために医師、看護師を目指すのか』を考えるきっかけをつかんでほしい」と語る。

 阿波谷さんは講演で、梼原町の診療所に勤務した経験をもとに、「ライフを考えよう。患者の生活、生命、人生を考え、自身も何をやりたい、何で役立てるかを」と学生たちに語りかけた。「医師、看護師は金魚鉢をのぞき込んでいる猫ではなく、一緒に泳いでいる金魚」にたとえ、地域の一員となって住民の信頼を得る大切さを説いた。

 かつてこの会に参加した先輩も、後輩たちに助言を送った。高知大医学部特任助教の山内紘子さん(30)は幡多けんみん病院勤務の後、今は週2回、高知市土佐山村へき地診療所で診療している。「何でもできる医師になりたくて、幡多けんみん病院で研修した。家庭医として、多くの関係先と連携することの大切さを感じた」と語った。

■学生ら「知識・技術足りない」「人とのつながり大事」

 講演後、学生たちは「地域医療って?」をテーマに集団討議をした。

 医学部6年の中平真緒さん(25)は「将来は産科の医師を目指している。道場に参加して、村の暮らしの中で考えてみると、自分が得た知識、技術とその足りない部分を感じる」と振り返った。

 同6年の高野友花さん(24)は「大阪出身なので濃密な地域とのつながりを意識せず育ってきたけど、人とのつながりの大事さを学んだ気がする」と語る。

 同1年の西森祥さん(19)は今回が初参加。「医師を目指すつもりで単に勉強してきたけど、地域医療の実際を知ることができた。なぜ医学を学ぶのかあらためて考えてみたい」と話していた。

 道場の様子を見守った馬路村役場の清岡隆健康福祉課長(44)は「こういう機会を通じて、馬路や県東部などの地域医療に目を向けてくれる人が少しでも育ってくれればうれしい」と述べた。(根岸敦生)



http://mainichi.jp/articles/20160603/ddl/k02/040/163000c
ドクターヘリ
昨年度出動828件 制度浸透「利用適正に」 最多の前年度から10件減 北東北連携は活発化 /青森

毎日新聞2016年6月3日 地方版 青森県

 2015年度の県内のドクターヘリの出動件数は828件で、前年度を10件下回った。09年の運用開始以来初めての減少だが、過去最多だった14年度から大幅には減っておらず、県医療薬務課は「制度が浸透し、適正な利用ができ始めたという感触。今後は同程度で推移すると考えている」と話している。【佐藤裕太】

 県内のドクターヘリは09年3月に八戸市民病院(八戸市)で運用を開始。11年度から県立中央病院(青森市)でも運用され、12年10月から両病院にそれぞれ1機を配備する2機体制となった。13年度からは北東北3県(青森、岩手、秋田)での広域連携が始まり、14年10月には医師の判断で他県に出動要請できるなど、要請要件が緩和された。

 同課によると、出動要請事案は962件(前年度比5件減)で横ばい。出動の内訳は、八戸市民病院のヘリが493件、県立中央病院のヘリが335件。同じ時間帯に要請が重なるなど、県内に1機だけだった場合は対応できなかったとされる出動は105件あった。天候不良や要請の重複などによる不出動は134件だった。

 一方、北東北3県による広域連携の出動は52件で、前年度から32件増と活発化が目立つ。このうち青森県ヘリの出動は19件(同7件増)。いずれも岩手県からの要請だった。医師の判断など、14年の改正で追加された要件による出動は28件(青森2件、岩手26件)あった。

 悪天候では救急隊が状況を見極め、ヘリの要請は避けるなど、現場の「慣れ」もみられるという。同課の奈須下淳課長は「当初は要請に消極的なところもあったが、県と消防、医師らで検証を繰り返した成果が現れている」としている。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0603503613/
総合診療専門医は"野辺の花"を目指す医師
2016.06.03 07:10 Medical Tribune

丸山氏 2017年度から開始予定の新専門医制度で新たに設けられる総合診療専門医(関連記事)。「地域を診る医師」としてのリーダーシップをはじめ、他の領域別専門医および他職種との連携、地域における医療・保健に関するニーズの把握とサービスの提供など、求められる守備範囲は広い。しかし、なぜ今、総合診療専門医が求められているのか。内科専門医との違いはどこにあるのか。日本プライマリ・ケア連合学会理事長の丸山泉氏は、従来の臓器や疾患別の専門志向を"バラの花"に、総合診療志向を"野辺の花"にそれぞれ例えて、「(後者を目指す)若い医師たちの受け皿が必要」と語った。総合診療専門医の育成に関するシンポジウムなどが開かれる第7回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(6月11〜12日、東京・浅草)を目前に控え、同氏にその真意を聞いた。

世間が気付き始めた"医療の本質"

 日本医師会(日医)では、来年度(2017年度)に新設される総合診療専門医制度に先駆け、今年(2016年)4月1日から「かかりつけ医機能研修制度」をスタートさせた。いずれの制度にも共通するのは、地域に根差した医療・保健・福祉を担う医師の存在意義だ。Family MedicineやGeneral Practiceといった欧米型の総合診療の日本なりの普及に、遅ればせながら本腰を入れ始めている。

 この点を、丸山氏は「医学の技術的な進歩の陰で置き去りにされてきた"医療の本質"に世間が気付き始めた結果」と指摘。特定の疾患に対する治療法が進歩しても、「それは臓器を診ているにすぎない。現代のように多疾患を抱えた患者や、虚弱あるいは認知症の患者が増え、地域ごとの人口構成に大きな偏りが生じた社会においては、従来のような各領域の専門医の育成に加え、総合的・統合的な立場で地域の医療課題に柔軟な姿勢で取り組む医師がいなければ医療は立ち行かなくなる」と続けた。

"野辺の花"を目指す若者たちの受け皿を整備

 では、総合診療的なアプローチはどうすれば習得できるのか。

 丸山氏はまず、医学教育プログラムについて「これまで、医学教育の中で総合診療を体系的に学ぶ機会がなかった。あったとしても結果を出せていなかった」と振り返った。続けて、「例えば、外科の道を志した結果、その道が幸いにも本人に適している場合もあるが、一方で、既存の専門領域以外に進むべき道の選択肢がないために、本来志向している『総合診療』に進むことができない若い医師も少なからず存在する。われわれの学会の医師たちとの対話の中からそう感じる」と話した。

 さらに同氏は「臓器別、あるいは疾患別の専門性を持たなくても、地域の患者に寄り添いながら、時には患者やその家族と一緒になって涙する、そのような医師像を良しとする医学生や若い医師は実際には多くいる。バラの花と野辺の花でいうならば、働く領域として可憐な野辺の花々の咲くところを志向するといってもいいだろう」と説明。総合診療専門医制度が新設されることで、受け皿が整備されることに期待を寄せた。

内科専門医との違いは地域志向

 そもそも総合診療専門医は、既に専門医制度が存在する内科専門医とは何が違うのか。内科専門医からも指摘されてきたこの疑問について、丸山氏は「総合診療専門医は内科専門医とは全く違う」と断言。「誤解を恐れずにいえば、内科専門医からは"総合診療専門医は内科専門医に小児科研修を加えたもので、文言的にも同じような医師を目指している"とよくやゆされるが、そうではない」と続けた。

 確かに内科専門医とは掲げる目標において重なる部分もあるが、総合診療専門医の研修カリキュラムにおける到達目標である6つのコアコンピテンシーでは、"地域志向アプローチ"が明確に打ち出されている(図)。同氏は「われわれはプライマリ・ケア医療として、単に技術的に内科という領域を超えた幅広い疾患や症状を診るだけの人材を想定していない。育成した総合診療専門医と内科専門医を比較すれば、その違いは分かるだろう」と述べた。ただ、「内科専門医へのニーズはこれからも間違いなく存在し続ける」と付け加えた。

図. 総合診療専門医に求められる6つのコアコンピテンシー
06031_20160604062428e73.jpg
図注)本コアコンピテンシーは、日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医制度をベースに、日本専門医機構の下、関連学会が共同で策定した
(一般社団法人日本専門医機構「総合診療専門医 専門研修カリキュラム」より編集室作成)

目指すべきは2025年ではない

 時代の要請と医学生からの期待、そして内科専門医とは異なる役割の必要性。あらゆる条件がそろった結果として制度化される総合診療専門医だが、その育成と輩出に関して丸山氏は「急速に総合診療専門医の数を増やすべきではない」と慎重だ。「焦って数を増やすことだけを優先すれば、制度そのものが必ず失敗する」と警告。いわゆる団塊の世代が後期高齢者に達する2025年への対応が問題視されているが、総合診療専門医の育成において「そこを目指すべきではない」と強調した。

 こうした考え方は、1万人を超える同学会の医師会員のうち、最も厳しい認定基準が設けられた家庭医療専門医の取得者が現在わずか511人しかいない点にも反映されている(表)。家庭医療専門医として地域の病院やクリニックで診療を行うようになっても、周囲の医師や関連他職種に認められるまでには「5年くらいかかるのが現状」と同氏。総合診療専門医についても同様で、対応する疾患領域が幅広い上に、診断や治療における技術的な側面にとどまらず、地域に認知され、何よりも住民から信頼を得られるような人材の育成には、より丁寧さが求められるのだ。

表. 日本プライマリ・ケア連合学会の会員数(左)と認定資格取得者数(右)(2016年3月末現在)
06032_20160604062429979.jpg
(日本プライマリ・ケア連合学会提供)

 近い将来ではなく、同氏の視線はさらにその先を見据えている。5年前の東日本大震災を振り返り、同氏は「あの震災を機に日本人の価値観は大きく変わった。疾病と付き合うとは?生きることや幸せな最期とは?地域を守るとは?地域の医療とは?これまでのように医療の問題を医療界だけで論じるのは危険であり、こうした人生観や社会的背景そのものについて総合的に捉えることが、医療の本質に通じる」と結んだ。

丸山理事長の英国家庭医療学会名誉フェロー受賞に日医・横倉氏が記念講演

 昨年(2015年)11月、丸山氏は、英国家庭医療学会の名誉フェローを受賞。日本人としては初となるこの快挙を記念して、2016年5月にわが国で記念シンポジウムが開催された。

(記念シンポジウムで講演する丸山氏/日本プライマリ・ケア連合学会提供)
横倉氏 同氏と同じ福岡県出身で、久留米大学の先輩にあたる日本医師会会長・横倉義武氏は「これまでに経験したことのない少子高齢社会や人口の都市部への集中などを背景として、わが国の医療は大きな転換期にさしかかっている」とし、こうした課題に対応するための鍵を握るのが「地域に根ざしたかかりつけ医の存在」と話し、日医がスタートさせた「かかりつけ医機能研修制度」の意義を強調した。また、総合診療専門医制度の開始を見据え、「日本プライマリ・ケア連合学会においては、プライマリ・ケアにおける専門学会として、わが国の医療提供体制の充実に向けて積極的にリーダーシップを発揮してほしい」と期待を寄せた。この他、同記念シンポジウムには、英国家庭医学会元会長・Roger Neighbour氏、世界家庭医機構会長・Michael Kidd氏らが出席した。
(編集部)



http://www.medwatch.jp/?p=9109
骨太方針2016を閣議決定、医師偏在対策について「規制的手法」との表現は削除
2016年6月3日|医療・介護行政をウォッチ

 安倍晋三内閣は2日、経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる骨太方針)2016を閣議決定しました。

 社会保障改革については、疾病予防や重症化予防といった点に力を入れることを明確にする一方で、医師偏在是正については、これまでの「規制的手法」という表現を避けています。

 今年末(2016年末)にかけて、医療保険改革や医療提供体制改革の議論が進められますが、その際にも、この骨太方針2016が重視されます。

ここがポイント!
1  消費増税は延期するも財政健全化目標は維持、社会保障改革はより厳しく
2 「国民皆保険・皆年金」の維持を強調、疾病予防・重症化予防の視点を明確化
3  医師偏在対策は後退?参議院選挙に配慮した格好か


消費増税は延期するも財政健全化目標は維持、社会保障改革はより厳しく

 骨太方針は、経済・財政を同時に再建するための政府の基本方針です。歳出(政府の1年間の支出)の無駄をカットするとともに、効果的な配分を行うことを目指しています。

 5月18日の経済財政諮問会議では骨太方針2016の素案が示されましたが、今般の閣議決定に至るまでに若干の修正が行われています。

 まず、消費増税について、「10%への引上げを2019年(平成31年)10月まで2年半延期する」ことを確認。ただし、「2020年度(平成32年度)の基礎的財政収支を黒字化する」という財政健全化目標は堅持されます。

 消費増税の延期は「歳入(政府の1年間の収入)が減少する」ことを意味し、財政的には厳しくなるにもかかわらず「黒字化目標は堅持」としているところから、今後、より歳出の見直しを厳しく行う方針が示されたものと理解すべきでしょう。

「国民皆保険・皆年金」の維持を強調、疾病予防・重症化予防の視点を明確化

 財政健全化に向けては、歳出の大きな部分を占め、かつ高齢化によって増大を続ける社会保障費の見直しが最重要課題の1つとなります。

 素案の段階で、▽医療費の地域差半減に向けた「見える化」の推進▽ワイズ・スペンディング(歳出についてデータ分析を行った上で、「経済再生と財政健全化の双方に資するかどうか」という点からの優先順位付けをした上で支出を行う)―という大方針が立てられ、より具体的な改革メニューがすでに示されています。

 閣議決定までに、改革メニューの大幅見直しは行われませんでしたが、若干の文言修正がなされました。この背景には、夏に行われる参議院選挙をにらんだものと考えることもできます。

 まず注目できるのが、「世界に冠たる国民皆保険・皆年金を維持し、これを次世代に引き渡すことを目指す」ことを強調している点です。

 政府与党はこれまでに「国民皆保険・皆年金の存続」を否定するような見解は示していません。しかし、たとえば最近話題に上るオプジーボやハーボニーといった「超高額薬剤」の相次ぐ出現によって、「皆保険の維持が厳しくなる」とも指摘されることから、この点を明確にしたものと考えることができそうです。

 

 ところで、社会保障改革は「給付の削減」ばかりを意味するものではありません。ワイズ・スペンディングという言葉どおり、たとえば「将来の医療費適正化につながるのであれば、その分野に重点的に財源を配分する」こともセットで行われます。

 この視点に立って、骨太方針2016では、▽疾病予防、重症化予防▽がん検診受診率向上―の2項目を重視する考えをより明確にしています。

 前者については、素案では「健康づくりなど」という表記でしたが、これが「健康づくりや疾病予防、重症化予防など」とより具体的な表現に修正されました。厚生労働省と日本医師会、日本糖尿病対策推進会議の3者で進めることが示された「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」などが想起されますが、こうした取り組みを今後も推進していく考えが伺えます。

 後者については、「がん」の早期発見を進め、がんによる死亡リスクの低減を狙うものです。わが国のがん対策の礎となる「がん対策推進基本計画」(第2期)では、「がんによる年齢調整死亡率を20%減少させる」という目標を立てていますが、達成はかなり難しい状況にあります(関連記事はこちら)。目標未達成の主因と考えられているのが「検診受診率の低さ」と「喫煙率の高さ」です。このため、検診受診率を上げるために、政府が重点的に取り組んでいく覚悟を感じることができます(関連記事はこちら)。

医師偏在対策は後退?参議院選挙に配慮した格好か

 一方で、「素案から後退したのでは」と心配される部分もあります。具体的には「医師の偏在対策」について、従前の「規制的手法も含めた」という表現が削除されているところです。

 規制的手法という表現は、医師偏在対策について議論を行っている厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」が5月19日に概ねまとめた中間報告の中にあります。さらに、中間報告にあたっては、日本医師会と全国医学部長病院長会議会長が共同して取りまとめた『医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言』が重要です。この提言の中では、「医師の地域・診療科偏在の解決のためには、医師自らが新たな規制をかけられることも受け入れなければならない」との考えを明記しています。

 つまり医療関係団体の決意を汲んで「規制的手法も含めた医師偏在是正策の検討」と表現されたわけですが、このように後退した背景には、やはり夏の参議院選挙が見え隠れしていると言えそうです。

 今後の検討会における医師偏在是正策論議にどれほどの影響が出るのかは不透明ですが、より実のある策が固められることが期待されます。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48906.html
社保改革は皆保険維持するためと骨太に明記- 政府が決定、来年度予算で医介「見える化」
2016年06月03日 17時00分 キャリアブレイン

 政府は2日、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(骨太方針)を決定した。内容の多くは素案と同じだが、社会保障分野の歳出改革について、国民皆保険を維持するために取り組む方針を明記した。また来年度予算で、医療・介護分野などの徹底的な「見える化」や医療費の増加要因の精査・検証を重点的に進める方向性も示した。【佐藤貴彦】

 政府の経済財政諮問会議が先月開いた会合で提示された素案は、消費税率を来年4月に10%まで引き上げる方向で作成され、同月に向けた環境整備に取り組む方針などが掲げられていた。閣議決定された骨太方針には、そうした文言が削られた代わりに、消費税率引き上げを19年10月まで延期してもなお、20年度の財政健全化目標を堅持する考えが盛り込まれた。

 また、財政健全化目標を達成させるために政府が昨年決定した「経済・財政再生計画」に基づき、医療・介護提供体制の適正化などを着実に進める方針を、素案と同様に掲げた。ただ、文言を付け加え、改革が「世界に冠たる国民皆保険・皆年金を維持し、これを次世代に引き渡すこと」を目指したものだと強調した。 

 素案では医療提供体制に関して、医師が働く地域や診療科の偏在対策を「規制的手法」も含めて検討することとしていたが、実効性のある対策を検討すると改め、規制的手法についての明示を避けた。

 一方、健康づくりに関しては、特定健診の受診率アップに関する表現を素案よりも強め、「大幅な向上」を図るとした。

 また、来年度予算編成の基本的な考え方として、重点的に推進する取り組みを列挙。経済・財政再生計画による社会保障制度の改革の着実な実行や、医療・介護分野などの徹底的な「見える化」などを掲げた。来年度予算編成の考え方は、素案では空欄になっていた。

 2日に決定された骨太方針には、社会保障関係費の伸びを年5000億円程度とする「目安」が盛り込まれていない。ただ、内閣府の担当者によると、政府が昨年決定した方針に基づき、来年度予算でも年5000億円程度が「目安」になるという。



http://www.medwatch.jp/?p=9103
一般病床、平均在院日数を短縮した上での病床利用率向上に成功―病院報告、16年2月分
2016年6月3日|医療・介護行政をウォッチ

 今年(2016年)2月には、一般病床の平均在院日数が短縮。その上で病床利用率もわずかながら高めることに成功した―。こうした状況が、2日に厚生労働省が発表した2016年2月分の病院報告から明らかになりました。

一般病床の平均在院日数は16.5日、病床利用率は76.6%

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を集計し、「病院報告」として公表しており、2016年2月の状況は次のようになっています。

 (1)の1日平均患者数は、病院全体では入院128万6147人(前月比14万9994人、2.6%増)、外来140万6335人(同14万9994人、11.9%増)で、入院は増加、外来も大幅増となりました。

 病院の一般病床に注目すると、入院患者数は70万1366人で、前月に比べて2万8906人・4.3%増加しました。また病院の療養病床では、入院患者数は29万3918人で、前月に比べて3124人・1.1%の増加となっています。

2016年2月、病院では入院患者数は増加、外来患者数も大幅増となった
06033_201606040624311f7.jpg

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.4日で、前月から1.9日短縮しています。

 病床種別に見ると、▽一般病床16.5日(前月比0.8日減)▽療養病床148.9日(同15.4日減)▽介護療養病床315.6日(同23.1日減)▽精神病床270.6日(同30.6日減)▽結核病床61.5日(同11.8日増)―となっており、すべてで短縮しました。

 また有床診療所の療養病床は97.1日で、こちらも前月に比べて10.9日短縮しています。

2016年2月、すべての病床種別で平均在院日数が短縮した
06034_20160604062432e2e.jpg

 メディ・ウォッチで何度もお伝えしていますが、在院日数の不必要な延伸には「ADL低下」「院内感染」などのリスクを高めると同時に、医療費の膨張を誘発する(わが国では1日当たりで入院料やDPC点数などが設定されているため)可能性もあります。

 したがって在院日数の短縮は歓迎すべきですが、長期的に傾向を把握していかなければいけません。

 一方、(3)の月末病床利用率を見ると、病院全体では80.9%で、前月に比べて1.3ポイント上昇しました。

 病院の病床種別に見ると、▽一般病床76.6%(前月から2.0ポイント増加)▽療養病床89.0%(同0.5ポイント増加)▽介護療養病床91.3%(同0.3ポイント増加)▽精神病床85.7%(同0.2ポイント増加)▽結核病床32.8%(同0.8ポイント増加)―という具合にすべてで増加しています。

2016年2月に病床利用率は若干の増加を見せている
06035_20160604062449e6e.jpg

 
 平均在院日数の短縮は、延べ患者数の減少、つまり病床利用率の低下=減収に繋がります。このため「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」の両立を目指すことが医療機関、とくに病院においては極めて重要です。この点、2016年1月から2月にかけてこの難しいミッションをクリアできている点はよろこばしいと言えるでしょう。もちろん、今後の長期的な傾向を見ていくことが必要です。

 病院におかれては利用率向上に向けて、地域のクリニックや中小規模病院との連携(重症患者の紹介を受けられるような関係の構築)や、救急患者の積極的な受け入れがなどを進める必要があります。ただし、地域の他病院も同様の取り組みを進めているでしょうから、そう簡単に利用率を向上させることはできません(関連記事はこちら)。このため、自院の機能や地域の患者動向を的確に見極めた上で、最終的には「病床数の削減」という選択肢の考慮も必要になってきます。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48904.html
排水貯留槽、国立大病院の4割超が未整備- 文科省調査、災害時の下水対策に課題
2016年06月03日 14時00分 キャリアブレイン

 災害時の医療拠点となる国立大附属病院の4割超が、下水道管が破損した際、トイレの排水などを一時的に貯めておく貯留槽を設置していないことが、文部科学省の調査で分かった。熊本地震や東日本大震災では下水道管や関連施設の被害が続出したことから、排水機能の確保や下水道管の耐震化が急務となっている。同省は、今年度中に取りまとめる予定の国立大附属病院の防災機能に関する事例集に、排水経路の遮断に備えた取り組みを盛り込む方針だ。【新井哉】

 熊本地震では、熊本市や益城町などの浄化センターやポンプ場が被災したり、下水道管が破損したりするなどの被害が出た。東日本大震災の被災地でも、下水道施設の被災に伴い、下水が流れない事態が続出。トイレや風呂、洗濯などによる下水の使用を最小限にするよう呼び掛ける自治体もあった。

 東日本大震災後、「下水道が使えないため、手洗いや入浴が十分できず衛生面で問題がある」いった指摘を踏まえ、下水が使用できない場合、配管の切り替えによって汚水を貯留できるスペースを確保する医療機関が増えつつある。

 こうした排水貯留槽や上水の受水槽などの防災関連設備に関する国立大附属病院の実態を把握しようと、文科省は今年1月、45の附属病院を対象とした調査を実施。4割超の20病院が排水一時貯留槽を設置していないことが判明した。

 上水の受水槽については、全病院が設置済みだったが、9病院が地震時の配管損傷による受水槽の水の流出を防ぐ「緊急遮断弁」を設置していなかった。東日本大震災時に受水槽につながる配管が破損して水漏れが起きた施設もあったため、緊急遮断弁を設置する動きが広がる中、その対応が不十分な附属病院がある可能性が浮き彫りになった。

 今後取りまとめる事例集には、原子力災害事故(被ばく事故)を想定して除染汚染水の専用貯留槽を設けた弘前大医学部附属病院や、建物の免震層下部の未使用スペースに災害時用の排水貯留槽を整備した山梨大医学部附属病院などの取り組みを記載する見通しだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/429631?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160603&dcf_doctor=true&mc.l=160905307&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
県別医師給与、推計の全国平均は1098万円
厚労省賃金調査、2014年調査比でほぼ横ばい

2016年6月3日 (金) 成相通子(m3.com編集部)

 厚生労働省の「2015年賃金構造基本統計調査」で、都道府県別の医師の賃金が公開されている。年収に換算したところ、医師の全国平均は約1098万円で、2014年調査の約1150万円より約52万円低く、平均年齢は40.0歳で前年より0.8歳若かった。

 年収の推計値が最も高かったのは岩手県で約1851万円、最も低かったのは大阪府で約816万円だった。ただし、岩手県の平均年齢56.1歳だったのに対し、大阪府35.1歳で大きな開きがある。全体的な傾向として、医師不足地域は平均年齢とともに年収の推計値も高く、都市部はいずれも低い結果となった(資料は厚労省のホームページ)。

 調査は、2015年7月に、医療や福祉などを含む16大産業の民間事業所を対象に、一定の方法で抽出。10人以上の常用労働者を雇用する5万785の事業所を集計対象とした。医療機関の場合は、国立病院機構と都道府県、市町村立の病院など地方公営企業の運営する病院以外が対象で、国立大学法人や学校法人なども含まれる。質問事項は2015年6月の賃金と、2014年1年間の賞与を含む特別給与額、年齢や超過勤務時間など。年収の推計値として、「2015年6月の給与×12カ月分+2014年の特別給与額」を用いた。

 他の職種についても、同様の方法で年収の推計値を出したところ、看護師は約478万円(平均年齢38.2歳)、薬剤師は約533万円(同38.7歳)、自然科学系研究者は約601万円(同38.2歳)、歯科医師は約655万円(同38.2歳)、大学教授は約1087万円(同57.5歳)、弁護士は約1095万円(同35.6歳)だった。
06036_201606040624503cc.jpg
06037_20160604062452212.jpg




https://www.m3.com/news/iryoishin/430259
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
医師偏在、「実効性のある対策」で解消
政府、「骨太の方針2016」など4計画を閣議決定

2016年6月3日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 政府は6月2日、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(骨太方針2016)のほか、「日本再興戦略2016」、「規制改革実施計画」、「ニッポン一億総活躍プラン」の計4つを閣議決定した(資料は、内閣府のホームページ)。

 「骨太方針2016」は、5月18日の素案の段階では、医師の地域偏在・診療科偏在対策について「規制的手法も含めた」となっていたが、「実効性のある」に変更された(『医師偏在、「規制的手法」も検討へ』、『「医師不足地域の勤務が院長の要件」、日医』を参照)。

 そのほかにも医療関連では、幾つか変更点があり、「基本的な考え方」として、「世界に冠たる国民皆保険・皆保険を維持し、これを次世代に引き渡す」ことを新たに明記。2017年6月に見直す予定の次期「がん対策推進基本計画」にも新たに言及、「がん検診受診率のさらに高い目標を設定」することなどを求めた。

 全体の変更点としては、安倍首相が6月1日に、消費税率の10%への引き上げが2019年10月まで、2年半延期するとともに、2020年度の基礎的財政収支の黒字化という財政健全化目標の堅持を表明したことを受け、その旨を追記(『社会保障は「優先順位付けて最大限努力」、安倍首相』を参照)。

 「日本再興戦略2016」は、具体的施策として11の柱を掲げており、うち一つが「世界最先端の健康立国へ」。公的保険外の介護予防や生活支援等のサービスが、地域包括ケアシステムの一環として活用できるよう、医療・介護関係者と民間事業者が連携できる枠組みの構築に向け、基本的考え方や基本方針を本年度中に策定する。そのほか、(1)医療等分野のIDについて、2018年度からの段階的運用、2020年からの本格運用を目指し、本年度中に具体的なシステムについて検討、来年度からシステム開発、(2)「国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画」(2016年2月9日関係閣僚会議決定)への対応、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016年4月5日同会議決定)に基づくAMR感染症治療薬に関する国際共通臨床評価ガイドライン策定、(3)2017年4月のスタートに向けた、地域医療連携推進法人の省令等の整備、大学附属病院の別法人化に必要な制度改正――なども盛り込まれた。

 「規制改革実施計画」は、規制改革会議が5月19日にまとめた「規制改革に関する第4次答申」からの変更はない。(1)在宅での看取りにおける規制の見直し、(2)薬局における薬剤師不在時の一般用医薬品の取扱いの見直し、(3)診療報酬の審査の効率化と統一性の確保、(4)一般用医薬品及び指定医薬部外品の広告基準等の見直し――が打ち出されている(『死後24時間後、「看護師の確認で死亡診断書を」規制改革委』を参照)。


  1. 2016/06/04(土) 06:28:20|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<6月4日  | ホーム | 6月3日 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する