Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月28日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/427403
シリーズ: The Voice(医療)
厚労省に有利な「医師過剰」推計に異議
医学部定員1.5倍でも医師不足続く

2016年5月27日 (金) 上昌広(NPO法人医療ガバナンス研究所理事長)

 3月末、厚労省は「医師の需要推計について」というレポートを発表した。そして、「医師需給は、中位推計においては、2024年(平成36年)頃に、上位推計おいては、2033年(平成45年頃)に均衡すると推計される」と結論した(資料は、厚労省のホームページ)。

 この報告に基づき、厚労省の有識者会議は、2020年以降は医師の偏在解消策の効果などを考慮しながら、削減も含めて検討する方針を盛り込んだ中間報告をまとめた。

 私どもは、医師不足について研究を続けてきた。2012年には、情報工学の専門家である井元清哉・東大医科研教授らと将来の医師不足をシミュレーションし、その結果を『プロス・ワン』誌に発表した。 (Yuji, Koichiro, et al. "Forecasting Japan's physician shortage in 2035 as the first full-fledged aged society." PloS one 7.11 (2012): e50410.)

 実は、今回の厚労省の推計と、私どもの推計の結果は全く違う。我々の推定では、2035年に2010年レベルの医師不足の状態に維持したければ、医学部定員を2010年の定員の53%増やさねばならなかった。特に後期高齢者の医療需要の増加は著しかった。図1は、医師の労働時間100時間当たりの後期高齢者の死亡数を示したものだ。全ての県で医師不足は悪化し、特に首都圏、中部地方、関西圏が深刻であることが分かる。

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図1 医師の100時間労働当たりの後期高齢者の死亡数(提供:上氏。上氏らの推計による)

 我々の解析結果は、遅くとも2033年までには医師は充足すると言っている厚労省の見解とは相容れない。なぜ、乖離が生じるのだろう。

 医師は週54.4時間勤務?

 医師の需給を検討する場合、需要と供給を正確に評価しなければならない。その際、どのような指標を使い、どのような仮定を置くかで、結果は変わってくる。推計の信頼度は、その方法論に依存する。

 では、厚労省と私たちは、どのような推定のやり方をしたのだろうか。

 まずは、医療供給だ。供給とは医師の労働量だ。医師の技量に個人差はあるものの、実際には医師の労働時間を用いることが多い。その際に重要なのは、医師の年齢、性別を考慮することだ。これも個人差はあるが、妊娠・出産・子育てにかける時間が多い女性医師や、体力が衰える高齢医師は若年男性医師ほど働けない。

 厚労省は、どのように彼らの労働時間を、どのように仮定したのだろうか。厚労省の報告によると、「30~50歳代の男性医師を1とした場合に、女性医師0.8、高齢医師0.8」としている。

 では、基本となる男性医師の労働時間はどうだろう。厚労省は、平均労働時間を54.4時間としている。これは2012年に労働政策研究・研修機構が発表した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」に基づいたものだ(資料は、同機構のホームページ)。この調査は、全国の20床以上の病院に勤めている24歳以上の勤務医を対象にインターネットを用いて実施し、有効回答数は3467票だった。

 報告書には「実際の労働時間を含む。休憩時間は除く」、「他の勤務先も含めた週当たりの全労働時間」と書いてあり、方法論としては妥当だ。ただ、勤務医の30-50代の労働時間の平均が週に54.4時間というのは、多くの読者の実感に合わないだろう。完全週休2日制、当直なしとして、毎日の残業時間が3時間ということになる。私は、このような勤務医をみたことがない。

 ちなみに2006年に開催された「第12回医師の需給に関する検討会」には図2のような資料が提出されている。この推計では休憩、つまり院内待機時間など、あらゆる間接業務の時間が含まれている。30歳代男性の平均労働時間は週に80時間を超える。
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図2 病院医師勤務時間(提供:上氏。2006年に開催された「第12回医師の需給に関する検討会」に提出された資料)

 後述するが、米国でも週の労働時間は80時間とされている。こちらの数字の方が、多くの読者の実感に合うだろう。労働政策研究・研修機構の調査が、なぜ、このような結果になったのかは分からない。ただ、若年男性の労働時間を低く見積もることは、医師を増やしたくない厚労省にはありがたい。女性や高齢医師の仕事量が相対的に高くなるからだ。

 厚労省は「女性医師の労働時間を踏まえた仕事量が0.8」としており、その際「供給推計には就業率が加味されており、休職・離職による影響は既に考慮されている」と述べている。図2を見れば、そんな仮定が出鱈目であることは一目瞭然だ。

 実は、若年男性の労働時間を低く見積もることは、厚労省にとって、別の意味でも都合がいい。それは、医師の過剰労働問題を議論せずに済むからだ。世界では、医療安全の観点から、医師の労働時間規制が進んでいる。きっかけは1984年に米国で起こったリビー・ジオン事件だ。過労のレジデントが誤投薬をして、患者が亡くなった。現在、米国では週80時間以内、EUでは週平均48時間に規制されている。米国では、医師研修施設の認定にかかわるACGME(Accreditation Council for Graduate Medical Education)が基準を定めており、このルールを守らなければレジデントを採用できなくなる。また、欧州では「working time directive」というEU法で定められており、雇用主に定期的なモニタリングが義務づけられている。

 日本にも労働基準法があり、週に40時間という法定労働時間を定めているが、勤務医は実質的に適用外だ。睡眠不足や過労が人間の判断力を鈍らせるのは公知の事実だ。そんな医師に治療を受けたい患者はいない。ところが、このことは、厚労省の推計には全く考慮されていない。あえて、この問題を避けるため、現実離れした調査を前提においたように見える。このように、厚労省の医療供給の推計は、前提条件に問題がある。現実を反映したものとは言いがたい。

 医療需要も過少推計

 では、医療需要の推計はどうなっているだろう。実は、こちらも科学の体をなしていない。

 厚労省は医療需要を「将来の医療需要」x「医療需要当たりの医師数」として定義している。そして、「将来の医療需要」を「地域医療構想等の必要病床数」、「将来の外来患者数」、「将来の施設の入所者数」で代替している。需要の推計に、「施設数」という供給側の指標を盛り込んでいる。この方法を使えば、施設数を絞ることで、需要を過小評価できる。これは、現在、厚労省が推進している政策そのものだ。

 医療需要を推計するなら、こんな指標を使ってはならない。主要疾患の年齢別罹患率と人口構成を掛け合わせるか、あるいは年齢別死亡率と人口構成を掛け合わせればいい。我々は後者を選択した。その結果が、冒頭にご紹介したものだ。厚労省の推計と、大きな乖離が生じるのも頷けるだろう。

 厚労省の推計は、かくの如く、方法論として問題がある。実は、このことは関係者の間では有名だ。首都圏の県庁に勤務する知人は「厚労省は定期的に医師推計を出しますが、そのたびに、医師が充足するのは、10年ずつ後ろになります」と言う。地方行政の担当者からは、厚労省は現状を肯定するための、辻褄合わせをしているとみられており、はなから信頼されていない。彼は、医学部新設を含め、独自に医師確保に取り組んでいる。

 厚労省の推計には、もう一つ問題がある。地域差を考慮していないことだ。わが国の医師数は西高東低。人口10万人当たりの医師数は久留米市が543人、長崎市414人に対し、千葉県173人、千葉市は255人だ。久留米市や長崎市の医師を千葉県に強制配置できない以上、全国平均で医師数が充足しても、首都圏の医師不足は解決しない(有識者の一部に強制配置を望む声があるが、これは憲法違反だ)。

 では、首都圏はどうなるのだろう。図3は首都圏で75歳人口当たりの60歳未満の医師数の推移を示す。団塊世代が亡くなる2035年ころに一時的に改善するが、その後、再び悪化する。少なくとも、首都圏で短期的に医師が充足することはあり得ない。
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図3 首都圏における75歳人口当たりの60歳未満の医師数の推移(提供:上氏。上氏らの推計による)

 データ公開し、オープンな議論を

 かくの如く、わが国の医師不足は深刻だ。短期的に解決することはなく、過剰になるなどあり得ない。

 確かに、私を含め医師にとって医師不足は好都合だ。多少、過剰労働はあるが、給与が上がり、仕事に困らない。大学教授たちは、さらにおいしい。医局員の派遣に伴い利権が生じるからだ。寄付講座や新専門医制度など、その典型だ。詳細は、以下の拙文をお読みいただきたい。

◆医師不足深刻化でも、大学医学部が定員増に必死の抵抗…「医師不足利権」の病理(2016年12月8日)

◆巨額税金投入の福島医大、被災地からの医師派遣要請に応じず…見返りに寄付金受領(2016年3月10日)

 医療界も、そろそろまともな議論をしたらどうだろう。いつまでも詭弁を弄していると、やがて社会の信頼を失う。厚労省の官僚たちも問題点は理解しているだろう。業界団体の意向を汲む与党や医療費抑制を迫る財務省からの圧力は、相当なものだ。彼らの苦労は察して余りある。

 ただ、審議会を隠れ蓑に辻褄合わせをするのは、そろそろ止めたらどうだろうか。こんなことを続けていると、わが国は駄目になる。

 どうすればいいのだろうか。私は厚労省が統計データを公開すればいいと思う。研究者が解析し、その結果を学会や論文で発表し、自由な議論をすればいい。医師は足りないけど、お金もない。さてどうするか。現状を国民が認識できるはずだ。そこからは国民的な議論が始まる。マスコミを巻き込み、オープンに議論すれば、やがて国民的コンセンサスができるはずだ。わが国は民主主義国家だ。地に足の着いた議論を始めようではないか。



http://mainichi.jp/articles/20160528/ddl/k09/010/099000c
佐野市
市民病院、18年度から民営化へ 「大胆な改革必要」 /栃木

毎日新聞2016年5月28日 地方版 栃木県

 佐野市は27日、指定管理者制度に移行して8年になる佐野市民病院について、2018年度から完全民営化する方針を明らかにした。この日の市議会全員協議会で説明した。同市政策審議会に諮問したうえで正式に決める。

 同病院は04年の研修医の新臨床研修制度の導入などを背景に、一時常勤医師が全員退職するなど深刻な医師不足に陥った。08年10月に指定管理者制度を導入。医療法人財団「青葉会」(本部・東京)が運営を引き継いだ。

 08年度末に7人だった常勤医師は14年度末には14人に倍増し、患者数や経常収益も増加している。しかし、赤字体質は変わらず、14年度末で2億5994万円の経常損失を出した。同市は毎年度、7億〜8億円を一般会計から補填(ほてん)している。

 青葉会との指定管理者の協定は18年3月末で満了するため、同市は今後の経営形態を検討。現在の「公設民営」方式を見直し、民間譲渡を目指す方針を固めた。同市健康医療部によると、地域の中核病院として存続するためには大胆な改革が必要と判断したという。

 同市によると、総務省が07年に「公立病院改革ガイドライン」で公立病院の経営効率化や再編などを打ち出し、これまでに全国で46病院が民営化したという。【太田穣】



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016052802000147.html
【千葉】
外部調査委「医療過誤なし」 千葉市立海浜病院の術後死

2016年5月28日 東京新聞 千葉

 千葉市立海浜病院(美浜区)の心臓血管外科で昨年四~六月、心臓や大動脈などの手術を受けた患者三十一人のうち八人が相次いで死亡した問題で、外部調査委員会は二十七日、「明らかな医療過誤はなかった」とする報告書を発表した。一方で、患者側への説明で手術のリスクが甘く見積もられていたと批判。担当医が少なく、疲労が重なっていた可能性もあるとして態勢の充実を求めた。 (内田淳二)

 八人は五十五歳~八十一歳の男女で、手術の翌日から一カ月半の間に死亡した。三カ月間で前年度の四人を大きく上回る事態に、病院側は三井記念病院の高本真一院長ら六人による調査委を設置。死亡と手術との因果関係などを調べた。

 手術チームは、前年度と同じ三人の医師らが中心となって構成されていた。調査委はビデオなどで手術経過を確認し「手術リスクの高い症例が多く、予測不能の死亡例もあった」と結論づけた。

 患者側への事前の説明については不足していたと批判。死亡率3~10%とされた手術も、調査委の見立てでは20~50%だったとして「十分な説明があれば患者が手術を選択しない可能性もあった」とした。また、医師の人数が少ない中、手術などが相次ぎ「疲労が重なり手術成績の低下に関連していた可能性も否定できない」と指摘した。

 病院は昨年七月以降、同様の手術を中止。当時の担当医三人はすでに退職した。再開時期は白紙という。寺井勝院長は会見で「一年余り十分な説明責任を果たせなかった」と遺族に陳謝するとともに「報告書の指摘を真摯(しんし)に受け止め、改善に努めたい」と話した。遺族からは「死亡例が相次いでいた状況を知らせてほしかった」といった意見があったという。



https://www.m3.com/news/general/428556
パワハラ「改善せず」…医学部教授を停職6か月
2016年5月28日 (土) 読売新聞

 横浜市立大学医学部の50歳代の男性教授が、複数の学生、教職員に対し、頭をたたいたり、過度な叱責をしたりするパワーハラスメントをしたとして、停職6か月の懲戒処分を受けていたことが、市大への取材で分かった。

 処分は4月27日付。教授は2011年度にも暴言により停職3か月となっており、市大人事課は「改善が見られず、さらに重い処分にした」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/428388
シリーズ: 真価問われる専門医改革
日病協「永井私案含めて、機構の在り方はおかしい」
薬価改定は組織横断的な議論が必要と指摘

2016年5月28日 (土) 高橋直純(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会の神野正博議長(日本社会医療法人協議会副会長)は5月27日の代表者会議後の記者会見で、2017年度から開始予定の新専門医制度について、「今の永井私案を含めて、現在の機構の在り方についてはおかしいと懸念を表明する。走りながら進めていくと転んでしまう」と話した。

 医師の診療科や地域の偏在について、これまでは学会や医師会、病院団体はこれまでプロフェッショナルオートノミーを発揮できていなかったと反省しているとした上で、神野議長は2017年4月開始に向けて「全団体の共通認識は『議論は煮詰まっていない』というもの」と説明。永井私案(『新専門医制度、永井委員長が“私案”で改善提案』を参照)についても「時期尚早。議論するに至っていない」と指摘した。

 原澤茂副議長(全国公私病院連盟常務理事)は「(永井私案では)地域の協議会で(医師の偏在などを)議論することになっているが、協議会が作られていない地域も多く機能してない。形だけで実態がない」とコメント。原澤氏は個人的な意見として、「新専門医制度は地域医療崩壊につながり、学会、大学主導の制度である。(日本専門医機構の)池田理事長は止めたら二度と動かせないように発言しているが、そんなことはない。まずは総合診療専門医をスタートさせ、他の専門医は既存の学会に委ねながら3年ぐらいかけて専門医機構に暫時移行するのが妥当だと思う」と述べた。

 神野議長は高額な薬価が問題になっている薬剤費についても触れ、「薬価の決め方に疑義が出ている。早急に組織横断的に薬価改定をするようにしないと、総額が決まっている医療費の中で、薬剤費だけが膨張することになる」とし、議論が始まった第7次医療計画の在り方については「医療計画と地域医療構想の整合性が考えられないまま進むことを懸念している」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/428587
シリーズ: 医師不足への処方せん
1位総合診療医、2位地域枠、3位は「医師の計画配置」
日病が医師不足対策を調査、医師の地域偏在は拡大

2016年5月28日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本病院会は5月28日の記者会見で、会員病院を対象に実施した「2015年地域医療再生に関するアンケート調査報告書」の結果を公表、5年前と比較した常勤医師数は、政令指定都市・中核市等の病院では「増加した」が64.7%に上ったものの、反対に群部・町村の病院では、42.5%が「減少した」と回答、勤務医の確保状況は地域差が大きいことが明らかになった。勤務医不足の解消策として、総合診療医への期待は高く、加えて「医師の計画配置」を支持する病院は70.2%に上るなど、従来とは異なる対策を期待している病院が多いことも示されている。

 本調査では、勤務医の労働実態も調査、「時間外勤務が月80時間を超える医師」が存在する病院は42.1%、宿直の翌日は「通常通り勤務」の病院は59.7%で、勤務医の多くが依然、厳しい労働を強いられている現状も浮き彫りになっている。労働基準局から是正勧告を受けた経験がある病院は24.7%に上り、「日本の医療は、労基法違反を前提として成り立っていると思う」と回答したのは46.9%を占めた。

 会見した常任理事の塩谷泰一氏は、「国、都道府県、各病院のレベルで、さまざまな医師確保対策が講じられてきたものの、医師の地域偏在は解消するどころか、益々拡大している。それに伴い、現場の不安感はむしろ増大している」と指摘した。「勤務医は不足している」との回答も、政令指定都市・中核市等の病院では72.7%、郡部・町村の病院では92.5%と約20ポイントの差がある。勤務医不足の解決策について、「発想を変えて、今までとは異なるアプローチをしていかなければいけないと考えているのだろう」と塩谷氏は語る。

 規制的な医師不足対策については、「職業選択の自由」との兼ね合いから問題視する声も根強いが、塩谷氏は、日本医師会と全国医学部長病院長会議の2015年12月の緊急提言などを例に挙げ、「世の中の雰囲気は、少しずつ変わりつつあるのではないか」と述べた(『医師のキャリア形成、大学が生涯にわたり支援』を参照)。

 厚生労働省では「医療従事者の需給に関する検討会」で、医師需給などの検討を進めている(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』などを参照)。日病は、本調査結果がこうした検討の場で活用されることを期待する。ただし、日病会長の堺常雄氏は、規制的な医師不足対策については、「検討は必要だと思うが、クリアすべき課題は幾つかあると思っている」と慎重な議論が必要だとした。

9割が「大学医局からの派遣」に依存

 調査は2015年10月1日から11月20日にかけて、2431病院を対象に実施、664病院から回答を得た(回答率27.3%)。回答病院は500床以上が20.0%と多いものの(日本全体では500床以上は約5%)、200床未満も38.0%に上った。「日病の会員の割合をほぼ反映している。今回の調査結果は、日病会員の総意を反映したものと言える」(塩谷氏)。

 医師の確保方法は91.0%が「大学医局からの派遣」と回答し、いまだ大学への依存度は高い(複数回答)。以下、2位「人脈や個別紹介など個人的関係」(47.6%)、3位「公募」(42.5%)。4位に「人材あっせん会社」(37.6%)が入り、4割近くを占めることから、塩野氏は「憂慮すべき事態」と指摘。他の回答は、1桁だった。厚労省は、医師確保対策の一環として都道府県に「地域医療支援センター」を設定しているが、「医師確保については、全く機能していないことが分かった」(塩谷氏)。

 「大学医局からの派遣」で医師を確保している病院のうち、大学・医局に研究費等を支援しているのは、34.7%に上った。金額は「500万円未満」が76.3%を占めたが、「1000万円以上」も計8.7%。

「保険医定員制」「自由開業の制限」は支持低く

 「勤務医確保は困難」と回答した病院は90.3%と高率。「勤務医不足の本質は、医師の絶対数の不足ではなく、地域偏在・診療科偏在と思う」と答えた病院は72.9%に上る。

 勤務医不足の解消策として賛成率が高いのは、「総合診療医の養成」(79.7%)がトップで、2位は「医学部地域枠入学の活用」(73.1%)。地域枠といっても、大学によりルールが異なることから、塩谷氏は「義務年限や赴任先病院の在り方など、運用ルールの基本は、ある程度全国的に統一化すべきではないか」と指摘。

 3位「医師の計画配置」(70.2%)、4位「地域ごと基本診療科ごとの医療需要の把握と設定」(60.4%)、5位「へき地勤務の義務化」(57.9%)と、規制的な医師不足対策が並んだ(複数回答)。もっとも、「保険医の定員制の設定」(13.6%)や「自由開業の制限」(32.4%)を支持する意見は少なかった。「一般論では賛成するものの、より具体的、自分に身近な対策となると反対意見が出てくる」と塩谷氏は分析した。



https://www.m3.com/research/polls/result/107
意識調査
結果日本の臨床研究、どうなる?

回答期間: 2016年5月17日 (火)~24日 (火) 回答済み人数: 2250人

 降圧剤を巡る論文不正事件に関する裁判が現在、東京地裁で行われています(『降圧剤論文問題と研究不正』を参照)。事件をきっかけに政府は5月13日、製薬企業から資金提供を受けた薬などの臨床研究などについて第三者によるデータチェックなどを義務づける「臨床研究法案」を閣議決定しました(『臨床研究法案、国会へ 第三者がデータ確認 閣議決定』を参照)。

 研究の透明性が向上に期待できる一方、「ただでさえ、やりにくくなっているのに、日本の研究がさらに停滞する」という声も上がっています。日本の臨床研究についてのお考えをお聞きします。

「医療従事者の7割が「臨床研究の経験あり」

 臨床研究の参加経験を尋ねたところ、「ある(直近1年以内に)」が28%、「ある(直近3年以内に)」が10%、「ある(3年超の前に) 」が32%で、70%が経験があるという結果でした。思いのほか、臨床研究は身近な行為かもしれません。

 臨床研究の在り方については、「現状で良い」が44%を占めました。「今より強化すべき」は25%、「今より緩くすべき 」は18%でした。

 現在国会で議論が行われている「臨床研究法案」の影響については、「質の向上につながる」が26%、「質は現在と変わらない」が31%、「質の低下につながる」が12%、「分からない」が31%と意見が分散しました。自由意見では「質は向上したとしても数は減る」という指摘も多かったです。

 臨床研究の在り方について、多くのご意見が寄せられました。m3.com医療維新でご紹介します。
臨床研究規制「官僚の責任逃れ」「ルール違反の罰則を強化」」(次項)

Q1 臨床研究(治験含む)に携わった経験ある?
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開業医 : 456人 / 勤務医 : 1500人 / 歯科医師 : 5人 / 看護師 : 15人 / 薬剤師 : 234人 / その他の医療従事者 : 40人
※2016年5月24日 (火)時点の結果

Q2 臨床研究への規制、強化すべき?
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開業医 : 456人 / 勤務医 : 1500人 / 歯科医師 : 5人 / 看護師 : 15人 / 薬剤師 : 234人 / その他の医療従事者 : 40人
※2016年5月24日 (火)時点の結果

Q3 「臨床研究法案」、日本の臨床研究の質の向上につながる?
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開業医 : 456人 / 勤務医 : 1500人 / 歯科医師 : 5人 / 看護師 : 15人 / 薬剤師 : 234人 / その他の医療従事者 : 40人
※2016年5月24日 (火)時点の結果



https://www.m3.com/news/iryoishin/428386
シリーズ: m3.com意識調査
臨床研究規制「官僚の責任逃れ」「ルール違反の罰則を強化」
規制の在り方についての自由意見、賛否分かれる

2016年5月28日 (土) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 日本の臨床研究の在り方についてお考えをお聞かせください
調査結果はこちら⇒『「医療従事者の7割が「臨床研究の経験あり」』

【規制・ルールは重要】
・日本の臨床研究の信憑性が問題になっているのは、大変ゆゆしき問題と感じています。これまでの不備を出来るだけ是正して、より適切なものになるように願っています。【開業医】

・どうしてもお金が絡むので資金の管理、途中途中のチェック(効果判定も含めて)を行うこと。【勤務医】

・研究登録制を観察研究にも拡げる。【勤務医】

・ルールを守っての臨床現場主導の臨床治験の拡大が、新しい治療開発につながると思います。【勤務医】

・しっかりとしたルールを作り、ルール違反の罰則を強化したらいいのでは。あたりまえだが患者さんの利益のために正々堂々と研究をするべきでしょう。日本の臨床研究の信頼を取り戻すためには、20年以上かかるでしょう。【開業医】

・世界水準で考えれば、ルールとしては妥当と思われる。逆にルールに従っていない研究は、今後主要な国際誌には採択されなくなると思われる。現在の日本における問題は、医師以外のスタッフ(事務、統計学者など)による臨床研究のサポート体制が整っていないことだと思われる。【勤務医】

【研究環境の整備を】
・教授の部下でなく、研究員として、仕事をさせること。【開業医】

・質の良い臨床研究が求められるのは当然ですが、スピードも大事であると考えます。【勤務医】

・臨床的学術的に優先すべき臨床研究を学会主導で、国や製薬会社の支援で行っては?【開業医】

・臨床研究に携わる職種の採用拡大にかかわる費用を臨床研究を行う施設に国が補助を与える必要あり。【勤務医】

・不正をしたら製薬会社に薬剤の承認取り消しと3年間の営業停止ぐらいのことをしないと懲りない。【薬剤師】

・一般病院の熱意のある医師が臨床研究がしやすいようにすべきです。【勤務医】

・海外の臨床研究結果をそのまま、日本人に当てはめても同様の結果がでるかわからないため、日本でも積極的に臨床研究をすべき。【勤務医】

・製薬会社で治験に携わっていたころは、医師にも負担で患者さんにもメリットがあまりないように感じられた。奉仕の精神に頼るだけでは国際的な競争力を持つ企業に成長的ないのではないかと感じた。【薬剤師】

・基礎医学との連携をもっと強化すべき。臨床研修医制度によって大学院へ進む医師が少なくなっている現在、研究そのものの衰退が懸念される。【勤務医】

・確かに第三者によるチェックはある方がいいとは思うが、そのやり方次第では、臨床で使用することができるまでの期間をいたずらに伸ばす結果を招くことも考えられます。よって、迅速な第三者でのチェックが行われることを条件にするならば、現状よりも強化することを考えてもいいのかもしれません。確かに予期せぬ副作用に苦しむ患者さんがいる一方、世の中に治療薬が認可されていないことで苦しんでいる患者さんがいることも忘れてはいけないと思います。【薬剤師】

・FDAのように臨床研究の開始段階におけるプロトコルに関するアドバイスや介入をより実施すべき。監査を強化・新設しても第三者機関の追加による研究開発費が膨らむだけであまりメリットはない。監査はプロトコル通りに実施しているかの点に絞り、費用面でも可能な限り効率化してほしい。【薬剤師】

・CRCなどサポートする職種を増やすことが必要。【勤務医】

【規制の問題】
・おそらく国が出す提案は賢い製薬会社の研究員や実際の取りまとめをしている医師には見透かされ、不正はあまり減らない。逆に巧妙になるだけ、判断できなくなるのではという危険性がある。一方でまっとうな試験をしている人にとっては邪魔でしかない。また、規制が増えれば、製薬会社の負担も増え、それが結果薬価や儲からない薬剤開発の停滞につながる。本当は性善説が成り立てばいいんだけど、それは無理か。どちらにせよ、規制強化は何かしらのデメリットとなって出てくると思われる。【勤務医】

・治験に限って言えば、各科ごとに特徴があり、それを踏まえてすべきであり、どれも同じやり方である限り、無理がある。【勤務医】

・今後の学会では企業治験か、施設のレトロスペクティブ試験しか発表できないことになるでしょう。もう、医師主導の臨床試験からはEBMは出てこないでしょう。というより、臨床試験ができない。【勤務医】

・政府からの規制が多くて、良い研究は芽生えないと感じている。【勤務医】

・まさに狩人、森を見ず。規制を強化すれば、全体のアクティビティーの低下は必至。官僚が当面の責任逃れに考えているとしか言いようがない。長い目で見れば必ずダメになることばかりしている。不正をした人間に対する罰則を強化すべき。不正論文を作って、のうのうと教授を続けている人間のなんと多いことか。【勤務医】

・世界と規制の仕方がまったく異なり、異様なほど枝分かれしていてわけの分からん規則だらけ。こんなもの、使えるわけない。そして、法の網を潜るやつが必ず出てくる。【勤務医】

・倫理審査が厳しすぎて雑用が増えてしまい、本質的な業務以外に無駄な時間を浪費せざるをえなくなっている。日本の臨床研究が更に世界レベルから遠のき、研究者の数が減り、最終的には日本の医療レベルの低下につながる。【勤務医】

・大学との共同研究を始める前に、自施設でも倫理委員会に諮らなければいけない、個人情報保護に関する規制などなど、研究開始までにクリアすべきことが多すぎる。介入研究と観察研究では、違った対応でよいと思うが臨床研究として指針がでているので、それらをクリアするのに時間を取られ過ぎる。【勤務医】

・質の向上にはつながると思うが、国内での研究は進まず、海外での研究にしふとしていくのではないか?優秀な人材が海外へ行ってしまうのもどうかと思う。【薬剤師】

・現状、かなり面倒くさい。そのため、暇な医師しか参加できない。偏った医師による研究になるので、偏った結果が出やすいように思う。【勤務医】

・臨床研究を実施できる施設が限られてしまう。適応外使用が多い小児がん領域には多大なる痛手となる可能性があり影響が懸念される。【勤務医】

【その他】
・ネズミをいじって基礎研究論文を書いて教授になった人たちに、臨床研究主査をさせること自体大間違いですね。【開業医】

・最近、臨床研究での学位取得が安易になってきたように思う。もっとoriginalityのある臨床研究に期待したい。【開業医】

・官・民とも前例主義強く、新規の研究テーマや、発見が育たない。【勤務医】

・何でも第3者委員会をつくれば良いという風潮に危機感を覚えます。【勤務医】

・データシェアリングの世界の潮流との整合性が必要。COIを厳しくしたために、研究費がなくなり、臨床研究が世界から取り残されていることを危惧しています【勤務医】

・怪しい研究論文が多すぎる。【勤務医】

・法案はよいが人材と資金がない研究者は大変なことになるし、旧帝大系の大学だけが生き残ることになり、シーズも育ちにくくなると思われる。【勤務医】

・わが国では医療費が安く提供されるからか、治験に入る必要性が薄いという患者さんの背景がある。したがって、治験に参加する人は金儲け半分、自分の医療費軽減目的が半分の人に偏る傾向あり。治験を進めにくい環境にある。【開業医】

・日本ではごまかしの研究風土ができており、医学博士が他の博士の中でもダントツに多いことをみればわかる。大事な発見がそうそうある訳がない。【勤務医】

・基本的に臨床現場の声が軽視されないことを強く望む。統計的には表面には現れない軽微な不都合な事象が臨床家は最初から気付いていることが多い。自由な意見の言える治験であるべきだ。【勤務医】

【長文でのご意見】
・研究倫理について、その歴史と実際に起こった事件、そこからどのような経緯で倫理委員会の役割が決められ、ヘルシンキ宣言につながっていったのか、ということの教育がほとんどなされてこなかったのが日本の医学(もちろん看護も含みます)教育であり、それゆえに介入研究に関する各種規制や情報公開といったことが単なる面倒な事務手続きとして認識されてしまっているのは悲しいことです。厳しい言い方ですが、これらの規制を面倒なものと認識している医療スタッフは研究をする資格はないとせざるをえません。 しかし、規制をすれば良い、という発想ではいつまでたってもこの精神的な風土は変わることは期待できません。医療行為と研究行為を明確に区別して考える考え方を地道に普及させるため、時間はかかっても医学教育を改革する方向にしなければ、ヨーロッパ文化(米国は若干,経済活動優先な面があるので,欧米とはしません)の考え方で実施される臨床試験には日本はハイリスクで参加させられない、という状況になるはずであり、おそらく臨床の先生のうち一部の方々はすでにこのことを実感されているのではないかと思います。私自身は疫学を専門としており、日本で実施されるすべての介入研究のうち85%程度を全て概要のみですが把握する立場にあるものです。【勤務医】

・個々の臨床研究の質は高くなると思います。しかし、参入が非常に難しくなるために、若手が勉強する機会が減るだけでなく、「非凡な着想が生かされなくなる」「ごく一部の病院でしか実施できなくなる」という弊害があります。プラスマイナスすると弊害の方が遥かに大きい。研究というのは大半がgabageであり、その中から珠玉が生まれてくるものです。そういうprincipleに反する規制強化は、日本の研究力を大幅に低下させるでしょう。つまり見かけの質の向上は「非常に質の低い臨床研究が減るために平均値が上がる」結果に過ぎません。また、「どんなに厳しい条件をつけても違反はなくならない」と思います。昔の緩やかな基準で十分だった、と思います。私の研究マインドも、そんな中で育ったのでした。倫理教育は必要ですが、規則は緩やかでいいと思います。何でも締め付ければいいという風潮は、必ず科学を萎縮させ、未来を閉ざすでしょう。【勤務医】

・アメリカでも過去に似たことがありましたが、その時にアメリカではどういう議論になったか? たしか、有力な意見のひとつは「政府が研究資金を出して臨床研究をさせるべし」であったと思います。研究資金の出所は別に製薬会社で差し支えありませんが、政府が資金を召上げて市販後の臨床研究をさせる訳です。研究責任者が研究のパトロンの顔色を窺う必要がない様にする訳です。今の制度では、すでにSMOなどが研究の遂行やデータ入力などに関わっています。第三者機関など作っても今度は第三者機関がパトロンの顔色を窺うだけで、研究責任者が研究の本来のパトロンたる製薬メーカの影響を受ける図式は変わりません。【勤務医】

・治験なんて製薬会社にとっていいデータを出さないと2度と治験を依頼されないから本当に効いているかどうかがわからない。かつて抗真菌剤の治験で僕の担当した10症例のうち8例を既存の抗真菌剤と比べて優れていると思えないと回答したところ、教授から呼び出され「同程度か優れているに変更してくれ」と頼まれたことがある。父親が開業医で抗真菌剤の治験を頼まれたときも、20症例すべて既存の抗真菌剤より劣っていると回答したところ、治験論文の協力してくれた医療機関から外されて論文が出ていた。まあそんなもんだと思います。【開業医】

・海外で研究グループを主宰しており、現地で共同研究者として臨床研究にも関わっています。日本の臨床の教室では基礎的な研究が多く、臨床研究の経験者が少なすぎるので研究デザイン、患者データのハンドリング、利益相反のチェック、統計解析の専門家などなど、すべてが足りないのが現状だと思います。また、必要なコスト(人件費)をかけずにやる事が美徳のように語られますが、コストをかけないとどこかに無理が生じて、結果として不正が生じる温床となりえます。なので、データ管理ツールやstudy nurseなどのコストをきちんとかけて研究を行うことができない組織では臨床研究はあきらめるというふるいが必要なのではないかと思います。あとは、日本では研究者主導治験と言いつつ実際には迂回財団を通したsponsoredであることも多く、これを徹底的に是正する必要があると思います。【勤務医】
  1. 2016/05/29(日) 06:11:24|
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