Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月22日 

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03175_02
【寄稿】
総合診療医が見た熊本地震の医療支援

小澤 廣記(諏訪中央病院総合診療科・家庭医療専攻医)
週刊医学界新聞 第3175号 2016年05月23日

 長野県の諏訪中央病院で家庭医療・総合診療の専攻医(後期研修医)として勤務する私は,熊本地震発生7日後の4月21日から5日間,熊本県阿蘇市の阿蘇医療センターにおいて,病院支援を中心に被災地での医療支援を行いました。被災地の様子や支援の経過,現地に行って初めて見えた課題について報告します。


 当院が阿蘇医療センターからの医療支援を打診されたのは4月18日のことでした。以前当院に勤務していた原毅先生(福岡市・がんこクリニック)からも,「阿蘇医療センターの医療資源が困窮している」との情報が入っていたため,当院としてどのような支援ができるか検討を始めている段階でした。私自身,大分県出身者ということもあり,「被災地のために何かできることはないか」と考えていた矢先だったので,すぐに手を挙げ,家族にも了解を得て出発に備えました。

 翌19日には現地への派遣が正式決定し,第1陣として当院院長補佐の山中克郎先生と私の2人が,診察道具と自活していけるだけの荷物を登山用のリュックに詰め込み,20日に長野を出発しました。

 その時点では熊本空港はまだ閉鎖していたため,大分県側からのアプローチを選択。大分空港に降り立ち,レンタカーを借りて阿蘇市に入ることにしました。大分県内は普段とそう変わらない様子でしたが,阿蘇市に入ると目の前の状況が一変しました。自衛隊の災害派遣車両が行き交う物々しい雰囲気で,電気や水道などのライフラインは復旧し始めたばかりでした。震災で崩落した阿蘇大橋は熊本市との交通の要所だったため,物流が滞り,阿蘇地域は“孤立”している状況でした。

あふれ返る患者,不眠不休の対応に疲弊する常勤医

 阿蘇医療センターに到着後,同センターの甲斐豊院長から被災後の状況について説明を受けました。阿蘇地域の中核病院である同センターは2014年に耐震・免震構造に建て直したばかりだったため,幸い建物の損傷はほとんどなかったそうです。一方,阿蘇地域にある近隣の医療機関のいくつかは,震災の影響で診療が不可能になったため,被災直後の週末16,17日には,同センターの救急外来は阿蘇地域から集まる患者さんであふれ返っていたそうです。124床,常勤医9人体制の同センターは発災以降,職員自身が被災しながらも,不眠不休で対応していたのです。いち早く到着したDMATの支援が入っていたとはいえ,外来・病棟を問わず患者さんの対応に当たっている常勤の先生方の疲労は,特に目立ちました。

 「まずは常勤医の先生方に休んでもらわねば」。これをわれわれの第一のミッションとし,総合診療外来・救急外来の診療や当直のサポートを行うことにしました。到着の段階で,諏訪中央病院には第2陣,第3陣と継続支援を要請しました。

感染症拡大に備えICTを展開

 救急外来ではDMAT・救護班からの応援もあり,一日あたり2~3隊がサポートに当たっていました。5日間と比較的長めの滞在予定だったわれわれが心掛けたのは,電子カルテなど現地のシステムにいち早く慣れて「阿蘇医療センターに溶け込んだ医師」として他のチームと協働することでした。

 外来での症例は,処方薬の継続希望や軽症の感冒症状・外傷などがほとんどでしたが,中には自宅の屋根の修繕中に転落した方,慢性疾患の増悪を来した方など重度の症例も見られました。高血圧症や糖尿病のような継続診療が必要な患者さんには,かかりつけ医につなぎ直す業務も必要でした。報道では,エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)の危険性が盛んに取り上げられており,心配して受診する避難者の方も数多くいました。

 活動初日の22日には「避難所でノロウイルスがはやっている」との情報が入り,対応に追われました。胃腸炎患者の大量受診に備え,感染症外来を病院1階の内視鏡室に立ち上げ,院内職員や支援に入っていたチームと協働するため,急ごしらえのICT(infection control team)活動を展開しました。

 胃腸炎患者が集中することで,院内での感染拡大の恐れもあったため,避難所の救護所に胃腸炎症状の方の隔離対応をお願いし,入院適応のある方の受け入れを他院に依頼するなどの体制を整えました。

DMAT撤収後の医療スタッフ充足が必要

 阿蘇地域全体への医療支援は,発災直後から同センター内に阿蘇地域のDMAT本部が設置され対応していましたが,われわれの滞在中には撤収となり,亜急性期・慢性期への移行時期に入りました。阿蘇地域ではその後,ADRO(Aso Disaster Recovery Organization)と名付けられた組織がDMAT本部を引き継ぐ形で結成されました。ADROは,医療チームや保健師だけでなく,リハビリスタッフや栄養士,歯科医師といった多職種の支援団体も出入りしていたのが特徴です。一方で,避難者の情報を収集する役目を一手に担う保健師が疲弊してしまうといった,マンパワー不足が大きな問題となり,被災地支援の難しさと新たな課題を目の当たりにしました。

 被害の大きい南阿蘇村の避難所を視察する機会もありました。胃腸炎の感染拡大が懸念された避難所でしたが,ノロウイルス胃腸炎予防についての手作りの啓発ポスターが貼られ,居住スペースは土足が禁止になっていました。劣悪な環境を想像していましたが,すでに保健師と日赤救護班が介入した後の24日の視察時点では「よく管理された避難所」という印象で,胃腸炎の封じ込めには成功しつつあるのではないかと安心しました。

震災早期から総合診療チームによる支援活動を

 活動最終日の25日には,すでに要請していた諏訪中央病院からの医療チーム第2陣(医師2人,看護師1人)が到着し,任務の引き継ぎとなりました。私たちが出発する際には,阿蘇医療センターの職員の皆さんが集まり,総出で見送ってくださいました。短い期間でしたが,現地の方々から信頼を得られたのではないかと感慨深い光景となりました。これで諏訪中央病院の第1陣としての活動は終了しましたが,当院の支援はゴールデンウィーク明けに派遣された第4陣まで継続し,入院診療も含めた支援業務に当たりました。

 今回の医療支援の経験から被災地の医療ニーズを振り返ると,発災直後の急性期でもほとんどはプライマリ・ケアとしての受診患者だったことが挙げられます。避難所でも衛生管理や静脈血栓塞栓症,廃用症候群の予防など,公衆衛生の視点を持って活動できるチームが必要とされていました。こうした状況を鑑みると,現在整備されているDMATに加え,われわれのような総合診療に携わるチームが,震災の早期から病院や避難所での支援活動を開始し,亜急性期以降につなげることも重要なのではないかと感じました。


おざわ・ひろき氏
2012年東大医学部卒。武蔵野赤十字病院にて臨床研修後,14年より現職。11年の東日本大震災では,日本プライマリ・ケア連合学会の支援プロジェクト「PCAT」の被災地派遣チームに医学生として同行し,医療支援に携わった経験がある。「被災地,熊本・大分の一刻も早い復興を祈っています」。



http://mainichi.jp/articles/20160522/ddl/k20/040/013000c
信州・取材前線
「熊本」から学ぶ教訓と備え 救援受け入れ協力を 地域のつながりが大事 /長野

毎日新聞2016年5月22日 地方版

 死者49人、安否不明者1人と大きな被害をもたらした熊本地震は、発生から1カ月以上が過ぎた今も9000人以上が避難を続ける。長野県内には多くの活断層があり、政府の調査では震度7の地震が起きてもおかしくないという。被災地支援に赴いた県内の関係者に、活動から得た教訓、災害に向けた備えについて聞いた。【稲垣衆史】

 長野赤十字病院(長野市)の山川耕司医師(49)は4月21日から医療救護班として看護師ら計7人で熊本県南阿蘇村に派遣された。家屋倒壊などによるけが人の治療はほぼ終わっていたが、約600人が避難した南阿蘇中学校体育館では、避難者20人が下痢や嘔吐(おうと)など胃腸炎の症状を訴え、集団感染が起きつつあった。

 当初、体育館の廊下は避難者が土足で歩いていた。断水のため、避難者はバケツの水でトイレを流した後、そのまま廊下に戻っていた。不衛生なため感染が広がったようだ。館内を消毒した後、廊下は土足禁止とし、出入り時の手指の消毒を徹底。すると感染は収束した。「地元ボランティアに協力を求めることで避難者にもスムーズに受け入れられ、対策を引き継くこともできた」と振り返った。

 東日本大震災など多くの被災地を見てきた山川医師は、「地元だけで災害への備えを万全にしなければいけない」という考えからの切り替えを求める。

 熊本県も防災対策は行っていたが、大規模地震が連続するなど想定外の事態に見舞われた。「災害が起きれば行政や医療関係者も被災者となる。周りからの救援を受け入れ、協力する態勢を整えることが大事」と指摘する。

 熊本地震では、建物が壊れるなどで診療継続が難しい病院が相次いだ。慢性的な病気の患者を支援するには病気や薬の情報が必要になる。派遣された看護師の一人、鈴木良美さん(58)は「『お薬手帳』があると、さまざまな医療支援者が入れ替わって訪れた場合に役立つ」と言う。

 また、災害時に重要な備えとして「地域の人のつながり」を強調するのは、今月8〜11日に南阿蘇村で健康相談に当たった県長野保健福祉事務所の保健師、鈴木由美子さん(56)だ。

 村には水場の管理などを通して地域コミュニティーが残っており、近所の情報把握がきちんとできていることに驚いた。巡回中、ケアが必要な高齢者など災害弱者の把握に漏れがないように心がけたが、被災者からの「○○さんを見かけないが、大丈夫だろうか」と心配する声が役立ったという。

 2014年に最大震度6弱を観測した県北部の地震では、倒壊家屋に残された人たちを近隣住民が救出するケースがあり、被害拡大を食い止めた。熊本地震でも、発生直後から近所の人同士が助け合い、地域住民が避難所の運営を担うなどして長期の避難生活に耐えていたという。

 鈴木さんは「知り合いが身近にいるだけで安心できる。日ごろからの地域の付き合いが大事だと感じた」と話した。



http://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20160522-OYTNT50008.html
<被災地はいま>段ボールベッド普及半ば
2016年05月22日 読売新聞 大阪

 ◇段ボール製造会社「Jパックス」(八尾市)社長 水谷 嘉浩さん 45

 4月14日の地震で、段ボールの簡易ベッドが必要になると思い、翌15日夜に熊本に入りました。そして16日の「本震」。朝まで眠れないしんどさを、身をもって体験しました。

 東日本大震災で避難所の高齢者が低体温症で亡くなったと聞き、「段ボールで寝床をつくれば寒さをしのげる」との思いから、段ボールの簡易ベッドを考案しました。

 今回、避難所を回ると、思った通り雑魚寝でした。余震があるので土足。その横でみんな横になっている。エコノミークラス症候群(肺塞栓そくせん症)の要素がそろっている。「これは早く段ボールベッドを入れないと、大変なことになってしまう」と感じました。

 紀伊水害(2011年)、広島土砂災害(14年)などで、避難生活を送る被災者に大手メーカーと共同で段ボールベッドを提供してきました。今回、益城ましき町から正式に支援要請を受けました。ただ、すんなりとはいきません。

 3度目の被災地入りとなった4月下旬のことです。避難所になった熊本空港近くのホテルに、200台の段ボールベッドを運び込もうとしました。すると区長さんから「自分は聞いていない」と、ものすごいけんまくで怒られました。

 いくら説明しても、「聞いてない」の一点張り。一緒だった医師と相談し、いったん引き揚げることにしました。帰り際、「あなたを苦しめるつもりはない。必要があればいつでも言ってほしい」と言うと、「ありがとう」と泣き出しました。自らも被災しているのに、地域を守らないといけないという責任感に押しつぶされそうになり、限界だったんだと思います。

 その姿を見て、僕らの力不足を感じました。飲料水や食料なら、「聞いていない」とはならないと思うのです。段ボールベッドは、まだまだスタンダードになっていないということです。

 僕を含め、東日本大震災で連携した医療、福祉関係者らが発起人となって昨年9月、「避難所と避難生活学会」をつくりました。雑魚寝が当たり前になっている避難所の風景を何としても変えたい。そう思っています。避難所で病気になり、大切な命を落とすことがないように。(聞き手 門脇統悟)


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https://www.m3.com/news/iryoishin/426719
シリーズ: The Voice(医療)
創設趣旨を逸脱、歪曲する産科医療補償制度の暴走を批判
拙速な医療事故調査制度見直しとの連動を懸念

桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)
2016年5月22日 (日) m3.com

 昨年10月施行の医療事故調査制度は、今年6月に法律の附則による「見直し」の検討期限となる。医師法21条の異状死を巡る改定提案などもでているが、制度推移の経過観察に止まるとの観測が大勢である。このような中、3月9日、日本産婦人科医会会長が、「原因分析全例の報告書を公表している産科医療補償制度をモデルに医療事故調査制度の改善を望む」と会見し、訴訟減少に寄与したと功績を誇っている。しかし、産科医療補償制度は創設の趣旨を逸脱、歪曲した制度設計であり、医療事故調査制度は原因分析を目的としたものではない。改めて、このことを指摘し産科医療補償制度の是正と、医療事故調査制度の理解の普及を広く求める。

◆脳性麻痺児の発症の「補償」が制度の本旨 カルテ提出強要は民間団体「機構」の越権
 産科医療補償制度は、福島県立大野病院での分娩事故への警察の介入という衝撃的事件を機に、医療界での産科からの敬遠、産科医不足が加速化し、この歯止めとし、過失の有無を不問とした無過失補償制度創設が強く求められ制度化に至ったものである。当時の与党、自民党の議論を経、厚労省社会保障制度審議会医療保険部会で創設が確認され、妊婦が掛金として負担する保険料相当分の出産育児一時金の引き上げ措置が講じられたのである。厚労省の委託を受けた民間が運営する、準公的性格を帯びた特異な制度となっている。

 この制度は、脳性麻痺児の発症に際し、経済的救済として20歳までに3,000万円を「補償」する制度である。分娩機関(産科医療機関、助産施設)が1分娩2万4千円(制度発足当初は3万円)の保険料を掛金として負担し制度に加入、民間団体の「日本医療機能評価記機構」(以下、「機構」)が制度を運営、東京海上日動火災など4社と保険契約を結び保険金の管理・運用をする格好となっている。

 しかし、「補償」が目的でありながら、専門医による脳性麻痺の「診断書」では判定には足らず、産科医療機関からのカルテ等の提出を義務づけ、それを基に「機構」で「原因分析」を行い、診療ガイドラインを金科玉条とし「医療行為」の優劣の「評価」を加え、個別例の報告書を匿名公表するという「逸脱」を制度化している。しかも、このカルテの目的外利用による「原因分析」には分娩機関の事情聴取の機会はなく、報告書への分娩機関の反論権、説明権限を一切認めないという「異例」の非民主的運営となっている。

 現在、医療事故は「過失責任」の確定が前提の「賠償」責任保険でしか、経済的救済はなされない。そのことが、紛争増加の一因ともなっており、それにより医療機関と患者・患者家族、遺族の双方に過度で過重な、時間的、精神的、経済的負担を招いている。この解消を期した早期の制度創設が、本来の出発点である。

◆矛盾に満ちた「原因分析の解説」 損害賠償との調整を念頭に過失責任を認定 紛争の火種作り出す
 この4月に『産科医療保障制度 原因分析の解説 2016年4月改訂(第3版)』が制度加入の分娩機関に届いている。しかし、内容は矛盾に満ちている。原因分析は分娩機関の「過失の有無を判断するものではありません」としながら、「原因分析委員会」によってカルテ等を医学的観点で原因分析を行った結果、一般的医療からの著しい乖離や、「悪質」なケースは、「医療訴訟に精通した弁護士等」から構成される「調整検討委員会」に諮り、補償請求者(保護者)に通知する。「調整検討委員会」で分娩機関に「損害賠償責任」があると判断された場合、「機構」は分娩機関との間で、「補償金」と「損害賠償金」の調整を行うとなっている。

 つまり、医療訴訟のプロにより、過失の有無(=損害賠償責任)を判定するシステムが制度に組み込まれているということである。しかも、原因分析結果に不服があった場合に異議申し立て、再度の分析を行う仕組みがないとの旨を、堂々と「Q&A」に掲げているのである。

 「調整検討委員会」は、これまでに開催がされていない。つまり一般的医療からの著しい乖離や悪質例は、これまでにないということである。ただ、この原因分析委員会を出発点とする「調整」とは別の「調整」ルートもある。「補償」請求をした分娩機関で、保護者から損害賠償請求が起こされた際、分娩機関から「機構」に報告することとされており、機構の「補償金」と医師賠償責任保険等での「賠償金」との調整が、組み込まれている。この調整は、「機構」の審査課の職員が任に当たっている。

 この調整について、「機構」では、補償申請が行われずに、損害賠償請求が行われている事案が「一定数存在する」としている(H24.2.15産科医療補償制度運営員会資料)。無論、損害賠償の事実の報告がない補償申請や補償認定も想定されうる。訴訟と訴外の「紛争化」の事案の件数は「機構」では、実のところ把握はできていない。つまり、訴訟の減少は一概に言及できないのである。

◆紛争の火種作り出す 原因分析報告書 懸念が現実に 1/3は報告書送付後に紛争化
 医学的な解明が途上の脳性麻痺に関し、医療行為に限定したこの「原因分析」の「報告書」は、分娩機関、保護者双方に送られる。当初より、この報告書が訴訟、紛争に利用されることを医療界は非常に懸念しており、「補償金」の一時金600万円が裁判費用の原資となる可能性が高いと指摘をしていた。

 事実、「機構」の原因分析委員会の委員長も補償金の「金額が合計3,000万円と低額なため、家族には損害賠償請求を行う権利も残されている」(日本産婦人科学会雑誌(平成27,4月)P6、H27.8.7産科医療補償制度運営員会資料)と認めている。

 産科医不足の顕在化、医療崩壊の社会的認知の広がりなども背景にし、近年、医事関係訴訟は減少、産婦人科の訴訟も減少と沈静化している。

 これへ産科医療補償が寄与した部分は否定はしないが、懸念した問題は、実際はどうなのか。「補償」と「賠償」の「調整」の数字や、「原因分析報告書」の数字、送付後の賠償請求の数字は、年1回、運営委員会の資料でしかわからない。しかも累計で示されており、単年変化はすぐには判明しない。これを、単年変化で表(別表)にしてみると、昨年の賠償請求事案13件のうち10件(76.9%)は、原因報告書の送付後となっている。しかも、これまで累計で10件だったものが、昨年だけで一挙に10件と急増している。ちなみに2012年の賠償請求5件は全て原因分報告書の送付後である。また、これまでに訴外から訴訟に回ったとみられるものもある。

 累計でみても、損害賠償の実に1/3は、原因分析報告書の送付以降となっている。紛争の火種を作りだすし、紛争を誘発する制度との指摘は、外れていない。

◆人権無視の原因分析報告書「公開」、補償額の5,000万円への引き上げを
 原因分析報告書は、匿名の概要版が機構のホームページで公開され、「全文」は「マスキング」版とし手数料1,000円で誰でも入手ができる。機構は提供にあたり「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に沿い、内部の研究倫理審査委員会での研究目的を審査、目的外利用の禁止、誓約書提出を要件づけている。が、公開、提供ともに保護者、分娩機関の事前の同意取得は全くない。「マスキング版」といえ個別性が高く識別の可能性は高いため、目的外利用で生じた実害の原状回復は不可能である。「機構」のこの人権感覚の欠落は甚だしく、一向に変わらない。そもそも、カルテの目的外利用をしている「機構」に、目的外利用云々をうたう資格はないのである。

 しかも、補償対象数を800人と過大に想定したため、800億円にのぼる剰余金が発生。批判を受け2015年以降に1分娩8,000円を機構からの保険料補填分とし解消するとしたが、約400人の補償実績から勘案し、毎年、補填分相当額の剰余金が生じ保険会社から返還されるという巧妙なカラクリとなっている。あるべき剰余金の解消策は補償額の増額であり2015年以降は5,000万円、過去分は1億円への引き上げが可能である。

◆国の医療事故調査制度は医療安全が目的 原因究明、責任追及が目的ではない
 医療法に定める「医療事故調査制度」の目的は、「医療安全のためであり、個人の責任追及ではない」(平子哲・厚労省医療安全調査室長:2016.3.5医療安全学会学術総会)。院内調査をベースに、関係者の非識別化を図り医療事故調査・支援センターに調査結果の報告をし、再発防止を目的とする制度である。医療事故の原因究明、責任追及、事故被害の補償のいずれも目的にしていない。WHOのドラフトガイドラインに沿い、複数の目的を制度化しないとしたものである。医療事故のシステムエラーを全国的に集積し、医療現場にフィードバックする仕組みであり、学習に重点が置かれている。それは決して懲罰化ではない。

 これを、産科医、助産師など医療者の人権無視を制度化した、産科医療補償保障制度と同列化し変質させてはならない。この正しい理解を、関係者に広く求めるとともに、医療事故全般に関する「無過失補償制度」の創設に向け、2013年6月以降、中断している厚労省の検討会の再開を強く望むものである。

※本記事は、2016年5月20日付けの「政策部長談話」として、神奈川県保険医協会が同協会のホームページ上で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



http://www.yomiuri.co.jp/local/nara/news/20160521-OYTNT50193.html
医学部学生向け へき地医療研修…県が募る
2016年05月22日 読売新聞 奈良県

 へき地医療の実態を学ぶ研修に参加する大学医学部の学生を、県が募集している。

 地域医療を担う人材確保につなげようと、県が毎年夏に開催。今年は7月19日~9月2日のうち希望する3日間、県東部や南部の診療所で、医師とともに外来や訪問診療などを体験する。出身地や大学などは問わず、交通費や宿泊費の一部を県が補助する。

 締め切りは7月1日。定員は10人程度で、応募多数なら抽選。希望者はホームページ(http://www.pref.nara.jp/11096.htm)からダウンロードした申込書に住所、氏名、大学名などを記入し、ファクス(0742・27・7811)などで県医師・看護師確保対策室へ申し込む。問い合わせは同室(0742・27・8644)。



http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20160521-OYTNT50216.html
耐震十分な病院 60%
2016年05月22日 読売新聞 福島

◆厚労省調査、全国ワースト2位

 厚生労働省は、全国の病院の2015年の耐震改修状況を発表した。全ての建物に十分な耐震性がある病院の割合は県内では60・2%で、全国平均の69・4%を下回った。都道府県別ではワースト1の京都の58・4%に次ぐ下から2番目だった。

 調査対象は全国の8477病院で、15年9月時点の状況を都道府県が調べた。県内の対象は133で、全建物に十分な耐震性があったのは80にとどまった。都道府県別のトップは滋賀の89・5%。災害拠点病院と救命救急センターに限ると、全国平均は84・8%だったが、県内では調査対象の8のうち、国の基準を満たしていたのは4にとどまり、50・0%となった。都道府県別では岡山と並んでワースト2だった。

 県地域医療課の担当者は「財務状況の厳しさなど、病院ごとに事情があるようだが残念。耐震改修に対する国や県の助成について周知したい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/422067
シリーズ: 今どきの「U35ドクター」2016
専門医、8割強が取得・準備中◆Vol.6
9割超が基本領域の学会に所属

医師調査 2016年5月22日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 専門医の取得について教えてください。
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 専門医については40%が「取得済み」、44%が「取得準備中」で2013年の調査とほぼ同様の結果となった(2013年調査は、『専門医、8割強が取得・準備中◆Vol.4」を参照)。

Q 「基本領域」の所属学会数をお教えください。
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 専門医取得において必要となる学会への所属を聞いたところ、基本領域では「1つのみ」が46%、「2つ以上」が41%となった。

Q 学会に所属するメリットをお教えください。【複数選択】 
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 学会に所属するメリットや理由については、「専門医取得・維持」が88%で最も多かった(複数選択)。そのほかには、「学術大会・総会等への参加を通じてモチベーションを高める」41%、「最新の医学情報を得る」39%「専門分野の研さんが容易になる」28%、「学術大会・総会等への発表を通じてモチベーションを高める」21%――で、2013年の調査と同様の傾向となった。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54126/Default.aspx
厚労省 第7次医療計画策定に向けた議論スタート 在宅医療のさらなる推進も
2016/05/23 03:50 ミクスオンライン

厚生労働省は5月20日、第7次医療計画策定に向けて、「医療計画の見直し等に関する検討会(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)」の初会合を開いた。2018年度から6か年計画である第7次医療計画は、2025年に到来する超高齢化社会に向け、医療・介護の一体的推進、地域包括ケアシステム実現までの道筋を描く。2016年度中にすべての都道府県で策定される地域医療構想と一体的な計画にすることで、病床の機能分化・連携の推進を後押しする。また、医療・介護の連携推進に向け、在宅医療のさらなる推進に向けた施策も盛り込む考えだ。今後は、検討会の下部組織である2つのワーキンググループでの議論を踏まえ、基本方針策定に向けて12月にもとりまとめを行う方針。各都道府県は、厚労相が告示する基本方針などを踏まえて医療計画を策定することとなる。

2025年に到来する超高齢化社会に向けて地域包括ケア構築が求められる中で、2018年度は第7次医療計画、第7次介護保険事業計画がスタートする年度だ。それとともに、診療報酬・介護報酬の同時改定も予定されてあり、高齢化に耐えうる地域医療提供体制を構築する上で、重要な期間となる。

この日の会合では、厚労省側から第六次医療計画策定時・策定後の課題が示され、今後の議論に向けた論点整理が行われた。策定時の課題としては、①二次医療圏と基準病床集制度の違いや医療圏の見直し、②五疾病・五事業及び在宅医療への対応として求められる医療提供体制、各種疾病対策と医療計画との連携、③PDCAサイクル推進のための指標設定――。策定後の課題としては、①地域医療構想の位置づけと実現に向けた対応について、②医療・介護の連携推進に向けた対応について、③医療従事者の養成・確保について――をあげた。

◎疾患に応じた医療圏設定も視野 がんなど広範囲で患者が移動

この日は、医療圏の設定などに対して議論が相次いだ。「がん対策推進基本計画は、二次医療圏単位だが、時間的余裕がある。患者が広範囲に移動してしまう。(大学病院やがんセンターなどへ)県外へも簡単にいく。二次医療圏の設定も踏まえて、広範囲な考え方が必要ではないか」(鈴木邦彦氏・日本医師会常任理事)、「病院ベースと居住地ベースでかなりの差がある。患者が移動する中で、範囲を区切って完結させることが難しいのではないか」(相澤孝夫氏・日本病院会副会長)などの声があがった。

これに対し、厚労省医政局地域医療計画課の迫井正深課長は、「救急医療など時間的猶予がない場合は時間的なアクセス、アプローチが必要で、地域での完結が求められる。特に高齢者の場合は、地域包括ケアシステム構築では生活圏域の中で完結することが必要だ。一方で、がんなど、高度急性期であっても疾病や治療の特性で患者が移動するのも事実」と述べた。「一般的な医療は二次医療圏で完結」とした上で、がんなどについての望ましい医療提供体制については、「まさに現場で考えていただくこと」との見方を示した。すでに兵庫県では疾病に応じて異なる医療圏の設定が行われており、疾患ごとの医療圏設定も視野に議論が進められることとなりそうだ。

相澤氏はまた、「ある地理的な区域に限定して物事を考えるのがいいのかどうか。救命救急でも、1時間かかっていたのが、高速道路ができたことで、10分で着く。ドラスティックな変化がいつでも起こりうるなかでどう作っていくのか。計画を作るための計画になっている。地域住民のためになっていないのではないか」と指摘。「人口構成の変化だけでなく、それ以外のさまざまな変化が起こっていることもふまえて柔軟に計画を作らないといけない」と強調した。

◎基準病床数と必要病床数の議論も

「県の構想会議も出ているが、混乱していて、地域医療構想の取りまとめが影響している」(鈴木氏)など、基準病床数と、地域医療構想で示された現時点での必要病床数が合致しないとの指摘も複数の委員からあがった。一方で、厚労省側は、基準病床数は現在の姿であり、地域医療構想の必要病床数は2025年の姿であり性質が異なるとの認識を示しており、その違いから整理を進めていく考えを示している。

そのほか、医療・介護連携の論点項目である在宅医療について、田中滋氏(慶應義塾大学名誉教授)が、「看取りを課題としてしっかり意識すべき」との考えを示した。相澤氏も、「在宅の中の入院は非常に重要な機能。人生の終末期、看取りということを含めてどうするのかが重要だ。それに対する議論がない」と指摘した。また、「(高齢者の)住居も含めて地域がどう対応していくのかが一番の問題」と指摘。認知症患者の増加や、老老介護の世帯増加を踏まえ、「ご高齢者の方に特有な病態や病状に対してどう対応するか。どういう医療をしていくかという議論も必要ではないか。そこをどうするかという計画で必要な医療資源も医療従事者も大きく変わる」との見方を示した。

今後は、検討会に加え、下部組織として、▽地域医療構想、▽医療計画における地域包括ケアシステム構築--をテーマとした2つのワーキンググループを立ち上げ、議論を進める。医療計画における地域包括ケアシステム構築に向けたワーキンググループでは、在宅医療、医療・介護連携推進の体制や、都道府県と市町村との連携に加え、運動器症候群(ロコモーティブシンドローム)や虚弱(フレイル)対策などについても検討される。


  1. 2016/05/23(月) 06:27:10|
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