Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

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5月12日 熊本震災関連 

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG12H8Q_S6A510C1CC1000/
出産医療ピンチ 中核施設・熊本市民病院の被災で
2016/5/13 1:12日本経済新聞 電子版

 早産や低体重児などリスクの高い出産を扱う中核施設の熊本市民病院(熊本市)が熊本地震で被災し、妊婦たちに懸念が広がっている。入院中の母子が転院を迫られたほか、現在は新生児の心臓手術などができない状況だ。県内外の病院が連携してしのぐが、中長期的な態勢整備が迫られる。

 熊本市民病院は熊本県内に2病院しかない「総合周産期母子医療センター」の一つ。低体重や重い病気を持つ赤ちゃんが入る新生児集中治療室(NICU)を18床保有し、県内で唯一、新生児の心臓手術が可能だった。

 4月16日の地震で建物の壁に亀裂が発生。入院中の新生児38人のうち17人を県内の病院に搬送し、21人を福岡県など県外の病院に移した。

 県内の新生児用の病床は131から71に減っている。市民病院の川瀬昭彦医師は「現状では年間約100人の妊婦、新生児約30~40人の県内での受け入れが困難になる恐れがある」と心配する。

 周産期医療が扱う難病の新生児や母親は長期入院が必要になることもある。「県外病院に母子が入院すれば被災中の家族の負担も大きい」(川瀬医師)。同病院の建物の安全調査結果が出るのは今月末で、再開時期の見通しは立っていない。

 来月出産予定で、同県益城町の学校で避難生活を送る池部京子さん(41)は通っていた医院が被災し、出産場所が決まっていない。「万一の時も市民病院に行けば大丈夫と心の支えだったのに」と不安そうに語る。

 県内の医療機関は連携して対応する。熊本産科婦人科学会などは病院などから被災状況を聞き取り、出産や入院できる施設の割り振りに当たる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/423645
シリーズ: 熊本地震
熊本地震、医療機関の7、8割は通常業務へ
日医と被災地医師会が「TV会議」、JMATは継続

2016年5月11日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、5月11日の定例記者会見で、10日に実施した熊本地震の「TV会議」の様子を報告、熊本県の医療機関の7、8割は通常業務に戻っているものの、益城町や南阿蘇村ではまだ多くの避難者がいる上、これらの地域の医療機関は夜間や入院などの診療体制が震災前の半分以下の状態であることなどの事情を鑑み、JMAT(日医災害医療チーム)の派遣はもうしばらく継続することを表明した。被災地からの要望についても取りまとめを行い、日医や被災者健康支援連絡協議会として、近く政府に要望する予定(資料は、日医のホームページ)。

 横倉会長は、今回の震災の教訓として、支援に当たった医師会が果たしたコーディネーター機能が重要だったことから、震災収束後、その検証を行う必要性も強調。さらに10日の参議院厚生労働委員会で、羽生田俊議員が、被災した医療機関の復旧・復興の費用として、補助対象の拡大や増額を求めたことも明らかにした。

 「TV会議」には、日医執行部のほか、九州各県の医師会関係者などが出席。熊本、大分両県の状況報告を受けたほか、今度の支援の在り方などについて、約1時間にわたり議論した。

 熊本県医師会からは、医療機関の被害状況調査の結果を基に、(1)最初の地震発生の翌日(4月15日)には自宅が倒壊している人もいる中で、5~6割の医師は、通常通り、医療機関に出勤していた、(2)5月10日現在で、医療機関の7~8割は通常の体制に戻っている――などが報告された。

 ただし、地域によって復旧状況に違いがあり、益城町には約4000人、南阿蘇村にも1000人以上の避難者がおり、下げ止まっているという。日本赤十字社や、全国知事会の要請に基づく医療チームが近く撤退する予定であり、その後の医療ニーズがまだ把握できないこと、益城町の18の医療機関のうち、1施設以外は診療を再開しているものの、夜間診療、入院応需、往診などの体制は、震災前の半分以下にとどまっていることなどから、JMATの派遣はもうしばらく続けることを決定した。

 いまだ余震が続く中、避難者の心のケアも必要なことから、保健所機能を強化する意見もあったという。

 熊本地震におけるJMATの活動実績は5月11日10時現在、「派遣中」が21チーム(123人)、「派遣に向けて準備中」が45チーム(202人)、「派遣終了」が410チーム(1634人)となっている。

 WMA理事会、二つの決議
 11日の定例記者会見ではこのほか、4月末に開催された世界医師会(WMA)ブエノスアイレス理事会の内容と、日医母子保健検討員会答申が報告された。

 WMA理事会では、喫緊の課題であることから、今年10月のWMA総会を待たずに、(1)ジカウイルス感染、(2)難民と移民――の二つの事項について、対応を求める理事会決議を行った。

 日医母子保健検討員会の答申は、(1)安心して安全に妊娠、出産し子育てができる環境の整備、(2)増加する子どもの貧困問題と児童虐待、(3)学校や職場を通じた母子保健についての健康教育――など10のテーマについて、課題と対策を整理した内容。なお、「育児基本法」(仮称)は議員立法として提出するよう働きかけており、今通常国会での提出が難しい場合には、今秋の臨時国会の提出を求めていくとした。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0512503471/
被災地は要注意-肺塞栓後症候群とは?
発症3カ月後の死亡率は18%

2016.05.12 07:00 Medical Tribune

松原氏 熊本地震の被災者で発症数が急増し,にわかに注目されている急性の肺塞栓症(PE,通称=エコノミークラス症候群)であるが,このPEが恐いのは何も急性期だけではない。4月21日に日本循環器学会が主催したプレスセミナーにおいて,岡山医療センター臨床研究部長の松原広己氏が講演し,まだ十分周知されているとはいえない肺塞栓後症候群について紹介した。また,PEを発症しながらもJリーガーとなり,ヴァンフォーレ甲府で活躍している畑尾大翔選手も登壇。自らの経験を振り返り,異変を感じたら医療機関を受診することの大切さを訴えた。

喘息と誤診されることも多い

 松原氏によると,PEのほとんどは下肢の深部静脈において形成された血栓が遊離し,急激に肺血管を閉塞することで発症する。深部静脈血栓症(DVT)の成因としては,脱水や先天性凝固異常による血液凝固能の亢進,中心静脈カテーテル留置時の血管内皮障害,長期臥床や肥満,妊娠などによる血流停滞が挙げられるという。特に,臥床しがちな高齢者や同じ姿勢で長時間座る人がかかりやすい。

 PEの主な症状は,呼吸困難や胸膜痛,咳,下肢腫張などであるが,PE特有の徴候はないため,診断する医師がPEを疑うことがなければ,喘息などと誤診しやすい。近年,医療者の認知度が高まりつつある中で,正しく診断できる症例が増えてきたことなどから,患者数は増加傾向にある。

 DVTや急性PEの予防としては,抗凝固療法の他,脱水を避ける,下肢の運動,弾性ストッキングの着用などがある。一方,発症した場合は抗凝固療法の他,カテーテルによる吸引や破砕など血栓の溶解や除去が行われる。

 PEの予後は,発症初期の死亡率は8%であるが,急性期以降に死亡率が上昇し,2週間後は11%,3カ月後の死亡率は18%に達するといわれている。急性期以降に死亡する患者には,発症時は重症ではなかった患者も含まれ,残存血栓が死亡と関連しているものと考えられている。実際,急性PEの半数近くの患者で,治療開始1年後も血栓が完全に溶け切らずに残存しているという。PEを発症した患者の30%ほどは,治療後も血栓や自覚症状が残存し,心機能が低下しているとみられるが,これまでこのような患者はあまり問題視されてこなかった。しかし,慢性期の死亡率が高いことから,最近では治療後も血栓や自覚症状が残存する患者を肺塞栓後症候群と定義する動きがある。同氏は「PEは急性期を切り抜けても完全な状態に復する例は多くない。肺塞栓後症候群の患者では終生PE再発を予防しなければならないし,残存血栓に対する治療も必要かもしれない」と指摘した。

最初はコンディション不良かと...

畑尾氏 現在,ディフェンスとしてチームを支えるJリーグ・ヴァンフォーレ甲府の畑尾大翔選手は肺塞栓後症候群患者の1人である。父と兄の影響でサッカーを始め,学生時代はFC東京の下部組織,早稲田大学のア式蹴球部(サッカー部)でプレーするなど,サッカーエリートとして順調な階段を上ってきた。

 そんな同選手が最初に異変を感じたのは,同大学でプレーをしていた2012年2月に,左胸に痛みを感じたときだったという。そのときの印象を「スポーツをやっていたので,全く病気を疑わなかった。なんでこんなにコンディションが悪いのだろうと思っていた」と振り返った。その後,咳や息切れがひどくなったことから,同年5月に受診。その病院では,詳しいことが分からず,肺にたまっていた水を抜き,そのままプレーを続けていた。同年12月にようやくPEと判明し,ドクターストップがかけられた。2013年1月にチームは全日本大学サッカー選手権大会で優勝したものの,出場することはなかった。

異変を感じたら早めの受診を

 もう一度ピッチに立つために...。畑尾選手は,治療に専念することを決意した。当時受診していた病院の紹介で,同年5月に岡山医療センターを訪れ,松原氏の下で9月にバルーン肺動脈形成術(BPA)を受けて本格的にサッカーの練習に復帰。2014年7月に夢だったプロサッカー選手として,ヴァンフォーレ甲府に入団した。現在では,血栓再発抑制のために抗凝固薬を服用しながら,問題なくプレーを続けている。

 治療中は,焦りやいら立ちもあったが,「今となっては先生方には感謝しかない。ただ,最初に受診した時点で診断が付けば,こんなに治療が長引くことはなかったかもしれない」と述べた。また,肺塞栓症に至った要因として,「練習中,夏場は小まめに水分を補給するが,異変を感じた冬場は発汗しにくいため,あまり水分を取っていなかった。それが問題だったかも」と分析した。

 先日の熊本地震の影響により,避難者の中にエコノミークラス症候群とみられる患者が複数報告され,死亡例も出ているが,「他人事ではない」と同選手。「肺塞栓症は誰でもなりうるので,少しでも異変を感じたら早めに病院に」と早期受診を勧めている。松原氏も「今回の地震によるエコノミークラス症候群患者からも肺塞栓後症候群の症例が出てくるかもしれない」とし,医療従事者への注意喚起を呼びかけた。

(伊達 俊介)


  1. 2016/05/13(金) 05:49:35|
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