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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月12日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48738.html
医師偏在解消へ専門医定員枠など方向性提示- 塩崎厚労相が諮問会議に報告
2016年05月12日 19時00分 キャリアブレイン

 塩崎恭久厚生労働相は、11日に開かれた経済財政諮問会議(諮問会議)の会合で、地域や診療科の医師偏在の解消に向けた取り組みを報告した。厚労省の検討会・分科会で医師の偏在を議論していることを踏まえ、今後検討を進める対策の事例として、専門医の地域・診療科の定員枠設定や診療所の管理者要件、保険医の配置・定数の設定などを示した。【新井哉】

 医師の需給をめぐっては、2008年度以降、医学部の定員を大幅に増員したが、地域・診療科の偏在の解消につながっていないとの指摘が出ていた。こうした状況を改善しようと、昨年12月以降、厚労省の検討会や分科会で、医師らの需給見通しや地域偏在、確保対策などの検討が行われている。

 諮問会議に提出した資料で、診療科や勤務地の「選択の自由」を前提とした従来の医師確保対策見直して医師に対する規制を含めた偏在の是正する方策を検討し、年内にも意見を取りまとめる方向性を示した。

 また、今後検討を進める対策として、「医師養成課程の見直し」と「都道府県の役割強化」の2分野を提示。養成に関しては、▽臨床研修の募集定員の配分に関する都道府県権限の強化▽出身大学の地域での研修の促進▽地域・診療科ごとの専門医定員枠の設定―などを検討事項に挙げた。

 また、不足する地域・診療科で確保すべき医師の目標値を都道府県の医療計画で設定することや、将来的に偏在が続く場合、保険医の配置や定数の設定を検討するほか、特定の地域や診療科に従事したことを診療所などの管理者要件にすることも検討事項とした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/423906?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160512&dcf_doctor=true&mc.l=157314780&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
「医師の選択の自由」、前提変え規制を検討?
医師偏在の問題解消へ、経済財政諮問会議

2016年5月12日 (木) 成相通子(m3.com編集部)

 政府の経済財政諮問会議が5月11日に開かれ、塩崎恭久厚生労働大臣が「経済・財政再生計画」に沿った社会保障改革として、医師の地域・診療科偏在の解消に向けて強力な取り組みを推進する方針を示した。塩崎厚労相が示した資料では、医学部定員を大幅に増加したものの医師偏在の問題が解消されていないとして、診療科・地域について「医師の選択の自由」を前提にした医師確保対策から、「医師に対する規制を含めた地域・診療科偏在の是正を検討」し、年内に取りまとめるとしている(資料は、内閣府のホームページ)。

 今後検討を進める対策としては、「医師養成課程の見直し」と「都道府県の役割強化」などが挙がっている。都道府県の役割強化では、医療計画で不足する地域・診療科等で確保すべき医師の目標値を設定した医師確保計画を策定するほか、将来的に医師の偏在が続く場合は、保険医の配置・定数の設定等を検討する。また、地域医療支援センターの機能を抜本的に強化し、特定の地域や診療科での診療の従事を、診療所等の管理者要件とすることも検討する。

 医師養成課程の見直しでは、(1)医学部でより地域定着が見込まれる入学者枠を検討、(2)臨床研修の募集定員の配分に関して都道府県権限の強化、出身大学の地域での研修の促進、(3)専門医の地域ごと、診療科ごとの定員枠の設定――などが紹介された。

 経済・財政再生計画は、国の財政健全化に向けて社会保障分野の改革などの工程表を掲げている。工程表の中で、医師の地域・診療科の偏在解消に関しては、医療・介護提供体制の適正化の一環として、「地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在の是正などの観点を踏まえた医師・看護職員等の需給について検討する」としており、2016年度までに検討会で結論を出す。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0269040.html
刑務所常勤医5年ぶり増 北海道内、兼業認める特例法効果で
05/12 16:00 北海道新聞

 医師不足が続いている道内の刑務所や少年院で4月以降、医師確保の動きが急速に進んでいる。網走刑務所(網走市)など3施設で常勤医(矯正医官)の採用が決まり、矯正医官の数は5年ぶりに増加に転じた。民間病院などとの兼業を認める特例法が昨年12月に施行された効果が大きく、受刑者の医療だけでなく地域医療の新たな担い手としても期待が高まっている。

 矯正施設の医師不足は全国的な傾向だ。4月1日現在、定員328人に対し74人の欠員が出ている。道内では13施設の定員18人に対し、3月末時点で8人の欠員が生じ、6施設が常勤医不在の状態だった。2010年から常勤医が不在となった網走刑務所では、13年1月に3人の受刑者が病死し、早急な対策が求められていた。

 矯正医官は民間病院の医師より収入が少ない上、国家公務員であるため兼業が厳しく制限されることなどが不人気の理由とされる。法務省の有識者検討会が14年に改善を求め、昨年12月に特例法が施行された。



http://www.medwatch.jp/?p=8839
医療費の地域差、具体的な縮減水準の議論を主導すべき―経済財政諮問会議で民間議員
2016年5月12日|医療・介護行政をウォッチ

 医療費の「地域差半減」に向けて、今年(2016年)夏までに医薬品の適正使用を含めた医療費適正化基本方針を改定し、地域差縮減の具体的な水準は経済財政諮問会議で議論するべき。また介護費についても地域差の縮減や「見える化」を強力に推進する必要がある―。

 11日に開かれた経済財政諮問会議では、民間議員からこのような要請がなされました。

ここがポイント! [非表示]
1 介護分野の地域差縮減や、医療費自然増などのエビデンスに基づいた検証もすべき
2 塩崎厚労相、「『規制』も含めた医師の地域・診療科偏在是正を検討する」


介護分野の地域差縮減や、医療費自然増などのエビデンスに基づいた検証もすべき

 我が国の経済と財政の一体的再建(600兆円経済の実現と、2020年度の財政健全化目標達成)を目指し、安倍晋三内閣は骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)2016を近く閣議決定します。

 経済財政諮問会議では骨太方針2016の策定に向けた議論を進めており、11日の会合では民間議員(伊藤元重議員:東京大学大学院経済学研究科教授、榊原定征議員:東レ株式会社取締役会長、高橋進議員:日本総合研究所理事長、新浪剛史議員:サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長)から意見が提出されました。

 昨年度(2015年度)の骨太方針2015では、「2016-18年度を経済・財政再生計画の集中改革期間」と位置付けており、民間議員は、その初年度に当たる今年度(2016年度)において ▽健康増進 ▽コンパクトなまちづくり ▽住民・行政サービスの広域化・IT化― を強力に進めることを要望。また、歳出(国の支出)についてデータ分析を行った上で、「経済再生と財政健全化の双方に資するかどうか」という点からの優先順位付け(ワイズ・スペンディングのチェック)をし、予算編成を行うべきと求めています。

 また財政健全化の本丸に位置付けられている社会保障改革については、次のような取り組みを行うべきと提言しています。

(1)経済・財政再生計画に掲げられた44改革項目の着実な実行

(2)医療費適正化計画・介護保険給付適正化計画などに基づいて、集中改革期間内に長期的な医療費・介護給付費などを推計する

(3)自然増のエビデンスに基づいて検証する

(4)医療費の地域差「半減」に向け、夏頃までに医療費適正化基本方針の改定を行い、地域差縮減の具体的な水準を経済財政諮問会議で議論する

(5)介護分野についても「見える化」や地域差縮小に向けた取り組みを強力に推進する

(4)の医療費については、ほかに「データヘルス」(レセプト・健診データなどに基づく効果的なヘルス事業)の強力な推進、「人生の最終段階における医療」に関する国民的な議論や、看取りも含めた在宅医療・訪問看護の充実(医療専門職の配置見直しなど)を行うべきとしています(関連記事はこちら)。

 また(5)の介護分野については、「介護と医療のレセプトデータなどを紐付けする」仕組みを全国的に構築し、「介護・医療を統合した『見える化』を進めて、地域差を分析する」ことや、介護給付費の適正化に取り組む市町村(介護保険者)へのインセンティブ導入などを行うべきと提言しています(関連記事はこちら)。

 厚生労働省の分析によれば、「1人当たり介護費」と「1人当たり入院医療費」には正の相関(1人当たり入院医療費が高い都道府県は、1人当たり介護費も高い)があることが分かっており、両者の地域差を一体的に縮小していくべきと民間議員は主張しています。

厚労省の分析によれば、「1人当たり入院医療費」と「1人当たり介護費」との間には正の相関があることが分かっている
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 さらに(3)に関して、2012年度以降、国民医療費が過去の推計値よりも低く推移していることを紹介し、「過去の実績を踏まえた積み上げ」ではなく、エビデンスに基づいて検証するよう求めています。

2012年度以降、過去の推計値よりも実際の国民医療費が小さくなっており、この要因を分析すべきと諮問会議の民間議員が指摘している

 具体的には、医療費の伸びに関する「その他」要因(高齢化、診療報酬改定以外)について、▽1日当たり費用 ▽受診動向 ▽後発医薬品の使用― などに着目して地域差の分析を行ってはどうかと提案しています。
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塩崎厚労相、「『規制』も含めた医師の地域・診療科偏在是正を検討する」

 また臨時議員として出席した塩崎恭久厚生労働大臣からは、▽医師の地域・診療科偏在の解消▽医療・福祉人材の活用 ▽地域包括ケアの深化 ▽イノベーションの促進― など社会保障改革の推進に向けた厚労省の取り組みの一部が紹介されました。

 このうち「医師偏在の解消」に関しては、医師に対する『規制』を含めた地域偏在・診療科偏在の是正策を本年(2016年)中に取りまとめる方針です。

 具体的には、▽医学部入学定員における「より地域定着が見込まれる入学者枠」 ▽専門医の地域・診療科ごとの定員枠 ▽不足する地域・診療科などで確保すべき医師の目標値の設定(地域医療計画)― などのほか、「将来的に偏在が続く場合に、保険医の配置・定数の設定を行う」ことや、「診療所などの管理者要件に、特定地域・診療科での診療従事経験を盛り込む」ことなどが検討されます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

医師偏在の是正に向けて、塩崎厚労省から「将来的に偏在が続く場合には、保険医の配置・定数の設定などを検討する」ことが説明された
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http://www.sankei.com/west/news/160512/wst1605120055-n1.html
レセプトでっち上げで診療報酬を不正受給容疑、京都の医師を再逮捕
2016.5.12 14:50 産経ニュース

 京都府警中京署は12日、虚偽申告で診療報酬を不正受給したとして、詐欺の疑いで京都市上京区一条横町の医師、清水光明容疑者(42)=有印私文書偽造・同行使罪などで公判中=を再逮捕した。

 再逮捕容疑は、自身が経営する上京区の訪問看護ステーション「清水の訪看」が患者3人に対して78回の訪問看護をしたと偽って、レセプト(診療報酬明細書)を作り、平成26年11月~27年1月、市から計約66万円をだまし取ったとしている。

 同署によると、清水容疑者は「全く訪問看護をしていないのにレセプトを作成した」と容疑を認めている。3人は清水容疑者の診療所の患者で、市に「訪問看護を受けていないのに通知が来た」と相談。市が4月に府警に告発した。

 清水容疑者は患者をかたって交通違反の反則切符に記入したなどとして逮捕され、公判中。



http://mainichi.jp/articles/20160512/spn/00m/200/003000c
タレント女医
初公判 9割以上がニセ患者、治療せず院長室でゲーム

2016年5月12日 毎日新聞/スポニチ

 経営する美容クリニックで治療したように装って診療報酬をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた、医師でタレントとしても活動していた脇坂英理子被告(37)の初公判が11日、東京地裁(林直弘裁判長)で開かれた。

 テレビ番組に「Ricoニャン先生」として出演していた際は、付けまつげ、濃いアイラインのギャルメークだったが、この日はノーメーク。パジャマのような上下グリーンのスエット姿で、後ろで束ねた金髪の根元部分は黒くなり、「ホストクラブで一晩に900万円使った」「(男性経験は)4桁にいかないくらい」と豪語していた“美人女医”の面影はなかった。

 起訴状によると、会社役員早川和男被告(39)=同罪で公判中=らと共謀、12年11月〜14年10月、千葉県船橋市の「Ricoクリニック」などで患者に治療したように装い、診療報酬計約154万円をだまし取ったとされる。

 裁判長から職業を聞かれた脇坂被告は「医師です」と小さな声で答え、罪状認否では「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で「ホストクラブで散財するなど借金を重ねた。クリニックを開院したが患者が集まらず診療報酬の水増しや架空請求を始めた」と指摘。「来院者の9割以上が(患者を装った)紹介患者で、被告は来ても対応をスタッフに任せ、院長室でゲームをしていた」との看護師の供述調書も読み上げた。

 情状証人として出廷した脇坂被告の母親は毎月、クリニックの運営資金に困っていると相談され、合計4000万円を渡したことを明かした。

 今後は交友関係と金銭を管理するといい「子供みたいだけど、お金が必要な時に小遣いを渡すようにする」と断言。最後に「反省して立ち直ってほしい。親としては絶対に見放しません。私が死んだら妹が面倒を見ます」と話すと、脇坂被告はうつむき、ハンカチで涙を拭った。

 ◆診療報酬詐欺事件 警視庁組織犯罪対策4課は昨年11月、通院患者の診療回数を水増しするなどして自治体から診療報酬や医療費をだまし取っていたとして、指定暴力団住吉会系組長の三戸慶太郎被告らが逮捕・起訴された。一連の事件で、逮捕されたのは接骨院元経営者や歯科医院の元院長ら20人以上。不正受給総額は数億円規模で、一部が暴力団にも流れていたとみられている。大手芸能プロのお笑い芸人も患者役として関与しており、芸能界にも波紋を広げた。(スポニチ)



http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1645766.html
脇坂英理子被告が詐欺認める 9割以上はニセ患者
[2016年5月12日8時21分] 日刊スポーツ

 美容クリニックで治療をしたように装って診療報酬をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた医師でタレントの脇坂英理子被告(37)は11日、東京地裁の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で「被告は2011年以降、ホストクラブで散財するなど借金を重ねていた。12年にクリニックを開院したが、患者が集まらないことから診療報酬の水増しや架空請求を始めた」と指摘した。

 「来院者の9割以上が(患者を装った)紹介患者で、被告は来ても院長室でゲームをするなど何もしていなかった」との看護師の供述調書も読み上げた。起訴状によると、会社役員早川和男被告(39=同罪で公判中)らと共謀、12~14年に千葉県船橋市の「Ricoクリニック」などで患者に治療したように装い、診療報酬計約154万円をだまし取ったとされる。

 ◆脇坂英理子(わきさか・えりこ)1978年(昭53)12月、東京都生まれ。東京女子医大卒業。03年に医師免許取得。東京女子医大病院麻酔科で心臓手術などに携わる。自身が院長を務める「Ricoクリニック」で内科などを扱ったが、14年に閉院。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160512-OYTEW156739/
さよならを言う前に~終末期の医療とケアを語りあう~
テーマ「現状と課題」 “延命至上主義”が高齢者の最期を苦しめる

2016年5月12日 読売新聞

高齢者の終末期を病院で診る立場から 宮本顕二・礼子

 私たちは、高齢者は過剰な医療や延命措置を受けることなく、穏やかに人生を終えてほしいと願っています。

 そう考えるようになったきっかけは、2007年にスウェーデンで認知症の専門病院や施設を見学し、案内してくれたアニカ・タークマン老年科医師から、「スウェーデンでも20年前は、高齢者が終末期に食べなくなると、点滴や経管栄養を行っていました。でも、今では、食べるだけ飲めるだけで安らかに看取みとります」と言われたことです。私たちは終末期の高齢者に点滴や経管栄養を行うのは当たり前と思っていたので、日本の医療との違いに驚きました。

 点滴や経管栄養などで延命しないので、日本のように何年も寝たきりの高齢者はいません。無理に食べさせないので、口内の細菌や食べ物が肺に誤って入って起きる「誤嚥ごえん性肺炎」もありません。私(顕二)は肺の病気を専門としていますが、日本に多い「誤嚥性肺炎」がスウェーデンではほとんどないと聞き、驚きました。

 翌年から、欧米豪6か国の高齢者終末期医療の現場を見て回りました。その結果、日本で行われている終末期の高齢者に対する医療は、世界の非常識であることに気がつきました。

 12年には、「高齢者の終末期医療を考える会」を札幌で立ち上げ、医療・介護・福祉関係者向けの講演会と市民公開講座を、それぞれ年1回開催し、どうしたら高齢者は穏やかに人生を終えることができるかを模索しています。

 15年には、ヨミドクターでのブログ連載「今こそ考えよう 高齢者の終末期医療」(https://yomidr.yomiuri.co.jp/archives/shumatsuki/)をもとに、『欧米に寝たきり老人はいない -自分で決める人生最後の医療-』(中央公論新社)を出版しました。満足して人生を終えるためにはどうしたらよいかを、家族と一緒に考えてほしいからです。

 ここで、私たちが経験した我が国の高齢者終末期医療の現状を紹介します。

 私(礼子)が以前勤務していた病院で目にしたことです。99歳の女性が老衰の果てに食べなくなりました。寝たきりで話すこともできません。超高齢であるにもかかわらず、主治医は家族に胃ろうが必要であると説明し、胃ろうを造りました。案の定、栄養剤は吸収されずに下痢となって出てきました。さらに、免疫力が落ちているため、胃ろうの傷口は化膿かのうしました。結局、胃ろうを造ってから数週間後に亡くなりました。

 2人目は103歳の男性です。この方の長女が、父親の経管栄養を中止する方法はないかと、私たちに相談の手紙をくれました。その中には、「父親が食事中に肉を喉に詰まらせ、救急病院に運ばれました。一命は取り留めましたが、意識は回復しませんでした。医師と私たち家族は延命しないことに決めました。しかし、次に送られた病院では、家族に断りなく経管栄養が開始されていました。私たちは『103歳まで力をふりしぼってしっかり生きた父を、もう楽にしてあげたい』と医師に経管栄養の中止を申し出ました。しかし、経管栄養は続いています」とありました。

 3人目は86歳の女性です。この方は終末期のアルツハイマー病でした。さらに、脳出血の後遺症で右側の麻痺まひと失語もありました。食事は介助が必要で、毎回1時間以上かかりました。食べる量も3分の1に減りました。唯一の身内である弟は、「もう十分がんばったので、これ以上は見るに忍びない。意思の疎通もできなくなったので、点滴や経管栄養は望まない」と言いました。認知症病棟での治療が終わり、内科病棟に移ることになったので、私は担当医に「家族は自然な看取りを希望している」旨を申し送りしました。

 しかし、その後様子を見に行くと、まず中心静脈栄養が行われ、次に鼻チューブによる経管栄養が行われました。目には涙を浮かべていました。その後、肺炎を繰り返し、2年7か月後に亡くなりました。認知症病棟で、自分が最後まで診ればよかったと後悔しています。そうすれば、数か月後に穏やかに亡くなったと思います。人工栄養を行った結果、3年近く延命されました。どちらが良いのか、判断が分かれるかもしれません。しかし、この方の尊厳を考えると、人工栄養をしたことが良いとは思えません。

 このように我が国では、老衰でも、意識がなくても、終末期の認知症でも、中心静脈栄養や経管栄養で延命されます。それは、“延命至上主義”を是としている人が多いからです。実際、家族の中には、「どんな状態でも生きているだけでいいので、できることは何でもやってください」と言う人がいます。一方、医師も、“医療とは患者の命を助けること”と教育されているので、1分1秒でも長く生かすことを考え、延命されている患者の尊厳やQOL(生命・生活の質)を考えることは、ほとんどありません。

 そもそも、延命を望んでいるのは本人ではありません。周囲の者が人の命を勝手に延ばす、これは倫理的に許されることではありません。

 欧米豪では、延命は人の尊厳を損なうことから、ほとんど行われません。日本独特の延命至上主義は、一体どこから来るのでしょうか。「四」という数字を日常生活で避けることからも、日本には「死」を“忌み嫌う文化”があります。それが延命至上主義につながっているかもしれません。しかし、死を先送りしていては、人間らしい尊厳ある生涯は送れません。“延命至上主義の是非”について考えるべきです。皆さんはどう思いますか?

【略歴】
 宮本顕二(みやもと・けんじ) 北海道中央労災病院長、北海道大名誉教授。
 1976年、北海道大卒。日本呼吸ケア・リハビリテーション学会理事長。専門は、呼吸器内科、リハビリテーション科。「高齢者の終末期医療を考える会」事務局。

 宮本礼子(みやもと・れいこ) 桜台明日佳病院認知症総合支援センター長
 1979年、旭川医科大学卒業。2006年から物忘れ外来を開設し、認知症診療に従事。日本老年精神医学会専門医、日本認知症学会専門医、日本内科学会認定内科医、精神保健指定医。「高齢者の終末期医療を考える会」代表。



https://www.m3.com/news/iryoishin/423843
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
白橋被告、VARTやJHSへの関与状況を証言
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第23回公判

2016年5月12日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第23回公判が、5月11日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、白橋伸雄被告への被告人質問が始まった。白橋被告はKHS(Kyoto HEART Study)以外の他大学の臨床試験への関わり方を説明。大学の内部調査で「統計解析を担当した可能性が高い」と結論づけられた千葉大学の「the Valsartan Amlodipine Randomized Trial(通称:VART)」研究について、「主論文で統計解析をしたことはない」と証言した。

 また、薬事法の解釈を巡って厚生労働省の所管部署の課長が証人として出廷し、「学術論文であっても、虚偽や誇大の内容であれば薬機法の取り締まり対象になり得る」との見解を示した。

VART「ミーティングに参加した程度」
 白橋被告への質問は、白橋被告弁護人、検察官、ノバ社弁護人の順番で行われる。11日は証拠として提出された検察作成の白橋被告の供述調書の取り調べや白橋被告弁護人による質問が行われた。

 供述調書や被告人質問で、白橋被告はKHSのほか、それ以外のバルサルタン(ディオバン)に関する他大学での臨床研究の関わりについて説明した。千葉大学のVARTとの関わりについては、弁護側質問では「ミーティングに参加した程度」と説明。検察作成の供述調書では「主論文では統計解析や図表の作成はしていない。サブ解析では解析や図表の作成をした」と供述していた。

 2014年7月に公表された千葉大学の調査委員会の最終報告では、「本委員会としては、ノバルティス社の関係者であるS氏が本臨床研究の一部のデータの提供を受けて中間、最終段階の統計解析を実施するとともに、主論文に掲載した一次エンドポイントの一部及び二次エンドポイントに関する図表の作成も行った可能性が高いものと判断した」(『臨床研究「VART study」に関する国立大学法人千葉大学研究活動の不正行為対策委員会最終報告』の25ページ)と結論付けた。同大の調査に対して、白橋被告は「統計解析に関するアドバイスを行ったのみである」と説明しており、改めて反論した。

 KHSにおいては、統計解析やエンドポイント委員会への出席は、事務局の男性医師らによる要請があったから行ったと説明した。エンドポイント委員会で使用する判定資料の作成に当たっては、入力漏れなどのデータが不完全な症例では、事務局の男性医師Aの確認のもと、「追記」をしていたと証言。具体的には、「脳卒中の報告では当然、MRIやCTの検査があるべきで、それがない場合は、男性医師Aが『その病院はMRIがないからCTだろう』と判断をしていた」と説明した。

 また、厚生労働省や京都府立大の調査に対して、データの入手方法などで事実と異なる説明をしたことについては「当時は判定資料を作る過程をよく思い出すことなく、曖昧に答えていた。メールは削除しており確認できなった」と釈明した。

■白橋被告が説明する自身の各大学の研究への関わり方
※供述調書や被告人質問への回答から作成

京都府立医科大学:KHS
(1)プロトコル作成時に研究者の打ち合わせに参加し、アドバイスをした
(2)データ管理業者の紹介
(3)エンドポイント委員会への出席、司会進行やそこで使われる判定資料の作成
(4)事務局からの指示で中間解析を行いその結果を安全性勧告委員会等に報告
(5)事務局の依頼で頼まれた部分に対して統計解析を実施
(6)主論文の基となる図表の作成 ※複数パターンを作成し、事務局医師らに選んでもらった
(7)主論文について松原教授や事務局医師らから質問を受け回答
(8)サブ解析において担当者と打ち合わせをし、図表を提供

東京慈恵会医科大学:JHS
(1)プロトコル作成時に研究者の打ち合わせに参加し、アドバイスをした
(2)データ管理業者の紹介
(3)エンドポイント委員会への出席、司会進行やそこで使われる判定資料の作成
(4)事務局からの指示で中間解析を行い、研究者に提供した
(5)安全性勧告委員会などに出席し、中間解析を報告した
(6)論文をまとめる際に、提供されたデータで頼まれた部分について統計解析をした
(7)主論文について図や薬剤テーブルを作成
(8)サブ解析において頼まれた図表を提供

千葉大学:VART
 VARTでは千葉大でプロトコールを作成した際に、担当MRとともに事務局会議に出席。JHSやKHSのように意見を述べることはなく、具体的な関与はない。エンドポイント委員会への出席や判定資料の作成もしていない。統計解析をしたことはない。図表は作成していない。2009年度の欧州心臓病学会の前に相談を受けたことはあるが、それ以外にはっきりした記憶はない。日本循環器学会の学会誌Hypertension Researchへの投稿された主論文では、相談は受けたが私がデータをもらって解析をしたことはない。サブ解析論文では解析や図表の作成をした。

滋賀医科大学:SMART
 特にしたことはない。上司の指示で研究を持ちかけ、主任研究者らと数回ミーティングをしただけで、同僚に引き継いだ。プロトコールは研究者が作成し、私が意見を述べたことはない。解析や図表作成したことはない。データ管理会社を紹介。

名古屋大学:NHS
 データ管理会社を紹介。エンドポイント委員会に出席し、判定資料の読み上げをしたが、資料は事務局が作った。事務局の指示で中間解析をしたが、事務局自身も行っており結果は同じだった。最終解析も行ったが、ダブルチェックの意味で行われていた。私が提供した図表も論文では使われていなかった。サブ解析の打ち合わせに参加し、相談を受けたが、解析は行っていない。

■白橋被告弁護人からの質問と回答の概要
Q KHSにはいつから参加したか。
白橋被告:2003年6月。ノバ社のマーケティング担当者の要請。当時はJHS、VART、SMARTが既に始まっていた。

Q 当時、バルサルタンの研究はどのくらいあったか。
白橋被告:ノバ社が国内で把握していたのは250ぐらい。私は20ぐらいに関与していた。当時は、バルサルタン以外でも年間数百件の臨床試験に関与していた。

Q KHSでは、ノバ社マーケティング担当者からどのような指示を受けたか。
白橋被告:具体的にはなかった。2003年6月の打ち合わせでは、松原教授、事務局医師、ノバ社担当者らがいた。松原教授、事務局医師らとは以前から面識があった。松原教授は大規模研究をしたいと述べ、他大学の研究について尋ねてきた。「いろいろ教えてください」と言われた。そのほかに、奨学寄付金の話が出て、松原教授は「年間4500万円ぐらい欲しい」と言っていた。

Q プロトコール作成ではどのように関与したか。
白橋被告:ノバ社MRとともに打ち合わせに同席。JHSのプロトコルを参考にした。対象患者は事務局の男性医師らが決めた。症例数やエンドポイントの選び方について説明した。

Q PROBE法を採用した理由は。
白橋被告:必然的なものだった。医師主導でオープンで、他に選択肢はない。二重盲検法は偽薬が必要なことや診療報酬の問題があり、治験以外では現実味がない。

Q 禁止薬や評価項目は誰が決めたのか。
白橋被告:ドクター。アドバイスはした。

Q 主要評価ポイントは、複合エンドポイントとして設定しているが、その理由は。
白橋被告:複数にしないと、統計学的検出力がでない。単一では数万の症例が必要になる。必要数から要素を決めていった。

Q 項目別の解析結果に統計的価値はあるか。
白橋被告:ない。評価できるのは複合エンドポイントだけ。

Q 安全性勧告委員会などのKHSの委員会の人選は誰がしたか。
白橋被告:松原教授。

Q 論文にある独立解析機関はだれが選んだか。
白橋被告:事務局。

Q 当初は、独立解析機関に依頼した人物に本当に解析を依頼する予定はあったのか。
白橋被告:あったと思う。依頼した教授の健康がすぐれず、できないようになったと思う。研究途中で、男性医師Aからメールで依頼があった。

Q メールというのは2006年6月に男性医師Aから送られた「後任は白橋さんではだめですか。(当初依頼した教授の)後任の先生は統計解析に詳しく、あれこれ注文を付けられると困る」というものか。
白橋被告:はい。研究開始当初から私に解析を依頼されていたものではなかった。

Q KHSのWeb入力を行ったことをあるか。
白橋被告:ない。実際に画面を見たことはない。

Q KHSのWeb入力ではどのようなアドバイスをしたか。
白橋被告:イベント報告は広く集めるように言っていた。

Q エンドポイント委員会には出席していたか。
白橋被告:はい。事務局からJHSと同じようにやってほしいと言われた。

Q 判定資料はどのように作成したか。
白橋被告:男性医師Aの指示で、Web入力データから作成した。データはデータ管理会社から送ってもらっていた。

Q 大学や厚生労働省のヒアリングではどのように入手していたと答えたか。
白橋被告:事務局からもらっていたと答えた。当時は判定資料を作る過程を良く思い出すことなく、曖昧に答えていた。当時は1日100-200通のメールを受信していたが、要件が多く、そのたび消しておりメールが残っていなかった。聞き取りに際して復元しようとしたができなかった。検察の任意の取り調べでも、過去のメールを示されることはなかった。

Q エンドポイント委員会の判定資料作成の相談はどのようにしたか。
白橋被告:毎回、事務局の医師と面会で指示を受けていた。エンドポイント委員会ではデータに抜け落ちが多いと指摘されていた。

Q 指摘を受けて、どのような対応をしていたか。
白橋被告:男性医師Aがメールマガジンを作成し、参加医師に注意喚起をしていた。男性医師Aはエンドポイント委員会の内容を把握していたと思う。

Q 改善されたか。
白橋被告:不十分だった。

Q 不十分な場合はどうしていたか。
白橋被告:私が男性医師Aに確認して追記をしていた。具体的には、脳卒中の報告では当然、MRIやCTの検査があるべきで、それがない場合は、男性医師Aが「その病院はMRIがないからCTだろう」と判断をしていた。

Q データを登録した担当医に直接確認したか。
白橋被告:男性医師A、私ともしていないと思う。

厚労省課長「学術論文も薬事法の対象なり得る」
 11日の公判では薬事法(現医薬品医療機器法)の広告規制を所管する厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の課長が証人として出廷し、同法の解釈や告発に至った経緯を説明した。

 本事件の被疑事実は「被告らは、研究者に虚偽のデータを提供し、論文を作成、海外ジャーナルに投稿させ、不特定多数の者が閲覧可能な状態にし、もって医薬品であるバルサルタンの効能または効果に関して、虚偽の記事を記述したものである」としており、薬事法66条1項に違反するとしている。

薬事法66条1項
「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」

 厚労省課長は、立法時の経緯や逐条解説などを基に、「記事」とは「何らかの事実に関すること」、「広告」とは「顧客を誘引することで広く知らしめること」と説明。広告については、厚労省の通知で「顧客誘引性、特定性(特定の医薬品を説明)、認知性」の3要件があると紹介した。「記述」とは「雑誌や書籍に掲載すること。海外の雑誌も含む」、「流布」とは「パンフレットやチラシで宣伝するもの」と解釈されると述べた。

 学術論文が薬事法の対象になるかについては、「手段を問わず、虚偽誇大な情報が広められると健康被害が生じ得る。学術論文も対象になり得る。虚偽の論文を記述することへの規制が学問や表現の自由を制限するというのは飛躍がある。『誇大』については実務上、難しいと考える」と説明した。

 検察官の尋問に答える形で、「今回のケースのような虚偽な論文が、医薬品企業の関与によってできたのは薬事法の担当者として看過できない。薬事行政の根幹にかかわることが生じている。事実関係を明らかにして、責任の明確化をしてほしい」と述べた。

 弁護側は、厚労省の解釈や通知が、内閣法制局の確認を得ていないことを確認。学問や表現の自由に抵触するとの懸念を示した。また、ブログやツイッターで一般人が「この薬が一番効く」と書くことも薬事法に抵触するかと質問。厚労省課長は「看過できないような被害拡大につながるとしたら、なり得ると思う」と述べた。薬事法の広告規制と学問、表現の自由との関係を検討したことがあるかについては「調べた限りはない」と説明した。

 厚労省は2014年1月に東京地検に対して、本件で告発状を提出している(資料は、厚労省のホームページ)。告発内容としては、KHSやJHSの結果を基に作成した資材を、医療情報誌などに掲載し、広告を行ったとしていた。弁護側は同年6月にも厚労省が再度、告発状を提出した経緯を質問。その際には告発内容は現在の公訴事実と同じ、「学会誌に虚偽の記事を記述したものである」と変更された。

 厚労省課長は検察庁と協議した上で告発をしたと説明した上で、「本件は虚偽の論文が作成され、広告されたというもの。1月には全ての事案について事実の確定をしてほしいとして告発した。6月には、全体像となると膨大で、行為の特定が難しくなるとし、まずは虚偽の論文作成に絞った」と変更理由を述べた。また、告発状で違反内容を「記事の記述」とし、「広告」としなかった理由については、「顧客誘引性が明らかでなかったから」と説明した。


  1. 2016/05/13(金) 05:48:26|
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