Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月11日 

https://www.google.co.jp/webhp?sourceid=chrome-instant&ion=1&espv=2&ie=UTF-8#q=%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E4%B8%8D%E8%B6%B3&tbs=qdr:d,sbd:1&tbm=nws
都留市立病院
18年度中に分娩再開へ 産科医確保にめど /山梨

毎日新聞2016年5月11日 地方版

 県は10日、2008年4月から都留市立病院で中止していた分娩(ぶんべん)の取り扱いを18年度中に再開すると発表した。産科医を確保する見通しが立ったため。後藤斎知事が同日の記者会見で明らかにした。

 県によると、同病院では休止直前の07年には年343件の出産を取り扱っていた。しかし、産科医不足から受け入れを休止。都留、大月、上野原市を含む富士・東部地域では、出産が可能な病院が山梨赤十字病院と富士吉田市立病院のみとなっていた。

 県では、山梨大医学部の学生を対象に、08年度から産科医を目指す研修医への奨励金を設けたほか、県の寄付講座を通じて確保につとめてきた。今年度までに同大で約20人が産科医を選択したことから、県と山梨大、都留市は一つの医療機関で分娩に最低限必要な医師3人を都留市立病院へ派遣できる見通しがたったとして、18年度中の再開を決めた。

 会見で後藤知事は、「分娩のできる医療機関の偏在状況や、都留市の出産件数が周辺他市に比べ多いことなどから都留市立病院での再開を決めた。今後も県全体でどの地域が次に最も必要かを考えていく」と話した。



http://www.asahi.com/articles/ASJ5C3G5VJ5CUBQU005.html
「お医者さんも戻って来た」 南相馬市小高区で民間2医院が再開
本田雅和
2016年5月11日11時36分 朝日新聞

 福島県南相馬市が今夏の避難指示解除をめざす小高区で、二つの民間診療所が5年ぶりに診療の再開にこぎ着けた。両医院とも、まだ週に2日の部分開業で医療スタッフも足りない。だが、帰還をめざす住民にとっては、一昨年に再開した市立小高病院に続き心強い存在だ。

 「もんま整形外科医院」はJR小高駅前で先月4日から外来診療を再開した。

 「先生がまた診療始めたって聞いたから、戻る決心がついたんだ」

 いわき市に避難していた70代の女性は、かかりつけだった門馬弘晶医師(48)に持病のひざの痛みを診てもらうために、「準備宿泊」を申請して再開直後の同医院を訪ねてきた。

 「地域のために作った医院が、このまま朽ち果てていいのか」――そんな思いで戻ってきた門馬医師は「驚いたし、うれしかった」という。

 出身地の南相馬市で開業して4年後、震災と東京電力福島第一原発事故に見舞われた。妻や幼い3人の子どもとともに避難先を転々とした。その後、家族と仙台市内に居を定め、勤務医として働き始めた。

 「安心して住める環境にまで除染するのは無理ではないか」。当初は帰還はあきらめかけていた。

 だが、1年後の避難指示区域再編で一時帰宅するたびに、放射線量が意外に低いことを知る。震災前まで勤めてくれていた看護師の三瓶邦恵さん(37)に相談すると、避難先の相馬市から通いで再開準備を手伝うという。意思は固まった。

 スタッフは震災前の半数以下だ。だが、診療日には20人近い患者が来院し、定時の午後3時に終わることは少ない。

 今後、どれだけ住民が戻るか未知数だ。自身も今は家族を戻す時期だとは考えていない。「原発は問題が起きてもすぐに発表しなかったり……信用できないのでいつでも逃げられるようにしておかないとね」。でも、「できるところまでがんばろう」と決めている。

    ◇

 「必ず戻るつもりだった。だけど5年もかかるとは」。感慨深げにふり返るのは、やはり先月上旬に小高駅近くで再開した内科の半谷医院の半谷克行医師(61)。

 看護師は2人そろったが事務員はおらず、自ら事務の仕事もこなす。調剤薬局が再開していないのも難問だ。現在、原町区の薬局から「ご厚意」で届けてもらっているが、あとは患者自ら行くしかない。

 住民の本格帰還のためには医療機関の整備が不可欠だが、小高区だけで2病院7医院あった震災前には程遠い。「気負わずにやれるところをやっていく」

 妻の実家である半谷医院の3代目の院長になって20年余。原発事故で一時避難はしたが、11年3月末には南相馬市鹿島区の仮設診療所で避難者の応援診療に従事。翌月から原町区で患者を診てきたのも、地域住民への思いからだ。

 「行政には、解除後の公的支援こそ求めたい」。半谷さんはそう訴える。帰還する住民には高齢者が多いだろう。ならば乗り合いタクシーのような「足」が必要だ。それがなければ、医師らが戻っても医療を保証したとは言えないからだ。



http://mainichi.jp/articles/20160511/ddl/k06/040/125000c
米沢市立病院
精神科閉鎖 新病院の整備計画公表 来春、一部先行開院 公徳会 /山形

毎日新聞2016年5月11日 地方版

 米沢市立病院精神科の閉鎖問題で、同市は10日、南陽市の佐藤病院などを運営する社会医療法人「公徳会」(南陽市、佐藤忠宏理事長)が米沢八幡原中核工業団地に建設する「米沢佐藤病院(仮称)」の整備計画を公表した。鉄骨2階建ての入院・外来棟の2棟で、病床数は市立病院の70床に佐藤病院から一部移す38床を合わせた108床。来年4月に救急対応を含む精神科外来や急性期治療病棟(48床)を先行して開院する予定。【佐藤良一】

 この日の市議会全員協議会で市立病院が報告した。12日の県医療審議会で了承されれば、地域内病院の病床数を減らして再編統合する特例を厚生労働省に申請する。6月には許認可が下りる見込みで、県地域医療対策課によると、認められれば県内初の事例になるという。

 公徳会と米沢市連名の計画書によると、約1万9000平方メートルの敷地西側に入院・外来棟が建ち、延べ床面積は約5300平方メートル。精神科、心療内科のほかに、認知症や児童精神科の外来を設ける。東側には患者・スタッフ用合わせて166台分の駐車場やデイケア棟、院内保育園を配置する。公徳会が市から購入する土地取得費は約1億5800万円となる。

 病院開設の理由は、市内に精神疾患の救急病床がなくなった ▽市立病院精神科にいた外来患者約1500人の受け皿が必要 ▽毎年約400人の新規患者が見込まれる ▽佐藤病院に通う患者の約30%が米沢市民−−などを挙げている。

 また、入院は1日平均103人、外来は同55人を見込む。医師は公徳会が運営する若宮病院(山形市)などから6人を異動させ、看護師などスタッフの一部を6月以降に募集して約50人を確保するとしている。

 公徳会は7月に土地取得を目指し、工事着工は8月、完成は2017年3月を見込む。精神科外来や急性期治療病棟に続き、18年4月に療養病棟(60床)やデイケア棟などをオープンさせる意向だ。さらに、将来は共同生活援助事業所や就労支援事業所を設置して、社会復帰支援も考えているという。

 一方、市立病院精神科は常勤医が1人残っているが、今月13日で機能を停止する。市は、病院の誘致に応えた公徳会に対し、何らかの補助策を考慮するとしている。同23日に地元万世地区で住民説明会を開く。

 今回の精神科病床の再編統合により、佐藤病院は現在の222床のうち54床を廃止する。病床数の合計は276床となり、現在より16床減少する。

 新病院で24時間体制の精神科救急からリハビリテーションまでの幅広い治療を行うこととなる。市立病院で身体疾患を併せ持つ精神科患者の対応を担当するなど、医療連携の姿も見えてきた。

米沢市立病院を巡る精神科病床の再編統合と医療連携

▽米沢市立病院(米沢市相生町)
 精神科病床は70床を廃止、一般病床は322床のまま
 身体合併症の患者の救急対応

▽米沢佐藤病院(仮称、米沢市八幡原)
 精神科病床は108床に
 医師を派遣して市立病院一般病棟での精神診療

▽佐藤病院(南陽市椚塚)
 精神科病床は222床から168床に。廃止する54床のうち38床を米沢佐藤病院へ



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t266/201605/546824.html
特集◎年代別 医師の転職大研究《プロローグ》
多様化する医師の転職行動

2016/5/11 吉良伸一郎=日経メディカル

 このところ、大学医局を離れた医師たちの転職行動が変化しているという声を、医師の転職支援に携わる企業の担当者や、病院の幹部らから聞くことが多くなった。(1)転職に踏み切る事情、(2)職場を探す手段、(3)転職先の選択──などの面でパターンが多様化しているというのだ。

病院の方向性と合わずに転職
 転職に至る背景事情の変化として大きいのが、病院の病床再編だ。病院は今、都道府県が策定を進める「地域医療構想」の中で、自院の病床が高度急性期、急性期、回復期、慢性期のいずれの機能を担うのか、選択を迫られている(図1)。

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図1 医師を取り巻く環境の変化とそれに起因する転職行動

 病院の中には急性期病床を高度化したり、逆に急性期機能を縮小するなど、病床の機能再編に踏み切るケースも増えている。これに伴い、自らの志向する働き方と勤務先の方向性が合わないと感じた医師が、転職に動き始めている。

 背景事情としてもう1つ見逃せないのが、2017年4月にスタート予定の新専門医制度。既に専門医を取得している医師が、今の勤務先では更新基準を満たせないとの判断から転職に踏み切ったり、研修プログラムを拡充する狙いから病院が指導医を招へいする動きが今後、顕在化しそうだ。

 新制度では、基本領域の更新基準は勤務実態、診療実績、講習受講の各要件を盛り込む形で設定される。このうち転職の引き金になりそうなのが診療実績だ。そのハードルの高さは領域により異なるが、外科系の領域では手術実績の要件を満たせるかどうかがポイントになる。

 日本産科婦人科学会の専門医を取得し、現在は行政機関に勤めるある医師は、診療実績の要件をクリアするため転職を検討中だという。「専門医資格を失うことはアイデンティティーの喪失と収入の低下につながる」と同医師。医療機関以外に勤務していたり、医療機関に勤務しながらも専門分野とは異なる領域の診療に従事している医師などが、更新基準を満たすための転職に踏み切ることになりそうだ。

SNSを転職活動に生かす
 転職手段については、医師紹介会社の利用に加え、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用が進んでいるのが最近の特徴だ。候補先の病院の情報を収集したり、当該病院の医師にコンタクトを取る手段として活用されている。また、医師のヘッドハンティングも活発化。病床再編の進展に伴い、特定の分野の診療機能の強化を目指す病院が、専門医を「一本釣り」しようとしている。

 転職先については、医療機関以外の職場に目が向き始めており、コンサルティング会社などへの転職を志望し、実際に転身を図るケースが増えつつある。

 こうした傾向の表れ方は医師の年代により異なる。例えば病院が急性期病床を縮小すれば、急性期の現場でキャリア形成のただ中にある30~40代の医師が離れていくケースが出てくる。一方で、病院が急性期医療の高度化を進めたことで、仕事のペースを緩めたいと考える50代以上の医師が離職する事例も出てきている。そこで次の記事からは、医師の年代別に転職のトレンドを紹介し、併せて成功へのポイントを見ていくことにしよう。



http://blogos.com/article/175062/
病院再編 公と私 医療とビジネス
中村ゆきつぐ
2016年05月11日 11:43 日経メディカル

少しローカルな話題です。民間の医療法人が、準公的な病院を吸収して再編を行おうというニュースです。下野新聞一面です。(JCHOうつのみや病院の譲り受けを希望 「宇都宮記念病院」の中山会)
とてもいい話題ですので書きます。

一番の問題はビジネスと公的サービスの両立はなるか。そしてそこに公的大学の関わりは。そして一番大事な地域医療の質は守れるか、になります。

宇都宮記念病院は150床の病院です。獨協医大出身の院長のもと急性期病院として機能しており、救急車の受け入れは栃木で5番目と頑張られています。ただ内科の分野は限られており、血液内科、膠原病内科はありませんし、緩和病棟もなく、どちらかというと、救急、整形外科、外科、検診業務で利益を得ています。まあはっきり言うと利益が出やすい部分中心での診療体制です。

それに対し、厚生労働省が所管する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO説明1、2)うつのみや病院。元社会保険病院で、院長は自治医大出身。非常勤ですが血液内科もやってます。獨協からも非常勤が出ていますが、自治から医師が常勤として出向されている251床の病院です。総合診療の第一人者徳田先生がJCHO本部のアドバイザーとして入っており、総合診療、感染症病棟、緩和治療など儲からない部分も手を出していただいています。

結果として宇都宮記念病院は利益5億台、JCHOうつのみやはずっと赤字だったのが昨年やっと黒字1000万台となっています。

さあ、突然出てきた民間への準公的病院譲渡依頼。中山会はおそらくJCHO本部と厚労省、地方自治体への調整は済んでいるのでしょう。それこそ救急体制の構築は県が行う方向になっていますので、県としても自由に使える手駒が増えるわけですからいいことと判断されたのだと思いますし、また赤字病院を手放せるJCHO本部も悪い話ではないと考えたと思われます。ましてこれから全国病院再編を考えている厚労省、まさにモデルケースとして渡りに船です。

>今後、地元自治会や宇都宮市、県などの意見を踏まえ、厚生労働相がJCHO理事長に譲渡可能か意見を通知し、最終的にJCHOが譲渡するか判断する。

つまり上位組織においては調整済みの決定事項です。

それに対して、うつのみや病院、宇都宮医師会、自治医大の対応は反対という2つ目の記事が出てきました。(「うつのみや病院」市医師会は現状維持要望 自治医大も難色示す)

どちらも正当な理由が書かれていますが、一部推定する裏の理由は

働き方の制限が厳しくなる。(土曜は現在休日、かつ民間は人使いが荒い)
開業医とのいい関係が中山会という民間では多分できない(患者、利益を持って行かれる)
関連病院としての自治のポストがなくなる。(獨協にとられる?)

などが挙げられます。(推定です。根拠はありません。)

>「中山会が公的医療を維持できるか疑問」とした上で、現在のうつのみや病院が担っている災害医療や感染症医療の拠点病院を引き合いに、「収益につながりにくいことを引き受けることが市民のメリットになる」とした。

本当、地域医療を改築するためには抵抗勢力がいっぱいあります。上記赤字の不安点は私が今まで書いてきたビジネスと医療の問題になります。以前の記事です。(ビジネスとしての医療:日大病院撤退)

正直言うと正しい医療を行えば十分利益が出るような構築再建が必要で、今利益が取れるところだけやっている病院では今後どうかなと思ってはいます。

再度書きますが、あくまでも現在フリーなわたしの個人的な意見で、他の組織との関連はありません。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201605/20160511_13041.html
<医療費助成着服訴訟>元病院室長棄却求める
2016年05月11日水曜日 河北新報

 宮城県大崎市の古川民主病院に入院していた遷延性意識障害(植物状態)の男性患者(80)らから医療費助成金約70万円を着服したとして、運営法人の宮城厚生協会(多賀城市)が同病院の医療相談室長だった女性(66)に退職金を含む約1050万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、仙台地裁であり、女性は請求の棄却を求めた。
 被告側は次回期日までに、具体的な主張を書面で提出する見通し。
 訴えによると、同病院は2013年12月、男性の医療費助成を県と仙台市に申請。助成金の支給事務を1人で担当していた元室長は、男性に支給された助成金約36万円を支払っていなかった。元室長が担当した他の患者12人を調べたところ、着服が疑われる額は計約70万円に上った。



http://www.asahi.com/articles/ASJ5B6JMPJ5BUBQU00F.html
進むセルフメディケーション、患者の誤った判断に懸念も
田内康介
2016年5月11日06時00分 朝日新聞

 自己採血による糖尿病や中性脂肪などの簡易検査ができる薬局が、少しずつだが増えている。政府が推進する「セルフメディケーション」の一環として、来年からは市販薬を一定額購入した場合の所得控除も始まる。ただ、誤った治療や判断につながらないよう専門家は医師や病院が適切にかかわる必要性を訴える。

■検体測定室で受診勧奨

 東京都葛飾区の主婦(56)は昨年3月、JR綾瀬駅近くの「あやせ薬局本店」を訪れ、過去1~2カ月間の血糖値の状態を示すヘモグロビンA1c(HbA1c)の検査をした。

 通院先の歯科医から「糖尿病の疑いはないですか」と言われ、気になっていた。健康診断は数年おきに受けていたが、HbA1cは調べていなかった。

 薬局で渡された採血キットで、指先からわずかな血液を採取した。薬剤師に測定器にかけてもらうと、結果は9.5%。基準の6.5%を超え、糖尿病が強く疑われる値だった。「まさかこんなに高いとは」

 薬剤師に医療機関への受診を勧められ、地元のクリニックを訪れた。糖尿病と診断され、食事療法や薬による治療が始まり、数値は落ち着いてきた。クリニックの加藤光敏院長は「受診が2年ほど遅れていたら、合併症が進んでいたかもしれない」と話す。

 主婦が利用したのは2014年度に始まった「検体測定室」。薬局などが厚生労働省に届け出ると、HbA1cのほか、中性脂肪やコレステロール、肝機能などの検査が実施できる。利用者が自ら血液を採取し、薬剤師、看護師、臨床検査技師らが測定器にかける。費用は1項目当たり500~千円が多い。

 記者も試してみたが、指先から採血する際に一瞬チクッとしたが、すぐに終わる。結果は6分で出た。

 日本一般用医薬品連合会の調査によると、今年2月までにHbA1cを検査した2064人のうち、361人は6.0%以上だった。このうち少なくとも2割近い68人が医療機関を受診した。薬局など約150の測定室が加盟する連携協議会は「医療機関につなげて重症化を防ぐ役割を果たすことができる」とみる。

 測定室の利点について、広島大薬学部の森川則文教授も「主婦など健診になかなか行けない人が利用すれば、健康意識を高められる。健診を受けている人でも、定期的にチェックすることができる」と話す。

 ただ、限界や課題もある。薬剤師や看護師が検査値をもとに助言をすれば、医師でないとできない「診断」にみなされる恐れがある。実際、慶応大薬学部の山浦克典教授らが320の測定室を調査すると、7割が利用者から助言を求められても一般論でしか答えられない「やりづらさ」を感じていたという。測定室は現在、全国で1200カ所ほどだが、この1年での増加は200カ所程度にとどまる。

 一方、日本医師会は測定室の運用には慎重な姿勢を見せる。中川俊男副会長によると、検査の精度管理や感染症の広がる恐れのある血液の取り扱い、患者が誤った判断をする可能性などで懸念があるとしている。

■市販薬購入しやすく、所得控除も

 政府は13年に発表した成長戦略の中で、薬局や薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進を掲げる。世界保健機関(WHO)は、セルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義する。

 その一環で、処方箋(せん)を必要とする処方薬から、処方箋なしに買える市販薬への転用が進む。15年までの10年間で、花粉症や性感染症の治療薬など約25成分が転用された。厚労省はこれまで関係学会からの意見を元に転用を進めてきたが、消費者らからの意見募集も近く始める。

 来年1月からは、こうした薬を年間1万2千円以上購入した世帯への所得控除が始まる。1万2千円を超えた額が所得税や住民税の控除対象。風邪薬や胃腸薬、消炎鎮痛薬、水虫薬、禁煙補助薬など82成分が対象になる見込みだ。控除を受けるためには領収書をとっておいて確定申告する必要がある。

 販売が制限されてきた検査薬を市販用に転用する仕組みも約20年ぶりに見直した。これまで妊娠検査薬など3種類に限られていたが、早ければ年内にも排卵日を予測できる検査薬がインターネットなどで買えるようになる見通しだ。便や尿の潜血をチェックする検査薬なども、今後検討される。

 東京薬科大の渡辺謹三教授はセルフメディケーションの推進のためには「薬剤師の質の向上が必要」とする。例えば、市販の胃薬の中には痛みを抑える効果が抜群のものがある。この薬の効果が切れて痛みを訴える患者に、薬剤師が医療機関の受診を勧めると、胃がんが見つかるようなケースもあったという。

 渡辺さんは「市販薬を使う際には説明書をよく読み、症状が改善されなければ医療機関を受診する必要がある。副作用にも気をつけるべきだ」としたうえで「気軽に相談できるかかりつけ薬剤師を見つけ、市販薬や測定室を上手に使いこなすことができれば、患者にとって健康意識の向上や利便性などの利点がある」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/423531
シリーズ: 真価問われる専門医改革
医師の“適正配置”の一歩か、新専門医制
厚労省と機構、3-5年目医師を診療科別、地域別に調査

2016年5月11日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 専門医制度における各基本診療領域の学会を対象とした「卒後3年目から5年目までの常勤医師の在籍状況調査」がこの5月に行われている。内科、外科などの基本診療領域別、専門研修を行う施設別に、卒後3年目から5年目の常勤医師数の報告を求める内容だ。しかし、本調査に対しては、現場の医療者からは、作業負担を問題視したり、専門医の研修定員を都道府県単位で設定する意味を疑問視する声が挙がっている。

 厚生労働省の社会保障審議会医療部会「専門医養成の在り方に関する専門委員会」で、2017年度開始予定の新専門医制度について、地域医療への影響を軽減するため、「当面、過去3年間の採用実績の1.1倍から1.2倍を全国の定数枠とした上で、都道府県別の定数を、都市部以外の道県に対して、より配慮して決める」という、同専門委員会委員長による“永井私案”が提出された。今回の調査は、その基礎データとするのが目的だ(『専門医制度、永井委員長が“私案”で改善提案』を参照)。

 5月2日付で発送、締め切りは5月16日。「厚労省と日本専門医機構が協力して、各診療領域研修委員会・学会に依頼して実施している」(同機構理事長の池田康夫氏)。調査結果の提出先は、厚労省。

 新専門医制度については、19の基本診療領域別に専門研修プログラムが4月までに出そろい、現在、審査中だ。今回の調査は、専門研修プログラムの基幹施設および連携施設のほか、それ以外で現在専門医の養成を行っている医療機関が対象。学会を通じて、これらの施設において、基本診療領域に該当する診療科に5月1日時点で在籍している、卒後3年目から5年目の常勤医師数を調査する。独自採用医師と、他の施設からの派遣医師を分けて回答する形式になっている。今後の「専門医養成の在り方に関する専門委員会」などにおいて、施設別ではなく、都道府県別の集計データとして提出される予定だ。

 専門医数、都道府県単位の設定は妥当か
 もっとも、本調査に対して、学会関係者や現場の医療者からは、戸惑いの声も聞かれる。そもそも調査期間は、ゴールデンウイークを挟んで、約2週間と短い。また専攻医数ではなく、基本診療領域に該当する診療科の常勤医師数であるため、各学会は基幹施設等に調査をしなければいけない。「ただでさえ、現場は疲弊しているのに、回答をしなければならず、ペーパーワークが増える。そもそも厚労省や機構が学会に対して調査を行う法的根拠はなく、“お願い”ベースでの調査にすぎない」と問う意見もある。

 さらに調査対象が「卒後3年目から5年目」に限定されるため、(1)卒後2年間の臨床研修を終え、すぐに専門医研修に入るとは限らない、(2)新専門医制度では、3年間の研修による専門医取得が原則だが、現状では4年以上かけて取得する医師もいる――という意見のほか、(3)専門医の養成は、初期研修とは異なり、都道府県で完結するわけではなく、地域を超えた専門研修プログラムもある、(4)年間100人に満たない専門医しか誕生しない診療領域で、都道府県別の定員上限設定は難しい――などの理由から、「調査結果はあくまで目安にすぎない」「都道府県という単位で定員を設定すると、かえって混乱が起きるのでは」との指摘も出ている。

 新専門医制度は、プロフェッショナルオートノミーを基盤とした、「専門医の質の担保」が目的のはず。しかし、地域医療への影響を懸念する声が出てきた結果、「医師の適正配置」という規制色が強まりつつある。

 なお、日本専門医機構は、5月9日に第11回理事会などを開催している。同機構のガバナンスの問題も指摘される中、「役員候補者選考委員会」のメンバーや開催時期が注目されるが、現時点では未定だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/423525
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
統計専門家「元データでは有意差が確認できず」
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第21-22回公判

2016年5月11日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第22回公判が、5月10日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、検察側の依頼でKHS(Kyoto HEART Study)の統計解析を検証をした公益財団法人先端医療振興財団・臨床研究情報センター(TRI、神戸市中央区)の男性研究者への証人尋問が行われた。Web入力データを解析した結果、バルサルタン(ディオバン)群と非バルサルタン(非ARB)群では、主要評価イベントの発症で 有意差が確認できなかったことを説明した。

 男性はTRIの医学統計部に所属し、外部の臨床研究を統計面で支援する業務を行っている。一連の降圧剤論文問題では、京都府立医大、千葉大、名古屋大からの依頼で、学内調査にも協力している。

 男性が検察の依頼で作成し、証拠として提出された報告書は、Web入力データのイベント報告を基に、KHS主論文に沿うように解析。解析結果は「KHS主論文とは異なり、主要評価イベント(KHSでは脳卒中や心筋梗塞、狭心症などを合算した複合エンドポイント)や脳卒中については有意差が確認できず、バルサルタン群を固定したまま有意差を出すとしたら、非ARB群で比較的多くのイベントを増やさなくてはいけないことが分かった」と説明した。具体的には、1次評価項目の一つである 脳卒中発症では非ARB群ではWeb入力データにある25例から、22例増やした47例でないと有意差が出なかったという。これに対し、狭心症ではWeb入力データでも有意差が出た。

 参加医師のイベント報告だけでなく、死亡報告やその他のデータなどからイベントと判定され得るものを追加した場合でも同様の結果だった。2010年の欧州心臓病学会のポスターセッションで発表されたKHSの糖尿病に関するサブ解析でも、発表内容と元データのイベント数が一致しなかった。

 また、弁護側の反対尋問に答える形で、男性研究者は「Web入力データには、エンドポイント委員会の評価が入っていないが、(同委員会の評価により) イベントが減ることはあっても、増えることはほぼない。(KHSで実際に解析に使用された)解析用データでは増えている事実があり、(弁護側などが)Web入力データで解析したことが問題と指摘するとしたら、(その点に対して私は)違うと思う」と話した。

元医局秘書「白橋氏から業務の指示」
 4月15日にあった第21回公判では、KHSで入力作業などを行った京都府立医大循環器内科で秘書を務めていた女性への証人尋問が行われ、KHSの関係者から不正や違法と思われる指示を受けたことはなかったと証言した。

 女性は「データマネジメントチーム」という肩書が与えられ、症例判定を行うエンドポイント委員会にも記録係として出席。事務局を務めた男性医師Aとともに沖縄、札幌、東京などで学会に合わせて開かれた委員会に参加し、委員の判定内容を記録していた。委員会業務については、白橋伸雄被告から指示があった。委員会の時には男性医師Aと横並びの位置で話し合いを聞いており、男性医師Aも聞こえていた可能性があることを証言した。

 委員会終了後には、委員らで観光することもあったという。

  1. 2016/05/12(木) 06:29:07|
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