Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月3日 熊本震災関連 

http://www.asahi.com/articles/SDI201605025596.html
《熊本地震の現場から》 地域医療の復興に向けて
アピタル・高山義浩
2016年5月3日08時45分 朝日新聞

熊本地震で被災した多くの地域でライフラインは復旧し、医療体制は平時に近づきつつあります。しかし、これまで緊張状態で仕事をつづけていた現地スタッフが疲労しています。医療従事者のみならず、事務や清掃の担当者にいたるまで傷ついた心と体を休めることが必要です。

おそらく自宅は散乱したままで、使命感に従って仕事を続けているでしょう。彼らに休息をとらせるためには、医療ボランティアによる日常業務の代行支援が必要です。避難所に併設されている救護所での診療業務だけでなく、再開している医療機関の支援も考えた方がよいかもしれません。

減ってきたところもありますが、いまも救護所を受診する患者さんがおられます。地域の診療所の復旧状況を日々確認しながら、かかりつけ医を受診するよう誘導してゆくことが必要です。避難所における診療を定着させてしまうことは(いまは必要な状態であったとしても)、あるべき復興の姿ではないのですから・・・。

救護所の受診者が減っていって、やがて閉鎖できるようになることが地域医療復興のメルクマールですね。いま、救護所を受診している患者さんとはどのような方々でしょうか? この観点から検討してゆけば、これから被災地で取り組むべき課題が見えてくるかもしれません。

まず、避難所から診療所などへの交通手段のない方です。

ほとんどの診療所が再開しはじめています。しかしながら、震災で車を失ってしまったとか、バスが営業していないからといった理由により受診することができなくなっている方々がいます。仕方なく救護所で薬をもらっているわけですが、できるだけ主治医につなげてゆかなければなりませんね。たとえば、避難所と診療所を巡回するバスを運行するといった方法があるかもしれません。ただし、認知症や精神疾患を有する患者さんでは、正しくバスを利用できない恐れもあることから、ヘルパー機能をつけるといった工夫が必要になるかもしれません。

次に、かかりつけの医療機関が再開していない方です。

発災2週間が経過しても再開できない医療機関については、これ以上、再開を待つよりは新たな主治医を確保しておいた方がよいかもしれません。できれば、元のかかりつけ医により紹介状を出していただくことが望ましいのですが、困難な場合には救護所からの紹介状を発行しなければなりません。このような患者さんが基幹病院に集中しはじめている地域もあるようです。外来患者数が平時の倍近くなっているとか・・・。地区医師会と行政とが連携して整理してゆかないと、基幹病院の急性期医療が破綻(はたん)しかねません。

最後に、通院困難であって在宅医療が必要な方です。

もともと訪問診療を受けていた方や避難生活でADL(日常生活動作)が低下して通院困難となっている方で、本人や家族の意思で避難所に残っている場合には、在宅医療を提供することが必要です。なお、ここでいう在宅医療には、訪問診療や緊急往診のほか、訪問看護、訪問薬剤管理指導、訪問リハビリテーションを含みます。本当に避難所にいても大丈夫なのか、代替案の提示も含めたアセスメントも必要でしょう。既存の地域医療で対応いただければ良いのですが、そのような余裕はないかもしれません(ないでしょう)。

地域の診療所に対する在宅医の派遣であるとか、訪問看護ステーションに対する訪問看護師の派遣などによって、仮設住宅が建つあたりまでを目途に支援が求められるような気がします。その後は・・・? 今回の震災をきっかけに入院を停止している医療機関もあり、在宅医療ニーズが高まったまま推移する可能性が高いです。高齢者福祉施設の建設などおカネのかかる話もあり、政府レベルでのサポートが求められると思います。

◇   ◇   ◇

本題から外れますが、災害のたびに感じざるをえないことがあります。それは、日本における老老格差の問題です。「被災者はなべて被害者であり平等だ」というメンタリティーが働きがちですし、それが被災地の団結において大切なことは理解しています。ただ、高齢者間の保有資産の不平等はかなりの大きさがあり、深刻なことには資産ゼロという高齢者も少なくありません。

このことが、これから被災地における格差として顕在化してくるでしょう。高齢者や障がい者、妊婦などが災害弱者として挙げられますが、復興期においては「貧困」こそが弱者の要因であることを直視すべきなのかもしれません。避難所で仮設住宅への入居を待ち続ける高齢者に対して、食事と寝具を提供し、訪問診療を行い、励ましの言葉をかけ続けることが、私たちの社会の到達点ではないはずです。

貧困にある高齢者は、そのことについて口をつぐみがちです。なかには、「こんな老後を迎えたのは自分に責任がある」として、災害による辛苦ですら自らを責める人々がいます。復興の光の部分ばかりに目をとられず、災害と貧困の問題についても考えてゆかなければと思っています。

<アピタル:感染症は国境を越えて>
http://www.asahi.com/apital/column/takayama/(アピタル・高山義浩)

アピタル・高山義浩(たかやま・よしひろ)
沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科医長
感染症診療や院内感染対策、在宅緩和ケアに取り組む。かつて厚生労働省で新型インフルエンザ対策や地域医療構想の策定支援にも関わった。単著として『ホワイトボックス ~病院医療の現場から』(産経新聞出版)などがある。



https://www.m3.com/news/general/421568?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160503&dcf_doctor=true&mc.l=155963313
福祉施設職員167人不足 全国から応援派遣始まる 熊本地震、自らも被災
2016年5月3日 (火) 共同通信社

 熊本地震で、熊本県内の介護や障害者支援などの福祉施設の職員が計167人不足していることが1日、県の調査で分かった。職員が被災したり、新たに避難者を受け入れたりして現場に余裕がなくなっており、厚生労働省は離職やサービス低下につながる恐れもあるとして、関係団体を通じて全国からの応援職員の派遣を始めた。

 熊本県が約800施設を調べたところ、4月30日現在で不足人数は介護施設が127人、障害者支援施設が30人、児童養護施設が10人だった。

 介護施設では、リハビリを受けて在宅復帰を目指す「老人保健施設」をはじめ、原則要介護3以上の人が入居する「特別養護老人ホーム(特養)」や「認知症グループホーム」など33施設で職員不足の報告があった。身の回りの世話をする介護職が101人と約8割を占めたが、看護職やリハビリ職、調理員でも報告があった。市町村別では、熊本市が77人と最も多かった。

 障害者支援施設では、熊本市や菊池市などの5施設で生活支援員を中心に、児童養護施設は熊本市などの3施設で保育士や児童指導員が不足している。

 理由として最も多かったのは「職員本人や家族が被災している」。熊本市の特養「ハーモニー」では以前から人手不足に悩んでいたが、地震後に出勤できない職員が出ている。被災した別の施設や避難所から受け入れ、負担が重くなっている事例もあった。

 厚労省は、全国の自治体や関係団体を通じて派遣可能な応援の福祉職員を募集。4月27日現在で1233人の登録があり、団体側が各施設と調整して派遣に乗り出した。


  1. 2016/05/04(水) 06:07:15|
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