Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月21日 熊本震災関連 

https://www.m3.com/news/general/418594
環境劣悪、倒れ込む被災者 強まる疲労、せきや怒声も
2016年4月21日 (木)配信共同通信社

 「いつになったら元の生活に戻れるんやろう...」。投光器に照らされた仮設トイレのそばで、女性がひっそりと泣いていた。大勢の被災者が身を寄せる避難所は劣悪な生活環境が続き、繰り返す余震におびえ、蓄積した疲労で倒れ込む人の姿もあった。

 14日と16日に震度7を記録した熊本県益城町。「何も残ってなか...」。約600人が身を寄せる保健福祉センターで、無職野間武則(のま・たけのり)さん(68)はぼうぜんと座り込んだ。直前に視界がゆがみ、床に崩れ落ちたばかり。ストレスによる血圧の上昇と診断された。

 14日の揺れで目の前に仏壇が倒れ、16日の本震では自宅が倒壊した。避難所に来てから、「日増しに気分が悪くなる。でも他に行くあてもない」。生きているだけでも幸運と自らに言い聞かせるが、今後を思うと絶望感にさいなまれる。

 約2キロ東の益城町総合体育館。炊き出しの豚汁の湯気が上る敷地内の地面は、大きく隆起していた。被災者約850人の段ボールや荷物、非常食が建物の外まではみ出し、足元に気をつけながら歩く。余震で頻繁に壁や窓が震え、悲鳴や安否を気遣う声が飛び交った。

 何人もの負傷者の姿が被害の激しさを物語る。急に体調が悪化したのか、仮設の入浴設備から両脇を抱えられながら、医療用のテントまで運ばれる女性もいた。「早くちゃんとした病院で検査を受けたい」。地震で落下してきた家具が直撃し、顔中に黒いあざが残る中神由子(なかがみ・ゆいこ)さん(71)は不安な表情を浮かべた。

 土足のまま被災者が行き来する通路の床には砂やほこりが目立ち、時折激しいせきの音も。「衛生状態が極めて悪い。ノロウイルスの流行が心配だ」。巡回していた長崎県の医師泉川卓也(いずみかわ・たくや)さん(43)が顔を曇らせた。

 駐車場にはずらりと並んだ車から低いエンジン音。エコノミークラス症候群による死亡例が判明したばかりだが、車中泊が減る気配は見られない。「窮屈でしんどいけど、室内だと周囲に迷惑をかけるから...」と妊娠9カ月の塚本真弓(つかもと・まゆみ)さん(35)。被災後、いつも不安な表情でくっついて離れなくなった息子の翔太(しょうた)君(3)のことも心配だ。

 「支援物資が届きました」。アナウンスの音が響くと、トラックの周囲に30人ほどの中高生が集まってきた。自然と手伝いたいとの声が上がったという。大きな段ボール箱を、顔を真っ赤にして運んでいた中学1年の塘田俊輝(ともだ・としき)君(12)は「力には自信がある。みんなのつらさを和らげたい」。

 消灯時間の午後10時になっても足音や物音は途切れず、注意する男性の怒声も飛ぶ。毛布の上で横になってみたが、床の硬さがそのまま伝わり、体がこわばった。夜の寒気も流れ込み、到底安眠はできそうにない。未明になっても完全な静寂は訪れなかった。

 「余震が収まらない限り何もできない」「もう限界」。話を聞いた被災者の多くは、被災の傷を負ったまま、ぎりぎりの避難生活を強いられていた。募る一方の不安やストレスに、物心両面での支援が今後は一層必要になってくると感じずにはいられなかった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/418367
シリーズ: 熊本地震
研修医2年目の岡崎幸治氏・現地リポート◆Vol.2
切迫しているのは「寝床」「上下水道」「お手洗い」「警備」

2016年4月20日 (水)  岡崎幸治(日本海病院)

 山形県酒田市の日本海総合病院、研修医2年目の岡崎幸治氏。熊本市内の実家のクリニックが被災し、開業の手伝いと避難所の支援のため休職し、4月17日に鹿児島空港経由で帰省。本人の了承を得て、facebookの掲載をそのまま転載しています。

4月20日 15:35分:菊池郡にて

 組織立った支援が全く入って来なかった、益城町平田地区に沢山の生活物資が運ばれています!介護用のおむつ2トントラック一台分、レトルトごはん三畳分、水40ケース、他にも、パンや生理用品など様々なものが運ばれています。

 もともと農家が多く、幸い食材はあるため、生きていくには困らない程度のコモディティが揃いました。運んで下さった多くの方には、皆さん大変感謝しておられます。

 現在、切迫しているのは「寝床」、「上下水道」、それに関連して「お手洗い」、そして、「警備」です。

 平田地区の方々の一番の願いとしては、まず高齢者に車中以外で寝られるようになって欲しいとのことでした。もしくは、高齢者を看て頂けるような施設に一時的に預かって頂く必要があります。現在余震が続き(昨日も最大震度5強の余震がありました)、今までの家屋には入れない状況です。また、認知症の方々の介護で周りの方々は疲れがピークに達しており、片付けなど村の再建に集中できなくなっております。

 本震で下水設備が破損し、手洗いで流せない状況で、仕方なく穴を掘る等して用を足しておられます(本日簡易トイレが一基設置されましたが…)。市内の白川小でノロウイルスの発生が危惧されているように、衛生面の整備、そのための簡易トイレの設置、上下水道の整備が必要です!!21日から益城町は一般のボランティアを募られるそうですが、そのような方々を受け入れる準備もできていません…。

 実は、昨日朝日新聞の方々に平田地区の取材をして頂きました。本社の社会部の方に大変お世話になりました(本日の夕刊に掲載される予定です)。また、本日になって、共同通信、読売等ほかのメディアも取材に来られています。

 昨日は、昔から知り合いの工藤先生のご紹介で経済産業省副大臣の菅原代議士に連絡を取らせていただき、熊本の災害対策本部のトップにこの地区について相談し、、DMAT,簡易トイレ設備の要請を致しましたが、未だに来られません…。

 昨晩、地元の消防団の方々と相談したうえ、私が代わって益城町の社会福祉センターに毛布の供給をお願いしに伺いましたが、「区長の申請でないと受け付けられない」とのことでした。

 古川さんら大学生ボランティアが運営する「災害救援隊」やそのほかガソリンスタンドの状況をマッピングする大学生の有志らの情報やサービスが非常に役に立っています。

 念のため、ここで(よくなされるように)行政批判をするのは見当違いだと思います。行政の末端の市役所の方々も被災者で、未曽有の災害に対しては皆が素人です(昨日交渉した益城町災害対策本部の方自身も家が潰れ、顔も疲れ切ってました)。震災からの再建に向けて、行政と一般人が互いに補い合いながら進んでいくことになるのが理想に思います。

 まず、行政には、早く水道を復旧させて頂きたい。そして、初期研修医であるため薬を(持っているのに)処方できない私に代わってDMATが来られれば大変助かります。。。(もう一年早く医師になれていれば良かった…)

 私たちの方では、まずテントとマットレスをどうにか手配したいところです。

 そして夜になると、家を物色する怪しい方々との戦いが始まります…。



https://www.m3.com/news/iryoishin/418574
シリーズ: 熊本地震
JMAT、1チームで1000~1500人カバー
「現地の状況見ながら拡大を検討」横倉日医会長

2016年4月21日 (木) 成相通子(m3.com編集部)

 日本医師会会長の横倉義武氏は4月20日の定例記者会見で、熊本地震の発生を受けて派遣しているJMAT(日本医師会災害医療チーム)について、「1つのチームが1000~1500人をカバーしており、チームを増やさないといけない」と指摘した。また余震が続いていることから「二次災害がないように被災地への医療支援をしていきたい」と述べた。

 JMATのチーム数については「現状では足りていない」(日医常任理事の石井正三氏)としながらも、現地のインフラが早期に回復する見込みもあることから、地域の医療提供体制の回復状況も見ながら慎重に判断するとしている。

 横倉氏は、JMATの役割について、「避難所で起きる二次的な疾病の予防が重要だ。避難所に高齢者が多く、健康管理や支援のほか、認知症の発症が促進される環境になるので、対策が必要だ」と強調。日医などの医療専門職の団体で構成する被災者健康支援連絡協議会で政府にも意見を伝えたという。

 JMATは、震災発生直後の急性期の医療支援を担うDMAT(災害派遣医療チーム)の撤退後、避難者の医療や健康管理、避難所の公衆衛生対策などの中長期的な支援を担う。4月20日12時現在で、熊本県益城町を中心に37チーム152人が派遣中で、さらに46チーム195人が派遣に向けて準備している。また既に27チーム99人が派遣を修了した。

 JMATは医師、看護師、薬剤師、その他医療関係者、事務員等、約4~6人でチーム編成するが、中には医師1人だけのチームもある。4月19日の段階で、1つのチームが担当しているのは約5カ所の避難所。1カ所につき200~300人が避難しており、1つのチームが1000~1500人をカバーしている状況で、横倉氏は「チームを増やさないといけない」と説明した。

 一方で「熊本市内は医療資源が豊富なので、水や電気などのライフラインが回復すれば、現地の医療提供体制は安定するはず。長期の避難と現地の医療機関の機能を見比べながら、JMATの派遣をいつまで続けるか決めないといけない」(横倉氏)として、チーム数をどの程度拡大するかは現地の状況を見ながら慎重に決める方針だ。

 石井氏は、「避難民は最初の20万人から今は10万人台、熊本市内で5万人前後になったと聞いている。インフラが戻ってくればチームをどんどん増やす必要もないので、そのバランスを取っているところだ」と指摘し、「やみくもに入ってもオーバーになるだけなので、調整しながら現地に入る、というプロセスを順番にやっている。避難所ではノロウィルスなど二次的な生活における問題が生じるので、順次対応するしかない」と述べた。

 JMATの派遣は九州各県からの派遣を優先し、さらに遠隔の都道府県医師会のJMATがサポートする構成。断層帯によって熊本県の南北で交通が分断されており、JMATでは熊本市、上益城郡の北部と宇土市、宇城市、下益城郡の南部に分け、北部には福岡、佐賀、長崎、大分の4県と中部、近畿、中国、四国のチームを派遣。南部には宮崎、鹿児島、沖縄の3県と北海道、東北、関東甲信越などのチームを派遣する予定だ。東京都は全体を支援する。立ち入りが困難になっている阿蘇地域は、かろうじて宮崎、大分県からのアクセスできるとの情報があり、今後の状況を見て検討する。

ストレスチェックで医師賠責保険を拡充

 4月20日の定例記者会見では、熊本地震の対応のほか、日医の医師賠償責任保険制度の補償の拡充と新専門医制度に関するアンケート結果も公表した。

 賠償責任保険制度は、2015年にストレスチェック制度が導入されたのを受け、日本医師会A会員を対象に、産業医や学校医等の活動(職務)に起因して発生した不測の事故について、弁護士費用などの訴訟費用を含めた補償を行う。ストレスチェック制度の実施責任主体は事業者だが、従業員が産業医を直接訴える場合や事業者から産業医に求償がある場合が考えられるという。対象は対象の職務は、産業医(労働安全衛生法)、健康管理医(国家公務員法)、学校医(学校安全法)、保育所の嘱託医(児童福祉法)。補償限度は1つの事故につき1億円で、保険期間中は3億円まで(免責なし)となる。2016年7月1日開始予定。

 また、新専門医制度の専門研修プログラムに向けた「地域の関係者による協議の場」に関して、47の都道府県医師会にアンケートした調査結果も発表された。「地域の関係者による協議の場」を「設置している」と答えた医師会は22、「設置の予定がある」が16、「設置を提案している」が1、「設置していない」が8だった。「同じ『設置している』でも、きちんと活躍しているところと、設置しただけで十分に活動していないところがあり、実状はバラバラだ」(日医常任理事の羽鳥裕氏)。



https://www.m3.com/news/general/418661
発達障害の長男と避難所に 周囲気遣い、理解願う
2016年4月21日 (木) 共同通信社

 震度7の揺れに2度にわたり見舞われた熊本県益城町の避難所で、40代の女性が発達障害を抱える中学生の長男とともに過ごしている。長男はうまくしゃべれないためコミュニケーションが難しく、とっぴな行動を取ることもある。周囲への気遣いと理解を願う気持ちに揺れながら、避難生活を送っている。

 「今は不思議と落ち着いているんですよ」。数百人が避難する益城町保健福祉センター。廊下は、被災者らの肩が触れ合うほどひしめく。その片隅に薄い毛布を敷いて寝転がり、女性は長男の頭をなでていた。

 長男は3歳児健診で重度の発達障害と診断された。環境の変化に対応することが難しく、気に入らないことがあると甲高い声を発し、ふいに人が目の前に現れると防御反応で相手の顔をたたくこともあった。

 「口から心臓が飛び出そうな揺れ」に襲われた14日夜。自宅は家具が散乱したが倒壊は免れた。避難所に駆け付けたのは15日夕になってから。長男が対応できるか不安だったが、余震が続き、これ以上残るのは危険と判断した。

 避難所では、周囲の話し声などの刺激をあまり受けないように廊下の隅を選んだ。「情緒に波があるし、駄目なら車で過ごすつもり」。長男の表情がこわばり、就寝時に両足を床に何度も打ち付けることもあった。

 ストレスを軽減させるため、余震をうかがいながら日中は自宅に帰り、夕方ごろに避難所に戻る。仮設風呂が設置されたが、男女別のため、介助が必要な長男を入浴させることはできない。周囲に気兼ねし、誰にも頼ることができない。

 これまで避難所で大きなトラブルはなかったが、時折、周囲からの視線が刺さった。過去には見ず知らずの人に怒鳴られ、にらみつけられることもあった。

 「そういう対応をされると、一生懸命育ててきた自分の人生を否定された気持ちになる」。発達障害は見た目で分かりにくく、なかなか理解が進んでいないという。「少しだけ関心を持ち、受け止める心を持ってほしい」。女性は長男を見つめ、願った。



https://www.m3.com/news/general/418589
インフル、ノロに警戒 熊本・大分の感染症評価
2016年4月21日 (木) 共同通信社

 国立感染症研究所は20日、熊本、大分を中心に続いている今回の地震で、熊本県や大分県でインフルエンザやノロウイルスなどによる感染性胃腸炎は特に警戒が必要だとする評価を発表した。

 感染研によると、インフルエンザは4月10日現在でも熊本県内で流行している地域があり、注意が必要だとした。乳幼児に肺炎を起こすことがあるRSウイルス感染症やレジオネラ症などの急性呼吸器感染症も要注意としている。

 また、避難所ですでにノロウイルスの感染者が報告されていることから、感染性胃腸炎が広まる可能性も高いと指摘。避難所に出入りする人が手洗いなどの予防策を行うほか、食品やトイレの衛生管理を強化するよう呼び掛けている。

 そのほか、がれきの撤去作業などにより、けがをして破傷風や皮膚感染症にかかる可能性があるとして注意を促した。



https://www.m3.com/news/general/418621
「たこつぼ心筋症」被災地で発症恐れ、ストレス影響か
2016年4月21日 (木) 読売新聞

 今回の「震災関連死」では、エコノミークラス症候群と心不全の人が含まれていた。小井土雄一・国立病院機構災害医療センター臨床研究部長は、頻発する強い余震がストレスを与えていること、車中泊が多いことが背景にあると指摘。

 その上で、「健康不安を抱える人は、被災地の外への一時的な広域避難も検討してほしい。屋外にとどまる場合、可能ならテントを調達し、横になって休んだ方がいい」と呼びかける。

 小井土さんによると、東日本大震災では寒かったこともあって肺炎が目立ち、このほか心臓病、脳血管障害による死亡も多かった。

 被災者が発症しやすい病気の一つが「たこつぼ心筋症」だ。心臓の一部が収縮しなくなり、左心室がたこつぼのように見えることから、この名が付いた。突然の胸の痛みや息苦しさ、全身のだるさなどの症状が出る。高齢女性に多い。

 持病がなくても発症することがある。発症の仕組みはよく分かっていないが、精神的なストレスが影響しているとされる。兵庫医科大学の増山 理とおる 教授(循環器内科)は「避難所では周囲に気を使って我慢する人がいるが、心臓の状態が悪くなるので、症状が出たらすぐに医師に診てもらってほしい」と話す。

 避難所では、感染症も流行しやすい。食事の前には手洗いをし、おむつは所定の場所に捨てる。持病がある人は、手持ちの薬が切れることも懸念される。中断せず飲み続けられるよう、医師に相談することも大切だ。(医療部 佐々木栄)



https://www.m3.com/news/general/418619
熊本地震 感染症流行の恐れ 被災地、衛生状態が悪化
2016年4月21日 (木) 毎日新聞社

 熊本、大分両県で14日から続発する地震の被災地で、衛生状態の悪化による感染症流行の恐れが高まっている。日本環境感染学会、日本感染症学会など4学会は、連携して感染症対策の支援チームを現地に派遣する方針を決めた。週末にはボランティアが訪れることも予想され、マスク着用や傷口の消毒などの予防策の徹底を呼び掛けている。

 東日本大震災で被災地の感染症対策にあたった日本環境感染学会理事長の賀来(かく)満夫・東北大教授(感染症学)は「大震災では発生1週間後から感染症が増えてきた。今回もこれからが要注意だ」と指摘する。

 被災初期には、泥に含まれるレジオネラ菌を粉じんと一緒に吸い込んだり、傷口から破傷風菌が入ったりする恐れがある。避難所は過密状態で、体力も低下して感染症にかかりやすくなる。インフルエンザやノロウイルスなどにも警戒が必要だ。

 賀来教授は「感染症は避難所全体に広がる怖さがある。水や物不足で難しい面もあると思うが、手洗いの代わりにウエットティッシュで手をふくなど対策を徹底してほしい」と話している。感染症や感染拡大を防ぐための手引は日本感染症学会のホームページ(http://www.kansensho.or.jp/disaster/index.html)で確認できる。【千葉紀和】



https://www.m3.com/news/iryoishin/418712
シリーズ: 熊本地震
熊本地震に医療支援に行く医師のための、感染症診療のポイント

2016年4月21日 (木) 岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

 個人の見解であり、所属先の見解とは限りません。また、個々の事例全てにこのブログの内容が当てはまるという保証はございません。ご留意ください。

 熊本地震で尽力されている九州の医療者の皆様、支援に赴かれている各地の皆様、ご苦労さまです。

 まだまだ余震も続き、外傷その他、様々な医療問題があります。長期化する避難生活での感染症もその一つです。

 我々は東日本大震災時の石巻市での医療支援を、診療録情報を用いて分析しました。当時の感染症診療の問題点が明らかになりましたので、それを踏まえて熊本地震での感染症診療のポイントとして紹介します。詳しくは今年の日本プライマリ・ケア連合学会総会で発表し、その後論文としても発表する予定です。

 まず第一に、災害時の感染症というと破傷風やレジオネラ肺炎といったトピックが注目されやすいですが、こうした事象は(重要ではありますが)マレです。日常的な感染症のほうがずっと頻度が高いです。

 震災現場での診療は普段の診療とは大きく異なります。患者背景が異なることは多いですし、通常でしたら容易にできる検査も困難、あるいは不可能です。搬送判断も重要になります。

 検査が困難なため、普段の診療同様、あるいはそれ以上に病歴聴取が重要になります。

 東日本大震災では抗菌薬の不適切処方が非常に目立ちました。例えば、咳に対して抗菌薬を処方するのですが、毎週毎週入れ替わりの異なる医師から異なる抗菌薬が出され続けたケースなどがそうです。診療時は主訴のみでなく、必ず時間情報(いつから)が重要になります。

 診療録や患者さんへの問診で週単位で持続する症状(咳、微熱、鼻汁など)があるとわかれば、抗菌薬処方で治療する一般感染症ではない可能性が極めて高いです。例えば慢性咳嗽の原因だと喘息、肺気腫、心不全、喫煙など多用な原因が考慮されます。

 リソースの乏しい場所で抗菌薬を安易に処方し、アレルギー反応その他の副作用が生じた場合は対応が極めて困難になります。明らかにウイルス性と考えられる感冒、インフルエンザ、あるいは上記の慢性症状などに対して抗菌薬を安易に処方しないよう、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。過去の抗菌薬処方記録は必ず参照してください。

 高熱を伴わない下痢症でも、抗菌薬は役に立たないか、かえって下痢を悪化させる可能性があります。急性発症の下痢症では抗菌薬は無益か有害なことが多いので、補液などを優先させ、抗菌薬は回避したほうが無難でしょう。

 併用薬も詳しくチェックしてください。普段の診療とは異なる基礎疾患をお持ちの患者さんもいるかもしれません。例えば、よく使われるクラリスロマイシン(クラリス)はCYP3A4の基質、かつ強力な阻害薬で、多くの医薬品の血中濃度を高めてしまいます。また、クラリスなどマクロライド自身が心電図異常(QT延長)、突然死の原因になることもよく知られています。複数の薬を出されている患者、心疾患やそのハイリスクの患者には処方を避けるのが賢明です。最近はスマホのアプリで薬の併用を調べることが容易にできますので、分からない時はアプリ(ePocratesなど)で調べるか、同伴の薬剤師さんと確認するのが大切です。

 消化管からの吸収が悪い(bioavailabilityが悪い)経口抗菌薬は、モニタリングが困難な被災地ではとくに使用を避けてください。典型例が、フロモックス、メイアクトといった3世代セフェムです。サワシリン(アモキシシリン)やケフレックス(セファレキシン)といった古い、しかし消化管からの吸収率が高い抗菌薬のほうが、被災地では役に立つでしょう。

 抗菌薬をみだりに使うのは危険ですが、必要な場合はしっかり使うのが大事です。被災地でとくに役立つのがクラビット(レボフロキサシン)です。コモンな軟部組織感染症(蜂窩織炎)、尿路感染、肺炎などいろいろな感染症に用いることができ、経口薬なのに点滴薬に近い効果を期待できます。なお、似たようなキノロンもいろいろありますが、シプロ(シプロフロキサシン)は肺炎に使いにくく、アベロックス(モキシフロキサシン)は尿路感染には使えません。注意しましょう。

 ただし、クラビットは結核診断や治療の邪魔になりますので、慢性咳嗽や微熱、体重減少の患者には用いないようにしてください。結核の除外が必要なら、避難所からの搬送が必須になりますので感染対策チームに連絡してください。日本の結核患者の多くは高齢者で、過去の感染が免疫低下で再活性化して発症します。避難所での結核アウトブレイクは甚大な被害をもたらしますので、早期発見が重要です。

 同様に、問診のときに必ず「似たような症状」の患者を確認してください。インフル、下痢症など感染症アウトブレイクが起きれば、特別な感染対策が必要ですので専門家チームに連絡をお願いします。

 高齢者の急性感染症に注意してください。とくに肺炎と尿路感染が重要になります。咳嗽や排尿時痛といったフォーカスを示す症状がなく、単純に急性発症の意識障害、しかも熱が出ないということはしばしばあります。肺塞栓(エコノミークラス症候群の合併症)なども同様なプレゼンをしますので、いずれにしても「高齢者の急性発症」には要注意です。意識障害を伴う感染症は多くは重症感染症なのでしかるべき医療機関への緊急搬送が望ましいです。

 その他ご不明な点は当ブログあるいはメールでkobeidアットマークmed.kobe-u.ac.jpまでお願いします。被害が一日でも収束するよう心からお祈りするとともに、当方もこちらでできることを一所懸命に取り組み、みなさまのお役に少しでも立てるよう尽力いたします。

 文責 神戸大学病院感染症内科 岩田健太郎
 
 このブログは転載自由です。その際は出典をお示しいただき、全文を掲載して頂ますようお願い申し上げます。

※本記事は、2016年4月21日のブログ『楽園はこちら側』で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0421503327/
被災者の睡眠問題に日本睡眠学会が対応策
2016.04.21 17:35 Medical Tribune

熊本地震関連レポート

 日本睡眠学会は,東日本大震災時に公表した被災地の睡眠問題への対応に関する情報を,同学会の公式サイトに再掲載した。日中太陽光を浴びメリハリを付ける他,「夜寝にこだわらない」「せん妄を見逃さない」などの国立精神・神経医療研究センターの情報も紹介されている。

可能な限り自分のパターンで睡眠を


 同学会が再公表したのは,阪神淡路大震災(1995年)で,自身も避難所生活を経験した日本大学精神医学系主任教授の内山真氏による東日本大震災発災時の睡眠問題への対応策だ。

 避難所など慣れない場所での睡眠を確保するポイントとして,①睡眠時は身体を冷やさない②日中に活動したり,太陽の光を浴びたりして過ごすなど,昼夜にメリハリを付ける③可能な限り自分のペースで休む〔自身の睡眠パターン(朝型または夜型睡眠,短時間または長時間型睡眠)〕-を挙げた。

 また関係各者には,夜間眠れない被災者のために避難所内に,明るい中で暖かく過ごせる場所の確保を提案している(関連記事)。

開き直り羊は数えない

 内山氏は,同センター精神保健研究所精神生理研究部部長の三島和夫氏の情報も紹介している。

 同氏は,被災地で眠れないときは「眠れるときに眠る」 「今は体が眠りを求めていない」という開き直りが必要だと助言。夜中に寝つかれないときに羊を数えるのは,どれだけ眠れないか確認作業をしているのと同じだとし,やめるよう求めた。

不眠に加え意識混濁,不穏・興奮はせん妄のサイン

 震災による強いストレス,睡眠不足,環境の急激な変化などから,特に高齢者では意識混濁に不穏・興奮が加わった状態の"せん妄"を来すことがある。

 ベンゾジアゼピン系薬や抗不安薬によるせん妄への効果は乏しく,逆に悪化させることがある。不眠とともに先の状態が見られた場合は,せん妄を見逃さないよう慎重に対処してほしいとしている。

(田上玲子)



http://nk.jiho.jp/servlet/nk/dantai/article/1226584913086.html?pageKind=outline
【熊本地震】医薬品供給に大きな問題なし  
製薬協・伍藤理事長
( 2016年4月21日 ) 日刊薬業

 日本製薬工業協会の伍藤忠春理事長は21日、大阪市で開いた理事会後の会見で、熊本地震による影響について、「地域の医療機関、支援チームへの薬の供給は一応できている」と述べ、現時点では医薬品の供給に大きな問題は生じていないとの見解を示した。阪神・淡路大震災や東日本大震災の際は、国からの要請を受け、製薬業界として医薬品の調達、供給を行った。

 また会見では熊本地震による被害状況に関して、会員73社に行った調査の結果が説明された。回答した69社のうち営業所の壁のひび割れなど物的被害があったのは22社で、そのうち13社が19日時点で被災地域で営業活動を行っていなかった。



http://www.yomiuri.co.jp/local/tokushima/news/20160421-OYTNT50112.html
<熊本地震1週間>「何ができる」考え活動
2016年04月22日 読売新聞

 熊本県で震度7を観測した14日の「前震」から1週間となった21日も、県内では、被災地支援の動きが続いた。県は被災者支援に充てるため、JR徳島駅前で募金活動を実施。県職員や医師らによる新たなチームも熊本県に向かった。また、同県南阿蘇村で行方不明者の捜索活動をしていた緊急消防援助隊が県内に戻り、被災地の厳しい現状を振り返った。

 ◇県医療救護班5人派遣

 県は徳島大病院を中心とする医師や看護師、薬剤師ら5人による医療救護班の被災地派遣を決め、県庁前で出発式を開いた。

 救護班は24日まで熊本県内に滞在し、保健所や避難所などで避難者への医療支援をする。出発式では飯泉知事が「現地はまだ混乱が続き、受け入れ環境も万全ではない。現地の皆さんのニーズをくみ取り、サポートしてほしい」と激励。救護班を代表し、同病院の綱野祐美子医師が「『自分に何ができるのか』と不安はあるが、頑張ってきたい。私自身2児の母親でもあり、母親目線で現地の状況を見て、何ができるのかを考えて活動したい」と決意を述べた。

 また、県が加盟する関西広域連合の一員として派遣される県職員7人の出発式もあった。7人の派遣期間は25日までで、県が支援を担う熊本県益城町での避難所運営などにあたる。

 ◇すだちくんも募金お願い

 JR徳島駅前では、県職員らが、通勤・通学者らに「県大規模災害被災者等支援基金」への寄付を呼びかけた。

 同基金は東日本大震災の発生を機に設けられ、NPO法人などが実施する被災者受け入れ事業への助成金や、県内避難者への見舞金などに使われる。

 県県民環境政策課とNPO法人の職員計13人に加え、県のマスコットキャラクター「すだちくん」が参加=写真=。通行人に「熊本支援のために募金をお願いします」などと声をかけた。

 募金に応じた鳴門市撫養町の徳島大1年、中村真奈美さん(18)は「被災地のために自分のできることをしたい」と話していた。

 ◇南阿蘇で不明者捜索 緊急消防援助隊県大隊戻る

 被災地での活動を終え、帰着した緊急消防援助隊の隊員(東みよし町で)

 徳島市など6消防局・本部で構成する「緊急消防援助隊徳島県大隊」(55人)の解散式は、東みよし町の吉野川ハイウェイオアシスであった。

 式では須戸章雄・大隊長(57)(徳島市消防局)と隊員らが、飯泉知事に帰着を報告。飯泉知事は「被災地での経験をいかして、南海トラフ地震などの災害を迎え撃ってほしい。お疲れさまでした」とねぎらった。

 同隊は総務省消防庁の要請を受け、16日に徳島を出発。17日早朝から20日まで南阿蘇村で活動をした。

 須戸大隊長によると、同隊は倒壊した家屋に取り残された人がいないかを確認した後、同村・河陽地区の土砂崩れ現場で他県からの部隊と協力してスコップで土を掘り返し、行方不明者を捜索。現場での活動は、ぬかるんだ土砂に足を取られて体力を消耗し、斜面に亀裂が見つかって一時退避を余儀なくされるなど困難を極めたという。

 須戸大隊長は「助けられる命がある、との思いで駆けつけた。今後も要請があれば出動し、被災地のためにできることをしたい」と話した。



http://www.yakuji.co.jp/entry50432.html
【厚労省】処方箋なしで保険調剤可‐熊本地震での対応を通知
2016年4月22日 (金) 薬事日報

 厚生労働省は、熊本地震の被災地での保険調剤について、事後に処方箋が発行されることを条件に、主治医との電話やメモなどがあれば、処方箋なしで調剤可とする診療報酬の例外的な取り扱いを被災地県等に通知した。患者に必要な処方箋医薬品について、大規模災害時などの正当な理由に当たるとして販売できることも都道府県に周知した。

 通知では、患者が処方箋を持参せずに調剤を求めてきた場合、事後に処方箋が発行されることを条件に、主治医との電話やメモなどにより、医師からの処方内容を確認できれば保険調剤として扱えるとした。

 医療機関と連絡が取れないときに、服薬中の薬剤をなくした被災者で、処方内容が安定した慢性疾患に関する処方であることが薬歴やお薬手帳、包装などにより明らかなときも、保険調剤として認めるとした。ただ、この場合も事後に医師に処方内容を確認することとしている。


  1. 2016/04/22(金) 07:46:49|
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