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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月17日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/417402
シリーズ: 真価問われる専門医改革
内科専門医、「研修施設ゼロ」の2次医療圏は1カ所
内科学会で説明会、施設大幅増もいまだ根強い不安

2016年4月17日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 4月16日に東京都で開催された第113回日本内科学会講演会の新・内科専門医制度説明会「~内科専門医研修プログラムのことを中心に~」で、2017年度開始予定の内科専門医の研修プログラムの参加施設は、現行よりも大幅に増加し、344の2次医療圏のうち343にわたり、全国各地域で内科専門医の研修が進む予定であることが報告されたが、出席者からは数多くの質問が出て、新専門医制度に対する不安や懸念がいまだ根強いことが明らかになった。

 日本専門医機構理事長の池田康夫氏は、新専門医制度の地域医療への影響を懸念する声を受け、厚生労働省に制度の検討の場が設けられていることを踏まえ、「厚労省での議論の推移を見守りながら、新しい制度の開始に向けて準備していきたい」とあいさつ(『新専門医、「議論の順番が違う」と異論』を参照)。

 日本内科学会認定医制度審議会会長の横山彰仁氏は、新専門医制度に関して「危惧・批判されてきた点」を挙げ、それらを払拭するために説明に努めた。例えば、「サブスペシャルティの取得が遅れる」との声に対しては、最短では内科専門医3年間、内科系サブスペシャルティ2年間の計5年間、初期研修を含めて合計7年間の研修で取得できるとし、現在でも6年間の研修でサブスペシャルティ専門医取得に至る医師は少ないため、「大きなインパクトなのか」と述べ、理解を求めた。

 内科専門医の研修プログラムの申請受付は、3月31日が締め切りだった。最も遅かった総合診療専門医の研修プログラムの申請も4月15日が締め切り。池田理事長によると、19の基本領域を合わせ、基幹研修施設は2700近くに上り、現在、研修プログラムの審査を進めているという。

 池田氏は、現時点での今後のスケジュールを説明。(1)研修プログラムの1次、2次審査を6月末までに終了、(2)7月中旬くらいまでに、研修を希望する専攻医を登録、(3)研修プログラムの公開、(4)8月から9月にかけて、専攻医がプログラムに応募、(5)9月から10月にかけて、各施設での試験や面接の実施、(6)1次募集による採用者を10月末くらいまでに決定、(7)1次募集で決まらなかった人について、2次、3次募集を繰り返し、2017年3月までに採用者決定、4月から研修開始――という流れになる。

 もっとも、演者として登壇した、順天堂大学の初期研修2年目の砂山勉氏は、同期研修医30人へのアンケート結果を紹介、専攻医を目指す立場としては、「情報不足」「制度変更内容が不明で、はっきり決まっているのかも不明」など「専門医制度が理解されていない」現状や、「制度が不透明」なことへの不安が多いと指摘。「早く専門研修に行きたい」との声もあったという。

 アンケート結果を踏まえ、(1)情報の公開、(2)経済面・労働環境への保障、(3)キャリアパスについてのさまざまな希望へ配慮――という3点を要望した砂山氏は、「新専門医制度の理念自体はすばらしい」としつつ、「研修を受けるのは、若手医師。最初から完璧な研修プログラムを作成するのは難しいと思うが、現場の声を聞きながら、日本専門医機構、日本内科学会、専門研修施設群が、“三位一体”となって取り組んでほしい」と訴えた。

 砂山氏の発言に対し、フロアの参加者から拍手がわき起こったことに象徴されるように、いまだ新専門医制度に対する不安や懸念は根強い。地域医療への影響、専攻医の身分保障や指導医の負担増などを問題視する声が、フロアから挙がった。

 内科専門医、定員は1.69倍
 日本内科学会認定医制度審議会副会長の宮崎俊一氏は、内科専門医の研修プログラムの申請状況を報告。総数は523、研修参加施設は計2878施設に上る。内訳は、基幹523施設、連携1266施設、特別連携1089施設だ。

 現行制度(教育病院と教育関連病院)は1194施設であり、総数は2.4倍と大幅に増加。344の2次医療圏のうち、343に研修参加施設が所在し、現在の294よりもカバー率は上がる。空白の2次医療圏は、「尾張中部医療圏」のみ。宮崎氏は、特別連携施設として、中小病院が増えたことが、研修参加施設の増加の要因であるとし、「新しい制度においては、今まで以上に多くの地域がカバーされる」と説明した。

 研修プログラムの定員合計は6079人で、過去3年間の実績(認定内科医の平均受験者数3605人)の1.69倍に上る。研修参加施設の2次医療圏のカバー率は高まるものの、例えば、専攻医が都市部の研修プログラムを多く選べば、専攻医の地域偏在も起き得る。

 研修プログラムについては、担当学会が1次審査、日本専門医機構が学会の協力を得て2次審査をそれぞれ行う。池田氏は、「都市部の研修プログラムの定員は、過去3年間の実績程度に抑えてもらいたい。ただし、現状を下回ることはない。一方、地方であれば実績の2倍でも、3倍でもいい」との考え方を説明。宮崎氏も、「より良い内科専門医を養成する観点から、症例数、剖検数、指導医数などで定員の上限が決まる。その審査を行うのが1次審査」とし、一方で、地域医療を崩壊させないという要請に応えるため、2次審査において都市部などでは「過去3年間の平均値を逸脱しないよう、調整を行う可能性がある」と述べた。

 しかし、フロアからは、「地域医療が必要なのは、へき地などに限らない。都会の真ん中の地域医療が崩壊することを懸念している」との指摘も上がった。内科研修プログラムでは、「原則として、基幹施設以外の施設での研修も1年以上」となっているため、現行では単独で専門医研修を実施している基幹施設にとっては、「1年間専攻医が不在になる」自体が生じるからだ。

 そのほかの各演者の講演や、フロアの参加者からの質問の主な内容は以下の通り。

◆サブスペシャルティの取得時期が遅れるのではないか?
横山氏の回答:内科専門医の3年間の研修のうち、希望すれば1年間、サブスペシャルティの並行研修ができることになっており、サブスペシャルティの3年間の研修を2年間で終えることができる。初期研修の2年間を含めれば、計7年間。2010年から2012年までの実績を見ると、専門領域によって差があるものの、男性では8、9割、女性では7、8割が、「最短(計6年間の研修)の期間で、内科系のサブスペシャルティの専門医を取得できていない」。例えば、消化器のサブスペシャルティを最短期間で取得したのは、男性17.3%、女性25.4%だった。

宮崎氏の回答:大学入局するか否かは、内科専門医の取得とは独立している。しかし、(宮崎氏が所属する)近畿大学では「サブスペシャルティ重点コース」に入る場合は、例えば、サブスペシャルティの指導医が継続して指導できるようにするためにも、入局してもらうことを想定している。

◆基本領域のダブルボードは認められないのか?
池田氏の回答:同時に、二つの研修プログラムに入って、研修できないというのが基本的なスタンス。ただし、例えば総合診療専門医の場合、内科専門医の研修を6カ月実施することになっている。その研修履歴は、WEB上の登録評価システムに残る。総合診療専門医を取得後、一定の研修を積み、内科専門医を取得、その後にサブスペシャルティに進めるようにしたり、反対に内科専門医取得後、総合診療専門医を取得できるような、個々のキャリアパスの多様性を認める制度設計を考えている。

◆研修プログラムは?外来での研修は?
宮崎氏の回答:(1)従来とは異なるのが、外来での研修を重視した点。(外来移行などが進む)医療制度の変更、疾病構造の変化などを考えると、例えば高血圧など、入院症例で経験するのが難しい現状を踏まえた対応。外来研修は2年目以降に行う、(2)基幹施設は、JMECCを開催するのは望ましいが、JMECCを担う人材育成の途上にあるため、今は「機会を与えること」が基幹病院の要件、(3)研修に当たっては、連携施設や特別連携施設と協力しながら進めるため、これらの施設とのやり取りも含め、基幹施設の事務方の役割は大きい。

愛知医科大学医学教育センターの宮田靖志氏の回答:内科専門医の研修プログラムでは、地域医療での研修が重視される。今後の日本の人口構成、それに伴う医療ニーズの変化に適応して、内科専門医も変わっていかなければいけない。求められる能力は、「Competence」(知識・技能・態度において知っている/できること)から、「Capability」(変化に対応し、新しい知を創出し、自分のパーフォーマンスを改善できる)に移行。

◆内科専門医と総合診療専門医との違いは何か?
横山氏の回答:総合診療医は、「それは専門外である」という言い訳をせずに患者と向き合い、そのことに誇りを持つのが基本的な概念。内科専門医にとっては、「専門外があり得る」ことが大きく異なるのではないか。ただし、内科領域の深さは、内科専門医の方が深い。 池田氏の回答:地域医療に対する役割という意味では、内科専門医と総合診療専門医はオーバーラップするのだろう。ただ、総合診療専門医は、内科、小児科、救急科を研修した後、18カ月間は総合診療固有のプログラムを、中小病院や診療所と一体となって実施するため、内科専門医の研修プログラムとは育てる医師が違う。

◆専攻医の身分保障は?基幹施設と連携施設で経営母体が異なる場合は?
池田氏の回答:専攻医の勤務環境に関する検討の場を設けており、現在検討している。

◆指導医の負担が増加するのではないか?
横山氏の回答:「専攻医は160症例を経験することが修了要件。指導医は専攻医3人まで担当できる。これらの症例を指導医がチェックするには、診療時間を減らさざるを得ないかもしれない」など、指導医の負担増を懸念する声に対して、「現行でも指導医として担当している場合には、さほど変わらないのではないか。WEB上の登録評価システムを週1回程度見ていれば済むくらいだと思う」とした。登録評価システムは、今夏頃にリリース予定だが、できるだけ簡便になるよう改変していく方針。

◆認定内科医からの移行は?指導医資格はどうなるのか?
横山氏の回答:(1)認定内科医から、総合内科専門医の移行措置は2019年まで実施(新内科専門医に全員移行)するので、できるだけ移行してもらいたい。2015年の受験者は約7000人、(2)認定内科医の試験は2018年まで実施予定だが、1回で合格しない場合も考え、延長も検討。

宮崎氏の回答:現行制度における指導医は、2025年までは認める。総合内科専門医が増えているので、指導医が不足することはないと見ている。



http://www.asahi.com/articles/ASJ4K31LDJ4KUBQU003.html
赤字膨らむ静岡市立清水病院 医師確保に苦慮
野口拓朗
2016年4月17日09時13分 朝日新聞

 静岡市立清水病院(同市清水区宮加三)が厳しい経営に苦しんでいる。常勤医師の退職で収入が減ったのが主な原因で、病院会計への市の助成総額は年30億円にもなる。若手医師の確保のために医学生に学費を貸したり、高度な医療機材を導入したりするなど、収支改善に躍起だ。

 病院は清水区南部の丘陵地に立つ。1989年に完成した今の建物は地下1階、地上7階。旧清水市時代の33年に開設された区内の基幹病院で、ベッド数475床を擁する。

 年間の患者数は外来約20万人、入院約13万人。入院や手術が必要な重症患者に対応する2次救急医療機関であり、県から災害拠点病院にも指定されている。

 そんな病院に暗雲が立ちこめたのは2年前。内科、外科など26科に常勤医師が71人いたが、14年3月末、心臓病などを担当する循環器内科の常勤医師3人が開業などに伴い、退職した。

 3カ月後には、人工透析などを担う腎臓内科の常勤医師2人が開業のために去った。非常勤医師のやりくりで、外来の診療は続けているが、両科の入院受け入れができなくなった。

 心臓を患い循環器内科の診察を待っていた区内の男性(77)は「今は入院の必要がないと言われているが、万一入院となったら他の病院を探すしかない。早く医師を補充して入院できるようにしてほしい」と話す。

 医師1人当たりの年間の「売り上げ」は1億~1・5億円ともいわれる。5人の退職で、清水病院の診療、検査などの医業収入は13年度の約98億円から14年度には約92億円に減った。

 病院会計の赤字を穴埋めする市の一般会計からの補助金は、13年度の約3億円から14年度は約18億円に急増。医師退職による減収に加え、会計制度の変更で職員全員が退職した場合の退職金総計約30億円を分割計上するようになったため、赤字が膨らんだからだ。補助金は昨年度約23億円、今年度は約16億円を見込む。

 さらに、市は法律に基づき、公立病院としての救急医療や高度医療の提供に対する「負担金」を病院に支払わなければならない。補助金と負担金を合わせた総額は5人の退職前の年約17億円から31億~35億円に膨らんだ。

 「市民の安全に直結する病院の経営に危機感を抱く」との声も市議会から上がるが、清水病院は清水市時代から赤字に悩んでいた。旧静岡市との合併直前の02年度は約9億円の赤字。合併後は赤字幅を徐々に縮め、黒字になったこともあった。しかし、医師5人の退職が痛手となった。

 医師の確保に向け、病院関係者や田辺信宏静岡市長は退職者の出身母体の慶応大や北里大に医師の派遣を要請している。しかし、全国的な医師不足や最先端の医療を経験したいという医師の大都市志向などがあって、容易ではないという。

 そこで清水病院は昨年度から医学生の修学資金貸与制度を始めた。月25万~37万5千円を貸し、卒業後、清水病院で貸与期間分勤務すれば、返済を免除する。医師の卵たちに好印象を持ってもらい、勤め先にしてもらう狙いだ。

 昨年度は医学部6年生3人、4年生2人、1年生1人の計6人が利用した。今月から、大学を卒業した6年生3人が研修医として清水病院での勤務を始めた。今年度も新たに4人の貸与枠を設けた。

 病院は「経費削減よりも収入を増やそう」と知恵を絞る。今年度は骨折などで入院した患者のリハビリを担当するスタッフを3人増やし、利用拡大を目指す。脳やせきついなどの病変を探るMRI(磁気共鳴断層撮影装置)を1台から2台に増やし、検査利用者を増やしたい考えだ。

 糖尿病などで通院している男性(68)は5年前、腸閉塞(ちょうへいそく)のため、救急車で清水病院に搬送されたことがある。「死ぬかと思ったが、助けてもらった。病院には恩義を感じているし、頼りがいもある」と語る。病院幹部は「安定的・自立的な経営と公的病院としての使命の両立を果たしていきたい」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/409066?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160417&dcf_doctor=true&mc.l=153263277
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
費用対効果評価、「試行では新薬対象外」- 宮嵜雅則・厚労省保険局医療課長に聞く◆Vol.8
2017年消費税率アップすれば3年連続改定

2016年4月17日 (日) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――今改定では、4月から費用対効果評価が試行的に導入されます(『費用対効果評価、既収載は8品目程度が対象』を参照)。

 次回の2018年度改定で薬価等を決定する際に活用します。4月に入ったら、対象とする医薬品や医療機器の品目を決定し、各メーカーにお願いして評価のためのデータを提出していただき、それを基に、有識者などから成る「費用対効果評価専門組織」で検討します。通常の薬価改定等のプロセスに、その結果を入れて、最終的な薬価等を決定する流れになります。


宮嵜雅則課長は、「前回改定の5倍の改定財源があった中で、長年据え置かれていた点数なども評価できた」と語る。
――費用対効果評価は、新薬等は対象外ですが、最近、分子標的薬などで高薬価の医薬品が上市されています。

 対象外と決定しているわけではなく、「試行的導入の際は、新薬は対象外」としているだけです。新薬を対象とすると、保険収載時にドラッグ・ラグのような状況が生じてしまうからです。新薬についても保険収載するか否か、収載する場合でもその薬価を決める際に、費用対効果評価の考え方は使えると思いますが、今回の試行的導入では対象外という整理です。

――今改定では、特例再算定で、C型肝炎治療薬のソバルディ錠などの薬価が引き下げられました((『「年間販売額1500億円超」のソバルディなど4成分』を参照)。限りある医療費の中で、どこまで保険でカバーすべきか、その辺りはどうお考えでしょうか。

 それは診療報酬というより、医療保険制度の中で、どんな対応をするかという課題。なかなか難しい問題だとは思います。

――今改定の議論の過程で、保険外併用療養の「選定療養」の類型拡大の議論がありましたが、ペンディングになっています(『「治療に関係ない検査」で自費徴収を検討』を参照)。

 今回の項目追加は従来の「選定療養」の考え方を変えるものではありませんが、項目を追加するのであれば、告示改正が必要になります。今年1月末の段階で提案したのは、改定に併せて議論した方がいいと考えたからです。改定についてもいろいろな議論があった大変な中で、「じっくり議論する時間が取れない」などと両側(診療側と支払側)から指摘されました。改定の作業は一区切りが付いたので、改めて事務局の方で整理して、引き続き中医協で議論していきます。

――今後についてお伺いします。2017年4月に消費税率が8%から10%にアップする場合、診療報酬が非課税のままでも、あるいは課税に変更された場合でも、診療報酬改定は必要になると思います。

 前回の2014年度改定の時に、消費増税への対応をしましたが、その際、やはり診療報酬で対応するのは厳しいという話はありました。医療界の各団体も、消費税の問題は、基本的には税制で対応すべきという考えです。まず税制の問題として検討するのが基本だと思います。

 ただ、どのような結論になっても、消費税率が上がる場合は何らかの対応が必要になる可能性は高いでしょう。今まで通り、「税制で対応しない」場合、前回は基本診療料への上乗せで対応しましたが、診療報酬でどう対応するかという問題があり、「税制で対応する」場合でも、今まで診療報酬に消費税対応分として上乗せしていた部分の扱いが議論になるからです。

――消費税率が上がる場合、3年連続の改定になります。

 仮定の議論ですが、それはあり得ます。

――その場合、医薬品等については、2016年も薬価調査等を行うことになりますか。

 実施すると決まっているわけではありません。それ自体も、議論のポイントだと思います。

――最後に改めてお聞きします。今改定で特にプラス改定になった、あるいは大幅に引き下げとなった診療科、施設規模等はありますか。

 どこか特定の分野が大きく上がったとか下がったわけではなく、全般に評価されていると思います。いろいろな見直しを行ったので、程度の差はあるかもしれませんが、入院、外来、在宅医療のいずれもそれなりに上がっています。新しい技術を評価し、従来低かった技術料も引き上げました。

――課長は、さまざまな場で診療報酬に関する講演をされていますが、一番強調されている点はありますか。

 患者さんの病状に応じた病床で入院医療を受けていただくという大きな流れがある中で、7対1入院基本料、地域包括ケア病棟入院基本料、慢性期の入院料、さらには在宅医療について改定した点です。特に7対1入院基本料については、中医協でも一番議論があった点であり、丁寧に説明させていただいています。

 最初の話に戻りますが、診療報酬本体改定率は0.49%。前回2014年度改定率は0.1%だったため、その5倍の改定財源があったわけです。財源が少ない改定時には、なかなか手が回らないのですが、これまで長年据え置かれた点数も含めて、さまざまな分野できめ細かな評価できたと思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/417011
「臨床研究一般の萎縮が生じる」との懸念も
医学研究関係の3指針を改正、今夏に取りまとめ

2016年4月15日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省、文部科学省、経済産業省合同の「医学研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」の第1回会議が4月15日、開催された。合同会議の座長には聖路加国際病院院長の福井次矢氏、座長代理には滋賀大学学長の位田隆一氏を選任。

 2015年9月に成立した改正個人情報保護法に対応するため、医学研究関連の指針を見直すのが合同会議の目的だ。合わせてゲノム関連指針とも、可能な限り整合性を図る。今夏頃までの取りまとめを目指す。国際共同研究も進む中、個人情報の保護と利活用のバランスをいかに取るかが課題になる(資料は、経産省のホームページ)。

 個人情報保護法の改正内容は多岐にわたるが、ポイントの一つが「個人情報の定義の明確化」。従来の「個人情報」に加え、「個人識別符号」「要配慮個人情報」が新たに定義され、取り扱いが定義された。例えば、「病歴」は、「要配慮個人情報」に該当、本人同意を得て取得することを原則義務化し、本人同意を得ない第三者提供の特例(オプトアウト)は禁止された。新たに研究試料を取得・提供する場合だけでなく、既存試料を利用する場合にも、利活用の在り方が変わる。

 国立がん研究センター企画戦略局長の藤原康弘氏は、個別に同意を取得する介入研究とは異なり、観察研究などの場合、「仮に、“カルテ調べ”の研究でも、個別の文書同意を取得することになれば、研究ごとに、数百から数千の患者に対して医療者が説明する時間を取らなければならなくなる」などと指摘し、結果として「臨床研究一般の萎縮が生じるのではないか」と問題視。また現在、レセプトデータや特定健診などのデータは、統計データとして各種研究に利活用されているが、「同意が得られない症例を外したら、正確な罹患率などが得られないほか、データを有する医療機関、自治体からの情報提供が困難になり、研究が遂行できなくなる」(北海道大学大学院医学研究科教授の玉腰暁子氏)との懸念も呈せられた。

 もっとも、具体的にどんな情報が「病歴」に当たるかは確定していない。「病歴」と言っても、カルテ情報など詳細なデータのみが当たるのか、健診などで書いた既往歴でも該当するかなどは検討課題。そのほか、「ゲノムデータ」「ゲノム情報」も、「個人識別符号」あるいは「要配慮個人情報」として扱うかなども整理する必要がある。改正個人情報保護法に基づき2016年1月に新設された第三者機関、「個人情報保護委員会」が、「個人情報の定義」などを含めた個人情報保護の基本方針を今後策定する。

 合同会議が見直しの対象とするのは、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」の3指針。改正個人情報保護法の施行は、2015年9月から「2年以内」だが、時期は未定だ。合同会議では、「個人情報保護委員会」の議論をにらみつつ、並行して3指針の見直しの議論を進めることになる。「想定される最も早いケース」では、今夏に指針の見直し案を策定、パブリックコメントを募集し、指針公布する。施行までは数カ月間の周知期間を設ける。


三省の合同会議は約3時間にわたり、改正個人情報保護法と各種指針の在り方を議論。

 コホート研究が困難になる懸念も

 個人情報保護法の改正の狙いの一つは、ビックデータの利活用の推進だ。「個人情報として取り扱う範囲の曖昧さ」のために、企業がデータの利活用を躊躇する現状があり、「個人情報の定義の明確化」が進められた。他方、いわゆる「名簿屋」問題対策として、必要に応じて個人情報の流通経路が分かるようにしたり、不正な個人情報の取り扱いに対する罰則を強化した。

 法改正により、大手交通系企業のICカードデータなどは利活用しやすくなった。しかし、第1回会議でヒアリングした藤原氏、玉腰氏のほか、東京大学大学院医学系研究科教授の徳永勝士氏からは、医学研究関連のデータでは、利活用が難しくなるとの懸念が挙がった。

 「要配慮個人情報」とは、「人種、信条、社会的身分、病歴など、その取り扱いによって差別や偏見、その他の不利益が生じる恐れがあるため、特に慎重な取扱いが求められる個人情報を類型化したもの」だ。

 藤原氏は、「病歴」が「要配慮個人情報」として取り扱われ、「個別同意のみ」が有効だとされることで、観察研究や疫学研究において、(1)明示的な研究利用への同意のない過去の試料・情報の利用が禁止される、(2)「カルテ調べ」の研究でも、個別の文書同意を取得することになると、時間がかかる上、実態把握のための疫学的な研究においても同意取得可能な患者にのみ研究対象者が限定されることにより、研究結果にバイアスが生じる――などを問題視。さらにそもそも個人情報保護法には改正以前から、「適用除外」規定があり、学術研究も該当することから、なぜ個人情報保護法への対応が必要なのかとの疑問も投げかけた。

 玉腰氏は、疫学研究への支障を懸念。例えば、疾病登録による罹患率等の把握のための疫学研究の場合、「同意が得られない症例が外れると正確な罹患率等が得られず、成果の社会実装の際にミスリードする可能性がある」ほか、個人情報保護法制定前から開始されている長期追跡では、追跡情報として必要な疾病情報を医療機関などから情報収集することが困難になり、研究遂行ができなくなるとの懸念を呈した。

 徳永氏は、「一口にゲノム情報といっても、目的や用途によって、個人情報に当たるか否かを区別すべき」と指摘した。「ゲノム情報は、ATGC(塩基)が並んでいるだけ。顔や指紋は、(特定個人のものと)似ているかどうかが分かるが、ATGCの配列を見たところで、誰かは分からない。同列に論じられることに違和感がある」と徳永氏は述べ、「鑑別(親子鑑定、個人識別)のためのDNA検査」は個人識別性が高いものの、「研究(疾患遺伝子探索など)のためのゲノム解析」は意図的に解析しない限り個人識別性は低く、バイオバンクなどを活用した疾患遺伝子検索や治療法の開発を妨げることのない指針が求められるとした。

 ゲノム情報については、健康・医療戦略推進会議の「ゲノム医療実現推進協議会」に設置された「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」が今年1月の取りまとめで、(1)ゲノムデータ(塩基配列を文字列で表記したもの)は、社会通念上、「個人識別符号」、(2)ゲノム情報(遺伝⼦疾患、疾患へのかかりやすさ、治療薬の選択に関するものなど、「ゲノムデータ」に解釈を付加し、医学的意味合いを持った塩基配列に解釈を加えて意味を有するもの)は、「要配慮個人情報」――にそれぞれ該当すると整理している。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53996/Default.aspx
PMDA調査 診療所・保険薬局の安全性情報入手先トップはMR 個別質問への対応評価
2016/04/18 03:50 ミクスオンライン

医薬品医療機器総合機構(PMDA)が4月15日に発表した診療所と保険薬局を対象にした調査によると、安全性情報の入手先のトップはMRで、共に8割以上が挙げた。他の情報源と比べると、「個別の質問・オーダー等が可能」であることが評価されていた。保険薬局だけでみると、MRに次いで多いのはMSで、8割以上が挙げ、「迅速さ」が評価されていた。

これは「医療機関における安全性情報の伝達・活用状況に関する調査」。診療所は4611施設、保険薬局は3842施設が回答した。安全性情報の入手先の割合は高い順に、診療所ではMR(86.3%)、厚労省の医薬品・医療機器等安全性情報(68.0%)、製薬企業のDM(67.4%)。保険薬局ではMR(87.9%)、MS(82.1%)、製薬企業のDM(77.0%)。

保険薬局が行っている他施設との連携内容も取り上げ、最も多いのは近隣医療機関との薬剤採用・削除情報(54.1%)、近隣医療機関と共同の勉強会(29.8%)、近隣施設等と入手した安全性情報の共有(14.3%)。特になしも30.3%あった。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/inoue/201604/546460.html
コラム: ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」
アウトカム評価拡大で「回復期バブル」が終焉?

井上 雅博(大田記念病院)
2016/4/18  日経メディカル

 回復期リハビリテーション病棟は、濃厚な急性期医療を中心とした病床ではなく、脳卒中や大腿骨、骨盤、脊髄、股関節または膝関節などの骨折の発症、手術後のリハビリに特化して在宅復帰を目指す病床として、2000年に制度化されました。

 以前から、「人口10万人当たり50床」が目標とされており、回復期リハビリテーション病棟協会によれば、全国で7万4460床 (2015年3月1日現在)、整備されています。整備状況には地域差があり、九州・沖縄が人口10万人当たり93床、四国84床に対して、関東は43床となっており西高東低の状態です(詳細は同協会のウェブサイト参照)。

 回復期リハビリ病棟の対象は脳卒中や整形外科疾患などにほぼ限られますので、患者さんは急性期病院からの転院か、自院の中にある急性期病床からの転棟例ということになります。今回の診療報酬改定に向けた議論では、FIM(機能的自立度評価票)で見た場合の改善実績が低いままのところがあるなど、回復期リハビリの提供内容とアウトカムについて問題視されてきました。

 結局、今回の改定では、リハビリによる改善の実績が一定の基準を下回る場合、1日6単位を超える分は入院料に包括されることになりました。改善実績の評価にはFIMが使用されます。

回復期リハビリ病棟は再編の時代に
 今後、アウトカム評価に基づいた支払いが拡大すれば、評価基準を満たせない病院が「退出」するケースが出てくるなど、回復期リハビリ病棟の再編が進む可能性があります。

 また、評価基準を満たして生き残った病院も、これまで以上に競争にさらされることになりそうです。患者の紹介元である急性期病院が、それぞれの回復期リハビリ病棟のパフォーマンスや特徴を数値として把握し、それを基に患者さんを紹介することになると考えられるからです。

 これまで、地域によっては回復期リハビリ病棟が急拡大し、ちょっとした「バブル」のような様相を呈していたところもありました。地域内で回復期リハビリ病棟の整備が進むとどうなるか、私が勤務する大田記念病院が立地する広島県福山市を例にして説明します。

 当院における脳卒中の地域シェアは7割以上で、年間1200人前後の患者さんが平均在院日数12日前後で退院し、半数以上が自宅へそのまま復帰されます。残りの患者さんのうち、回復期リハビリ病棟へは例年400人ほどが転院されています。

 2011年度の厚生労働省の患者調査では、この地域の脳血管疾患の平均在院日数は54.4日と、広島県全体の95.8日と比較して短かったのですが、2014年度の患者調査のデータで見ると、広島県全体では78.6日に短縮しているのに、逆に福山市は69.7日へと延びています。

 この間に何が起きたかというと、福山市内では回復期リハビリ病棟が100床以上増設されました。2011年の時点では人口10万人に対して50床前後であったのが、80床を超えたため、一部では競合が発生し、病床稼働率の維持・向上を図るために平均在院日数の延長となった可能性があります。

 2014年の患者調査によれば、脳卒中の平均在院日数が延長した二次医療圏は他にもあります。さらに、県全体でも平均在院日数が短縮せずに逆に在院日数が伸びている地域が、特に西日本に目立つように思います(表1)。

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表1 都道府県別の脳血管疾患の平均在院日数(2011年度と14年度の比較) 厚生労働省「患者調査」による。

 当院のような立地と異なり県庁所在地であれば、急性期の病院も回復期リハビリテーション病院も集積しているので、周辺地域から患者さんが流入しており、回復期リハビリ病棟が増えても需給バランスが取れていると見ることもできます。ただ、退院後の通院や在宅復帰した後の介護サービスとの連携を考えると、回復期の病院は患者さんの地元にあることが理想的です。

 回復期リハビリ病棟の需給バランスがどのように変化していくかは、急性期病院の医師にとっても注目されるところです。いずれにせよ、今後の回復期リハビリ病棟には、今まで以上に「機能回復」や「在宅復帰」の役割が強く求められることになると考えます。


  1. 2016/04/18(月) 05:40:43|
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